JP4863131B2 - マンドレルミルの圧延制御方法、圧延制御装置、制御プログラム及び継目無管 - Google Patents

マンドレルミルの圧延制御方法、圧延制御装置、制御プログラム及び継目無管 Download PDF

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Description

本発明は、継目無管の製造に使用されるマンドレルミルにおいて、素管(素管の端部等の一部又は全長)を所望する肉厚に精度良く圧延すること等が可能な圧延制御方法、圧延制御装置、制御プログラム及び継目無管に関する。
マンネスマン−マンドレルミル方式による継目無管の製造においては、まず素材の丸ビレット又は角ビレットを回転炉床式加熱炉で1200〜1260℃に加熱した後、穿孔機でプラグと圧延ロールにより穿孔圧延して中空素管を製造する。次に、前記中空素管の内面にマンドレルバーを串状に挿入し、通常5〜8スタンドからなるマンドレルミルで外面を孔型圧延ロールで拘束して延伸圧延することにより、所定の肉厚まで減肉する。その後、マンドレルバーを抽出した後、前記減肉された素管を絞り圧延機で所定外径に成形圧延して製品を得る。
なお、マンドレルミルとしては、従来より、各スタンドに対向する一対の孔型圧延ロールが配設され、隣接するスタンド間で圧延ロールの圧下方向を90°ずらして交互に配置した2ロール式マンドレルミルが多く用いられている。また、各スタンドに圧下方向のなす角が90°である4つの孔型圧延ロールが配設された4ロール式マンドレルミルが一部で適用されており、さらに、各スタンドに圧下方向のなす角が120°である3つの孔型圧延ロールが配設され、隣接するスタンド間で圧延ロールの圧下方向を60°ずらして交互に配置した3ロール式マンドレルミルも提案されている。
ここで、絞り圧延機においては、特に圧延する素管が厚肉である場合に、素管端部の肉厚が中央部に比べて薄くなるという薄肉化現象が生じることが知られている。従って、斯かる絞り圧延機で生じる素管端部の薄肉化現象を相殺するべく、前工程のマンドレルミルにおいて素管の端部を厚肉化する圧延制御方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的に説明すれば、特許文献1に記載の圧延制御方法は、素管の端部がマンドレルミルの仕上スタンド等を通過する際に、後工程の絞り圧延機で生じる素管端部の減肉量を相殺し得る量だけ前記仕上スタンド等に配設された孔型圧延ロールのギャップを開くように設定する方法である(特許文献1の請求項1、段落0012参照)。
しかしながら、本発明の発明者らが特許文献1に記載の方法に従って実際に圧延試験を実施したところ、素管の端部を所望する肉厚に精度良く圧延することができないと共に、素管の表面性状が劣化する場合のあることが分かった。
一方、マンドレルミル出側での実際の素管肉厚に応じてギャップの開き量を調整するような構成(例えば、特許文献2参照)を採用すれば、所望する肉厚に精度良く圧延し得ることが期待できる。つまり、例えば、肉厚計で測定したマンドレルミル出側での実際の素管肉厚が所望する肉厚よりも小さくなった場合には、その差に応じてギャップの開き量が大きくなるように調整すれば(すなわち、孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させれば)、肉厚精度を高め得ることが期待できる。
しかしながら、斯かる考えに基づいて本発明の発明者らが実際に圧延試験を実施したところ、ギャップの開き量が際限なく大きくなり(孔型圧延ロールが外方に際限なく変動し)、所望の肉厚を得ることができない場合のあることが分かった。
特開平6−190406号公報 特開平8−71616号公報
本発明は、斯かる従来技術の課題を解決するべくなされたものであり、継目無管の製造に使用されるマンドレルミルにおいて、素管(素管の端部等の一部又は全長)を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管の表面性状を劣化させることのない圧延制御方法、圧延制御装置、制御プログラム及び継目無管を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明の発明者らは、まず特許文献1に記載の方法によって素管を所望する肉厚に精度良く圧延できなかったり表面性状を劣化させる場合の原因について鋭意検討した。その結果、通常、仕上スタンド(素管の周方向位置が同一である部位に最後に接する孔型圧延ロールが配設されたスタンド)では素管の表面性状を良好にするべく、孔型圧延ロールによる圧下量を小さく設定しているが、そのような状態で仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールのギャップを開く(すなわち、圧下位置を外方に変動させる)際に、仕上スタンドに対して素管の搬送方向上流側に位置するスタンド(上流スタンド)に配設された孔型圧延ロールの圧下位置を何ら調整しなければ(初期設定された圧下位置のままであれば)、後述する「溝底未圧延」という現象が生じる場合のあることを見出した。
ここで「溝底未圧延」とは、仕上スタンド入側での素管の溝底部肉厚(孔型圧延ロールの溝底部に対向する部分の肉厚)が、仕上スタンドにおけるマンドレルバーと孔型圧延ロールとの間隙よりも小さくなる結果、仕上スタンドで圧延されない状態(未圧延)となることを意味する。
以下、斯かる「溝底未圧延」が生じる理由を説明する。板材を圧延する際には、圧下方向が板材に対して垂直な一方向のみであるため、上流スタンドに配設された圧延ロール間の間隙≧下流スタンドに配設された圧延ロール間の間隙と設定すれば、下流スタンドに配設された圧延ロールで板材が未圧延となることはない。しかしながら、管材である素管を圧延するマンドレルミルにおいては、前述した2ロール式、3ロール式及び4ロール式のいずれの場合であっても、隣接するスタンド間で素管を圧下する位置(孔型圧延ロールの溝底部の位置)が周方向に異なる上、孔型圧延ロールの溝底部に対向する部分の肉厚のみならず、直接的には圧下力を付与されない孔型圧延ロールのフランジ部に対向する部分の肉厚もある程度減じられることになる。フランジ部に対向する部分は、直接的には圧下力を付与されない部分であるため、その減肉量を制御することは困難であり、その値がある程度予測できるに過ぎない。斯かる減肉量の予測にずれが生じる(予測した以上に減肉量が大きくなる)と、たとえ、上流スタンドに配設された孔型圧延ロール間の間隙≧下流スタンド(仕上スタンド)に配設された孔型圧延ロール間の間隙と設定しても、上流スタンドにおいて孔型圧延ロールのフランジ部に対向する減肉量の大きい部分が仕上スタンドの孔型圧延ロールの溝底部で圧延される際に、その肉厚がマンドレルバーと孔型圧延ロールとの間隙よりも小さくなる場合があり、これにより前述した「溝底未圧延」が生じることになる。
斯かる「溝底未圧延」が生じると、仕上スタンドにおいて素管を所望する肉厚に精度良く圧延できないことになる。換言すれば、仕上スタンドにおいて未圧延になってしまうほどに、上流スタンドに配設された孔型圧延ロールのフランジ部で過度に減肉が生じていることになるため、仕上スタンド出側における素管の肉厚は、所望する肉厚よりも薄肉になってしまう。また、仕上スタンドの本来の目的は、軽圧下によって(圧下量を小さく設定することにより)素管の内外表面をなだらかな性状に仕上げることであるが、「溝底未圧延」が生じると、全く圧下されないことになるため、表面性状が劣化することになる。
以上に説明したように、本発明の発明者らは、素管を所望する肉厚に精度良く圧延できなかったり表面性状を劣化させる場合の原因が、「溝底未圧延」という現象にあることを見出し、斯かる「溝底未圧延」が生じないようにする方法をさらに鋭意検討した。その結果、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールのみならず、上流スタンドに配設された孔型圧延ロールも同様に変動させること等によって「溝底未圧延」を防止できることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の如く、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させることによって、前記仕上スタンドにおいて溝底未圧延を生じさせないことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法を提供するものである。なお、溝底未圧延とは、仕上スタンド入側での素管の溝底部肉厚(第1の孔型圧延ロールの溝底部に対向する部分の肉厚)が、仕上スタンドにおけるマンドレルバーと第1の孔型圧延ロールとの間隙よりも小さくなる結果、仕上スタンドで圧延されない状態となることを意味する。
