液晶パネルなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)は、その品質を確保するために、表示面内にある微小な点欠陥、線欠陥、異物の混入による欠陥、シミあるいはムラなどによる欠陥に対する点灯検査がおこなわれている。
微小な点欠陥には、液晶パネルの表示素子を構成するTFT(Thin Film Transister)の異常により、表示信号を与えて駆動した際に所望の輝度レベルよりも輝度の高い点または輝度の低い点が表示されてしまう欠陥や、液晶層もしくは偏光板群とTFT基板との間に混入した微小異物、または、偏光板群とCF(Color Filter)基板との間に混入した微小異物により偏光状態が乱れて、所望の輝度レベルよりも輝度の高い点または輝度の低い点が表示されてしまう欠陥がある。
図8に、TFTの異常により所望の輝度レベルよりも輝度の高い点が表示されている例を示す。液晶パネル200の中に、微小な点欠陥201、202が含まれている。点欠陥201、202を含む微小な領域を拡大したものが液晶パネル203、204である。液晶パネル203では、輝度の低い点に混じって1つだけ輝度の高い点が表示されている。カラー液晶パネルの1つの絵素205は、液晶パネル203の図中白枠に示すように3つのドット210r、210g、210bから構成され、これらのドットは一般的に1つの絵素内に赤(R)ドット210r、緑(G)ドット210g、青(B)ドット210bの3色を持つ。たとえば、左から順にR、G、Bと並んでいるとすると、液晶パネル203では、赤(R)ドット210rに異常があり、赤色の輝度の高い点欠陥が発生していることとなる。一方、液晶パネル204では、赤(R)ドット220rに異常があり、赤色の輝度が他の色よりも低くなった点欠陥を示している。
線欠陥は、前記TFTを駆動するドライバーの異常や信号線の断線あるいはショートなどにより、所望の輝度レベルより輝度の高い線または輝度の低い線が表示されるものである。また、シミあるいはムラなどは、TFT基板やCF基板の製造工程での薄膜の膜厚異常や、TFT基板とCF基板との間にある液晶層のセルギャップの異常などにより発生する。
これらの欠陥を検出するためには、欠陥の種類ごとに液晶パネルの被検査画面パターンを変更して検査をおこなっている。
たとえば、液晶パネル203に示すような輝度の高い点欠陥を検出する場合には、被検査画面パターンを黒色にして検査をおこなう。被検査画面パターンを黒色にするには、液晶パネル203に示す赤ドット210r、緑ドット210g、青ドット210bのいずれにおいても、輝度が最も低い状態となるようにカラー液晶パネルの全絵素205を制御することによって実現する。
また、液晶パネル204に示す赤色の輝度の低い点欠陥を検出するには、被検査画面パターンを赤色にして検査をおこなう。被検査画面パターンを赤色にするには、液晶パネル204に示す赤ドット220rのみを輝度が最も高い状態とし、緑ドット220gおよび青ドット220bは輝度が最も低い状態となるようにカラー液晶パネルの全絵素205を制御することによって実現する。なお、同様に緑色の輝度の低い点欠陥を検出するには、被検査画面パターンを緑色にし、青色の輝度の低い点欠陥を検出するには被検査画面パターンを青色にして検査をおこなう。
このように検査したい色に応じて被検査画面パターンを変えて検査する理由は、被検査画面パターンを白色(赤ドット210r、緑ドット210g、青ドット210bのいずれにおいても輝度が最も高い状態となるようにカラー液晶パネルの全絵素205を制御する)にして、全色の輝度の低い点欠陥の検査を同時におこなうと、輝度の低い点欠陥があったとしても、輝度が最も高い状態に制御された周辺のドットからの光の回り込みにより、輝度の低い点欠陥の観察が困難になるためである。このように、点灯検査では複数の被検査画面パターンを用いて種々の検査をおこなっている。
従来、これらの検査は、ディスプレイを点灯状態にして目視によっておこなわれていたが、近年の、FPDの大型化に伴い、大画面の中に存在する微小な点欠陥や異物欠陥を目視によって検出することには、多くの時間を必要とし、加えて、目視検査員の疲労によって微小欠陥を見逃すなどの問題が発生していた。そこで、最近では、点灯させた被検査パネルの表示面をCCDカメラなどの撮像装置を用いて読み取って、画像処理技術により被検査パネルに生じた種々の欠陥を自動的に検出する方法が採用されている。
図9は、CCDカメラなどの検出センサを利用した一般的な点灯検査装置の構成を示す模式図である。
図9に示す点灯検査装置100は、検出センサ102と被検査パネル101との相対位置を変化させることが可能な走査ステージ103を備えており、検出センサ102によって被検査パネル101の全面が走査される。走査ステージ103は、検出センサ102もしくは被検査パネル101のいずれを移動させてもその機能に差異はないものである。走査ステージ103は、ステージ制御装置104によって制御される。信号発生器105は被検査パネル101に被検査画面パターンを表示させるための信号を送信する。画像処理装置106は、被検査パネル101を走査撮像する検出センサ102からの画像データを入力データとして、それを画像処理することによって欠陥部の検出をおこない、検査を実現する。
上述した種々の欠陥を検出する方法の具体的な例として、検出センサと被検査パネルの相対位置を変化させながら、被検査パネルの表示画面を検出する装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の点灯状態検査装置では、駆動信号を与えて点灯状態とした被検査パネルと、検出センサとの相対位置を連続的に変化させながら、検出センサが被検査パネルの表示画面を検出している。点灯状態検査装置は、検出画像を信号処理部において処理することにより、表示画素の欠陥を検査している。被検査パネルまたは検出センサの移動、表示画面の検出、画像処理といった各工程は自動化されており、それにより被検査パネルの迅速な検出を図っている。
また、撮影素子(CCD)を利用することによって、表示装置における動画表示特性の評価時間の短縮を図った装置が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載の評価装置では、動画像を時系列静止画として撮影し、複数の時系列静止画をずらしながら重ね合わせて合成することにより、動画表示特性を評価している。表示装置への動画像信号の供給方法としては、背景と異なる階調の矩形領域を縦方向に表示し、これを横方向にスクロールさせる方法である。
また、被検査パネルの表示画面を複数の領域に分割し、分割後の各領域に輝度測定装置を割り当てることにより、高速化を測っている方法が特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の検査装置では、画像表示装置の表示領域を、それぞれ複数の画素を含む複数のブロックに分割し、各ブロック上に一つの輝度測定装置を逐次移動することにより、表示画面全域にわたって計測を可能にしている。さらに、分割後の各ブロックにそれぞれ輝度測定装置を配置することにより、表示画面全域にわたる輝度の測定時間の短縮化を図っている。
