JP4871472B2 - 二金属スルホニルアミド塩の製造方法 - Google Patents

二金属スルホニルアミド塩の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は、強い酸触媒として、電気化学的電池中の電解質塩として、かつイオノマーへ包含させるために適当なモノマーとして有用なスルホニルイミドの製造におけるイミド化剤としてきわめて有用な二金属スルホニルアミド塩の高収率製造方法を目的とする。開示される生成物は電池、燃料電池、電解セル、イオン交換膜、センサー、および電気化学的コンデンサーのような電気化学的用途に有用である。
【0002】
【発明の背景】
フッ化スルホニル、特にフッ素化されたフッ化スルホニルを含む化学組成物をイミド化するための方法は当業において公知である。たとえば、DesMarteau、米国特許第5,463,005号には、式
【0003】
【化1】
Figure 0004871472
【0004】
式中X=CHまたはN、Z=H,K,Na,あるいはIまたはII族の金属、R=1個以上の炭化フッ素基(炭化フッ素エーテルを含む)および/またはスルホニル基、および/またはペルフルオロ非オキシ酸基、Y=ペルフルオロアルキルまたはF,そしてm=0または1である、
の置換されたペルフルオロオレフィンが開示されている。
【0005】
Xue、Clemson大学博士論文、1966、にはNa2CO3の存在下アセトニトリル中における、CF2=CF−OCF2CF2SO2ClのCF3SO2NHNaとの反応による、モノマー
CF2=CF−OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3
の生成が開示されている。
【0006】
Xue、前掲書、によりさらに、THF中においてCF3SO2NHNaおよびNaHの混合物を室温で4時間反応させることにより製造されるCF3SO2NNa2が開示されている。XueのCF3SO2NNa2組成物は式
【0007】
【化2】
Figure 0004871472
【0008】
の環状スルホンと反応してビニルエーテルモノマーCF2=CF−OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3を収率4%で生成し、生成物の残りは2種の飽和種であり、双方共に大量に存在した。
【0009】
BehrendおよびHaas、J.Fluorine Chem.4(1974)99−106、には200℃においてCF3SO2NAg2・NH3から製造されるCF3SO2NAg2の合成が開示されている。CF3SO2NAg2・NH3は、水溶液中においてCF3SO2NH2およびAgNO3から、アンモニア水溶液を滴下して加えながら生成される。
【0010】
Meu゜doerffer et al、Chemiker Zeitung,96.Jahrgang(1972)No.10,582−583には、RがペルフルオロアルキルであるRSO2NH2を合成するための方法が開示されている。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、スルホニルアミド塩を包含し、該塩の少くとも50モル%が、式(RSO2NMb3-bM’c(I)、
式中Rはアリール、フルオロアリール、またはXCF2−(ここでXはH、ハロゲン、あるいはフッ素化されたかまたはフッ素化されていない直鎖状または環状の1〜10炭素を有し、場合により1個以上のエーテル酸素で置換されたアルキル基である)であり、M’はアルカリ土類金属であり、b=1または2であり、c=0または1であり、bがそれぞれ1または2でありc=0である時Mはアルカリ土類またはアルカリ金属であり、b=1かつc=1である時Mはアルカリ金属であり、但しb=2である時c≠1である、
によって示される二金属スルホニルアミド塩である組成物である。
【0012】
本発明はさらに、
50ppm未満の水蒸気濃度を有する雰囲気中で、
少くとも1種のアルカリまたはアルカリ土類水素化物、

(RSO2NH)3-aM” (II)
式中a=1または2であり、a=1である時M”はアルカリ土類金属であり、a=2である時M”はアルカリ金属または水素であり、そしてRはアリール、フルオロアリール、またはXCF2−(ここでXはH、ハロゲン、あるいはフッ素化されたかまたはフッ素化されていない直鎖状または環状の1〜10炭素を有し、場合により1個以上のエーテル酸素で置換されたアルキル基である)である、
を有するスルホニルアミドまたはその一金属スルホニルアミド塩、
および、
少くとも1種の実質的に無水の非プロトン性液を接触させ、
それにより反応混合物を生成し、そして
該反応混合物を反応させて(RSO 2 NM b 3-b M’ c の沈殿を生成させ、そして該沈殿を該液から分離する、
ことを包含する二金属スルホニルアミド塩の生成方法を提供する。
【0013】
本発明中で用いる用語「反応させる」とは、反応混合物中の少くとも2種の成分を反応させて少くとも1種の生成物を生成することを意味することを意図する。「反応させる」は、場合により攪拌することおよび/または加熱または冷却することを含んでもよい。
【0014】
【詳細説明】
本発明の組成物である二金属スルホニルアミド塩(RSO2NMb3-bM’(I)は、不飽和および飽和フルオロスルホニルイミドを含み、かつ電気化学的電池中に用いるのに極めて適当なフルオロスルホニルイミドを包含するペンダント基を有するイオノマーを含む、スルホニルイミド類の製造において驚くべき高い効率を有する。特に、リチウムイミドはリチウムおよびリチウムイオン電池において電解質として機能することができる。本発明以前は、しかしながら、(I)は、好ましい態様であるCF3SO2NNa2として、背景項に記述したXueの方法により入手可能であり、これは公知の方法により製造されたCF3SO2NHNaを室温下THF溶媒中でNaHと混和し4時間攪拌することからなるものであった。Xueの生成物は式
【0015】
【化3】
Figure 0004871472
【0016】
の環状スルホンと混和した時、フルオロスルホニルイミドの混合物を提供し、そのうちぬきんでて最も有用なものは式
CF2=CFOCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3 (IV)
