JP4866148B2 - クラッド容器の溶接方法および同容器を用いたスポンジチタンの製造方法 - Google Patents

クラッド容器の溶接方法および同容器を用いたスポンジチタンの製造方法 Download PDF

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本発明は、スポンジチタンの製造に用いる反応容器の溶接方法に係り、とりわけ、溶接後の反応容器から、前記反応容器内で生成するスポンジチタンへの不純物の汚染が少なく、高純度スポンジチタンの製造に好適な反応容器を提供する技術に関する。
近年における情報機器の発達に伴い、これらの機器に用いられる電子部品の集積化や高密度化が要求されており、これらの電子部品に用いられる集積回路の薄層化が進んでいる。集積回路の薄層化に伴い、前記集積回路に用いられるターゲット用金属の純度も年々要求が厳しくなりつつあり、最近では、不純物含有率をppmあるいはppbレベルまでに抑制することが要求されつつある。
前記集積回路には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル等の金属、あるいはシリコン等の非金属が好んで用いられており、これらに含有される鉄、ニッケル、クロムをはじめ、種々の不純物成分の上限値が設定されている。
なかでも、ターゲット用高純度チタンは、99.99%(以降、「4N」と記載する場合がある。)以上の純度が求められており、最近では、99.999%(以降、「5N」と記載する場合がある。)レベルの純度が求められている。前記5Nレベルのスポンジチタン中の不純物は、鉄、ニッケル、クロムのみならず、その他の元素も全て1ppm以下に抑制するように、規定されている。
よって、これらのスポンジチタンの製造には、原料である四塩化チタンや金属マグネシウムは勿論のこと、前記四塩化チタンをマグネシウムで還元してスポンジチタンを製造する反応容器からの不純物汚染も極力回避できるような工夫がなされている。
たとえば、通常の航空機グレードのスポンジチタンを製造する場合には、溶融マグネシウムを仕込んだステンレス鋼製容器内に四塩化チタンを滴下して反応を開始し、前記容器内にスポンジチタンを生成する。生成されたスポンジチタンは真空分離処理されて還元反応で生成したスポンジチタン中に残留している塩化マグネシウムや金属マグネシウムが分離除去される。前記塩化マグネシウムや金属マグネシウムが分離除去されたスポンジチタンは次いで、切断・破砕・整粒されてスポンジチタンとして製品化される。
しかしながら、4N〜5N以上の純度が要求されるターゲット用の高純度スポンジチタンに求められる要求特性は、前記の方法では満足することは難しい。これは、反応容器からのニッケルやクロム等の汚染が問題になるからである。このため、高純度スポンジチタンを製する反応容器の内面には、ニッケルやクロム等の不純物の含有率の少ない炭素鋼が内張りされている(例えば、特許文献1参照)。
前記した炭素鋼を内張りしたステンレス容器は、異種金属を接合したクラッド材からなることから「クラッド容器」と呼ばれており、スポンジチタンの生成する内面がニッケルやクロムの含有率の低い炭素鋼で構成されているため、この容器内で四塩化チタンと金属マグネシウムの還元反応を行うことにより、純度の高いスポンジチタンを製造することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記のクラッド容器の胴部(底部に対して側部)は使用を繰り返していくうちにクリープにより永久変形を起こし、前記胴部に永久歪みが残留する。この変形に起因して、使用の継続とともにクラッド容器の全体が伸びていく。その結果、クラッド容器が加熱炉の一部からはみ出すという事態を招くことが懸念される。このため、前記のような状況に至る前に、予めクラッド容器で構成された胴部の一部をリング状に切断除去した後、残った胴部を溶接接合して容器を補修して再利用している。
しかしながら、前記のような補修作業を行うとクラッド鋼の外面を構成するステンレス鋼中のニッケルやクロムが、補修した胴部の溶接部に拡散して、溶接部のニッケルやクロムの濃度が上昇する。前記ニッケルやクロムの濃度が上昇した溶接部にスポンジチタン製造原料の溶融マグネシウムが接触すると、前記溶融マグネシウム中にニッケルが優先的に移行し、胴部の補修を行ったクラッド容器を用いて製造されたスポンジチタンもニッケルで汚染される。また、前記溶接部に生成したスポンジチタンが接触した場合にも前記スポンジチタン中に溶接部からニッケルが移行する。その結果、前記の容器内で生成したスポンジチタン塊中から選択的に採取される高純度スポンジチタンの歩留まりが低下するという好ましくない事態を招いていた。