特開2002−098651号公報(平成14年4月5日公開)
特開2001−204049号公報(平成13年7月27日公開)
特開2004−071557号公報(平成16年3月4日公開)
しかし、特許文献1から特許文献3に開示された技術では、大型のパネルを検査する場合あるいは検査画像のパターンが複数ある場合には、大幅な高速化は見込めないという課題がある。上記課題に関して、具体的に説明すれば以下の通りである。
たとえば特許文献1に記載の点灯状態検査装置では、検出センサを被検査パネルに対して相対移動させる方向に複数台並べることにより、往復の走査距離を短縮して高速化を実現することが可能である。しかし、相対移動を開始および終了する際の加減速時間を短縮することはできない。また検査画像のパターンが複数ある場合には、往復走査をパターンごとにおこなわなければならない。大型の液晶パネルを検査する場合は、被検査パネルおよび検出センサのいずれを移動させるにしても大きく、重くなるため加速時間および減速時間は無視できないものとなる。したがって、検査画像のパターンが複数ある場合には、その数に比例した加減速時間が必要となり、大幅な高速化は見込めない。
また特許文献2に記載の評価装置は、表示装置の動画表示特性を評価するための装置である。動画表示特性の評価は、表示装置の性能を評価するためのものであって、取得する画像は全表示領域に示された画像である必要はなく、表示領域の一部領域を検査対象とすればよいものである。したがって、全表示領域を検査する場合における高速化に関する知見、およびパネルが大型化した場合の高速化に関する知見は特許文献2に記載の装置からは得られない。
また特許文献3に記載の従来技術では、被検査パネルの表示画面を複数の領域に分割し、分割後の領域に各々輝度測定装置を割り当てることによって、表示画面全域にわたっての測定をおこなっており、測定時間の更なる短縮化を図っている。しかし、この場合でも、検査画像のパターンが複数あって、そのパターンごとに駆動測定素子をそれぞれ点灯させて測定をおこなう場合では、各素子の測定ごとに、輝度測定装置の移動のために加速および減速をおこなう必要があり、さらなる高速化は見込めない。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の検査画面パターンの点灯検査を、検出センサまたは被検査パネルを移動させる際の加速および減速にかかる時間を増加させること無く実現することができる点灯検査装置および点灯検査方法を提供することにある。
本発明に係る点灯検査装置は、上記の問題を解決するために、被検査パネルに信号を供給し、被検査パネルの表示画面に検査画像を表示させる信号発生器と、前記検査画像を前記表示画面に対向する位置から検出する複数のセンサが、直列に並んだ検出手段と、前記被検査パネルと前記検出手段とを、前記センサの配列方向に沿って相対移動させる移動手段とを備えた点灯検査装置であって、隣り合う前記センサ同士の検出位置の間隔は、1つの被検査パネルにおける前記配列方向の全長よりも短く、前記信号発生器は、或る前記センサによる検出対象位置と、該或るセンサとは異なる他の前記センサによる検出対象位置とに、互いに異なる画像を表示させるとともに、前記被検査パネルと前記検出手段とが前記相対移動している間、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させ、前記移動手段は、前記或るセンサと前記他のセンサとを、1つの被検査パネルにおける前記配列方向の一端から他端まで相対移動させることを特徴とする。なお、ここで検出対象位置とは、前記センサによって検出される被検査パネルにおける検査画面の部位のことである。
前記構成によれば、移動手段によって被検査パネルと検出手段との相対位置が変化し、かつ、センサは被検査パネルの一端から他端まで相対移動することができる。したがって、検出手段に配置されているセンサは、被検査パネルの表示画面を全面にわたって検査できる。その際に、信号発生器は、センサの検出対象位置が変化している間、センサごとに、センサの検出対象位置に同じ種類の検査画像を表示させる。したがって、任意のセンサによって、ある種類の検査画像について被検査パネルの表示画面全面を、検査することができる。
さらに前記構成によれば、隣り合うセンサ同士は、各々の検査対象位置の間隔が、同時に被検査パネルの表示画面を検査できる長さほどあけて配置されている。また、隣り合うそれぞれのセンサは、被検査パネル表示画面の異なる領域に表示された異なる種類の検査画像を検査することができる。すなわち、或るセンサが、ある種類の検査画像について表示画面の検査をおこなう間に、別のセンサが、別の種類の検査画像について、表示画面の別の領域において検査をおこなっている。そして、被検査パネルと検出手段との相対位置は一方向に変化するので、センサが表示画面上で往復して検査をおこなう必要がない。したがって、検査画像が複数であっても、被検査パネルまたは検出手段を移動させる際の加速および減速は、それぞれ一度しかおこなわれず、加速および減速にかかる時間を短縮することができる。また、往復走査をおこなわないため、装置の構成を簡略化することができ、それにより、コストを削減することができる。
なお、上記の相対移動とは、固定された被検査パネルに対して、検出手段(センサ)が移動する場合であってもよく、または、固定された検出手段(センサ)に対して、被検査パネルが移動する場合であってもよく、あるいは、被検査パネルおよび検出手段(センサ)の双方が移動する場合であってもよい。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記信号発生器は、前記表示画面を前記配列方向に沿って複数に分割した領域ごとに或る種類の前記検査画像を表示させ、前記センサは、前記配列方向に沿って所定の検出幅を有しており、前記領域の前記配列方向に沿った幅は、前記センサの前記所定の検出幅よりも広いことが好ましい。
前記構成によれば、検査画像の表示領域は、被検査パネルの表示画面において、移動方向に沿ったセンサの検出幅よりも広い幅を有しており、任意の領域内を検査している間は、その領域内には同じ検査画像が表示されている。したがって、センサの検出対象位置が変化している間に、検出対象位置と、検出すべき検査画像を表示している表示画面との間にずれが生じにくくなる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記信号発生器は、前記或るセンサの検出対象位置に対応した前記領域と、該或るセンサと隣り合うセンサの検出対象位置に対応した領域との間に、前記配列方向に沿って所定の幅を有するブランク画像を表示させることが好ましい。
