以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例に係るスロットマシン100の斜視図である。
<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施例に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、同図はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
また、図柄表示窓113の外枠には、点滅や点灯などの点灯制御によって、後述する有効ラインや入賞ラインを報知するためのライン表示LED(図示省略)が配置されている。
さらに、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。リールパネルランプ128は、演出用のランプである。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。なお、メダル投入口134は、投入されるメダルの径によりメダルを選別可能に構成されている。具体的には、スロットマシン100がφ25メダルを使用して遊技する仕様の場合、φ25メダルは通過可能であって、φ30メダルが通過することがないような投入口形状とする。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110乃至112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110乃至112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137乃至139を操作すると対応するいずれかのリール110乃至112が停止することになる。
ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施例では発光可能な受皿を採用している。
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置190は、例えば開閉自在な扉(シャッター)163が前面に取り付けられた液晶表示装置157を含み、この演出装置190には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
<制御部>
次に、図2および図3を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、図2を用いて、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、同図は主制御部300の回路ブロック図を示したものである。
主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、その他、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路314は、水晶発振器311から発振されたクロックを分周してCPU310に供給する回路である。例えば、水晶発振器311の周波数が12MHzの場合に、分周後のクロックは6MHzとなる。CPU310は、クロック補正回路314により分周されたクロックをシステムクロックとして受け入れて動作する。
また、CPU310には、センサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路315がバスを介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、データバスを介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路315に送信する。タイマ回路315は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路315の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。
さらに、CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。また、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、精算スイッチセンサ324、メダル払い出しセンサ326、電源判定回路327の状態を検出し、各センサを監視している。
メダル投入センサ320は、メダル投入口134に投入されたメダルを検出するためのセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135の操作を検出するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137乃至139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検出するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検出するためのセンサである。精算スイッチセンサ324は、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサ326は、払い出されるメダルを検出するためのセンサである。電源判定回路327は、スロットマシン100に供給される電源の遮断を検出するための回路である。