前記の技術に関連する公知文献の中には、ステンレス鋼で内張りした低合金鋼を外部から溶接後、次いで前記溶接部の裏面をはつり取った後、前記ステンレス鋼を肉盛溶接することにより、溶接に伴うニッケル成分の希釈による耐食性の低下を回避する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、この方法では、低合金鋼とステンレス鋼の両側から溝を形成してX字状の開先をとった後(X開先と呼ばれている)、まずは、外側の低合金鋼を溶接後、次いで内側のステンレス鋼側からも溶接を行っている。よって、この方法ではステンレス鋼と低合金鋼の両者が相互に溶解した領域が溶接部位に形成されるために、容器内部で製造される製品への汚染を回避することは困難である。
また、前記の方法では、溶接接合面の両側から開先をとって肉盛溶接を行っているが、使用を重ねた容器では、部分的な変形等により偏芯しているため、X開先をとっての溶接を行うことは容易ではない。
一方、新規なクラッド材製の胴部と鏡部を接合する場合には、X開先をとった後、まずは、外部のステンレス鋼側から溶接した後、次いで内側の炭素鋼側から溶接接合して胴部と鏡部を接合する方法がとられている。しかしながら、この方法では内面を構成する炭素鋼側の溶接部位にステンレス鋼中のニッケルやクロムが拡散して濃化する。その結果、クラッド鋼の内面を構成する炭素鋼で囲まれた空間内で製造されたスポンジチタンへのニッケル汚染が顕著となり、改善が求められていた。
以上述べたように、高純度スポンジチタンの製造に好適に用いられるクラッド容器であって、前記容器を用いて製造されるスポンジチタンへのニッケルの汚染のないクラッド容器の溶接方法およびこれを用いたスポンジチタンの製造方法が望まれている。
特開平09−287035号公報 特開平07−290244号公報
本発明は、ターゲット材の製造に用いるスポンジチタンの製造に好適なクラッド容器の溶接方法であって、前記スポンジチタンへのニッケル汚染の少ない溶接方法の提供を目的としている。
かかる実情に鑑みて前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねてきたところ、炭素鋼で内張りしたステンレス鋼製クラッド鋼製容器(以下、「クラッド容器」と呼ぶ場合がある)を溶接接合する際、はじめに前記クラッド容器の内面を構成する炭素鋼側に開先を設けて内張りした炭素鋼同士を溶接接合した後、次いで、前記クラッド容器の外面を構成するステンレス鋼側に開先を設けて溶接接合することにより、前記反応容器内で生成する金属中への不純物汚染を効果的に回避できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、内面が炭素鋼で内張りされたステンレス鋼で構成されたクラッド容器の溶接方法であって、初めに炭素鋼側に開先を設けて内張りした炭素鋼同士を溶接し、次いで上記ステンレス鋼側に開先を設け、ステンレス鋼側の開先の先端部に、第3のステンレス鋼合金材料で肉盛した後、肉盛の上から、ステンレス鋼で肉盛してステンレス鋼同士を接合することを特徴としている。
この方法によれば、不純物であるニッケル含有量の少ない炭素鋼側を初めに溶接しているので、形成される溶接部にはステンレス鋼からのニッケルの拡散を効果的に抑制することができる。その結果、前記溶接部に接した溶融マグネシウムやスポンジチタン中へのニッケルの移行も効果的に抑制することができる。また、炭素鋼側の溶接が終わってからその外面に密着配置されているステンレス鋼側を溶接するため、前記溶接部へのステンレス鋼に含まれるニッケルの移行を効果的に抑制することができる。
前記の方法で溶接接合したクラッド鋼製の反応容器を用いることで、生成するチタン中へのニッケル汚染の少ない高純度チタンを効率よく製造できるという効果を奏するものである。
また、本発明はステンレス鋼側に設けた開先の底部にステンレス鋼と炭素鋼の両者と合金を形成することができる第3のステンレス鋼合金材料で肉盛した後、この肉盛の上からステンレス鋼で構成された溶接棒で肉盛することを特徴としている。このため、第3のステンレス鋼合金材料によって容易に合金を形成することができるので、これにより炭素鋼とステンレス鋼の接合を強固なものにでき、さらにこの肉盛の上からステンレス鋼で構成された溶接棒で肉盛しているので、この肉盛部とクラッド容器本体であるステンレス鋼を強固に接合することができるという効果を奏する。
