JP4869079B2 - 超音波探傷方法と超音波探傷装置 - Google Patents

超音波探傷方法と超音波探傷装置 Download PDF

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Description

本発明は電子部品などの検査対象を乾式で検査する超音波探傷方法に関するものである。
昨今のトレンドである小型、薄型の商品を実現するための一つの手段として、実装面積を小さくするために、BGAやCSPなど裏面電極を有する電子部品が増えてきている。裏面電極部品を用いた際、接合部を光学手段により観察できないため、品質を保証する他の手段が必要となる。
従来より、電子部品の内部を観察する方法として、X線を用いる方法や超音波探傷方法がある。X線を用いた方法においては、断線、ショート、体積異常などの検査に対して大きな効果が得られるものの、剥離などの接合部の検査には不向きである。また、超音波探傷方法においては、超音波が音響的に性質の異なる部分において反射するため、剥離などの接合部検査に適しているものの、検査対象を超音波伝達物媒体としての液体に浸漬し、前記液体を介して検査対象に対する超音波の送受信を実行して探傷されているが、液体に浸漬したことによって検査対象の電極材料がイオンとして前記液体に溶出して信頼性の低下と、液体に浸漬するという性質上、生産現場では実施できないという問題がある。
また、(特許文献1)(特許文献2)には、検査対象を液体に浸漬せずに検査する乾式の超音波探傷方法が開示されている。
特開2003−177117号公報 特開平11−304771号公報
(特許文献1)に記載の乾式の超音波探傷方法では、底面だけが高分子膜で閉塞され内部に超音波伝達媒体を収容した容器を使用し、前記高分子膜を検査対象に押し当て、超音波伝達媒体と前記高分子シートを介して検査対象に超音波を送信して反射波を受信して探傷するため、(特許文献1)に比べて生産工程中での全品検査などには向いている。しかし、生産工程中で繰り返し検査するためには前記高分子膜の交換が必要であり、前記容器への前記高分子膜の着脱の自動化が難しい構造である。
さらに、(特許文献1)では、前記高分子シートと検査対象との密着性を改善するために、前記高分子シートと検査対象との間の空気を排気する工程が必要であって、検査対象とその周囲とを気密シールする部材を押し当てることができる空きスペースが検査対象に必要であって、実装密度の高い基板などには実施できないのが現状である。
(特許文献2)には配管を検査対象とした検査方法が記載されているが、実装基板の電子部品のような精密検査を必要とする検査対象に適用できない。
本発明は、実装基板の電子部品のような精密検査を必要とする検査対象に適した超音波探傷装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1記載の超音波探傷装置は、底面が高分子膜で閉塞され内部に超音波伝達媒体を収容して密閉した媒体槽と、前記媒体槽に収容された超音波伝達媒体に少なくとも先端が浸漬された超音波探触子とを設け、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を設け、前記孔の減圧によって前記高分子膜を吸着保持し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査するよう構成したことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記高分子膜を媒体槽の底部に吸着させ、前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信された超音波が検査対象位置において反射して前記超音波探触子で受信するように、超音波探触子と前記検査対象との距離を設定して検査することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項5記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項6記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、超音波伝達媒体を前記媒体槽の内部に注入する前または注入した後に前記高分子膜をアルコールで濡らし、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項7記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、超音波伝達媒体を前記媒体槽の内部に注入する前または注入した後に前記高分子膜をアルコールで濡らし、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項8記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて表面がアルコールで濡れた前記検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の請求項9記載の超音波探傷方法は、媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて表面がアルコールで濡れた検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することを特徴とする。
本発明の超音波探傷装置と超音波探傷方法によると、実装基板の電子部品のような精密検査を必要とする検査対象を乾式で、しかも生産現場での実施に適した超音波探傷検査を実現できる。
以下、本発明の超音波探傷方法を図1〜図11に示す各実施の形態に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図4は本発明の(実施の形態1)を示す。
図1(a)〜(d)は超音波探傷の工程を示している。
