JP4861136B2 - 蓄熱機能付吸着材の製造方法及び蓄熱機能付吸着材並びにキャニスター - Google Patents
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Description
上記蓄熱機能付吸着材によれば、吸着材の吸脱着熱による温度の上昇および下降を蓄熱材の蓄熱機能により防止して、吸着材の吸着・脱着性能の低下を防止することができる。
ここで、キャニスターとは、一般に、車両等の内燃機関に供給される蒸散燃料(ガソリン等)が外部(大気中など)に放出されるのを防止するために、車両の停車時等には余剰の蒸散燃料をケース内の吸着材に吸着し、走行時等にはケース内に大気をパージガスとして導入して、吸着された蒸散燃料を脱着し、改めて内燃機関等に供給するものである。
さらに、このような固体化した蓄熱カプセルと吸着材とを混合した蓄熱機能付吸着材を、例えば、上記キャニスターのケース内に充填した場合などには、当該ケース内に存在する湿気や水分等が蓄熱カプセルの外郭を劣化させて、当該外郭を破壊し、当該外郭内に封入された相変化物質を外部に漏出させてしまうおそれがある。
このような相変化物質の外部への漏出は、蓄熱機能を低下させるとともに、吸着・脱着性能の低下を招くおそれがある。
そして、この酸処理を行う際、固体状の蓄熱カプセルである粉末状の蓄熱カプセルをバインダーとともに粒状に成型して粒状蓄熱材とした後、当該粒状蓄熱材を酢酸水溶液中に浸漬させる。
すなわち、蓄熱カプセルのカプセル化の際には、通常、界面活性剤の溶液中に相変化物質を溶解させて乳化させた後、高分子化合物の重合反応を行うが、このようにしてカプセル化を行うと当該界面活性剤が蓄熱カプセルの外郭(高分子化合物)中に残存する。この残存した界面活性剤は親水性の親水基を有するため、蓄熱カプセルの外郭が水分と結合し易くなり、この外郭が水分により劣化を生じるおそれがある。そこで、界面活性剤の親水基を酢酸水溶液中に浸漬させる酸処理により変化させ、水分との結合を防止して耐水性を向上させることができる。
また、実質的には上記膜に存在する孔が減少しているので、湿気や水分等が存在する条件下においても蓄熱カプセルの外郭が劣化させられて破壊され、当該外郭内に封入された相変化物質が外部へ漏出することを防止できる。
これにより、蓄熱材と吸着材とを単に混合した場合などにおいて、使用条件等により蓄熱材と吸着材とが分離・分級して、吸着材からの吸脱着熱を適切に蓄熱できないことによる吸着性能の低下を防止することができ、高い吸脱着性能を維持可能な一体成形蓄熱機能付吸着材を得ることができる。
〔第1実施形態〕
本方法は、図1に示すように、温度変化に応じて潜熱の吸収および放出を生じる相変化物質1を外郭中に封入してなる蓄熱カプセル3を含んで構成される蓄熱材4と、吸着材5とを混合して蓄熱機能付吸着材10を製造する方法であり、さらに図5に示すように、蓄熱カプセル3に対して、蓄熱カプセル3の外郭を構成する高分子化合物2中に残存する界面活性剤の親水基を変化させる酸処理を行うものである。すなわち、本方法では、カプセル化処理後の固体状の蓄熱カプセル3に酸処理を行う際、固体状の蓄熱カプセルである粉末状の蓄熱カプセル3bをバインダー6とともに粒状に成型して粒状蓄熱材4aとした後、当該粒状蓄熱材4aを酢酸水溶液22中に浸漬させ、高分子化合物2に残存する界面活性剤の親水基を変化させて親水性を低下させ、耐水性を向上させる。
蓄熱カプセル3は、図1に示すように、温度変化に応じて潜熱の吸収および放出を生じる相変化物質1を外郭中に封入してなるマイクロカプセルにより構成される。
上記相変化物質1としては、相変化に伴って潜熱の吸収および放出を生じる化合物であれば、特に制限されないが、蓄熱機能付吸着材10の用途に対応して相変化を生じる温度(例えば融点、凝固点など)に応じて化合物を選択することができ、例えば、融点が−150℃〜100℃程度、キャニスター30用として好ましくは、0℃〜50℃程度の有機化合物および無機化合物からなる。具体的に例示すると、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサンなどの直鎖の脂肪族炭化水素、天然ワックス、石油ワックス、LiNO3・3H2O、Na2SO4・10H2O、Na2HPO4・12H2Oなどの無機化合物の水和物、カプリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、炭素数が12〜15の高級アルコール、パルミチン酸メチル等のエステル化合物などを用いることができる。なお、相変化としては、固体−液体間等の相変化を例示することができる。
上記相変化物質1は、上記から選ばれる2種以上の化合物を併用してもよい。2種以上の相変化物質1を併用する場合、各相変化物質1の相変化を生じる温度の差が、0℃〜100℃程度、キャニスター用として好ましくは、0℃〜15℃となるような組み合わせが好ましい。