さらに本発明は、前記の方法で溶接接合したクラッド容器に還元性溶融金属を充填し、前記の溶融金属中に四塩化チタンを滴下してスポンジチタンを製造することを特徴としている。前記した本発明に係るスポンジチタンの製造方法によれば、クラッド容器を構成するステンレス鋼から内張りした炭素鋼中へのニッケルの拡散を効果的に抑制できる。その結果、前記炭素鋼の内部で生成するスポンジチタン中のニッケル含有率も効果的に抑制できるという効果を奏する。
本発明の方法に従って補修した反応容器を用いることにより、ターゲット材の製造に好適な高純度金属チタンを長期に亘り安定的に製造することができるという効果を奏するものである。
本発明の最良の実施形態について図面を用いて以下に説明する。
図1および図2は本発明に用いるスポンジチタン製造用反応容器(クラッド容器)を表している。図1は、前記した溶接による補修前の様子を表しており、図2は補修後の様子を表している。クラッド容器1は、外面がステンレス鋼2と、その内面に内張りされた炭素鋼3から構成されている。また、前記反応容器は、胴部Aおよび鏡部Bから構成されている。ここで鏡部Bとは、胴部Aから連続的に構成された反応容器の底部を意味する。
本実施態様では、胴部Aのクリープ変形により全体が伸びた反応容器1の胴部の一部をリング状に切除した後、残った部位を接合して補修する方法の好ましい態様について以下に説明する。スポンジチタンの製造工程において、クラッド容器1内は不活性雰囲気に保持されており、クラッド容器1内に溶融マグネシウムや溶融カルシウム等の還元性金属を保持し、ここに四塩化チタンを滴下してスポンジチタンが生成される。
前記還元反応は1000℃付近という高温で行われ、溶融マグネシウムやスポンジチタンによる荷重が印加された状態で行われるため、クラッド容器は使用を繰り返して行くうちにクリープ変形を起こす。その結果、還元反応を繰り返すうちに、クラッド容器全体の伸びが蓄積され、これが進むと前記反応容器を加熱するための電気炉への格納が困難になる。また肉厚も薄くなり容器の強度も低下する傾向にある。
そのため、前記反応容器1を所定時間使用した後は、前記反応容器1の胴部Aの一部(切除部位4)をリング状に切除した後、残りの胴部Aを溶接接合して反応容器1の全長を初期の長さに揃えることが好ましい。
前記反応容器1の胴部Aを切除する部位は、できる限り、熱変形が少なくまた、切除や溶接の容易な胴部Aの中でも鏡部Bに近い部位4が好ましい。このような部位4を切除することで、部位4を切除して残った胴部を精度よく溶接接合することができるという効果を奏する。
なお、切除部位4の長さは、反応容器1の全長が初期の長さになるように適宜選択することができる。
図3は、本発明におけるクラッド鋼で構成した反応容器1を切除した残りの部分を補修するための溶接工程を表している。以下に、この溶接工程の各Stepについて詳細に説明する。
Step 1
まず、クラッド容器1の不要部分を切断して除去した後、溶接するクラッド容器1胴部の上部および下部の位置合わせを行う。続いて、前記したように位置合わせを行った胴部に対して内側の炭素鋼3側に開先を設けて溶接し、次に外側のステンレス鋼2側に開先を設けて溶接する。
本発明においては、クラッド容器1の内面に内張りした炭素鋼3側に設ける開先はV字型に形成することが好ましい。このようなV字型の開先を設けることで、ステンレス鋼2側との接触面積を最小限に抑制することができる。その結果、ステンレス鋼2側から溶接部位へのニッケルの拡散を効果的に抑制できるという効果を奏するものである。
また前記したV字開先の角度は、30°〜90°の範囲から選択することが好ましく、50〜70°がより好ましい開先の角度範囲となる。開先の角度が30°未満の場合は、溶接材を挿入して溶接を行うことが困難である。前記開先の角度が90°を超える場合は溶接部6を形成する溶接材の使用量が増え、また、溶融マグネシウムやスポンジチタンとの接触面積が増大し、ステンレス鋼2から前記溶接部6に拡散して蓄積したニッケルの拡散面積を増大することになり好ましくない。
前記V字開先の先端部は、炭素鋼3側に留めておくことが好ましい。前記開先の先端部がステンレス鋼2側まで到達すると、溶接部が凝固するまでの間に、ステンレス鋼2から溶接部に向かって拡散するニッケル量を増大させて好ましくないからである。よって、前記V字開先の先端を炭素鋼3側に留める態様を採ることにより、ステンレス鋼2側から溶接部6へのニッケルの拡散を効果的に抑制することができる。
