JP4867746B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機、特に薄型化を可能にした空気調和機に関する。ここで空気調和機とは、室内空気の温度、湿度及び清浄度の少なくとも何れか一つを調整するための空気調整用機器を備えた装置、すなわち広い意味での空気調和機を意味する。また、上記中における清浄度とは、空気中に含まれる塵埃、浮遊汚染粒子、ガス状汚染物質、臭気成分などの含有度合いを意味する。
近年、空気調和機の形状に関しては一般的に奥行き寸法を小さくすることに対する要望が多くなっている。つまり薄型志向が強くなっている。また、空気調和機の意匠に関しては、表面形状に変化をもたらす室内空気吸込口などが施されていない平らな表面形状のフロントパネルが好まれるようになってきている。なお、このように室内吸込口などを設けない平らな表面形状のデザインのフロントパネルがフラットなフロントパネルと一般に称されている。以下の説明においてフラットの語を使用するときは、このような意味で使用するものとする。
また、空気調和機を薄型化する場合に構造的に一般に問題になるのは、熱交換器などの空気調整用機器とファンとの配置であり、さらに、この配置に関連する室内空気吸込口及び室内吹出口の配置とその構成である。一般に、空気調和機では空気調整用機器とファンとが機内において前後に配置されていることが通常であった。しかし、このような配置である限りにおいては、十分な薄型化を試みることが困難であった。
そこで、この限界を打開するものとして、ファン吸込口を背面側に開口するように回転軸を前後方向にして遠心ファンを機内中央部に配置するとともに、この遠心ファンの径方向外周側に空気調整用機器としての熱交換器を配置した薄型空気調和機が提案されている。また、この薄型空気調和機では、室内空気が空気調和機の背面側から吸入され、空気調整後の空気が前面側コーナ部から吹き出されるように構成されている。特許文献1はその例である。
特開2006−336910号公報
しかしながら、この空気調和機は、薄型化の点においては満足すべき効果をもたらすが、前面側コーナ部に室内吹出口が設けられているため、フロントパネルをフラットにするという要望を十分には満たしていなかった。そこで、発明者は、前面コーナ部に吹出口を設けずに、フロントパネルを完全にフラット化した薄型の空気調和機をここに提案するものである。また、空気調和機を薄型化する場合の機能的な問題点としては、一般に寸法上の制約が厳しくなることから、室内空気吸込口と室内吹出口間のショートサーキット、機内通風抵抗の増加、騒音の増加などが考えられる。そこで、ここに提案する空気調和機は、これら問題点についても考慮し解決を図った。
本発明は、上記のような事情に鑑みされたものであって、フラットなフロントパネルを採用可能にするとともに、騒音の上昇を抑制した静音性の良好な薄型化の空気調和機を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明に係る空気調和機は、前面が開放された正面視略四角形の本体筐体と、この本体筐体の前面に取り付けられた仕切板と、正面から見てファン吸込口が正面略中央部となるように回転軸を前後方向として本体筐体内に配置された遠心ファンと、前記仕切板の前面側に所定間隔空けて仕切板に対向するように配置されたフラットなフロントパネルと、フロントパネルと仕切板との間の周辺のうちの対向する2辺に形成された室内空気吸込口と、フロントパネルと仕切板との間全体に形成された、前記室内空気吸込口に連通する吸込側チャンバと、本体筐体内の遠心ファンの径方向吹出側に配置された室内空気の温度、湿度及び清浄度の少なくとも何れか一つを調整する空気調整用機器と、空気調整用機器の下流側であって室内空気吸込口と略直交する方向に配置された空気調整後の空気を室内へ吹き出すための室内吹出口とを備え、前記仕切板の中央部には、遠心ファンのファン吸込口と対向するようにベルマウスが取り付けられ、さらに、前記フロントパネルの背面における前記ファン吸込口に対向する個所には、ファン吸込口に向けて突出する円錐状の側面を備えたガイド部材が設けられ、吸込側チャンバ内の気流がファン吸込口に案内されるように構成されていることを特徴とする。
