JP4867389B2 - 多心ケーブルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、複数本の絶縁電線や同軸電線からなる多心ケーブルの製造方法に関し、より詳細には、中間部では束ねられ、両端部では複数本の電線がフラット状にされて電気コネクタが接続された多心ケーブルの製造方法に関する。
近年、ノートパソコン、携帯電話、小型ビデオカメラ等の普及で、これら情報通信機器の小型・軽量化の他に高速・高画質化が求められている。これに対応するために、機器本体と液晶表示部の接続や機器内の配線等に、極めて細い絶縁電線や同軸電線(シールド電線という場合もある)が用いられ、また、配線の容易性から、複数本の電線を集合一体化させたハーネス形状の配線部材が用いられている。電気接続は、予めケーブル端部に所定の配列で接続した電気コネクタ(以下、単にコネクタという)で行なわれ、このためのコネクタには、例えば、プリント回路等の接続に用いるような、多数のコンタクトを列状に配列したエッジ形状のコネクタが用いられる。
コネクタ付き多心ケーブルは、一般に、両端に電気コネクタを接続するために、複数本の電線を所定ピッチで平行一列に並べて一体化したフラットケーブル、或いは平形ケーブルと呼ばれている形態で用いられることが多い。しかし、このコネクタ付きケーブルは、機器内の壁面に沿わせた配線には適しているが、例えば、携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ等の本体部と液晶表示部間の接続のような回動部分を通しての配線を行なう場合は、回動部分における捻回特性が悪く、ヒンジ部の形状が大きくなってしまう。また、フラットケーブルに加わるストレスが大きく断線しやすいという問題がある。
このため、開閉ヒンジ等の回動部分を介しての配線では、電気コネクタが接続される両端部では複数本の電線はフラット状にされているが、中間部分で電線を1つに束ねた状態にしたコネクタ付き多心ケーブルが用いられている。複数本の電線を束ねる形態としては、多心ケーブルの製造段階で両端部のみをフラット化し、中間部分は後の結束のためにばらけた状態としておいたり、或いは、フラット化された状態のまま円筒状に丸めるようにして束ねられている。複数本の電線を束ねるのに、テープ状の束ね部材を用いたり、また、電線に同軸電線やシールド電線が用いられる場合、多心ケーブルの中間部で接地用の接地接続部材を設けることもある。
電線の中間部分を束ねるに際して、電線の長さを同一にすると、配列位置によって弛みを生じる線と張力を受ける線が生じる。そこで、両側に配列される線を中央側の線より長くするか、或いは、両側のコネクタを同軸電線の配列方向に沿ってL字状に回動させた形状とするかの対策がなされている。
前者の対策例として、束ねてもコネクタ部で各心線が引っ張られないように、多心ケーブルの各電線を非等長に規定する技術も開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の多心ケーブルは、複数本の電線の両端末部分を所定のピッチで配列してフラット状にし、中間部分を1つに束ねた多心ケーブルであって、両端末部分における電線配列方向におけるケーブル幅をDとし、両端末部分間の距離をEとし、両端末部分間に配列される複数本の電線が、最小長さLsから最大長さLmになるように順次長さを異ならせたとき、D/E>1/6であり、(Lm−Ls)>{(D+E1/2−E}としている。
一方、携帯電話等の機器は、その基盤の作り方が優先されてコネクタの位置が決まることが一般的である。従って、基盤と他の部品(基盤を含む)とを繋ぐためのコネクタ付き多心ケーブルは、基盤や部品上のコネクタの配置に合わせて接続できるようにフォーミングしなければならない。ここで、機器内での多心ケーブルの取り回しにより、コネクタ部分で各電線を90度(L字状に)曲げるフォーミングも必要となってくる。
