JP4868136B2 - 生物組織薄切片作製法及び粘着性プラスチックフィルム - Google Patents
生物組織薄切片作製法及び粘着性プラスチックフィルム Download PDFInfo
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第一発明及び第二発明によれば、第五発明及び第六発明の粘着性プラスチックフィルムを薄切片支持材として用いることにより、パラフィン等で包埋した生物試料から、皺、収縮、損壊等がなく、形態や形状が保たれた厚さ2〜10μmの薄切片を効率よく作製できる。そして、その粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片をスライドグラスに密着した後、スライドグラスを水中に放置することにより、まずプラスチックフィルムを水で溶解除去し、次いで有機溶媒に浸漬することにより粘着剤とパラフィンの両者を溶解除去することができるために、薄切片支持材として用いた粘着性プラスチックフィルムを、組織試料に損壊を生じさせないで完全に除去することができるので、形状の保たれた生物組織薄切片のみをスライドグラス上に確実に残すことができる。これらの効果により、皺、収縮、損壊等がなく、形状の保たれた生物組織薄切片をスライドグラス上に効率よく作製することができる。
第1実施例における、粘着性プラスチックフィルムは、水溶性プラスチックフィルムあるいは非水溶性プラスチックフィルム上に密着した水溶性プラスチックフィルムの上に、有機溶媒で容易に溶解する粘着剤を塗布し、乾燥後、粘着面を保護するための剥離紙を密着する。使用時に包埋ブロックの薄切面の大きさに切断し、剥離紙を取り除いて薄切片支持用の粘着性プラスチックフィルムとして使用する。
第2実施例における、粘着性プラスチックフィルムの作製手順について、図1〜図5を参照して説明する。まず、図1及びその断面図である図2に示すように、透明な水溶性プラスチックフィルム2の上に、有機溶媒で容易に溶解する粘着剤1を塗布する。この際、図2の(B)で示すように、粘着性プラスチックフィルムの基材として、第2の非水溶性プラスチックフィルム7を密着した水溶性プラスチックフィルムを使用することもできる。粘着剤1の乾燥後、図1に符号4で示す粘着領域の幅が、図6に符号11で示す包埋試料ブロック10の薄切方向とほぼ同等の長さになるように、図1に符号5および符号6で示す幅の第1の非水溶性プラスチックフィルム3を粘着面に密着する。第1の非水溶性プラスチックフィルム3は、水又は有機溶媒に溶解するものも使用できるが、それらに溶解しないプラスチックフィルムが効率よく作業できる。次いで、図2に示すように剥離紙8を粘着性プラスチックフィルムの粘着面に密着する。使用時に図6に示すように、粘着性プラスチックフィルムの粘着面の大きさが、包埋試料ブロック10の薄切面の大きさとほぼ同等になるように、図3に示す切断線9にそって切断し、図4及びその断面図である図5に示す薄切片支持用の粘着性プラスチックフィルムを作製する。
i)上記の手順で作製した薄切片支持用の粘着性プラスチックフィルムを、図6に示すように包埋試料ブロック10の薄切面に貼り付ける。
ii)この状態で、所定の薄切用ナイフ13で切削することにより、図7に示すように薄切片が粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた状態で採れる。
iii)図8に示すように、粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片14を下に向けて温水15に浮かべ、次いでスライドグラス16で、すくい上げることにより薄切片14と粘着性プラスチックフィルムをスライドグラス16に密着する。これ以外の方法でも、粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片14を、スライドグラス16に確実に密着することができればよい。
