JP4876850B2 - 金属薄膜転写材料およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、美麗な金属光沢を発現しつつ、絶縁性を有することで静電破壊を抑え、電波透過性を付与することができる金属薄膜転写材料に関し、さらには金属光沢のムラがなく意匠性に優れた金属薄膜転写材料を提供する。
テレビ、オーディオ、ビデオ等の家電製品や、携帯電話、個人情報端末などの情報通信機器、自動車内の情報通信機器などの筐体に優れた美麗感を与えるために、表面に金属光沢を付与することが従来から行われている。
この目的のため、真空蒸着法による金属薄膜を転写材料に形成し、美麗感を必要とする基材に転写する方法が行われており、このための金属薄膜として、静電破壊を防ぐ目的でSnやPbなどの絶縁性金属薄膜を使用することが提唱されている(特許文献1、2参照。)。
特許文献1には金属蒸着層を島のサイズ200Å〜1μmで島の間隔100Å〜5000Åの島状構造として絶縁性を持たせることが提唱されており、特許文献2には可視光線透過率が1〜10%であり、表面抵抗値が10Ω以上である金属薄膜転写材料の開示がある。
しかし、これら開示技術によっては、上記特性を満足したとしても、静電破壊耐性が不十分であったり、金属光沢に部分的なムラが発生したりすることで、必ずしも十分な品質の金属薄膜転写材料とすることができなかった。
特公平3−25353号公報(特許請求の範囲) 特開平10−324093号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、上記問題点を解決すること、すなわち優れた静電破壊耐性と金属光沢ムラのない優れた金属光沢を付与できる金属薄膜転写材料を提供することにある。
本発明はかかる課題を解決するため、以下の構成とした。
すなわち、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層、接着層を順次形成してなる金属薄膜転写材料において、Snを主体とした金属薄膜層の、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において95%以上であって、全光線透過率Tr1(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(1)、(2)を満足する金属薄膜転写材料である。
Tr1<−80X+21 (1)
4<Tr1<15 (2)
また、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層を順次形成してなる積層材料において、Snを主体とした金属薄膜層の、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において95%以上であって、全光線透過率Tr2(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(3)、(4)を満足する積層材料の該金属薄膜層上に接着層を積層してなる金属薄膜転写材料である。
Tr2<−80X+24 (3)
6<Tr2<17 (4) 。
さらに、上記金属薄膜転写材料を製造するため、透明基材フィルムの片面に離型層と、その上に保護樹脂層を設け、該保護樹脂層上にSnを主体とする金属薄膜層を真空蒸着により形成し、さらに該金属層上に接着層を積層する金属薄膜転写材料の製造方法において、該金属薄膜を形成する際の単位面積当たり単位時間当たりのSnの付着量D(g/m・秒)とその時の真空度P(Pa)との関係が、以下の数式(5)を満足することを特徴とする金属薄膜転写材料の製造方法を提供する。
D/P<12 (5)
本発明により、従来技術では不十分であった、優れた静電破壊耐性を有し、金属光沢ムラのない優れた外観特性を有する金属薄膜転写材料を製造することができる。
本発明の金属薄膜転写材料は、テレビ、オーディオ、ビデオ等の家電製品や、携帯電話、個人情報端末などの情報通信機器、自動車内の情報通信機器などの筐体に優れた美麗感を与えるために、好適に使用される。
以下に、本発明の内容について詳しく説明する。
本発明は、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層、接着層を順次形成してなる金属薄膜転写材料において、全光線透過率Tr1(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(1)、(2)を満足する金属薄膜転写材料である。
Tr1<−80X+21 (1)
4<Tr1<15 (2)