そのため、従来、図4で図示したように、最終的に多心ケーブルの中央部分の長さ方向(すなわち結束帯4の長手方向)と多心ケーブルのコネクタ2との接続部分の長さ方向(すなわちコネクタ2の短手方向)とを、ほぼ90度になるようにフォーミングしている。
特開2005−235690号公報
しかしながら、従来技術によりコネクタ付多心ケーブルをコネクタ部分で90度曲げるフォーミングを行った場合、各電線(説明上、電線群3a〜3cに分けて符号を付す)をコネクタ2との接続部分で90度曲げようとしても、図4で示したように、曲げの内側の電線群3aがそのまま斜めに結束帯4の方向へと向かうようなフォーミングしかできない。
このような従来のコネクタ付き多心ケーブルは、特許文献1をはじめとする従来技術によって各電線の長さ調整をしたとしても、列の曲げ内側の端の電線群3aが断線しやすい。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタと電線とを90度に曲げてフォーミングすることが可能なコネクタ付き多心ケーブルを製造する方法を提供し、コネクタと電線との接続部分における曲げ内側の端付近の電線で生ずる断線を低減することにある。
本発明による多心ケーブルの製造方法は、複数本の電線の両端末部分を所定のピッチで配列してフラット状にし、両端末部分に長方形状の長手方向に多数のコンタクトを列状に配した電気コネクタを接続した多心ケーブルの製造方法である。ここで、複数本の電線は、電気コネクタの長手方向に直交するように接続されている。そして、本発明による多心ケーブルの製造方法は、その複数本の電線を少なくとも一方の端末部分で電気コネクタの長手方向に平行に沿う方向に曲げ、曲げられた結果として曲率半径が小さい側の端に配列された電線を電気コネクタの長手方向に垂直で当該電線が沿うように形成された側壁に押し当てて直角に屈曲させるように成形する成形工程と、その複数本の電線の中間部分を1つに束ねる結束工程とを含むことを特徴としている。
本発明によれば、コネクタ付き多心ケーブルにおいて、コネクタと電線との接続部分における曲げ内側端付近の電線で生ずる断線を低減し、コネクタと電線とを90度に曲げてフォーミングすることが可能となる。
図1は、本発明に係るコネクタ付き多心ケーブルの一例を説明するための図で、図2は、図1のコネクタ付き多心ケーブルの全体像を示す図である。
本発明の製造方法で製造されるコネクタ付き多心ケーブル1は、複数本の電線の両端末部分を所定のピッチで配列してフラット状にし、その両端末部分に、長手方向に多数のコンタクトを列状に配した横長の電気コネクタ(コネクタ)2を接続したケーブルである。ここで、複数本の電線は、コネクタ2の長手方向に直交するように接続されている。また、電線としては同軸電線や極細の絶縁電線などが適用できる。多心ケーブル1は、さらに、その中間部分がテープ等の結束帯4で1つに束ねられているものとする。
多心ケーブル1に用いられる複数本の電線は、少なくとも一方の端末部分で、図1に示すようにコネクタ2の長手方向に平行に沿う方向に曲げられている。ここで、複数本の電線は、端末部分で曲げられた結果、その端末部分に接続されたコネクタ2の長手方向に対して、中間部分(結束帯4付近)がほぼ平行に束ねられている。すなわち、多心ケーブル1は、少なくとも一方の端末部分でL字状に曲げられている。
本発明では、曲げられた結果として曲率半径が小さい側(曲げ内側)の端に配列された電線が、コネクタ2の長手方向に対して垂直に成形されている。以下、図示したように、その電線から所定本数離れた電線までの電線群(以下、内側電線群という)3aが、コネクタ2の長手方向に対して垂直に成形されている例を挙げる。内側電線群3aは、3本程度にするとよい。
このように、本発明によれば、コネクタ2と電線とを90度に曲げてフォーミングする際、並びにフォーミング後も、コネクタ2と電線との接続部分において曲げ内側端付近の電線(内側電線群3a)がコネクタ長手方向に直角に成形されているので、内側電線群3aのコネクタ根元で生ずる断線を低減することができる。
内側電線群3aは、上述の曲げ内側部分での直角な成形を可能とするために、他の電線(後述の電線群3b,3c)に対して、直角に屈曲される分の長さ、すなわち垂直に成形する余裕を作るために必要な長さを確保してなる。
