JP2018100316A - 切片転写シートおよび切片標本の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶液浸透性材料を含む試料ブロックをシートに接着した状態で、試料ブロックを薄切りして切片を作製し、この切片を基材に転写することが可能であり、切片自動作製装置に適用可能な切片転写シートを提供する。【解決手段】不織布を含んで構成された第1基材層10と、第1基材層10の一方の面に形成された第1粘着層12と、第1粘着層12の第1基材層10と反対側の面に形成され、開口部22を有する第1剥離層14と、を少なくとも有し、開口部22の大きさに対応して、第1粘着層12および第1基材層10の厚み方向に貫通する切り込み部38が形成されている、切片転写シート1である。【選択図】図1
Description
本発明は、生体組織等の切片標本等を作製するため等に用いられる切片転写シート、およびその切片転写シートを用いる切片標本の作製方法に関する。
現在、癌等による病変の診断においては、病理診断が不可欠であり、病理診断には患者の組織の切片標本が必要である。組織の切片標本は、通常、患者から採取した組織検体等の試料を凍結組織包埋剤やパラフィン等の包埋剤に凍結または包埋した試料ブロックをミクロトーム等によって薄切りし、スライドガラスに載せて免疫染色等で染色して作製し、顕微鏡等により観察して検査するものである。
病理診断を手術中に行う場合等があるため、病理診断の時間短縮が求められている。また、病理検査用の切片標本は現在、熟練した病理医等が手動で作製しているが、病理医の減少、高齢化、病理医の技術的な低下等の要因により、切片標本作製のばらつき等による問題が指摘されている。このため、切片標本の作製の自動化による、省力化、再現性の向上が早急に求められている。
例えば、特許文献1には、スライス片の付着されたキャリアテープをホルダーに接着し、さらに、ホルダーに接着されたキャリアテープを切断して分離しながら、キャリアテープを連結的に移送でき、しかも、連続移送されるスライス片の付着されたキャリアテープを簡単かつ能率よくホルダーに接着できる試料ブロックのスライス装置が記載されている。
また、特許文献2には、粘着フィルムを用いた薄切片の作製や染色処理を行う際の操作性を向上させるための粘着フィルムであり、ガイドに対応する非粘着部と、ガイドによって囲まれる開口に対応する粘着部を有するガイド付き粘着フィルムが記載されている。
しかしながら、自動で、凍結または包埋した組織切片を薄切りし、薄切りした組織切片をスライドガラスに転写することが極めて困難であるため、これまで全世界的に見ても、切片標本の作製における自動化装置の実用化はされつつも課題が残されている。
本発明の目的は、試料を含む試料ブロックをシートに接着した状態で、試料ブロックを薄切りして切片を作製し、この切片を基材に転写することが可能であり、切片自動作製装置に適用可能な切片転写シート、およびその切片転写シートを用いる切片標本の作製方法を提供することにある。
本発明は、溶液浸透性材料を含んで構成された第1基材層と、前記第1基材層の一方の面に形成された第1粘着層と、前記第1粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成され、開口部を有する第1剥離層と、を少なくとも有し、前記開口部の大きさに対応して、前記第1粘着層および前記第1基材層の厚み方向に貫通する切り込み部が形成されている、切片転写シートである。
前記切片転写シートにおいて、前記第1粘着層の粘着力は、0.8〜3N/cmの範囲であることが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、前記第1基材層の剛軟度は、2〜12mmの範囲であることが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、前記溶液浸透性材料は、不織布であることが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、前記第1粘着層は、金属イオンと、前記金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とを含むことが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、前記第1基材層の前記第1粘着層と反対側の面に形成された第2粘着層と、前記第2粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成された第2基材層と、をさらに有することが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、第2基材層の剛軟度は、3〜10mmの範囲であることが好ましい。
前記切片転写シートにおいて、前記第1剥離層の前記第1粘着層と反対側の面に形成され、前記開口部を覆う第2剥離層をさらに有することが好ましい。
また、本発明は、溶液浸透性材料を含んで構成された第1基材層と、前記第1基材層の一方の面に形成された第1粘着層と、前記第1粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成され、開口部を有する第1剥離層と、を少なくとも有し、前記開口部の大きさに対応して、前記第1粘着層および前記第1基材層の厚み方向に貫通する切り込み部が形成されている切片転写シートにおける、前記開口部に露出した前記第1粘着層によって、試料を含む試料ブロックを接着した後に、前記試料ブロックを薄切りして切片を作製する薄切り工程と、前記切片に基材を付着する基材付着工程と、前記第1剥離層を剥離することによって、前記第1粘着層および前記第1基材層を前記切り込み部で切断する第1剥離層剥離工程と、前記第1粘着層を溶解させる溶解液を、前記第1基材層に含浸させて前記第1粘着層を溶解して前記第1基材層を剥離し、前記切片が前記基材に転写された切片標本を得る第1基材層剥離工程と、を含む、切片標本の作製方法である。