また、本発明の別の発明は、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層を順次形成してなる積層材料において、全光線透過率Tr2(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(3)、(4)を満足する積層材料の該金属薄膜層上に接着層を積層してなる金属薄膜転写材料である。
Tr2<−80X+24 (3)
6<Tr2<17 (4)
本発明の第一の発明の金属薄膜転写材料において、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層、接着層を順次形成してなる金属薄膜転写材料において、全光線透過率Tr1(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(1)、(2)を満足することが必要である。
Tr1<−80X+21 (1)
4<Tr1<15 (2)
(1)の式の意味を説明する。Snの単位面積当たりの付着量Xにより、全光線透過率が規定される。付着量Xが増大すれば全光線透過率が減少するが、全光線透過率がXの関数である(−80X+21)の値未満であることが必要であり、(−80X+21)以上であると、静電破壊耐性が不十分となる。
Tr1は4%から15%の範囲であることが、優れた金属光沢と静電破壊耐性の両立のために必要である。すなわち、Tr1が4%以下であると静電破壊耐性が不十分であり、15%以上であると金属光沢が不十分となる。
また、本発明の第二の発明の金属転写材料において、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層を順次形成してなる積層材料において、すなわち接着層を形成する前の全光線透過率Tr2(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(3)、(4)を満足することが必要である。
Tr2<−80X+24 (3)
6<Tr2<17 (4)
Tr2がXの関数である(−80X+24)の値以上であると、静電破壊耐性が不十分となる。
Tr2は、6%から17%の範囲であることが、優れた金属光沢と静電破壊耐性の両立のために必要である。すなわち、Tr2が6%以下であると静電破壊耐性が不十分であり、17%以上であると金属光沢が不十分となる。
本発明の第一の発明の金属薄膜転写材料において、透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層を順次形成してなる積層材料において、すなわち接着層を形成する前の全光線透過率Tr2(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(1)、(2)を満足することが好ましい。
Tr2<−80X+24 (1)
6<Tr2<17 (2)
本発明の金属薄膜転写材料において、第一の発明、第二の発明とも、透明基材フィルムは、形状保持性があれば特に限定されるものでなく、転写材料の基材として一般に使用されるポリエステル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などからなるフィルム、シートが用いられる。これら透明基材フィルムは、未延伸シートであっても、延伸されたフィルムであっても良いが、金属薄膜転写材料としてインモールド成形に用いられる用途においては、共重合成分を配合したポリエステル系樹脂の延伸フィルムが好ましく用いられる。
本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、透明基材フィルムの片面に離型層が設けられる。離型層としては、リン脂質(レシチン)、酢酸セルロース、ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、ロジン、アクリル樹脂、シリコーン、フッ素樹脂等が、その剥離の容易性の程度に応じて、適宜選択されて使用される。ベースフィルムがフラットの場合は0.01〜2μmの厚さであり、より好ましくは、0.1〜1μmの厚さで使用される。
さらに、本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、転写後の金属薄膜層を保護するために保護樹脂層が設けられる。
かかる保護樹脂層の樹脂としては離型層および金属蒸着層のいずれにも接着性のよい熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂または紫外線などの光硬化性樹脂が使われる。具体的には、保護樹脂層は蒸着金属の種類、用途による必要諸性能(機械的特性、耐熱性、耐溶剤性、光学的特性、耐候性など)により適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、セルロース系、ポリ塩化ビニル系等から選ばれた一種または二種以上を使用することができる。一般にその厚さは0.2〜5μm程度、より好ましくは1〜3μmである。これらの樹脂は透明性のよいものが使用されるが、染料、顔料または艶消し剤を入れて着色することもできる。また保護樹脂層の表面にホログラム加工を施すことによって、虹彩色もしくはホログラム効果を付与することもできる。
