JP6650202B2 - 熱処理層深さ測定用超音波プローブ及び熱処理層深さの測定方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1の装置では、本体部に超音波を発信又は受信する素子が取り付けられ、本体部の内部に超音波の伝導率が高い液体を収納する空間が設けられ、この空間の開口が本体部の先端面でシール膜により覆われて構成されていた。
このような装置では、先端面を当接させて開口のシール膜をワークに接触させた状態で、超音波測定を行うことができる。そのためワーク及び探触子を液体中に浸漬させたり液体を垂れ流す必要がなくて測定が容易である。
また突起部が伝搬室の開口を挟んで両側に配設され、各突起部の頂部が開口より狭く形成されているのがよい。その場合、両側の突起部は、本体部の長手方向に連続し互いに逆勾配に傾斜した一対の平坦面により形成されているのが好適である。この突起部の頂部は、開口側が最も突出するように長手方向両側に向けて逆勾配に傾斜していてもよい。
本実施形態の熱処理層深さ測定用超音波プローブ10は、図1及び図2に示すように、ワークWとの接触部21を有するホルダー20と、ホルダー20に取り付けられた探触子30とを備えている。
探触子30の先端側には音響レンズや凹面振動子等の超音波の収束部31が設けられており、出力される超音波がワークW内部における焼入層Whの深さの測定に適した距離で最も収束するように設定されている。
水室22及び開口22aには伝搬物質が満たされており、水室22及び開口22aの伝搬物質及び接触部21を介して、探触子30とワークWとの間で超音波が伝搬されるようになっている。
探触子30は、この水室22に先端を望ませた状態で開口22a側に向けて取り付けられている。
まず図3に示すように、ホルダー20を治具40に装着し、ホルダー20及び接触部21の長手方向がワークWの周方向に沿うように配置し、治具40の底面を被検出面Wsに当接させることで、ホルダー20の接触部21をワークWの被検出面Wsに対して略直交方向に押し付ける。被検出面Wsにはグリセリン等の伝達媒体が塗布されていてもよい。
この状態で、探触子30から超音波を出力すると、超音波は、水室22の伝搬物質、接触部21の軟質シート23、ワークW表面のグリセリン等の伝達媒体などを介して伝搬され、ワークW内部に入射される。
入射した超音波がワークW内部で反射して探触子30まで到達した反射波により、探触子30から電圧等の電気信号が出力され、処理部などによりその波形等に基づいて解析され、焼入層の深さが測定される。
まず内周面の測定と同様に、図3に示すようにホルダー20を治具40に固定してワークWの周方向に沿うように配置し、接触部21をワークWの被検出面Wsに押し付ける。
これにより図4(a)(b)に示すように、水室22の開口周囲22bの突起部26における開口22aに隣接する部位を、被検出面Wsに当接させて所定位置に配置し、軟質シート23を変形させて被検出面Wsに密着させる。この状態で、探触子30から超音波を出力することで、内周面の測定と同様に、焼入層の深さが測定される。
以上のような超音波プローブ10によれば、水室22の開口周囲22bに部分的に突出した突起部26が設けられているので、ホルダー20をワークWの被検出面Wsに押し付けると、突起部26がワークWの被検出面Wsに当接する。これによりホルダー20に取り付けられた探触子30をワークWの被検出面Wsに対して所定距離に容易に配置できる。
また、水室22の開口22aの周囲から突出させた突起部26を、水室22の開口22aとともに軟質シート23で被覆することで、接触部21が構成されているので、軟質シート23を突出形状にして開口周囲22bより突出させた状態で配置でき、接触部21を中空の突出形状で軟質に形成できる。
さらに本体部25の接触部21側の形状が平坦面により簡素に形成されることで、突起部26と共に水室22の開口22aを軟質シート23で被覆して密封することができ、軟質シート23が突出形状に配置された接触部21を容易に形成できる。
例えば、上記実施形態では、被検出面Wsが環状のワークにおける平坦な外周面又は内周面の場合について説明したが、特に限定されず、例えば図5に示すような凹部であっても、本発明の超音波プローブを用いて焼入層Whの深さを測定することができる。
この図5では、凹部の隅部分は、ホルダー20が山形で先細り形状のため、実線で示すように超音波プローブ10を傾斜させることで、接触部21を密着させて検出することが可能である。また凹部の立ち上がり部分では、仮想線で示すように、超音波プローブ10を底面に寝かせて配置することで、立ち上がり部分に接触部21を密着させて検出することができる。
上記実施形態では、本体部25の開口22aの両端に一対の突起部26を設けた例について説明したが、一方だけであってもよく、3カ所以上に突起部を設けることも可能である。
また突起部26として、一対の傾斜面により山形形状に形成したが、開口から突出する形状であればよく、ピン等のように一点で突出するような形状であってもよい。
上記実施形態では、ホルダー20を治具40に固定して測定した例について説明したが、特に限定されるものではなく、ホルダー20を作業者が把持して測定してもよい。
測定対象は検出可能な組織であれば、焼入層Whに限らず、他の熱処理層の深さでもよい。
Ws 被検出面
Wh 焼入層
10 超音波プローブ
20 ホルダー
21 接触部
22 水室
22a 開口
22b 開口周囲
23 軟質シート
25 本体部
26 突起部
26a 頂部
27 平坦面
30 探触子
31 収束部
40 治具
Claims (6)
- ホルダーと該ホルダーに取り付けられた探触子とを備え、前記ホルダーは、ワークと接触させる接触部と、該接触部と前記探触子との間に設けられて伝搬物質で満たされた伝搬室と、を有し、前記伝搬物質及び前記接触部を介して前記探触子と前記ワークとの間で超音波を伝搬可能な超音波プローブであって、
前記ホルダーは、
前記接触部側に開口するように前記伝搬室が設けられた本体部と、前記伝搬室の開口を密封して前記接触部を構成し前記ワークの形状に追従可能な追従部材と、を有し、
前記伝搬室の開口周囲には部分的に突出した突起部が設けられ、該突起部と共に前記追従部材が突出形状に配置されてなり、
前記追従部材を前記ワークに接触させて熱処理層深さを測定する、熱処理層深さ測定用超音波プローブ。 - 前記追従部材は、前記伝搬室の開口を密封するように被覆する軟質シートを有し、
該軟質シートにより前記伝搬室の開口を前記突起部と共に被覆することで、前記軟質シートが突出形状に配置されている、請求項1に記載の熱処理層深さ測定用超音波プローブ。 - 前記突起部は、前記伝搬室の開口を挟んで両側に配設され、各突起部の頂部が前記開口より狭く形成されている、請求項1又は2に記載の熱処理層深さ測定用超音波プローブ。
- 前記両側の突起部は、前記本体部に長手方向に連続し互いに逆勾配に傾斜した一対の平坦面により形成されている、請求項3に記載の熱処理層深さ測定用超音波プローブ。
- 前記突起部の頂部は、前記開口側が最も突出するように長手方向両側に向けて傾斜している、請求項4に記載の熱処理層深さ測定用超音波プローブ。
- 請求項1から5のいずれか一項記載の超音波プローブを用いた測定方法であって、
前記伝搬室を伝搬物質で満たした状態で前記接触部を突出形状にし、
前記接触部を前記ワークの被検出面に押し付けることで該接触部を前記被検出面の形状に追従させて密着させ、
前記探触子から超音波を出力させて前記接触部及び前記伝搬物質を介して超音波を伝搬させて、前記ワークの熱処理層の深さを測定する熱処理層深さの測定方法。
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