ところで、ノッキングが発生すると、未燃ガスの自然着火に起因する圧力波(衝撃波)が発生して燃焼室内をその壁面との反射を繰り返しながら往復伝播することとなるが、この衝撃波の通過に伴い燃焼室内の各部の温度が変化し、この結果、既燃ガスの熱電離によるイオンが増減するためこれに伴ってイオン電流値も増減することとなる。
このように、ノッキング発生時において生じるイオン電流値の増減が、圧力波の反射(圧力波の振動)に起因して発生するものである以上その波動としての性質上、燃焼室内の場所によって、圧力波の強さ(振幅)が大きくなる部分(波の腹に相当する部分)と小さくなる部分(波の節に相当する部分)とが生じる。このため、同じノッキング発生時であったとしても、燃焼室内の場所によって、イオン電流値の変化量が大きい部分と小さい部分とが生じることとなる。
このため、例えば燃焼室の中心部に圧力波の節が存在し且つ周縁部に腹が存在する所謂一次のノック振動特性を有するエンジンにおいてそのノッキング検出装置として、上述の特許文献1及び特許文献2に示すようなノッキング発生時に生じるイオン電流の検出値に基づいたノッキング検出を行う検出装置を採用した場合に、該検出装置では各燃焼室の中心部に点火プラグが配設されているが故に、イオン電流検出手段により検出されるイオン電流の変化量が小さくなってノッキング検出精度が低下するという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼室内に発生するイオン電流に基づいてノッキングを検出するエンジンのノッキング検出装置に対して、その構成に工夫を凝らすことで、ノッキング検出精度の向上を図ろうとすることにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、複数の点火プラグのうち少なくとも1つを燃焼室におけるノッキング発生時の圧力振動の振幅が略最大となる最大振動部に配設するとともに、この最大振動部に配設した点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流を基にノッキングの検出を行うようにした。
具体的には、請求項1の発明では、エンジンの燃焼室に臨んでその天井面に配設された点火プラグに通電する点火回路と、燃焼室内に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、該イオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出するノッキング検出手段とを備えたエンジンのノッキング検出装置を対象とする。
そして、上記点火プラグは、上記天井面に複数配設されており、上記点火回路は、上記複数の点火プラグのそれぞれに対応して複数設けられており、上記複数の点火プラグは、上記燃焼室におけるノッキング発生時の圧力波の腹若しくはその近傍に対応する部分である最大振動部に臨んで該燃焼室の周縁部に配設される最大振動部点火プラグと、上記燃焼室の中心部に臨んで配設される中心部点火プラグと、を含んでおり、上記最大振動部点火プラグに対応する点火回路、及び上記中心部点火プラグに対応する点火回路にはそれぞれ上記イオン電流検出手段が接続されており、上記各点火回路による上記点火プラグへの導通を制御することで、該点火プラグによる点火を実行する点火制御手段をさらに備え、上記点火制御手段は、上記エンジンの運転状態が高回転領域にあるときには、上記燃焼室内の混合ガスを燃焼させるための燃焼用点火を上記中心部点火プラグにより実行させ且つ上記最大振動部点火プラグによる燃焼用点火を非実行とする一点点火制御を行う一方、上記エンジンの運転状態が低回転領域にあるときには、上記燃焼室内の混合ガスを燃焼させるための燃焼用点火を、上記中心部点火プラグ及び上記最大振動部点火プラグにより順に実行させる2点点火制御を行うように構成されており、上記ノッキング検出手段は、上記エンジンの運転状態が高回転領域にあるときには、上記最大振動部点火プラグに対応する点火回路のイオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出する一方、上記エンジンの運転状態が低回転領域にあるときには、上記中心部点火プラグに対応する点火回路のイオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出するように構成されているものとする。
上記の構成により、ノッキング検出手段によるノッキング検出を確実に行うことが可能となる。すなわち、ノッキング発生時には、燃焼室内の圧力波の振動に起因して、各点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流の値も振動することとなるが、上記最大振動部点火プラグは該圧力波の腹若しくはその近傍に対応する(振幅が略最大となる)最大振動部に臨んで配設されており、このため、該最大振動部点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流の振動振幅は、該最大振動部点火プラグが上記最大振動部以外の部分に配設されている場合に比べて大きくなる。従って、ノッキング発生時のイオン電流値の変化(振動)を上記イオン電流検出手段により確実に検出することができ、この結果、上記ノッキング検出手段によりノッキングを確実に検出することができる。