の不飽和化合物であるが、これはXueの方法によってはわずか4%の収率で製造され、大部分の工業的事業のためには小さすぎる量である。不飽和モノマー(IV)はイオノマーに包含させ電気化学的最終用途において応用する上で相当な工業的価値をもつ可能性を有する。環状スルホン(III)は当業において公知の反応によって容易に入手可能である。環状スルホン(III)からモノマー(IV)を製造する方法を見出すことには相当の誘因がある。
【0017】
Xueによる方法においては、CF3SO2NHNaは室温下4時間テトラヒドロフラン(THF)中においてNaHと混和され、CF3SO2NNa2を生成する。本発明者はXueの記述に従って行い、通常の分析方法によって、Xueの方法は10%未満の転化率でCF3SO2NNa2を生成し、残りの反応生成物の大部分は未転化の出発物質であることを確認した。
【0018】
本発明者は驚くべきことに、スルホニルアミドまたはその一金属塩(II)を少くとも1種のアルカリまたはアルカリ土類金属水素化物および非プロトン性液と接触させて、50%から好ましい100%までの間の任意の望まれる転化率まで反応させることが許される反応混合物を生成することにより、Xueの方法におけるよりもはるかに高い純度、すなわち50%を越える、好ましくは90%を越える、最も好ましくは95%を越える純度で二金属スルホニルアミド塩(I)を製造することができることを見出した。スルホニルアミドまたはその一金属塩(II)においては、a=1または2であり、a=1である時M”はアルカリ土類金属であり、a=2である時M”はアルカリ金属または水素であり、そしてRはアリール、フルオロアリール、またはXCF2−(ここでXはH、ハロゲン、あるいはフッ素化されたかまたはフッ素化されていない直鎖状または環状の1〜10炭素を有し、場合により1個以上のエーテル酸素で置換されたアルキル基である)である。水素化物は1種以上のアルカリまたはアルカリ土類水素化物の混合物、またはアルカリおよびアルカリ土類水素化物の混合物であってよい。もしそれが好まれるならば、反応は異なった水素化物を異なった時期に反応容器に加えて段階的に進めてもよい。
【0019】
Rは好ましくはペルフルオロアルキル、最も好ましくはトリフルオロメチルであり、水素化物は好ましくは水素化ナトリウムである。CF3SO2NH2が好ましい出発物質である。好ましい非プロトン性液はアセトニトリルである。好ましくは、CF3SO2NNa2を生成する反応は、出発物質の一方が完全に消費され反応が停止するまで継続する。より好ましくは、反応が終了した時にいずれかの出発物質の痕跡量のみが残るように化学量論的な調節を行う。水素化物は好ましくは化学量論的量よりも僅かに少なく加える。
【0020】
スルホニルアミドおよびその一金属塩(II)は、二金属スルホニルアミド塩(I)を製造する方法において用いられる非プロトン性溶媒に可溶性であるが、二金属スルホニルアミド塩(I)そのものはそうではない。この溶解度の差を利用し反応生成物を反応混合物から分離して、スルホニルアミド塩を少くとも50モル%、好ましくは少くとも90モル%、最も好ましくは少くとも95モル%包含する組成が得られ、その塩は上記で定義した式(RSO2NMb3-bM’(I)により示される二金属スルホニルアミド塩である。ろ過、遠心分離、および蒸留を含む、固形物を液体から分離するための当業において公知の任意の便利な方法を用いることができる。
【0021】
反応は完結まで進ませるのが好ましいが、選ばれた非プロトン性溶媒によってはこれは必ずしも実用的ではない。純アセトニトリル中においては、100%の転化が室温下約4時間で達成される。しかしながら、純THF中においては100%の転化には6日間の反応を要する。後者の場合、反応物が完全に反応する以前に反応生成物を分離することが望まれるかもしれない。上述の溶解度差に基く分離法は、転化率が低い段階で二金属スルホニルアミド塩(I)を高純度で単離するための実用的方法を提供する。
【0022】
本発明の二金属スルホニルアミド塩(I)の合成から残った残余の水素化物は、フッ化スルホニルまたは環状スルホンからイミドを製造する際の(I)の使用に対しては大きな障害にならないことが見出されている。それが不可欠ではないが、本発明の方法において好まれるCF3SO2NNa2は実質的にNaHによる汚染をうけない。これはその製造の際に僅かに化学量論量より少ない量のNaHを使用し、これによって反応が転化完了に到達した際にNaHが消費し尽くされるであろうことを確保することによって達成される。可溶性反応中間体CF3SO2NHNaの過剰量は、好ましくは新しい溶媒を一定量用い洗浄/ろ過を繰返すことにより容易に分離される。
【0023】
二金属スルホニルアミド塩(I)の製造において、反応混合物の成分は任意の順序で混和してよいが、しかし溶液を生成するためにスルホニルアミドまたはその一金属塩(II)をまず非プロトン性液と混合して、溶液が生成された後続いて水素化物を添加してスラリーを生成することが好ましいことが見出された。第一段階として水素化物を非プロトン性溶媒と混合する方法は、貧弱な反応すなわち期待よりも転化がおそい結果となった。
【0024】
二金属スルホニルアミド塩(I)の製造に適当な温度は、選ばれた非プロトン性液の融点と沸点の間にあるであろう。本発明の実施においては、本発明の方法を室温で実行すれば十分であることが見出されている。しかしながら、やや温度を上げればより速い反応が得られる。本発明の最も好ましい態様においては、アセトニトリルが溶媒として0℃〜80℃、好ましくは室温〜80℃、最も好ましくは室温〜60℃の温度で用いられる。
【0025】
二金属スルホニルアミド塩(I)の製造に適当な非プロトン性溶媒は実質的に無水であるべきである。過剰の水は反応を逆進行させ、たとえばCF3SO2NHNaおよびNaOHを生成し、イミドではなくスルホナートを製造する経路を提供する。好ましい態様においては、500PPM以下の含水量を有するアセトニトリルを用いれば十分であり、50PPM以下の水含有量であればより好ましいことが見出されている。アセトニトリルは吸湿性が強いので、取扱いにおいては雰囲気からの水汚染を避けるよう注意を払うべきである。
【0026】
二金属スルホニルアミド塩(I)が暴露される雰囲気もまた実質的に無水であるべきである。25ppmの水蒸気濃度は極めて好適であることが見出されている。より高い水蒸気濃度レベルも許容しうるが、雰囲気の水蒸気濃度がより高いほど、後続の反応の間に起る汚染がより大きくなることを理解すべきである。一般則としては、どのような形態であれ、水分は少ないほどよい。
【0027】
