JP4870320B2 - ヒドロキシカルボン酸の結晶化法 - Google Patents

ヒドロキシカルボン酸の結晶化法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、下記一般式(1)
Figure 0004870320
(式中、RはCH、CHOH、CHOCOR、CO、CONR、OH、CHOR、またはCHNRであり;
はC1〜5アルキルであり;RはH、またはC1〜5アルキルであり;R及びRは、HまたはC1〜5アルキルから独立して選択され;a及びbは共に二重結合であるか、aまたはbの一方が単結合であり他方が二重結合であるか、またはaとbが共に単結合である)で表される化合物の結晶化法に関する。該化合物(1)は、高脂血症の治療薬、特に下記一般式(3)
Figure 0004870320
または、下記一般式(4)
Figure 0004870320
(式中ZはH、C1〜5アルキル、またはフェニル、ジメチルアミノまたはアセチルアミノからなる群の1種で置換されたC1〜5アルキルであり;

Figure 0004870320
であり;
R、a、及びbは前記に同じであり;RはHまたはCHである)で表されるHMG−CoA還元酵素を阻害することでコレステロール生合成を制限する一群の高機能薬剤の共通中間体として極めて有用な化合物である。
背景技術
従来、該化合物(1)は、対応するアンモニウム塩などの塩として単離された報告はあるものの(特開平6−7176号公報)、化合物(1)の単体結晶として単離された例は知られていない。化合物(1)は、一般式(2)
Figure 0004870320
で表される化合物(2)から合成することができるが、化合物(1)の取得法としては、化合物(2)の側鎖アシル基を酵素的に水解して溶液として得ている例(ヨーロッパ特許公開番号EP0486153A2号)やアルカリ水解後に溶媒抽出して溶液で得ている例(特開昭56−122375号公報)、また、化合物(1)を含む培養液を溶媒抽出して抽出溶液として得ている例(特開平6−7176号公報)などがあるものの、いずれも溶液状態での取得であった。
従来の化合物(1)の取得方法には、工業的に利用する上で幾つかの問題があった。例えば、溶液として取得する方法においては、溶媒置換工程を経ない限り次工程での反応溶媒種が脱アシル化や抽出で使用された溶媒種、或いは、その溶媒を含む混合溶媒に制限されることになる。また、溶液状態では移送や保管等の取り扱いに関して利便性が悪く、汎用性のある中間体として用いるには問題があった。さらに、医薬品中間体には一般に高い品質が要求されるが、溶液で取得する場合は精製法が限られ、例えばイオン交換法による精製などが適用できるものの、汎用設備で安価、かつ高純度品を取得するというのは困難である。
また、特開平6−7176号公報においてアンモニウム塩として単離できることは知られているものの、塩としての取得では、一般に析出に適した溶媒系へ置換する操作が煩雑なこと、カルボキシル基を有する不純物が共存している場合では効率的な精製が難しいこと、塩での取得では次工程での溶媒種などが制限されることなどから、工業的に優れた方法とは言えない。
発明の要約
本発明者らはこれらの課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、油状化やスケーリングを回避でき、操作性良く取り扱える良好な結晶として化合物(1)を取得できる、工業的に実施可能な晶析法を見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)で表される化合物(1)のアルカリ塩溶液と有機溶媒を混合したものを、結晶化終了時での化合物(1)の溶解度が3重量%以下となるよう酸性化することで化合物(1)を結晶化させる化合物(1)の結晶化法である。
また本発明は、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液と水を混合して化合物(1)を結晶化する方法であって、あらかじめ化合物(1)の油状化及びスケーリングを抑制するために必要な懸濁量のスラリーを調製した後、該スラリーの存在下に本晶析を行う該化合物(1)の結晶化法である。
発明の詳細な開示
本発明で使用する化合物は、下記式(1)
Figure 0004870320
で表される化合物である。ここでRは、CH、CHOH、CHOCOR、CO、CONR、OH、CHOR、またはCHNRを表し(RはC1〜5アルキルであり、RはHまたはC1〜5アルキルであり、R及びRは、HまたはC1〜5アルキルから独立して選択される)、a及びbは共に二重結合であるか、aまたはbの一方が単結合であり他方が二重結合であるか、またはaとbが共に単結合である。高脂血症治療薬中間体としての有用性の観点から、RはCHまたはOH、特にCHが好ましく、a及びbは共に二重結合であるのが好ましい。
上記化合物(1)またはその塩の溶液は、一般的に化合物(2)の側鎖アシル基部分の脱アシル化反応、または培養生産等で得られた溶液から抽出や溶媒置換等の適当な手段を用いることにより調製することができる。
