JP4870871B2 - 塗布器具およびそれを用いたエアゾール製品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗布器具およびそれを用いたエアゾール製品に関する。さらに詳しくは、高いマッサージ効果が得られ、しかもエアゾール製品のエアゾール組成物を周囲に飛散することなく、所望の場所に効果的に塗布することができる塗布器具およびそれを用いたエアゾール製品に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
一般のエアゾール製品は、塗布面に霧状で噴霧するものや、泡状やゲル状で吐出する形態があり、これら製品は、噴射ボタンを押下げ操作をすると同時にエアゾール容器内のエアゾール組成物が塗布される。
【0003】
霧状に噴射する場合は、エアゾール組成物を広範囲に付着させることができるとともに冷却感が得られる。しかし、噴霧粒子が塗布面で飛散しやすいため、不要な箇所に付着したり、使用者が吸引するおそれがある。
【0004】
一方、泡やゲル状で吐出する場合は、エアゾール組成物を所望の箇所に効果的に塗布することが可能であり、指で塗り伸ばすことによりマッサージ効果が得られる。しかし、塗り伸ばす指にエアゾール組成物が付着するため、使用後に拭き取ったり、洗い流すなどの行為が必要となる。
【0005】
育毛剤や消炎鎮痛剤などのエアゾール製品では、使用用途に応じた形状を有する塗布部材を塗布面に押しつけて、エアゾール組成物を噴射させるエアゾール製品がある。
【0006】
たとえば、噴射ボタンを直接頭皮に押しつけながら噴射するエアゾール容器(特公平6−26572号公報)や、複数の突起を備え、この突起を塗布面に押しつけながらエアゾール組成物を噴射し、さらにエアゾール組成物の運動エネルギーを利用して振動を与えるエアゾール装置(特公平6−34805号公報)や、塗布部材に回転可能な押圧ボールを備え、押圧ボールを回転させることによって刺激を与えるエアゾール装置(特開平9−132282号公報)などがある。
【0007】
特公平6−26572号公報および特公平6−34805号公報記載の装置では、塗布部材を塗布面に押しつけてエアゾール組成物を噴射するため、噴射とともにマッサージ効果が得られたり、塗布面での飛び散りを防止できる。しかし、押し付けによる刺激感しか得られず(つぼを押えるのみで、ほぐす効果がない)、充分なマッサージ効果が得られない、という問題がある。
【0008】
また、特開平9−1332282号公報記載のエアゾール装置では、図に示されるように、噴射ノズル31の先端面に回転自在に配設された押圧用のボール32を回転させながらエアゾール組成物を噴射ノズル31の噴射口33から噴射することができるため、指を用いずに、塗布部材を用いてエアゾール組成物を皮膚Sの表面に塗り伸ばすことができ、さらに押付け方向だけでなく、横方向へもマッサージすることができる(ボールが転がるときのマッサージ感が得られる)。しかし、押圧用のボール32が大きいため、押し付けたときの力が患部に伝わりにくく、局部的にマッサージしたい場合には不向きである。また噴射面と噴射ノズルが比較的大きな間隔を形成しているため、広い範囲へ塗布できるが、エアゾール組成物が噴射面で飛び散りやすいという問題がある。
【0009】
本発明はかかる問題を解消するためになされたものであり、高いマッサージ効果が得られ、しかもエアゾール製品のエアゾール組成物を周囲に飛散することなく、所望の場所に効果的に塗布することができる塗布器具およびそれを用いたエアゾール製品を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の塗布器具は、エアゾール製品のエアゾール組成物を対象物に塗布するための塗布器具であって、
前記エアゾール組成物を内蔵したエアゾール容器のバルブに接続される噴射経路が内部に形成され、外面に噴射口が形成された本体と、該本体の外面に回転自在に配設された複数の小球とからなり、
前記複数個の小球は、前記噴射口を囲むように設けられ、かつ、突起が前記噴射口を囲むように環状に設けられ、
前記複数の小球が噴射対象物と接して噴射口と噴射対象物とのあいだを均等な距離に保つことができ、
前記噴射経路に送られ、前記噴射口から噴射されるエアゾール組成物を、前記対象物の表面において小球を転動させるとともに、本体外面の少なくとも一部で塗布することができることを特徴としている。
【0011】
前記小球の直径が1〜10mmであるのが好ましい。