前記切片標本の作製方法において、前記第1粘着層の粘着力は、0.8〜3N/cmの範囲であることが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、前記第1基材層の剛軟度は、2〜12mmの範囲であることが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、前記溶液浸透性材料は、不織布であることが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、前記第1粘着層は、金属イオンと、前記金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とを含むことが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、前記切片転写シートは、前記第1基材層の前記第1粘着層と反対側の面に形成された第2粘着層と、前記第2粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成された第2基材層と、をさらに有することが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、第2基材層の剛軟度は、3〜10mmの範囲であることが好ましい。
前記切片標本の作製方法において、前記切片転写シートは、前記第1剥離層の前記第1粘着層と反対側の面に形成され、前記開口部を覆う第2剥離層をさらに有することが好ましい。
本発明により、試料を含む試料ブロックをシートに接着した後に、薄切りして切片を作製し、この切片を基材に転写することが可能であり、切片自動作製装置に適用可能な切片転写シート、およびその切片転写シートを用いる切片標本の作製方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<切片転写シートおよび切片標本の作製方法>
本発明の実施形態に係る切片転写シートの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
本発明の実施形態に係る切片転写シートの一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。
切片転写シート1は、溶液浸透性材料を含んで構成された第1基材層10と、第1基材層10の一方の面に形成された第1粘着層12と、第1粘着層12の第1基材層10と反対側の面に形成され、開口部22を有する第1剥離層14と、を少なくとも有し、開口部22の大きさに対応して、第1粘着層12および第1基材層10の厚み方向に貫通する切り込み部38が形成されている。切片転写シート1は、第1基材層10の第1粘着層12と反対側の面に形成された第2粘着層18と、第2粘着層18の第1基材層10と反対側の面に形成された第2基材層16と、をさらに有していてもよい。また、切片転写シート1は、第1剥離層14の第1粘着層12と反対側の面に形成され、開口部22を覆い、第1粘着層12の粘着剤を保護するための第2剥離層20をさらに有していてもよい。
切片転写シート1は、開口部22に露出した第1粘着層12によって、試料を含む試料ブロックを接着した後に、その状態で試料ブロックを薄切りして切片を作製し、スライドガラス等の基材に薄切りした切片を付着させた後、第1剥離層14を剥離することによって、第1粘着層12および第1基材層10を切り込み部38で切断して第2基材層16とともに除去し、第1粘着層12を溶解させる溶解液を、第1基材層10に含浸させて第1粘着層12を溶解して第1基材層10を剥離し、切片が基材に転写された切片標本を得るためのものである。
本実施形態に係る切片転写シート1を用いて切片標本を作製する方法の一例について図2A、図2Bを参照して説明する。切片転写シート1を用いて切片標本を作製する方法は、以下の方法に限定されるものではない。
まず、切片転写シート1が図2A(a)に示すように第2剥離層20を有する場合、切片転写シート1から第2剥離層20を剥離する(第2剥離層剥離工程)。第2剥離層20を剥離すると、図2A(b)に示すように、第1剥離層14の開口部22に第1粘着層12が露出する。図2A(c)に示すように、試料32を包埋剤により包埋した試料ブロック24を、開口部22に露出した第1粘着層12により接着する(試料ブロック接着工程)。その後、ブレード30等により、所定の厚みで試料ブロック24を薄切りし、図2A(d)に示すように、第1粘着層12に接着した、試料切片34を含む包埋切片26を作製する(薄切り工程)。図2B(e)に示すように、スライドガラス等の基材28を、試料切片34を含む包埋切片26に付着する(基材付着工程)。第1剥離層14を第2基材層16とともに剥離することによって、第1粘着層12および第1基材層10を切り込み部38で切断して(第1剥離層剥離工程)、図2B(g)に示すように、第1粘着層12および第1基材層10の一部を残存させる。例えば、第1粘着層12および包埋剤を溶解させる有機溶剤等の溶解液を第1基材層10に含浸させて第1粘着層12および包埋剤を溶解して、図2B(g)に示すように、第1基材層10を剥離する(第1基材層剥離工程)。これにより、基材28の一方の面に、試料切片34が転写された切片標本36が得られる。
本実施形態に係る切片転写シート1を用いて切片標本を作製する方法の他の例について図3A、図3Bを参照して説明する。
