JP4871644B2 - バックラッシュ除去方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、歯付き部材のバックラッシュを除去するバックラッシュ除去方法及び装置に関する。
複数の歯車の噛み合いでバックラッシュを除去する方法として、特許文献1(特開平9−242831号公報)には、負荷軸(出力軸)に設けられた負荷用ギヤを負荷駆動用モータの負荷駆動ギヤにより駆動する駆動装置において、負荷駆動ギヤに補助ギヤを噛み合わせ、この補助ギヤを、負荷駆動用モータよりも小出力のバックラッシュ低減用モータにより回転させて、常時一方向に回転付勢した回転力をもって負荷駆動ギヤに補助ギヤからの回転を伝達することによって、負荷用ギヤと負荷駆動ギヤ及び補助ギヤとの間のバックラッシュを除去する方法が開示されている。
しかし、この方法は、負荷駆動用モータに対してそれよりも小出力のバックラッシュ低減用モータを用い、負荷駆動モータを駆動して負荷駆動ギヤを回転させると同時に、補助ギヤがこの負荷駆動ギヤの回転に対して負荷となる回転方向となるように、バックラッシュ低減用モータを駆動して補助ギヤを回転させるので、負荷を駆動する負荷駆動用モータにとっては、バックラッシュ低減用モータの回転力が常時、別の負荷となって加わり、その分だけ負荷駆動用モータのトルクが減退する。
また、補助ギヤとバックラッシュ低減用モータとは直結せずに、補助ギヤと同軸の従動ギヤを介在させ、これにバックラッシュ低減用モータに直結された低減用ギヤを噛み合わせ、この低減用ギヤをスプリングにより一方向に常時付勢することにより、これら従動ギヤと低減用ギヤとの間のバックラッシュを除去しているので、構造が複雑となる。
更に、負荷駆動用モータと、それよりも小出力のバックラッシュ低減用モータとの2種のモータを用いて、上記のような組み合わせにしなければならないので、その組み合わせ調整及び出力トルクの管理が非常に面倒である。
特開平9−242831号公報
本発明の第1の課題は、バックラッシュを簡素な構成でトルクの減退なく除去でき、しかも、バックラッシュ除去と同時にトルクの増大も図れるバックラッシュ除去方法及び装置を提供することにある。
第2の課題は、バックラッシュ除去のために使用するモータの駆動制御を簡単に行え、しかも、モータドライブ回路を簡素化できるバックラッシュ除去方法及び装置を提供することにある。
請求項1に係る本発明のバックラッシュ除去方法は、多数の歯を円周上又は直線上に形成した同じ歯付き部材に、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体を、それらの歯面が無負荷時において歯付き部材の歯面と互いに反対側で接する関係となるように、一対のステッピングモータのロータ軸を相互設定し、これら一対のステッピングモータを同期駆動して一対の回転歯体にて歯付き部材を駆動することにより、これら歯付き部材と一対の回転歯体とのバックラッシュを互いに除去し、一対のステッピングモータの同相のコイルを直列に接続し、これらステッピングモータを、それらのロータ軸に所定の位相差を与え、一方のステッピングモータにのみ付設されたエンコーダで回転を検出して同期駆動させることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、一対の回転歯体が前記歯付き部材を駆動するときに、それぞれの回転歯体の歯面が歯付き部材の歯面と互いに同じ側で接することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がギアーで、歯付き部材が、これら一対のギアーにて回転されるギアーとする。
請求項4に係る発明は、一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がピニオンで、歯付き部材が、これらピニオンにて直線駆動されるラックとする。
請求項5に係る発明は、一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がウォームで、歯付き部材が、これら一対のウォームで回転されるウォームホイールとする。
請求項6に係る本発明のバックラッシュ除去装置は、多数の歯を円周上又は直線上に形成した同じ歯付き部材に、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体が、それらの歯面が無負荷時において歯付き部材の歯面と互いに反対側で接する関係となるように、一対のステッピングモータのロータ軸が相互設定され、この状態で一対のステッピングをモータドライブ回路にて同期駆動して、一対の回転歯体にて歯付き部材を駆動することにより、これら歯付き部材と一対の回転歯体とのバックラッシュが互いに除去され、一対のステッピングモータの同相のコイルが直列に接続され、モータドライブ回路は、一対のステッピングモータを、それらのロータ軸に所定の位相差を与え、同期駆動回転させるものであり、一対のステッピングモータの一方にのみ、その回転を検出するエンコーダを付設したことを特徴とする。