上記構成によると、空気調整用機器と遠心ファンとが平面的に配置されており、これら機器が一般的な空気調和機のように製品の前後方向に並べて配置されていないので、従来一般の空気調和機に比し薄型化を図ることができる。また、本体筐体内の遠心ファンの径方向吹出側に空気調整用機器が配置されるとともに、この空気調整用機器の下流側であって室内空気吸込口と略直交する方向に室内吹出口が配置されているので、室内空気吸込口と室内吹出口とが異なる方向に形成され、室内空気吸込口と室内吹出口との間のショートサーキットが防止される。また、フロントパネルと仕切板との間全体が吸込側チャンバとして形成されるとともに、室内空気吸込口がフロントパネルと仕切板との間の周辺のうちの対向する2辺に形成されているため、フロントパネルを完全にフラット化することができる。さらに、前記フロントパネルの背面における前記ファン吸込口に対向する個所には、ファン吸込口に向けて突出する円錐状の側面を備えたガイド部材が設けられ、吸込側チャンバ内の気流がファン吸込口に案内されるように構成されているため、室内空気吸込口からベルマウスを経由してファン吸込口に吸入される気流がスムーズになる。このため、吸込側チャンバ内の通風抵抗が抑制され、騒音の増加が抑制される。また、前面に向いているファン吸込口の前方がフラットなフロントパネルで覆われているため、前面に漏れるファンの騒音が緩和される。
また、前記ガイド部材は、側面が円錐面のように形成された円錐台形状とすることが好ましい。このようにすれば、円錐状の側面の頂上に平面が形成されているので、狭い間隔の吸込側チャンバに形成されるガイド部材としてより有効に機能させることができる。
また、前記遠心ファンは、ファン吸込口の後方のハブに、前方に膨らむ膨出部が形成され、このハブ後面側に形成される膨出部内にファンモータが配置され、前記ガイド部材は、円錐台の頂上面の直径が前記膨出部の頂上面の直径に比し小径かつ大差ない径に形成されていることが好ましい。このように構成すれば、ファンモータがある程度大きくなっても空気調和機の奥行き寸法を大きくする必要がなくなる。また、ファンモータが大きくなった場合、ハブの膨出部が大きくなるため吸込側チャンバからベルマウスを介してファン吸込口に吸入される空気の流れが乱されやすいが、前述のような大きさのガイド部材が設けられていることにより、ベルマウスを介してファン吸込口に流入される空気流の乱れを低減させることができる。
前記ガイド部材は、前記フロントパネルと一体的に形成されているものとしてもよい。このように構成すれば、ガイド部材の取り付け作業が不要となるので、内部に装備されている機器のメンテナンスのための組み立て分解作業が容易になる。また、このような構成の場合は、プレフィルタを仕切板に取り付けることにより、ベルマウスの風上側にプレフィルタを容易に取り付けることができる。
また、ガイド部材全体を吸音材で形成するようにしてもよい。このように構成すれば、ガイド部材を形成する吸音材により、ファン吸込口付近の騒音発生エネルギが吸収される。したがって、ファン吸込口付近から前方に放出される騒音発生エネルギ減少により、騒音を低減することができる。
また、前記ガイド部材は、表面を吸音材により形成した構成としてもよい。このようにすれば、騒音低減効果を維持しながら吸音材の使用量を減らしコストダウンすることができる。
また、前記室内空気吸込口は、フロントパネルと仕切板との間隔周辺のうちの上下2辺に形成されるとともに、空気調整用機器は、遠心ファンの左右の径方向吹出側に配置され、さらに、前記室内吹出口は、本体筐体の左右側部に設けられているものとすることもできる。このようにすれば、室内空気吸込口と室内吹出口との間のショートサーキットを避けながら、調整後の空気を左右対称的に吹き出すことができる。また、このように構成した場合は、左右の空気調整用機器の風速分布を均一にし、空気調整の効率を向上させることが容易になる。また、この空気調和機が設置される部屋の一壁面の略中央部に沿ってこの空気調和機を配置して使用すると、空気調整用機器を通過して調整された空気が壁面に沿って吹き出され、空気調和機の正面から室内空気を吸い込む循環気流が形成される。この結果、室内を包み込むような循環気流が形成されるので、室内の全体が空気を効率よく調整することができる。