まず、切片転写シート1が図3A(a)に示すように第2剥離層20を有する場合、切片転写シート1から第2剥離層20を剥離する(第2剥離層剥離工程)。第2剥離層20を剥離すると、図3A(b)に示すように、第1剥離層14の開口部22に第1粘着層12が露出する。図3A(c)に示すように、第2基材層16および第2粘着層18を剥離した後(第2基材層剥離工程)、図3A(d)に示すように、試料32を包埋剤により包埋した試料ブロック24を、開口部22に露出した第1粘着層12により接着する(試料ブロック接着工程)。その後、ブレード30等により、所定の厚みで試料ブロック24を薄切りし、図3B(e)に示すように、第1粘着層12に接着した、試料切片34を含む包埋切片26を作製する(薄切り工程)。図3B(f)に示すように、スライドガラス等の基材28を、試料切片34を含む包埋切片26に付着する(基材付着工程)。第1剥離層14を剥離することによって、第1粘着層12および第1基材層10を切り込み部38で切断して(第1剥離層剥離工程)、図3B(g)に示すように、第1粘着層12および第1基材層10の一部を残存させる。例えば、第1粘着層12および包埋剤を溶解させる有機溶剤等の溶解液を第1基材層10に含浸させて第1粘着層12および包埋剤を溶解して、図3B(h)に示すように、第1基材層10を剥離する(第1基材層剥離工程)。これにより、基材28の一方の面に、試料切片34が転写された切片標本36が得られる。
このように、本実施形態に係る切片転写シート1を用いて切片標本を作製する方法では、開口部22に露出した第1粘着層12によって、試料32を含む試料ブロック24を接着した後に、その状態でブレード30等を用いて試料ブロック24を薄切りして、試料切片34を含む包埋切片26を切片転写シート1に保持する。その後、包埋切片26にスライドガラス等の基材28を付着し、第1剥離層14を剥離することによって、第1粘着層12および第1基材層10を切り込み部38で切断し、第1粘着層12および包埋剤を溶解させる溶解液を、第1基材層10に含浸させて第1粘着層12を溶解して第1基材層10を剥離し、試料切片34が基材28に転写された切片標本36を得る。
[切片転写シートの特徴]
本実施形態に係る切片転写シート1は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る切片転写シート1は、例えば、以下の特徴を有する。
1.生体組織等の試料32を包埋剤により包埋した試料ブロック24を、切片転写シート1の第1粘着層12に接着することができ、薄切りした試料切片34を含む包埋切片26を作製した後、スライドガラス等の基材28へ試料切片34の破壊を抑制した上で転写することができる。
このように、試料ブロック24の接着のためには、後述するように、第1粘着層12の粘着力の制御が重要である。また、図2B(e)→(f)のように、包埋切片26に基材28を付着した後に第2基材層16および第2粘着層18を剥離する場合、主に第2基材層16の種類や厚みが、試料切片34の組織等の破壊を抑制して剥離できるかに影響すると考えられる。
2.生体組織等の試料32を包埋した試料ブロック24を、切片転写シート1の第1粘着層12に接着した状態で薄切りすることができる。
主に第1粘着層12の粘着力および薄切り工程における切片転写シートの硬さが薄切り作業性に影響を与えると考えられる。図2B(e)→(f)のように、包埋切片26に基材28を付着した後に第2基材層16および第2粘着層18を剥離する場合、図2A(c)の薄切り工程では主に第2基材層16の種類や厚みが、薄切り作業性に影響すると考えられる。図3A(b)→(c)のように、薄切り工程の前に第2基材層16および第2粘着層18を剥離する場合、図3A(d)の薄切り工程では主に第1基材層10の種類や厚みが、薄切り作業性に影響すると思われる。
また、切片転写シート1の構成および形状も薄切り作業性に影響を与えると考えられる。薄切り工程で第1粘着層12が全面むき出しの場合は、薄切りの際にブレード30等と第1粘着層12の粘着剤が接触して、薄切りが困難となる。そこで、図2A(b),(c)または図3A(c),(d)に示すように、開口部22を有する第1剥離層14によって例えば額縁状に第1剥離層14を形成して、ブレード30と第1粘着層12の粘着剤との接触をできるだけ少なくすることにより、容易に薄切り作業を行うことできる。
3.試料切片34を含む包埋切片26に基材28を付着後、有機溶剤等の溶解液を第1基材層10に含浸させて第1粘着層12を溶解して、第1基材層10を剥離することができる。
このように、有機溶剤等の溶解液を第1基材層10に含浸させるためには、第1基材層10の構成が重要である。
第1基材層10としては、上記の通り、薄切り作業性、および有機溶剤を含浸させる等のために、溶液浸透性材料を含んで構成されている。溶液浸透性材料としては、不織布、薄葉紙、和紙、濾紙、印刷用紙等の紙、布、発泡体等の、溶液が浸透可能な材料が挙げられ、さらに前記材料と各種多孔質膜もしくは小さな穴が開いた樹脂フィルム(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)等のフィルムとをラミネートしたものや、前記材料の片面(粘着剤塗布面)側に粘着剤バリヤ層を塗布したもの、前記材料にキシレン等の有機溶剤に可溶な樹脂を含浸したもの等が挙げられ、薄切り作業性、液浸透性、保存性、コスト等の観点から不織布や薄葉紙が好ましいが、これらの原料や製法については、特に限定されるものではない。
第1基材層10の剛軟度は、2〜12mmの範囲であることが好ましく、4〜10mmの範囲であることがより好ましい。第1基材層10の剛軟度が2mm未満であると、切片転写シートが柔らかすぎ、12mmを超えると、切片転写シートが硬すぎて、ブレード30による薄切りを行うことが困難となる場合がある。ここで、剛軟度は、「JIS L1096 織物及び編物の生地試験方法」に記載されている剛軟度(A法(45°カンチレバー法))である。
第1粘着層12に含まれる粘着剤としては、試料ブロック24に対する接着性を発現する粘着剤であればよく、特に限定されるものではないが、好ましいものとしては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の樹脂系粘着剤等が挙げられ、試料ブロック24に対する接着性が良好である等の点から、アクリル系粘着剤がより好ましい。
第1粘着層12は、試料ブロック24への接着性のため凝集力を保持することと、有機溶剤等の溶解液に溶解することとを両立させるために、金属イオンと、金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とを含むことが好ましい。金属イオンと、金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とにより、疑似的架橋点を形成させることができる。