CPU310には、更に、入力インタフェース361、出力インタフェース370、371がアドレスデコード回路350を介してアドレスバスに接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入力インタフェース361には、インデックスセンサ325が接続されている。インデックスセンサ325は、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リール110乃至112に設けた遮光片がこのインデックスセンサ325を通過するたびにハイレベルになる。CPU310は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。出力インタフェース370には、リールを駆動させるためのモータを制御するリールモータ駆動部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口155から払出すための装置。)のモータを駆動するためのホッパーモータ駆動部331と、遊技ランプ340(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)と、7セグメント(SEG)表示器341(払出枚数表示器125、遊技情報表示器126、貯留枚数表示器127等)が接続されている。
また、CPU310には、乱数発生回路317がデータバスを介して接続されている。乱数発生回路317は、水晶発振器311及び水晶発振器316から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、後述する入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。CPU310のデータバスには、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。主制御部300と副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。
<副制御部>
次に、図3を用いて、スロットマシン100の副制御部400について説明する。なお、同図は副制御部400の回路ブロック図を示したものである。
副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバスを備え、以下に述べる構成を有する。クロック補正回路414は、水晶発振器411から発振されたクロックを補正し、補正後のクロックをシステムクロックとしてCPU410に供給する回路である。
また、CPU410にはタイマ回路415がバスを介して接続されている。CPU410は、所定のタイミングでデータバスを介してROM412の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路415に送信する。タイマ回路415は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに、割り込み要求をCPU410に送信する。CPU410は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、ライン表示LEDの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413が各バスを介して接続されている。
さらに、CPU410には、外部の信号を送受信するための入出力インタフェース460が接続されており、入出力インタフェース460には、図柄表示窓113の外枠に配設され、点滅や点灯などの点灯制御によって有効ラインや入賞ラインを報知するためのライン表示LED420、前面扉102の開閉を検出するための扉センサ421、RAM413のデータをクリアにするためのリセットスイッチ422が接続されている。
CPU410には、データバスを介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のデータバスとアドレスバスには、音源IC480が接続されている。音源IC480は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。また、音源IC480には、音声データが記憶されたROM481が接続されており、音源IC480は、ROM481から取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。CPU410には、主制御部300と同様に、外部ICを選択するためのアドレスデコード回路450が接続されており、アドレスデコード回路450には、主制御部300からのコマンドを受信するための入力インタフェース461、時計IC423、7セグメント表示器440への信号を出力するための出力インタフェース472等が接続されている。
時計IC423が接続されていることで、CPU410は、現在時刻を取得することが可能である。7セグメント表示器440は、スロットマシン100の内部に設けられており、たとえば副制御部400に設定された所定の情報を遊技店の係員等が確認できるようになっている。更に、出力インタフェース470には、デマルチプレクサ419が接続されている。デマルチプレクサ419は、出力インタフェース470から送信された信号を各表示部等に分配する。即ち、デマルチプレクサ419は、CPU410から受信されたデータに応じて上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、リールパネルランプ128、タイトルパネルランプ172、払出口ストロボ171を制御する。タイトルパネルランプ172は、タイトルパネル162を照明するランプであり、払出口ストロボ171は、メダル払い出し口155の内側に設置されたストロボタイプのランプである。なお、CPU410は、扉・液晶画面制御部490への信号送信は、デマルチプレクサ419を介して実施する。扉・液晶画面制御部490は、液晶表示装置157及び扉163を制御する制御部である。
<遊技の基本的制御>
図4は、本実施例のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。