斯かる発明によれば、仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させることになる。換言すれば、仕上スタンドよりも2スタンドだけ上流に位置するスタンドにおいて素管を圧延する際にも、当該スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させることになる。従って、第2の孔型圧延ロールで素管を圧延する際における溝底部での圧下量が低下するため、これにより次のスタンドに配設された孔型圧延ロールのフランジ部に対向する部分の肉厚が過度に減肉されることがなく、ひいては次の仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールで圧延する際に「溝底未圧延」が生じることがない。これにより、素管を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管の表面性状を劣化させることがないという優れた利点が得られる。なお、「前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させる」とは、第1の孔型圧延ロールの圧下位置を素管の端部等の一部について外方に変動させる場合には、第2の孔型圧延ロールの圧下位置も素管の端部等の対応する一部について外方に変動させ、第1の孔型圧延ロールの圧下位置を素管の全長に亘って外方に変動させる場合には、第2の孔型圧延ロールの圧下位置も素管の全長に亘って外方に変動させることを意味する。本明細書においては、「前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させる」の語句を全て同様の意味で用いている。
なお、前記発明は、上流スタンド(仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンド)において圧延される素管の位置(先端部、中央部、後端部)に応じて、第2の孔型圧延ロールの圧下位置を変動させ得る機構を備えたマンドレルミルには適用可能であるものの、マンドレルミルの中には、仕上スタンドを除いて上記機構を具備しないミルも存在する。このようなマンドレルミルに対しては、素管の位置に応じて圧下位置を変動させるのではなく、素管を圧延する前に予め外方に変更しておけばよい。
すなわち、前記課題を解決するべく、本発明はマンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を素管の圧延前に予め外方に変更しておくことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第2の圧延制御方法)としても提供される。
また、前記課題を解決するべく、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、前記仕上スタンドで予め設定された素管の目標肉厚と、前記肉厚計で測定した素管の実績肉厚とを比較し、前記目標肉厚よりも前記実績肉厚の方が小さい場合には、次回に圧延する素管について前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置変動を中断することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第3の圧延制御方法)としても提供される。
斯かる発明によれば、仕上スタンドの出側に肉厚計を配設し、仕上スタンドで予め設定された素管の目標肉厚と、肉厚計で測定した素管の実績肉厚とを比較することになる。ここで、比較した結果、目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい場合には、「溝底未圧延」が発生している可能性がある。本発明では、このような場合に、一律に「溝底未圧延」が発生していると判断し、次回に圧延する素管について前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置変動を中断するように構成している。従って、次回に圧延する素管については、第1の孔型圧延ロールの外方への変動が中断されるため、当該第1の孔型圧延ロールの圧下量が低下せず、仕上スタンドにおける「溝底未圧延」を防止することが可能である。
なお、上記「第1の孔型圧延ロールの圧下位置変動を中断する」とは、下記(1)および(2)の2つのケースを含む意味として用いている。すなわち、
(1)第1の孔型圧延ロールの外方への変動量は、肉厚計によって測定した実績肉厚に関わらず予め設定した値としている。このケースにおける「圧下位置変動を中断する」とは、(a)素管の一部(端部等)を圧延する際にも、素管の残りの部分(中央部等)を圧延する際と同じ圧下位置に維持する、あるいは(b)今回圧延した素管についての第1の孔型圧延ロールの圧下位置と同じ圧下位置にするという意味である。
(2)第1の孔型圧延ロールの外方への変動量は、予め設定しているが、肉厚計によって測定した実績肉厚に応じてその設定値を変更(実績肉厚の方が目標肉厚よりも大きい場合には、その差の分だけ変動量を小さく設定し直す等)し、次回に圧延する素管に適用する。このケースにおける「圧下位置変動を中断する」とは、肉厚計によって測定した実績肉厚に応じた設定値の変更を中断し、次回に圧延する素管についても今回の設定値のままで第1の孔型圧延ロールを変動させるという意味である。
特に、第1の孔型圧延ロールの外方への変動量設定値を、肉厚計によって測定した実績肉厚に応じて変更する構成を採用した場合、「溝底未圧延」が生じて目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さくなったときには、前述したように(段落0008)、孔型圧延ロールを外方に際限なく変動させてしまうという問題が生じる。しかしながら、本発明によれば、上記(2)のように第1の孔型圧延ロールの外方への変動が中断(肉厚計によって測定した実績肉厚に応じた設定値の変更が中断)されるため、斯かる問題を解決することが可能である。
なお、前記発明は、目標肉厚と実績肉厚とを比較することにより「溝底未圧延」の発生有無を判断する構成であるが、これに替えて、第1の孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、肉厚計で測定した素管の第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、変化量が変動量よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する構成を採用することも可能である。換言すれば、変動量よりも変化量の方が小さい場合には、圧下位置変動後の第1の孔型圧延ロールの溝底と素管の外周面とが接触せずに「溝底未圧延」が生じている可能性があるため、このような場合に、一律に「溝底未圧延」が発生していると判断する構成を採用することが可能である。
すなわち、本発明はマンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、前記肉厚計で測定した素管の前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、前記変化量が前記変動量よりも小さければ、次回に圧延する素管について前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置変動を中断することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第4の圧延制御方法)としても提供される。
さらに、目標肉厚と実績肉厚とを比較することにより「溝底未圧延」の発生有無を判断する構成に替えて、今回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置と、前回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置との差を算出すると共に、今回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚と、前回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚との差を算出し、前記圧下位置の差と前記実績肉厚の差とを比較して、前記実績肉厚の差が前記圧下位置の差よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する構成を採用することも可能である。換言すれば、圧下位置の差よりも実績肉厚の差が小さい場合には、今回の圧延について、圧下位置変動後の第1の孔型圧延ロールの溝底と素管の外周面とが接触せずに「溝底未圧延」が生じている可能性があるため、このような場合に、一律に「溝底未圧延」が発生していると判断する構成を採用することが可能である。