また、ノッキング発生時における燃焼室内の圧力波の振動モードが所謂2次の振動モードとなるような特性を有するエンジンにおいて、最大振動部点火プラグを上記最大振動部に確実に臨ませて配設することが可能となる。
すなわち、上記2次の振動モードは通常、圧力波が燃焼室の中心部を通って放射状に往復伝播することにより発生するものであり、この振動モードが発生した場合には、燃焼室周壁面近傍(燃焼室の周縁部)及び燃焼室の中心部に、圧力波の腹となる部分(最大振動部)が位置することとなる。従って、最大振動部点火プラグを燃焼室の周縁部に臨んで配設することで、該最大振動部点火プラグを上記最大振動部に確実に臨ませることが可能となる。
また、本発明にれば、エンジンが高回転領域にあるときには、点火制御手段により一点点火制御が実行されて、最大振動部点火プラグによる燃焼用点火が実行されるとともに、上記ノッキング検出手段により、該最大振動部点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流に基づいてノッキング検出が行われる。よって、エンジンが高回転領域にある場合におけるイオン電流の検出を確実に行うことができる。
すなわち、点火回路を流れるイオン電流は通常、点火プラグによる火花放電電流よりも極めて小さい。このため、点火プラグの点火放電中は、ノッキングが発生した場合であっても、点火回路を流れるイオン電流の変化をイオン電流検出手段により検出することができず、このため、ノッキング検出手段によるノッキング検出が不可能になるという問題がある。
しかしながら、上記一点点火制御では、最大振動部点火プラグによる燃焼用点火は非実行とされており、このため、シリンダ内における混合ガスの燃焼開始後、燃焼工程中においては、最大振動部点火プラグによる点火は実行されず、従って、該最大振動部点火プラグに対応する点火回路には、燃焼工程中に火花点火電流が流れることもない。よって、ノッキングが発生した場合には、該最大振動部点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流の変化を、イオン電流検出手段により確実に検出することができ、この結果、ノッキング検出手段によるノッキング検出を確実に行うことができる。
また、上記一点点火制御では、中心部点火プラグにより燃焼用点火が実行されるため、燃焼室中心部から燃焼反応を開始させることができ、これによって、燃焼室内の混合ガスの燃焼反応を素早く完了させて、耐ノッキング性の向上を図ることが可能となる。
一方、エンジンが低回転領域にあるときには、上記点火制御手段により上記2点点火制御が実行され、この結果、中心部点火プラグによる燃焼用点火が実行されて燃焼が開始した後に、燃焼室の周縁部に配設された最大振動部点火プラグによる点火が実行される。こうすることによって、中心部点火プラグによる燃焼用点火により燃焼反応が開始した後、燃焼室内の周縁部の未燃ガスが自発着火する前に、最大振動部点火プラグにより該未燃ガスを確実に燃焼させることができる。よって、燃焼室内における燃焼反応を速やかに完了させることができ、この結果、燃焼室内の燃焼反応が比較的不安定となるエンジンの低回転領域においてノッキングの発生を抑制することが可能となる。
また、エンジンが低回転領域にあるときには、上記中心部点火プラグに対応する点火回路のイオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出するようにしたことで、ノッキング検出精度の向上を図ることが可能となる。
すなわち、最大振動部点火プラグによる点火は、上述のように、ノッキングの発生を抑制する観点から燃焼反応の後半期に行われる。このため、最大振動部点火プラグによる点火時期はノッキングの発生時期に近く、従って、たとえノッキングが発生したとしても、該点火による火花放電電流のために、最大振動部点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流の変化を検出することができないという問題がある。しかし、中心部点火プラグによる点火は、燃焼反応の引き金となるものであって燃焼反応の初期に行われるものであるため、ノッキング発生時期よりも比較的早い段階で実行され、また、エンジンが低回転領域にある場合には、該燃焼反応が完了するまでの時間はエンジンが高回転領域にある場合に比べて長い。このため、中心部点火プラグによる火花点火電流が、ノッキング発生時期(燃焼反応の後半期)まで流れ続けることもない。従って、ノッキングが発生した場合であっても、中心部点火プラグに対応する点火回路を流れるイオン電流の変化をイオン電流検出手段により確実に検出することができる。よって、上記ノッキング検出手段によるノッキングの検出を確実に実行してノッキング検出精度の向上を図ることが可能となる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記最大振動部点火プラグは、上記燃焼室における吸排気方向の少なくとも一方の側端部に臨んで配設されているものとする。
