JP4872444B2 - ハブユニットの組立て方法およびハブユニット - Google Patents

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Description

本発明は、ハブユニットの組立て方法ならびに当該組立て方法によって組立てられたハブユニットに関する。
図5に示すような現行使用されているハブユニットHuzは、車両外端側(図中、左側)に第1内周軌道11zおよび車両中心側に第2内周軌道12zを有する外輪1zと、外輪1zの第1内周軌道11zに対向する第1外周軌道21zを外周に一体に有し、車両中心側(図中、右側)に向かい、第1外周軌道21zに続いて終端嵌合部23zを有する軸体2zと、軸体2zの終端嵌合部23zに外嵌固定され、外周に外輪1zの第2内周軌道12zに対向する第2外周軌道32zが形成されている内輪要素3zとからなるハブHbzと、第1内周軌道11zと第1外周軌道21zとの間および第2内周軌道12zと第2外周軌道32zとの間にそれぞれ介装されたボール41z、42zよりなる第1ボール列Fbzおよび第2ボール列Fbzとによって構成されている。
そして、ハブユニットHuzは等速ジョイントJのハウジングJhから突き出ているセレーション軸Jszとの間で軸方向に挟持され締め付けられている。
また、第1ボール列Fbzおよび第2ボール列Fbzは外輪1zおよびハブHbzの各軌道とは接触角αをもって接触するようになっている。この接触角αの向きは、ハブユニットHuzの中心線X−Xに向かって拡大する方向になっている。この接触角αを拡大する向きに設定することによって、ハブユニットHuzに作用するモーメント荷重Mに対するモーメント剛性を高めることが出来る。このモーメント剛性をさらに高めるために、それぞれの軌道とボールとの間で接触角αの方向に予圧荷重が付与されている。
しかし、予圧荷重は少なすぎると予定するモーメント剛性が得られないし、大きすぎると、かえって、ハブユニットHuzの寿命を低下させる虞があり、適正値に設定する必要がある。
予圧荷重の適正値設定方法に関して提案がある。(特許文献1を参照)
特開2002−323056号公報
しかしながら、特許文献1は外方部材(10)とハブ輪(30)および内輪(40)とのそれぞれの軌道中心間の軸方向寸法を測定し、さらに、ハブ輪(30)の肩面(36)と内輪(40)のアウトボード側端面(42)との間のすきま(S)を測定することによって、その測定すきま(S)に基づいてマイナスのすきまを設定するという課題に関するものであり、軌道中心間の寸法との関係のみから予圧荷重を設定しようとするものである。(特許文献1に関する上記説明には、特許文献1で用いられている語句と符号をそのまま使用している)。そのために、測定方法が技術的に難しいすきま(S)の測定工程を伴う煩わしさがある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、本発明は、特許文献1に記載のようなハブ輪(30)の肩面(36)と内輪(40)のアウトボード側端面(42)との間のすきま(S)を測定する複雑な測定工程を伴うことなく、モーメント剛性の高いハブユニットを得るための予圧荷重を設定できるハブユニットの組立て方法ならびに当該組立て方法によって組立てられたハブユニットを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明は、
車両外端側に第1内周軌道と車両中心側に第2内周軌道とを有する外輪と、
前記外輪の第1内周軌道に対向する第1外周軌道を一体または別体に有し、かつ、車両中心側には終端嵌合部を有する軸体と、前記終端嵌合部に外嵌固定されて前記外輪の第2内周軌道に対向する第2外周軌道を有する内輪要素とを有するハブと、
前記外輪の第1および第2内周軌道と、前記ハブの第1および第2外周軌道との間に介在するボールからなる車両外端側の第1ボール列および車両中心側の第2ボール列と、
前記各ボール列のボールを保持する保持器と、を備え、
前記第1ボール列のピッチ円直径が前記第2ボール列のピッチ円直径よりも大であって、
前記第1ボール列のボール寸法と前記第2ボール列のボール寸法が異なる複列の背面組合せ型アンギュラ玉軸受からなるハブユニットの組立て方法において、
前記外輪、前記軸体及び前記内輪要素に基づいて前記第1ボール列のボール寸法予め1種類に決定しておき
前記外輪、前記軸体、前記内輪要素及び前記第1ボール列のボールを基準として前記第2ボール列のボールを選択して組み立てることにより所望の予圧荷重を得ることを特徴とするハブユニットの組立て方法を提供する。
また、本発明は、
さらに、前記第1ボール列のボール寸法が前記第2ボール列のボール寸法よりも大であるハブユニットの組立て方法が望ましい。
また、本発明は、
前記記載の組立て方法のいずれかによって組立てられたことを特徴とするハブユニットを提供する。
本発明によれば、特許文献1に記載のようなハブ輪(30)の肩面(36)と内輪(40)のアウトボード側端面(42)との間のすきま(S)を測定する複雑な測定工程を伴うことなく、モーメント剛性の高いハブユニットを得るための予圧荷重を設定できるハブユニットの組立て方法ならびに当該組立て方法によって組立てられたハブユニットを提供することができる。