すなわち、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、今回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置と、前回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置との差を算出すると共に、今回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚と、前回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚との差を算出し、前記圧下位置の差と前記実績肉厚の差とを比較して、前記実績肉厚の差が前記圧下位置の差よりも小さければ、次回に圧延する素管について前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置変動を中断することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第5の圧延制御方法)としても提供される。
また、前記課題を解決するべく、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、前記仕上スタンドで予め設定された素管の目標肉厚と、前記肉厚計で測定した素管の実績肉厚とを比較し、前記目標肉厚よりも前記実績肉厚の方が小さい場合には、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドにおいて、次回に圧延する素管を圧延する際に、前記上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させるか、或いは、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を次回に圧延する素管の圧延前に予め外方に変更しておくことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第6の圧延制御方法)としても提供される。
斯かる発明によれば、仕上スタンドの出側に肉厚計を配設し、仕上スタンドで予め設定された素管の目標肉厚と、肉厚計で測定した素管の実績肉厚とを比較することになる。ここで、比較した結果、目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい場合には、当該肉厚測定方向について「溝底未圧延」が発生している可能性がある。本発明では、このような場合に、一律に「溝底未圧延」が発生していると判断し、(1)仕上スタンドの直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドにおいて、次回に圧延する素管を圧延する際に、前記上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も外方に変動させるか、或いは、(2)仕上スタンドの直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を次回に圧延する素管の圧延前に予め外方に変更しておくように構成している。
従って、上記(1)及び(2)のいずれの場合にも、次回に圧延する素管については、「溝底未圧延」が発生していると判断された方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドにおける圧下量が低下し、当該圧下方向についての素管の肉厚が増加するため、仕上スタンドで圧延する際の「溝底未圧延」を防止することが可能である。なお、上記(1)の構成は、上流スタンドにおいて圧延される素管の位置(先端部、中央部、後端部)に応じて、第2の孔型圧延ロールの圧下位置を変動させ得る機構を備えたマンドレルミルに対して好適に適用される。また、上記(2)の構成は、仕上スタンドを除いて上記機構を具備しないマンドレルミルに対して好適に適用される。
なお、前記発明は、目標肉厚と実績肉厚とを比較することにより「溝底未圧延」の発生有無を判断する構成であるが、これに替えて、第1の孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、肉厚計で測定した素管の第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、変化量が変動量よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する構成を採用することも可能である。
すなわち、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、前記第1の孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、前記肉厚計で測定した素管の前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、前記変化量が前記変動量よりも小さい場合には、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドにおいて、次回に圧延する素管を圧延する際に、前記上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させるか、或いは、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を次回に圧延する素管の圧延前に予め外方に変更しておくことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第7の圧延制御方法)としても提供される。
さらに、目標肉厚と実績肉厚とを比較することにより「溝底未圧延」の発生有無を判断する構成に替えて、今回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置と、前回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置との差を算出すると共に、今回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚と、前回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚との差を算出し、前記圧下位置の差と前記実績肉厚の差とを比較して、前記実績肉厚の差が前記圧下位置の差よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する構成を採用することも可能である。
すなわち、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、前記仕上スタンドの出側に素管の肉厚を測定する肉厚計を配設し、今回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置と、前回圧延した素管についての前記第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置との差を算出すると共に、今回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚と、前回圧延した素管についての前記肉厚計で測定した前記第1の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚との差を算出し、前記圧下位置の差と前記実績肉厚の差とを比較して、前記実績肉厚の差が前記圧下位置よりも小さい場合には、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドにおいて、次回に圧延する素管を圧延する際に、前記上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させるか、或いは、前記仕上スタンドの直近に位置し且つ前記肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を次回に圧延する素管の圧延前に予め外方に変更しておくことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法(第8の圧延制御方法)としても提供される。
なお、本発明は、特許請求の範囲の請求項2に記載の如く、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置と、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示するための演算制御装置とを備えた圧延制御装置であって、前記演算制御装置は、素管の現在位置に基づいて、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の圧下位置調整量を指示することにより、請求項1に記載の圧延制御方法を実施することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御装置としても提供される。