上記の適当な手段としては、例えば、特開平6−7176号公報で実施されているように、培養生産物として得られる化合物(1)をpH4〜4.5にて酢酸イソプロピルにより酸型として抽出した後、pH11.5の炭酸ナトリウム水で逆抽出し、化合物(1)のナトリウム塩水溶液を得る方法や、さらに、この水溶液のpHを燐酸にてpH4に再度調整後、酢酸イソプロピルにて抽出して化合物(1)の酢酸イソプロピル溶液を得る方法などが挙げられる。
また、化合物(2)の側鎖アシル基を脱アシル化して化合物(1)溶液を調製する方法としては、化合物(2)を水酸化リチウムで脱アシル化した後にリン酸で酸性化し、酢酸エチルにて抽出して溶液を得る例が示されている(特開昭56−122375号公報)。
上記化合物(1)の結晶化法として先ず、化合物(1)のアルカリ塩溶液の酸性化による結晶化法について説明する。
本結晶化法で使用する化合物(1)のアルカリ塩としては、特に制限されないが、アルカリ金属塩またはアミン塩が好ましく、具体的にはリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩等を挙げることができる。
本晶析法においては、化合物(1)のアルカリ塩溶液に有機溶媒を共存させた条件下、結晶化終了時での化合物(1)の溶解度が3重量%以下となるよう酸性化することで結晶化を行う。結晶化を好適に実施するためには、酸性化時に有機溶媒を共存させておくことが重要である。
上記溶解度は高速液体クロマトグラフィーを用い、標準品を使用する絶対検量線法にて測定できる。この際の測定条件を以下に示す。
Figure 0004870320
共存させる有機溶媒は、特に制限されないが、炭化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、ニトリル類、アルコール類が好適に使用でき、なかでもC2n+2またはC2nで表されるC5〜12の飽和炭化水素類、C2nまたはC2n−2で表されるC5〜12の不飽和炭化水素類、C6〜12の芳香族炭化水素類、C4〜10のエーテル類、C3〜10のエステル類、C3〜10のケトン類、C1〜8のハロゲン化炭化水素類、C2〜6のニトリル類、C1〜8のアルコール類がより好ましく、さらに好ましくはC6〜12の芳香族炭化水素類である。
具体的にはC2n+2またはC2nで表されるC5〜12の飽和炭化水素類としてペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等を、C2nまたはC2n−2で表されるC5〜12の不飽和炭化水素類としては1−ヘキセン等を、C6〜12の芳香族炭化水素類としてはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を、C4〜10のエーテル類としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル等を、C3〜10のエステル類としては酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等を、C3〜10のケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を、C1〜8のハロゲン化炭化水素類としてはジククロメタン、1,2−ジクロロエタン等を、C2〜6のニトリル類としてはアセトニトリル等を、C1〜8のアルコール類としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール等を挙げることができる。
好ましくはペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、2−プロパノールであり、より好ましくはベンゼン、トルエン、キシレンである。
これらの溶媒は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、言うまでもなく、上記以外の溶媒が悪影響のない範囲で存在しても良い。
共存させる有機溶媒の量は、共存させる有機溶媒の種類、化合物(1)の濃度により異なるが、生産性等の観点から化合物(1)のアルカリ塩溶液に対して重量比率として0.05〜10が好ましく、より好ましくは0.2〜4である。
具体的には、共存溶媒にヘキサンなどの炭化水素類やトルエンなどの芳香族炭化水素類等を使用する場合では、化合物(1)のアルカリ塩溶液に対して重量比率は0.1〜10が好ましく、より好ましくは0.2〜4である。同様に共存溶媒に酢酸エチルなどのエステル類、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、2−プロパノールなどのアルコール類等を使用する場合では、化合物(1)のアルカリ塩溶液に対して重量比率は0.05〜2が好ましく、より好ましくは0.1〜0.5である。
本結晶化法では、上記有機溶媒の共存下に化合物(1)のアルカリ塩溶液を酸性化するが、操作性等の観点から、酸性化は通常、該アルカリ溶液への酸の添加によって実施する。添加する酸としては、硫酸、塩酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸類;ギ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等のカルボン酸類;p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸類など、最終的にpHを6以下、好ましくは5以下に調整可能であれば各種の酸を用いることができるが、工業的な観点からは安価な無機酸類が好ましく、なかでも硫酸が好適である。
