JP3148974U - レーザーマイクロダイセクション用試料載置板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生体試料から目的細胞を採取しやすく、また、脱パラフィンや脱水・乾燥を行いやすい、レーザーマイクロダイセクション用試料載置板を提供すること。【解決手段】 スライドグラス上にフィルム膜を設け、当該フィルム膜上に生体試料を載置するレーザーマイクロダイセクション用試料載置板であって、スライドグラスとフィルム膜を少なくともそれらの両端で接着し、かつそれらの中央部分においてこれらを離間する微小空間を設けたことを特徴とするレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。【選択図】 図1
Description
本考案は、レーザーマイクロダイセクション用試料載置板に関し、更に詳細には、生体試料から目的とする部位のみをレーザー光を用いて簡単に採取することのできるレーザーマイクロダイセクション用試料載置板に関する。
ここ数年の間に、分子生物学ではPCR法を利用する組織の増殖が広く行われるようになっている。しかしながら、組織学的試料が、異なる性質と特徴を持つ様々な部位で構成されているため、PCR法を用いる増殖を行うに際しては、この複合組織から単細胞または細胞グループを取り出すことが必要となる。
最近、このような単細胞または細胞グループの単離のため、レーザーマイクロダイセクション(以下、「LMD」と略す)と呼ばれる手法が採用されることが多くなっている。この手法は、試料載置板としてフィルム付きスライドグラスを用い、このフィルム側に試料を固定し、この試料面を下向きに顕微鏡に取り付た後、目的とする単細胞または細胞グループ(以下、「目的細胞」という)の周囲をUVレーザー等のレーザー光でカットし、これを下にセットされたPCR用チューブ等に採取するという方法である。この方法は、汚染の可能性が極めて低いため、例えば、組織病理切片からDNA、RNA、タンパク質等を採取する方法として極めて有利なものとされている。
ところで、上記LMD法で試料載置板として用いられるフィルム付きスライドグラスは、スライドグラス上にフィルムを重ね、フィルムの周囲を、光硬化型または熱硬化型粘着剤で接着したものが多く用いられているが、このようなものでは、レーザー光でカットした場合に試料が脱落しにくいという問題や、生体試料の染色、脱パラフィン、脱水・乾燥工程が困難であるという問題があった。
前者の問題は、フィルムに粘着剤組成物を塗布する際は全面に塗布し、接着性が必要な部分にのみ光を当てたり、熱をかけて接着させることが一般的であるが、UVレーザー光の照射を受けた場合、目的細胞周囲でも接着作用が生じ、これによりスライドグラスから脱落が妨げられることがあるためである。また、後者は、フィルムとスライドグラスが密着していることに起因するものである。
従って、本考案は、生体試料から目的細胞を採取しやすく、また、脱パラフィンや脱水・乾燥を行いやすい、LMD用試料載置板の提供をその課題とするものである。
本考案者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、スライドグラスとフィルムを密着させず、空間を設ければ上記課題は解決できることを見出し、本考案を完成した。
すなわち本考案は、スライドグラス上にフィルム膜を設け、当該フィルム膜上に生体試料を載置するLMD用試料載置板であって、スライドグラスとフィルム膜を少なくともそれらの両端で接着し、かつそれらの中央部分においてこれらを離間する微小空間を設けたことを特徴とするLMD用試料載置板である。
本考案のLMD用試料載置板(以下、「試料載置板」という)は、生体試料を載置する中央部において、フィルム膜とスライドグラスが離れているため、レーザーで生体試料から目的細胞を切り出すに当たり、スライドグラス面に残存するおそれがない。また、生体試料の脱パラフィンや、脱水・乾燥工程においても、問題が生じにくく、簡単に目的細胞を生体試料から切り出すことが可能なものである。
次に本考案の実施態様の例を示す図面を挙げ、本考案を更に詳しく説明する。
図1は、スペーサー部材を用いた本考案の実施態様を示す平面図であり、図2は図1のA−A'での模式的な断面図である。図中、1は試料載置板、2はスライドグラス、3はフィルム膜、4はスペーサー部材、5は接着層である。
本考案の試料載置板1は、スライドグラス2、フィルム膜3およびスペーサー部材4より構成される。フィルム膜3は、スライドグラスの両端側において、接着層5で接着されている。、また、フィルム膜3は、接着層5より中央側よりである両端近傍に設けられたスペーサー部材4により張力が与えられており、スライドグラス2の中央部分とフィルム膜3の中央部分は微細な空間により隔てられている。