また、前記仕切板には、ベルマウスの前面側にプレフィルタが取り付けられていることが好ましい。このような構成にすれば、室内から還流する空気を空気調整用機器に通風させる前に空気中の大きな塵埃を除去するので、糸くずなどの大きなごみが遠心ファン及び空気清浄フィルタに吸い込まれることが防止される。さらに、このプレフィルタにより遠心ファンへの吸込気流が整流されるので機内抵抗が減少し、騒音が低下する。
また、このような構成の空気調和機において、前記空気調整用機器は、少なくとも集塵フィルタ又は脱臭フィルタの何れか一方を備えているものとすることができる。このように構成すれば、薄型の空気清浄機とすることができる。
また、前記空気調整用機器は、少なくとも室内空気を冷却又は加熱する熱交換器を備えているものとすることができる。このようにすると、薄型の空気調和機用室内ユニットを構成することができる。
また、前記遠心ファンをターボファンとしてもよい。遠心ファンをターボファンとすると、運転効率が高くなるので機器の省エネ化を図ることができる。
また、前記遠心ファンをラジアルファンとしてもよい。遠心ファンをラジアルファンとすると、遠心ファンからの吹出気流は、周方向の成分が少ない気流となるので、気流が空気調整用機器に入るときの乱れが小さくなる。この結果、気流の通過抵抗が小さくなるとともに騒音が小さくなる。すなわち、機器の省エネ化及び低騒音化を図ることができる。
本発明に係る空気調和機によれば、空気清浄フィルタと遠心ファンとが前方から見て平面的に配置されているので、本体筐体の薄型化を図ることができる。また、室内空気吸込口と直交する方向に室内吹出口が配置されるので、室内吸込空気と室内吹出空気とのショートサーキットが防止される。また、フロントパネルと仕切板との間全体が吸込側チャンバとして形成されるとともに、フロントパネルと仕切板との間の周辺のうちの対向する2辺に室内空気吸込口が形成されているため、フロントパネルを完全にフラット化することができる。さらに、フロントパネルの背面におけるファン吸込口に対向する個所に、両室内空気吸込口から流入する気流をファン吸込口の方向に案内するガイド部材が設けられているため、室内空気吸込口からファン吸込口に吸入される気流がスムーズになる。また、ファン吸込口の前方がフラットなフロントパネルで覆われているため、前面に漏れるファンの騒音が緩和される。
以下、本発明の実施の形態に係る空気調和機について、図1〜図5に基づき説明する。
図1は、本実施の形態に係る空気調和機の側断面図であり、図2は同空気調和機の分解斜視図であり、図3は同空気調和機の外観斜視図であり、図4は同空気調和機のフロントパネルの背面斜視図であり、図5は同空気調和機の正面から見た吸込側チャンバ内の空気流れ図である。なお、図6に参考例に係る空気調和機の場合の吸込側チャンバ内の空気流れ図を示す。
本実施の形態に係る空気調和機は、床置型であって、空気調整用機器として空気清浄フィルタを用いた所謂空気清浄機である。この空気清浄機の筐体は、図1〜図4に示すように、前面が開放された略箱型の本体筐体1と、本体筐体1の前面に取り付けられている仕切板2と、さらにこの仕切板2の前面に取り付けられているフロントパネル3とから構成されている。なお、図1及び図3における実線矢印は空気の流れ方向を示す。
本体筐体1は、上方大半部が薄型に形成された略箱型の薄型部11に形成され、この薄型部11の下方部にはフロントパネル3の前面と略面一となる程度に奥行きが大きく形成された電装品収納部12が形成されている。この電装品収納部12は、この空気調和機のベース部材を兼ねている。また、電装品収納部12において、前方への出っ張り部の前面上部から上面にかけての角部は、後述するフロントパネル3の下端部と仕切板2の下端部との間に形成される室内空気吸込口8bに連なるように、側断面が曲面状の凹部13に形成されている(図1参照)。本体筐体1における薄型部11の左右両側部の上下角部には段状部14が形成され、この上下の段状部14間が後述する空気調整用機器4としての空気清浄フィルタを収納する収納スペース15として形成されている(図2参照)。本体筐体1の薄型部11の前面には内向きフランジ16が形成され、この内向きフランジ16には仕切板2を取り付けるための複数のねじ孔17が形成されている(図2参照)。