上記酸の添加時間は、5分〜10時間程度で実施可能であるが、濾過などの操作性が良好な粒径の大きい結晶を得る為には、通常10分以上、好ましくは30分以上必要である。
上記酸性化時の温度は、化合物(1)が安定で、かつ化合物(1)の結晶化終了時点での溶液全体への溶解度が3重量%以下となる温度であれば特に制限されないが、酸性高温条件では化合物(1)が対応するラクトン体へ環化し易いことや化合物(1)の安定性等も考慮すると、通常pH6以下では70℃以下が好ましく、pH5以下の酸性条件下ではより好ましくは0〜60℃である。
本結晶化法で使用する化合物(1)のアルカリ塩溶液は、一般式(2)で表される化合物(2)の脱アシル化反応で得られる反応溶液であるか、または、反応液を濃縮または溶媒置換したり、例えばpHを8程度へ調整する等の後処理をしたものでもよい。例えば、アルカリ金属水酸化物を用いて化合物(2)の脱アシル化反応を実施する場合、反応に用いる溶媒は脱アシル化反応で安定な溶媒であれば特に限定されず、通常、アルコール類、エーテル類、水またはそれらの混合溶媒等を好ましく用いることができる。具体的には、エタノール、2−プロパノール、t−ブタノール等のアルコール類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、水などが一般に好適に使用でき、なかでも2−プロパノール、t−ブタノール等の二級、三級のアルコールが好ましい。
結晶化時に用いる溶媒種と上記脱アシル化反応で用いる溶媒種は同一種である必要はなく、上記脱アシル化反応後、反応溶媒を結晶化に適した溶媒へ置換したものを用いても良い。例えば、脱アシル化反応に2−プロパノール等のアルコール類を用い、アルカリとして水酸化カリウムを用いた場合では、反応後に濃縮して水を加える操作を1回若しくは複数回実施することで水へ置換し、化合物(1)のカリウム塩水溶液として好ましく用いることができるし、必要に応じて過剰の水酸化カリウムを中和して適当なpH(例えばpH8)へ調整した後に用いることもできる。
尚、高品質の化合物(1)結晶を取得するために、上記脱アシル化反応で副生した不純物や着色成分を、本結晶化法の実施に際し、吸着剤(好ましくは活性炭)等を用いて処理したり、水溶液の場合では適当なpHへ調整後に溶剤で抽出する(例えば、pH7.5に調整後に酢酸エチルで抽出除去する)等の操作により、除去しておくのが好ましい。
本結晶化法は、反応液からの化合物(1)の単離精製方法として使用することができるし、化合物(1)の再結晶方法としても使用することができる。
次に、上記化合物(1)の水混和性富溶媒溶液と水との混合による結晶化法について説明する。
本方法で使用する水混和性富溶媒としては、特に制限されないが、C2n+2Oで表されるC1〜6の飽和アルコール類、C2n+2で表されるC1〜8の飽和ジオール類、C2n+2で表されるC1〜8の飽和トリオール類、C2nOで表されるC3〜5のケトン類、エーテル類、ニトリル類を好適に使用することができ、なかでも、上記のアルコール類、ケトン類、ニトリル類が好ましい。
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、t−ブタノール、2−メチルブタノール、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル等が好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリルであり、さらに好ましくはメタノール、2−プロパノール、アセトン、アセトニトリルである。
これらの溶媒は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、言うまでもなく上記以外の溶媒が悪影響のない範囲で存在しても良い。
化合物(1)の水混和性富溶媒溶液と水との混合は、上記化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加してもよいし、また、上記化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水に添加してもよいが、得られる結晶の品質や粒径等の観点から、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する方法がより好ましい。
本結晶化法においては、あらかじめ結晶化時の油状化やスケーリング、撹拌難等を抑制するために必要な懸濁量のスラリーを調製し、該スラリーの存在下に本晶析を実施することを特徴とする。この予め調製するスラリーは、予備晶析の実施によって調製してもよいし、また化合物(1)の結晶を添加してもよい。
結晶化時の油状化やスケーリング、撹拌難等を抑制するために必要な懸濁量は、本晶析終了時における化合物(1)全量に対して、通常、1重量%以上であり、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液に水を添加する場合には5〜20重量%が好ましく、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水に添加する場合には1〜5重量%が好ましい。なお、ここでいう懸濁量とは、化合物(1)の全量に対してスラリー中に析出している結晶の重量比率を表す。