上記のスペーサー部材4としては、細い金属線や金属部材等をスライドグラス2上に固定させたものであっても、あるいは、スライドグラス2の表面に、線状の突起を設けたものであっても良い。また、図2では、接着層5を両端に設けたものが示されているが、このような接着層5は両面接着性テープ等を用いることにより容易に形成しうる。なお、工業的には、光硬化型または熱硬化型粘着剤組成物を塗布したフィルム膜3を利用し、少なくともその両端に光または熱を与え、これによってその部分のみに接着性を与えて接着層5を形成することが好ましい。
本考案の試料載置板1においては、その中央部で、少なくともスライドグラス2とフィルム膜3の間に、微細空間が維持されていることが重要である。このためには、スペーサー部材4は、常にフィルム膜3に張力が与えられる状態でスライドグラス2上に接着することが必要であり、また、スペーサー部材4が張力を維持できるものであることが必要である。このような張力を与える手段としては、最初にスライドグラス2上にフィルム膜3を張力が係るように接着し、更にこのスライドグラス2とフィルム膜3の間に、前記した細い金属線を挿入し、張力を維持する方法が挙げられる。この場合に用いる金属線としては、2mm以下で、希望する微小空間の幅に応じたステンレス線であることが好ましい。
また、スペーサー部材4の高さ(すなわち、微小空間層の幅)は、10μmから2mm以内の範囲であればレーザーによる切り取りが可能であるが、サンプルを染色する際の水洗、乾燥工程を容易に遂行できることおよびレーザーによる切り取りが容易で、高回収が可能であることなどを考慮すれば、0.5mmから1mm程度が最も好適である。
一方、図3は、スライドグラスに凹部を設けた本考案の別の実施態様を示す平面図であり、図4は、図3のB−B'での模式的な断面図である。図中、1ないし5は前記の通りであり、6は凹部である。
この実施形態の試料載置板1は、スライドグラス2自体に凹部6が設けられているので、スペーサー部材4は必要としない。この凹部6の深さ(すなわち、微小空間層の幅)も、上記スペーサー部材4の高さとほぼ同じでよい。この凹部は、中央部に四角形の凹みがある形でも、また、両端が高く、中央部が全体に凹んだ形であっても良い。
なお、図3および4のものは、スライドグラスの中央に凹部6が設けられているが、この部分を単なる空間とすることも可能である。すなわち、スライドグラスの中央を切り欠いたものを用い、その切り欠いた部分にフィルム膜3を設けることも可能である。
なお、これらの態様でも、接着層5が別途設けられているが、工業的には、光硬化型または熱硬化型粘着剤組成物を塗布したフィルム膜3を利用することが好ましく、また、接着に際してはフィルム膜3に張力を与えることが必要であることも、前述の実施態様と同様である。
かくして得られる本考案の試料載置板1は、従来から提供されている試料載置板と同様に利用することができる。すなわち、まず、試料載置板1のフィルム膜3側に生体試料を載置し、パラフィン等で固定する。この固定位置は、フィルム膜とスライドグラスが離間されている部位である。次いで、試料載置板1を、生体試料側を下側にして、LMDの顕微鏡にセットし、顕微鏡下で観察しつつ、目的細胞をレーザーにより切り取る。この切り取られた目的細胞は、フィルム膜とスライドグラスが微小空間により離間されている部分であるので、何の問題もなく下にセットされたPCR用チューブ等に落下、採取される。採集された目的細胞は、更にPCR等必要な処理に付されることができる。
次に本考案の試料載置板の製造に関し、実施例を挙げて説明するが、本考案はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
試料載置板の製造
1.準備するもの
スライド立て
スポンジ
手袋
スライドグラス
両面テープ
虫ピン
カッター
70%アルコール
プラスチック板
LMD用フィルム(ライカ社製)
試料載置板の製造
1.準備するもの
スライド立て
スポンジ
手袋
スライドグラス
両面テープ
虫ピン
カッター
70%アルコール
プラスチック板
LMD用フィルム(ライカ社製)
2.作業工程
(1)スライドグラスの両端に両面テープを貼付する。
(2)スライドグラスの外枠を表示したプラスチック板を70%アルコールでしめら
せた後、この上にLDM用フィルムを敷き、更に70%アルコールを噴霧した
後、スポンジを用いてしわを伸ばす。
(3)スライドグラスの両面テープの保護シートを取り、上記(2)のフィルム上
に、プラスチック板の罫線に沿って貼り付け、接着層を形成する。
(4)フィルムに貼り付けたスライドグラスを裏返し、フィルム面を上にする
(5)フィルムを両面テープで貼り付けたスライドグラスから、はみ出た余分のフィ
ルムを除去する。
(6)フィルムを貼り付けたスライドグラスをスライド立てに立て、アルミホイルで
包み、乾熱滅菌(200℃、2時間)を行う。
(7)乾熱滅菌後、中央側から接着層方向に向け、フィルムとスライドグラス間にス
ペーサー部材である虫ピンを挿入し、試料載置板を得る。
(1)スライドグラスの両端に両面テープを貼付する。
(2)スライドグラスの外枠を表示したプラスチック板を70%アルコールでしめら
せた後、この上にLDM用フィルムを敷き、更に70%アルコールを噴霧した
後、スポンジを用いてしわを伸ばす。
(3)スライドグラスの両面テープの保護シートを取り、上記(2)のフィルム上