金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属等が挙げられ、架橋状態の制御のしやすさ等の点から、カリウムが好ましい。
金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の架橋基を有する樹脂粘着剤が挙げられ、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのうち少なくとも1つを必須成分として含むアクリル系共重合体粘着剤が好ましい。
例えば、第1粘着層12に、水酸化カリウムや水酸化カルシウム等の金属水酸化物をアクリル系粘着剤等に添加し、金属とアクリル系粘着剤等のカルボキシル基等の架橋基との間にイオン結合を形成することによって、擬似的架橋点を形成すればよい。
第1粘着層12の粘着力は、0.8N/cm以上であることが好ましく、0.8〜3N/cmの範囲であることがより好ましい。第1粘着層12の粘着力が0.8N/cm未満であると、試料ブロック24の接着が弱くなる場合がある。第1粘着層12の粘着力の上限は、強すぎても問題はなく、特に限定されるものではないが、例えば、3N/cmである。
第1粘着層12の厚みは、例えば、10μm〜80μmの範囲であることが好ましく、30μm〜60μmの範囲であることがより好ましい。第1粘着層12の厚みが10μm未満であると、試料ブロック24との接着性が不十分となる場合があり、80μmを超えると、粘着剤が切片転写シート端部からはみ出し、加工性や保存性が低下する場合がある。
第1粘着層12および包埋剤を溶解させる溶解液としては、第1粘着層12および包埋剤を溶解することができ、試料切片34への影響が少ないものであればよく、特に制限はないが、例えば、キシレン、D−リモネン、ピネン化合物等の有機溶剤等が挙げられる。
第2基材層16としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等の樹脂フィルム等が挙げられる。図2B(e)→(f)のように、包埋切片26に基材28を付着した後に第2基材層16および第2粘着層18を剥離する場合、主に第2基材層16の種類や厚みが、薄切り工程における薄切り作業性、および包埋切片26に基材28を付着した後に試料切片34の組織等の破壊を抑制して剥離できるかに影響すると考えられる。図3A(b)→(c)のように、薄切り工程の前に第2基材層16および第2粘着層18を剥離する場合には、第2基材層16の種類や厚みは、切片自動作製装置での剥離しやすさに影響すると考えられる。
第2基材層16の剛軟度は、例えば、3〜10mmの範囲であることが好ましく、4〜8mmの範囲であることがより好ましい。第2基材層16の剛軟度が3mm未満であると、切片転写シートが柔らかすぎ、10mmを超えると、切片転写シートが硬すぎて、ブレード30による薄切りを行うことが困難となる場合があり、または、切片自動作製装置での剥離が困難となる場合がある。
第2粘着層18に含まれる粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等の樹脂系粘着剤等が挙げられる。
第2粘着層18の粘着力は、0.1N/cm〜1N/cmの範囲であることが好ましく、0.3N/cm〜0.7N/cmの範囲であることがより好ましい。第2粘着層18の粘着力が0.1N/cm未満であると、第1基材層10と接着しにくい場合があり、1N/cmを超えると、第1基材層10からの剥離が困難となる場合がある。
第2粘着層18の厚みは、例えば、10μm〜80μmの範囲であることが好ましく、20μm〜50μmの範囲であることがより好ましい。第2粘着層18の厚みが10μm未満であると、第1基材層10と接着しにくい場合があり、80μmを超えると、第1基材層10からの剥離が困難となる、および、粘着剤が切片転写シート端部からはみ出し、加工性や保存性が低下する場合がある。
第1剥離層14としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等の樹脂フィルム等が挙げられ、薄切り作業性や、切片自動作製装置での剥離しやすさ等の観点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
第1剥離層14の剛軟度は、例えば、3〜10mmの範囲であることが好ましく、4〜8mmの範囲であることがより好ましい。第1剥離層14の剛軟度が3mm未満であると、切片転写シートが柔らかすぎ、10mmを超えると、切片転写シートが硬すぎて、ブレード30による薄切りを行うことが困難となる場合があり、または、切片自動作製装置での剥離が困難となる場合がある。
第1剥離層14の厚みは、例えば、20μm〜80μmの範囲であることが好ましく、40μm〜60μmの範囲であることがより好ましい。第1剥離層14の厚みが20μm未満であると、切片転写シートが柔らかすぎ、80μmを超えると、切片転写シートが硬すぎて、ブレード30による薄切りを行うことが困難となる場合があり、または、切片自動作製装置での剥離が困難となる場合がある。
第2剥離層20としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)フィルム等の樹脂フィルム等が挙げられ、切片自動作製装置での剥離しやすさ等の観点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
第2剥離層20の厚みは、例えば、20μm〜80μmの範囲であることが好ましく、40μm〜60μmの範囲であることがより好ましい。第2剥離層20の厚みが20μm未満であると、切片転写シートが柔らかすぎ、80μmを超えると、切片転写シートが硬すぎて、切片自動作製装置での剥離が困難となる場合がある。