遊技の基本的制御は、MainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の処理を繰り返し実行する。
先ず、S101では、メダル投入処理として、メダルの投入数に応じた入賞ライン表示ランプ120の点灯等を行う。なお、メダル投入ボタン130,131によるクレジットによる投入も、メダル投入口ブロックのメダル投入口134から、実際のメダルを投入する場合も同等に処理する。さらに、投入されたメダルの枚数が、今回の遊技に設定された最大の賭け枚数(例えば、3枚)と、クレジット可能な最大のメダル数(例えば、50枚)とを合わせた枚数(53枚)に達したと判断した場合、または、前回遊技の結果として再遊技役に係わる図柄組み合わせ「Rep−Rep−Rep」が入賞ライン114上に揃っていた場合に、メダルの受付を禁止する処理を実行する。
S102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。スタートレバー135が操作された場合、投入されたメダル枚数を確定する。次いで、S103では、確定されたメダル枚数に基づいて、有効な入賞ライン114を確定する。さらに、メダルの受付を禁止する処理を実行する。
S104では、乱数発生器311で発生させた乱数値を取得する。
S105では、ROM312に格納されている抽選データテーブルと、S104で取得した乱数値を用いて、入賞役の内部当選の当否を定める内部抽選を行う。なお、抽選データテーブルには、あらかじめ、入賞役として用意されたBB、RB、小役、再遊技役等の抽選確率に応じたデータが格納されている。
S106では、例えば、演出装置190においてどのような演出を行うか決めたり、ゲームを盛り上げるためキャラクター等を登場させる、演出抽選処理を行う。
S107では、S104で取得した乱数値を用いて、リール停止制御テーブルを選択し、各リール110〜112の回転を開始させる。
S108では、ストップボタン137〜139の受付が可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリールを、S105で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。
S109では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、例えば「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならば、ベル入賞と判定する。また、例えば「青7−青7−青7」が揃っていたならば、BB入賞と判定する。
S110では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
S111では、遊技状態を制御する。例えば、BB入賞時には、次の遊技からBBゲームが開始されるように準備をし、BB終了時には、次の遊技から通常の遊技が開始されるように準備させる。さらに、メダルの受付を許可する処理を実行する。
<本体内部構造>
次に、本実施例のスロットマシン100の内部構成について簡単に説明する。図5は、スロットマシン100の内部構成の概略を示す前面扉102を開いた斜視図である。本体部としてのキャビネット101の内部には、主基板収納ケース210、副制御基板収納ケース220及びリールユニット185や、図示を省略した電源ボックス、メダル払出装置180、メダル補助収納部240、中央スピーカユニット、外部中継端子板等の諸装置が配設されている。
リールユニット185は、樹脂製のケース221内にステッピングモータで駆動されるリール110乃至112を個別に着脱可能に取り付けて構成している。そして、このリールユニット185は、ケース221により3本のリールをユニット化し、キャビネット101に設けたリールユニット載置台278に対する着脱を容易に行えるように構成している。また、リールユニット載置台278の下部には、音通路277が取り付けられ、前面扉102がキャビネット101に閉じられた状態で前面扉102に取付られた音通路268と組み合わさるように構成している。中央スピーカユニットから出力された音は、この音通路277および音通路268を通過して外部に出力される。
キャビネット101の内部には、透明な樹脂ケースからなる基板収納ケースが、キャビネット101を構成している後板の上部に取り付けられている。この主基板収納ケース210の内部空間には、スロットマシン100の全体的な制御を行う主制御部300を構成する電気部品を実装した主制御基板が収納されている。
また、図示を省略した電源ボックスは、キャビネット101の後板の壁面に装着され、金属製ケースの内部に、スロットマシン100の諸装置へ必要な電力を供給するための電源基板が収納されている。
さらに、キャビネット101の内部には、メダルを払い出すためのメダル払出装置180(以下、ホッパー180ということがある)が配設してある。メダル払出装置180は、DCモーターで駆動されメダルを1枚ずつ払い出すと共に、メダルを払い出す毎に検出信号を出力する払出装置本体182と、払出装置本体182にメダルを供給するとともにメダルを蓄積するメダルタンク181とで構成されている。そして、メダル払出装置180の横には、メダル補助収納部240が置かれており、前記メダル払出装置180がメダルでいっぱいになると、余分なメダルは流れ落ち、このメダル補助収納部240内に蓄積される。
そして、前記主制御基板及びリール110乃至112の側方、即ち向って左側の側板には、副制御基板を収納した副基板収納ケース220が配設してある。
一方、キャビネット101の側板にヒンジ装置276を介して蝶着された前面扉102には、演出装置190、この演出装置を制御する演出制御基板を収納した演出制御基板収納ケース274、上部スピーカ272、図柄表示窓113を有するリールパネル270、投入されたメダルを選別するためのメダルセレクタ170、このメダルセレクタ170が不正なメダル等をメダル受皿156に落下させる際にメダルが通過する通路266等が設けてある。メダルセレクタ170は、さらに、投入されたメダルをメダルタンク181に案内する通路となるメダル搬送樋711を備えている。