本発明において用いる用語「不活性雰囲気」とは、約50ppm未満の水蒸気濃度を有する無水の雰囲気をいう。それは非酸化性の雰囲気を意味することを意図しない。すなわち、本発明における反応は乾燥窒素または他の化学的不活性ガス中と同様に乾燥空気中でも実施することができる。しかしながら、乾燥窒素ガスが好ましい。
【0028】
好ましい態様においては、CF3SO2NH2を乾燥窒素のような不活性雰囲気中でアセトニトリル中に5〜10重量%の範囲の濃度で溶解する。より高濃度では、不溶性のCF3SO2NNa2製品が生成し始めるに従い、これがディスパージョンを形成するかもしれず、よい攪拌を維持することがより困難になるかもしれない。それゆえ、約10重量%を超える濃度においては、単純な攪拌よりも、超音波攪拌、またはMicrofluidics,Inc.,Newton,MAから市販されているMicroFluidizer(商標)を用いて達成されうるようなミクロ流動化のような他の型式の攪拌が好ましいかもしれない。
【0029】
不活性雰囲気を維持しながら、NaHを加え、反応が約4時間で完了するまで攪拌を継続する。当業において公知の任意の便利な方法により測定される、水素ガス発生速度が反応の効果的指標であることが見出されている。水素ガス流の停止は反応の完了を示す。水素ガス発生速度測定のための適当な装置を図1に示し、下記に説明を行う。
【0030】
加えるNaHの量はその実施者の具体的な必要性および意図に依存する。化学量論量のNaHよりも僅かに過剰の添加は、CF3SO2NH2、またはこれに代わるCF3SO2NHNaからCF3SO2NNa2への完全な転化を確保する。しかしながらこの場合、そのようにして製造されたCF3SO2NNa2はなお不溶性のNaHで汚染されたままであり(残存NaHは本発明のCF3SO2NNa2の所期の用途においては問題を生ずるようには思われないが)このNaHから分離するのは困難である。一方もし目標がもっとも高純度のCF3SO2NNa2を極力得ようとするものであるならば、NaHがすべて消費されることを確保するように、化学量論量より低い、僅かに不足量のNaHを用いることができる。不足量のNaHを用いることはCF3SO2NH2またはCF3SO2NHNaからの、完全より低いCF3SO2NNa2への転化という結果をもたらす。可溶性の残存CF3SO2NH2またはCF3SO2NHNaは、不溶性のCF3SO2NNa2から容易に洗い去られる。
【0031】
二金属スルホニルアミド塩(I)は真空下加熱して乾燥することができる。適当な温度はその具体的な組成に依存する。好まれるCF3SO2NNa2は、好ましくは80℃を越えない、最も好ましくは65℃を越えない温度で乾燥すべきである。好まれるCF3SO2NNa2を含む本発明の組成物のあるものは、分解閾値まで加熱されたときに激しい分解を起すことが観察されている。この化合物は水分に敏感であり、無水条件下で扱うべきである。この物質には激しい自然分解の強い可能性がある。室温における自然分解が観察されている。この物質を決して乾燥状態で扱わないことが強く推奨される。
【0032】
本発明の方法は以下の機構に従って進むと信じられている: 出発物質のスルホニルアミド(II)1モルは水素化物2モルと混和されて二金属スルホニルアミド塩1モルに完全に転化する。反応は第1段階でアミド(II)からその一金属塩(II)への転化をもたらすように進み、続いて二金属スルホニルアミド塩(I)を生成する追加的反応が起る。すなわち一金属塩(II)はアミド(II)が出発物質として用いられたときに生成する中間体である。
【0033】
一金属塩(II)はまた当業において公知の方法により別途製造することも可能であり、本発明の方法において出発物質として用いることができる。
【0034】
残留水素化物は二金属スルホニルアミド塩製品(I)の所期の用途においてその効率を妨げるとは考えられていない一方、残留一金属アミド/塩は不活性ではなく、相当な妨害作用を及ぼすが、Rがフェニル基である場合は例外である。きわめて高感受性の不飽和基を有する化合物を含むフッ化スルホニルをイミド化する一定の場合に、PhSO2NHNaは本発明のCF3SO2NNa2と同様の挙動をとることが見出されており、二重結合を攻撃しない。
【0035】
好ましい態様においては、本発明の方法の非プロトン性溶媒はアセトニトリルを包含する。アセトニトリルは他の非プロトン性溶媒よりも相当大幅に転化を促進することが見出されている。純アセトニトリル中では、本質的に定量的な転化が約4時間で達成される。THF中わずか5%のアセトニトリルの存在下、本質的に定量的な転化が約25時間で達成される。これらの結果はXueが記述した条件下で必要とされる6日間と著しい対照をなす。
【0036】
本発明の実施においては、大部分の非プロトン性溶媒は充分な時間をかければ高い転化率には至るであろうが、溶媒の選択が転化の速度に影響することが見出されている。アセトニトリルがきわめて好ましい。他の脂肪族および芳香族ニトリルは、適当ではあっても、Xueが用いたTHFより特に優れているようにはみえないが、しかしTHFの代替用に用いることができる。適当なニトリルとしては、より高級なアルキルニトリル、アジポニトリルのようなジニトリル、ベンゾニトリル、などが含まれる。他の適当な溶媒としては、エーテル類、ジメチルホルムアミド(DMFジメチルスルホキシド(DMSOジメチルアセトアミド(DMAC,およびアミド類が含まれる。適当な溶媒の組合せもまた本発明の実施のために適当である。
【0037】
上記の任意の方法は、単独でまたは組合せて,極めて高純度の形の本発明の組成物を提供する。
【0038】
95%純度を越えるきわめて高純度の形の二金属スルホニルアミド塩(RSO2NMb3-bM’、(I)、が本発明の方法によって容易に得られる。この高純度の形は、続いて以下に例示する各種のイミド化反応を実施し純粋な製品を高収率で生成するために適する。イミド化された製品の純度は本発明により製造された(I)の純度に直接依存する。本発明に記述されたいずれの製造法も、95%を越える純度で(I)を提供することができる。
【0039】