また、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための圧下位置調整装置と、前記圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示するための演算制御装置とを備えた圧延制御装置であって、前記演算制御装置は、前記仕上スタンドの出側に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計に接続され、当該肉厚計の出力に基づいて、前記圧下位置調整装置に対して圧下位置調整の中断を指示することにより、第3から第5のいずれかの圧延制御方法を実施することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御装置としても提供される。
さらに、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置と、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して調整量を指示するための演算制御装置とを備えた圧延制御装置であって、前記演算制御装置は、前記仕上スタンドの出側に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計に接続され、当該肉厚計の出力及び素管の現在位置に基づいて、前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の調整量を指示することにより、第6から第8のいずれかの圧延制御方法を実施することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御装置としても提供される。
また、本発明は、特許請求の範囲の請求項3に記載の如く、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置とに接続され、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示する演算制御装置を動作させるための制御プログラムであって、素管の現在位置に基づいて、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の圧下位置調整量を指示することにより、請求項1に記載の圧延制御方法を実施するように前記演算制御装置を動作させることを特徴とする制御プログラムとしても提供される。
また、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドの出側に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計とに接続され、前記圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示する演算制御装置を動作させるための制御プログラムであって、前記肉厚計の出力に基づいて、前記圧下位置調整装置に対して圧下位置調整の中断を指示することにより、第3から第5のいずれかの圧延制御方法を実施するように前記演算制御装置を動作させることを特徴とする制御プログラムとしても提供される。
また、本発明は、マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドの出側に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管の肉厚を測定する肉厚計とに接続され、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して調整量を指示する演算制御装置を動作させるための制御プログラムであって、前記肉厚計の出力及び素管の現在位置に基づいて、前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の調整量を指示することにより、第6から第8のいずれかの圧延制御方法を実施するように前記演算制御装置を動作させることを特徴とする制御プログラムとしても提供される。
さらに、本発明は、特許請求の範囲の請求項4に記載の如く、請求項1に記載の圧延制御方法を実施したマンドレルミルを用いて製造されたことを特徴とする継目無管としても提供される。
本発明によれば、仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も外方に変動させることになる。換言すれば、仕上スタンドよりも2スタンドだけ上流に位置するスタンドにおいて素管を圧延する際にも、当該スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させることになる。従って、第2の孔型圧延ロールで素管を圧延する際における溝底部での圧下量が低下するため、これにより次のスタンドに配設された孔型圧延ロールのフランジ部に対向する部分の肉厚が過度に減肉されることがなく、ひいては次の仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールで圧延する際に「溝底未圧延」が生じることがない。これにより、素管を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管の表面性状を劣化させることがないという優れた利点が得られる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。 図3は、本発明の第3の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。 図4は、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置変動パターンの一例を示す模式図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態では、仕上スタンドで素管の端部を圧延する際に当該仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させる態様について説明するが、本発明はこれに限るものではなく、素管の全長に亘って仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させる場合も含むものである。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る圧延制御装置1は、第1の圧下位置調整装置11と、第2の圧下位置調整装置12と、演算制御装置13とを備えている。
第1の圧下位置調整装置11は、マンドレルミルMを構成する各スタンドの内、仕上スタンド#iに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するためのシリンダー等から構成されている。第2の圧下位置調整装置12は、仕上スタンド#iと圧下方向が同一である直近の上流スタンド(仕上スタンド#iよりも2スタンドだけ上流に位置するスタンドになる)#i−2に配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するためのシリンダー等から構成されている。演算制御装置13は、第1の圧下位置調整装置11及び第2の圧下位置調整装置12に接続され、素管Sの端部の現在位置に基づいて、第1の圧下位置調整装置11及び第2の圧下位置調整装置12に対して所定の圧下位置調整量を指示するように構成されている。なお、本実施形態に係る第1及び第2の圧下位置調整装置11、12は、双方共に、一本の素管Sを圧延中に当該素管Sの位置(先端部、中央部、後端部)に応じて孔型圧延ロールの圧下位置を変動させ得る機構とされている。
演算制御装置13は、CPU、メモリ、外部記憶装置、外部入出力インタフェース等のハードウェアを具備するコンピュータから構成されており、内蔵する制御プログラムに従ってこれらハードウェアを適宜駆動することにより、第1の圧下位置設定部131と、第2の圧下位置設定部132としての機能を奏する。
第1の圧下位置設定部131には、例えば、マンドレルミルMの入側に配設された検出センサ(図示せず)で素管Sの端部を検出したことを示す端部検出信号が入力される。また、例えば、上位のプロセスコンピュータ(図示せず)から、前記検出センサとスタンド#iとの距離、素管Sの搬送速度、マンドレルミルMにおける素管Sの延伸率等が入力される。第1の圧下位置設定部131は、前記入力された信号及びデータに基づき、素管Sの端部の現在位置を演算する。より具体的には、素管Sの端部(先端部及び後端部)が仕上スタンド#iに到達するタイミングと、抜け出るタイミングとを算出する。
