JP4873800B2 - 水添ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水添ジエン系重合体の製造方法、特にジエン系重合体が含有する炭素−炭素二重結合の中の特定の構造の炭素−炭素二重結合のみを優先的に水素添加して水添ジエン系重合体を製造する方法に関する。
本発明の方法により得られる重合体は、水素添加されていない不飽和結合が残留しているので、該不飽和結合部分にさらに反応を行わせて重合体に官能基や他の官能化重合体鎖を導入することが可能であり、例えば過酸化物と反応させることによりエポキシ基を導入したり、リチウム金属を付加させることでアニオンを発生させ、グラフト的に重合体鎖を導入したりすることができ、生成重合体に官能基に由来する機能性を付与することが可能である。
【0002】
【従来の技術】
ジエン系重合体の水素添加反応において、水素添加率を制御する方法としては、反応温度、水素圧力、触媒量を制御することにより目的値に近付けることが一般的であるが、不飽和結合の構造上の種類において、ある構造のものを選択的あるいは優先的に水素添加することについては従来検討があまりなされていない。
【0003】
かかる課題に関し、特開平2−138311号公報では、少なくとも2つの異なる共役ジオレフィンのモノマー単位を含むコポリマーの選択的水素化方法であって、前記コポリマー中のエチレン性不飽和二重結合(炭素−炭素二重結合)を、
(1)基RCH=CH2;R2C=CH2及びRCH=CHRからなるタイプIのグループ、並びに基RXC=CHR及びXCH=CRXからなるタイプIIのグループ;
(2)タイプIのグループ、及びRXC=CRXからなるタイプIIIのグループ
(3)タイプIIのグループ、及びタイプIIIのグループ
(式中、各Rは互いに同じ又は異なるヒドロカルビル基を表し、各Xは互いに同じ又は異なるヒドロカルビル基を表すか、又は水素化すべきポリマー中に含まれたエチレン性不飽和二重結合の少なくとも一部分を水素化するのに十分な時間だけ水素化反応を阻止できる別の基を表す)の間で選択的水素化を生起せしめるのに十分な量の選択的水素化触媒を存在させて溶液中で水素と接触させ、選択的に水素化されたポリマー生成物を回収する方法が開示されている。
【0004】
この方法では、水素化は、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒中で、水素化触媒としてMedeleevの元素周期表の第VIII族金属(好ましくは鉄、コバルト、ニッケル)のカルボン酸塩もしくはアルコキシドと第I−A族、第II−A族及び第III−B族の中から選択した金属(好ましくはリチウム、マグネシウム、アルミニウム)のアルキルもしくは水素化物とを組み合わせたものを用いて行い、選択的水素化は水素化条件(触媒の使用量、水素分圧、水素化反応温度)を制御することで、炭素−炭素二重結合の各タイプ毎に選択的な水素化反応が可能であるとされている。
【0005】
しかるに、特開平2−138311号公報の実施例では、反応に用いたポリマーの水素添加率は、ポリマー中に残存している炭素−炭素二重結合の量をオゾン滴定法により測定して算出しているものの、前記タイプ別の水素添加率や分析値については何ら記載されていない。すなわち、単に反応に用いたポリマー中に元来含まれているタイプIIIの炭素−炭素二重結合が、オゾン滴定法により算出した残存炭素−炭素二重結合量に近いということから、選択性が発現できたと結論づけているものにすぎず、炭素−炭素二重結合のタイプを分類しているにもかかわらず、水素化反応において本質的に選択性が発現できたものかは明白でないのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消すべくなされたものであり、ジエン系重合体の含有する炭素−炭素二重結合のうち、特定の構造のものを優先的に水素添加して水添ジエン系重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記課題は、ジエン系重合体の水素添加反応において、特定の水素添加触媒の他に、アミン系化合物を存在させることにより解決される。
すなわち本発明は、ジエン系重合体を水素添加して水添ジエン系重合体を製造する方法であって、第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる水素添加触媒と共にアミン系化合物の存在下で、ジエン系重合体が含有する炭素−炭素二重結合のうち該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原子が合わせて3個又は2個結合している二重結合を優先的に水素添加することを特徴とする水添ジエン系重合体の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。
本明細書では、ジエン系重合体が含有する炭素−炭素二重結合のうち、該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原子が合わせて3個結合している炭素−炭素二重結合を「1置換不飽和結合」と称し、該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原が合わせて2個結合している炭素−炭素二重結合を「2置換不飽和結合」と称し、該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原が合わせて1個結合している炭素−炭素二重結合を「3置換不飽和結合」と称し、該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原が結合していない炭素−炭素二重結合を「4置換不飽和結合」と称する。本発明の方法では、これらのうち「1置換不飽和結合」及び「2置換不飽和結合」を優先的に水素添加することができる。