本発明の方法においては、アルカリまたはアルカリ土類水素化物を非プロトン性溶媒およびスルホニルアミドまたはその一金属塩(RSO2NH)3-aM”と接触させ、それによって反応混合物を生成するが、式中a=1または2であり、a=1である時M”はアルカリ土類金属であり、a=2である時M”はアルカリ金属または水素であり、そしてRはアリール、フルオロアリール、またはXCF2−(ここでXはH、ハロゲン、あるいはフッ素化されたかまたはフッ素化されていない直鎖状または環状の1〜10炭素を有し、場合により1個以上のエーテル酸素で置換されたアルキル基である)である。好ましくは水素化物は水素化ナトリウムであり、M”は水素であり、そしてRは1〜4炭素を有するペルフルオロアルキルである。最も好ましくは、RはCF3−である。本法においては、Rがより大きいほど、反応はより遅く転化速度はより低い。
【0040】
本発明の組成物は、同一分子中にアルカリおよびアルカリ土類金属の混合物を含む、アミド塩を形成する金属の混合物を含んでもよい。すなわち、例えば、もし2モルのCF3SO2NH2を1モルのCaH2と、続いて2モルのNaHと混和したならば、得られる生成物は(CF3SO2NNa)2Caを包含するであろう。本法においては他の多くの金属混合物を得ることができ、方法にとり入れられる。
【0041】
本発明の実施の一つの態様においては、反応混合物は溶媒の凝固点と沸点との間の温度で攪拌される。好ましい態様においては、室温で十分であることが見出されている。混合物は少くとも約50%の転化率に達するのに必要な時間反応させる。転化率は、当業において公知の任意の方法により発生する水素ガスの容積を測定することにより便利に測定される。好ましくは反応は、もはや水素ガスの発生が観察されなくなり、反応の完結が示されるまで進行させる。過剰のNaHが用いられる一つの態様においては、この点は、NMRによって溶媒中のフッ素シグナルが検知できなくなる点に相当することが見出されている。
【0042】
好ましくは、二金属スルホニルアミド塩反応生成物(I)は溶媒およびすべての残余の出発物質から、通常洗浄およびろ過の組合せによって分離する。本発明の実施においてCF3SO2NNa2はTHFのようなエーテル溶媒には僅かな可溶性を示すが,好まれる溶媒であるアセトニトリル中にはほとんど不溶であることが見出されている。それゆえ分離を容易にするためにアセトニトリルはさらに好ましい。
【0043】
本発明の組成物、特にスルホニルアミド塩の全濃度中90%を越えるCF3SO2NNa2モル濃度を有する好ましい組成物は、フッ化スルホニル含有フッ素化化合物からイミドを生成することに加えてフルオロ環状スルホンからきわめて望ましいフルオロモノマーを生成する目的に、驚くほど好適である。CF3SO2NNa2組成物はフッ化スルホニル官能性を有する広い範囲の各種不飽和化合物を二重結合を保護する必要なしに対応するナトリウムイミドに転換しうる。すなわち、それらから重合可能なイオン性モノマーが1段階反応で製造できる。このイオン性モノマーは、フッ化ビニリデンとコポリマーを生成し、続いてリチウムイミド型にイオン交換して、リチウムおよびリチウムイオン電池に用いるために特に好適な固体ポリマー電解質を生成するために特に有用である。
【0044】
同様に、好ましいCF3SO2NNa2組成物はまた、ペンダントフッ化スルホニル官能性を有するポリマーを対応するナトリウムイミドに転換する場合にも有用である。特に驚くべき様相においては、部分フッ素化されたモノマー単位を包含する、非常に特に、フッ化ビニリデンモノマー単位をフッ化フルオロビニルエーテルスルホニル(fluorovinylether sulfonyl fluoride)モノマー単位と組合せて有するポリマーを、非常に反応性が高い主鎖(backbone)が攻撃を受けることなく、対応するイミドに転換することができる。これはこの反応を実施するための唯一の方法を示している。フッ化ビニリデンモノマー単位を有するポリマーに対して、フッ化スルホニルのイミド化を、ポリマー主鎖への攻撃なしに実施することができる公知の方法はない。
【0045】
ここに記述した本発明の方法は、(RSO2NMa3-aM’製品を、工業的目的に適した転化速度で高転化率かつ高純度で製造する上で極めて効果的である。本発明は以下の具体的態様においてさらに例示を行う。
【0046】
【実施例】
実施例1
CF3SO2NH2はTokyo Chemical Industry,Portland,Oregon、(TCI)から購入し、乾燥し、約0.1Pa(10-3Torrの真空下、水冷(〜20℃)コールドフィンガー(cold-finger)および80℃の油浴を用い、昇華を二サイクル行って精製した。無水のアセトニトリルはEM Science Gibbstown,New Jerseyから購入し、乾燥状態を確保するためP25とスラリー化して蒸留し、ドライボックス中モレキュラーシーブ上で、使用時まで保管した。水素化ナトリウム(95%)はAldrich Chemicalから購入した。
【0047】
乾燥窒素雰囲気を有するHE−63−P型ドライボックス(Vacuum Atmosphere Company,Hawthorne,California)内で、丸底フラスコに30.003gの昇華させたCF3SO2NH2および750mlの乾燥アセトニトリルを装入した。反応混合物を磁気攪拌棒で攪拌しながら9.003gの水素化ナトリウムを60分間かけて徐々に加えた。反応混合物の温度は添加過程で21.6℃から50.5℃に上昇した。混合物を室温で20時間攪拌した。4〜5時間後反応媒体は不透明で「クリーム状」の外観を呈し、水素の発生を示すそれ以上の発泡は観察されなかった。
【0048】
反応した混合物はドライボックス内でガラスろ過器(中程度の目の細かさ)を通してろ過した。白色固体を100mlの無水アセトニトリルで3回洗浄し、ろ過器からシュレンクフラスコに移し、なおドライボックス内で真空下1Pa(10-2Torr室温で5時間乾燥した。ろ液の約10%がろ過器からシュレンクフラスコへ移す際に失われた。シュレンクフラスコを密閉し、ドライボックスから出して油ポンプ真空下0.1Pa(10-3Torr室温でさらに15時間真空状態においた。次にシュレンクフラスコを50℃に設定した油浴に浸して4時間保持し、そして浴を65℃に加熱し、シュレンクフラスコをその中にさらに20時間油ポンプ真空下0.1Pa(10-3Torrにおきながら保持した。この後、CF3SO2NNa2はドライボックス内でのみ扱った。
【0049】
30.0gの生成物が単離された。この生成物は110℃で大量のガスを発生しながら分解した。
実施例2