第1の圧下位置設定部131は、前記算出したタイミングに基づいて、仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置調整量を設定し、当該設定した圧下位置調整量を第1の圧下位置調整装置11に対して送信する。より具体的に説明すれば、第1の圧下位置設定部131には、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部を圧延する際の第1の孔型圧延ロールの圧下位置Aと、素管Sの中央部を圧延する際の第1の孔型圧延ロールの圧下位置Bとがそれぞれ記憶されている。第1の圧下位置設定部131は、素管Sの先端部が仕上スタンド#1に到達するタイミングまでに、第1の孔型圧延ロールを圧下位置Bから圧下位置Aに変動させるべく、A−Bを圧下位置調整量として設定し、これを第1の圧下位置調整装置11に対して送信する。同様にして、第1の圧下位置設定部131は、素管Sの先端部が仕上スタンド#1から抜け出るタイミングで、第1の孔型圧延ロールを圧下位置Aから圧下位置Bに変動させるべく、B−Aを圧下位置調整量として設定し、これを第1の圧下位置調整装置11に対して送信する。その後、素管Sの後端部が仕上スタンド#1に到達するタイミングで、A−Bを圧下位置調整量として設定し、これを第1の圧下位置調整装置11に対して送信する。さらに、素管Sの後端部が仕上スタンド#1から抜け出たタイミングから次に圧延する素管Sの先端部が仕上スタンド#1に到達するタイミングまでに、第1の孔型圧延ロールを圧下位置Aから圧下位置Bに変動させるべく、B−Aを圧下位置調整量として設定し、これを第1の圧下位置調整装置11に対して送信する。
以上の構成により、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部を圧延する際に、当該仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方(すなわち、圧下位置B)に変動させることが可能である。なお、圧下位置A、Bは、圧延する素管Sの寸法、肉厚、材料等に応じて異なる値であるため、第1の圧下位置調整装置11には、それぞれ寸法、肉厚、材料等に応じた複数の圧下位置A、Bが記憶されており、例えば、上位のプロセスコンピュータから入力される素管Sの寸法、肉厚、材料等に応じて適宜選択するように構成されている。
第2の圧下位置設定部132にも、第1の圧下位置設定部131と同様に、外部から端部検出信号等が入力され、素管Sの端部(先端部及び後端部)が上流スタンド#i−2に到達するタイミングと、抜け出るタイミングとを算出する。
また、第2の圧下位置設定部131は、第1の圧下位置設定部131と同様に、前記算出したタイミングに基づいて、上流スタンド#i−2に配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置調整量を設定し、当該設定した圧下位置調整量を第2の圧下位置調整装置12に対して送信する。なお、第2の圧下位置調整装置12に対して送信する圧下位置調整量(すなわち、上流スタンド#i−2において素管Sの端部を圧延する際に、当該上流スタンド#i−2に配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方へ変動させる変動量に対応)は、必ずしも第1の圧下位置調整装置1に送信する圧下位置調整量と同じ値に設定する必要はなく、例えば、0より大きく1より小さい所定の係数(例えば、0.8等)を乗算した値に設定することも可能である。
以上に説明した本実施形態に係る圧延制御装置1によれば、仕上スタンド#iのみならず、上流スタンド#i−2において素管Sの端部を圧延する際にも、当該スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させることになる。従って、第2の孔型圧延ロールで素管Sを圧延する際における溝底部での圧下量が低下するため、これにより次のスタンドに配設された孔型圧延ロールのフランジ部に対向する部分の肉厚が過度に減肉されることがなく、ひいては次の仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロールで圧延する際に溝底未圧延が生じることがない。これにより、素管Sの端部を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管Sの表面性状を劣化させることがないという優れた利点が得られる。
なお、本実施形態では、第1の圧下位置調整装置11のみならず、第2の圧下位置調整装置12も一本の素管Sを圧延中に圧下位置を変動させ得る機構とされている構成について説明した。しかしながら、マンドレルミルMの中には、仕上スタンド#iを除いて上記機構を具備しないミルも存在するため、このようなマンドレルミルに対しては、素管Sの位置に応じて圧下位置を変動させるのではなく、素管Sを圧延する前に上流スタンド#i−2の孔型圧延ロールの圧下位置を予め外方に変更する構成を採用すればよい。
斯かる構成を採用する場合には、第2の圧下位置設定部132は、例えば、外部から素管Sの先端部検出信号が入力されたタイミングで圧下位置調整量(予め記憶された外方の圧下位置に変更するために必要となる調整量)を設定し、当該設定した圧下位置調整量を第2の圧下位置調整装置12に対して送信する。第2の圧下位置調整装置12は、送信された圧下位置調整量に基づき、第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変更する。当該変更された圧下位置は、素管Sの圧延中、同じ値に維持されることになる。
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る圧延制御装置2は、圧下位置調整装置21と、演算制御装置22とを備えている。
圧下位置調整装置21は、マンドレルミルMを構成する各スタンドの内、仕上スタンド#iに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するためのシリンダー等から構成され、一本の素管Sを圧延中に当該素管Sの位置(先端部、中央部、後端部)に応じて孔型圧延ロールの圧下位置を変動させ得る機構とされている。
演算制御装置22は、第1の実施形態と同様に、CPU等のハードウェアを具備するコンピュータから構成されているが、仕上スタンド#iの出側(本実施形態では、マンドレルミルMの出側)に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管Sの肉厚(例えば、マンドレルミルMが2ロール式の場合には4方向の肉厚)を測定する肉厚計Iに接続されている点で、第1の実施形態と異なる。演算制御装置22は、内蔵する制御プログラムに従ってハードウェアを適宜駆動することにより、圧下位置設定部221と未圧延判定部222としての機能を奏し、肉厚計Iの出力に基づいて、圧下位置調整装置21に対して圧下位置調整の中断を指示するように構成されている。以下、より具体的に説明する。
圧下位置設定部221には、第1の実施形態で説明した第1の圧下位置設定部131と同様に、素管Sの端部検出信号等が入力され、素管Sの端部(先端部及び後端部)が仕上スタンド#iに到達するタイミングと、抜け出るタイミングとを算出する。また、圧下位置設定部221には、第1の実施形態と同様に、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部及び中央部をそれぞれ圧延する際の孔型圧延ロールの圧下位置がそれぞれ記憶されている。圧下位置設定部221は、前記算出したタイミング及び前記記憶された孔型圧延ロールの圧下位置に基づいて、仕上スタンド#iに配設された孔型圧延ロールの圧下位置調整量を設定し、当該設定した圧下位置調整量を圧下位置調整装置21に対して送信する。これにより、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部を圧延する際に、当該仕上スタンド#iに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を前記圧下位置調整量に応じた量だけ外方に変動させることが可能である。
未圧延判定部222には、肉厚計Iの出力(素管Sの端部の実績肉厚)が入力される。また、未圧延判定部222には、素管Sの端部の目標肉厚が予め記憶されている。未圧延判定部222は、素管Sの目標肉厚と実績肉厚とを比較し、目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい(仕上スタンド#iの圧下方向について測定した実績肉厚の内、少なくとも何れか一つの実績肉厚が目標肉厚よりも小さい)場合には「溝底未圧延」が発生したと判定し、それ以外の場合には発生しなかったと判定する。なお、素管Sの端部の目標肉厚は、圧延する素管Sの寸法、肉厚(中央部の目標肉厚)、材料等に応じて異なる値であるため、第1の圧下位置調整装置11には、それぞれ寸法、肉厚(中央部の肉厚)、材料等に応じた複数の目標肉厚が記憶されており、例えば、上位のプロセスコンピュータから入力される素管Sの寸法、肉厚(中央部の肉厚)、材料等に応じて適宜選択するように構成されている。