Step 2
前記Step1で設けた開先には、前記炭素鋼3と馴染みの良い溶接棒を用いて肉盛溶接することが好ましい。たとえば、前記炭素鋼3がSM400の場合には、JISZ3211相当の軟鋼用溶接棒を用いることが好ましい。
また、前記の溶接部位6は、アルゴン雰囲気で肉盛することが好ましい。このような溶接方法を用いることにより、大気中の酸素が溶接部6に吸収され難く、溶接後の組織を健全に保持することができる。その結果、前記溶接部6と高温で接する溶融マグネシウムやスポンジチタンへの不純物の拡散を効果的に抑制することができる。その結果、溶接割れや腐食の促進を効果的に抑制することが可能である。
前記した炭素鋼3側に設けたV字開先には、少なくとも2層以上の肉盛溶接を行うことが好ましい。このような多層の肉盛溶接を行うことにより、ステンレス鋼に接した前記の肉盛溶接層にステンレス鋼からのニッケルの拡散が起こった場合でも、前記肉盛層の上に別の肉盛層を形成することによって、ステンレス鋼側から炭素鋼側へのニッケルの拡散汚染を効果的に抑制することができる。このような意味から、前記肉盛層は、2〜3層で構成することが好ましい。
Step 3
次いで、前記炭素鋼3に施した肉盛部位に対応するステンレス鋼2側に開先を設けて肉盛溶接を行うことが好ましい。この際に設ける開先はV字型もしくはU字型のいずれの形状でも本発明の好ましい態様として用いることができる。しかしながら、前記開先の形状をU字型に構成することにより、先端部に集中する応力を効果的に回避することができ、溶接割れ等の欠陥形成を効果的に回避することができる。
前記ステンレス鋼2側の側胴部に設けた開先は、炭素鋼3側に形成した前記の肉盛の一部まで侵入するように形成することが好ましい。前記のような深い開先を設けることにより、クラッド鋼を構成する炭素鋼3とステンレス鋼2の溶け合わせを十分に行うことができる。
前記炭素鋼3側への開先の侵入深さは、炭素鋼3の肉厚の10%〜30%の範囲に設定することが好ましい。前記の範囲に開先の侵入深さを設定することで炭素鋼側とステンレス鋼側の接合強度を最大限に引き出すことができる。
前記ステンレス鋼2側に開先が形成されたことを確認後、次いで肉盛溶接を行いステンレス鋼2側の接合を完了させる。前記肉盛に用いる溶接棒は、前記容器を形成するステンレス鋼と同じ材質で構成することが好ましい。たとえば、クラッド鋼を構成するステンレス鋼がSUS316の場合には、SUS316の溶接棒を用いることが好ましい。図3に示したステンレス鋼側の符号7は、前記肉盛溶接部を表す。
本発明においては、前記ステンレス鋼2側に設けた開先に肉盛溶接を行う場合、クラッド鋼を構成する炭素鋼3とステンレス鋼2の両者と容易に合金を形成する第3の材料で最初に肉盛溶接を行っておくことが好ましい。このような肉盛溶接を行うことで、肉盛した炭素鋼3とステンレス鋼2との接合部を強固に保持することができる。
前記の第3の材料は、たとえば、前記ステンレス鋼2がSUS316で前記炭素鋼がSM400の場合には、SUS309を用いることが好ましく、その場合に前記炭素鋼3とステンレス鋼2との強固な接合層を形成させることができる。
なお、前記したステンレス鋼側の開先部に肉盛層を形成させる際にもアルゴン溶接を行うことが好ましい。このようなアルゴン溶接を行うことで前記開先部の底部に露出している炭素鋼側への大気の侵入を効果的に抑制できる。その結果、溶接部の劣化を効果的に回避することができる。
なお、前記した肉盛溶接を完了した後、適宜焼鈍を行ってもよい。適度な焼鈍を行うことで溶接歪みを効果的に回避できその結果、クラッド容器1の寿命を効果的に引き伸ばすことが可能である。焼鈍温度は、400℃〜600℃の範囲に選択しておくことが好ましい。また、焼鈍雰囲気は、不活性ガス雰囲気または真空雰囲気で行うことが好ましい。このような雰囲気で行うことにより、炭素鋼側およびステンレス鋼側の酸化消耗を効果的に回避でき、また、炭素鋼側で生成するスポンジチタン中への酸素の汚染も効果的に回避することができる。
本発明の別の好ましい態様としては、図3で示した炭素鋼3側の肉盛を形成させる溶接に先立って、反応容器の外部にあるステンレス鋼2側に図示しない帯板を配置し、前記帯板を介して上下に分割した容器を仮接合しておくことが好ましい。
このような仮止めにより接合対象である分割されたクラッド容器1の接合位置を精度よく確定することができ、その結果、クラッド容器1の側胴部を精度良く初期の状態に復元することができる。