実施例1のドライボックス内で、フラスコにMeu゜doerffer et al、前掲、の方法によりC49SO2FおよびNH3から製造したC49SO2NH25.142gおよび実施例1にならって調製した無水アセトニトリル100mlを装入した。0.784gのNaH(Aldrich)を5分間かけて徐々に加えた。混合物を室温で24時間攪拌し観察は行わなかった。不溶性のC49SO2NNa2がフラスコの底に沈殿していた。反応混合物をガラスろ過器(目の細いもの)を通してろ過し、白色残留物を50mlの無水アセトニトリルで3回洗浄した。残留物をろ過器から集め、シュレンクフラスコに入れた。この後、その物質をドライボックスから取出して油ポンプ真空下0.1Pa(10-3Torr24時間65℃の油浴温度で乾燥した。C49SO2NNa2はドライボックス中でのみ扱った。4.37gの生成物が単離された。
実施例3
実施例1の試薬および装置を用い、ドライボックス内で3.123gの昇華させたCF3SO2NH2を100mlの無水アセトニトリルに丸底フラスコ中で溶解した。1.127gの水素化ナトリウムを徐々に加え第一反応混合物を生成した。水素化ナトリウムの添加は第一反応混合物を室温で磁気攪拌棒で攪拌しながら10分かけて行った。3時間後、溶液中のフッ素は19FNMRにより検出されず、CF3SO2NH2からCF3SO2NNa2への完全な転化が示され、それによってCF3SO2NNa2およびアセトニトリルに若干の残余のNaHが加わった混合物が生成した。
【0050】
Connolly et al.米国特許第3,282,875号、の方法によって製造したCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F(PSEPVE)をP25とスラリー化し、蒸留した。10.002gのこのように処理したPSEPVEを、上記により製造したCF3SO2NNa2とアセトニトリルの混合物に加えて第二反応混合物を生成した。第二反応混合物を室温で攪拌した。10分後、混合物は透明となってCF3SO2NNa2が完全に反応したことが示され、その後僅かに曇りNaF副生物の沈殿生成が示された。30分後フッ素NMRによりPSEPVEのイミド化形の高い濃度が確認された。反応した混合物を遠心分離し、ガラスろ過器(中程度の目の細かさ)を通してろ過した。残留物を100mlの無水アセトニトリルで洗浄した。すべての揮発分を0.1Pa(10-3Torrの真空下室温で除き、僅かにベージュ色の残留物を0.1Pa(10-3Torrで16時間110℃に加熱した。収量は9.494gであった。
【0051】
CD3CN中における19FNMRにより構造CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3が確認された。
CD3CN/Freon−11中の19 FNMR
【0052】
【化4】
Figure 0004871472
【0053】
MS:ネガティブエレクトロンスプレー;574.14,M−Na
実施例4
実施例1のドライボックス内で丸底フラスコにC49SO2FおよびNH3からMeu゜doerffer et al、前掲、の方法により製造したC49SO2NH25.027gおよび実施例1にならって調製した無水アセトニトリル100mlを装入した。0.890gの水素化ナトリウム(Aldrich)を徐々に加えて第一反応混合物を生成した。NaHの添加は室温で反応混合物を磁気攪拌棒で攪拌しながら10分間かけて行った。22時間の攪拌後、19FNMRにより溶液中のフッ素は検知できず、完全な転化が示され、これにより若干の残余のNaHで汚染された、アセトニトリル中のC49SO2NNa2の混合物が生成した。
【0054】
実施例3のPSEPVE7.797gを上記で製造したC49SO2NNa2とアセトニトリルの混合物に加え第二反応混合物を生成した。第二反応混合物を室温で攪拌した。10分後、混合物は透明となり、C49SO2NNa2の完全な反応が示され、次に僅かに曇ってNaF副生物の沈殿生成が示された。30分後に測定した反応混合物のNMRによりPSEPVEのイミド化形が高濃度で存在することが示された。反応混合物を遠心分離しガラスろ過器(中程度の目の細かさ)を通してろ過した。残留物を100mlの無水アセトニトリルで洗浄した。真空下すべての揮発分を除き、わずかにベージュ色の残留物を0.1Pa(10-3Torrで16時間110℃に加熱した。収量は8.358gであった。
【0055】
CD3CN中における19FNMRにより構造
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2(CF23CF3が確認された。
CD3CN/Freon−11中の19 FNMR
【0056】
【化5】
Figure 0004871472
【0057】
MS:ネガティブエレクトロンスプレー;723.98,M−Na
実施例5
ドライボックス内で丸底フラスコに実施例1にならって製造したCF3SO2NH23.051gおよび実施例1にならって調製した無水アセトニトリル100mlを装入した。1.068gのNaH(Aldrich)を5分間かけて徐々に加えた。混合物を室温で26時間ドライボックス内で攪拌し、フッ素NMRによりフッ素が検知されなくなるまで定期的に検査を行った。3.27gのC65SO2FをAldrichから受入れたままで用いフラスコに加えた。このようにして生成した反応混合物を室温で144時間攪拌した。反応混合物を遠心分離し、すべての揮発分を反応溶液から除いた。残留物を110℃で24時間0.1Pa(10-3Torrで乾燥した。残留物を100mlの無水アセトニトリルに再溶解し、ろ紙でろ過した。すべての揮発分を溶液から除いた。残留物を110℃で16時間0.1Pa(10-3Torrで乾燥した。
【0058】
CD3CN中におけるNMRおよび質量スペクトルにより構造PhSO2N(Na)SO2CF3が確認された。収量は4.284gであった。
CD3CN中の19 FNMR:−79.9ppm(CF3、3F)
CD3CN中の1 HNMR: 7.90ppm(2H),7.54ppm(3H)MS:ネガティブエレクトロンスプレー;288.09,M−Na
実施例6
実施例1にならい、丸底フラスコに実施例1にならって製造したCF3SO2NH23.082gおよび実施例1にならって調製した無水アセトニトリル100mlを装入した。1.134gのNaH(Aldrich)を5分間かけて徐々に加えた。混合物を室温で16時間ドライボックス内で攪拌した。NMRによりフッ素は検知できなかった。2.025gのCH3SO2F(Aldrich、受入れたままのもの)を加えた。このようにして生成した反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物を遠心分離し、すべての揮発分を除いた。残留物を110℃で24時間10-3Torrで乾燥した。残留物を100mlの無水アセトニトリルに再溶解し、ろ紙でろ過した。すべての揮発分を溶液から除いた。残留物を110℃で16時間10-3Torrで乾燥した。収量は4.20gであった。