圧下位置設定部221は、未圧延判定部222において「溝底未圧延」が発生したと判定された場合には、次回に圧延する素管Sについて孔型圧延ロールの圧下位置変動の中断を指示する。換言すれば、素管Sの端部を圧延する際にも、素管Sの中央部を圧延する際と同じ圧下位置に維持することを圧下位置調整装置21に対して指示する。つまり、素管Sの端部を圧延する際における圧下位置調整量を0に設定し、これを圧下位置調整装置21に対して送信する。一方、未圧延判定部222において「溝底未圧延」が発生しなかったと判定された場合には、次回に圧延する素管Sについても、予め記憶された素管Sの端部及び中央部をそれぞれ圧延する際の孔型圧延ロールの圧下位置に従って、圧下位置調整量を設定し、これを圧下位置調整装置21に対して送信する。
以上に説明した本実施形態に係る圧延制御装置2によれば、次回に圧延する素管Sについては、孔型圧延ロールの外方への変動が中断されるため、当該孔型圧延ロールの圧下量が低下せず、仕上スタンド#iにおける「溝底未圧延」を防止し得ることが期待できる。これにより、素管Sの端部を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管Sの表面性状を劣化させることがないという優れた利点が得られる。
なお、本実施形態では、「溝底未圧延」が発生しなかった場合における、次回の素管Sに対する孔型圧延ロールの外方への変動量は、肉厚計Iによって測定した素管S端部の実績肉厚に関わらず予め設定した値とする構成について説明した。より具体的には、未圧延判定部222において「溝底未圧延」が発生しなかったと判定された場合には、次回に圧延する素管Sについても、予め記憶された素管Sの端部及び中央部をそれぞれ圧延する際の孔型圧延ロールの圧下位置に従って、圧下位置調整量を設定し、これを圧下位置調整装置21に対して送信する構成について説明した。
しかしながら、本発明は、これに限るものではなく、「溝底未圧延」が発生しなかった場合における、次回の素管Sに対する孔型圧延ロールの外方への変動量を、肉厚計Iによって測定した素管S端部の実績肉厚に応じて変更する構成を採用することも可能である。より具体的には、例えば、実績肉厚の方が目標肉厚よりも大きかった場合には、その差の分だけ、素管S端部を圧延する際の孔型圧延ロールの圧下位置を内方に更新して記憶する。そして、次回に圧延する素管Sについては、予め記憶された素管Sの中央部を圧延する際の圧下位置と、前記更新記憶された素管Sの端部を圧延する際の圧下位置とに従って、圧下位置調整量を設定し、これを圧下位置調整装置21に対して送信する構成を採用することも可能である。斯かる構成において、「溝底未圧延」が発生したと判定した場合には、上記肉厚計Iによって測定した実績肉厚に応じた設定値の変更を中断し、次回に圧延する素管Sについても今回の設定値を適用すればよい。これにより、孔型圧延ロールを外方に際限なく変動させてしまうという問題を解消することが可能である。
また、本実施形態では、未圧延判定部222において、素管Sの目標肉厚と実績肉厚とを比較し、その大小に応じて「溝底未圧延」の発生有無を判断する構成について説明した。しかしながら、未圧延判定部222における「溝底未圧延」発生有無の判定方法はこれに限るものではなく、例えば、孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、肉厚計Iで測定した素管Sの孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、変化量が変動量よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する方法を採用することも可能である。
この場合、未圧延判定部222は、圧下位置設定部221で設定された圧下位置調整量(素管Sの端部を圧延する際に孔型圧延ロールの圧下位置を外方へ変動させる変動量に対応)を参照し、当該参照した圧下位置調整量と、肉厚計Iから入力された素管Sの端部及び中央部の実績肉厚(孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚)によって算出した実績肉厚の変化量(端部の実績肉厚と中央部の実績肉厚との差)とを比較し、変化量が変動量よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断することになる。なお、変化量と変動量とをそのまま比較するのではなく、変化量と、変動量に0より大きく1より小さい所定の係数(例えば、0.5等)を乗算した値とを比較し、それでもなお変化量の方が小さければ「溝底未圧延」が生じていると判断するように構成してもよい。
さらに、未圧延判定部222における「溝底未圧延」発生有無の他の判定方法として、例えば、今回圧延した素管Sについての孔型圧延ロールの変動後の圧下位置と、前回圧延した素管Sについての第1の孔型圧延ロールの変動後の圧下位置との差を算出すると共に、今回圧延した素管Sについての肉厚計Iで測定した孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚と、前回圧延した素管についての肉厚計Iで測定した孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚との差を算出し、前記圧下位置の差と前記実績肉厚の差とを比較して、前記実績肉厚の差が前記圧下位置の差よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断する構成を方法を採用することも可能である。
この場合、未圧延判定部222は、前回圧延した素管Sについて圧下位置設定部221に記憶(段落0061に記載したように更新記憶された場合も含む)されていた孔型圧延ロールの変動後の圧下位置(つまり、素管Sの端部を圧延する際の圧下位置)を参照しておき、これを記憶しておくと共に、今回圧延した素管Sについて圧下位置設定部221に記憶(更新記憶された場合も含む)されている孔型圧延ロールの変動後の圧下位置(つまり、素管Sの端部を圧延する際の圧下位置)を参照し、後者から前者を減算することにより、圧下位置の差(今回圧延と前回圧延との圧下位置の差)を算出することになる。また、未圧延判定部222は、前回圧延した素管Sについて肉厚計Iから入力された端部の実績肉厚(孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚)を記憶しておき、これを今回圧延した素管Sについて肉厚計Iから入力された端部の実績肉厚(孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚)から減算することにより、実績肉厚の差(今回圧延と前回圧延との実績肉厚の差)を算出する。未圧延判定部222は、圧下位置の差と実績肉厚の差とを比較して、実績肉厚の差が圧下位置の差よりも小さければ、「溝底未圧延」が生じていると判断することになる。なお、圧下位置の差と実績肉厚の差とをそのまま比較するのではなく、実績肉厚の差と、圧下位置の差に0より大きく1より小さい所定の係数(例えば、0.5等)を乗算した値とを比較し、それでもなお実績肉厚の差の方が小さければ「溝底未圧延」が生じていると判断するように構成してもよい。
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態に係るマンドレルミルの圧延制御方法を実施するための圧延制御装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係る圧延制御装置3は、第1の圧下位置調整装置31と、第2の圧下位置調整装置32と、演算制御装置33とを備えている。
第1の圧下位置調整装置31は、マンドレルミルMを構成する各スタンドの内、仕上スタンド#iに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するためのシリンダー等から構成されている。第2の圧下位置調整装置32は、仕上スタンド#iと圧下方向が同一である直近の上流スタンド(仕上スタンド#iよりも2スタンドだけ上流に位置するスタンドになる)#i−2に配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するためのシリンダー等から構成されている。演算制御装置33は、第1の圧下位置調整装置31及び第2の圧下位置調整装置32に接続され、第1の圧下位置調整装置31及び第2の圧下位置調整装置32に対して所定の圧下位置調整量を指示するように構成されている。なお、本実施形態に係る第1及び第2の圧下位置調整装置31、32は、双方共に、一本の素管Sを圧延中に当該素管Sの位置(先端部、中央部、後端部)に応じて孔型圧延ロールの圧下位置を変動させ得る機構とされている。