前記構成によれば、被検査パネルとセンサとの相対位置が変化している間、ある領域において、任意のセンサによる第一の検査画像の検査が終了すると、該任意のセンサの検出対象位置を含まなくなり、いずれのセンサにも検出されない領域になり、ブランク画像が表示される。その後、該任意のセンサに隣り合うセンサの検出対象位置を含むようになり、第二の検査画像の検査が開始される。ブランク画像を検査画像に切り替えることにより、第二の検査画像の検査を開始するよりも前に、予め第二の検査画像の表示を完了させることができる。それにより、第二の検査画像の検査を開始する際に、残像などの、第一の検査画像の影響を受けにくくなる。また検出を開始した際に、検査画像が表示されていないということを防ぐことができる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記ブランク画像は、黒色画像であることが好ましい。
前記構成によれば、検査がおこなわれている領域と隣り合う領域は、表示画面に黒色が表示されている。検査画像が黒点灯などの暗い表示である場合には、周囲の光の影響を受けやすい。したがってこの場合に、隣り合う領域の表示画面を黒色表示にして暗くすることにより、黒点灯といった暗い表示の検査画像も良好に検査することができる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記信号発生器は、前記或るセンサの検出対象位置に対応した前記領域と、該或るセンサと隣り合うセンサの検出対象位置に対応した領域との間を、前記配列方向に沿った所定の幅において非点灯状態とすることが好ましい。
前記構成によれば、被検査パネルがノーマリブラックのパネルである場合には、検査がおこなわれている領域と隣り合う領域は、画像が表示されず表示画面は黒色の状態となっている。検査画像が黒点灯などの暗い表示である場合には、周囲の光の影響を受けやすい。したがってこの場合に、隣り合う領域の表示画面をいずれの画像も表示させない非点灯状態として黒色の状態にすることにより、黒点灯といった暗い表示の検査画像も良好に検査することができる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記センサの数は、前記領域の数によって決定されることが好ましい。なお、検出手段に配置するセンサの数は、前記領域の数によって決定される数でもよく、あるいは、予め複数のセンサを配置しておき、分割数に応じて、その中のいくつかのセンサを使用するものであってもよい。
前記構成によれば、領域の数によって決定される数のセンサを配置する場合には、検出に使用されないセンサは存在せず、使用するセンサを選択するプロセスを必要としないので、装置のコストダウンを図ることができる。また、予め複数のセンサを配置しておき、分割数に応じて、使用する台数を調整する場合には、往路走査時と復路走査時の被検査画面のパターン数を等しくして、画像処理に対する負荷を均等化することができる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記信号発生器は、前記センサと前記被検査パネルとの相対位置に基づいて、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させることが好ましい。
前記構成によれば、信号発生器は、センサの検出対象位置に応じた検査画像を、表示画面に表示させる。つまり、センサが撮像すべき検査画像は、センサの検出対象位置に必ず表示されている。したがって、任意のセンサは、ある検査画像について表示画面の全面にわたって確実に検査できる。
さらに本発明の点灯検査装置において、前記信号発生器は、予め定められた時間に基づいて、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させることが好ましい。
前記構成によれば、検査が開始されると、検査画像は一定の時間で自動に順次切り替わる。したがって、被検査パネルとセンサとの相対位置を認識する機構を必要とせず、装置の構成を簡略化できる。
さらに本発明の点灯検査装置は、前記センサの数をm、前記移動手段の加速にかかる時間をa、前記移動手段の減速にかかる時間をd、前記移動手段が、前記或るセンサを前記被検査パネルにおける前記配列方向の一端から他端まで相対移動させるのにかかる時間をtとすると、隣り合う前記センサ同士の検出対象位置の間隔は、前記被検査パネルにおける前記配列方向の一端から他端までの幅をwとし、pを正の整数とすると、w/pmであり、前記信号発生器は、前記検査画像の前記配列方向に沿った幅がw/2pmとなるように、前記検査画像を表示させ、w/pmは、前記センサの、前記配列方向に沿って有する所定の検出幅の値よりも大きく、(a+d)>(t/pm)を満たすことが好ましい。なお、移動手段の加速にかかる時間とは、被検査パネルを等速で検査するために、その速度までに達する時間であり、移動手段の減速にかかる時間とは、等速での検査が終了し、移動手段を停止するまでにかかる時間である。また、前記検査画像の前記配列方向に沿った幅とは、任意の検査画像が表示画面に表示されているときの、その検査画像を表示している表示画面の配列方向に沿った幅のことである。
前記構成によれば、例えば検査画像の種類がm種類である場合には、すべての検査画像の検査に要する時間は、[a+(1+(m−1)/pm)t+d]である。そして、信号発生器が、検査画像1種類のみを表示画面全面に表示し、1つの検査画像の検査が終了するたびに移動手段の加速および減速をおこない、次の検査画像の検査をおこなう従来技術においては、全検査画像の検査に要する時間は、[(a+(t/m)+d)m]である。(a+d)>(t/pm)の関係を満たす前記構成によれば、[(a+(t/m)+d)m]>[a+(1+(m−1)/pm)t+d]の関係を常に満たす。すなわち、全検査画像の検査に要する時間が、従来技術よりも本発明に係る点灯検査装置のほうが、常に短くなっている。したがって、被検査パネルが大型化して、検査区間が長くなっても、常に従来技術よりも検査の高速化を達成できる。
さらに、pの値が大きくなると、[a+(1+(m−1)/pm)t+d]の値が小さくなり、全検査画像の検査に要する時間が短くなる。すなわち、隣り合うセンサ同士の検出対象位置の間隔を小さくし、かつ、検査画像の配列方向に沿った幅も狭くした場合には、全検査画像の検査に要する時間を短くすることができる。
本発明に係る点灯検査方法は、直列に配列した複数のセンサによって、被検査パネルの表示画面に表示された検査画像を走査して、該表示画面の点灯検査を行う点灯検査方法であって、或る前記センサによる検出対象位置と、該或るセンサとは異なる他の前記センサによる検出対象位置とに、互いに異なる画像を表示させ、且つ、前記或るセンサと前記他のセンサとを1つの被検査パネルにおける前記センサの配列方向の一端から他端まで相対移動させる間、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させることを特徴とする。