【0059】
CD3CN中におけるNMRおよび質量スペクトルにより構造CH3SO2N(Na)SO2CF3が確認された。
CD3CN中の19 FNMR:−79.7ppm(CF3、3F)
CD3CN中の1 HNMR: 2.966ppm(3H)
MS:ネガティブエレクトロンスプレー;226.06,M−Na
実施例7
Aldrichから受入れたTHFに金属ナトリウムを加えて還流し、蒸留して、無水THFを調製した。実施例1にならい、実施例1において製造したCF3SO2NNa20.646gをこのようにして調製した無水THF50ml中に懸濁した。環状スルホン
【0060】
【化6】
Figure 0004871472
【0061】
をShanghai Institute of Organic chemistryから購入した。この受入れた物質を多重回転帯蒸留(multiple spinning band distillation)で処理し、P25から凝縮させた。懸濁液を磁気攪拌棒で攪拌しながらこのように処理した環状スルホン0.900gを加えた。反応混合物は透明となりCF3SO2NNa2が完全に反応したことが示され、そして微粉が沈殿を始めNaF副生物の生成を示した。30分後、d8−THF中の19FNMRにより構造CF2=CFOCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3が確認された。
【0062】
反応混合物を20分間遠心分離し、中程度の目の細かさのガラスろ過器を通して傾斜した。すべての揮発分を真空下で除き、微黄色の残留物を100℃で24時間0.1Pa(10-3Torrの油ポンプ真空下で乾燥した。収量は1.057gであった。
【0063】
【化7】
Figure 0004871472
【0064】
実施例8
実施例1のドライボックス内で1.200gの実施例2のC49SO2NNa2を50mlの実施例7のTHF中に懸濁した。懸濁液を磁気攪拌棒で攪拌しながら0.981gの実施例7の環状スルホンを室温で加えた。次の2〜3時間のうちに反応混合物は透明となり、微粉が沈殿を始めた。120分後に測定したd8−THF中の19FNMRはCF 2 =CFOCF 2 CF 2 SO 2 N(Na)SO 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 3 の生成を示した。
【0065】
反応混合物を20分間遠心分離し、中程度の目の細かさのガラスろ過器を通して傾斜した。すべての揮発分を真空下で除き、微黄色の残留物を100℃で24時間0.1Pa(10-3Torrの油ポンプ真空で乾燥した。生成物は1.685gのCF 2 =CFOCF 2 CF 2 SO 2 N(Na)SO 2 CF 2 CF 2 CF 2 CF 3 であった。
CD3CN中における19NMR
【0066】
【化8】
Figure 0004871472
【0067】
実施例9
ベンゾニトリル(Aldrich)をP25と混合し蒸留することによって乾燥した。実施例1の試薬および設備を用い、ドライボックス内で3.008gの昇華させたCF3SO2NH2を90mlの乾燥させたベンゾニトリルに丸底フラスコ中で溶解した。第一反応混合物を生成するために、反応混合物を室温で磁気攪拌棒で攪拌しながら、1.018gの水素化ナトリウムを徐々に加えた。反応混合物の外観は10分後に変化した。白色の沈殿が生成しスラリーが濃厚になった。まもなく反応混合物の色が黄色に変化した。60分後、反応混合物は赤色であった。6時間後なお、溶液中でフッ素が19FNMRにより検出できた。合計24時間後室温で、8.511gの実施例3のPSEPVEを加え、それによって第二反応混合物を生成させた。第二反応混合物を室温で攪拌した。色相は赤から黄色に変化した。2時間後CD3CN中における19FNMRによって構造CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成が確認された。
実施例10
本実施例においては、反応により発生する水素ガスの容積を時間の関数として測定するための装置を用いた。装置を図1に示す。磁気攪拌棒、2、を納めた三口丸底フラスコ、1、の一つの口にフラスコへ固形物を供給するために用いる75度の角度を有する固形反応物添加装置SRAD、3、を取り付けた。第二の口には熱電対検出端、4、をとりつけ、第三の口にはコック、5、をとりつけた。コック、5、は4cmのTygon(商標)チューブ、6、を経て鉱油を含むAldrich Safe−purge(商標)バルブ、7、と連結した。Safe−purge(商標)バルブ、7、はゴム管、8、を経由して、水を満たした600mlビーカー、10、中に倒立させて配置した水を満たした250mlメスシリンダー、9、と連結した。フラスコ、1、は磁気攪拌機、11、上に配置した。操作時に液状反応物は任意の口からフラスコに装入し、SRAD,3,には望まれる量の固形反応物を装入し、フラスコ、1、に図に示したような下方に向けた位置で再び取り付けた。ビーカー、10、には容量の約50%の水を満たし、一方メスシリンダー、9.には水を完全に満たした。コック、5、を開き、アダプター,3,を逆に向けて固形反応物をフラスコ中の反応物に送りこみ、それにより反応を開始させた。反応からの水素は発生するに従い、メスシリンダーから水を排除し、水素発生の速度および全体量を測定するための容積測定手段を与える。
【0068】
実施例1の方法および物質を用い、ドライボックス内で、0.546gの昇華させたCF3SO2NH2を100mlの無水アセトニトリル中に図1の三口丸底フラスコ中で溶解した。0.213gの水素化ナトリウムを注意深くSRAD中に装入した。密閉したフラスコを注意深くドライボックスから取出し、図1の残りの装置と接続した。すべての接続が完成した後に、反応フラスコへのコックを開いた。反応混合物を室温で攪拌し、SRADを逆さにして、それによりNaHをフラスコ中の溶液に供給した。直ちに反応を観察することができた。5分間の間に80mlのガスが捕集された。反応混合物の温度は23℃から26℃に上昇した。次の120分間の間にガスの生成はゆるやかになり、74mlのガスがメスシリンダー中に捕集された。この期間に反応混合物の外観は変化した。反応混合物中の微細残査は,攪拌を止めれば容易にフラスコの底に沈降する、より濃厚な沈殿となった。反応混合物を更に1時間室温で攪拌し、この間に10mlのガスが追加捕集された。フラスコをドライボックスに入れ、溶液の試料をNMRに供した。フッ素は検出されず、CF3SO2NHNaから不溶性のCF3SO2NNa2への完全な転化が示された。