図1(a)に示すように超音波探傷装置は、底面だけが開放された媒体槽1と、この媒体槽1の前記底面を閉塞する高分子膜2と、媒体槽1に移動自在に取り付けられ超音波を送受信する超音波探触子3とを有している。高分子膜2としては、シリコンゴム系、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを使用できる。その膜厚は、数μm〜数10μmである。
高分子膜2を媒体槽1に取り付ける場合には、図1(b)に示すように高分子膜2を媒体槽1の底面に押し当てるとともに、媒体槽1の内部4を真空装置(図示せず)に接続して減圧Aして保持させる。
続いて、媒体槽1の内部4の前記減圧Aを継続しながら、図1(c)に示すように媒体槽1の内部4に超音波伝達媒体としての水5を注入する。この注入量は、超音波探触子3の超音波送受信部となる先端が浸漬される分量である。
このように水5が注入された状態では水5の重みによって高分子膜2の中央が下側に膨れている。この状態で、検査対象の基板6を載せたステージ7を図1(c)から(d)に示すように矢印B方向に上昇させて、基板6の検査部位8の周りを媒体槽1の底部で覆う。高分子膜2を介して基板6に押し当てられた媒体槽1は、高分子膜2が基板1の検査部位8に沿って弾性変形している。
この状態において、超音波探触子3から送信された超音波が基板6の検査部位8の目的の深さの位置において反射して前記超音波探触子で受信するように、超音波探触子と前記検査対象との距離を調節して設定し、超音波を発射し、基板6の検査部位8での反射超音波を超音波探触子3で受信して、送信と受信の時間差から検査部位8の目的の位置の堅さの様子を検査している。
このように、高分子膜2を減圧Aによって媒体槽1に吸着保持させているため、図1(d)に示すように基板6を高分子膜2を介して媒体槽1の底部に押し付けるだけで、高分子膜2が基板1の検査部位8に沿って弾性変形して、高分子膜2が隙間無く検査部位8に密着し、超音波探触子3の先端部から発射された超音波振動は、水5と高分子膜2を介して正確に検査部位8の目的深さに達し、また高分子膜2と水5を介して超音波探触子3で正確に受信される。
したがって、(特許文献1)などに見られたような、前記高分子シートと検査対象との密着性を改善するために、前記高分子シートと検査対象との間の空気を排気する工程が必要でなく、検査対象とその周囲とを気密シールする部材を押し当てることができる空きスペースも検査対象に必要ではなく、実装密度の高いインラインの基板などの検査に好適である。
なお、検査の繰り返しによって高分子膜2に傷が付くなどして検査結果の精度が低下することが考えられるが、この場合には図2(a)に示すように廃棄容器9の上に移動させた状態で前記減圧Aを解除すると、使用済みの高分子膜2は水5の重みで媒体槽1の底部から外れて、注入されていた水5とともに図2(b)に示すように廃棄容器9の中に落下する。廃棄容器9の内側は、網体10によって上下に仕切られており、水5は網体10を通過して廃棄容器9の底部に溜められる。使用済みの高分子膜2は網体10で選別されて網体10の上に残る。
このように廃棄容器9に溜められた水5には使用済みの高分子膜2などが混入していないため、汲み上げて図1(c)の工程で媒体槽1への再注入に使用できる。
図3は図1(a)のより具体的な様子を示している。
図3(a)の巻装体12は、台紙13によって裏打ちされた帯状の高分子膜2を巻き上げたもので、この巻装体12から引き出した帯状体をリール14に巻き付けてテンションをかけた状態で間欠的に矢印15方向に巻き取る。16は作業台である。
テンションが作用した状態で停止した帯状体に、媒体槽1の底部を押し当て、媒体槽1の前記減圧Aを実施して媒体槽1に吸着保持させた後に、図4(a)に矢印16で示すように前記媒体槽1の外周に沿ってカッター17を作業台16の側に押圧して、高分子膜2を必要な形状に切り抜くことによって、前記媒体槽1への高分子膜2の取り付けが完了する。図3(b)は高分子膜2が切り抜かれた帯状体を示している。
なお、ここでは巻装体12からカッター17を使用して高分子膜2を必要な形状に切り抜いたが、図4(b)に示すように加熱したヒータ18によって巻装体12の高分子膜2を熱溶融させて切り抜くこともできる。
また、図4(c)に示すように切り抜きの手前位置において、巻装体12の台紙13を剥離台19を経由してテンションをかけて巻き取りリール20で巻き取り、それに同期して巻装体12の帯状の高分子膜2だけを前記リール14によってテンションをかけた状態で巻き取り、テンションが作用した状態で停止した切り抜き位置の高分子膜2に媒体槽1の底部を押し当て、媒体槽1の前記減圧Aを実施して媒体槽1に吸着保持させた後に、裏面側から矢印21で示すようにカッター22を押圧して高分子膜2を前記媒体槽1の外周に沿って切り抜くこともできる。
なお、媒体槽1における超音波探触子3は、検査部位8の検査範囲内の全域を自動検査するように運転制御部によって前記基板6の設計CADデータに基づいて水平面内を走査移動するように構成されている。
(実施の形態2)
図5は本発明の(実施の形態2)を示す。
図1(d)に示した(実施の形態1)超音波探傷の工程では、媒体槽1の底部を基板6に押し付け、高分子膜2が基板6の検査部位8に密着したが、この(実施の形態2)では、図1(d)のように媒体槽1の底部を基板6に押し付けた後に、媒体槽1の上部に穿設された孔23から空気Cを注入して媒体槽1の内部4をそれまでより加圧することによって、高分子膜2の検査部位8への密着性がより向上し、検査精度が向上する。
なお、空気C注入する孔23の位置は、図1(c)の工程で媒体槽1に注入された水5の水面24よりも上方位置である方が、水5に気泡が混入しないので好ましい。
(実施の形態3)
図6は本発明の(実施の形態3)を示す。
この実施の形態では、高分子膜2が保持される前記媒体槽1の端面に、外周から内側に伸びる底面部25を形成して、上記の各実施の形態に比べて高分子膜2との接触面積を大きくして吸着保持をより確実にしている点だけが異なっている。
(実施の形態4)
図7は本発明の(実施の形態4)を示す。