本発明は、第一の発明、第二の発明とも、必要に応じ、金属薄膜層との接着性を向上させる目的でさらに該保護樹脂層上に易接着層を積層しても良い。
本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、Snを主体とした金属薄膜層を該保護層上に形成する。
本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、金属薄膜層は、Snを主体とする金属からなり、本願発明の目的を達成する範囲で10%を上限として他の金属成分が混入されていても良い。金属薄膜層を、Snを主体とする金属とすることで、金属薄膜を絶縁性とすることができ、本シートを金属薄膜転写箔として例えば電子機器の筐体の一部として使用した際、内部の電子機器の高電圧部からスパークを受けて電子機器が破壊するといった現象を防ぐことができ、また電波を通すことで筐体内外部間の通信に支障をきたさないという機能を付与することができる。
本発明の金属薄膜層は、静電破壊耐性のため表面抵抗値として10Ω/□以上有することが好ましく、さらに好ましくは1010Ω/□以上である。
本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、Snを主体とした金属薄膜層の、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率は0.5μm×0.5μmの視野において95%以上であることが、金属光沢ムラがなく、優れた外観特性を有するためには好ましい。より好ましくは98%以上であり、更に好ましくは99%以上である。被覆率が95%未満であると金属薄膜の蒸着後の外観に、部分的に白っぽい外観を示すムラが発生することがある。この金属薄膜転写材料を樹脂に転写した場合、ムラの部分の金属光沢が弱くなり、成形体の全体の外観品位が悪くなり商品価値が極めて下がるケースがある。この場合の被覆率とは、大きさが500オングストローム以上の島の面積が全体に占める割合で評価され、0.5μm×0.5μmの視野で走査型電子顕微鏡による5万倍から10万倍のSEM写真を解析すれば十分である。
本発明の金属薄膜転写材料では、第一の発明、第二の発明とも、金属薄膜層の上に、転写材料としてさらに接着層を形成する。
接着層は金属薄膜層および転写すべき被転写材のいずれにも接着性の良い樹脂系接着剤が使用できる。例えばアクリル酸エステル系、ポリエステル系、合成ゴム系、エポキシ系、ポリウレタン系、エチレンー酢酸ビニル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル、ハロゲン化ポリオレフィン、ニトロセルロースおよびこれらの共重合体などが一般的に使用できる。用途によっては加熱によって接着可能な公知の種々の接着剤あるいはホットメルトシートを使用することができる。ホットメルトシートとしてはポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル系のものが好ましく用いられる。接着層の厚さは、接着剤の場合は2〜100μm、好ましくは5〜30μm、ホットメルトシートでは20〜200μm、好ましくは50〜100μmの範囲でそれぞれ選ばれる。
これらの各層は、グラビア塗工などの通常の塗工方式で透明基材フィルム上に積層される。
本発明は、さらに、透明基材フィルムの片面に離型層と、その上に保護樹脂層を設け、該保護樹脂層上にSnを主体とする金属薄膜層を真空蒸着により形成し、さらに該金属層上に接着層を積層する金属薄膜転写材料の製造方法において、該金属薄膜を形成する際の単位面積当たり単位時間当たりのSnの付着量D(g/m・秒)とその時の真空度P(Pa)との関係が、以下の数式(5)を満足することを特徴とする金属薄膜転写材料の製造方法を提供する。
D/P<12 (5)
この(5)式の意味するところを説明する。通常の真空蒸着では、同じ蒸着速度に対し、真空度Pが大きい場合と小さい場合を比較して、通常は真空度Pが小さい、すなわち真空度が良い場合に、良質の蒸着膜が得られることが一般常識である。本発明者らが鋭意検討した結果、本願発明は真空度が悪い条件下で良質なSnを主体とする金属薄膜を形成することができ、品質に優れた金属薄膜転写材料とすることができることを見いだした。つまり本発明においては式(5)に従い、単位面積、単位時間当たりのSnの付着量Dに対し、真空度Pがある値以上であることを要求しており、真空度Pが大きい側、すなわち真空度が悪い側を選択する。また、式(5)に従い、ある真空度Pに対し、単位面積当たり、単位時間当たりのSnの付着量Dは小さい側を選択しており、これも真空度の影響を受けやすい従来の常識からすれば好ましくない条件を選択している。この従来の真空蒸着の常識からかけ離れた条件を見いだしたことにより、外観に優れたSnを主体とする金属薄膜を得ることができるということが本発明の主旨である。