実施例11
過剰のCF3SO2NH2およびNaOHを水中で反応させ、CF3SO2NNaHを製造した。水および過剰のCF3SO2NH20.1Pa(10-3Torrの真空下70℃で除き、残留物を110℃で16時間0.1Pa(10-3Torrで乾燥した。実施例1の手順に従い、ドライボックス内で、磁気攪拌棒を備えた250ml二口丸底フラスコに1.034gのCF3SO2NNaHを装入した。この物質を100mlの実施例1の無水アセトニトリルに溶解した。三口フラスコを二口フラスコに変え熱電対を省いた以外は実施例10の手順に従った。反応混合物を室温で攪拌し、SRADを逆さにして、それによりNaHをフラスコ中の溶液に供給した。直ちには反応は観察できなかった。最初の150分間には、合計10mlの発生ガスが捕集できたのみであった。150分後、ガスの生成が始まった。次の105分間の間にメスシリンダー中には135mlのガスが追加捕集された。この間に、反応混合物の外観が変化した。反応混合物中の微細な残査は、攪拌を止めると容易にフラスコの底に沈降するより濃厚な沈殿となった。反応混合物を更に14時間室温で攪拌した。この間に10mlのガスが追加捕集された。フラスコをドライボックスに入れ、溶液の試料をNMRに供した。フッ素は検出できず、CF3SO2NHNaから不溶性のCF3SO2NNa2への完全な転化が示された。
実施例12
実施例11の手順に従いフラスコに0.939gのCF3SO2NHNaを装入し、これを100mlの無水アセトニトリルに溶解した。0.214gのNaHをSRADに入れた。図1の残りの装置に連結した後、反応混合物を室温で攪拌し、SRADを逆さにして、それによりNaHをフラスコ中の溶液に供給した。直ちには反応は観察できなかった。最初の3時間の間には、合計5mlのガスが発生したのみであった。次の60分間にはガスの発生が観察され、135mlのガスがメスシリンダー中に捕集された。この間に、反応混合物の外観が変化した。反応混合物中の微細な残査は、攪拌を止めると容易にフラスコの底に沈降するより濃厚な沈殿となった。ガスの発生速度は約4時間の反応の後大きく減少することが観察された。反応混合物を更に14時間室温で攪拌した。この間に20mlのガスが追加捕集された。フラスコをドライボックスに入れ、溶液の試料をNMRに供した。フッ素は検出できず、CF3SO2NHNaから不溶性のCF3SO2NNa2への完全な転化が示された。
実施例13
実施例11の手順に従い、250ml二口丸底フラスコに0.189gのNaHおよび実施例1にならって調製した無水アセトニトリル50mlを装入した。実施例11にならって製造したCF3SO2NHNa0.879gを実施例1にならって調製した無水アセトニトリル50mlに溶解し、実施例11のSRAD装置に代えて備えた滴下漏斗に装入した。必要な連結を行った後、反応混合物を室温で4時間攪拌した。ガスの生成は観察されなかった。CF3SO2NHNa溶液を添加し反応混合物を引続き室温で攪拌した。18時間後、合計20mlの発生ガスが捕集できたのみであった。反応混合物は鮮黄色であり、期待された外観ではなかった。多量の黄色の沈殿が生成した。反応混合物は廃棄した。
【0069】
この反応が期待されたように進まなかった理由は不明である。
実施例14
実施例10の手順に従い、ドライボックス内で、250ml三口丸底フラスコに実施例1にならって調製した無水アセトニトリル75mlを装入した。0.189gのNaHをSRAD中に装入した。実施例10のCF3SO2NHNa0.879gを実施例1にならって調製したアセトニトリル25mlに溶解し、実施例10の熱電対に代えて備えた滴下漏斗に装入した。必要な接続を行った後に、反応混合物を室温で攪拌し、NaHを直ちに溶媒に加えた。3時間の間に6mlのガスが捕集された。CF3SO2NHNa溶液を加え反応混合物を引続き室温で攪拌した。CF3SO2NHNa添加の1時間45分後にはさらに4mlのガスが捕集されていた。反応混合物は微黄色に変った。CF3SO2NHNa添加の4時間後、反応は始まったようであった。一ナトリウム塩溶液添加の6時間40分後には、添加以来の合計80mlのガスが捕集されていた。反応混合物を更に14時間30分攪拌した。合計116mlのガスが捕集された。103mlが期待捕集量であった。フラスコをドライボックスに入れ、溶液からNMR用の試料を採取した。−80.6ppmにフッ素シグナルの痕跡が検出されたのみであり、CF3SO2NHNaから不溶性のCF3SO2NNa2への転化が示された。
【0070】
実施例3にならって製造したPSEPVE2.120gを、黄色を帯びた固形物を含むこのとき鮮黄色の溶液に加えた。反応混合物はオレンジ色となり、室温で約15分間攪拌した後、反応混合物は透明となった。微細な沈殿物が生成した。1時間後NMR試料を採取し、製品CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成および過剰のPSEPVEが示された。
比較例1
実施例1のドライボックス内で、フラスコに0.93gの実施例11からのCF3SO2NHNa、0.135gのNaH(Aldrich)および20mlの無水THF(Aldrich;金属Naを加えて蒸留した)を装入した。反応混合物を4時間室温で攪拌し、次にガラスろ過器(目の細かいもの)を通してろ過した。ろ液をフラスコに集めドライボックスから取出した。すべての溶媒を真空下0.1Pa(10-3Torrで除き、残留物を0.1Pa(10-3Torrで24時間65℃に熱した。0.862g(5.04mmol)のCF3SO2NHNaが回収され、これは出発物質の92.6%に相当した。乾燥物をドライボックスに入れ、50mlの無水アセトニトリルを加えたが、それはCF3SO2NNa2はTHFに微溶性であるという疑いがあったからである。物質の大部分はアセトニトリルに溶解し、痕跡量の固体が溶液中に観察されたのみであった。この残査を分離する試みはなされなかった。THF中室温では10%未満のCF3SO2NHNaが4時間後にCF3SO2NNa2に転化したと推定するのが安全であろう。