懸濁量の上限は特に制限はないが、経済性等も考慮し、化合物(1)全量に対して、通常30重量%以下が好ましく、より好ましくは20重量%以下である。
スラリーをあらかじめ調製するための予備晶析について説明する。化合物(1)の水混和性富溶媒溶液に水を添加する場合、水混和性富溶媒と水との混合組成を化合物(1)の一部が析出する組成に調整して核化させ予備晶析を行うのが好ましい。また、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加するこ場合、水混和性富溶媒溶液の一部を添加して核化させ予備晶析を行うのが好ましい。
予備晶析において、上記懸濁量を達成するための好ましい混合組成は、晶析濃度や使用する溶媒種類により一律に規定できないが、水に対する水混和性富溶媒の重量比率は、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液に水を添加する場合、0.1〜20が好ましく、0.1〜10がより好ましく、0.3〜8がさらに好ましい。また、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水に添加する場合、1以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。この場合の下限は、普通0.001である。
具体的には、水混和性富溶媒に2−プロパノール、アセトニトリル、アセトン等を用いた場合では、上記懸濁量を達成するための水に対する水混和性富溶媒の重量比率は、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する場合、好ましくは0.1〜6であり、より好ましくは0.2〜5であり、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する場合、好ましくは0.5以下であり、0.001〜0.2がより好ましい。また、水混和性富溶媒にメタノール、エタノール等を用いた場合では、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する場合、好ましくは0.3〜20であり、より好ましくは0.3〜15であり、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する場合、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.001〜0.5である。
予備晶析で良好な核化・結晶成長を行うためには、一般に予備晶析時に結晶析出が一度に生じないように操作するのが好ましい。その為には、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する方法においては、水を連続または分割添加し、また、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する方法においては、水混和性富溶媒溶液の一部を連続または分割添加するのが好ましい。上記の連続または分割添加の時間は、例えば、一般に10分以上かけて行うが、良好な核化・結晶成長のためには、通常30分時間以上、好ましくは1時間程度は必要である。なお、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する方法においては、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する方法に比べて、添加時間が若干短くても攪拌難やスケーリング等が抑制される傾向が認められる。
予備晶析時の温度は、高温では化合物(1)が対応するラクトン体へ環化し易いことなど、化合物(1)の安定性等を考慮すると70℃以下が好ましく、本発明の効果を最大に発揮するためには、0〜50℃がより好ましく、安定的に粒径の大きい結晶を得るためには、0〜40℃がさらに好ましい。
予備晶析での保持時間は、特に制限されないが、通常、所定量の水または化合物(1)の水混和性富溶媒溶液添加後、約30分以上あれば充分である。
上記懸濁量のスラリーをあらかじめ作成するための別法として、化合物(1)の結晶を添加する方法を採用することもできる。この場合、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する方法においては、通常、化合物(1)の結晶を水に添加するのが好ましい。また、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する方法においては、通常、所定量の水を添加した混合液に化合物(1)の結晶を添加するのが好ましく、この場合の溶媒組成、即ち、水に対する水混和性富溶媒の重量比率は、晶析濃度や使用する溶媒種類により一律に規定できないが、好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.3〜10である。