【0012】
前記本体の前記エアゾール容器が接続される側と反対側に、前記本体から延びる延長部が形成され、該延長部の先端に前記噴射口が形成されるとともに前記小球が回転自在に配設されてなるのが好ましい。
【0015】
本発明のエアゾール製品は、前記塗布器具を用いたエアゾール製品であって、エアゾール容器のバルブに前記塗布器具が接続されてなることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明の塗布器具およびそれを用いたエアゾール製品をさらに詳細に説明する。図3は図1の塗布器具の噴射状態を示す断面説明図、図4は本発明の塗布器具を用いたエアゾール製品の実施の形態を示す斜視説明図である。
【0017】
図1〜2に噴射口部分を主体にして突起を省略して示される塗布器具を用いたエアゾール製品は、エアゾール組成物が加圧充填された従来公知のエアゾール容器1と、該エアゾール容器1のバルブ3に接続された塗布器具2とから構成されている。なお、エアゾール容器1と塗布器具2とのあいだの隙間は、リング状のカバーCによって覆われている。
【0018】
本実施の形態の塗布器具2は、内部に噴射経路5が形成され、外面に噴射口9が形成された本体4と、本体4の外面に回転自在に配設された複数の小球6とから構成されている。
【0019】
図2および図3(a)に示されるように、塗布器具2を噴射対象物(たとえば図3(a)の皮膚S表面の患部)に軽く押し当てながら、小球6が転動できるようにエアゾール製品を動かすことにより、バルブ3が開放され、容器内のエアゾール組成物は噴射経路5に送られ、噴射口9から噴射される。このとき、図3に示されるように、噴射口9と噴射対象物との距離は短く、噴射されたエアゾール組成物は周囲に飛散することがない。また、噴射対象物上で複数の小球6を転動させながら、噴射されたエアゾール組成物を塗布器具2の外面から少なくとも一部で塗りのばすことができるため、噴射対象物にマッサージ感を与えながら、エアゾール組成物が液だれすることなく、効果的に塗布することができる。
【0020】
なお、図3(a)の場合、本体4の先端面は噴射対象物に直接接触していないが、噴射口9と噴射対象物との距離が短いため、噴射対象物上に堆積されたエアゾール組成物を塗りのばすことができる。
【0021】
また、複数の小球6を所望の箇所(たとえば、肩や首筋など)に押し当てることにより、効果的にマッサージを行なうことができる。すなわち、小球1個当りの患部と接触する面積が小さいが、曲面の角度が大きいため、対象物に押し当てたときの圧力が大きく、マッサージ効果が高くなる。しかも、狭い範囲を効果的にマッサージすることができる。また、小球6は、マッサージ効果を付与するだけでなく、図3(a)に示されるように、複数個設けることで噴射口9と噴射対象物とのあいだにわずかな隙間を均等に形成する機能を有する。噴射口9が噴射対象物に完全に密着してしまうと噴射しにくくなり、また、本発明の比較例である図3(b)に示されるように、小球が1個の場合、噴射対象物に対して噴射口9が傾いて噴射すると、エアゾール組成物が飛散しやすくなるが、図3(a)のように、小球6を複数個設けることで、各小球6が噴射対象物と接して噴射口9と噴射対象物とのあいだを均等な距離に保つことができる。一方、噴射口9と噴射対象物との距離が長すぎると、噴射されたエアゾール組成物が飛散しやすくなる。噴射口9と噴射対象物との好ましい距離は、前述の理由から0.1〜4mmである。
【0022】
小球6の直径は、1〜10mm程度に設定されるのが好ましい。その理由は、10mm以下であれば、患部に圧力が伝わりやすく、しかも、噴射口9と対象物上の塗布面とのあいだの距離が適度に短くなって(小球6の半径以下)、噴射口9から噴射されるエアゾール組成物が周囲に飛散するのを防止することができるからである。さらに、塗布器具の外面の少なくとも一部で塗りのばすことができるため、液たれを防止でき、効果的に塗布することができる。また、1mm以上であれば、良好に小球が転動することができるとともにすぐれたマッサージ感が得られる。一方、小球が小さすぎるとマッサージ感が得られなかったり、小球を押し当てたときに皮膚の弾力で噴射口と皮膚が密着するため、噴射しにくくなる。
【0023】
さらに、本実施の形態の塗布器具2は、図1〜2に示されるように、本体4から前方に延びる延長部8が形成され、延長部8の先端に噴射口9および小球6が回転自在に配設されているため、背中やうなじなどの届きにくい箇所やわきの下などの狭い領域にも容易でしかも確実にエアゾール組成物を塗布することができる。さらに、軽い力でバルブを作動させることができるため、使い勝手がよい。