開口部22は、第1粘着層12の第1基材層10と反対側の面に第1剥離層14を例えば額縁状等に形成することにより、正方形状、長方形状等に形成される。開口部22の大きさは、開口部22に露出した第1粘着層12によって試料ブロック24を接着できる程度の大きさであって、包埋切片26の面積よりも大きければよく、特に制限はない。
本実施形態に係る切片転写シートは、2つ以上の切片転写シートが連続して形成されたフィルムとして提供されてもよい。連続フィルムとすることにより、切片自動作製装置においてロール供給が可能となる。
試料ブロック24は、試料32をパラフィン等の包埋剤により包埋したものである。試料ブロック24は、公知の方法により作製すればよい。
試料32は、病理診断等の診断対象、観察対象となるものであればよく、特に制限はないが、例えば、動物や植物等の細胞、植物の組織、動物の臓器、骨、歯、皮膚等の生体組織等が挙げられる。
試料32を包埋して試料ブロック24を形成するための包埋剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、パラフィン、メタクリル酸メチル(MMA)等の包埋剤が挙げられる。包埋剤を用いて公知の方法により試料ブロック24を作製すればよい。
試料切片34を含む包埋切片26の厚みは、例えば、1μm〜10μmの範囲であり、好ましくは3μm〜5μmの範囲である。
基材28としては、試料切片34を転写することができるものであればよく、特に制限はないが、例えば、スライドガラス等が挙げられる。
本実施形態に係る切片標本の作製方法によって作製した切片標本は、公知の免疫染色等で染色した後、顕微鏡等により観察して病理検査等を行えばよい。
上記の図2A,2Bまたは図3A,3Bに示したような切片標本を作製する方法を適用する切片自動作製装置により、本実施形態に係る切片転写シート1を用いて、切片標本を自動的に作製することができる。切片標本の作製の自動化により、省力化が達成され、切片標本作製のばらつきが抑制されて再現性が向上する。
切片自動作製装置は、例えば、ブレード30等を用いて所定の厚みで試料ブロック24を薄切りし、第1粘着層12に接着した、試料切片34を含む包埋切片26を作製する薄切手段と、スライドガラス等の基材28を包埋切片26に付着する基材付着手段とを備える。切片自動作製装置は、切片転写シート1から第2剥離層20を剥離する第2剥離層剥離手段と、第2基材層16および第2粘着層18を剥離する第2基材層剥離手段と、第1剥離層14を剥離する第1剥離層剥離手段と、試料ブロック24を開口部22に露出した第1粘着層12に接着する試料ブロック接着手段と、溶解液を第1基材層10に含浸させて第1粘着層12および包埋剤を溶解して、第1基材層10を剥離する第1基材層剥離手段とのうち少なくとも1つをさらに備えてもよい。切片自動作製装置は、さらに、試料切片34を免疫染色等で染色する染色手段を備えてもよい。
具体的には、切片自動作製装置は、例えば、切片転写シート1から第2剥離層20を剥離する第2剥離層剥離手段と、第2剥離層20が剥離された切片転写シート1の開口部22に露出した第1粘着層12に試料ブロック24を接着する押圧具等の試料ブロック接着手段と、ブレード30等を用いて所定の厚みで試料ブロック24を薄切りし、包埋切片26を作製する薄切手段と、スライドガラス等の基材28を包埋切片26に付着する基材付着手段と、第1剥離層14〜第2基材層16を剥離する第1剥離層剥離手段と、を備える。
または、切片自動作製装置は、例えば、切片転写シート1から第2剥離層20を剥離する第2剥離層剥離手段と、第2基材層16および第2粘着層18を剥離する第2基材層剥離手段と、第2剥離層20、第2基材層16および第2粘着層18が剥離された切片転写シート1の開口部22に露出した第1粘着層12に試料ブロック24を接着する押圧具等の試料ブロック接着手段と、ブレード30等を用いて所定の厚みで試料ブロック24を薄切りし、包埋切片26を作製する薄切手段と、スライドガラス等の基材28を包埋切片26に付着する基材付着手段と、第1剥離層14〜第1基材層10を剥離する第1剥離層剥離手段と、を備える。
<切片転写シートの製造方法>
切片転写シート1を製造する方法の一例について、図4を参照しながら、説明する。切片転写シート1を製造する方法は、以下の方法に限定されるものではない。
切片転写シート1を製造する方法の一例について、図4を参照しながら、説明する。切片転写シート1を製造する方法は、以下の方法に限定されるものではない。
(工程1)
図4(a)に示すように、不織布等の第1基材層10と第1剥離層14となる剥離フィルムとを第1粘着層12を介して貼合し、第1基材層10の第1粘着層12と反対側の面に、第2粘着層18を有する第2基材層16を貼合して貼合材50を作製する。
図4(a)に示すように、不織布等の第1基材層10と第1剥離層14となる剥離フィルムとを第1粘着層12を介して貼合し、第1基材層10の第1粘着層12と反対側の面に、第2粘着層18を有する第2基材層16を貼合して貼合材50を作製する。
(工程2)
図4(b)に示すように、貼合材50の第1剥離層14側から、第2粘着層18の表面(第1基材層10側の面)まで半抜き加工(ハーフカット)を行い、半抜き加工(ハーフカット)部分の第1剥離層14を除去して、開口部22を形成する。
図4(b)に示すように、貼合材50の第1剥離層14側から、第2粘着層18の表面(第1基材層10側の面)まで半抜き加工(ハーフカット)を行い、半抜き加工(ハーフカット)部分の第1剥離層14を除去して、開口部22を形成する。
(工程3)
図4(c)に示すように、表面に露出した第1粘着層12の粘着剤を保護するために第2剥離層20を貼合わせて、切片転写シート1が得られる。
図4(c)に示すように、表面に露出した第1粘着層12の粘着剤を保護するために第2剥離層20を貼合わせて、切片転写シート1が得られる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法で、切片転写シート1を作製した。
以下の方法で、切片転写シート1を作製した。