実施例15
実施例11の手順に従い、ドライボックス内で、丸底フラスコに0.866gの実施例11のCF3SO2NHNaを装入した。この物質を100mlの無水THF(Aldrich,金属Naを加えて蒸留し、ドライボックス内でモレキュラーシーブ上に保存した)に溶解した。0.171gのNaHをSRADに装入した。実施例10により必要な連結を行った後、反応混合物を室温で攪拌し、NaHを溶液に加えた。目に見える反応は観察できなかった。標準状態において合計113.3mlの捕集水素が得られればそれは反応完結を示すものと予想された。捕集ガスを時間の関数として表1に示した。
【0071】
【表1】
Figure 0004871472
【0072】
反応は室温で6日後に完結した。反応フラスコをドライボックス内に入れた。
【0073】
実施例3にならって製造したPSEPVE2.511gを白色固形物を含む無色の反応混合物に加えた。室温で10分間攪拌した後、反応混合物は透明となった。微細な沈殿が生成した。1時間後にNMR試料を採取し、製品CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成および過剰のPSEPVEが示された。
実施例16
実施例11の手順に従い、ドライボックス内で、丸底フラスコに0.633gの実施例11のCF3SO2NHNaを装入した。この物質を実施例1にならって調製した無水アセトニトリル100mlに溶解した。0.103gのNaHをSRADに装入した。必要な連結を行った後、反応混合物を攪拌し、フラスコを50℃に設定した油浴に浸して加熱した。反応混合物を2時間加熱し、圧力はフラスコ内で均等化した。30分間は圧力はバブラーを通して放出されなかった。2時間加熱した後、NaHを溶液に加えた。20分間は目に見える反応は観察できなかった。20分後、ガスが反応混合物から放出された。約83mlのガス放出が完全な転化に対応すると計算された。
【0074】
【表2】
Figure 0004871472
【0075】
ガスの生成は1時間後停止した。ガスの捕集記録を表2に示した。反応混合物はさらに1時間油浴温度50℃で攪拌したがそれ以上ガスの累積は起らなかった。反応フラスコをドライボックス内に入れ、白色残査上の透明溶液からNMR試料を採取した。−80.6ppmにフッ素シグナルの痕跡のみがNMRスペクトルのノイズ中に検出され、CF3SO2NHNaから不溶性のCF3SO2NNa2への転化が示された。
【0076】
実施例3にならって製造したPSEPVE1.740gを、白色固形物を含む無色の反応混合物に加えた。反応混合物は黄色となり、室温で10分間攪拌した後、反応混合物は無色となった。微細な沈殿が生成した。1時間後NMR試料を採取し、製品CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成および過剰のPSEPVEが示された。
実施例17
実施例11の手順に従い、フラスコに1.195gのCF3SO2NHNaを装入し、95mlのTHFおよび5mlの無水アセトニトリルの混合物に溶解した。0.195gのNaHをSRADに装入した。実施例10の装置の残りに連結した後、NaHをフラスコ中の反応物に加えた。直ちには反応は観察できなかった。最初の1時間の間には合計4mlのガスが発生したのみであった。次の5時間の間には、期待される157mlの水素ガスのうち、合計7mlのみが捕集された。反応混合物を室温で合計25時間攪拌しそれ以上の観察は行わなかった。この間に160mlのガスが捕集された。
【0077】
実施例3にならって製造したPSEPVE4.500gを、白色固形物を含む無色の反応混合物に加えた。反応混合物の色は変化せず、そして室温で10分攪拌した後に反応混合物は透明となった。微細な沈殿が生成した。1時間後NMR試料を採取し、製品CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2N(Na)SO2CF3の生成および過剰のPSEPVEが示された。
実施例18
実施例1の試薬と装置を用い、ドライボックス内で、丸底フラスコに3.033gの昇華させたCF3SO2NH2を装入し、50mlの無水アセトニトリルに溶解した。1.511gのCaH2(Aldrich;90〜95%)を加えた。反応混合物を室温で48時間磁気攪拌棒で攪拌した。この期間の後、NMRにより反応混合物中にフッ素は検知できず、CF3SO2NH2から(CF3SO2NCa)2への完全な転化が示された。
【0078】
実施例3にならって製造したPSEPVE9.461gを加え反応混合物を室温で攪拌した。室温で24時間後製品への転化は観察できなかった。
【0079】
反応混合物を7日間60℃に加熱した。反応混合物をドライボックス内でガラスろ過器(中程度の目の細かさ)を通してろ過し、溶液を集めたフラスコをドライボックスから取出した。すべての揮発物を真空下0.1Pa(10-3Torrで除き、ベージュ色の残留物を0.1Pa(10-3Torrで16時間100℃に加熱した。
【0080】
CD3CN中における19FNMRにより構造、
(CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2NSO2CF32Caが確認された。
収量は1.729gであった。
CD3CN中における 19 FNMR
【0081】
【化9】
Figure 0004871472
【0082】
MS:ネガティブエレクトロンスプレー;573.98,(M−Ca)/2
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明の方法において発生する水素の量を測定するために用いられる装置を示す。

Claims (2)

  1. スルホニルアミド塩を包含し、該塩がその少くとも50モル%は、式(RSO2NMb3-bM’c
    式中Rはペルフルオロメチルであり、M’はアルカリ土類金属であり、b=1または2であり、c=0または1であり、bがそれぞれ1または2でありc=0である時Mはアルカリ土類またはアルカリ金属であり、b=1かつc=1である時Mはアルカリ金属であり、但しb=2である時c≠1である、
    によって示されるスルホニルアミド塩である、スルホニルイミドを製造するための組成物。
  2. Rがトリフルオロメチルである、請求項記載の組成物。
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