図2(A)で例示する多心ケーブル1は、コネクタ2側の端末部分がL字状に曲げられ、コネクタ5側の端末部分が真っ直ぐのまま接続されている。コネクタ5との接続部分では曲げられていないため、特に曲げに対して内側、中央、及び外側と区別されることはない。
図2(B)で例示する多心ケーブル1は、コネクタ2側及びコネクタ5側の双方の端末部分が互いに逆方向にL字状に曲げられている。コネクタ2に対する内側電線群3a、中央電線群3b、及び外側電線群3cは、コネクタ5との接続部分では逆方向に曲げられているため、コネクタ5付近ではそれぞれ外側電線群3a、中央電線群3b、及び内側電線群3cとなる。
図2(C)で例示する多心ケーブル1は、コネクタ2側及びコネクタ5側の双方の端末部分が互いに同じ方向にL字状に曲げられている。コネクタ2に対する内側電線群3a、中央電線群3b、及び外側電線群3cは、コネクタ5との接続部分でも同方向に曲げられているため、コネクタ5付近でもそれぞれ内側電線群3a、中央電線群3b、及び外側電線群3cとなる。
ここで、上述した内側電線群3aや外側電線群3cに対して確保した垂直に形成する分の長さとは、図2(A)〜(C)に示すいずれの多心ケーブル1であっても、コネクタ2やコネクタ5で図4のように曲げるためにもたせた余分の長さ(例えば特許文献1の発明で規定した長さ)にさらに追加される長さを指す。
図3は、図1のコネクタ付き多心ケーブルを製造する際のフォーミングの様子を示す図である。図1で説明した多心ケーブルを製造する際には、全電線を曲げる対象となる端末部分でコネクタ2の長手方向に平行に沿う方向に曲げ、曲げられた結果として内側電線群3aが、コネクタの長手方向に対して垂直になるように成形する成形工程と、複数本の電線の中間部分を結束帯4で1つに束ねる結束工程とを含む。なお、この成形工程においても内側電線群3aのうち少なくとも1本がコネクタ2の長手方向に対して垂直になればよい。
成形工程では、図3で例示するような治具10を用いることで、図1で示した形状に各電線をフォーミングできるようになる。治具10は、コネクタ2を収納するコネクタ収納溝11aと、コネクタ収納溝11aと連なった溝であってコネクタ2との接続部から連なった全電線をコネクタ2の長手方向に平行に延出させるように収納する電線収納溝とを有する。
この電線収納溝は、コネクタ収納溝11aと連なった接続部収納溝11bと、接続部収納溝11bと連なった延出溝11cとでなる。接続部収納溝11bは、接続部近くの全電線を収納するだけでなく、迂回用側壁12をもつものとする。迂回用側壁12は、接続部の延出方向側の端に位置する電線(電線群3aの一番端の電線)をコネクタ2の長手方向に対して垂直に延ばしたときにその電線に沿うように形成された側壁であり、接続部収納溝11bと延出溝11cとのつなぎ目が直角になっている。これにより電線群3aがコネクタ長手方向に対して垂直にフォーミング可能となる。なお、内側電線群3aの本数が少なくとも垂直にフォーミングされるように、本数に応じて迂回用側壁12の高さ(延出用側壁13までの距離)を変えればよい。
接続部収納溝11bは、また、外側電線群3cがコネクタ長手方向に対して垂直にフォーミング可能とするために、外側電線群3cを他の電線群3a,3bと分けて迂回させる迂回用凸部15を底面に備えるとよい。迂回用凸部15の外を巻くように外側電線(一番外側だけ)又は外側電線群3cをほぼ直角に曲げることができる。ここで、外側電線群3cとみなした本数だけが分割されてフォーミングされるよう迂回用凸部15の位置を変えればよい。
延出溝11cは、迂回用側壁12に垂直な壁であって延出方向へ連なる延出用側壁13と、それに対向する位置の延出用側壁14とを有する。なお、接続部収納溝11bは、迂回用側壁12以外にも、コネクタ2と電線群3a〜3cとの接続部分で生じている段差を考慮してコネクタ収納溝11aと段差を設けるとよい。