<メダルセレクタ>
次に、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ170について説明する。図6(a)は、メダルセレクタ170の正面図であり、(b)は後述するメダル通路の要部の概略図である。図7(a)は、このメダルセレクタ170を正面やゝ右側からみた斜視図、(b)は、同じく左側からみた斜視図である。また、図8は、メダルセレクタ170の分解斜視図である。
メダルセレクタ170は、メダル投入口ブロックのメダル投入口134に投入されたメダルを選別するものであって、サイズの小さい不正なメダルを選別してメダル受皿156に排出すると共に、正規のメダルを取り込んでホッパー180のメダルタンク181に送り出すユニット化された装置である。そこで、メダルセレクタ170は、内部にメダルが通過するメダル通路800が形成されている。
なお、説明上、このメダル通路800を、投入されたメダルが、ほゞ鉛直方向に落下するように形成した部分である上方通路810と、メダルの通過方向を横向きに変換するように曲線状に形成した部分である曲線通路820と、メダルが転動する傾斜状に形成した部分である傾斜通路830と、に分けることがある。
先ず、メダルセレクタ170は、例えば、図8に示すように、セレクタ本体ユニット720と、このセレクタ本体ユニット720に着脱可能かつ回動可能に設けられる側面ガイドユニット730(以下、フロントカバー730ということがある)、およびメダル脱落カバー740とから構成されている。そして、この実施例によるメダルセレクタ170は、従来のメダルセレクタ170と同様に、取付基板710を介してスロットマシン100の前面扉102における裏面側の所定位置に、着脱可能に取り付けられる。
セレクタ本体ユニット720は、ほゞコ字形状に屈曲されたセレクタベースを中心に構成してある。このセレクタベースは、基板部721の左右側縁からそれぞれ起立する左右の側板部722を備える断面図形状がほゞコ字状の部材である。このセレクタベースにおける基板部721の上部ほゞ中央には、側面ガイドユニット730を着脱可能に装着するための装着部723が形成してある。
また、セレクタベースには、メダル脱落カバー740が回動自在、かつ着脱可能に取り付けられている。このメダル脱落カバー740は、後述する傾斜通路830から脱落するメダルを、メダル受皿156へ案内するメダル排出樋266へ誘導するための部材である。
この装着部723と、一方の側板部722、即ち図面では左側の側板部722であり、メダルの流れから見ると上流側に位置する第1側板部7221との間には、メダル投入口134に投入されたメダルを、導入するための上方通路810およびメダルの通過方向を変更する曲線通路820を形成するための一方の壁部である固定案内壁724が設けてある。なお、上方通路810および曲線通路820は、メダル通路800の一部であり、上方通路810ではメダルがほゞ鉛直方向に通過し、曲線通路820ではメダルがほゞ横方向に通過する。
また、この装着部723と他方の側板部722である右側の第2側板部7222との間には、通過するメダルを検出するメダル投入センサ320(以下、単にセンサ320ということがある)が設けてある。そして、この下流側の第2側板部7222には、メダルをホッパー180のメダルタンク181に送り出すメダル出口725が開設してある。即ち、メダル傾斜通路830の最下流部には、メダル出口725が位置している。そして、このメダル出口725には、メダルをホッパータンク181に送るためのメダル搬送樋711が連通している(図8参照)。
メダル投入センサ320は、セレクタベースの基板部721の開口部に窓枠状に形成したセンサ取付部320aに対して、着脱自在に取り付けられる。なお、図9や図10においては、フロントカバー730およびセンサ320は外されている。
一方、前記した第2側板部7222に開設したメダル出口725には、後述する第2脱落部920が、ここでメダルを脱落させるように臨ませてある。なお、この第2脱落部を、ブロッカ920と呼ぶことがある。
装着部723よりも上流側に位置して上方通路810および曲線通路820を形成している固定案内壁724の壁面には、メダルとの接触抵抗を低減するための突条726が設けてある。なお、この突条726の本数や形状は、メダルとの接触面積を減少させてメダルの転動を妨げることがないようにすれば、どのように形成してもよい。
一方、このセレクタ本体ユニット720の壁面に対向して、上方通路810を形成する後述する側面ガイドユニット730、すなわちフロントカバー730の壁面にも、前記固定案内壁724の壁面と同様に複数の突条736が設けてある(図11(a)参照)。なお、この側面ガイドユニット730側の突条736も、メダルがスムーズかつスピーディに通過可能なように適宜設ければよい。
セレクタ本体ユニット720を構成するセレクタベース(基板部721)の背面側には、例えば図9(b)に示すように、後述する駆動手段を構成する、ブロッカソレノイド931およびプルプレート932を配置する。また、このセレクタベースには、前記したメダル投入センサ320を取り付けるためのセンサ取付部320aが形成してある。なお、メダル投入センサ320の検出信号は、センサハーネスを介して制御装置である主制御部300へ送られる。
セレクタ本体ユニット720には、メダル通路800の一部となるメダルの傾斜通路830が、前記した曲線通路820の下流側に連なって形成してある。即ち、セレクタベースの基板部721のほゞ中段位置に、下流側の側板部7222のメダル出口725に向って下り傾斜する傾斜状の底部を有する傾斜通路830を形成するのである。そして、この傾斜通路830の底部は、メダルの周縁が接するメダル通過面を有している。