演算制御装置32は、第1の実施形態と同様に、CPU等のハードウェアを具備するコンピュータから構成されているが、仕上スタンド#iの出側(本実施形態では、マンドレルミルMの出側)に配設され各スタンドの圧下方向に沿った素管Sの肉厚(例えば、マンドレルミルMが2ロール式の場合には4方向の肉厚)を測定する肉厚計Iに接続されている点で、第1の実施形態と異なる。演算制御装置32は、内蔵する制御プログラムに従ってハードウェアを適宜駆動することにより、第1の圧下位置設定部331と第2の圧下位置設定部332としての機能を奏し、肉厚計Iの出力及び素管Sの端部の現在位置に基づいて、第1の圧下位置調整装置31及び第2の圧下位置調整装置32に対して所定の圧下位置調整量を指示し得るように構成されている。以下、より具体的に説明する。
第1の圧下位置設定部331には、第1の実施形態で説明した第1の圧下位置設定部131と同様に、素管Sの端部検出信号等が入力され、素管Sの端部(先端部及び後端部)が仕上スタンド#iに到達するタイミングと、抜け出るタイミングとを算出する。また、第1の圧下位置設定部331には、第1の実施形態と同様に、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部及び中央部をそれぞれ圧延する際の第1の孔型圧延ロール(仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロール)の圧下位置がそれぞれ記憶されている。第1の圧下位置設定部331は、前記算出したタイミング及び前記記憶された第1の孔型圧延ロールの圧下位置に基づいて、仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置調整量を設定し、当該設定した圧下位置調整量を第1の圧下位置調整装置31に対して送信する。これにより、仕上スタンド#iにおいて素管Sの端部を圧延する際に、当該仕上スタンド#iに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を前記圧下位置調整量に応じた量だけ外方に変動させることが可能である。
ここで、本実施形態に係る第1の圧下位置設定部331には、肉厚計Iの出力が入力されている。また、第1の圧下位置設定部331には、素管Sの端部の目標肉厚が予め記憶されている。第1の圧下位置設定部331は、素管Sの目標肉厚と実績肉厚とを比較し、目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい(仕上スタンド#iの圧下方向について測定した実績肉厚の内、少なくとも何れか一つの実績肉厚が目標肉厚よりも小さい)場合には「溝底未圧延」が発生したと判断する。なお、目標肉厚と実績肉厚とを比較することにより「溝底未圧延」の発生有無を判定する方法に替えて、前述した第2の実施形態で説明した(段落0062〜0065参照)のと同様に、他の「溝底未圧延」発生有無の判定方法を適用することも可能である。第1の圧下位置設定部331が「溝底未圧延」が発生したと判断すれば、第2の圧下位置設定部332がこの結果を参照し、後述するように、次回に圧延する素管Sについては、仕上スタンド#iの直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンド#i−2において、第2の圧下位置調整装置32に対して所定の圧下位置調整量を指示するように構成されている。
なお、第1の圧下位置設定部331は、次回の素管Sに対する第1の孔型圧延ロールの外方への変動量を、肉厚計Iによって測定した素管S端部の実績肉厚に応じて変更するように構成することも可能である。より具体的には、例えば、実績肉厚の方が目標肉厚よりも大きかった場合には、その差の分だけ、素管S端部を圧延する際の第1の孔型圧延ロールの圧下位置を内方に更新して記憶する。そして、次回に圧延する素管Sについては、予め記憶された素管Sの中央部を圧延する際の圧下位置と、前記更新記憶された素管Sの端部を圧延する際の圧下位置とに従って、圧下位置調整量を設定し、これを圧下位置調整装置31に対して送信する構成を採用することも可能である。
第2の圧下位置設定部332にも、第1の圧下位置設定部331と同様に、外部から端部検出信号等が入力され、素管Sの端部(先端部及び後端部)が上流スタンド#i−2に到達するタイミングと、抜け出るタイミングとを算出する。
第2の圧下位置設定部332は、第1の圧下位置設定部331を参照し、第1の圧下位置設定部331で「溝底未圧延」が生じていると判定された場合、前記算出したタイミングに基づいて、上流スタンド#i−2に配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置調整量を設定し、当該設定した圧下位置調整量を第2の圧下位置調整装置12に対して送信する。なお、第2の圧下位置調整装置12に対して送信する圧下位置調整量(すなわち、上流スタンド#i−2において素管Sの端部を圧延する際に、当該上流スタンド#i−2に配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方へ変動させる変動量に対応)としては、種々の態様を採用することができるが、例えば、第1の圧下位置調整装置12で算出した目標肉厚と実績肉厚との差に0.8〜1.2程度の係数を乗算して得られる値とすることが考えられる。或いは、目標肉厚と実績肉厚との差が所定値以下(例えば、0.1mm)となるまで、一定の値(例えば、0.2mm)とすることも考えられる。
以上に説明した本実施形態に係る圧延制御装置3によれば、肉厚計Iの出力によって「溝底未圧延」が発生していると判断した場合、次回に圧延する素管Sについて、仕上スタンド#iのみならず、「溝底未圧延」が発生していると判断された方向と同一の圧下方向を有する上流スタンド#i−2に配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させることになる。従って、上流スタンド#i−2における圧下量が低下し、前記圧下方向についての素管の肉厚が増加するため、仕上スタンド#iで圧延する際の「溝底未圧延」を防止することが可能である。これにより、素管Sの端部を所望する肉厚に精度良く圧延し得ると共に、素管Sの表面性状を劣化させることがないという優れた利点が得られる。
なお、本実施形態では、第1の圧下位置調整装置31のみならず、第2の圧下位置調整装置32も一本の素管Sを圧延中に圧下位置を変動させ得る機構とされている構成について説明した。しかしながら、マンドレルミルMの中には、仕上スタンド#iを除いて上記機構を具備しないミルも存在するため、このようなマンドレルミルに対しては、素管Sの位置に応じて圧下位置を変動させるのではなく、素管Sを圧延する前に上流スタンド#i−2の第2の孔型圧延ロールの圧下位置を予め外方に変更する構成を採用すればよい。
以下、実施例及び比較例を示すことにより、本発明の特徴をより一層明らかにする。
本発明に係る圧延制御方法を6スタンド(仕上スタンドは#5、#6スタンド)の2ロール式マンドレルミルに対して適用し、下記の条件で圧延試験を実施した。
(1)ミル入側の素管寸法:外径190mm、肉厚16mm、長さ4600mm
(2)ミル出側の素管寸法:外径168mm、肉厚5mm、長さ15000mm
(3)マンドレルバー外径:158mm
(4)各スタンド出側での目標肉厚(溝底部肉厚)
#1スタンド:10mm #2スタンド:9mm #3スタンド:6mm
#4スタンド:5.5mm #5スタンド:5mm #6スタンド:5mm
<実施例1−1>
#5、#6スタンドについては、素管の端部を圧延する際に、図4に示すパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させた。#3、#4スタンドについても同じパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させて圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例1−2>
#5、#6スタンドについて、実施例1−1と同様に圧延した。ただし、#3、#4スタンドについては、図4に示すパターンの変動量を0.8倍(つまり、最大0.4mm)にして圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例1−3>
#5、#6スタンドについて、実施例1−1と同様に圧延した。ただし、#3、#4スタンドについては、素管の圧延前に、目標肉厚がそれぞれ6.5mm(#3スタンド)、6mm(#4スタンド)となるように、孔型圧延ロールの圧下位置を外方にそれぞれ変更してから圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<比較例1>
#5、#6スタンドについてのみ、素管の端部を圧延する際に、図4に示すパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させた。#1〜#4スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<評価>