このことにより、ノッキング発生時における燃焼室内の圧力波の振動モードが所謂1次の振動モードとなるような特性を有するエンジンにおいて、ノッキングを確実に検出することが可能となる。
すなわち、上記1次の振動モードは通常、圧力波が吸排気方向に往復伝播することにより発生するものであり、この振動モードが発生した場合には、燃焼室内における吸排気方向の両端部に、圧力波の腹となる部分(最大振動部)が位置することとなる。従って、本発明の如く、最大振動部点火プラグを吸排気方向の少なくとも一方の側端部に配設することで、該最大振動部点火プラグを確実に上記最大振動部に臨んで配設することができる。よって、請求項1の発明と同様の作用効果をより一層確実に得ることが可能となる。
請求項3の発明では、請求項2の発明において、上記最大振動部点火プラグは、上記燃焼室における吸排気方向の吸気側の端部に臨んで配設されているものとする。
このことにより、ノッキング発生時における燃焼室内の圧力波の振動モードが上記1次の振動モードとなるような特性を有するエンジンにおいて、ノッキングをその発生段階で早期に検出することができる。すなわち、この1次の振動モード(ノッキング)を発生させる引き金となる圧力波は通常、燃焼室内における吸排気方向の吸気側端部にて発生する。従って、最大振動部点火プラグを燃焼室内における吸排気方向の吸気側端部に配設することで、該最大振動部点火プラグを上記最大振動部に確実に臨ませることができるとともに、ノッキングの引き金となる圧力波の発生に起因するイオン電流値の変化をイオン電流検出手段により検出することが可能となる。よって、ノッキング検出手段によりノッキングをその発生段階において早期に検出することができる。
以上説明したように、本発明のエンジンのノッキング検出装置によると、燃焼室におけるノッキング発生時の圧力振動の振幅が略最大となる最大振動部に臨んで該燃焼室の周縁部に配設される最大振動部点火プラグと、燃焼室の中心部に臨んで配設される中心部点火プラグとを備えて、エンジンの運転状態が高回転領域にあるときには、燃焼室内の混合ガスを燃焼させるための燃焼用点火を中心部点火プラグにより実行させ且つ上記最大振動部点火プラグによる燃焼用点火を非実行とする一点点火制御を行う一方、エンジンの運転状態が低回転領域にあるときには、上記燃焼室内の混合ガスを燃焼させるための燃焼用点火を、上記中心部点火プラグ及び上記最大振動部点火プラグにより順に実行させる2点点火制御を行うようにした。そして、エンジンの運転状態が高回転領域にあるときには、上記最大振動部点火プラグに対応する点火回路のイオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出する一方、エンジンの運転状態が低回転領域にあるときには、中心部点火プラグに対応する点火回路のイオン電流検出手段により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出するようにしたことで、耐ノッキング性を向上させつつ、ノッキング検出手段によるノッキングの検出精度の向上を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るノッキング検出装置を備えたエンジン1を示し、このエンジン1は、複数のシリンダ2,2,…(図には1つのみ示す)が直列に配置された火花点火式直墳ガソリンエンジンとされている。図示の如く、シリンダ2の上端はシリンダブロック3の上端面に開口し、そこに載置されたシリンダヘッド4の下面により閉塞されている。シリンダ2内にはピストン5が往復動可能に嵌装されていて、このピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が区画される。つまり、シリンダヘッド4の下面が燃焼室6の天井面を構成している。この天井面は、図2にのみ示すが、吸気側斜面6a及び排気側斜面6bを有する、いわゆるペントルーフ型のものである。そして、吸気側斜面6a及び排気側斜面6bの間の稜線6cが天井面のシリンダボア中心を通ってシリンダ径方向に延びている。一方、ピストン5の下方のクランクケース内には、図示しないがクランク軸が配設され、コネクティングロッドによってピストン5と連結されている。
上記シリンダヘッド4には後述するように各シリンダ2毎に2つの点火プラグ7a,7b(主点火プラグ7a及び副点火プラグ7b)が配設され、その各先端の電極が燃焼室6に臨む一方、該各点火プラグ7の基端部はそれぞれ点火回路80,81に接続されている。
ところで、燃焼室形状(バルブ挟み角等)は、耐ノック性能が所定性能以上となるように火炎伝播距離の短縮や燃焼速度の向上を図るべく決定される。そして、この燃焼室形状は、エンジン1のノック振動特性、つまり各シリンダ2内にノッキング(異常燃焼)が発生した場合における該シリンダ2内に発生する圧力波の振動モードに影響する要素の一つであり、本実施形態においては、この振動モードは、ノッキング発生時にそのシリンダ2内に発生する圧力波の節となる部分が燃焼室6の中心部(シリンダ2の中心部)に位置する一方で腹となる部分が燃焼室6における吸排気方向(Y方向)の両端部に位置する所謂1次の振動モードとなっている(図3参照)。ここで、燃焼室6内に発生した圧力波の伝播方向は吸排気方向(Y方向)におおよそ一致している。尚、吸排気方向(Y方向)とは、シリンダ2の中心軸方向(Z軸方向)から見て、燃焼室6の中心軸Z軸と、吸気ポート9,9の中心同士(若しくは排気ポート10,10の中心同士)を結ぶ線分の中点とを通るY軸方向を意味する。また、以下の説明では、Z軸を通ってY軸に直行するX軸方向をボア配列方向と呼ぶものとする。