【0009】
本発明の方法で用いる「ジエン系重合体」とは、例えば、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、2.3−ジメチルブタジエン、フェニルブタジエン等の共役ジエン化合物の単独重合体、又はこれらの2種以上の共重合体である。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。2種以上の共役ジエン化合物の共重合体の場合、それらの結合形態はランダム型、ブロック型、櫛型又はこれらの2種以上の組合せなどのいずれでもよく、各成分の使用比率も任意でよい。また、上記「ジエン系重合体」は、両末端又は片末端に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などの官能基の1種又は2種を有していてもよい。本発明で用いるジエン系重合体の具体例としては、ポリイソプレン−ポリブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエンなどを挙げることかできる。
【0010】
本発明で用いるジエン系重合体の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、一般に500〜500,000であるのが好ましく、1,000〜300,000であるのがさらに好ましい。なお、ここで述べる数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0011】
本発明の方法で用いるジエン系重合体のミクロ構造には特に制限はない。例えば1,3−ブタジエンの場合においては1,4−結合及び1,2−結合;イソプレンの場合においては1,4−結合、1,2−結合及び3,4−結合のいずれかのミクロ構造が、いかなる存在比でいかなる分布で存在していてもよい。また、これらのミクロ構造が表すジエン系重合体中の炭素−炭素二重結合は、本明細書の基準で言い換えると、例えばブタジエンの場合では1,4−結合ならば「2置換不飽和結合」、1,2−結合は「1置換不飽和結合」となり、イソプレンの場合においては1,4−結合は「3置換不飽和結合」、1,2−結合は「1置換不飽和結合」、3,4−結合は「2置換不飽和結合」となる。
【0012】
すなわち、原料として用いるジエン系重合体のミクロ構造を制御することで、本発明の方法で得られる水添ジエン系重合体に残存する炭素−炭素二重結合(「3置換不飽和結合」及び「4置換不飽和結合」)の量を制御することが可能であり、例えば「3置換不飽和結合」を多く有するジエン系重合体に本発明の方法を適用すると、残存する炭素−炭素二重結合の量が多い水添ジエン系重合体を得ることができる。
【0013】
ミクロ構造を制御する手段としては、例えばヘキサン、シクロヘキサンなどの重合反応に不活性な溶媒中でアルキルリチウム化合物を開始剤としてジエン系重合体を製造する際に、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル系化合物などを添加することが挙げられる。これらのエーテル系化合物の添加量は適宜変更することができるが、通常、反応に使用する溶媒に対して0.0000001〜0.5容量倍の範囲、好ましくは0.0001〜0.01容量倍の範囲である。
【0014】
本発明で用いるアミン系化合物としては、式(I)
R1R2N−R3−NR4R5 (I)
(式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数2〜8のアルキレン基を表す)で示されるアミン系化合物が好ましい。R1、R2、R4及びR5が表す炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられるが、特に好ましくはメチル基である。R3が表す炭素数2〜8の直鎖アルキレン基としてはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。式(I)で示されるアミン系化合物の具体例としては、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N´,N´−テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンを用いるのが特に好ましい。
アミン系化合物の使用量は、ジエン系重合体と反応溶媒との合計質量に対して、通常5〜5,000ppm、好ましくは10〜3,000ppm、さらに好ましくは20〜1,000ppmの範囲で設定する。この添加量が5ppm未満であると選択性が十分に発現されず、また5,000ppmを超えると水素添加速度が大幅に低下する。アミン系化合物の添加時期については特に制限はなく、重合反応時に予め添加していても、水素添加反応時に水素添加触媒と同時に添加しても、水素添加反応時に分割あるいは連続的に添加してもよい。
【0015】
本発明の方法に用いる水素添加触媒としては、第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる水素添加触媒が好適に用いられる。
第8族ないし第10族の遷移金属としては、例えばニッケル、コバルト、鉄などが挙げられる。そして、第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物としては、カルボン酸塩、金属アルコキシド、アセチルアセトンとの錯塩などの種々の形態のものが使用可能である。カルボン酸塩としては、例えば、第8族ないし第10族の遷移金属とナフテン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタン酸、2−メチルオクタン酸、ノナン酸、リノール酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸などとの塩などが挙げられる。金属アルコキシドとしては、例えば、第8族ないし第10族の遷移金属のメトキシド、エトキシド、イソプロポキシドなどが挙げられる。アセチルアセトンとの錯塩としては、例えば、アセチルアセトンニッケル錯塩、アセチルアセトンコバルト錯塩、アセチルアセトン鉄錯塩などが挙げられる。これらの中で、2−エチルヘキサン酸ニッケル、アセチルアセトンニッケル錯塩、2−エチルヘキサン酸コバルト、アセチルアセトンコバルト錯塩が好ましい。第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0016】