請求項7に係る発明は、上記の装置において、一対の回転歯体のそれぞれの歯面は、前記歯付き部材を駆動するときに歯付き部材の歯面と互いに同じ側で接するものであることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、上記の装置において、一対のステッピングモータが実質的に同じ構造で、トルクも同じことを特徴とする。
請求項に係る発明は、上記の装置において、一対のステッピングモータのトルクが異なることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、上記の装置において、一対の回転歯体の少なくとも一方が、その軸に対し周方向に微調整可能に固定されていることを特徴とする。
請求項1及び6に係る発明によれば、一対の回転歯体(ギアーやピニオンやウォーム等)の歯面が、同じ歯付き部材(ギアーやラックやウォームホイール等)の歯面に対し、無負荷時において互いに反対側で接する関係となるように、一対のステッピングモータのロータ軸を相互設定し、これら一対のステッピングモータを同期駆動して一対の回転歯体にて歯付き部材を駆動(回転又は直線移動)させるので、一対の回転歯体と歯付き部材との協働によりそれらのバックラッシュを簡単に除去できると同時に、一対の回転歯体は、一方が歯付き部材の回転又は直線移動の負荷となることはなく、両回転歯体の回転中はそのトルクが歯付き部材に同時に加わるので、歯付き部材の駆動力(出力)の増大が図れる。
また、本発明のように、一対のステッピングモータの同相のコイルを直列に接続し、これらステッピングモータを、それらのロータ軸に所定の位相差を与え、同期駆動すると、一対のステッピングモータを、別々に制御することなく、恰も一つのステッピングモータを駆動させるのと全く同じ制御で駆動できるので、その駆動制御が簡素になる。
本発明のように、一対のステッピングモータの一方にのみ、その回転を検出するエンコーダを付設すると、一対のステッピングモータを恰も一つのステッピングモータを制御するかのように閉ループ制御できるので、回路構成及び制御を単純化できる。
請求項に係る発明のように、一対のステッピングモータを実質的に同じ構造、及びトルクも同じにすれば、同じ仕様の2つのステッピングモータを用いて、簡単かつ経済的に実現できる。
請求項に係る発明のように、一対のステッピングモータのトルクが異なる関係とすれば、そのトルク差に応じて歯付き部材の駆動力(出力)を調整できる。
請求項10に係る発明のように、一対の回転歯体の少なくとも一方が、その軸に対し周方向に微調整可能に固定されていれば、これら回転歯体の歯面が、歯付き部材の歯面に対し互いに反対向きで接する状態とする初期設定を容易に行える。
本発明の最良の実施形態は、図1に示すように、従動側の同じ大径ギアー1(歯付き部材)に、図5、図8及び図9に示す一対のステッピングモータ4・5で回転される駆動側の一対の小径ギアー(回転歯体)2・3を噛み合わせ、図7の回路図に示すように、一対のステッピングモータ4・5の同相のコイルを直列に接続し、図1に示すように、一対の小径ギアー2・3の歯面が、大径ギアー1の歯面に対し、無負荷時において周方向に互いに反対向きで接するように、一対のステッピングモータ4・5のロータ軸に初期設定で所定の位相差を与え、同期駆動させることにより、大径ギアー1及び一対の小径ギアー2・3のバックラッシュを除去する。
実施例1は、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体が小径の平歯車(以下、小径ギアーと記す。)、これらにより駆動される歯付き部材が大径の平歯車(以下、大径ギアーと記す。)の場合である。
図1に、実施例1における大径ギアー1と一対の小径ギアー2・3との無負荷時での第1の噛み合い接触関係のモデル図、図2に第2の噛み合い接触関係のモデル図をそれぞれ示す。そのそれぞれにおいて、一対の小径ギアー2・3が駆動側ギアー、大径ギアー1が、これら小径ギアー2・3の同期回転により回転されて減速作用をする従動側ギアーとなっている。一対の小径ギアー2・3は全く同じものであるが、大径ギアー1に対する無負荷時の噛み合い接触関係が異なるので、これら3つのギアー1・2・3の歯1a・2a・3aの両側の歯面の方向を区別するため、一方を「片側」、他方を「反対側」として表現する。