傾斜通路830では、正規のメダルに比べて小径なメダルを選別して排出するように構成してある。そこで、このメダルセレクタ170においては、傾斜して転動するメダルが正規の直径を有するメダルである場合に、このメダルの上縁部分が係止する係止部(図示せず)を設け、投入されたメダルの直径が規定の直径に満たない小径なメダルの場合には、前記係止部に係止することなく転倒して排出されるように構成してある。
なお、小径なメダルが転倒しながらも進行を続ける場合に、この小径なメダルを確実に排出するように、楔状の案内部731が側面ガイドユニット730に設けてある(図13)。したがって、進行した小径なメダルがこの案内部731にメダルが衝接すると、メダルの進行方向が変更されるので、メダルが確実に落下することになる。
曲線通路820に連通する傾斜通路830は、メダルが転動しながら流下するように、底部がメダル出口725に向けて下り傾斜している。また、この傾斜通路830の断面形状は、メダルを支えるように、例えばV字型に形成している。
そこで、傾斜通路830は、断面形状がV字型の底面とメダルの角とが接してメダルを支えることになる。したがって、メダルと、傾斜通路830の底面との接触抵抗が少ない。なお、前記した小径なメダルを排出するために、メダルを傾倒させている区間では、平坦な底面としている。これは、メダルを倒し易くして、小径なメダルを確実に排出するための配慮である。
そして、この実施例における傾斜通路830は、上流部分が固定された底面を有しているが、途中から可動式の底面となっている。この可動式の底面は、メダルを脱落させるために設ける脱落手段を構成している。なお、傾斜通路830の全長を、可動式の底面とすることもできる。
脱落手段は、前記したメダル投入センサ320が傾斜通路830内でメダルを検知する位置よりも上流側で、メダルを脱落させるように設けられた第1脱落部910と、前記メダル投入センサ320がメダル傾斜通路830内でメダルを検知する位置よりも下流側で、メダルを脱落させるように設けられた第2脱落部920と、で構成してある。
そして、前記した可動式の底面は、メダル投入センサ320の下方に位置し、この底面が可動するとメダルが落下するので、この可動式の底面は、第1脱落部910を構成することになる。なお、この第1脱落部910は、メダルをメダル通路800から脱落させるものであるから、以後、ドロッパ910と呼ぶことがある。
この第1脱落部910、即ちドロッパ910の概略は、駆動手段を構成するブロッカソレノイド931によって、メダルを落下させるように構成したものである。即ち、図12に示すドロッパ910は、転動するメダルを下側から支えるように、断面形状をほゞ90度に開いたV字型に形成した底部911が延出する本体部912を備えている。また、この本体部912の上流側の端部には、ブロッカソレノイド931との連係を図るカム部913を備えている。一方、本体部912の下流側の端部には、後述する第2脱落部920としてのブロッカ920との連動を図るための連動部914が形成してある。
このドロッパ910は、セレクタベースに、回動自在に装着される部材であって、回動軸としての軸ピン941を受け入れるための軸穴942を開設した支持板943を、本体部912の両端部に備えている。これらの支持板943は、上流側と下流側とで一対になっており、また下流側で連動部914を形成しているカム片914aにも軸穴942が開設してある。
前記した複数の軸穴942に、軸ピン941を一連に挿通し、両端をEリング等の止着部材944によって封止して、ドロッパ910をセレクタベースに対して回動自在に軸着し、本体部912に形成した底部911を、セレクタベースの基板部721に開設した開口窓部から、メダル通路800に出没可能に構成する。
カム部913は、後述するブロッカソレノイド931のプルプレート932の先端部932aに当接する、ブロッカ920の一つの部位であって、図12に示すように、所望の曲面状に形成したカム面を備えている。
前記した固定案内壁724に対向して、上方通路810および曲線通路820を形成する取外案内壁734を備える側面ガイドユニット730、即ちフロントカバー730は、セレクタベースの基板部721に対して着脱且つ回動可能な部材である。そこで、このフロントカバー730は、前記した装着部723に、断面形状をほゞS字状に形成した板バネ750によって装着している(図13)。
このため、フロントカバー730は、板バネ750に嵌着される上縁部分を支点にして、回動することができるとともに、通常は、この板バネ750の付勢によって、固定案内壁724と取外案内壁734との間隔を所定の幅に保って上方通路810および曲線通路820を形成している。
一方、フロントカバー730を板バネ750の付勢に抗して回動させると、例えば、メダル返却ボタン133を操作して、図示していない押圧ロッドにより所定部位を押圧するとフロントカバー730が回動する。すると、固定案内壁724と取外案内壁734との間隔が開いて、上方通路810および曲線通路820にあるメダルをメダル受皿156に排出される。
ところで、例えば図6に示すように、フロントカバー730の下流側の側縁は、メダルの外形に対応して半円形に切り欠いてある。即ち、図6(b)に概略を示すように、曲線通路820から傾斜通路830に切り替わる部分において、この切欠き部732があると、メダルの先端が、曲線通路820の終端に達した時点で、メダルの側面全体を覆う部材が存在しなくなる。このため、従来のように、メダルの後端が曲線通路820の終端を通過すると、側面ガイドユニット730によって支えられることがないので、通路内にメダルが留まることなく、メダルの先端が前記曲線通路820の終端に達した時点で、通路内のメダルを排出可能である。つまり、曲線通路820の通過を確実に案内するとともに、小径なメダルを排出可能な領域をより多く確保している。