前記構成によれば、センサは、被検査パネルの表示画面全面を検査することができる。また、センサの検出対象位置が変化している間、センサごとに、センサの検出対象位置に同じ種類の検査画像が表示される。したがって、任意のセンサによって、ある検査画像について被検査パネルの表示画面全面を、検査することができる。
さらに前記構成によれば、隣り合うセンサは、同時に被検査パネルの表示画面を検査できる間隔で配置されている。したがって、被検査パネル表示画面の異なる領域に表示された複数の検査画像について、複数のセンサによって同時に検査することができる。すなわち、あるセンサが、ある検査画像について表示画面の検査をおこなっている間に、別のセンサが、別の検査画像について、表示画面の別の領域において検査をおこなっており、各検査画像について検査する方向は常に同じである。つまり、複数の検査画像について検査をおこなうときに、被検査パネルとセンサとの相対位置の変化は常に一方向であり、センサは表示画面を往復検査する必要がない。したがって、検査画像が複数であっても、被検査パネルまたはセンサを移動させる際の加速および減速は、それぞれ一度しかおこなわれず、加速および減速にかかる時間を短縮することができる。
以上のように、本発明にかかる点灯検査装置は、或る前記センサによる検出対象位置と、該或るセンサとは異なる他の前記センサによる検出対象位置とに、互いに異なる画像を表示させるとともに、前記被検査パネルと前記検出手段とが前記相対移動している間、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させる信号発生器を備えているので、本発明にかかる点灯検査装置を用いることにより、複数の検査画像を検査する場合においても、1つの検査画像の検査が終了するよりも前に、別の検査画像に対する検査が開始することができる。よって、移動手段の加速および減速の回数を削減することができ、加速および減速にかかる時間を短縮することができる。また、装置のフットプリントの拡大を抑えることができる。
また、本発明に係る点灯検査方法は、或る前記センサによる検出対象位置と、該或るセンサとは異なる他の前記センサによる検出対象位置とに、互いに異なる画像を表示させ、且つ、前記或るセンサと前記他のセンサとを1つの被検査パネルにおける前記配列方向の一端から他端まで相対移動させる間、前記センサごとに、前記検出対象位置に同じ前記検査画像を表示させるので、複数の検査画像を検査する場合においても、1つの検査画像の検査が終了するよりも前に、別の検査画像に対する検査が開始することができる。よって、移動手段の加速および減速の回数を削減することができ、加速および減速にかかる時間を短縮することができる。
〔実施の形態1〕
本発明に係る点灯検査装置、およびそれを用いた点灯検査方法の一実施形態について、図1〜図7に基づいて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の実施形態では、被検査対象として、液晶分子の配向変化を用いて画像表示させる表示画面を有する液晶パネルを用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は種々の表示機器に対して適用可能であり、たとえば、プラズマディスプレイ、SEDディスプレイ、およびELディスプレイなどのFPD(フラットパネルディプレイ)を被検査対象とすることも可能である。
(点灯検査装置)
まず、本実施形態における点灯検査装置の構成について、図1および図2を参照して説明する。なお、以下の説明では、4つのセンサを用いて、4つの異なる被検査画面パターン(検査画像)の検査をおこなう場合を例に説明するが、センサの数、および被検査画面パターンの数(種類)は、必ずしもこれに限定されるものではない。
図1は、点灯検査装置1の構成を示す図である。図1に示すように、点灯検査装置1は、4つの走査型センサ(センサ)2A〜2Dを有する検出手段3と、液晶パネル8に信号を供給する信号発生器6と、液晶パネル8を移動方向11へ移動させる移動手段7と、画像処理装置10とを備えている。
[検出手段]
走査型センサ2A〜2Dは、移動方向11と直交する方向に検出画素が配列されてなるラインセンサである。走査型センサ2A〜2Dは、公知のセンサを用いればよく、本実施形態では、被写体が移動している場合に好適に用いることができる96段のTDIセンサを用いている。走査型センサ2A〜2Dの検出幅とは、各センサが一度に検出(撮像)することのできる、液晶パネルの移動方向11に沿った長さである。
検出手段3は、走査型センサ2A〜2Dを有しており、走査型センサ2A〜2Dは、直列で一列に並んで配置されている。走査型センサ2A〜2Dの並んでいる方向(配列方向)は、移動方向11と平行な方向である。隣り合う走査型センサ同士の検出対象位置の間隔は、液晶パネル8における移動方向11に沿った長さ(幅)18よりも短くなるように配置され、好ましくは、一列に並んだ走査型センサのうちの一方の端に位置する走査型センサ(走査型センサ2A)の検出対象位置と、他方の端に位置する走査型センサ(走査型センサ2D)の検出対象位置との距離が、長さ18よりも短くなるように配置される。このように走査型センサ2Aと走査型センサ2Dとの検出対象位置の距離が長さ18よりも短くなるように構成することによって、検出手段3と液晶パネル8との相対移動距離を短くすることができる。本実施形態では、検出対象位置9Aと9Bとの間隔17a、検出対象位置9Bと9Cとの間隔17b、および検出対象位置9Cと9Dとの間隔17cが、いずれも、液晶パネル8における移動方向11に沿った長さ18の1/4の長さとなるように、走査型センサ2A〜2Dは配置されている。
[移動手段]
移動手段7は、全ての走査型センサが液晶パネル8の一端から他端までを検出できるように、液晶パネル8を移動方向11へ移動させる。これにより、走査型センサ2A〜2Dのいずれもが、液晶パネル8の表示画面全面を検出することが可能となる。移動手段としては、例えば1軸ステージおよびコンベアなどが挙げられる。
なお、本実施形態においては、移動手段7は、液晶パネル8を移動させる構成となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、検出手段3を移動させるようにしてもよい。すなわち、液晶パネル8を移動方向11へ移動させる場合には、液晶パネル8の紙面右側端部13から、走査型センサ2Aによる検出が開始する。逆に、検出手段3を移動方向11へ移動させる場合には、液晶パネル8の紙面左側端部14から、走査型センサ2Dによる検出が開始する。
走査型センサ2A〜2Dによる検出は、液晶パネルが移動手段7によって等速移動している状態でおこなう。そのため、センサによる検出が開始する前に、液晶パネル8を、移動手段7によって所望の速度まで加速しておく必要がある。また、全てのセンサの検出が終了した後には、液晶パネル8の移動を停止させるために、移動手段7によって減速させる必要がある。