この実施の形態では、検査部位8に隣接して別部品26が実装されている場合であっても、検査部位8に前記高分子膜2を密着させることができるように、前記媒体槽1の端面に凹部27を予め形成したものである。
このように構成することによって、実装密度の高い基板6であっても検査できる。
(実施の形態5)
図8は本発明の(実施の形態5)を示す。
上記の各実施の形態において、高分子膜2が保持される前記媒体槽1の端面の材質については言及していなかったが、この(実施の形態5)では媒体槽1の端面には、媒体槽1よりも弾性係数の高い弾性体28が予め取り付けられている。
このように構成することによって、媒体槽1と高分子膜2との密着性が高まる。
(実施の形態6)
図9は本発明の(実施の形態6)を示す。
図9(a)では、高分子膜2が保持される前記媒体槽1の端面で開口した孔30を形成しておき、この孔30を真空ポンプ(図示せず)に接続して排気することによっても、媒体槽1と高分子膜2との密着性を高めることができる。また、高分子膜2を保持するために別の補持具によって保持していないのでコンパクトにできる。
具体的には、媒体槽1の底面開口を高分子膜2で閉塞して密閉し、孔30を減圧Aして前記高分子膜2を媒体槽1の底面開口に吸着させ、超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように水5を注入し、検査部位8に前記高分子膜を接触させた状態で前記媒体槽1の内部をそれまでより加圧し、前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する。
また、図9(b)に示すように媒体槽1の先端31を媒体槽1の基端よりも細くして、この先端31の部分に高分子膜2を被せて、先端31よりも上方位置において環状のバンド32などで固定して媒体槽1の先端開口を閉塞するように構成することもできる。このように媒体槽1の先端31を細くしたことによって、実装密度の高い基板6であっても検査部位8に高分子膜2を密着させて検査することができる。
(実施の形態7)
図10は本発明の(実施の形態7)を示す。
図10(a)に示す超音波探傷装置では、送受信周波数が互いに異なっている複数の超音波探触子3a,3b,3c,・・・が予め用意されており、検査部位に応じて超音波探触子3a,3b,3c,・・・のうちの何れを選択して前記媒体槽1に取り付けて検査を実行する。この構成によると、検査精度の向上を期待できる。
図10(b)に示す超音波探傷装置では、上記の各実施の形態のまたはその組み合わせによって構成された複数の超音波探傷ユニット29a,29b,29cが設けられている。ここで、超音波探傷ユニット29a,29b,29cは送受信周波数が互いに異なっている。検査工程では検査部位に応じて超音波探傷ユニット29a,29b,29cのうちの何れを選択して検査を実行するように運転プログラムが構成されている。
この構成によると、検査精度の向上とともに、超音波探傷ユニットの脱着工程をなくせるため、検査効率の向上を期待できる。
なお、上記の各実施の形態では、超音波探触子の取り付けられた超音波探傷ユニットに対して検査対象の基板6を移動させて検査状態を得たが、検査対象の基板6に対して超音波探触子の取り付けられた超音波探傷ユニットを移動させて検査状態を得ることもできる。このように、一方を他方に対して移動させて検査状態を得る運転プログラムの他に、両方を移動させて互いに接近させて前記検査状態を得ることもでき、検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査することができる。
(実施の形態8)
図1(a)〜(d)に示した超音波探傷方法では、図1(b)で媒体槽1の内部4を減圧し、次に図1(c)では媒体槽1の内部4に超音波伝達媒体を注入し、さらに図1(d)に示したように、検査部位8に高分子膜2を押し当てたが、この(実施の形態8)では図11(a)〜(d)に示すように、図11(b)と図11(c)の間に図11(b−1),図11(b−2)の工程が追加されている点だけが図1とは異なっている。この実施の形態では、検査対象8の表面の凹凸が原因の検査精度の低下を回避できる。
具体的には、図11(b−1)では、媒体槽1に取り付けが完了した高分子膜2を、アルコール33に浸す。図11(b−2)では、媒体槽1に超音波伝達媒体としての水5が注入されて、高分子膜2の中央が下側に膨れる。高分子膜2に付いているアルコール33は高分子膜2の中央に集まる。
この状態で、検査対象の基板6を載せたステージ7を図11(c)から(d)に示すように矢印B方向に上昇させることによって、最初に、高分子膜2の中央に集まったアルコール33が検査部位8の上面の中央に接触し、検査部位8の上面の中央の凹凸(図示せず)がアルコール33で濡れる。これによって検査部位8の上面の中央部の凹部にアルコール33が入る。ステージ7の上昇に伴って、検査部位8の上面の中央から外側に向かって高分子膜2が接触するに伴って、検査部位8の上面の中央部に供給された余分なアルコール33が、検査部位8の外側に向かって押し広げられながら検査部位8の凹部に充填されることになり、検査部位8と高分子膜2の間に空気が残らない状態で密着する。検査部位8と高分子膜2の間から排除された余分なアルコール33は、蒸発して基板6の上には残らないので、電気的性能に影響しない。
このように、アルコール33を検査部位8に付けることによって、検査部位8の表面に凹凸があっても、高分子膜2を検査部位8に密着させることができ、検査部位8の表面の凹部に空気が残留する場合に比べて検査精度が向上する。
なお、前記アルコール33としてはイソプロピルアルコール,エタノール,メタノールなどを使用することができる。
図11(a)〜(d)では、図11(b−1)で媒体槽1に取り付けが完了した高分子膜2を、アルコール33に浸してから、図11(b−2)で媒体槽1に超音波伝達媒体が注入したが、この点については、媒体槽1に高分子膜2を取り付けた直後に媒体槽1に超音波伝達媒体が注入してから、高分子膜2をアルコール33に浸し、その後に図11(c),(d)の工程で高分子膜2と検査部位8とを当接させても同様の効果を期待できる。