本発明のSnを主体とする金属薄膜層を真空蒸着により形成する方法としては、通常のルツボあるいはボート方式の真空蒸着法が選択されることが多いが、蒸発源の方式はこれらに限る必要はない。真空蒸着は、枚葉のシートを処理するバッチ方式でもよく、連続フィルムを連続的に蒸着する方式であっても良い。
枚葉シートにバッチ蒸着するケースにおいては、目的とするSnの付着量X(g/m)を得るための蒸着時間T(秒)によりDは決定され、X/Tで表現される。また、連続フィルムに連続式蒸着装置で蒸着する場合は、蒸着される部分のフィルムの長手方向の開口部幅L(m)と、フィルム速度S(m/秒)によりDは決定され、XS/Lとなる。
D/Pが12以上となると、その条件で作成した金属薄膜転写材料は、静電破壊耐性が不十分となったり、金属光沢ムラが発生し品質が悪くなる。より好ましくはD/Pは10未満である。
以下本発明の様態を実施例をもって具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
以下に本発明の評価に用いた評価法を説明する。
・ 全光線透過率(%)
日本電色工業(株)製ヘイズメータNDH−1001DPを用い、JIS K7105(1981年制定)に則り全光線透過率T(%)を測定した。
・ 単位面積当たりのSnの付着量X(g/m
先ず、理学電機製蛍光X線分析装置RIX1000を用い、以下の条件でSnの相対強度(kcps)を測定した。
X線管球:Cr
同上電圧電流:50kV、50mA
測定X線:Sn−Kα
測定径:30mm
測定時間:60秒
次に、同じサンプルを用い、原子吸光法によりSnの付着量(g/m)を測定した。測定の基本条件は以下の通りである。
サンプルのフィルムを200cm採り、2.4Nの塩酸20mlで24時間かけてSnを溶解させる。この溶液を3つ準備する。これらの溶液のそれぞれに純水を2ml、Sn1000ppmの標準液1mlと純水1ml、Sn1000ppmの標準液2mlを加えたものを準備し、原子吸光分光光度計(島津製作所製AA−6300)でSnの吸光度を測定し、計算でそれぞれのサンプルのSnの濃度を求めた。この両者の関係から相関を求めた。
蛍光X線分析によるSn相対強度から、この相関を用いてSnの単位面積当たりの付着量を計算で求めた。なお、接着剤の有無による蛍光X線によるSnの相対強度は適宜チェックを行い、接着剤の有無で結果に有意差がないことを確認した。
・ 被覆率(%)
日立製電解放射型走査型電子顕微鏡S−4700を用い、以下の条件でSn蒸着表面を測定し、被覆率を求めた。
前処理:白金3nmコート
加速電圧:5kV
ワーキングディスタンス:5mm
得られた5万倍の写真により、差し渡し500オングストロームを越える島の輪郭をトレーシングペーパーに転写し、通常の画像処理の方法で島の面積割合を求め、被覆率(%)とした。
・ 静電破壊耐性
20cm×20cm厚み1mmのABS板に接着層を塗布した面を合わせ、ロールスタンパー(太平工業(株)製RT−300X)を用い、ロール温度220℃、速度5cm/秒で貼り合わせた後、フィルムを剥離し、保護層を表面としたSn転写テストピースを作製した。このシートをアース接地した30cm角の金属板に転写面を上にして載せ、金属電極をSn転写面上約5cmの位置に近づけ、直流高圧電圧15kVを断続的に印加して放電を発生させた。テストピース上に放電した場合は放電痕が痕跡として残ることを観察できるため、テストピース上に放電した場合は静電破壊耐性がないと判定し、放電痕が残らず、接地金属板に放電した場合を静電破壊耐性があると判定した。
(5)外観
目視により、金属光沢に優れ、光沢ムラが全くないものを○、光沢ムラは若干あるが実用上問題のないものを△、光沢ムラがあり実用に耐えないものを×と判定した。
(実施例1)
厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、離型層(酢酸セルロース樹脂、厚さ0.5μm)を一色グラビヤコータを用いて塗布、乾燥をおこなった。ついで該離型層の上にメタクリル酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸nブチル、メラミン樹脂を含有するトルエン溶液を前記コータを用いて塗布、乾燥、樹脂硬化をおこない、厚さ1μmの保護樹脂層を得た。