(工程1)
第1基材層10として不織布(目付(坪量):40g/m2、厚み:60μm、剛軟度:5mm)と、第1剥離層14となる剥離フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:50μm、剛軟度:5mm)の剥離面とを第1粘着層12(アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製、SKダイン1717DT)、厚み:40μm、粘着力:1.5N/cm)を介して貼合し、粘着シートを形成した。さらに、第1基材層10の第1粘着層12と反対側の面に、第2粘着層18(アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製、SKダイン1491H)、厚み:20μm、粘着力:0.3N/cm)を有する第2基材層16(材質:ポリプロピレン(PP)フィルム、厚み:60μm、剛軟度:6mm)を貼合わせて、貼合材50を作製した。
第1基材層10として不織布(目付(坪量):40g/m2、厚み:60μm、剛軟度:5mm)と、第1剥離層14となる剥離フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:50μm、剛軟度:5mm)の剥離面とを第1粘着層12(アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製、SKダイン1717DT)、厚み:40μm、粘着力:1.5N/cm)を介して貼合し、粘着シートを形成した。さらに、第1基材層10の第1粘着層12と反対側の面に、第2粘着層18(アクリル系粘着剤(綜研化学(株)製、SKダイン1491H)、厚み:20μm、粘着力:0.3N/cm)を有する第2基材層16(材質:ポリプロピレン(PP)フィルム、厚み:60μm、剛軟度:6mm)を貼合わせて、貼合材50を作製した。
(工程2)
貼合材50の第1剥離層14側から、第2粘着層18の表面(第1基材層10側の面)まで半抜き加工(ハーフカット)を行い、半抜き加工(ハーフカット)部分の第1剥離層14を除去して、第1剥離層14を額縁状(長辺部幅:11.5mm、短辺部幅:12mmおよび29mm)とし、開口部22(22mm×50mm)を形成した。
貼合材50の第1剥離層14側から、第2粘着層18の表面(第1基材層10側の面)まで半抜き加工(ハーフカット)を行い、半抜き加工(ハーフカット)部分の第1剥離層14を除去して、第1剥離層14を額縁状(長辺部幅:11.5mm、短辺部幅:12mmおよび29mm)とし、開口部22(22mm×50mm)を形成した。
(工程3)
表面に露出した第1粘着層12の粘着剤を保護するために第2剥離層20(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:75μm)を貼合わせて、切片転写シート1(45mm×91mm)を得た。
表面に露出した第1粘着層12の粘着剤を保護するために第2剥離層20(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み:75μm)を貼合わせて、切片転写シート1(45mm×91mm)を得た。
なお、粘着層の粘着力は、精密万能試験機((株)島津製作所製、オートグラフAGS−X型)を用いて、JIS−Z0237に準拠し、パラフィンに貼り付けて測定した。基材層の剛軟度は、剛軟度試験機(大栄科学精器製作所製、CAN−1MC型)を用いて、JIS−L1096剛軟度A法(カンチレバー法)に準拠し、測定した。各層の厚みは、デジタルマイクロメータ(ソニー製、M−30型)を用いて測定した。粘着剤の溶解性については、22mm×50mmサイズの各粘着シートをスライドガラスに貼り付け、貼り付けてから20分以上放置後、キシレンに浸漬した状態で10分撹拌し、スライドガラスに粘着剤が残存していないことを目視にて確認した。
<実施例2〜7>
第1基材層10として、剛軟度の異なる不織布や印刷用紙を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。比較例1では、第1基材層10として、溶液非浸透性のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
第1基材層10として、剛軟度の異なる不織布や印刷用紙を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。比較例1では、第1基材層10として、溶液非浸透性のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
実施例1〜7、比較例1の切片転写シートについて、切片自動作製装置を用いて、常法により薄切り評価実験、剥離防止コート無しのスライドガラス(長辺76mm×短辺26mm、厚み0.9〜1.2mm)への転写実験を行った。また、上記方法で溶解液(キシレン)への溶解性評価(目視)を行った。切片・転写性、および溶解性は、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
(切片・転写性)
〇:切片・転写可能
△:切片・転写困難
×:切片・転写不可
(溶解性)
〇:5分以内に溶解する
×:溶解に10分以上を要する
(切片・転写性)
〇:切片・転写可能
△:切片・転写困難
×:切片・転写不可
(溶解性)
〇:5分以内に溶解する
×:溶解に10分以上を要する
これらの結果より、第1基材層10としては、溶液浸透性材料であり、切片・転写性、および溶解性と入手のしやすさから、不織布が最適であり、特に剛軟度が2〜12mmの不織布が好ましいことがわかった。
<実施例8〜10>