このような治具10を用い、成形工程では、まず、コネクタ収納溝11aにコネクタ2を収納する。その後、接続部収納溝11bに全電線を収納して、内側電線群3aの断線対策は、ケーブル配列方向(コネクタ2の長さ方向)に垂直な迂回用側壁12を端のケーブルに当てて、その迂回用側壁12を乗り越えるようにその端のケーブルをほぼ90度に曲げながら他の電線と束ねる。外側電線群3cのみを迂回用凸部15を乗り越えさせるように配列方向に90度曲げて迂回させ、且つ全電線(特に内側電線群3a)を迂回用側壁12を乗り越えさせるように配列方向に曲げ、全電線を延出溝11cに沿って収納する。
この断線対策を施して製造された多心ケーブル1は、ケーブルの長さ方向に対してほぼ平行にコネクタ2が取り付けられ、且つコネクタ2の近くで最も長さが短い電線(内側の電線であって壁に当る電線)がコネクタ2に対してほぼ90度で取り付けられている。これに対して、図4で示した従来のコネクタ付き多心ケーブルでは内側の電線がコネクタ2に取り付けられる角度が90度になっていない。
また、外側電線群3cの断線対策は、外側の電線群3cがコネクタ2に取り付けられる箇所からコネクタ2に対して垂直に延びた線上にピン等の迂回用凸部15を配置し、外側の電線群3cをそのピンの外側を通して曲げて他の電線と束ねる、というフォーミングが該当する。この断線対策を施して製造された多心ケーブル1は、ケーブルの長さ方向に対してほぼ平行にコネクタ2が取り付けられ、且つコネクタ2の近くで最も長さが長い電線(外側の電線であってピンを巻いて束ねられる電線)がコネクタ2に対してほぼ90度で取り付けられている。これに対して、図4で示した従来のコネクタ付き多心ケーブルでは外側の電線がコネクタ2に取り付けられる角度が90度になっていない。
以上、このような成形工程により、全電線の長手方向の形状を図1で例示したような形状に成形することが可能となる。また、結束工程では、治具10から延出した全電線を結束帯4で1つに束ねる。この結束工程は、結束帯4に対して全電線が長さ方向に動くように結束帯4を緩めておくことで、成形工程の前や最中であっても容易に遂行することができる。
実際には、図2(A)〜(C)で示した多心ケーブル1を製造することとなるが、そのために、まず各電線の長さ調整を行っておくとよい。この長さ調整では、例えば、経路に基づき長さを算出し、その算出した長さに各電線を切断し、コネクタ2,5に接続するとよい。勿論、コネクタ2へ各電線を接続してから、算出した長さに各電線を切断してもよい。また、コネクタ2とコネクタ5とで電線の接続を取り違えないように電線の整列治具を用いて接続を行えばよい。
本発明に係るコネクタ付き多心ケーブルの一例を説明するための図である。 図1のコネクタ付き多心ケーブルの全体像を示す図である。 図1のコネクタ付き多心ケーブルを製造する際のフォーミングの様子を示す図である。 従来技術によるコネクタ付き多心ケーブルを示す図である。
符号の説明
1…コネクタ付き多心ケーブル、2,5…コネクタ、3a…内側電線群、3b…中央電線群、3c…外側電線群、4…結束帯、10…治具、11a…コネクタ収納溝、11b…接続部収納溝、11c…延出溝、12…迂回用側壁、13,14…延出用側壁、15…迂回用凸部。

Claims (1)

  1. 複数本の電線の両端末部分を所定のピッチで配列してフラット状にし、前記両端末部分に長方形状の長手方向に多数のコンタクトを列状に配した電気コネクタを接続した多心ケーブルの製造方法であって、
    前記複数本の電線は、前記電気コネクタの長手方向に直交するように接続されており、
    前記複数本の電線を少なくとも一方の端末部分で前記電気コネクタの長手方向に平行に沿う方向に曲げ、曲げられた結果として曲率半径が小さい側の端に配列された電線を前記電気コネクタの長手方向に垂直で当該電線が沿うように形成された側壁に押し当てて直角に屈曲させるように成形する成形工程と、前記複数本の電線の中間部分を1つに束ねる結束工程とを含むことを特徴とする多心ケーブルの製造方法。
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