[信号発生器]
信号発生器6は、点灯検査用の被検査画面パターン4A〜4Dを液晶パネル8の表示画面に表示させるための信号を、液晶パネル8に供給するためのものである。
本実施形態の被検査対象である液晶パネルは、各絵素が、赤(R)ドット、緑(G)ドット、青(B)ドットの3つのドットから構成されている。また、本実施形態において説明している被検査画面パターン4A〜4Dとは、上述したように欠陥種類に応じて設定される。すなわち、各被検査画面パターンでは、図8において説明した構成と同じく、絵素を、赤(R)、緑(G)、青(B)、黒(BL)のいずれかの色にする。これらの色の表示方法は、従来公知の手法を用いておこなうことができる。そして、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色について検査する場合には、検査する色のドットの輝度を最も高くするとともに、他の色のドットの輝度を低くする。一方、黒(BL)について検査する場合には、絵素内の全色のドットの輝度を最も低くする。具体的には、図8を用いて説明した通りである。
信号発生器6は、上述したように異なる被検査画面パターンを液晶パネル8の表示画面に表示させるが、このとき、被検査画面パターンにかかる信号を、液晶パネル8の移動方向11に沿った所定の長さを有する領域ごとに供給する。本実施形態では、移動方向11に沿って液晶パネル8の表示画面の1/8の長さずつに区画して、それを1領域(以下、分割領域15と記載する)として、これらの領域ごとに或る被検査画面パターンを表示させたり、後述するように、ブランク画像を表示させたりする。
また、信号発生器6は、各々の分割領域の移動方向に沿った長さ(表示幅)16が、上述した走査型センサ2A〜2Dの検出幅よりも広くなるように信号を供給する。表示幅16をこのように設定しておくことによって、センサの検出対象位置が変化している間に、検出対象位置と、検出すべき被検査画面パターンを表示している表示画面との間にずれが生じにくくなる。
このように、液晶パネル8の表示画面を領域に区画する手法としては、後述するように、被検査画面パターンを表示するための信号を与える液晶パネル8の配線をブロックごとにまとめておくことにより、液晶パネル8の表示領域を複数に区画する手法が挙げられる。
また本発明の特徴的構成として、信号発生器6は、移動手段7によって走査型センサと液晶パネル8との相対位置が変化している間、任意の走査型センサと対向している分割領域15には、常に同じ(種類の)被検査画面パターンが表示されるように信号を供給する。具体的には、移動手段7によって上述したように液晶パネル8と検出手段3との相対位置が変化して、まず走査型センサ2Aが液晶パネル8の紙面右側端部13から検出を開始し、続いて走査型センサ2B、2C、2Dがこの順で液晶パネル8の表示画面と対向する。走査型センサ2Aの検出対象位置が変化しても、走査型センサ2Aの検出対象位置には、常に、赤なら赤というように同じ被検査画面パターン4Aが表示されるように、信号発生器6は、信号を供給する。同じように、走査型センサ2Bが液晶パネル8の紙面右側端部13から検出を開始し、走査型センサ2Bの検出対象位置が変化しても、走査型センサ2Bの検出対象位置には、同じ被検査画面パターン4Bが表示されるように、信号発生器6は、信号を供給する。同じように、走査型センサ2Cが液晶パネル8の紙面右側端部13から検出を開始し、走査型センサ2Cの検出対象位置が変化しても、走査型センサ2Cの検出対象位置には、同じ被検査画面パターン4Cが表示されるように、信号発生器6は、信号を供給する。同じように、走査型センサ2Dが液晶パネル8の紙面右側端部13から検出を開始し、走査型センサ2Dの検出対象位置が変化しても、走査型センサ2Dの検出対象位置には、同じ被検査画面パターン4Dが表示されるように、信号発生器6は、信号を供給する。上記のように信号発生器6は、走査型センサの検出対象位置の変化に応じて、被検査画面パターンの表示領域を変化させる。詳細は、図2を用いて後述する。
信号発生器6が、上述したように走査型センサ2A〜2Dの検出対象位置の変化に応じて被検査画面パターン4A〜4Dを表示する分割領域15の位置を変化させる手法としては、下記の2つの手法が考えられる。
1つ目は、液晶パネル8と検出手段3との相対位置に基づいて、被検査画面パターンの種類を切り替える手法である。この場合には、信号発生器6は、センサの検出対象位置に応じた被検査画面パターンを、表示画面に表示させる。なお、この場合には、信号発生器6は、移動手段7と通信することにより、検出対象位置と表示画面の切り替えとを同期させることができる。
また、2つ目の手法として、信号発生器6は、撮像開始トリガを受けた後、すなわち撮像開始時に最初の被検査画面パターンを表示させた後は、予め定められた時間で被検査画面パターンの種類を切り替える手法である。この場合には、検査が開始されると、被検査画面パターンは一定のシーケンス(時間)で自動に順次切り替わる。また、信号発生器6は、図1に示すように、或る被検査画面パターンが表示されている領域と、該或る被検査画面パターンと隣り合う被検査画面パターンとが表示されている領域との間に、ブランク領域を形成するように構成されている。図1を用いて説明すると、隣り合う2つの被検査画面パターンの間に、ブランク画像5A〜5Dが表示されている領域がある。ブランク画像5A〜5Dを表示している領域は、走査型センサ2A〜2Dの検出対象位置9A〜9Dに対応しない領域である。ブランク画像は、つぎに検査すべき被検査画面パターンであることが好ましい。検査すべき被検査画面パターンを予め表示させておくことにより、検出対象位置と被検査画面パターンを表示している領域とのずれを防ぐとともに、前に表示されていた被検査画面パターンによる残像の影響を受けることを防ぐことができる。
図4は、点灯検査中の液晶パネル8の表示画面を表した図である。図4に示すように、表示画面に被検査画面パターン4A〜4Dを表示している領域に隣接する領域に表示されているブランク画像5A〜5Dは、黒色であってもよい。被検査画面パターン4A〜4Dが黒点灯などの暗い表示である場合には、周囲の光の影響を受けやすい。したがってこの場合には、隣接して表示されるブランク画像を黒色にして表示画面を暗くすることにより、黒点灯といった暗い表示の被検査画面パターンも良好に検査することができる。
また、被検査画面パターン4A〜4Dを表示している領域に隣接する領域は、いずれの画像も表示していない非点灯状態であってもよい。被検査パネルがノーマリブラックのパネルである場合には、非点灯状態において表示画面が黒色となる。したがって、黒色のブランク画像を表示させなくても、被検査画面パターンが黒点灯といった暗い表示の場合でも良好に検査することができる。
[画像処理装置]