第1粘着層12の粘着剤として、実施例1とは異なる粘着剤を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。実施例4,5では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カリウムそれぞれ1質量部、4質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。実施例6では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カルシウム1質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。
第1粘着層12の粘着剤として、実施例1とは異なる粘着剤を用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。実施例4,5では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カリウムそれぞれ1質量部、4質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。実施例6では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カルシウム1質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。
<実施例11〜13>
実施例11では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カリウム5質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。実施例12では実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー(株)製:コロネートL−45E)1質量部を添加した粘着剤を使用し、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。実施例13では、ウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)製、サイアバインSH−101)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(トーヨーケム(株)製、サイアバインT−501B)1質量部を添加した粘着剤を使用し、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
実施例11では、実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、架橋剤として水酸化カリウム5質量部を添加し、金属とアクリル系粘着剤のカルボキシル基の架橋基との間にイオン結合を形成することができる粘着剤を使用した。実施例12では実施例1と同じ粘着剤100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(東ソー(株)製:コロネートL−45E)1質量部を添加した粘着剤を使用し、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。実施例13では、ウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)製、サイアバインSH−101)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(トーヨーケム(株)製、サイアバインT−501B)1質量部を添加した粘着剤を使用し、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
実施例8〜13の切片転写シートについて、上記実施例と同様にして、薄切り評価実験、スライドガラスへの転写実験、溶解液(キシレン)への溶解性評価(目視)を行った。切片・転写性、溶解性は、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
(切片・転写性)
〇:切片・転写可能
△:切片・転写困難
×:切片・転写不可
(溶解性)
〇:溶解する
×:未溶解物が残る
(切片・転写性)
〇:切片・転写可能
△:切片・転写困難
×:切片・転写不可
(溶解性)
〇:溶解する
×:未溶解物が残る
金属系架橋剤の添加量が多い場合は接着力が小さくなり、切片・転写性が劣る。また、粘着剤と架橋剤の組み合わせで架橋点が多い場合は、同様に接着力が小さくなり、さらに溶解性の低下が発現する。これらの結果より、第1粘着層12に用いる粘着剤としては、アクリル系粘着剤にイオン結合を形成させたものが最適であり、粘着力は0.8N/cm以上が好ましいことがわかった。
<実施例14〜21>
第2基材層16として、各種素材のフィルムを用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
第2基材層16として、各種素材のフィルムを用いて、実施例1と同様にして、切片転写シートを作製した。
実施例14〜21の切片転写シートについて、上記実施例と同様にして、薄切り評価実験、スライドガラスへの転写実験を行った。結果を表3に示す。
実施例19はフィルムの剛軟度が小さく、切片・転写性に劣り、実施例18,20,21の薄切り評価は良好であったが、フィルムが厚いため、スライドガラスへの転写性に劣る。これらの結果より、第2基材層16に用いる素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムとポリプロピレン(PP)フィルムが最適であり、剛軟度は3〜10mmの範囲が好ましいことがわかった。
このように、実施例の切片転写シートを用いることによって、切片自動作製装置により、試料を含む試料ブロックをシートに接着した状態で、試料ブロックを薄切りして切片を作製し、この切片を基材に転写することが可能となった。
1 切片転写シート、10 第1基材層、12 第1粘着層、14 第1剥離層、16 第2基材層、18 第2粘着層、20 第2剥離層、22 開口部、24 試料ブロック、26 包埋切片、28 基材、30 ブレード、32 試料、34 試料切片、36 切片標本、38 切り込み部、50 貼合材。