そこで、このような形状の切欠き部732、即ち排出部を側面ガイドユニット730を設けておくと、小径なメダルをいち早く排出することが可能になる。なお、固定案内壁724と取外案内壁734とで支えられるメダルは傾倒した状態で通路を通過するように構成してある。
ブロッカソレノイド931には、通電したときに吸引されるプルプレート932が設けてある。即ち、プルプレート932は、一端を回動自在に軸着されると共に、付勢手段であるコイルバネ933によって、ブロッカソレノイド931と離隔する方向に付勢されている。言い換えると、通電されていない通常の状態では、プルプレート932とブロッカソレノイド931とが離れているが、ブロッカソレノイド931に通電すると、電磁作用によって、プルプレート932が吸引され、プルプレート932がブロッカソレノイド931に近付く。
このとき、プルプレート932の先端部932aが、ドロッパ910のカム部913に作用して、ドロッパ910を回動させる。即ち、ドロッパ910を、メダルを通過可能とする位置に回動させる。言い換えると、ブロッカソレノイド931が通電されていないと、ドロッパ910が形成する傾斜通路830をメダルが通過することができない。
即ち、ドロッパ910のカム部913は、プルプレート932に対応する所定のカム面を備えており、このカム面にプルプレート932の先端部932aが当接することにより、ドロッパ910を所定の位置に回動させる。
そして、このドロッパ910は、メダルを脱落させる機能を果す第1位置と、メダルを脱落させる機能を果さない第2位置、言い換えるとメダルが通過可能な第2位置との間を移動可能である。
詳しくは、メダルの受付を禁止する処理が実行されている場合において、ブロッカソレノイド931に通電されていないときには、ドロッパ910は第1位置にある。これは、プルプレート932による押圧が、カム部913に加わることがなく、しかも、連動部914のカム片914aに対して後述する第2脱落部920を構成するブロッカ920が当接して、カム片914aを下向きに押圧して回動させるためである。
ブロッカ920は、メダル出口725を塞ぐ部材であって、例えば図14に示すように形成されており、メダルを傾斜通路830から脱落させる第2脱落部920を構成する。即ち、ブロッカ920は、メダル出口725において上下方向にスライド可能であって、ブロッカ920が下降した第3位置では、メダル通路800を転動するメダルが、このブロッカ920に突設した障害部920aに衝突するため、メダル出口725から出ることができずに、傾斜通路830から脱落する。勿論、障害部920aを設けることなく、ブロッカ920自体に衝突する構造を備えるようにしてもよい。
一方、ブロッカ920が上昇した第4位置では、傾斜通路830を転動するメダルは、障害部920aに衝突することなく、開放されているメダル出口725を通過して、メダル搬送樋711へ向う。
このブロッカ920は、例えば図15に示すように、上端部分に設けた円柱状のバネ装着部921に、コイルバネ922を巻装して、ブロッカ920を下向きに付勢している。したがって、ブロッカソレノイド931に通電されていない状態では、ブロッカ920が下降してメダル出口725の近傍に障害部920aを臨ませている。ここは、ブロッカ920がメダルを脱落させる第3位置である。
一方、メダルの受付を許可する処理が実行されている場合において、ブロッカソレノイド931に通電すると、プルプレート932が吸引されて前記したドロッパ910が回動する。このとき、ドロッパ910のカム片914aに当接しているブロッカ920の下端923がカム片914aによって押し上げられるため、ブロッカ920が上昇してメダル出口725を開放する。即ち、ブロッカ920が機能しないでメダルを脱落させるこのない第4位置にブロッカ920が移動する。
なお、ブロッカ920の適宜位置には、係止爪924が交互に設けられており、これらの係止爪924がセレクタベースの所定位置に係止することにより、ブロッカ920の移動方向を規制するとともに、脱落を防いでいる。
次に、このドロッパ910およびブロッカ920によるメダルの通過および脱落について説明する。ブロッカソレノイド931に通電されていない状態、例えば、スロットマシンがコンセントに繋がれていないとき、あるいは、メダルの受付を禁止しているときは、図15(b)、(d)に示すように、第1脱落部910であるドロッパ910が第1位置にあり、第2脱落部920であるブロッカ920が第3位置にある。
この状態のときに、メダル投入口134に投入されたメダルは、上方通路810から曲線通路820を経て傾斜通路830に達する。ところが、傾斜通路830を形成しているドロッパ910が第1位置にあるので、言わば、通路の底が抜けた状態にあるため、メダルが傾斜通路830から脱落する。なお、曲線通路820から勢いよく飛び出したメダルが傾斜通路830の端に達することがあっても、メダル出口725をブロッカ920が塞いでいるので、実際にはメダル出口725の近傍に障害部920aが臨んでいるので、メダルがメダル出口725を通ってメダル搬送樋711に入ることはない。
ところで、遊技者がメダルをメダル投入口134へ投入している途中で、メダルのクレジット枚数が、規定枚数に達した場合(例えば、上述した53枚に達した場合)には、これ以上のメダル投入を中止させ、余分なメダルを返却することになる。
一方、ブロッカソレノイド931が通電されていると、ドロッパ910が第2位置にあると共に、ブロッカ920が第4位置にあるので、メダルの投入を受け付ける。この状態のときにメダル投入口134へ投入されたメダルは、上方通路810および曲線通路820を経て傾斜通路830に達する。傾斜通路830では、ドロッパ910が第2位置にあるので、メダルは脱落することなく、ドロッパ910の上面を転動して、メダル出口725に達する。メダル出口725では、ブロッカ920が上昇して第4位置にあるので、このメダル出口725は開放されている。