本体筐体1の左右側方に取り付けられる空気調整用機器4としての空気清浄フィルタは、本発明における空気調整用機器の一例であって、流通する空気中の浮遊汚染粒子、ガス状汚染物質などの汚染物を除去して空気を清浄化する機能を備えたフィルタ部材又は機器である。なお、この空気清浄フィルタは、図面にはその詳細を記載していないが、従来公知のようなものでよい。例えば、後述する遠心ファン5の吹出側に、バイオ抗体の力で空気中に浮遊するウイルスを素早く吸着するバイオ抗体フィルタを設け、その下流側にプラズマイオン化部で埃や花粉をプラスに帯電させ、マイナスに帯電したフィルタでこれら埃や花粉を吸着する静電集塵フィルタを配置する。そして、この静電集塵フィルタの下流側に、臭気成分を分解するとともに、カビ菌やウイルスを吸着する光触媒アパタイトフィルタなどの脱臭フィルタを配置したものとする。このような構成の空気清浄フィルタは、その外周形状が前記収納スペース15の形状に合致するような直方体状に形成されたものであって、左右のものが略同一形状に形成されている。また、この空気清浄フィルタは、後述するフロントパネル3及び仕切板2を外した状態において、本体筐体1の前面側から着脱自在に取り付けられている。
そして、本体筐体1の空気調整用機器4の空気流出側に位置する両側面には、清浄化された空気を室内へ吹き出すための室内吹出口18がそれぞれ形成されている。
また、本体筐体1における薄型部11の前面から見た中央部には、遠心ファン5が配置されている。遠心ファン5としてはターボファンが用いられている。この遠心ファン5は、羽根車51の回転軸52を前後方向にするとともに、シュラウド54により形成されるファン吸込口53を前面側にして配置されている。また、ファンモータ55が本体筐体1の背板に取り付けられている。さらに、遠心ファン5の後側に位置するハブの中央部分を断面円形として前方に膨出させた膨出部56を形成している。そして、この膨出部56内にファンモータ55が配置されている。また、前述の空気調整用機器4としての空気清浄フィルタは、この遠心ファン5の羽根車51の径方向吹出側となる本体筐体1の左右に取り付けられている。
仕切板2は、平板状であって、その周辺部には本体筐体1の前面の内向きフランジにねじ止めするためのねじ貫通用の複数の貫通孔21が設けられている。そして、仕切板2は、貫通孔21を介してねじ(図示せず)により本体筐体1の前面の内向きフランジ16に着脱自在にねじ止めされている(図2参照)。また、仕切板2には、遠心ファン5のファン吸込口53に対応する位置にベルマウス22が形成されている。仕切板2は、このように形成されることにより、仕切板2の内側をファン吹出側とし、仕切板2の前面側をファン吸込側とするように機能する。さらに、仕切板2は、空気調整用機器4の収納スペース15の前面側の収納壁を兼用する。
また、仕切板2の中央部に形成されたベルマウス22の前面側には、プレフィルタ6が取り付けられている。プレフィルタ6は、カテキン含有のフィルタであって、大きな埃やペットの毛などを捕集するとともに、埃などに付着している細菌やカビ成分を除菌する機能を備えている。
フロントパネル3は、フラットな平面を備えた前板31の両側を後方に折り曲げて折曲片32を形成し、この折曲片32の寸法を適切に設定することにより、仕切板2との間全体に狭い間隔の吸込側チャンバ7を形成するように構成されている。また、フロントパネル3は、本体筐体1又は仕切板2に対し、図示しない適宜の手段により着脱自在に取り付けられている。そして、フロントパネル3の上端部と仕切板2の上端部との間、及びフロントパネル3の下端部と仕切板2の下端部との間にそれぞれ室内空気吸込口8a,8bがスリット状に形成されている。したがって、この室内空気吸込口8a,8bは前述の室内吹出口18とは取付方向が90度相違する方向となる。
また、フロントパネル3の背面側の中央部には、側面が円錐面のように形成された低い円錐台形状のガイド部材9が形成されている。また、このフロントパネル3とガイド部材9とは、射出成型により樹脂一体成型されている。また、ガイド部材9における円錐台の頂上面の直径D1が前述の膨出部56の頂上面の直径D2に比し小径かつ大差ない径に形成されている。このように、ガイド部材9の先端面の直径D1と膨出部56の先端面の直径D2とを定めることにより、吸込側チャンバ7からベルマウス22を経由してファン吸込口53に吸入される気流Saが滑らかに形成される。
次に、本実施の形態に係る空気調和機の運転について説明する。