走査型センサ2A〜2Dは、検出した画像を信号として画像処理装置10に出力する。画像処理装置10は、走査型センサ2A〜2Dからの画像信号を入力データとして、それを処理することによって欠陥部の検出をおこない、検査を実現する。画像処理装置10では、周囲のドットと比較をして差が大きいドットを欠陥部として検出する。なお、欠陥部の検出手法としては、このほかにも2値化処理やフィルタ処理などによる手法が挙げられる。また、検査結果データをモニターに表示したり、ネットワークを通じて上位ホストに送信したりすることもできる。なお、画像処理による欠陥部の検出は、逐次画像データが撮像されるごとに実施する。
(点灯検査方法)
次に、上述した構成を備えた点灯検査装置1を用いておこなう、液晶パネル8の点灯検査方法について説明する。本実施形態の点灯検査方法では、上述したように、赤(R)、緑(G)、青(B)、黒(BL)の4種類の被検査画面パターン4A〜4Dについて液晶パネル8の表示画面を検査する。
図2(a)は、図1に示した点灯検査装置1を用いて、被検査画面パターン4A〜4Dについて検査をおこなった場合の、液晶パネル8に表示される被検査画面パターン4A〜4D、および走査型センサ2A〜2Dの検出対象位置の変遷を表した図である。なお、説明の便宜上、液晶パネル8のサイズは縦方向(液晶パネル8の移動方向と直交する方向)を短縮して示している。また、図2(a)は図1に示す点灯検査装置1のうち、説明のために液晶パネル8と走査型センサ2A〜2Dのみを抜粋したものである。
図2(a)は、液晶パネル8が紙面左から右に等速移動している状態における、走査型センサ2A〜2Dに対する液晶パネル8の移動方向に関する相対的な位置を表したものであり、液晶パネル8aから液晶パネル8qまでのそれぞれの間隔は一定である。
液晶パネル8は、図2(a)に示す液晶パネル8aより前の状態(不図示)で、加速を完了しており、液晶パネル8aの状態では、液晶パネル8は等速移動している。
液晶パネル8bの状態では、信号発生器6(図1)が、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域に被検査画面パターン4Aを表示させる信号を供給している。
液晶パネル8bの状態よりも検査が進んだ状態である液晶パネル8cの状態では、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aは液晶パネル8bの状態よりもさらにパネル上紙面左方向へ移動しており、検出センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域には、被検査画面パターン4Aが表示されている。
さらに検査状態が進んだ液晶パネル8dの状態では、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aは液晶パネル8cの状態よりもさらにパネル上紙面左方向へ移動しており、検出センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域には、被検査画面パターン4Aが表示されている。また、走査型センサ2Bによる検査も開始しており、走査型センサ2Bの検出対象位置9Bに対応する領域には、被検査画面パターン4Bが表示されている。
なお、上述したように、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域と、走査型センサ2Aと隣り合う走査型センサ2Bの検出対象位置9Bに対応する領域との間には、ブランク画像を表示する領域がある。ブランク画像は、上述したように、次に検査されるべき被検査画面パターンであってもよく、また、黒色であってもよい。ブランク画像を表示している領域については、走査型センサによる検出はおこなわれない。
さらに検査状態が進んだ液晶パネル8eの状態では、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aは液晶パネル8dの状態よりもさらにパネル上紙面左方向へ移動しており、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域には、被検査画面パターン4Aが表示されている。また、走査型センサ2Bの検出対象位置9Bも液晶パネル8dの状態よりもパネル上紙面左方向へ移動しており、走査型センサ2Bの検出対象位置9Bに対応する領域には、被検査画面パターン4Bが表示されている。走査型センサ2Aの検出対象位置9Aに対応する領域と、走査型センサ2Bの検出対象位置9Bに対応する領域との間には、ブランク画像を表示している領域が設けられている。
このように、本実施形態における点灯検査装置1を用いておこなう点灯検査方法は、各走査型センサ2A〜2Dの検出対象位置9A〜9Dの変化に応じて、検査パネル8の被検査画面パターンを順次切り替えて表示する。そして、図2(a)に示す液晶パネル8iの状態では、図2(b)に示すような画面状態となっている。すなわち、走査型センサ2A〜2Dの検出対象位置9A〜9Dに対応するそれぞれの領域には、被検査画面パターン4A〜4Dがそれぞれ表示されている。また、各被検査画面パターンを表示している領域の間には、ブランク画像5A〜5Dを表示する領域がある。
液晶パネル8aから液晶パネル8jに移動するまでに、走査型センサ2Aは液晶パネル8の紙面右端部から紙面左端部までを検出し、その間、走査型センサ2Aの検出対象位置9Aには、常に被検査画面パターン4Aが表示されている。すなわち、被検査画面パターン4Aについて、液晶パネル8の表示画面全面にわたる検査がおこなわれる。
同様に、液晶パネル8cから液晶パネル8lに移動するまでに、走査型センサ2Bは液晶パネル8の紙面右端部から紙面左端部までを検出し、その間、走査型センサ2Bの検出対象位置9Bには、常に被検査画面パターン4Bが表示されている。すなわち、被検査画面パターン4Bについて、液晶パネル8の表示画面全面にわたる検査がおこなわれる。
同様に、液晶パネル8eから液晶パネル8nに移動するまでに、走査型センサ2Cは液晶パネル8の紙面右端部から紙面左端部までを検出し、その間、走査型センサ2Cの検出対象位置9Cには、常に被検査画面パターン4Cが表示されている。すなわち、被検査画面パターン4Cについて、液晶パネル8の表示画面全面にわたる検査がおこなわれる。
同様に、液晶パネル8gから液晶パネル8pに移動するまでに、走査型センサ2Dは液晶パネル8の紙面右端部から紙面左端部までを検出し、その間、走査型センサ2Dの検出対象位置9Dには、常に被検査画面パターン4Dが表示されている。すなわち、被検査画面パターン4Dについて、液晶パネル8の表示画面全面にわたる検査がおこなわれる。
上記のように、液晶パネル8aから液晶パネル8pに移動するまでに、全ての被検査画面パターン4A〜4Dについて、液晶パネル8の表示画面全面にわたる検査を完了することができる。そして、この間、移動手段7は、加速および減速をそれぞれ一度しかおこなわなくてよい。
(点灯検査時間)
次に点灯検査装置1を用いて、4種類の被検査画面パターン4A〜4Dについて液晶パネル8の表示画面を検査するときに要する時間について説明する。