(実施の形態9)
なお、図11に示した(実施の形態8)では、図11(b−1)において高分子膜2をアルコールで濡らしたが、これは、高分子膜2をアルコールで濡らすのに代わって、高分子膜2に当接する検査部位8の表面にアルコールを供給して濡らしておいても、(実施の形態8)と同様の効果を期待できる。
本発明は生産工程中の検査対象を濡らすことなく正確な超音波探傷検査を実現することができ、各種の半導体装置を実装した電子基板のインライン検査に使用できる。
本発明の(実施の形態1)の超音波探傷方法の検査工程図 同実施の形態において損傷した高分子膜を廃棄する工程図 同実施の形態において高分子膜を装着する工程図 同実施の形態において高分子膜を切り抜く工程図 本発明の(実施の形態2)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態3)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態4)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態5)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態6)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態7)の超音波探傷方法の検査工程図 本発明の(実施の形態8)の超音波探傷方法の検査工程図
符号の説明
1 媒体槽
2 高分子膜
3 超音波探触子
4 媒体槽の内部
5 水
6 基板
7 ステージ
8 検査部位
9 廃棄容器
10 網体
12 巻装体
13 台紙
14 リール
17 カッター
18 ヒータ
19 剥離台
20 巻き取りリール
23 孔
25 底面部
27 凹部
28 弾性体
30 孔

Claims (9)

  1. 底面が高分子膜で閉塞され内部に超音波伝達媒体を収容して密閉した媒体槽と、
    前記媒体槽に収容された超音波伝達媒体に少なくとも先端が浸漬された超音波探触子とを設け、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を設け、前記孔の減圧によって前記高分子膜を吸着保持し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査するよう構成した
    超音波探傷装置。
  2. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記高分子膜を媒体槽の底部に吸着させ、
    前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信された超音波が検査対象位置において反射して前記超音波探触子で受信するように、超音波探触子と前記検査対象との距離を設定して検査する
    超音波探傷方法。
  3. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、
    超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させて前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  4. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、
    前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  5. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、
    超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  6. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、
    前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    超音波伝達媒体を前記媒体槽の内部に注入する前または注入した後に前記高分子膜をアルコールで濡らし、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  7. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、
    超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    超音波伝達媒体を前記媒体槽の内部に注入する前または注入した後に前記高分子膜をアルコールで濡らし、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  8. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽の内部を減圧して前記高分子膜を前記媒体槽の底部に吸着させ、
    前記媒体槽の内部を減圧しながら超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて表面がアルコールで濡れた前記検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
  9. 媒体槽の底面開口を高分子膜で閉塞して密閉し、前記媒体槽には底面側の端面で開口した孔を減圧して前記高分子膜を吸着させ、
    超音波探触子の少なくとも先端が浸漬されるように超音波伝達媒体を注入し、
    検査対象と前記媒体槽とを相対移動させて表面がアルコールで濡れた検査対象と前記高分子膜とを接触させた状態で前記媒体槽の内部をそれまでより加圧し、
    前記超音波探触子から送信して検査対象で反射した超音波を前記超音波探触子で受信して検査する
    超音波探傷方法。
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