そして、図2に示すように、燃焼室6におけるその中心軸Zよりもやや吸排気方向の排気側寄りの部分には、中心部点火プラグとしての主点火プラグ7aが配設されており、また、その吸排気方向(Y方向)の吸気側の端部には、最大振動部点火プラグとしての副点火プラグ7bが配設されている。より詳細には、副点火プラグ7bは、このノッキング発生時における上記圧力波の振幅が略最大となる部分(最大振動部)つまり圧力波の腹の部分に対応して配設されている。副点火プラグ7bは、燃焼室6の最大振動部に臨んで配設されているとも言える。
また、図4に示すように、上記各点火回路80,81はそれぞれ、パワートランジスタからなるイグナイタ8aとイグニッションコイル8bとを含んでいて、後述のPCM30(点火制御手段、ノッキング検出手段)からの制御信号を受けて各シリンダ2毎に所定のタイミング(点火時期)で各点火プラグ7a,7bに通電するようになっている。この例では各点火回路80,81にイオン電流検出回路34(イオン電流検出手段)が接続されていて、後述するように燃焼室6内の燃焼反応に伴い発生するイオン電流を検出可能になっている。
また、シリンダヘッド4には、燃焼室6に臨んで吸気側斜面6a(図2参照)及び排気側斜面6bに開口するように、各シリンダ2毎に吸気ポート9及び排気ポート10がそれぞれ2つずつ形成され、その各ポート開口部にはそれぞれカム軸により開閉されるように吸気及び排気弁11,12,…(吸排気バルブ、図1参照)が配設されている。同図には示さないが、カム軸は、吸気側及び排気側に1本ずつ設けられていて、共通のカムチェーンによりクランク軸に駆動連結されており、このクランク軸の回転に同期して吸気側及び排気側のカム軸がそれぞれ回転されることにより、吸気及び排気弁11,12,…がそれぞれ所定のタイミングで開閉されるようになっている。
また、この例では上記吸気側のカム軸に、クランク軸の回転に対する位相を所定の角度範囲(例えば40〜60°CA)内で連続的に変更可能な位相可変機構13(図1参照、Variable Valve Timing 以下、VVTともいう)が取り付けられており、このVVT13によって、吸気弁11のリフトカーブInが進角側、遅角側に変更されるようになっている。これに伴い排気弁12のリフトカーブExとのオーバーラップ期間が変化し、これにより、燃焼室6に残留する既燃ガス(以下、内部EGR)の量も変化するようになる。
上記シリンダヘッド4の一側(同図の左側)には、下流端が吸気ポート9に連通するように吸気通路15が配設されている。この吸気通路15の上流端は外部から導入される新気を濾過するためのエアクリーナ16に接続されており、そこから下流側に向かって順に、吸気流量を検出するエアフローセンサ17と、電動モータ18aにより駆動されて吸気通路15を絞るスロットル弁18とが配設されている。同図には示さないが、吸気通路15の吸気マニホールドの各分岐通路はそれぞれ二股に分かれていて、その各二股通路がそれぞれ吸気ポート9に接続されている。そして、各二股通路のうち一方には、各シリンダ2毎に燃焼室6内の吸気流動の強さを調整するタンブルスワールコントロール弁(以下、TSCV)14が設けられている。さらに、シリンダヘッド4には、各シリンダ2毎に燃料を燃焼室6内に直接噴射供給する複数のインジェクタ19,19,…(図には1つのみ示す)が設けられている。
一方、シリンダヘッド4の反対側(図1の右側)には、排気ポート10に連通して各シリンダ2内の燃焼室6から既燃ガス(排気ガス)を排出するように、排気通路20が配設されている。この排気通路20には上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度を基に混合気の空燃比を検出するための酸素濃度センサ(以下、O2センサ)21と、排気ガスを浄化するための触媒コンバータ22とが配設されている。同図には示さないが、排気通路20の排気マニホールドの各分岐通路は二股に分かれていて、その各二股通路がそれぞれ排気ポート10に接続されている。
また、上記O2センサ21よりも上流側の排気通路20には、排気ガスの一部を吸気通路15に還流するための排気還流通路24(以下、EGR通路)が分岐接続されていて、このEGR通路24の下流端が上記スロットル弁18よりも下流側の吸気通路15に連通している。このEGR通路24の下流端寄りには開度調節可能な電気式の流量制御弁25(以下、EGR弁)が配設されていて、EGR通路24を還流される排気ガス(以下、外部EGR)の流量を調節するようになっている。
さらにまた、エンジン1のシリンダブロック3下部のクランクケース内には、クランク軸の回転角(クランク角)を検出する電磁ピックアップ等からなるクランク角センサ26が設けられている。このクランク角センサ26は、クランク軸の端部に一体に回転するように取り付けられたロータ27の回転に伴い、その外周部に設けられた凸部の通過に対応して信号を出力する電磁ピックアップコイル26からなる。また、シリンダブロック3のウォータジャケット(図示せず)には、冷却水の温度状態を検出する水温センサ28が臨設されている。