図示しない運転スイッチが投入されることにより、ファンモータ55が運転されて遠心ファン5が運転されるとともに、電源を必要とする静電集塵フィルタなどを備えた空気清浄フィルタが作動する。これにより、フロントパネル3の上端部と仕切板2の上端部との間にスリット状に形成された室内空気吸込口8aを介して室内空気が吸い込まれる。また、室内空気は、本体筐体1の電装品収納部12の前面に形成された凹部13から、フロントパネル3の下端部と仕切板2の下端部との間にスリット状に形成された室内空気吸込口8bを介しても吸い込まれる。このように両室内空気吸込口8a,8bから吸入された室内空気は、フロントパネル3と仕切板2との間に形成された吸込側チャンバ7に入る。
両室内空気吸込口8a,8bから吸込側チャンバ7に流入した空気は、例えば図6(a)及び(b)に示すように、ベルマウス22の中心を通る水平の中央線Hを境にして概ね上下対称的な気流Saを描きながら、吸込側チャンバ7の中央のベルマウス22を目指して流れる。このとき、吸込側チャンバ7がガイド部材9を備えていない何もない空間の場合は、図6(a)及び(b)に示すように、ファン吸込口53の外周部に入る気流Saは円滑に吸入されるが、ファン吸込口53の中央部においては乱れた気流Sacとなって吸入される。この原因は、遠心ファン5のハブに形成された膨出部56の存在によりファン吸込口53の中央部に入ってくる気流Saがスムーズにファン内に入れなくなり、乱れて入るようになるからである。なお、この乱れた気流Sacは、ファンの吸込み乱れになりファンの騒音上昇の要因になる。
本実施の形態においては、このような乱れ気流Sacを防止するため、フロントパネル3の背面側中央部に両室内空気吸込口8a,8bから流入する気流Saをファン吸込口の方向に案内するガイド部材9が設けられている。ガイド部材9は、フロントパネルの背面からファン吸込口に向けて突出する円錐状の側面を備えているため、両室内空気吸込口8a,8bからベルマウス22を経由してファン吸込口53に吸入される気流Saが、図1及び図5に示すようにスムーズになる。特に、このガイド部材9は、円錐台形状に形成されて頂上に平面が形成されているため、頂上面における渦流の発生が抑制される。なお、仮に頂上面が形成されない円錐状の筒状壁のみからなるガイド部材の場合は、円錐台形状の頂上に渦流が発生し気流の流れが乱されるため、騒音抑制効果が減殺される。また、このようなガイド部材9の作用に付加して、ベルマウス22の前面側にプレフィルタ6が取り付けられているため、吸込側チャンバ7内における気流の動圧が静圧に置換されてファン吸込口53の気流Saが整流されるため、機内通風抵抗が減少し、騒音が低下する。
そして、両室内空気吸込口8a,8bから流入した室内空気は、プレフィルタ6、ベルマウス22及びファン吸込口53を介し遠心ファン5に吸入され、羽根車51の径方向吹出側に吹き出される。この経路において、プレフィルタ6では大きな埃やペットの毛などが捕集され、カテキン成分により埃などに付着した細菌やカビ菌が除去される。
また、遠心ファン5から径方向に吹き出された空気は、本体筐体1内において左右の空気調整用機器4としての空気清浄フィルタに送られる。そして、空気清浄フィルタに送られた室内空気は、バイオ抗体フィルタで浮遊するウイルスが吸着され、静電集塵部で埃や花粉がプラスに帯電されてマイナスに帯電されたフィルタに吸着される。さらに、脱臭フィルタで臭い成分が分解されるとともに、細菌やカビ菌が吸着されて臭いが除去され、清浄化された空気となって室内吹出口18から左右方向に吹き出される。
なお、以上のように形成された空気清浄機は床置き型として壁面に沿って使用される。また、この空気清浄機が使用される室内においては、室内空気がこの空気清浄機の上下部の前面側から吸入されるのに対し、空気調整された空気が本体筐1体の側面から壁面に沿って吹き出される。このため、室内において、部屋の周囲から空気調和機の正面中央部に向かう循環気流が形成され、効率よく室内全体の空気が清浄化される。
以上のように構成された空気調和機によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)空気調整用機器4と遠心ファン5とが平面的に配置されており、従来の一般の製品のように前後方向に並べて配置されていないので本体筐体1の奥行き寸法を小さくして薄型にすることができる。また、遠心ファン5の吹出側に空気調整用機器4としての空気清浄フィルタが配置されているため、空気清浄フィルタによる吸音効果や遮音効果が発揮され、空気調和機の低騒音化が図れる。