以下、本発明のハブユニットの組立て方法に係わる実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
図1によって本発明の実施形態1の組立て方法を説明する。
本発明の組立て方法に係わるハブユニットHuは、車両外端側に第1内周軌道11および車両中心側に第2内周軌道12を有する外輪1と、外輪の第1内周軌道11に対向する第1外周軌道21を外周に一体に有し、車両中心側に向かい、第1外周軌道21に続いて終端嵌合部23を有する軸体2と、軸体2の終端嵌合部23に外嵌固定され、外周に外輪1の第2内周軌道12に対向する第2外周軌道32が形成されている内輪要素3とからなるハブHbと、第1内周軌道11と第1外周軌道21との間および第2内周軌道12と第2外周軌道32との間にそれぞれ介装されたボール41、42よりなる第1ボール列Fbおよび第2ボール列Fbとによって構成されている。
そして、ハブユニットHuは等速ジョイントJのハウジングJhから車両外端側に突き出したセレーション軸Jsに嵌合され、セレーション軸Jsの先端に設けられているねじ部Jrに螺合されているナットNとハウジングJhの端面Jhとの間で軸方向に挟持され締め付けられている。
また、第1ボール列Fbおよび第2ボール列Fbは外輪1およびハブHbの各軌道とは接触角αをもって接触するようになっている。この接触角αの向きは、ハブユニットHuの中心線X−Xに向かって拡大する方向になっている。この接触角αを拡大する向きに設定することによって、ハブユニットHuに作用するモーメント荷重Mに対するモーメント剛性を高めることが出来る。このモーメント剛性をさらに高めるために、それぞれの軌道とボールとの間で接触角αの方向に予圧荷重が付与されている。
以下、ハブユニットHuを構成する個々の部品について説明する。
以下の説明において、簡略表現のために、車両外端側を、単に外端側と呼び、車両中心側を、単に、中心側と呼ぶ。
外輪1は、外端側の内周に第1内周軌道11を、中心側の内周に第2内周軌道12を有する。
第1内周軌道11の直径寸法は、第2内周軌道12の直径寸法よりも大きく形成されている。
ハブHbは、外端側に車輪取付けフランジ2fを有し、かつ、外輪1の第1内周軌道11に対向する第1外周軌道21を車輪取付けフランジ2fよりも車両中心側の円筒部2mに一体に有し、さらに、円筒部2mに続いて、さらに小径円筒部2mが形成され、小径円筒部2mから段部2cを介して終端嵌合部23となる小径部2nを有する軸体2と軸体2の終端嵌合部23に外嵌固定されて外輪1の第2内周軌道12に対向する第2外周軌道32を有する内輪要素3とを含んでいる。
内輪要素3は内側端面31を軸体2の段部2cに突き当てて終端嵌合部23に嵌合固定されている。そして、ハブHbの第1外周軌道21の直径寸法は内輪要素3に形成されている第2外周軌道32の直径寸法よりも大きく形成されている。
ハブHbの内周には、後述する等速ジョイントと嵌合するためのセレーション2sが形成されている。
第1ボール列Fbのボール41は第1内周軌道11と第1外周軌道21との間に介装され、保持器51によって保持されている。
第2ボール列Fbのボール42は第2内周軌道12と第2外周軌道32との間に介装され保持器52によって保持されている。
第1ボール列Fbのボール41の直径寸法Daと第2ボール列Fbのボール42の直径寸法Daとの関係はDa >Da になっている。
第1ボール列Fbのピッチ円直径PCDと第2ボール列Fbのピッチ円直径PCDとの関係はPCD>PCDである。
各ボール列のピッチ円直径の大小関係を上記のようにすることにより、第1ボール列Fbのボール41と第2ボール列Fbのボール42との中心間距離を大きくすることが出来、モーメント剛性が高いハブユニットとなる。また、第1ボール列Fbのピッチ円直径PCDおよびボールの直径寸法Daを第2ボール列のそれらよりも大きくしてあるので、第2ボール列よりも大きな荷重を受ける第1ボール列の負荷容量も増加し、寿命が向上する。
この負荷容量の増加を円すいころによってするのではなく、コストの廉価なボールによってなすことができるので、全体として低コストになる。
外端側シール71及び中心側シール72は、外輪1とハブHbとの間を密封している。
次に図2から図5を参照しながら図1に示すハブユニットHuの組立て方法について説明する。
外輪1の第1内周軌道11と第2内周軌道12との中心間距離を測定してeとする。
次に、軸体2の第1外周軌道21の中心と段部2cまでの距離を測定してeとする。
さらに、内輪要素3の第2外周軌道32の中心と内輪要素3の内側端面31までの距離を測定してeとする。なお、e,e、eはそれぞれ寸法公差を与えて、所定の寸法範囲に制作管理されている。
そして、e、e、eの関係を、e−(e+e)=cとして、cを所定の範囲の数値として設定する。cの範囲に入るようなe、e、e、すなわち、外輪1、軸体2、内輪要素3の組合せを選択する。cに対応するボール径クラスは予め表などにして決めておく。