実施例1−1〜1−3及び比較例1について、圧延後の素管の肉厚不良率を評価した。ここで、圧延後の素管の端部について、実測した肉厚と肉厚の目標値(例えば、実施例1の場合、端部の肉厚目標値は5.5mm)との差が、肉厚の目標値に対して±2%の範囲を越える測定箇所があれば肉厚不良とした。肉厚不良率は下記の式で定義した。
肉厚不良率=肉厚不良となった本数/圧延した全本数(%)
評価結果を表1に示す。
Figure 0004863131

表1に示すように、比較例1と異なり、実施例1−1〜1−3の全てについて素管の端部を所望する肉厚に精度良く圧延できることが分かった。
<実施例2−1>
#5、#6スタンドについては、次回に圧延する素管の端部を圧延する際に、肉厚計によって測定した実績肉厚に基づいて図4に示すパターンを変更し、当該変更後のパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させた。換言すれば、実績肉厚が目標肉厚に近づくように、実績肉厚と目標肉厚との差に相当する分だけ設定値(圧下位置変動量)を変更した。ただし、目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい場合には、「溝底未圧延」が発生していると判断し、実績肉厚に応じた設定値の変更(パターンの変更)を中断し、次回に圧延する素管についても今回の設定値のままで圧延することにした。#1〜#4スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例2−2>
#5、#6スタンドについて、実施例2−1と同様に圧延した。ただし、「溝底未圧延」の発生有無の判定方法としては、孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、肉厚計で測定した素管の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、変化量が変動量の0.5倍以下であれば、「溝底未圧延」が生じていると判断する方法を採用した。
<実施例2−3>
#5、#6スタンドについては、次回に圧延する素管の端部を圧延する際に、肉厚計によって測定した実績肉厚に基づいて図4に示すパターンを変更し、当該変更後のパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させた。#3、#4スタンドについても、#5、#6スタンドと同じパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させて圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例2−4>
#5、#6スタンドについて、実施例2−3と同様に圧延した。ただし、#3、#4スタンドについては、#5、#6スタンドのパターンの変動量を0.8倍にして圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例2−5>
#5、#6スタンドについて、実施例2−3と同様に圧延した。ただし、#3、#4スタンドについては、素管の圧延前に、目標肉厚がそれぞれ6.5mm(#3スタンド)、6mm(#4スタンド)となるように、孔型圧延ロールの圧下位置を外方にそれぞれ変更してから圧延した。#1、#2スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<実施例2−6>
#5、#6スタンドについて、実施例2−3と同様に圧延した。目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さい場合には、「溝底未圧延」が発生していると判断し、仕上スタンド(#5、#6スタンド)の直近に位置し且つ前記実績肉厚の方が小さい結果が得られた肉厚測定方向と同一の圧下方向を有する上流スタンド(少なくとも#3、#4の何れか一方のスタンド)についても、#5、#6スタンドと同じパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させて圧延した。#1、#2スタンド(及び#3、#4スタンドの内、変動させなかったスタンドも含む)については初期の設定通りに圧延した。
<実施例2−7>
実施例2−6と同様に圧延した。ただし、「溝底未圧延」の発生有無の判定方法としては、孔型圧延ロールの圧下位置の変動量と、肉厚計で測定した素管の孔型圧延ロールの変動方向に沿った実績肉厚の変化量とを比較し、変化量が変動量の0.5倍以下であれば、「溝底未圧延」が生じていると判断する方法を採用した。
<比較例2>
#5、#6スタンドについてのみ、次回に圧延する素管の端部を圧延する際に、肉厚計によって測定した実績肉厚に基づいて図4に示すパターンを変更し、当該変更後のパターンで孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させた。#1〜#4スタンドについては初期の設定通りに圧延した。
<評価>
実施例2−1〜2−7及び比較例2について、圧延後の素管の肉厚不良率を評価した。肉厚不良率の定義は、前述したものと同様であるので説明を省略する。また、仕上スタンドである#5、#6スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置が初期設定値から1mm以上外方に変動した頻度についても評価した。後者は「溝底未圧延」が生じて目標肉厚よりも実績肉厚の方が小さくなった場合に、仕上スタンドの孔型圧延ロールを外方に際限なく変動させてしまう頻度に相当する評価指標である。
評価結果を表2に示す。
Figure 0004863131

表2に示すように、実施例2−1〜2−7については、比較例2に比べて素管の端部を所望する肉厚に精度良く圧延できることが分かった。また、比較例2と異なり、仕上スタンドの孔型圧延ロールを外方に際限なく変動させてしまう事態は生じなかった。
1・・・圧延制御装置
11・・・第1の圧下位置調整装置
12・・・第2の圧下位置調整装置
13・・・演算制御装置
M・・・マンドレルミル
S・・・素管
131・・・第1の圧下位置設定部
132・・・第2の圧下位置設定部

Claims (4)

  1. マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該仕上スタンドに配設された第1の孔型圧延ロールの圧下位置を外方に変動させるマンドレルミルの圧延制御方法であって、
    前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドにおいて素管を圧延する際に、当該上流スタンドに配設された第2の孔型圧延ロールの圧下位置も前記第1の孔型圧延ロールと同様に外方に変動させることによって、前記仕上スタンドにおいて溝底未圧延を生じさせないことを特徴とするマンドレルミルの圧延制御方法。
    なお、溝底未圧延とは、仕上スタンド入側での素管の溝底部肉厚(第1の孔型圧延ロールの溝底部に対向する部分の肉厚)が、仕上スタンドにおけるマンドレルバーと第1の孔型圧延ロールとの間隙よりも小さくなる結果、仕上スタンドで圧延されない状態となることを意味する。
  2. マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置と、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示するための演算制御装置とを備えた圧延制御装置であって、
    前記演算制御装置は、素管の現在位置に基づいて、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の圧下位置調整量を指示することにより、請求項1に記載の圧延制御方法を実施することを特徴とするマンドレルミルの圧延制御装置。
  3. マンドレルミルを構成する各スタンドの内、仕上スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第1の圧下位置調整装置と、前記仕上スタンドと圧下方向が同一である直近の上流スタンドに配設された孔型圧延ロールの圧下位置を調整するための第2の圧下位置調整装置とに接続され、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して孔型圧延ロールの圧下位置調整量を指示する演算制御装置を動作させるための制御プログラムであって、
    素管の現在位置に基づいて、前記第1の圧下位置調整装置及び前記第2の圧下位置調整装置に対して所定の圧下位置調整量を指示することにより、請求項1に記載の圧延制御方法を実施するように前記演算制御装置を動作させることを特徴とする制御プログラム。
  4. 請求項1に記載の圧延制御方法を実施したマンドレルミルを用いて製造されたことを特徴とする継目無管。
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