水素添加触媒のもう1つの成分は有機アルミニウム化合物である。有機アルミニウム化合物としては、一般式A1(R)3で表され、Rが炭素数2〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルコキシル基である化合物、又は一般式A1R6R7R8で表され、R6〜R8が炭素数2〜20のアルキル基又は塩素原子であり、かつR6〜R8の内、1つ又は2つが塩素原子である化合物が挙げられる。具体的には、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、モノクロロジエチルアルミニウム、ジクロロエチルアルミニウムなどが挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0017】
本発明で用いる水素添加触媒における第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物と有機アルミニウム化合物との混合比率は、モル比として、一般的には、第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物:有機アルミニウム化合物=1:1〜1:10であるが、好ましくは1:2〜1:5の範囲である。第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物1モルに対する有機アルミニウム化合物の混合比率が1モルよりも少ない場合には水素添加反応の活性が十分には得られにくく、一方10モルより多い場合には、水素添加反応の活性が低くなるばかりか、水素添加されるジエン系重合体の分子切断が起こる傾向となる。
【0018】
本発明で用いる水素添加触媒の使用量には厳密な意味での制限はなく、反応温度、水素圧力、ジエン系重合体の種類、ジエン系重合体の濃度などの水素添加反応条件、求められる水素添加率などにより異なるが、一般的には、ジエン系重合体中の共役ジエン単位に基づく炭素−炭素二重結合のモル数に対して水素添加触媒構成成分としての第8族ないし第10族の遷移金属の量として0.0001〜1倍モルの範囲で用いるのが好ましく、0.001〜0.1倍モルの範囲で用いるのがより好ましい。
【0019】
本発明の方法で使用できる溶媒は、本発明で用いる水素添加触媒に対して不活性であると同時に、水素添加反応に対しても不活性であるものであれば特に制限はなく、炭化水素溶媒が好適に用いられる。例えば脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素が挙げられる。ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素も使用可能であるが、水素添加反応条件によってはそれ自身が水素添加されることがあり、使用に際しては注意が必要である。脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素の中でも、反応混合物からの除去の容易さの観点からペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどが好適に用いられる。これらの溶剤は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
炭化水素溶媒の使用量については特に制限はないが、通常、ジエン系重合体100質量部に対して10〜5,000質量部の範囲であるのが好ましく、40〜2,000質量部の範囲であるのがより好ましい。
【0020】
本発明における水素添加反応は常法により行うことができる。一般的には、常圧から20MPaの水素圧力、常温から250℃の反応温度で0.1〜100時間行われる。
【0021】
本発明の方法によれば、例えばミクロ構造の分布の異なるブロック型ジエン系重合体において、「1置換不飽和結合」及び「2置換不飽和結合」を多く含むブロックのみを優先的に水素添加し、「3置換不飽和結合」を多く含むブロックの水素添加率は任意に設定することが可能である。
また、本発明の方法を適用することによりジエン系重合体に残留させた不飽和結合に、さらに過酸化物を反応させることによりエポキシ基を導入したり、又はリチウム化合物を反応させ、この部位にグラフト的に官能基を付加させたり、あるいはグラフト的に重合体鎖を導入することも可能になる。したがって、本発明の方法によって得られる重合体生成物はそれ自体高機能性重合体として、又はさらなる高機能性重合体を製造するための原料として有用である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はそれによって制限されるものではない。
参考例1
5Lのオートクレーブ中に溶媒としてシクロヘキサン3,000g及び重合開始剤としてs−ブチルリチウム0.082モルを加え、50℃に保ってイソプレン単量体510gを逐次滴下してポリイソプレンブロックを合成した。次にテトラヒドロフランを7.6g加え、同温度でブタジエン単量体510gを逐次的に滴下してポリブタジエンブロックを合成した。このようにしてポリイソプレンブロックの数平均分子量5,000、ポリブタジエンブロックの数平均分子量5,000のジブロック型ジエン系重合体を得た。