本発明の水混和性富溶媒と水との混合による晶析法では、上記懸濁量のスラリーをあらかじめ作成した後、該スラリーの存在下に本晶析を行う。
本晶析は、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液中へ水を添加する方法においては、上記スラリーに所定量の水を追加添加することにより、また、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する方法においては、上記スラリーに化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を続けて添加することにより、最終的に水混和性富溶媒と水の比率を所定比率に調整して、化合物(1)の全量の80重量%以上を析出させ、高い回収率で良好品質の化合物(1)の結晶を取得することができる。
本晶析終了時の水混和性富溶媒と水との比率は、使用する水混和性富溶媒と水の組み合わせや使用する化合物(1)の水混和性富溶媒溶液中の濃度により異なるが、生産性等の観点から水に対する水混和性富溶媒の重量比率として0.01〜2が好ましく、より好ましくは0.05〜1である。
具体的には、使用する水混和性富溶媒としてアセトニトリルを用いた場合には、水に対する水混和性富溶媒の重量比率として、0.01〜1が好ましく、より好ましくは0.05〜0.7である。同様に、水混和性富溶媒として、メタノールやエタノール等を用いた場合には、水に対する水混和性富溶媒の重量比率として、0.01〜3が好ましく、より好ましくは0.05〜1である。
本晶析における水または化合物(1)の水混和性富溶媒溶液の添加は、10分以上かけて行うのが好ましく、粒径の大きい結晶を取得するためには、通常30分以上、好ましくは1時間以上かけて行うのがよい。なお、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液を水へ添加する方法においては、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液へ水を添加する方法に比べて、添加時間が若干短くても攪拌難やスケーリング等は抑制される傾向が認められる。
本晶析時の温度は、70℃以下が好ましく、本晶析開始時に60℃以下がより好ましく、30℃以下がさらに好ましい。
本晶析での保持時間は特に制限されないが、水または化合物(1)の水混和性富溶媒溶液の添加後、30分以上あれば充分である。
なお、上記した条件での予備晶析を行わずに化合物(1)の水混和性富溶媒溶液全量に所定量の水全量を長時間かけて徐々に添加すること、または、化合物(1)の水混和性富溶媒溶液全量を所定量の水に長時間かけて徐々に添加することにより本晶析終了時の水混和性富溶媒と水の比率を上記の好ましい比率に調整する方法は、予備晶析と本晶析を連続的に実施したものと考えることができ、予備晶析を経由するのと同様の効果を期待できる。
本結晶化法においては、水混和性富溶媒と水の重量比率を所定の比率に調整した後、得られた結晶を分離する前に更に冷却して、内温を30℃以下、より好ましくは0〜25℃に下げることにより、結晶を十分に析出させるのが好ましい。この冷却操作により結晶の回収率をさらに高めることができる。
本結晶化法で使用する化合物(1)の水混和性富溶媒溶液は、単離した化合物(1)を対応する水混和性富溶媒へ溶解させたものであるか、または、一般式(2)で表される化合物(2)の脱アシル化反応で得られる反応液を中和し、析出する塩等を濾別除去して得られる溶液などでもよい。例えば、脱アシル化反応液からの調製では、脱アシル化反応液の溶媒に2−プロパノールを使用し、アルカリとして水酸化カリウムを使用する場合、脱アシル化反応後に55%硫酸水溶液にてpH3へ酸性化し、析出する硫酸カリウムなどの塩類を濾別除去し、化合物(1)の濃度を調整したものを水混和性富溶媒溶液として使用できる。
尚、高品質の化合物(1)の結晶を取得するために、水混和性富溶媒溶液中に含まれる不純物や着色成分を、本結晶化法の実施に際し、あらかじめ、吸着剤(好ましくは活性炭)を用いて、除去するのが好ましい。
これらの結晶化法によって得られた結晶は、遠心分離や加圧濾過、減圧濾過などの一般的な固液分離操作により分離し、好ましくは晶析終了時の溶媒組成の媒質で洗浄した後、必要に応じて、常圧乾燥、減圧乾燥(真空乾燥)などにより乾燥することができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を用いてさらに詳しく本発明を説明するが、本発明はもとよりこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例では、化合物(1)、及びその塩の確認は、以下の高速液体クロマトグラフィー条件にて定量を実施している。
カラム : ナカライテスク(株)製ODSカラム
Cosmosil 5C18−AR−300
溶離液 :アセトニトリル/0.1%燐酸水溶液(pH4.2)
=50/100(v/v)
流速 :1.5ml/min
検出 :238nm(UV検出器)
温度 :35℃
(参考例1)
7−[1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロ−2(S),6(R)−ジメチル−8(S)−ヒドロキシ−1(S)−ナフチル]−3(R),5(R)−ジヒドロキシヘプタン酸のカリウム塩溶液の調製