引き続いて、該保護樹脂層の上面にバッチ式蒸着機(日本真空製EBH−6)により、真空度1.3×10−3Paの圧力下でタングステンボートを用いてSnを蒸発させ、シャッターを操作して15秒間の蒸着を行った。この結果、Snの付着量が0.14g/m、Tr2は11.6%のSn蒸着フィルムである積層材料を得た。
この場合、D/Pは、7.2となり、−80X+24は、12.8%となり、Tr2の11.6%よりも大きくなった。
5万倍のSEM写真により、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において97.0%であることが判った。
上記積層材料のSn金属薄膜層上にさらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のトルエン溶液を前記一色グラビヤコータを用いて塗布、乾燥し、厚さ2μmの接着樹脂層を得た。得られた金属薄膜転写材料の全光線透過率Tr1は、8.8%となった。念のため蛍光X線で再度Xを測定したところ、接着層の存在にも関わらず同じ0.14g/mであることを確認した。
−80X+21の値は、9.8%であり、接着層のある状態での全光線透過率Tr1の8.8%よりも大きくなった。
このフィルムの、静電破壊耐性を測定したところ、15kVの優れた静電破壊耐性を示した。外観も金属光沢ムラはなく極めて麗美であった。
(実施例2)
実施例1と同じ、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、離型層、保護樹脂層を設けたシートに、バッチ式蒸着機により真空度1.3×10−3Paの圧力下でタングステンボートを用いてSnを蒸発させ、シャッターを操作して8秒間の蒸着を行った。この結果、Snの付着量が0.122g/m、Tr2は、12.5%のSn蒸着フィルムである積層材料を得た。
この場合、D/Pは11.7となり、−80X+24は、14.2となり、Tr2の12.5%よりも大きくなった。
5万倍のSEM写真により、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において93.5%であることが判った。
上記積層材料のSn金属薄膜層上にさらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のトルエン溶液を前記一色グラビヤコータを用いて塗布、乾燥し、厚さ2μmの接着樹脂層を得た。得られた金属薄膜転写材料の全光線透過率Tr1は、9.8%となった。念のため蛍光X線で再度Xを測定したところ、接着層の存在にも関わらず0.122g/mの値を示し、接着層のない状態と差はなかった。
−80X+21の値は、11.2%であり、接着層のある状態での全光線透過率Tr1の9.8%よりも大きくなった。
このフィルムの、静電破壊耐性を測定したところ、15kV以上の優れた静電破壊耐性を示した。外観は若干の光沢ムラはあるものの実用上は問題のないレベルであった。
(実施例3)
実施例1と同じ方法で作成した厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、離型層、保護樹脂層を設けた連続シートを連続蒸着機によってSnを蒸着した。この結果、Snの付着量Xは0.155g/m、全光線透過率Tr2は、10.4%となった。
この際のフィルムの速度は0.5m/秒であり、フィルムの長手方向の開口部幅は0.5m、真空度は0.020Paとしたため、D/Pは7.8となった。
−80X+24は、11.6となり、全光線透過率Tr2の10.4%より大きくなった。また被覆率は98.5%であった。
接着剤塗布後の全光線透過率Tr1は、8.1%であり、−80X+21の値8.6%よりも小さかった。
この金属薄膜転写材の静電破壊耐性は15kVを有し十分なものであり、外観も金属光沢ムラはなく極めて麗美であった。
(実施例4)
実施例3と同様に連続蒸着機により蒸着時の真空度を0.013Paで蒸着を行った。他の条件は実施例3と同様であり、Xが0.15g/m、全光線透過率Tr2は11.8%となった。
この際のフィルムの速度は0.5m/秒であり、フィルムの長手方向の開口部幅は0.5m、真空度は0.013Paとしたため、D/Pは11.5となった。
−80X+24は12.0となり、全光線透過率Tr2の11.8%より大きくなった。また被覆率は98.5%であった。
接着剤塗布後の全光線透過率Tr1は、8.5%であり、−80X+21の値9.0%よりも小さかった。
この金属薄膜転写材料の静電破壊耐性は15kVを有し十分なものであったが、外観は若干の金属光沢ムラがあった。
(比較例1)
実施例1と同じ、厚さ25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、離型層、保護樹脂層を設けたシートに、バッチ式蒸着機により真空度1.3×10−3Paの圧力下でタングステンボートを用いてSnを蒸発させ、シャッターを操作して5秒間の蒸着を行った。この結果、Snの付着量が0.143g/m、Tr2は13.0%のSn蒸着フィルムである積層材料を得た。