移動手段7を用いて液晶パネルを所定の速度まで加速させるのにかかる時間をa、それぞれの走査型センサ2A〜2Dが液晶パネル8の端部から反対の端部までを所定の速度で移動し、表示画面全体を検出するのに要する時間をt、液晶パネルが所定の速度から停止するまでにかかる減速時間をdとする。
加速時間aが経過した後、走査型センサ2Aによる検出が開始する。等速移動が進み、走査型センサ2B〜2Dの検出対象位置が液晶パネル8に含まれる位置に到達すると、各センサによる検出が開始する。検出を開始してから時間tが経過した時点では、走査型センサ2Aによる検出が終了し、すでに走査型センサ2B、2Cおよび2Dによる検出が開始しており、走査型センサ4Dは、4番目の被検査画面パターン4Dについて、液晶パネル8の1/4の検出が終了している。したがって、残りの画面を検出するのに要する時間は3t/4である。すなわち、検出を開始してから7t/4が経過すると、すべての被検査画面パターンの検査が終了し、減速時間dが経過すると移動手段を停止し検出が完了する。したがって、図2(c)に示すように、点灯検査装置1を用いて検査をおこなった場合に要する時間は、[a+(7/4)t+d]となる。
(比較構成(1)による点灯検査に要する時間)
一方、上述した従来構成のものと同様の点灯検査装置(以下、比較構成(1)の点灯検査装置と記載する)を用いて、4種類の被検査画面パターンによる検査および検査時間について図9および図10(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図10(a)は図9に示す比較構成(1)の点灯検査装置100のうち、説明のために被検査パネル101と走査型センサ102のみを抜粋したものである。
比較構成(1)の点灯検査装置100は、被検査画面パターンを被検査パネル101の全面に表示させ、走査型センサ102が被検査パネル101全面を検出することにより被検査パネル101全面の画像データを撮像することにより、検査を実行する。その際に要する時間を図10(b)に示す。図10(b)は横軸に時間、縦軸に速度を示すグラフである。この場合には、被検査パネル101全面を1回走査するために、[a+t+d]の時間を要する。
4種類の被検査画面パターン4A〜4Dを検査する場合には、まず1番目の被検査画面パターン4Aを被検査パネル101に表示させた後、走査型センサ102が被検査パネル101全面を検出することにより被検査パネル101全面の画像データを得る。次に、被検査画面パターン4Aとは異なる2番目の被検査画面パターン4Bを被検査パネル101に表示させた後、走査型センサ102が被検査パネル101全面を先ほどと反対の方向へ移動しながら検出することにより被検査パネル101全面の画像データを得る。なお、2番目の被検査画面パターンの表示処理は、1番目の被検査画面パターンを走査する際の減速時間と、2番目の被検査画面パターンを走査する際の加速時間内におこなわれる。これを繰り返して、2往復の走査をおこなうことにより4種類の被検査画面パターン4A〜4Dの検査が可能となる。このときの検査時間は、図10(c)に示すように、[4a+4t+4d]となる。
図11は、上記の処理を高速化するために、複数の走査型センサを配置して検査をおこなう従来と同様の手法である。図11(a)に示す点灯検査装置110は、走査型センサ102を走査する方向に4台並べ、被検査パネル101の検査対象画面を4つの区画に分割して、1つの走査型センサあたりの走査距離を4分の1にすることによって検査時間の短縮を図っている。各走査型センサ102は、隣り合う検出センサの撮像部位の間隔が走査方向に沿ったパネルの長さの1/4となるように配置されている。
図11(b)は、点灯検査装置110を用いて、1つの被検査画面パターンの検査に要する時間を示したものである。被検査パネル101全面を1回検査するために[a+(1/4)t+d]の時間を要している。図10(a)に示す点灯検査装置100の場合と比較して1回の走査あたり、(3/4)tの時間が削減されている。
図11(c)は、点灯検査装置110を用いて、4種類の被検査画面パターン4A〜4Dを検査する場合に要する時間を示している。図11(c)に示すように、4種類の被検査画面パターン4A〜4Dを検査する場合に要する時間は[4a+t+4d]となる。この方式は、カメラ数の増加に反比例して等速区間が短縮される。
(点灯検査時間の比較)
図1に示した本実施形態の点灯検査装置1を用いたときに要する検査時間と、図11(a)に示す点灯検査装置110を用いたときに要する検査時間とを比べると、(a+d)>(t/4)である場合には、常に[4a+t+4d]>[a+(7/4)t+d]を満たしている。すなわち、この場合には、点灯検査装置110と比して、点灯検査装置1による点灯検査にかかる時間の高速化が達成されている。
ここで、例えば加速時間aを1秒、等速区間における時間tを2秒、減速時間dを1秒とした場合には、点灯検査装置110では検査時間は10秒であり、点灯検査装置1では5.5秒となり、本発明の構成のほうが高速化を実現できていることがわかる。
ここでは、4種類の被検査画面パターン4A〜4Dを用いて、4台の走査型センサを配置した構成での比較をおこなったが、被検査画面パターンの数および走査型センサの数はこれに限定されるものではない。たとえば、8種類の被検査画面パターンを用いて、8台の走査型センサを配置した構成で比較すると、従来の構成では[8a+t+8d]で18秒である。一方、本発明の点灯検査装置では[a+(15/8)t+d]であり、およそ5.8秒である。すなわち本発明の構成のほうが高速化を実現している。
一般に、m種類の被検査画面パターンについて、m台の走査型センサを用いて、走査型センサの配列方向に沿った被検査パネルの幅をwとし、走査型センサ同士の検出対象位置の間隔をw/mとし、走査型センサの配列方向に沿った検査画像の幅がw/2mとなるようにして検査をおこなう場合には、本発明の点灯検査装置においては、すべての検査画像の検査に要する時間は、[a+(2−(1/m))t+d]である。そして、信号発生器が、検査画像1種類のみを表示画面全面に表示し、1つの検査画像の検査が終了するたびに移動手段の加速および減速をおこない、次の検査画像の検査をおこなう比較構成(1)においては、全検査画像の検査に要する時間は、[(a+(t/m)+d)m]である。よって、(a+d)>(t/m)を満たしていれば、[(a+(t/m)+d)m]>[a+(2−(1/m))t+d]の関係を常に満たすことになる。すなわち、本発明の点灯検査装置は、比較構成(1)よりも常に検査時間が短くなる。したがって、被検査パネルが大型化して、検査区間が長くなっても、常に従来技術よりも検査の高速化を達成できる。ただし隣り合う走査型センサ同士の検出対象位置の間隔は、w/mであり、信号発生器は、被検査画面パターンの検査方向に沿った幅がw/2mとなるように、被検査画面パターンを表示させるものとする。