本発明の更に別の態様としては、前記肉盛溶接した部位7の上下に補強板を外部から接合しておいてこくともできる。このようは補強板を配設しておくことで、スポンジチタンの製造工程における熱負荷によるクラッド容器1のクリープ現象を効果的に抑制することができる。
なお、炭素鋼3側の溶接に用いる溶接棒中の不純物含有量は、クラッド容器1を構成する炭素鋼3と同等又は更に不純物の低いものを用いることが好ましい。このような溶接棒を用いることにより、炭素鋼3と接しているステンレス鋼2からのニッケルの拡散汚染があっても、溶接棒中のニッケルの含有率が低いためにニッケルの相対的濃度が上昇しにくく、その結果、炭素鋼3側で生成するスポンジチタンへの不純物汚染を効果的に回避することができるからである。
なお、ニッケル含有率の低いスポンジチタンを製造する場合、前記クラッド容器1の内面に内張りする炭素鋼3中のニッケルの含有率もできるだけ低い材料を用いることが好ましい。具体的には、ニッケルの含有率は、200ppm以下の炭素鋼3で構成することが好ましい。前記したニッケル含有率の低い炭素鋼3を内張りしておくことでニッケル含有率の低いスポンジチタンを歩留まり良く製造することができる。
一方、前記炭素鋼3の外側を構成するステンレス鋼2は、高温強度があり、かつ耐食性の高い材料であれば特に制限はないが、高温強度の点ではオーステナイト系ステンレス鋼を用いることが好ましい。具体的には、SUS304あるいはSUS316等のステンレス鋼を用いることが好ましい。
また、内面が炭素鋼、外面がステンレス鋼で構成したクラッド容器に対する溶接接合方法の好ましい実施態様を説明したが、前記実施態様は、ステンレス鋼の内面側に炭素鋼を肉盛溶接(バタリング)して形成したクラッド鋼に対しても好適に適用することができる。
なお、新規の胴部Aと鏡部Bを溶接してクラッド容器を構成する場合においても前記した工程に従うことで、クラッド容器からその内部で生成するスポンジチタンへのニッケル汚染を効果的に回避することができる。
以上述べたように本発明に従うことにより、反応容器からスポンジチタンへのニッケルの拡散を効果的に抑制しつつ、接合強度の高いスポンジチタン製造用反応容器を復元することができる。その結果、本願発明を用いた補修後の反応容器を用いた場合においても初期の品質を維持したニッケル含有率の低いスポンジチタンを安定して製造することができる。
[実施例1]
内面を炭素鋼で内張りした溶接前のクラッド容器と、図2に示した溶接後のクラッド容器とを用意し、それぞれの容器にて四塩化チタンを金属マグネシウムで還元を行うクロール法による高純度スポンジチタンの製造を行った。前記クラッド容器の内面側はSM400で構成し、前記内面側のV字開先にはSM400と同質の溶接棒(JISZ3211−D4301相当品)を、また前記クラッド容器の外面側はSUS316で構成し、前記外面側のU字開先にはSUS316と同質の溶接棒(JISZ3221−D316相当品)を用いて肉盛溶接した。次いで、それぞれの反応で製造されたスポンジチタンから採取されたニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりを調査・比較した。その結果、溶接後の容器を用いて製造されたニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりは、溶接前の容器を用いて製造されたニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりとほぼ同レベルにあり、懸念された溶接による高純度スポンジチタンの歩留まりの低下は見られなかった(この実施例1の歩留まりを100として下記表1に示した)。
[実施例2]
実施例1において、炭素鋼側に設けた開先にSM400と同質の溶接棒(JISZ3211−D4301相当品)で実施例1よりも更に1層の肉盛を追加した以外は同じ条件で溶接接合した。このクラッド容器を用いてスポンジチタンを製造し、ニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりを実施例1と比較した。その結果、ニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりは実施例1に比べて、15%向上した。
[比較例1]