iv)密着後、ホットプレート(35〜45℃)上に置いて乾燥することにより、薄切片14をスライドグラス16に密着する(図9)。第2の非水溶性プラスチックフィルム7を密着した水溶性プラスチックフィルムで作製した粘着性プラスチックフィルムを使用した場合、図9の(B)に示すように、乾燥後、第2の非水溶性プラスチックフィルム7をピンセット等で取り除く。
v)次いで、図10の(A)に示すように、粘着性プラスチックフィルムと薄切片14が密着したスライドグラス16を水18に入れることにより、図10の(B)に示すように粘着性プラスチックフィルムの基材である水溶性プラスチックフィルム2を溶解除去する。水溶性プラスチックフィルムの除去は、完全に溶解除去することもできるが、表面が溶解した時にピンセットで取り除くこともできる。
vi)次いで、図11の(A)に示すように、水溶性プラスチックフィルム2が除去されたスライドグラス16を有機溶媒I19(例えば、アルコール)に浸漬し、粘着剤1を溶解除去することにより、図11の(B)に示すように、スライドグラス16上に薄切片のみを残す。
vii)次いで、図12の(A)に示すように、水溶性プラスチックフィルム2と粘着剤1が溶解除去されたスライドグラス16を、有機溶媒II22に浸漬し、試料包埋剤20(例えば、パラフィン)を溶解除去することにより、図12の(B)に示すように生物組織薄切片21のみをスライドグラス16上に残す。この際、粘着剤1と試料包埋剤20を同時に溶解除去できる有機溶媒(例えば、キシレン)を使用することにより、粘着剤1と試料包埋剤20を同時に溶解除去することもできる。
viii)図12の(B)に示すように、薄切片から試料包埋剤20を溶解除去し、生物組織薄切片21のみを残したスライドグラス16を100%エタノール中に移す。
ix)次いで、スライドグラス16を水溶液中に移した後、研究目的に応じて染色する。
Claims (8)
- 有機溶媒あるいは水で溶解する粘着性プラスチックフィルムを、パラフィン包埋した生物試料の薄切面に貼り付け、粘着性プラスチックフィルムを貼り付けた状態で、包埋試料を刃物で切削することにより薄切片を作製し、その粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片をスライドグラスに密着し、次いで粘着性プラスチックフィルムと薄切片が貼り付いたスライドグラスから、まず粘着性プラスチックフィルムのプラスチックフィルムを水で溶解除去し、次いで薄切片に付着して残存している粘着剤と包埋剤であるパラフィンの両者を有機溶媒で溶解除去し、生物組織薄切片のみをスライドグラス上に残すことを特徴とする生物組織薄切片作製法。
- 有機溶媒で溶解する粘着剤を、水溶性プラスチックフィルム上に塗布することにより、水溶性プラスチックフィルム上に粘着層を形成した粘着性プラスチックフィルムを、パラフィン包埋した生物試料の薄切面に貼り付け、粘着性プラスチックフィルムを貼り付けた状態で、包埋試料を刃物で切削することにより薄切片を作製し、その粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片をスライドグラスに密着し、次いで水に入れてから、まずスライドグラスから水溶性プラスチックフィルムを取り除き、その後、薄切片に付着している粘着剤と包埋剤であるパラフィンの両者を有機溶媒で溶解除去し、生物組織薄切片のみをスライドグラス上に残すことを特徴とする生物組織薄切片作製法。
- 樹脂で包埋した生物試料の薄切面、あるいは水溶性包埋剤で凍結包埋した生物試料の薄切面に、有機溶媒で溶解する粘着剤を水溶性プラスチックフィルム上に塗布することにより水溶性プラスチックフィルム上に粘着層を形成した粘着性プラスチックフィルムを貼り付け、粘着性プラスチックフィルムを貼り付けた状態で、包埋試料を刃物で切削することにより薄切片を作製し、その粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片をスライドグラスに密着し、次いで水に入れてから、まず粘着性プラスチックフィルムと薄切片が貼り付いたスライドグラスから水溶性プラスチックフィルムを水に入れて取り除き、次いで薄切片に付着した粘着剤を有機溶媒で溶解除去することにより、生物組織薄切片をスライドグラス上に作製することを特徴とする生物組織薄切片作製法。