まず、第1ボール列Fbのボール41を基準ボールとして寸法を固定し、第2ボール列Fbのボール42のボール径クラスをcに対応して選択することによって、その選別されたボールを組み込めば、予圧荷重を設定できる。
第2ボール列のボール径クラスは、表−1に示す如く、称呼寸法Daに対して、+6、±0、-6μmのクラスのボール3種類を用意して、基準ボールと組合せ、選択された外輪1,軸体2、内輪要素3を使用して、内輪要素3の内側端面31を軸体2の段部2cまで突き当てて嵌合固定することによって、予定している予圧荷重が得られる。
表−1
第1ボール列 第2ボール列ボールクラス
基準ボール(寸法1種類) 称呼寸法Daに対して
+6μm
±0
−6
本実施形態では、第1ボール列Fbのボール41を1種類に固定し、第2ボール列Fbのボール42を3種類用意し、e、e、eの関係を所定の範囲の数値cになるように組合わせて組立てれば、予定している予圧荷重が得られるので、組立ての効率が良く、予圧設定の時間が短くて済むという利点がある。
次に、参考例1について説明をする。
参考例1
寸法e,e、eを測定し、e-(e+e)=cの関係が成立するように外輪1、軸体2、内輪要素3を選択して組合せることについては実施形態1と同じであるが、実施形態1と異なる点は、本参考例では、基準ボールを設けるのではなく、第1ボール列Fbのボール41と第2ボール列Fbのボール42とで、予圧荷重を調整設定するものである。
表−2に示す如く、第1ボール列のボール径クラスを称呼寸法Daに対して、+4,± 0、-4の3種類用意し、第2ボール列のボールを称呼寸法Daに対して、+6,±0、-6の3種類用意して、第1列のボールと第2列のボールとの組合せる。この組合せでは、両列のボールクラスの選択方法によって、表−3に示すように、2μm間隔で調整でき、きめ細かい予圧荷重の調節ができる。
参考例は、必要に応じて実施するものである。
表−2
第1ボール列ボールクラス 第2ボール列ボールクラス
称呼寸法Da1に対して 称呼寸法Da2に対して
+4 +6μm
±0 ±0
−4 −6
表−3
第1列ボールクラス 第2列ボールクラス 調整間隔
+4 ±0 +4
+4 −6 −2
±0 +6 +6
±0 ±0 0
−4 +6 +2
−4 ±0 −4
以上、説明した実施形態1、参考例1についてはハブHbの第1外周軌道21は軸体2に一体に形成されているが、軸体2の外周面に嵌合固定された別体の内輪要素でも実施できる。
なお、ボールの選択は、ピッチ円直径PCD、PCDおよび各々の軌道の曲率寸法まで考慮して選択することができる。
上記実施形態1および参考例1を実施することによって、モーメント剛性の高いハブユニットを得ることができる。
本発明の組立て方法に係わるハブユニット断面図 本発明の実施形態1の説明図 実施形態1の説明図 実施形態1の説明図 従来のハブユニット
符号の説明
Hu:ハブユニット
HB:ハブ
1:外輪
11:第1内周軌道
12:第2内周軌道
2:軸体
21:第1外周軌道
2m:円筒部
2m:小径円筒部
2c:段部
23(2n):終端嵌合部
3:内輪要素
31:内側端面
32:第2外周軌道
Fb:第1ボール列
Fb:第2ボール列
41:第1ボール列ボール
42:第2ボール列ボール
51,52:保持器
α:接触角
PCD:第1ボール列ピッチ円直径
PCD:第2ボール列ピッチ円直径
Da:第1ボール列ボール直径
Da:第2ボール列ボール直径
J:等速ジョイント
N:ナット

Claims (3)

  1. 車両外端側に第1内周軌道と車両中心側に第2内周軌道とを有する外輪と、
    前記外輪の第1内周軌道に対向する第1外周軌道を一体または別体に有し、かつ、車両中心側には終端嵌合部を有する軸体と、前記終端嵌合部に外嵌固定されて前記外輪の第2内周軌道に対向する第2外周軌道を有する内輪要素とを有するハブと、
    前記外輪の第1および第2内周軌道と、前記ハブの第1および第2外周軌道との間に介在するボールからなる車両外端側の第1ボール列および車両中心側の第2ボール列と、
    前記各ボール列のボールを保持する保持器と、を備え、
    前記第1ボール列のピッチ円直径が前記第2ボール列のピッチ円直径よりも大であって、
    前記第1ボール列のボール寸法と前記第2ボール列のボール寸法が異なる複列の背面組合せ型アンギュラ玉軸受からなるハブユニットの組立て方法において、
    前記外輪、前記軸体及び前記内輪要素に基づいて前記第1ボール列のボール寸法予め1種類に決定しておき
    前記外輪、前記軸体、前記内輪要素及び前記第1ボール列のボールを基準として前記第2ボール列のボールを選択して組み立てることにより所望の予圧荷重を得ることを特徴とするハブユニットの組立て方法。
  2. さらに、前記第1ボール列のボール寸法が前記第2ボール列のボール寸法よりも大であるハブユニットの請求項1に記載の組立て方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の組立て方法のいずれかによって組立てられたことを特徴とするハブユニット。
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