そこで、メダル出口725に達したメダルは、このメダル出口725を通ってメダル搬送樋711に移り、このメダル搬送樋711によってホッパー180のメダルタンク181に移送され、このメダルタンク181に貯留される。
ところで、メダルの投入途中であっても、ブロッカソレノイド931に通電させなくすることがある。投入されたメダルの枚数が、今回の遊技に設定された最大の賭け枚数(例えば、3枚)を超えつつ、クレジット可能な最大のメダル数(例えば、50枚)に達していない場合に、スタートレバー135が操作されたときである。そこで、ブロッカソレノイド931が通電されなくなった場合には、ドロッパ910が直ちに回動して第1位置に移動し、傾斜通路830にあるメダルを直ちに脱落させるのがよい。
しかしながら、従来のメダルセレクタにおいては、センサがメダルを検知し、このメダルがクレジットの最後のメダルになると判断してから、ソレノイドへの通電をやめるようにしていたため、ブロッカがメダルを脱落させるまでにタイムラグがある。
このため、通路の途中にあるメダルが、メダル出口に達し、このメダル出口を擦り抜けて搬送樋からメダルタンクに貯留されてしまっている。しかし、クレジットにカウントされないため、遊技者にとっては無意味に消費された無駄なメダルになってしまう。
そこで、図示の実施例においては、メダル投入センサ320の前後に前記のように構成したドロッパ910およびブロッカ920を配置してある。このため、前記したようにブロッカソレノイド931への通電をやめると、直ちにドロッパ910を回動させてメダルを脱落させるばかりではなく、たとえ、メダル出口725に達するメダルが存在しても、このメダルをメダル出口725から外へ出すことなく、脱落させることができる。
したがって、例えば、クレジットが満杯になるなど、メダルの投入が禁止された状態に変化しても、投入中のメダルが無駄に消費されることなく、遊技者に返還される。なお、脱落したメダルは、下方へ自然落下し、メダル搬送樋711を介してメダル受皿156へ移動する。
図16に示す実施例では、傾斜通路830の下流端付近、言い換えると、ドロッパ910の下流端に対応する固定側の通路の端面831を、メダル進行方向に対向して当接したメダルがメダル出口725に向かうことがないように傾斜させている。このため、ドロッパ910から脱落するメダルが、この傾斜下端面831に衝突して進路方向が変更され確実に脱落することになる。したがって、メダルがバウンドして、メダル出口725に飛び込むことがなく、確実にメダルを脱落させることができる。
また、ドロッパ910が第2位置にあって、メダルが通過可能な状態では、図16(b)に示すように、V字形に形成した底部911がセレクタベースの基板部721に開設した開口窓部を越えて通路側へ突出している。一方、ドロッパ910が第1位置にあるときには、図16(d)に示すように、ドロッパ910の底部911がセレクタベースの基板部721の裏側に後退してメダルの通路が消滅している。
図17は、フロントカバー730、即ち側面ガイドユニット730を外した状態のメダルセレクタ170の正面図である。メダルセレクタ170では、規格よりも大きなメダルも選別している。即ち、メダル投入口134の横幅を、正規のメダルの直径、例えば25mmよりも僅かに大きくしておけば、規格の異なる直径30mmのメダルを投入することはできない。一方、正規のメダルよりも小径なメダルにあっては、メダル通路800を転動する際に、転倒して排出されるように形成してある。なお、排出されなかったメダルは、前記したように側面ガイドユニット730に設けた案内部731によって確実に排出されるようになっている。
図18は、投入されたメダルが脱落する状態を示しており、側面ガイドユニット730を外した状態のメダルセレクタ170の正面図である。また、この図18は、第1脱落部910であるドロッパ910が回動して第1位置にある状態を示している。したがって、メダル投入口134に投入されたメダルは、上方通路810および曲線通路820を経て傾斜通路830に達するが、傾斜通路830において、ドロッパ910がメダルを支えることがないので、下方に落下する。
図19は、ドロッパ910の回動だけでは、メダルが脱落し切れなかった場合を示すメダルセレクタ170の正面図である。なお、側面ガイドユニット730は外してある。メダル投入口134に投入されたメダルが勢いよくメダル通路800を通過したり、通路の途中でバウンドすることがあると、ドロッパ910だけでは、脱落しきれない虞れがある。そこで、図示のメダルセレクタ170においては、メダル出口725にブロッカ920を臨ませている。即ち、ブロッカ920によってメダル出口725へメダルが進入することを防いでいる。このため、万が一、図19に示すように、メダルがバウンドしてメダル出口725に到達することがあっても、このメダルはブロッカ920の障害部920aに衝突して跳ね返り、下方に落下することになる。
図20は、ドロッパ910の他の形状を示す側面図である。この実施例においては、ドロッパ910の底部911、言い換えるとメダルMの支承面Tの断面を、図20(a)では円弧形に形成している。このように支承面Tを円弧形に形成すると、(b)に示すように支承面Tの傾斜を上る方向にメダルが移動しようとした場合に、支承面Tが直線Sで形成されている場合は傾斜の角度が支承面Tの中央から左右縁に向かって一定であるのに対し、支承面Tを円弧形に形成した場合には支承面Tの中央から左右縁への移動に応じて傾斜の角度が大きくなる。つまり、転動するメダルの進行方向に対する左右の揺れの動きを抑える効果があり、ドロッパ910の底部911をメダルが安定して通過するようになる。