- 非水溶性プラスチックフィルム上に密着した水溶性プラスチックフィルムの上に有機溶媒で溶解する粘着剤を塗布することにより、水溶性プラスチックフィルム上に粘着層を形成した粘着性プラスチックフィルムを、パラフィン包埋した試料の薄切面に貼り付け、粘着性プラスチックフィルムを貼り付けた状態で、包埋試料を刃物で切削することにより薄切片を作製し、その粘着性プラスチックフィルムに貼り付いた薄切片をスライドグラスに密着した後、まず粘着性プラスチックフィルムと薄切片が貼り付いたスライドグラスから非水溶性プラスチックフィルムを取り除き、次いで水にいれてから水溶性プラスチックフィルムを取り除き、次いで薄切片に残存した粘着性プラスチックフィルムの粘着剤と、包埋剤であるパラフィンの両者を有機溶媒で溶解除去し、生物組織薄切片のみをスライドグラス上に残すことを特徴とする生物組織薄切片作製法。
- 請求項1、請求項2又は請求項3の生物組織薄切片作製法に使用する粘着性プラスチックフィルムであって、
その構成は、有機溶媒で容易に溶解する粘着剤を、水で容易に溶解する透明なプラスチックフィルムの片側に塗布することにより、プラスチックフィルム上に粘着層を形成し、その粘着層の上に剥離紙を密着することによりテープ状、又はシート状の粘着性プラスチックフィルムを作製し、使用時に薄切面の大きさに切断した後、粘着性プラスチックフィルムから剥離紙を取り除いて使用することを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 - 請求項1、請求項2又は請求項3の生物組織薄切片作製法に使用する粘着性プラスチックフィルムであって、
その構成は、有機溶媒で容易に溶解する粘着剤を、水で容易に溶解する薄くて透明なプラスチックフィルムの片側に塗布することにより、プラスチックフィルム上に粘着層を形成し、粘着層の上に帯状の薄いプラスチックフィルムを所定の間隔で密着して、粘着性を有する領域と粘着性の無い領域を設け、粘着性の無い領域で挟まれる粘着性を有する領域の長さが請求項1、請求項2あるいは請求項3に記載した包埋試料の薄切方向の長さとほぼ等しくなるようにした粘着性プラスチックフィルム上に剥離紙を密着し、使用時に薄切面の大きさに切断し、次いで、切断した粘着性プラスチックフィルムから剥離紙を取り除いて使用することを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 - 請求項4の生物組織薄切片作製法に使用する粘着性プラスチックフィルムであって、
その構成は、非水溶性プラスチックフィルム上に水溶性プラスチックフィルムを密着し、その上に有機溶媒で容易に溶解する粘着剤を塗布することにより、水溶性プラスチックフィルム上に粘着層を形成し、その粘着層の上に剥離紙を密着することによりテープ状、又はシート状の粘着性プラスチックフィルムを作製し、使用時に適当な大きさに切断した後、粘着性プラスチックフィルムから剥離紙を取り除いて使用することを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。 - 請求項4の生物組織薄切片作製法に使用する粘着性プラスチックフィルムであって、
その構成は、非水溶性プラスチックフィルム上に水溶性プラスチックフィルムを密着し、その上に有機溶媒で溶解する粘着剤を塗布することにより、水溶性プラスチックフィルム上に粘着層を形成し、粘着層の上に帯状の薄い非水溶性プラスチックフィルムを所定の間隔で密着して、粘着性を有する領域と粘着性の無い領域を設け、粘着性の無い領域で挟まれる粘着性を有する領域の長さが請求項4に記載した包埋試料の薄切方向の長さとほぼ等しくなるようにした粘着性プラスチックフィルム上に剥離紙を密着し、使用時に適当な大きさに切断し、次いで、切断した粘着性プラスチックフィルムから剥離紙を取り除いて使用することを特徴とする粘着性プラスチックフィルム。
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