一般式(2)でのRがCH、a及びbが二重結合である、6(R)−[2−[8(S)−(2−メチルブチリルオキシ)−2(S),6(R)−ジメチル−1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロナフチル−1(S)]エチル]−4(R)−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン(以下ロバスタチンと略す)の16.6g(純度97%、0.04モル)を2−プロパノール100mlに懸濁させ、攪拌下に水酸化カリウム15.84g(85%純度、0.24モル)を加えて80℃へ加熱し反応させた。反応6時間後、反応液の一部を高速液体クロマトグラフィーにて分析し、原料ロバスタチンの残存率が0.5%以下となっていることを確認した後、室温まで冷却した。減圧濃縮により、2−プロパノールを留去し、留去した2−プロパノールと同容量のイオン交換水を加える操作を2回実施し、6重量%の7−[1,2,6,7,8,8a(R)−ヘキサヒドロ−2(S),6(R)−ジメチル−8(S)−ヒドロキシ−1(S)−ナフチル]−3(R),5(R)−ジヒドロキシヘプタン酸(以下、TOAと略す)のカリウム塩のアルカリ水溶液を得た。
(実施例1)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、トルエン17gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.2重量%以下であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は96%、回収率は92%であった。
(実施例2)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、トルエン100gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.2重量%以下であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は99%、回収率は86%であった。
(実施例3)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、トルエン25gを加えた。55℃下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.4重量%であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は99%、回収率は83%であった。
(実施例4)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、トルエン25gを加えた。5℃下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを2.9に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH2.9で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.2重量%以下であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は98%、回収率は96%であった。
(実施例5)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、トルエン17gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを5.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH5で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.2重量%であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は98%、回収率は88%であった。
(実施例6)
参考例1と同様の操作で得られたTOA水溶液100g(TOA4g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、ヘプタン25gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.2重量%以下であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は95%、回収率は97%であった。
(実施例7)
参考例1と同様の操作で得られたTOA水溶液100g(TOA4g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、酢酸エチル25gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は0.6重量%であった)、結晶を水とトルエンでそれぞれ洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は99%、回収率は68%であった。