図1の場合、無負荷時において、一方の小径ギアー2の歯2aは、その片側の歯面2cが大径ギアー1の歯1aの片側の歯面1bと接し、これとは逆に、他方の小径ギアー3の歯3aは、その反対側の歯面3bが大径ギアー1の歯1aの反対側の歯面1cと接するような噛み合い接触関係となっている。つまり、一対の小径ギアー2・3の中間で見ると、それらの歯2a・3aの内側の歯面2c・3bが、大径ギアー1の歯1aの外側の歯面1b・1cと接するような噛み合い接触関係となっている。そして、無負荷時にこのような噛み合い接触となるように、一対の小径ギアー2・3のそれぞれに直結する一対のステッピングモータ4・5のロータ軸4a・5aに、初期設定で所定の位相差を与えてあり、一対のステッピングモータ4・5のロータ軸4a・5aは同方向に同期駆動回転される。
一方、図2の場合には、無負荷時において、一方の小径ギアー2の歯2aは、その反対側の歯面2bが大径ギアー1の歯1aの反対側の歯面1cと接し、これとは逆に、他方の小径ギアー3の歯3aは、その片側の歯面3cが大径ギアー1の歯1aの片側の歯面1bと接するような噛み合い接触関係となっている。つまり、一対の小径ギアー2・3の中間で見ると、それらの歯2a・3aの外側の歯面2b・3cが、大径ギアー1の歯1aの内側の歯面1c・1bと接するような噛み合い関係となっている。そして、無負荷時にこのような噛み合い接触となるように、一対の小径ギアー2・3のそれぞれに直結する一対のステッピングモータ4・5のロータ軸4a・5aに、初期設定で所定の位相差を与えてあり、一対のステッピングモータ4・5のロータ軸4a・5aは同方向に同期駆動回転される。
図1の場合と図2の場合とでは、このように無負荷時における接触歯面が逆になっているが、いずれの場合も、大径ギアー1を図3に示すように時計方向(CW方向)へ回転させるために、一対のステッピングモータ4・5により一対の小径ギアー2・3を反時計方向へ同時回転させたときには、一対の小径ギアー2の歯2a・3aは、その回転方向(反時計方向)の前側の歯面2b・3bが大径ギアー1の歯1aの後側の歯面1cと接した状態で、大径ギアー1に対して時計方向へのトルクを同時に与え、大径ギアー1を時計方向へ回転させる。
一対のステッピングモータ4・5が停止すると、一対の小径ギアー2・3も回転を停止して、図1に示した噛み合い接触関係の場合には、同図に示す無負荷時の状態、図2に示した噛み合い接触関係の場合には同図に示す状態に復帰するので、いずれの場合も3つのギアー1・2・3は、協働してバックラッシュを除去し合うことになる。
一方、大径ギアー1を図4に示すように反時計方向(CCW方向)へ回転させるために、一対のステッピングモータ4・5により一対の小径ギアー2・3を時計方向へ同時回転させたときには、図1及び図2のいずれの場合も、一対の小径ギアー2の歯2a・3aは、その回転方向(時計方向)の前側の歯面2cが大径ギアー1の歯1aの後側の歯面1bと接した状態で、大径ギアー1に対して反時計方向へのトルクを同時に与え、大径ギアー1を反時計方向へ回転させる。
この際にも、一対のステッピングモータ4・5が停止すると、一対の小径ギアー2・3も回転を停止して、図1に示した噛み合い関係の場合には同図に示す無負荷時の状態、図2に示した噛み合い関係の場合には同図に示す無負荷時の状態に復帰するので、いずれの場合も、3つのギアー1・2・3は、協働してバックラッシュを除去し合うことになる。
従って、3つのギアー1・2・3は、図3に示す時計方向又は図4に示す反時計方向のいずれの方向に回転しても、協働してバックラッシュを除去し合うとともに、両小径ギアー2・3のトルクが大径ギアー1に同時に加わる。
一対の小径ギアー2・3は、大径ギアー1に対して、上記のような噛み合い関係とする初期設定時の微調整のために、一対のステッピングモータ4・5のそれぞれのロータ軸4a・5aに対し、その回りを両方向に微調整可能に固定されている。その固定は、図6に示すように、各小径ギアー2・3のボス11にネジ込まれた固定ネジ12により、ロータ軸4a・5a回りの回転を規制して行うようになっている。なお、図5では、大径ギアー1に対する一対の小径ギアー2・3の配置関係が、大径ギアー1の軸心より見て90°の角度関係となるように、大径ギアー1を軸支した台板10に両ステッピングモータ4・5を取り付けてあるが、これに限られるものではない。