(2)また、本体筐体1内の遠心ファン5の径方向吹出側に空気調整用機器4が配置されるとともに、この空気調整用機器4の下流側であって室内空気吸込口8a,8bと略直交する方向に室内吹出口18が配置されている。したがって、室内空気吸込口8a,8bと室内吹出口18とは異なる方向に形成されることになるので、室内空気吸込口8a,8bと室内吹出口18との間のショートサーキットが防止される。
(3)また、フロントパネル3と仕切板2との間全体が吸込側チャンバ7として形成されるとともに、室内空気吸込口8a,8bがフロントパネル3と仕切板2との間の周辺のうちの対向する2辺に形成されているため、フロントパネル3を完全にフラット化することができる。また、フロントパネル3がフラットになっているため、フロントパネル3の清掃が楽になり、メンテナンス性が向上する。
(4)フロントパネル3の背面におけるファン吸込口53に対向する個所には、ファン吸込口53に向けて突出する円錐状の側面を備えたガイド部材9が設けられ、吸込側チャンバ7内の気流がファン吸込口53に案内されるように構成されている。このため、室内空気吸込口8a,8bからベルマウス22を経由してファン吸込口53に吸入される気流Saがスムーズになる。このため、吸込側チャンバ7内の通風抵抗が抑制され、騒音の増加が抑制される。
(5)ガイド部材9は、側面が円錐面のように形成された低い円錐台形状とされているので、狭い間隔の吸込側チャンバ7に形成されるガイド部材としてより有効に機能させることができる。
(6)ガイド部材9は、フロントパネル3と一体的に射出成型されているので、ガイド部材9の取り付け作業が不要であり、内部に装備されている機器のメンテナンスのための組み立て分解作業が容易である。また、ガイド部材9はフロントパネル3に設けられているので、プレフィルタ6を仕切板2に取り付けることにより、ベルマウス22の風上側にプレフィルタ6を容易に取り付けることができる。
(7)室内空気吸込口8a,8bは、フロントパネル3と仕切板2との間隔周辺のうちの上下2辺に形成されるとともに、空気調整用機器4は、遠心ファン5の左右の径方向吹出側に配置され、さらに、室内吹出口18は、本体筐体1の左右側部に設けられている。したがって、室内空気吸込口8a,8bと室内吹出口18との間のショートサーキットを避けながら、調整後の空気を左右対称的に吹き出すことができる。また、左右の空気調整用機器4の風速分布を均一にし、空気調整の効率を向上させることが容易になる。また、この空気調和機が設置される部屋の一壁面の略中央部に沿ってこの空気調和機を配置して使用すると、空気調整用機器4を通過して調整された空気が壁面に沿って吹き出され、空気調和機の正面から室内空気を吸い込む循環気流が形成される。この結果、室内を包み込むような循環気流が形成されるので、室内の全体が空気を効率よく調整することができる。
(8)遠心ファン5は、ベルマウス22の後方のハブに、前方に膨らむ膨出部56が形成され、この膨出部56内にファンモータ55が配置されるとともに、ガイド部材9は、円錐台の頂上面の直径D1が膨出部56の頂上面の直径D2に比し小径かつ大差ない径に形成されている。ファンモータ55が大きくなった場合、ハブの膨出部56が大きくなるため吸込側チャンバ7からベルマウス22を介してファン吸込口53に吸入される気流Saが乱されやすいが、前述のような大きさのガイド部材9が設けられていることにより、ベルマウス22を介してファン吸込口53に流入される気流Saの乱れを低減させることができる。
(9)また、プレフィルタ6が仕切板2に形成されたベルマウス22の前面側に取り付けられているので、糸くずなどの大きなごみが遠心ファン5及び空気調整用機器4に吸い込まれることが防止される。さらに、このプレフィルタ6により遠心ファン5への糸くずなどの大きなごみが遠心ファン5及び空気調整用機器4に吸い込まれることが防止される。さらに、このプレフィルタ6により遠心ファン5への吸込気流が整流されるので、遠心ファン5の吸込抵抗が減少し、遠心ファン5の騒音が低下する。
(10)また、前面に向いているファン吸込口53が、フラットなフロントパネル3で覆われているため、前面に漏れるファンの騒音が緩和される。