(実施例8)
参考例1と同じ反応操作で得られた脱アシル化反応液を室温まで冷却した後、55%硫酸にて約pH10へ調節した。析出してくる硫酸カリウムを減圧下にヌッチェにて濾別し、少量の2−プロパノールで洗浄した。得られる溶液は参考例1と同様に、減圧下に水へ溶媒置換し、TOAとして6重量%の水溶液を得た。この水溶液40g(TOA2.4g含有)を用い、攪拌下に55%硫酸を添加してpH8へ調整した後、2−プロパノール8gを加えた。室温下で攪拌しながら、10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。pH3で30分攪拌後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し(濾液全体でのTOA濃度は1.0重量%であった)、結晶を20重量%の2−プロパノール水溶液で洗浄した後、40℃にて真空下に一晩乾燥した。高速液体クロマトグラフィーによる分析によると、取得結晶の純度は80%、回収率は81%であった。
(実施例9)
実施例1と同様の操作で得られたTOAの乾燥結晶10g(純度94%)を室温下にメタノール40gへ溶解した。25℃、攪拌下に水3gを15分かけて添加し、予備晶析を実施した。同温度で約30分攪拌し、析出したスラリーの攪拌状態が良くなったことを確認した(予備晶析での析出スラリー量12%、水に対するメタノール重量比率は13.3)。本晶析は、同温度で水35gを2時間かけて追加添加した。同温度で30分攪拌した後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し、結晶を50%メタノール水溶液の少量で洗浄した(本晶析終了時の水に対するメタノール重量比率は1.05)。取得した結晶を40℃にて真空下に一晩乾燥し、高速液体クロマトグラフィーにて分析すると、取得結晶の純度は99.2%であり、回収率は87%であった。
(実施例10)
実施例1と同様の操作で得られたTOAの乾燥結晶10g(純度94%)を2−プロパノール40gへ溶解し、水10gを添加後、25℃で実施例8と同じ操作で得られたTOA結晶0.1g(純度99%)を添加して1時間攪拌し、予備晶析を実施した。同温度で約30分攪拌し、析出したスラリーの攪拌状態が良くなったことを確認した(予備晶析での析出スラリー量4%、水に対する2−プロパノール重量比率は4.0)。本晶析は、同温度で水83gを2時間かけて添加した。同温度で30分攪拌した後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し、結晶を30%2−プロパノール水溶液の少量で洗浄した(本晶析終了時の水に対する2−プロパノール重量比率は0.43)。取得した結晶を40℃にて真空下に一晩乾燥し、高速液体クロマトグラフィーにて分析すると、取得結晶の純度は98.8%であり、回収率は81%であった。
(実施例11)
実施例1と同様の操作で得られたTOAの乾燥結晶10g(純度94%)をアセトン45gへ溶解し、水10gを添加後、25℃で実施例8と同じ操作で得られたTOA結晶0.1g(純度99%)を添加して1時間攪拌し、予備晶析を実施した。同温度で約30分攪拌し、析出したスラリーの攪拌状態が良くなったことを確認した(予備晶析での析出スラリー量10%、水に対するアセトンの重量比率は4.5)。本晶析は、同温度で水58gを2時間かけて追加添加した。同温度で30分攪拌した後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し、結晶を40%アセトン水溶液の少量で洗浄した(本晶析終了時の水に対するアセトンの重量比率は0.66)。取得した結晶を40℃にて真空下に一晩乾燥し、高速液体クロマトグラフィーにて分析すると、取得結晶の純度は99.0%であり、回収率は84%であった。
(実施例12)
実施例1と同様の操作で得られたTOAの乾燥結晶4g(純度94%)を室温下にアセトニトリル40gへ溶解し、水14gを添加後、25℃で実施例8と同じ操作で得られたTOA結晶0.1g(純度99%)を添加して1時間攪拌し、予備晶析を実施した。同温度で約30分攪拌し、析出したスラリーの攪拌状態が良くなったことを確認した(予備晶析での析出スラリー量8%、水に対するアセトンの重量比率は2.86)。本晶析は、同温度で水146gを2時間かけて追加添加した。同温度で30分攪拌した後、析出しているTOA結晶を減圧下にヌッチェで濾取し、結晶を30%アセトニトリル水溶液少量で洗浄した(本晶析終了時の水に対するアセトニトリルの重量比率は0.25)。取得した結晶を40℃にて真空下に一晩乾燥し、高速液体クロマトグラフィーにて分析すると、取得結晶の純度は99.3%であり、回収率は70%であった。
(比較例1)
参考例1と同じ操作で得られたTOA水溶液100g(TOA6g含有)に攪拌下、55%硫酸を添加してpH8へ調整した。トルエンを添加しない以外は、実施例1と同様に、室温下で攪拌しながら10%硫酸を添加し、溶液のpHを3.0に調節した(硫酸添加時間は1時間)。黄色のオイル状析出物が生じたため、減圧下にヌッチェで濾取しようとしたが、殆ど結晶を濾取できず、濾取可能な結晶となっていないことが判った。
(比較例2)