【0024】
また、本発明の他の実施の形態として、図4に示されるように、塗布器具10の本体11の平坦な先端面12に、3〜10個程度の多数の小球6を回転自在に配設した場合、一度に多数の小球6が患部に接触することができるため、マッサージ効果がさらに向上する。
【0025】
この実施の形態では、噴射されたエアゾール組成物を塗り伸ばしやすくするために、先端面12に突起12aを設けている。突起12aの位置はとくに限定されないが、この実施の形態のように、噴射口9を囲うように設けたり、先端面12の外周に環状に設けることにより、エアゾール組成物を噴射したときの飛散をさらに少なくすることができる。また、突起12aの大きさは、小球6が先端面12から露出している高さより小さいことが好ましい。
【0026】
また、この実施の形態では噴射口9を3個設けており、噴射口9を複数個設けることにより、エアゾール組成物を分散させて噴射することができるため、噴射の勢い(噴射圧)を小さくすることができ、噴射対象物への刺激が少なくなる。さらに、液化ガスを多く配合したエアゾール組成物の場合は、液化ガスの気化熱による冷却感を分散させることができるため、過冷却(凍傷)を防止できる。
【0031】
本発明の小球を有する塗布器具で塗布が可能なエアゾール組成物としては、たとえば、人体の肩、首、背中、関節、手足または足の裏などに付与される消炎鎮痛剤、血行促進剤、かゆみ止め剤、制汗剤、消臭剤、殺菌剤または芳香剤などの薬液、または頭皮に付与される養毛剤またはクレンジング剤などの薬液などが適用可能である。
【0032】
以上の実施の形態では、もっとも日常的に用いられる使用形態として、本発明の塗布器具がエアゾール容器に接続された例をあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンプレッサなどの他の供給源に塗布器具を接続してもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、高いマッサージ効果が得られ、しかもエアゾール製品のエアゾール組成物を周囲に飛散することなく、所望の場所に効果的に塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の塗布器具を用いたエアゾール製品の一実施の形態の突起を省略した噴射口および小球部分を示す斜視説明図である。
【図2】 図1の塗布器具の断面説明図である。
【図3】 図1の塗布器具の噴射状態を示す断面説明図である。
【図4】 本発明の塗布器具を用いたエアゾール製品の一実施の形態を示す斜視説明図である
【図】 従来の押圧用のボールを備えた塗布部材の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 エアゾール容器
2、10、14 塗布器具
4、11、15 本体
6 小球
17 空間部

Claims (4)

  1. エアゾール製品のエアゾール組成物を対象物に塗布するための塗布器具であって、
    前記エアゾール組成物を内蔵したエアゾール容器のバルブに接続される噴射経路が内部に形成され、外面に噴射口が形成された本体と、該本体の外面に回転自在に配設された複数の小球とからなり、
    前記複数個の小球は、前記噴射口を囲むように設けられ、かつ、突起が前記噴射口を囲むように環状に設けられ、
    前記複数の小球が噴射対象物と接して噴射口と噴射対象物とのあいだを均等な距離に保つことができ、
    前記噴射経路に送られ、前記噴射口から噴射されるエアゾール組成物を、前記対象物の表面において小球を転動させるとともに、本体外面の少なくとも一部で塗布することができる塗布器具。
  2. 前記小球の直径が1〜10mmである請求項1記載の塗布器具。
  3. 前記本体の前記エアゾール容器が接続される側と反対側に、前記本体から延びる延長部が形成され、該延長部の先端に前記噴射口が形成されるとともに前記小球が回転自在に配設されてなる請求項1または2記載の塗布器具。
  4. 請求項1、2または3記載の塗布器具を用いたエアゾール製品であって、エアゾール容器のバルブに前記塗布器具が接続されてなるエアゾール製品。
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