Claims (16)
- 溶液浸透性材料を含んで構成された第1基材層と、
前記第1基材層の一方の面に形成された第1粘着層と、
前記第1粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成され、開口部を有する第1剥離層と、
を少なくとも有し、
前記開口部の大きさに対応して、前記第1粘着層および前記第1基材層の厚み方向に貫通する切り込み部が形成されていることを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1に記載の切片転写シートであって、
前記第1粘着層の粘着力は、0.8〜3N/cmの範囲であることを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1または2に記載の切片転写シートであって、
前記第1基材層の剛軟度は、2〜12mmの範囲であることを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の切片転写シートであって、
前記溶液浸透性材料は、不織布であることを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の切片転写シートであって、
前記第1粘着層は、金属イオンと、前記金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とを含むことを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の切片転写シートであって、
前記第1基材層の前記第1粘着層と反対側の面に形成された第2粘着層と、
前記第2粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成された第2基材層と、
をさらに有することを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1〜6のいずれか1項に記載の切片転写シートであって、
第2基材層の剛軟度は、3〜10mmの範囲であることを特徴とする切片転写シート。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の切片転写シートであって、
前記第1剥離層の前記第1粘着層と反対側の面に形成され、前記開口部を覆う第2剥離層をさらに有することを特徴とする切片転写シート。 - 溶液浸透性材料を含んで構成された第1基材層と、前記第1基材層の一方の面に形成された第1粘着層と、前記第1粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成され、開口部を有する第1剥離層と、を少なくとも有し、前記開口部の大きさに対応して、前記第1粘着層および前記第1基材層の厚み方向に貫通する切り込み部が形成されている切片転写シートにおける、前記開口部に露出した前記第1粘着層によって、試料を含む試料ブロックを接着した後に、前記試料ブロックを薄切りして切片を作製する薄切り工程と、
前記切片に基材を付着する基材付着工程と、
前記第1剥離層を剥離することによって、前記第1粘着層および前記第1基材層を前記切り込み部で切断する第1剥離層剥離工程と、
前記第1粘着層を溶解させる溶解液を、前記第1基材層に含浸させて前記第1粘着層を溶解して前記第1基材層を剥離し、前記切片が前記基材に転写された切片標本を得る第1基材層剥離工程と、
を含むことを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9に記載の切片標本の作製方法であって、
前記第1粘着層の粘着力は、0.8〜3N/cmの範囲であることを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9または10に記載の切片標本の作製方法であって、
前記第1基材層の剛軟度は、2〜12mmの範囲であることを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9〜11のいずれか1項に記載の切片標本の作製方法であって、
前記溶液浸透性材料は、不織布であることを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9〜12のいずれか1項に記載の切片標本の作製方法であって、
前記第1粘着層は、金属イオンと、前記金属イオンと架橋可能な樹脂粘着剤とを含むことを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9〜13のいずれか1項に記載の切片標本の作製方法であって、
前記切片転写シートは、
前記第1基材層の前記第1粘着層と反対側の面に形成された第2粘着層と、
前記第2粘着層の前記第1基材層と反対側の面に形成された第2基材層と、
をさらに有することを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9〜14のいずれか1項に記載の切片標本の作製方法であって、
第2基材層の剛軟度は、3〜10mmの範囲であることを特徴とする切片標本の作製方法。 - 請求項9〜15のいずれか1項に記載の切片標本の作製方法であって、
前記切片転写シートは、
前記第1剥離層の前記第1粘着層と反対側の面に形成され、前記開口部を覆う第2剥離層をさらに有することを特徴とする切片標本の作製方法。
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP6727459B1 (ja) * | 2019-02-28 | 2020-07-22 | 三菱電機株式会社 | 分析方法および試料作製装置 |
KR102471858B1 (ko) * | 2022-09-23 | 2022-11-29 | 고려공업검사 주식회사 | 터빈로터 중심공 미세조직 비파괴 채취 시스템 |
-
2016
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