なお、このジブロック型ジエン系重合体において、ポリイソプレンブロックの有する炭素−炭素二重結合のうち、1置換不飽和結合(ミクロ構造としての1,2−結合部位に相当)は1%、2置換不飽和結合(ミクロ構造としての3,4−結合部位に相当)は6%、3置換不飽和結合(ミクロ構造としての1,4−結合部位に相当)は93%であった。また、ポリブタジエンブロックの有する炭素−炭素二重結合のうち、1置換不飽和結合(ミクロ構造としての1,2−結合部位に相当)は47%、2置換不飽和結合(ミクロ構造としての1,4−結合部位に相当)は53%であった。
【0023】
実施例1
参考例1の方法で得られた、ポリイソプレンブロックの数平均分子量5,000、ポリブタジエンブロックの数平均分子量5,000のジブロック型ジエン系重合体1,000gと、溶媒としてのシクロヘキサン3,000gを含む5Lオートクレーブ中にN,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンをジブロック型ジエン系重合体とシクロヘキサンとの総量に対して200ppm加え、50℃まで昇温した。ついでトリイソブチルアルミニウムと2−エチルヘキサン酸ニッケルとを3:1のモル比で混合したものを水素添加触媒として、該ジブロック型ジエン系重合体が含有する全不飽和結合のモル数に対し、水素添加触媒を構成しているニッケル金属として1.5×10-3倍モル加え、反応温度を70℃まで昇温した。水素圧力を0.8MPaに保つように随時水素を供給しながら攪拌を続け、7時間反応した。反応液の一部を取り、重合体を1H−NMR及びIRで分析したところ、ポリブタジエンブロックの1置換不飽和結合(1,2−結合部位)は100%水素添加され、2置換不飽和結合(1,4−結合部位)は99%以上水素添加されていた。一方、ポリイソプレンブロックの1置換不飽和結合(1,2−結合部位)は100%水素添加され、2置換不飽和結合(3,4−結合部位)及び3置換不飽和結合(1,4−結合部位)は、それぞれ93%及び45%水素添加されていた。これらの数値を表1に示す。
【0024】
実施例2
実施例1において、水素添加触媒の量を、該ジブロック型ジエン系重合体が含有する全不飽和結合のモル数に対し、水素添加触媒を構成しているニッケル金属として2.3×10-3倍モルとし、反応時間を12時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応液の一部を取って実施例1と同様にして生成物の分析を行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンの添加量を500ppmとし、水素添加触媒の量を、該ジブロック型ジエン系重合体が含有する全不飽和結合のモル数に対し、水素添加触媒を構成しているニッケル金属として3.8×10-3倍モルとし、反応時間を20時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応液の一部を取って実施例1と同様にして生成物の分析を行った。結果を表1に示す。
【0025】
比較例1
実施例1において、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンの代わりにジエチルエーテルを200ppm添加し、水素添加触媒の量を、該ジブロック型ジエン系重合体が含有する全不飽和結合のモル数に対し、水素添加触媒を構成しているニッケル金属として2.3×10-3倍モルとし、反応時間を12時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応液の一部を取って実施例1と同様にして生成物の分析を行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンを添加せず、水素添加触媒の量を、該ジブロック型ジエン系重合体が含有する全不飽和結合のモル数に対し、水素添加触媒を構成しているニッケル金属として7.5×10-4倍モルとし、反応時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応液の一部を取って実施例1と同様にして生成物の分析を行った。結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
本発明方法によれば、ジエン系重合体の含有する炭素−炭素二重結合のうち、特定の構造のものが優先的に水素添加された水添ジエン系重合体を製造することができる。そのため、本発明方法は、一般に、水素添加したジエン系重合体をさらに変性する際の、当該出発物質の合成方法として有用であり、特に種々の高機能性重合体の原料の合成方法として有用である。
Claims (3)
- ジエン系重合体を水素添加して水添ジエン系重合体を製造する方法であって、第8族ないし第10族の遷移金属を構成成分とする金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる水素添加触媒と共にアミン系化合物の存在下で、ジエン系重合体が含有する炭素−炭素二重結合のうち該二重結合構造を構成する2個の炭素原子に水素原子が合わせて3個又は2個結合している二重結合を優先的に水素添加することを特徴とする水添ジエン系重合体の製造方法。
- アミン系化合物が式(I)
R1R2N−R3−NR4R5 (I)
(式中、R1、R2、R4及びR5はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数2〜8のアルキレン基を表す)
で示されるアミン系化合物である請求項1記載の製造方法。 - アミン系化合物がN,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンである請求項1記載の製造方法。
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