(11)空気調整用機器4としての空気清浄フィルタが複数の位置に分散配置されているので、すなわち、この実施の形態の場合には、空気清浄フィルタが本体筐体1内において左右側方の位置に分散配置されているので、空気清浄フィルタの空気通過面積を大きくすることができ、空気清浄効率を向上させることができる。
(12)空気調整用機器4として集塵フィルタと脱臭フィルタの双方を有する空気清浄フィルタを備えているので、薄型の空気清浄機を提供することができる。したがって、空気清浄機の用途の拡大、需要の拡大を図ることができる。
(13)遠心ファン5としてターボファンが用いられているので、運転効率が高くなり、機器の省エネ化を図ることができる。
(変形例)
以下に上記実施の形態に係る空気調和機の変形例を記す。
(1)前記ガイド部材9は、フロントパネル3と一体的に形成されているが、これを別体として形成するとともに、接着剤等によりフロントパネル3に取り付けるようにしてもよい。また、この場合においてガイド部材9全体を吸音材で構成するようにしてもよい。このようにすれば、ガイド部材9を形成する吸音材により、ファン吸込口53付近の騒音発生エネルギが吸収される。したがって、ファン吸込口53付近から前方に放出される騒音発生エネルギが吸音材により吸収され、騒音を低減することができる。
(2)また、ガイド部材9の表面を吸音材により形成した構成としてもよい。このようにすれば、騒音を低減しながら吸音材の使用量を減らしコストダウンすることができる。なお、表面を吸音材により形成するために、シート状の吸音材をガイド部材の表面に張るようにしてもよい。
(3)上記実施の形態においては、室内空気吸込口8a,8bがフロントパネル3と仕切板2との間の上下の2辺に形成されるとともに、室内吹出口18が本体筐体1の左右側面に設けられていたが、室内空気吸込口8a,8b及び室内吹出口18の位置を90度位置変更して形成したものとしてもよい。具体的には、例えば、室内空気吸込口8a,8bをフロントパネル3と仕切板2との間の左右の2辺に形成するとともに、室内吹出口18を本体筐体1の上下面に形成したものとしてもよい。
(4)上記実施の形態においては、空気調整用機器4を空気清浄フィルタとした所謂空気清浄機を例に挙げて説明していたが、他の空気調和機として構成してもよい。例えば、この空気清浄フィルタに代わって冷暖房用の熱交換器を用いた空気調和機の室内ユニットとして構成することができる。
(5)前記実施の形態に係る空気調和機は、床置形として記載しているが、壁掛型の空気調和機とすることもできる。この場合には、本体筐体1の下方の電装品収納部12の奥行き寸法を薄型部11と同一にして、あるいは、電装品収納部12を他の位置に移動して、フロントパネル3の下端部と仕切板2との下端部との間に形成される室内空気吸込口8bを下面に露出するように形成することができる。また、本空気調和機の高さ方向を水平方向として薄型の天井吊型空気調和機としてもよい。これら壁掛型及び天井吊型空気調和機においても、薄型となることにより部屋に設置された場合の圧迫感を緩和することができる。
(6)上記実施の形態においては、空気調整用機器4である空気清浄フィルタとしては、静電集塵フィルタと脱臭フィルタの双方を備えていたが、何れか一方のフィルタを備えたものでもよい。また、静電集塵フィルタに代えてHEPAフィルタなどの他の形式の集塵フィルタにしてもよいことは勿論である。
(7)遠心ファン5は、ターボファンに拘るものではなく、ターボファンに代えてラジアルファンを用いるようにしてもよい。遠心ファン5をラジアルファンとすると、遠心ファン5からの吹出気流は、周方向の成分が少ない気流となるので、気流が空気調整用機器4に入るときの乱れが小さくなる。この結果、気流の通過抵抗が小さくなるとともに騒音が小さくなる。すなわち、機器の省エネ化及び低騒音化を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る空気調和機の側断面図である。 同空気調和機の分解斜視図である。 同空気調和機の外観斜視図である。 同空気調和機のフロントパネルの背面斜視図である。 同空気調和機の正面から見た吸込側チャンバ内の空気流れ図である。 参考例としての空気調和機の吸込側チャンバ内の空気流れ図であって、(a)は側面から見た空気流れ図であり、(b)は正面から見た空気流れ図である。
符号の説明