図7に、一対のステッピングモータ4・5を駆動するモータドライブ回路の構成を示す。ステッピングモータ4・5は、一方のステッピングモータ4にのみその回転を検出するエンコーダ(ロータリエンコーダ)6が付設されているが、モータ単体としては実質的に同じ構造で、A相とB相の2相型であり、それらのA相のコイル4A・5A同士を直列に接続してあるとともに、B相のコイル4B・5B同士も直列に接続してある。そして、A相のコイル4A・5Aは、共通の一つのA相ドライブ部7Aにより励磁され、B相のコイル4B・5Bは、共通の一つのB相ドライブ部7Bにより励磁されるようになっている。
また、A相、B相のそれぞれにおいて、コイルに流れる電流を電流センサ8A・8Bにより検出し、共通の電流帰還処理部9で処理して、両ステッピングモータ4・5を同時にフィードバック制御する。A相ドライブ部7A、B相ドライブ部7B、電流帰還処理部9は、ステッピングモータが1台のときと全く同じ構成で、しかも、1個のエンコーダ6により回転を検出するので、閉ループ系を構成して、両ステッピングモータ4・5を、恰も1台のステッピングモータを制御しているのと同様に動作させることができるようになっている。
従って、閉ループ系を構成して両ステッピングモータ4・5を駆動する図7のモータドライブ回路は、これらステッピングモータ4・5のコイルをA相、B相それぞれについて直列接続するだけで、しかも、エンコーダ6を片側のステッピングモータ4にのみ付設するだけで、1台のステッピングモータを駆動する従来のものをそのまま使用できる。
なお、一対のステッピングモータ4・5を、エンコーダ無しの開ループ系モータドライブ回路で駆動することも可能である。
一対の小径ギアー2・3は、大径ギアー1に対して、無負荷時に図1又は図2に示したような噛み合い関係とするために、一対のステッピングモータ4・5相互では、それらのロータ軸4a・5aに所定の位相差を機械的に与えてあり、両者のロータ軸4a・5aは同時に同速度で回転する。
両ステッピングモータ4・5をこのような関係にする初期設定の一例について、図8〜図10を参照して説明する。
これらステッピングモータ4・5は、一方のステッピングモータ4にのみエンコーダ6が付設され、他方のステッピングモータ5には付設されていないので、前者を「エンコーダ付きモータ」、後者を「エンコーダ無しモータ」と称する。両ステッピングモータ4・5のロータ軸4a・5aには、それぞれ小径ギアー2・3が既に固定されているものとする。
(1)エンコーダ付きモータ4は台板10に固定し、エンコーダ無しモータ5はその全体を回転可能なように台板10に仮止めする。
(2)エンコーダ6からのパルス数を確認しながら、エンコーダ無しモータ5を台板12に対して回転させる。その回転方向は小径ギアー2・3にテンションをかけるため、どちらの方向でもよい。
(3)エンコーダ6からのパルス数により、両モータ4・5の機械的な励磁角のズレを判断できるので、希望する励磁角(パルス数)となったところで、エンコーダ無しモータ5を台板10に固定する。
いま、両ステッピングモータ4・5が仕様まで全く同じで、同一トルク特性(sinθ)であるとすると、ロータ軸4a・5aは上記のように所定の位相差を保ったまま同時に同速回転するので、その位相差をφとすると、図11に示すように、一方のステッピングモータのトルク曲線はsinθ、他方のステッピングモータのトルク曲線はsin(θ+φ)、合成トルク曲線はsinθ+sin(θ+φ)として表すことができる。
また、片方のステッピングモータのトルク特性が1/2であると、図12に示すように、そのトルク曲線はsin(θ+φ)/2となるので、合成トルク曲線はsinθ+sin(θ+φ)/2として表すことができる。
従って、実施例1によれば、上記のように3つのギアー1・2・3のバックラッシュを協働して除去できると同時に、両ステッピングモータ4・5により大径ギアー1のトルクの増大及びトルク調整が可能になる。
なお、実施例1では、大径ギアー1を実質的に1枚のギアーとして、これに一対の小径ギアー2・3を噛み合わせたが、大径ギアー1を2枚重ねのギアーとして、そのそれぞれに小径ギアー2・3を噛み合わせても構わない。また、3つのギアー1・2・3を同じ大きさとして、バックラッシュを防止できる同速の回転伝達機構とすることも可能である。
実施例2は、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体が一対のウォーム、これらにより駆動される歯付き部材が回転するウォームホイールの場合である。
実施例2の場合には、図13〜図16に示すように、同じウォームホイール21に対して一対のウォーム22・23がウォームホイール21の両側に配置されて、ウォームホイール21に同時に噛み合うようになっており、その無負荷時における噛み合い接触関係として2つの形態があり、図13と図14にそれぞれの形態を示す。