支承面Tは、上端付近の傾斜角度が大きくなるような構成であれば、他の形状であってもよく、例えば図20(c)に示すように、曲率が連続的に変化するような形状、いわゆるリール形状であってもよい。また、支承面Tを、例えば図20(d)に示すように、互いに鈍角で交差し、傾斜面の途中で傾斜角度が大きくなるような段差傾斜底面t1,t1により形成することもできる。
ところで、メダルMは長年使用していると、角が摩耗してくる。この角Rが摩耗したメダルでは、支承面Tとの接点の間隔が狭くなり、さらには、メダルMの厚みも薄くなってくる。したがって、この摩耗したメダルMは、支承面Tの底奥にまで入り込むことになる。小径メダルの選別には、メダルMの上縁部分が図示していない係止部に係止することなく、転動中に倒れてしまうことを利用しているが、摩耗したメダルMが支承面Tの底奥にまで入り込むことにより、通過を許容させたいメダルMであって磨耗して厚みが薄くなった等のメダルMまでも排出してしまう虞がある。
そこで、図21(a)に示す実施例では、支承面Tの底面部分を若干隆起させて。メダルMの外周面mも底面に接触するように、凸部T2を形成して凸状の支承面T′としている。このような支承面T′によれば、角Rが摩耗した等のメダルMであっても、メダルMが支承面Tの底奥を通過することがなくなるので、摩耗したメダルMを確実に排除可能になる。
更に、前記したように、支承面Tに設ける凸部T2は、図21(b)に示すように、2条に設けてもよく、更に複数の凸部T2を設けることも可能である。
ところで、脱落するメダルをセンサ320が検知すると、例えば、取り込んでいないメダルをカウントしてしまうなど、不都合が起こる場合がある。例えば、傾斜通路830に複数のセンサ320を設けて、そのうち1つのセンサ320のみがメダルMの通過を検知した場合には、通過エラーと判断する場合がある。そこで、図22に示すブロッカ920の実施例では、メダルがセンサ320に作用する前に、当該メダルを脱落させるために、センサ320の検知部320bより上流側で、メダルに当接する先行当接部925が設けてある。この先行当接部925は、例えば、図22(a)に示すように、ブロッカ920からセンサ320を避けるように、ほゞコ字状に延設した部分である。より具体的には、センサ320は透過型フォトセンサであり、2つのセンサ320が傾斜通路830において発光センサと受光センサとの間をメダルMが通過するように配置されている。ブロッカ920から延設された先行当接部925は、2つのセンサ320のうち傾斜通路830の上流側に配置されたセンサ320の上流側近傍で、発光センサと受光センサとの間に形成された空隙内にメダルMが進入可能な位置と、メダルMが進入不可能となる位置との間を移動可能に配置される。
そこで、図22(b)に示すように、ブロッカ920が上昇した位置にある場合には、メダルMがセンサ320に作用し、メダル出口725から図示していないメダルの搬送樋711に流出する。
一方、図22(c)に示すように、ブロッカ920が下降した位置にある場合には、このブロッカ920がメダル出口725を閉止するばかりではなく、ブロッカ920と一体に形成した先行当接部925も下降して、前記先行当接部925をセンサ320の検知部320bよりも上流側に位置させる。
このため、傾斜通路830を転動してきたメダルMは、先行当接部925の先端に当接して進路を変更され、センサ320に検知されることなく脱落する。したがって、このような先行当接部925を備えるブロッカ920によれば、エラーの発生頻度を少なくことでき、遊技を中断しなければならない機会を少なくすることができる。
更に、図23に示すブロッカ920の他の実施例においては、センサ320が備える検知空隙320c、即ちメダルが通過する空隙内に、前記した先行当接部925を位置させている。即ち、前記先行当接部925をセンサ320の検知空隙320c内で昇降するように構成し、ブロッカ920が上昇しているときには、先行当接部925とメダルとが当接することがなく、センサ320の検知空隙320cを通過するメダルを検知部320bで検知することができる。
一方、ブロッカ920が下降した状態では、先行当接部925もセンサ320の検知空隙320c内を下降し、この先行当接部925がセンサ320の検知空隙320cを塞いでいる。このため、流下するメダルは、先行当接部925に当接して流下方向を変えられて脱落する。また、センサ320の検知部320bを先行当接部925が隠すようになっているが、メダルがセンサ320に検出されることもない。なお、先行当接部925を下降させる際には、この先行当接部925をセンサ320が検知しないように、当該センサ320が無効になるように設定してある。
ところで、側面ガイドユニット730の着脱は、前記したようにきわめて容易である。即ち、側面ガイドユニット730は、ベースユニットに装着した板バネ750によって、着脱および回動可能に取り付けられており、側面ガイドユニット730を下方へ引けば、外れるように構成してある(図13および図24(a))。
また、図24(b)に示す側面ガイドユニット730の実施例では、着脱の際に、手掛かりとなるツマミ735が突設してある。また、このツマミ735には、作業の注意書き、例えば「下方に引き下げてください。」というような表示を行なっている。
このため、不慣れな作業員であっても、簡単確実に側面ガイドユニット730を着脱することが可能になる。そして、側面ガイドユニット730を外せば、清掃作業がより容易になり、より確実な清掃作業やメンテナンス作業が可能なる。
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。例えば、前記した各実施例では、スロットマシンに使用するメダルを選別するメダルセレクタについて説明したが、このメダルはスロットマシンばかりではなく、ゲームセンター等で使用するメダル類に適用することも可能である。なお、本明細書におけるメダルは、スロットマシンやゲーム機等に供する擬似的なコインばかりではなく、コイン(硬貨)を含むものとする。