上記エアフローセンサ17、O2センサ21、クランク角センサ26、水温センサ28等からの出力信号は、それぞれPCM(Power-train Control Module)30に入力されるようになっている。このPCM30は、周知の如くCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース回路等を備えており、上記各センサ以外に、少なくとも、吸気側カム軸の回転角(回転位置)を検出するカム角センサ31と、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ32と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数センサ33と、からそれぞれ出力される信号を受け入れる。
そして、PCM30は、上記各センサ等から入力した信号に基づいてエンジン1の運転状態を判定し、これに応じてエンジン1の運転制御を行うようになっている。すなわち、PCM30は、VVT13に対し吸気弁11の作動タイミングを制御するための信号を出力し、スロットル弁18に対し吸気流量を制御するための信号を出力するとともに、各シリンダ2毎のTSCV14に対し燃焼室6内の吸気流動の強さを制御するための信号を出力し、さらに、各シリンダ2毎のインジェクタ19,19,…に対し燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するためのパルス信号を出力し、EGR弁25に対しEGR通路24によって吸気系に環流する排気ガス(外部EGR)の量を制御するための信号を出力する。
また、PCM30は、エンジン1が、エンジン回転数が所定回転数N1(例えば、2000rpm)以上の高回転領域A(図5参照)にあるとき(高回転時)には、混合ガスを爆発燃焼させるための燃焼用点火を上記主点火プラグ7aに実行させる一方で上記副点火プラグ7bによる燃焼用点火を非実行とする一点点火制御を実行し、且つ、エンジン回転数が所定回転数N1よりも小さい低回転領域B(図5参照)にあるときには、混合ガスを爆発燃焼させるための燃焼用点火を、主点火プラグ7a及び副点火プラグ7bによりこの順に実行させる2点点火制御を実行するように構成されている。
そして更に、PCM30は、上記エンジン1が低回転領域Bにあるときには、主点火プラグ7aに対応する点火回路80(以下、主点火回路80と呼ぶ)のイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流に基づいてノッキングを検出する一方、上記エンジン1が高回転領域Aにあるときには、最大振動部点火プラグである副点火プラグ7bに対応する点火回路81(以下、副点火回路81と呼ぶ)のイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流に基づいてノッキング検出を行うノッキング検出制御を実行するように構成されている。
次に、図6のフローチャートを参照しながら、PCM30によるノッキング検出制御について説明する。
先ず、最初のステップS1では、上記各センサからの各種信号を読み込む。
ステップS2では、ステップS1で読み込んだ信号に基づいて、エンジン1がノッキングの判定を必要とするノッキング判定領域にあるか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップS3に進み、NOの場合にはこのステップS2の判定を再度行う。
具体的には、水温センサ28及びエンジン回転数センサ33からの検出信号を基に、冷却水の温度及びエンジン回転数を算出し、エンジン回転数が500rpmよりも大きく5500rpm未満で且つ冷却水温度が70℃以上となる条件が満たされているときにはYESの判定を行い、この条件が満たされていないときにはNOの判定を行う。
ステップS3では、ステップS1で読み込んだ信号に基づいて、エンジン1が高回転領域Aにあるか否かを判定し、この判定がYESの場合にはステップS4に進み、NOの場合(エンジン1が低回転領域Bにある場合)にはステップS9に進む。
ステップS4では、燃焼室6内の混合ガスを燃焼させるための燃焼用点火を主点火プラグ7aにより実行させる一方で副点火プラグ7bによる燃焼用点火を非実行とする一点点火制御を行う。
具体的には、膨張行程開始後においてクランク軸のクランク角が設定点火角になった時に、主点火回路80を通電させて主点火プラグ7aによる点火を実行させ、これによって燃焼室6内の混合ガスの燃焼を開始させる(図7参照)。
そして、上記膨張行程後の排気行程中に副点火回路81を通電させて副点火プラグ7bによる点火を実行させる。ここで、該副点火プラグ7bによる点火は、排気行程中に行われるため該点火による燃焼反応を伴わずエンジン1の出力に寄与しない所謂捨打ち点火であり、この捨打ち点火を行うことにより副点火回路81のコンデンサ34aが充電される。