Sa…気流、D1,D2…直径、1…本体筐体、2…仕切板、3…フロントパネル、4…空気調整用機器、5…遠心ファン、6…プレフィルタ、7…吸込側チャンバ、8a,8b…室内空気吸込口、9…ガイド部材、18…室内吹出口、22…ベルマウス、52…回転軸、53…ファン吸込口、55…ファンモータ、56…膨出部。

Claims (12)

  1. 前面が開放された正面視略四角形の本体筐体と、この本体筐体の前面に取り付けられた仕切板と、正面から見てファン吸込口が正面略中央部となるように回転軸を前後方向として本体筐体内に配置された遠心ファンと、前記仕切板の前面側に所定間隔空けて仕切板に対向するように配置されたフラットなフロントパネルと、フロントパネルと仕切板との間の周辺のうちの対向する2辺に形成された室内空気吸込口と、フロントパネルと仕切板との間全体に形成された、前記室内空気吸込口に連通する吸込側チャンバと、本体筐体内の遠心ファンの径方向吹出側に配置された室内空気の温度、湿度及び清浄度の少なくとも何れか一つを調整する空気調整用機器と、空気調整用機器の下流側であって室内空気吸込口と略直交する方向に配置された空気調整後の空気を室内へ吹き出すための室内吹出口とを備え、
    前記仕切板の中央部には、遠心ファンのファン吸込口と対向するようにベルマウスが取り付けられ、
    さらに、前記フロントパネルの背面における前記ファン吸込口に対向する個所には、ファン吸込口に向けて突出する円錐状の側面を備えたガイド部材が設けられ、吸込側チャンバ内の気流がファン吸込口に案内されるように構成されている
    ことを特徴とする空気調和機。
  2. 前記ガイド部材は、側面が円錐面のように形成された円錐台形状であることを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
  3. 前記遠心ファンは、ファン吸込口後方のハブに、前方に膨らむ膨出部が形成され、このハブ後面側に形成される膨出部内にファンモータが配置され、
    前記ガイド部材は、円錐台の頂上面の直径が前記膨出部の頂上面の直径に比し小径かつ大差ない径に形成されていることを特徴とする請求項2記載の空気調和機。
  4. 前記ガイド部材は、前記フロントパネルと一体的に成型されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気調和機。
  5. 前記ガイド部材は、全体が吸音材により形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気調和機。
  6. 前記ガイド部材は、表面が吸音材により形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の空気調和機。
  7. 前記室内空気吸込口は、フロントパネルと仕切板との間隔周辺のうちの上下2辺に形成されるとともに、空気調整用機器は、遠心ファンの左右の径方向吹出側に配置され、さらに、前記室内吹出口は、本体筐体の左右側部に設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の空気調和機。
  8. 前記仕切板には、ベルマウスの前面側にプレフィルタが取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項記載の空気調和機。
  9. 前記空気調整用機器は、少なくとも集塵フィルタ又は脱臭フィルタの何れか一方を備えていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の空気調和機。
  10. 前記空気調整用機器は、少なくとも室内空気を冷却又は加熱する熱交換器を備えていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の空気調和機。
  11. 前記遠心ファンはターボファンであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の空気調和機。
  12. 前記遠心ファンはラジアルファンであることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の空気調和機。
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