図13の第1の形態の場合、二分線24から見て、両方のウォーム22・23の歯22a・23aが、二分線24の左側で、ウォームホイール21の歯21aの歯面と接する噛み合い接触関係となっている。
図14の第2の形態の場合、図13の場合とは逆に、二分線24から見て、両方のウォーム22・23の歯22a・23aが、二分線24の右側で、ウォームホイール21の歯21aの歯面と接する噛み合い接触関係となっている。
これら図13及び図14のいずれの場合も、一対のステッピングモータのロータ軸に所定の位相差を与えることで、無負荷時におけるそれぞれの噛み合い接触形態に設定されており、いずれの場合も、一対のウォーム22・23の同時回転により双方のトルクがウォームホイール21に同時に加わり、図15に示すように時計方向に回転されたり、図16に示すように反時計方向に回転される。
そして、一対のウォーム22・23が停止すると、無負荷時におけるそれぞれの噛み合い接触形態に復帰するので、一対のウォーム22・23とウォームホイール21とが協働してバックラッシュを除去し合うことになる。
実施例3は、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体が一対のピニオン、これらにより駆動される歯付き部材が直線移動するラックの場合である。
実施例3の場合には、図17及び図18に示すように、同じラック31に対して一対のピニオン32・33がラック31の片側に並置されて、ラック31に同時に噛み合うようになっており、その無負荷時における噛み合い接触関係として第1と第2の2つの形態があり、図17と図18はそのそれぞれの形態を示す。
図17の第1の形態場合には、一対のピニオン32・33の中間で見ると、それらの歯32a・33aの内側の歯面が、ラック31の歯31aの外側の歯面と接する噛み合い接触関係となっているのに対し、図18の第2の形態の場合には、一対のピニオン32・33の歯32a・33aの外側の歯面が、ラック31の歯31aの内側の歯面と接する噛み合い接触関係となっている。
これら図17及び図18のいずれの場合も、一対のステッピングモータのロータ軸に所定の位相差を与えることで、無負荷時におけるそれぞれの噛み合い接触形態に設定されており、いずれの場合も、一対のピニオン32・33を図19に示すように時計方向に同時回転させると、それらのトルクがラック31に同時に加わってこれが左方へ移動される。これとは逆に、一対のピニオン32・33を図20に示すように反時計方向に同時回転させると、それらのトルクがラック31に同時に加わってこれが右方へ移動される。そして、時計方向回転/反時計方向回転のいずれの場合も、一対のピニオン32・33が停止すると、無負荷時におけるそれぞれの噛み合い接触形態に復帰するので、一対のピニオン32・33とラック31とが協働してバックラッシュを除去し合うことになる。
一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体としては、平歯車、ウォーム、ピニオンの他に、傘歯車やハイポイドギアーや歯付きプーリ等でもよく、また、このような回転歯体で駆動される歯付き部材としては、タイミングベルト等であっても、本発明を適用できる。
本発明の実施例1における大径ギアーと一対の小径ギアーとの無負荷時での第1の噛み合い接触関係のモデル図である。 同じく第2の噛み合い接触関係のモデル図である。 図1又は図2の場合において、大径ギアーを時計方向へ回転させるときの噛み合い状態図である。 同じく大径ギアーを反時計方向へ回転させるときの噛み合い状態図である。 一対の小径ギアーを回転させる一対のステッピングモータを含めて示す正面図である。 同じく断面図である。 一対のステッピングモータとそのモータドライブ回路を示す回路図である。 台板と大径ギアーと一対の小径ギアーと一対のステッピングモータと一つのエンコーダの関係を示す斜視図である。 一対のステッピングモータを初期設定するときの関係を示す斜視図である。 そのときのギアーの関係を示す正面図である。 一対のステッピングモータが同一トルク特性の場合のトルク曲線図である。 片方のステッピングモータのトルクが1/2の場合のトルク曲線図である。 本発明の実施例2における一対のウォームとウォームホイールとの第1の噛み合い接触形態のモデル図である。 同じく第2の噛み合い接触形態のモデル図である。 図13又は図14の場合において、ウォームホイールを時計方向に回転させるときの噛み合い状態図である。 同じく反時計方向に回転させるときの噛み合い状態図である。 本発明の実施例3における一対のピニオンとラックとの第1の噛み合い接触形態のモデル図である。 同じく第2の噛み合い接触形態のモデル図である。 図17又は図18の場合において、ラックを左方へ移動させるときの噛み合い状態図である。 同じくラックを右方へ移動させるときの噛み合い状態図である。