ステップS5では、膨張行程中つまり未燃ガスの燃焼反応中において、副点火回路81に設けられたイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流を基に、ノッキングが発生しているか否かの判定を行うとともに、ノッキングが発生していると判定した場合にはその強度判定を行う。
具体的には、本実施形態においては、イオン電流検出回路34により検出されたイオン電流値が所定の下限電流値未満である場合には、ノッキングが発生していないものと判定し、該イオン電流値が下限電流値以上のときには、ノッキングが発生しているものと判定するとともに、イオン電流値の大きさに基づいてその強度レベルを判定する。
ステップS6では、ステップS5における判定に基づいて次サイクルにおける主点火プラグ7aの点火時期を設定し、該設定後に終了する。具体的には、ステップS5にてノッキングが発生していないと判定した場合には、上記設定点火角を変更しないようにする一方、ノッキングが発生していると判定した場合には、その強度レベルが大きいほど点火時期を遅らせる、つまり上記設定点火角を遅角させて新たな設定点火角とする。
ステップS7では、次の燃焼サイクルに進むか否か、つまりエンジン1の運転を続行するか否かの判定を行い、この判定がYESの場合にはステップS2に戻る一方、NOの場合には終了する。
ステップS3でNOの場合に進むステップS8では、主点火プラグ7a及び副点火プラグ7bにより燃焼用点火をこの順に実行させる2点点火制御を行う。
具体的には、膨張行程開始直後であって上記クランク軸のクランク角が設定点火角になった時に、主点火回路80を通電させて主点火プラグ7aによる点火を実行させることで燃焼室6内の混合ガスの燃焼を開始させ、その後、該混合ガスの燃焼反応の後半期に、副点火回路81を通電させて副点火プラグ7bを点火させることで未燃ガスの燃焼を促進させる(図8参照)。
ステップS9では、膨張行程中において、主点火回路80に設けられたイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流を基に、上記ステップS5と同様の判定手法により、ノッキングが発生しているか否かの判定、及びノッキングが発生している場合におけるノッキングの強度判定を行った後にステップS6に進む。
以上のように構成されたノッキング検出手段としてのPCM30を備えたエンジン1が高回転領域Aにあるとき(ステップS3の判定がYESのとき)には、PCM30により一点点火制御が実行され(ステップS4の処理が実行され)、この結果、上記圧縮行程から膨張行程に移行した後のシリンダ2に対して、その燃焼室6に配設された主点火プラグ7aによる燃焼用点火が実行される一方、副点火プラグ7bによる燃焼用点火は非実行とされる。
そして、この主点火プラグ7aの燃焼用点火により、シリンダ2内における未燃ガスの燃焼反応が進み、シリンダ2内には、該燃焼反応に伴うイオンが発生し、この結果、主点火回路80及び副点火回路81にはそれぞれ、イオンを媒体とするイオン電流が流れることとなる。
そして、各点火回路80,81に配設されたイオン電流検出回路34,34により、該各点火回路80,81を流れるイオン電流が検出されてこのイオン電流情報がPCM30に送信される。具体的には、イオン電流検出回路34(図4参照)は、イグニッションコイル8bの2次側が接地される点火プラグ7とは反対側の端部に直列に接続された電源コンデンサ34aと、検出回路34bとからなっていて、イグナイタ8aの作動によって点火プラグ7に通電される際(点火)に電源コンデンサ34aに蓄えられた電荷と、燃焼室6において発生した上記イオンとで回路が構成されて電流(イオン電流)が流れる。つまり、イオン電流は、電源コンデンサ34aに蓄積された電荷が放出されることによって燃焼室6内に発生するようになっている。そして、このイオン電流を検出回路34bが検出するとともにイオン電流情報としてPCM30に出力する。
ここで、副点火回路81のイオン電流検出回路34により検出されるイオン電流の波形(値)は、図9に実線で示すように主点火プラグ7aによる点火後のクランク角の進行に伴い変化し、その波形には通常、前半及び後半の2つの山が現れる。前半の山に表されるイオン電流は、混合気が着火した後に、火炎核の成長に伴い拡大する火炎面に存在するイオン(ラジカル)を媒体とするものと考えられ、これは、特に初期燃焼の速度や燃焼室6の流動強さの影響を強く受ける。すなわち、前半の山は、初期燃焼が活発であるほど急峻になり、そのピークが進角する。後半の山に表されるイオン電流は、上記のように燃焼反応そのものによって発生するイオン(ラジカル)の他に、燃焼室6の温度上昇に伴い既燃ガス中に存在するNOxが熱電離して発生するイオンをも媒体とするものと考えられ、そのピークは、燃焼室6の温度が最高になるクランク角位置に現れて、全体として燃焼が活発であるほど高くなり、それが緩慢なほど低くなる。
そして、ノッキングが発生した場合には、該ノッキングの発生に伴う燃焼室6内の圧力振動に起因するイオン電流の振動成分(図9の2点鎖線で示す部分に相当)が、図9に実線で示すイオン電流波形に重畳されてその後半の山におけるピークを過ぎた部分(以下、ノック振動重畳部Vと呼ぶ)に現れる。