実施例1において、図2とは逆に最初にステンレス鋼側に開先を設けて肉盛溶接した後、次いで、炭素鋼側に肉盛溶接を行って補修した反応容器を用いた以外は同じ条件下でスポンジチタンを製造し、ニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりを実施例1と比較した。その結果、ニッケル含有率1ppm以下のスポンジチタンの歩留まりは、97%減少した。調査によれば、歩留まり低下の原因は反応容器からスポンジチタン塊中へのニッケルの拡散汚染が補修前に比べて増加したためであると判明した。とりわけ、溶接接合で補修した部位に対応したスポンジチタンからニッケルの顕著な汚染が確認された。
Figure 0004866148
*チタン歩留まりは実施例1を100とした場合の数値である。また、母材とは
クラッド鋼容器の内面を構成する炭素鋼中のNi含有率を意味する。
前記した実施例および比較例によりクラッド容器の内面を構成する炭素鋼側を先に溶接接合した後、次いで、外面を構成するステンレス鋼側に開先を設けて溶接接合することにより、反応容器の内部で生成するスポンジチタンへのニッケルの拡散汚染を効果的に抑制することができることが確認された。
なお、前記のクラッド容器の接合部内面に形成した炭素鋼中のニッケルを分析したところ、比較例に比べて実施例で形成した炭素鋼側のニッケルの汚染は低レベルにあることが確認された。また、本願発明の容器で製造されたニッケル含有率1ppm以下の歩留まりも従来に比べて改善されていることが確認された。
本発明の溶接方法を採用することにより、高純度チタンを製造するにあたって反応容器を補修しながら長期に亘って再利用することができ、これにより高純度チタン製造のコストダウンにも寄与する。
溶接前のクラッド容器の模式図である。 溶接後のクラッド容器の模式図である。 本発明の溶接方法を示す模式図である。
符号の説明
1 クラッド容器
2 ステンレス鋼
3 炭素鋼
4 除去部位
5 接合部
6 溶接部
7 肉盛溶接部

Claims (10)

  1. 内面が炭素鋼で内張りされたステンレス鋼で構成されたクラッド容器の溶接方法であって、
    初めに上記炭素鋼側に開先を設けて内張りした炭素鋼同士を溶接し、
    次いで上記ステンレス鋼側に開先を設け
    上記ステンレス鋼側の開先の先端部に第3のステンレス鋼合金材料で肉盛した後、
    上記肉盛の上から、上記ステンレス鋼で肉盛して上記ステンレス鋼同士を接合することを特徴とするクラッド容器の溶接方法。
  2. 前記炭素鋼側に設ける開先の先端部が前記ステンレス鋼まで到達せずに炭素鋼内に留まっていることを特徴とする請求項1に記載のクラッド容器の溶接方法。
  3. 前記ステンレス鋼側に設ける開先の先端部を炭素鋼側まで到達させることを特徴とする請求項1に記載のクラッド容器の溶接方法。
  4. 前記炭素鋼側に設けた開先の形状がV字型で、前記ステンレス鋼側に設けた開先の形状がU字型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクラッド容器の溶接方法。
  5. 前記炭素鋼中のニッケルの含有率が200ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクラッド容器の溶接方法。
  6. 前記ステンレス鋼がオーステナイト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクラッド容器の溶接方法。
  7. 前記クラッド容器の溶接部位が、クラッド容器を構成する胴部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のクラッド容器の溶接方法。
  8. 前記クラッド容器の溶接部位が、クラッド容器を構成する胴部と鏡部(ここで「鏡部」とは上記クラッド容器の底部を意味する)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のクラッド容器の溶接方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法でクラッド容器を接合し、このクラッド容器に溶融還元性金属を充填し、四塩化チタンを滴下することを特徴とするスポンジチタンの製造方法。
  10. 前記スポンジチタン中のニッケルの含有率が1ppm以下であることを特徴とする請求項9に記載のスポンジチタンの製造方法。
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