に、プラスチック板の罫線に沿って貼り付け、接着層を形成する。
(4)フィルムに貼り付けたスライドグラスを裏返し、フィルム面を上にする
(5)フィルムを両面テープで貼り付けたスライドグラスから、はみ出た余分のフィ
ルムを除去する。
(6)フィルムを貼り付けたスライドグラスをスライド立てに立て、アルミホイルで
包み、乾熱滅菌(200℃、2時間)を行う。
(7)乾熱滅菌後、中央側から接着層方向に向け、フィルムとスライドグラス間にス
ペーサー部材である虫ピンを挿入し、試料載置板を得る。
本考案の試料載置板1の特徴は、前記したように、スライドグラス2とフィルム膜3が重なっておらず、微小空間により離されているため、切り取られた目的細胞がスライドグラス2に付着残存することがないことである。また、スライドグラス2とフィルム膜3が離れているため、毛細管作用により、これらの間に水分等が残存することもなく、脱水・乾燥等も容易に行うことができる。
従って本考案の試料載置板は、LMD法を実施するに当たり、有利に使用できるものである。
1 … … 試料載置板
2 … … スライドグラス
3 … … フィルム膜
4 … … スペーサー部材
5 … … 接着層
6 … … 凹部
2 … … スライドグラス
3 … … フィルム膜
4 … … スペーサー部材
5 … … 接着層
6 … … 凹部
Claims (5)
- スライドグラス上にフィルム膜を設け、当該フィルム膜上に生体試料を載置するレーザーマイクロダイセクション用試料載置板であって、スライドグラスとフィルム膜を少なくともそれらの両端で接着し、かつそれらの中央部分においてこれらを離間する微小空間を設けたことを特徴とするレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。
- 少なくともスライドグラスの両端の近傍にスペーサー部材を設け、当該スペーサー部材より両端側の部分においてフィルム膜をスライドグラスに接着せしめてなる請求項1記載のレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。
- スペーサー部材が細線またはスライドグラス上の突起である請求項1または2記載のレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。
- 少なくともスライドグラスの両端の近傍から中央部にかけて、底部が平坦な凹部を設け、フィルム膜とスライドグラスを両端の平坦部において接着せしめてなる請求項1記載のレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。
- 少なくともスライドグラスの両端の近傍から中央部にかけて、切欠きが設けられた空間部を有し、フィルム膜とスライドグラスを両端の平坦部において接着せしめてなる請求項1記載のレーザーマイクロダイセクション用試料載置板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008009009U JP3148974U (ja) | 2008-12-24 | 2008-12-24 | レーザーマイクロダイセクション用試料載置板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008009009U JP3148974U (ja) | 2008-12-24 | 2008-12-24 | レーザーマイクロダイセクション用試料載置板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP3148974U true JP3148974U (ja) | 2009-03-05 |
Family
ID=54853585
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008009009U Expired - Lifetime JP3148974U (ja) | 2008-12-24 | 2008-12-24 | レーザーマイクロダイセクション用試料載置板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3148974U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014002046A (ja) * | 2012-06-19 | 2014-01-09 | Murazumi Kogyo Kk | 液状試料検査用プレパラート |
-
2008
- 2008-12-24 JP JP2008009009U patent/JP3148974U/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014002046A (ja) * | 2012-06-19 | 2014-01-09 | Murazumi Kogyo Kk | 液状試料検査用プレパラート |
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