一方、主点火回路80のイオン電流検出回路34により検出されるイオン電流の波形(値)は、図10に示すように、上記ノック振動重畳部Vを含む2つの山の殆どが大電流領域Eに包含されて識別不能になっている点で、上記副点火回路81を流れる電流波形(図9参照)とは異なっている。これは、該主点火回路80のイオン電流検出回路34にも、上記2つの山に相当するイオン電流が流れるものの、主点火プラグ7aの点火の際に主点火回路80を流れる電流(火花放電電流)に対してイオン電流の値が極めて小さいために、該火花放電電流に対応する大電流領域Eによりイオン電流の波形が掻き消されることによるものである。従って、ノッキングが発生した場合であっても、ノック振動重畳部Vに現れる上記イオン電流の振動波形は、上記大電流領域Eに掻き消されて識別不能となる。
また、上記エンジン1が低回転領域Bにあるとき(ステップS3の判定がNOのとき)には、PCM30により上記二点点火制御が実行され(ステップS8の処理が実行され)、この結果、主点火プラグ7a及び副点火プラグ7bによる燃焼用点火が膨張行程中にこの順に実行される。そして、各点火回路80,81に配設されたイオン電流検出回路34,34により、膨張行程中に該各点火回路80,81を流れるイオン電流が検出されてこのイオン電流情報がPCM30に送信される。
ここで、副点火回路81に配設されたイオン電流検出回路34により検出されるイオン電流の波形(値)は、図11に示すように、上記2つの山のうち後半の山におけるそのピークを過ぎた部分つまり上記ノック振動重畳部Vが、副点火プラグ7bの点火による火花点火電流に相当する大電流領域Eにより掻き消されて識別不能になっている。従って、ノッキングが発生した場合であっても、ノック振動重畳部Vに現れる上記イオン電流の振動波形は、上記大電流領域Eに掻き消されて識別不能となる。
一方、主点火回路80に配設されたイオン電流検出回路34により検出されるイオン電流の波形(値)は、図12に示すように、上記2つの山のうち前半の山におけるそのピークを含む部分(図の2点鎖線で示す部分)が、主点火プラグ7aの点火による火花点火電流に相当する大電流領域Eにより掻き消されて識別不能になっている一方、上記ノック振動重畳部Vはこの大電流領域E外にあって識別可能になっている。
尚、燃焼室6が失火状態にあるときには、燃焼室6においてイオンが発生しないため、イオン電流は検出されない。
そして、上記実施形態では、PCM30は、上記エンジン1が高回転領域Aにあるとき(ステップS3の判定がYESのとき)には、膨張行程中(燃焼反応中)に上記副点火回路81のイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流に基づいて、ノッキングが発生しているか否かの判定(ノッキングの検出)を行う(ステップS5の処理を実行する)ようになっている。ここで、上記実施形態では、副点火プラグ7bは、燃焼室6におけるノッキング発生時の圧力波の振幅が最大となる最大振動部に臨んで配設されており、このため、ノッキング発生時にイオン電流検出回路34により検出されるイオン電流の振動振幅(振動成分)を、該副点火プラグ7bが最大振動部以外の部分に配設されている場合に比べて高めることができる。従って、ステップS5にて行うノッキングの判定処理を確実に行うことができる。
また、上記実施形態では、PCM30は、ノッキングが発生していると判定したときには、そのノッキング強度を判定するとともに、その強度に応じて点火時期を遅らせる(ステップS6の制御処理を実行する)ようになっている。これにより、ノッキングの強度レベルが高いほど、点火時における燃焼室6内の圧力(圧力比)を低くして燃焼室温度を下げることができ、この結果、その後のサイクルにおけるノッキングの発生を抑制することが可能となる。
また、上記実施形態では、副点火プラグ7bは、燃焼室6内の最大振動部であって吸気側の端部に位置する部分に臨んで配設されている。これにより、PCM30によるノッキングの早期検出が可能となる。すなわち、ノッキング発生時に燃焼室6内に生じる圧力振動(上記1次の振動モードを有する圧力振動)は通常、該燃焼室6内における吸気側の端部にて発生する圧力波(衝撃波)を起点とするものであるが、上記副点火プラグ7bはこの起点となる圧力波が発生する部分(燃焼室6の吸気側の端部)に配設されており、このため、副点火回路81のイオン電流検出回路34でもって、この起点となる圧力波に起因するイオン電流の変化を確実に検出することができる。よって、ノッキングの早期検出が可能となる。
また、上記実施形態では、PCM30は、上記エンジン1が高回転領域Aにあるとき(ステップS3の判定がYESのとき)には、膨張行程中(燃焼反応中)における、副点火プラグ7bによる燃焼用点火を非実行とするようになっており(ステップS4)、このため、ノッキングが発生した場合に、イオン電流検出回路34によるイオン電流の振動成分の検出を確実に行うことができる。