(比較構成(2)との点灯検査時間の比較)
図5(a)は、走査型センサ32A〜32Dが、液晶パネル8の検査方向の幅よりも広い間隔で配置されている従来と同様の点灯検査装置(以下、比較構成(2)の点灯検査装置と記載する)である。この比較構成(2)の点灯検査装置は、液晶パネル8を一方向に搬送しながら、被検査画面パターンごとに検査をおこなっている。図5(b)は本実施形態である。図5(a)および図5(b)に示す構成はともに、複数の被検査画面パターンを検査する際に、往復走査を必要としない。ここで、図5(a)の構成と図5(b)の構成とを比較した場合には、被検査画面パターン1種類あたりに要する検査時間(スループット)はどちらも同じである。しかし、図5(b)に示す本発明の実施形態では、被検査画面パターンのすべての種類を検査するのに要する時間(リードタイム)および装置のフットプリントを、図5(a)に示す従来の点灯検査装置と比較してそれぞれ1/4に削減できている。
近年は、液晶パネルの大型化に伴い、走査型センサを構成する光学系および液晶パネル8自体の重量増加が顕著である。よって、これらを移動させるための走査ステージは大型化の一途をたどり、加速および減速に要する時間が増大し、検査のためのエネルギーコストの増大につながっている。そのため、図5(b)に示す本発明の実施形態は、加速および減速に要する時間が減少しているとともに、装置の構成を簡略化し、エネルギーコストの抑制を実現している。すなわち、図5(b)に示す本発明の実施形態は、大型化する液晶パネルに適した形態である。
(走査型センサの配置パターン)
なお、別の実施形態においては、走査型センサの配置間隔を以下のようにすることも可能である。
図6(a)〜(c)は、別の実施形態における走査型センサ19の配置位置を模式的に表した図である。図6(a)は、2台の走査型センサ19が配置しており、それぞれの検出対象位置の間隔20が、液晶パネル8の移動方向に沿った長さ18の2/3となるように配置している。この場合、信号発生器6は、表示画面を3分割して被検査パターンを表示することが好ましい。図6(b)は、3台の走査型センサ19が配置しており、隣り合うセンサの検出対象位置の間隔20が、液晶パネル8の移動方向に沿った長さ18の2/5となるように配置している。この場合、信号発生器6は、表示画面を5分割して被検査パターンを表示することが好ましい。図6(c)は、4台の走査型センサ19が配置しており、隣り合うセンサの検出対象位置の間隔20が、液晶パネル8の移動方向に沿った長さ18の2/7となるように配置している。この場合、信号発生器6は、表示画面を7分割して被検査パターンを表示することが好ましい。
本発明の点灯検査装置を使用して、表示画面をn分割して検査をおこなう場合には、(n+1)/2以下の走査型センサを配置することが好ましい。
また、予め複数の走査型センサを配置しておき、表示画面の分割数を検査情報データより入手し、分割数に応じて検査時に用いる走査型センサの台数を調整することも可能である。
(液晶パネル)
図7は、配線をブロックごとにまとめている液晶パネルの模式図である。液晶パネルの製造工程における初期の段階では、被検査画面パターンを表示するための信号を与える配線21をブロックごとにまとめており、図7(a)に示すように液晶パネル8の左右2画面でしか被検査画面パターンを変更できないものもある。本発明の検査方法を適用するためには、被検査画面パターン数に応じて表示ブロックを増やすように、パネルを設計することが好ましい。
〔実施の形態2〕
本発明に係る他の実施形態について、図3に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、本実施形態では、上記実施の形態1との相違点について説明するため、説明の便宜上、実施の形態1で説明した部材と同一の機能を有する部材には同一の部材番号を付し、その説明を省略する。
本実施形態における点灯検査装置は、上記した実施の形態1の点灯検査装置よりもさらに高速化を実現することができる。
上記した実施の形態1では、隣り合う走査型センサの検出対象位置の間隔が、液晶パネル8の移動方向に沿った長さの1/4の長さとなるように、走査型センサ2A〜2Dを配置している構成であった。これに対して、本実施形態の点灯検査装置12は、図3(a)に示すように走査型センサ2A〜2Dを移動方向に4台並べているが、各センサ間の距離が短くなるように設置されており、図1示す点灯検査装置1と比較すると走査型センサ2Aと2Dとの距離が半分となっている。すなわち、本実施形態の点灯検査装置12は、隣り合う走査型センサの検出対象位置の間隔が、液晶パネル8の移動方向に沿った長さの1/8の長さとなるように、走査型センサ2A〜2Dを配置している。
この場合には、図1に示した点灯検査装置1と比べて、加速および減速に要する時間に変化はない。しかし、走査型センサ2Aが1番目の被検査画面パターン4Aの検出を完了した時点、すなわち検査を開始してから時間(a+t)経過後では、走査型センサ2Dは、4番目の被検査画面パターン4Dについて、表示画面の5/8に対して検出が完了しており、残りの表示画面を検出するのに要する時間は3t/8である。したがって、この場合の検査時間は図3(b)に示すように[a+(11/8)t+d]となる。ここで、加速時間aを1秒、等速区間tを2秒、減速時間dを1秒とした場合、点灯検査装置12による検査時間は4.8秒となり、図1に示した点灯検査装置1よりもさらに高速が図れている。
一般に、m種類の被検査画面パターンについて、m台の走査型センサを用いて、走査型センサの配列方向に沿った被検査パネルの幅をwとし、走査型センサ同士の検出対象位置の間隔をw/pmとし、走査型センサの配列方向に沿った検査画像の幅がw/2pmとなるようにして検査をおこなう場合には、本発明の点灯検査装置においては、すべての検査画像の検査に要する時間は、[a+(1+(m−1)/pm))t+d]である。この時間は、pの値が大きくなるに従い、小さくなる。すなわち、本発明の点灯検査装置は、pの値を大きくすることにより、つまり走査型センサ間の設置距離を小さくし、検査画像の幅を小さくすることにより、検査時間の短縮を図ることが可能となる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲において、適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
(付記事項)
なお、本発明の点灯検査装置は、以下の点を特徴点としていると換言することも可能である。すなわち、複数の走査型センサを直列に並べた点灯検査装置において、同センサの各撮像対象部位の間隔が走査方向パネルサイズよりも小さい間隔となるように設置されたセンサ群と、被検査パネルと前記センサ群の相対的移動に対応して各センサの撮像対象部位における被検査画面パターンの種類を維持するように相対的移動の方向と逆方向に順次切り替える信号発生器と、を備えていると換言することができる。