この場合、D/Pは22.0となり、−80X+24は、12.6%となり、Tr2の13.0%よりも小さくなった。
5万倍のSEM写真により、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において92.1%であることが判った。
上記積層材料のSn金属薄膜層上にさらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のトルエン溶液を前記一色グラビヤコータを用いて塗布、乾燥し、厚さ2μmの接着樹脂層を得た。得られた金属薄膜転写材料の全光線透過率Tr1は、10.5%となった。
−80X+21の値は、9.6%であり、接着層のある状態での全光線透過率Tr1の10.5%よりも小さくなった。
このフィルムの、静電破壊耐性を測定したところ、15kVで放電が蒸着面に落ち、静電破壊特性が不十分となった。また外観も光沢ムラがあり、実用に耐えないものとなった。
(比較例2)
実施例3と同様に連続蒸着機により蒸着時の真空度を0.020Paで蒸着を行った。この際の条件は蒸着速度を1.5m/秒とした以外は実施例3と同様であり、Xが0.135g/m、全光線透過率Tr2は、14.5%となった。
この際のフィルムの速度は1.5m/秒であり、フィルムの長手方向の開口部幅は0.5m、真空度は0.020Paとしたため、D/Pは20.3となった。
−80X+24は、13.2となり、全光線透過率Tr2の14.5%を下回った。また被覆率は91.3%であった。
接着剤塗布後の全光線透過率Tr1は、11.6%であり、−80X+21の値10.2%よりも大きかった。
このフィルムの、静電破壊耐性を測定したところ、15kVで放電が蒸着面に落ち、静電破壊特性が不十分となった。また外観も光沢ムラがあり、実用に耐えないものとなった。
(比較例3)
実施例4と同様に連続蒸着機により蒸着時の真空度を0.013Paで蒸着を行った。この際、開口部長さを0.4とした以外の他の条件は実施例4と同様であり、Xが0.168g/m、全光線透過率Tr2は、11.2%となった。
この際のフィルムの速度は0.5m/秒であり、フィルムの長手方向の開口部幅は0.4m、真空度は0.013Paとしたため、D/Pは16.2となった。
−80X+24は10.6となり、全光線透過率Tr2の11.2%より小さくなった。また被覆率は92.5%であった。
接着剤塗布後の全光線透過率Tr1は、8.5%であり、−80X+21の値7.6%よりも大きかった。
このフィルムの、静電破壊耐性を測定したところ、15kVで放電が蒸着面に落ち、静電破壊特性が不十分となった。また外観も光沢ムラがあり、実用に耐えないものとなった。
Figure 0004876850

Claims (3)

  1. 透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層、接着層を順次形成してなる金属薄膜転写材料において、Snを主体とした金属薄膜層の、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において95%以上であって、全光線透過率Tr1(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(1)、(2)を満足する金属薄膜転写材料。
    Tr1<−80X+21 (1)
    4<Tr1<15 (2)
  2. 透明基材フィルムの片面に離型層を設け、その上に保護樹脂層、Snを主体とする金属薄膜層を順次形成してなる積層材料において、Snを主体とした金属薄膜層の、大きさが500オングストロームを越える島の金属薄膜面に占める被覆率が0.5μm×0.5μmの視野において95%以上であって、全光線透過率Tr2(%)とSnの単位面積当たりの付着量X(g/m)との関係が以下の数式(3)、(4)を満足する積層材料の該金属薄膜層上に接着層を積層してなる金属薄膜転写材料。
    Tr2<−80X+24 (3)
    6<Tr2<17 (4)
  3. 透明基材フィルムの片面に離型層と、その上に保護樹脂層を設け、該保護樹脂層上にSnを主体とする金属薄膜層を真空蒸着により形成し、さらに該金属層上に接着層を積層する金属薄膜転写材料の製造方法において、該金属薄膜を形成する際の単位面積当たり単位時間当たりのSnの付着量D(g/m・秒)とその時の真空度P(Pa)との関係が、以下の数式(5)を満足することを特徴とする金属薄膜転写材料の製造方法。
    D/P<12 (5)
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