すなわち、副点火回路81には、膨張行程中において副点火プラグ7bの点火による火花点火電流が流れることもなく、従って、ノッキングの発生に伴いイオン電流検出回路34を流れるイオン電流の振動成分が、例えば図10に示す場合(主点火回路80のイオン電流検出回路34によるイオン電流検出を行った場合)のように、火花点火電流によって掻き消されて識別不能となるのを防止し、これによって該振動成分を確実に検出することが可能となる。よって、イオン電流の変化量を基にした、上記ステップS5におけるノッキング検出を確実に行うことができ、ノッキング検出精度の向上を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、PCM30は、上記エンジン1が高回転領域Aにあるとき(ステップS3の判定がYESのとき)には、排気行程中に副点火プラグ7bによる捨打ち点火(ステップS4の制御処理)を実行するようになっている。
これにより、膨張行程中の燃焼室6内の燃焼反応に全く影響を及ぼすことなく、つまりエンジン1の機関出力に影響を及ぼすことなく、副点火回路81を通電させて該副点火回路81に配設されたコンデンサ34aの充電を行うことができる。こうして、コンデンサ34aを充電することにより、副点火回路81は、燃焼室6内にイオンが発生した場合に、コンデンサ34aの放電によりイオン電流を導通可能な状態となる。従って、その後の膨張行程中(燃焼反応中)において、イオン電流検出回路34に確実にイオン電流を導通させることができ、PCM30における該イオン電流を基にしたノッキング検出を確実に実行することが可能となる。
更にまた、上記実施形態では、PCM30は、上記エンジン1が低回転領域Bにあるとき(ステップS3の判定がNOのとき)には、膨張行程中に主点火プラグ7a及び副点火プラグ7bによる燃焼用点火を順に実行させる2点点火制御(ステップS8の制御処理)を実行するようになっている。これにより、エンジン1が高回転領域Aにある場合に比べて燃焼室6内における燃焼が不安定となる低回転領域Bにおいて、主点火プラグ7a及び副点火プラグ7bの2つの点火プラグにより燃焼用点火を実行することができ、該低回転領域Bにおける安定燃焼が可能となる。よって、エンジン1の低回転領域Bにおける熱効率の向上を図ることが可能となる。
また、上記実施形態では、PCM30は、上記エンジン1が低回転領域Bにあるとき(ステップS3の判定がNOのとき)には、膨張行程中(燃焼工程中)に主点火回路80のイオン電流検出回路34により検出されたイオン電流を基に、ノッキングを検出するようになっている。これにより、上述のように2点点火制御を実行した場合においても、PCM30により確実にノッキングを検出することが可能となる。
すなわち、上述の如く、副点火回路81を流れるイオン電流の波形は、そのノック振動重畳部Vが大電流領域Eに包含されている。このため、ノッキングが発生した場合に、副点火回路81のイオン電流回路では、ノッキングの発生に伴うイオン電流の変化(振動成分)を検出することができないという問題がある。しかしながら、主点火回路80を流れるイオン電流の波形は、そのノック振動重畳部Vが大電流領域E外にある。このため、ノッキングが発生した場合には、主点火回路80のイオン電流検出回路34により、該ノッキングの発生に伴うイオン電流の変化(振動成分)を確実に検出することができる。よって、主点火回路80のイオン電流検出回路34からのイオン電流情報を基にしたPCM30によるノッキングの検出を確実に行うことができる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、上記実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、ノッキング発生時における燃焼室6内の圧力波の振動モードが1次の振動モードとなるようなエンジン1を採用しているが、これに限ったものではなく、例えば図13に示すように、圧力波の腹となる部分が燃焼室6の周縁部及び燃焼室6の中心部に位置する一方で節となる部分が燃焼室6におけるその中心部と周縁部との間に位置する2次の振動モードとなるようなエンジン1であってもよい。ここで、この2次の振動モードを有する圧力波は、燃焼室6の中心部を通ってボア壁面との反射を繰り返しながら放射状に往復伝播するため、燃焼室6の中心部と該燃焼室6の周縁部の全周に亘る範囲(全周縁部)とに圧力波の腹が位置することとなる。すなわち、燃焼室6の中心部と該燃焼室6の全周縁部とが最大振動部となる。従って、このような2次の振動モードを有するエンジン1においては、イオン電流の検出用に使用する点火プラグ7a,7bを、例えば、燃焼室6内におけるボア配列方向(X方向、図2参照)の一端部に臨んで配設するようにしてもよいし、燃焼室6の中心部に臨んで配設するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、高回転時においてPCM30によるノッキング検出の基となるイオン電流検出を行う副点火プラグ7bを、燃焼室6における吸排気方向(Y方向)の吸気側端部に配設するようにしているが、これに限ったものではなく、例えば図14に示すように、吸排気方向(Y方向)の排気側の端部に配設するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、エンジン1は、各シリンダ2毎に2つの吸気弁11と2つの排気弁12とを有してなる4弁エンジンとされているが、これに限ったものではなく、例えば、図15に示すように、各シリンダ2毎に1つの吸気弁11(吸気ポート9)と2つの排気弁12(排気ポート10)とを有してなる3弁エンジンであってもよい。