符号の説明
1 大径ギアー
1a 大径ギアーの歯
2・3 小径ギアー
2a・3a 小径ギアーの歯
1b・1c・2b・2c・3b・3c 歯面
4・5 ステッピングモータ
4a・5a ロータ軸
4A・5A・4B・5B コイル
6 エンコーダ
7A A相ドライブ部
7B B相ドライブ部
8A・8B 電流センサ
9 電流帰還処理部
10 台板
11 ボス
12 固定ネジ
21 ウォーム
21a ウォームの歯
22・23 ウォームホイール
22a・23a ウォームホイールの歯
24 二分線
31 ラック
31a ラックの歯
32・33 ピニオン
32a・33a ピニオンの歯

Claims (10)

  1. 多数の歯を円周上又は直線上に形成した同じ歯付き部材に、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体を、それらの歯面が無負荷時において歯付き部材の歯面と互いに反対側で接する関係となるように、前記一対のステッピングモータのロータ軸を相互設定し、これら一対のステッピングモータを同期駆動して一対の回転歯体にて歯付き部材を駆動することにより、これら歯付き部材と一対の回転歯体とのバックラッシュを互いに除去し、
    一対のステッピングモータの同相のコイルを直列に接続し、これらステッピングモータを、それらのロータ軸に所定の位相差を与え、一方のステッピングモータにのみ付設されたエンコーダで回転を検出して同期駆動させることを特徴とするバックラッシュ除去方法。
  2. 一対の回転歯体が前記歯付き部材を駆動するときに、それぞれの回転歯体の歯面が歯付き部材の歯面と互いに同じ側で接することを特徴とする請求項1に記載のバックラッシュ除去方法。
  3. 一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がギアーで、歯付き部材が、これら一対のギアーにて回転されるギアーであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去方法。
  4. 一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がピニオンで、歯付き部材が、これらピニオンにて直線駆動されるラックであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去方法。
  5. 一対のステッピングモータで回転される一対の回転歯体がウォームで、歯付き部材が、これら一対のウォームで回転されるウォームホイールであることを特徴とする請求項1又は2に記載のバックラッシュ除去方法。
  6. 多数の歯を円周上又は直線上に形成した同じ歯付き部材に、一対のステッピングモータでそれぞれ回転される一対の回転歯体が、それらの歯面が無負荷時において歯付き部材の歯面と互いに反対側で接する関係となるように、前記一対のステッピングモータのロータ軸が相互設定され、この状態で一対のステッピングをモータドライブ回路にて同期駆動して、一対の回転歯体にて歯付き部材を駆動することにより、これら歯付き部材と一対の回転歯体とのバックラッシュが互いに除去され
    一対のステッピングモータの同相のコイルが直列に接続され、モータドライブ回路は、一対のステッピングモータを、それらのロータ軸に所定の位相差を与え、同期駆動回転させるものであり、
    一対のステッピングモータの一方にのみ、その回転を検出するエンコーダを付設したことを特徴とするバックラッシュ除去装置。
  7. 一対の回転歯体のそれぞれの歯面は、前記歯付き部材を駆動するときに歯付き部材の歯面と互いに同じ側で接するものであることを特徴とする請求項6に記載のバックラッシュ除去装置。
  8. 一対のステッピングモータが実質的に同じ構造で、トルクも同じことを特徴とする請求項6又は7に記載のバックラッシュ除去装置。
  9. 一対のステッピングモータのトルクが異なることを特徴とする請求項6又は7に記載のバックラッシュ除去装置。
  10. 一対の回転歯体の少なくとも一方が、その軸に対し周方向に微調整可能に固定されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載のバックラッシュ除去装置。
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