実施例1と同様の操作で得られたTOAの乾燥結晶10g(純度94%)を室温下にメタノール40gへ溶解した。25℃、攪拌下に水40gを約20分かけて連続添加したところ、途中で攪拌難の状態となった。予備晶析状態を経ることなく結晶化を行うと、工業的に操作性良く良好結晶を得るには問題があることが判った。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、簡便な操作で良好品質の化合物(1)を反応液から直接に結晶として高い収率で取得でき、さらに高品質の化合物(1)の再結晶精製が高回収率で可能である。

Claims (20)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0004870320
    (式中、RはCH、CHOH、CHOCOR、CO、CONR、OH、CHOR、またはCHNRであり;
    はC1〜5アルキルであり;RはH、またはC1〜5アルキルであり;R及びRは、HまたはC1〜5アルキルから独立して選択され;a及びbは共に二重結合であるか、aまたはbの一方が単結合であり他方が二重結合であるか、またはaとbが共に単結合である)で表される化合物(1)の結晶化法であって、化合物(1)のアルカリ塩溶液と有機溶媒を混合したものを、結晶化終了時での化合物(1)の溶解度が3重量%以下となるよう酸性化することを特徴とする化合物(1)の結晶化法。
  2. 化合物(1)のアルカリ塩は、アルカリ金属塩またはアミン塩である請求の範囲第1項記載の結晶化法。
  3. アルカリ金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩である請求の範囲第項記載の結晶化法。
  4. アミン塩は、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩である請求の範囲第項記載の結晶化法。
  5. 共存させる有機溶媒は、C2n+2またはC2nで表されるC5〜12の飽和炭化水素類、C2nまたはC2n−2で表されるC5〜12の不飽和炭化水素類、C6〜12の芳香族炭化水素類、C4〜10のエーテル類、C3〜10のエステル類、C3〜10のケトン類、C1〜8のハロゲン化炭化水素類、C2〜6のニトリル類、C1〜8のアルコール類、または、これらの混合溶媒である請求の範囲第1〜4のいずれかに記載の結晶化法。
  6. 共存させる有機溶媒は、C6〜12の芳香族炭化水素類である請求の範囲第5項記載の結晶化法。
  7. 共存させる有機溶媒は、ペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジクロメタン、1,2−ジクロロエタン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、または、これらの混合溶媒である請求の範囲第5項記載の結晶化法。
  8. 共存させる有機溶媒は、ペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、ノルマルヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、t−ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、アセトニトリル、2−プロパノール、または、これらの混合溶媒である請求の範囲第項記載の結晶化法。
  9. 共存させる有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、または、これらの混合溶媒である請求の範囲第項記載の結晶化法。
  10. 酸性化に、無機酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、またはメタンスルホン酸を用いる請求の範囲第1〜9のいずれかに記載の結晶化法。
  11. 酸性化に、無機酸を用いる請求の範囲第10項記載の結晶化法。
  12. 無機酸が硫酸である請求の範囲第11項記載の結晶化法。
  13. 最終的にpH6以下まで酸性化する請求の範囲第1〜12のいずれかに記載の結晶化法。
  14. 最終的にpH5以下まで酸性化する請求の範囲第13項記載の結晶化法。
  15. pH6以下での温度が70℃以下である請求の範囲第13または14項記載の結晶化法。
  16. pH5以下での温度が0〜60℃である請求の範囲第14項記載の結晶化法。
  17. 化合物(1)のアルカリ塩溶液が、下記一般式(2)
    Figure 0004870320
    (式中、R、a及びbは前記に同じ)で表される化合物(2)を脱アシル化して得られる反応溶液であるか、または、それを濃縮または溶媒置換して得られる溶液である請求の範囲第1〜16のいずれかに記載の結晶化法。
  18. 結晶化に際し、予め、脱アシル化反応で副生した不純物または着色成分を吸着剤を用いて除去する請求の範囲第17項記載の結晶化法。
  19. RがCHまたはOHである請求の範囲第1〜18のいずれかに記載の結晶化法。
  20. RがCHである請求の範囲第19項記載の結晶化法。
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