また、相変化物質1の過冷却現象を防止するために、必要に応じて相変化物質1の融点より高融点の化合物を添加して用いてもよい。
蓄熱カプセル3の外郭と相変化物質1との重量比(外郭:相変化物質1)は、特に制限されないが、通常40:60〜5:95程度、好ましくは30:70〜10:90程度である。
蓄熱カプセル3の平均粒子径は、必要な蓄熱量、カプセル強度から適宜選択することができるが、所望の蓄熱性能を確保しつつ、蓄熱カプセル3の破壊を防止することができる、数μm〜数十μm程度の平均粒子径が好ましい。
図1に示すように、蓄熱材4は、上記蓄熱カプセル3を含んで構成され、吸着材5と混合できればよく、本実施形態の場合、粉末状の蓄熱カプセル3bを用いる。すなわち、蓄熱カプセル3を含む分散液3aを乾燥させることにより粉末状の蓄熱カプセル3bを得ることができ、さらに、粉末状の蓄熱カプセル3bをバインダー6と混錬して公知の造粒機により粒状の蓄熱材4aとすることができる。
バインダー6としては、公知のバインダー(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)を用いることができるが、蓄熱機能付吸着材10の使用用途、条件に応じて、適宜選択することができ、例えば、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、アミドエステル等を用いることができる。特に、当該蓄熱機能付吸着材10をキャニスター30に用いる場合には、耐溶剤性(耐蒸散燃料性)、耐水性が要求されるため、この要求を満たすバインダー6を用いることが必要である。例えば、フェノール系、アクリル系、イソシアネート系、メラミン系、ウレタン系、アミドエステル系等の熱硬化性樹脂で、粒状蓄熱材4のJIS硬度(JIS K 1474)が90%以上となる熱硬化性樹脂が好ましい。
粒状蓄熱材4aの形状は、特に制限されないが、ペレット(円柱状、球状)、ディスク、ブロック、ハニカム等の任意の形状に成型することができる。また、平均粒子径は、特に制限されないが、通常、0.1mm〜4mm程度、好ましくは0.3mm〜3.5mm程度、より好ましくは0.5mm〜2.5mm程度から選択することができる。なお、後述する一体成型蓄熱機能付吸着材10a(蓄熱材4と吸着材5とをバインダー6とともに混合して、一体成型した吸着材)との関係では、粒状蓄熱材4aの平均粒子径よりも一体成型蓄熱機能付吸着材10aの平均粒子径の方が大きく成型される。
吸着材5は、ガス等を吸着することができる公知の吸着材、キャニスター30の場合には蒸散燃料を吸着することができる公知の吸着材を用いることができるが、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、有機金属錯体(フマル酸銅、テレフタル酸銅、シクロヘキサンジカルボン酸銅など)など、またはこれらの混合物を用いることができる。
吸着材5が吸着対象とするガス等としては、メタン、メタンを主成分とするガス(天然ガス、消化ガスなど)、エタン、プロパン、ジメチルエーテル、CO2、硫化水素、酸素、窒素、NOX、SOX、CO、アセチレン、エチレン、アンモニア、メタノール、エタノール、水、クロロホルム、アルデヒドなどが例示されるが、吸着材5がキャニスター30のケース31内に充填される場合には、蒸散燃料、特に、ガソリンとなる。
吸着材5は、活性炭等を破砕したものを用いてもよいし、破砕したものを粒状に成型して粒状吸着材5aとして用いてもよい。この成型については、粒状蓄熱材4aの場合と同様にバインダー6と混錬して行う。
蓄熱機能付吸着材10は、蓄熱材4と吸着材5とを混合して構成されるが、混合の方法は特に制限されない。例えば、蓄熱材4、吸着材5のそれぞれの粉末を単に混ぜ合わせてもよいし、蓄熱カプセル3の分散液3aを吸着材5の粉末にスプレーしてもよく、また、粒状蓄熱材4aと粒状吸着材5aとを均一に混ぜ合わせるだけでもよい。さらに、図1の蓄熱機能付吸着材10の製造段階において示すように、粒状蓄熱材4aと粒状吸着材5aとを混ぜ合わせた上、バインダー6により一体化して一体成型蓄熱機能付吸着材10aとしてもよい。
一体成型蓄熱機能付吸着材10aは、上記のように粒状蓄熱材4aと粒状吸着材5aとを混ぜ合わせた上、バインダー6により一体化して構成されるが、その形状に特に制限はなく、例えば、ペレット(円柱状、球状)、ディスク、ブロック、ハニカム等の任意の形状に成型することができる。平均粒子径は、特に制限されないが、通常、キャニスター30に用いる場合には、0.5mm〜4mm程度、好ましくは0.5mm〜3.6mm程度、より好ましくは1mm〜3mm程度である。
なお、上記バインダー6としては、粒状蓄熱材4aの場合と同様に、特に制限されず、公知のバインダーを用いることができるが、特にキャニスター30に用いる場合には、耐有機溶剤性、耐水性を有するバインダー6を用いることが好ましい。
本願にあっては、図1に示す、粒状蓄熱材4aの製造段階において、酢酸処理を施す。以下この処理について説明する。
図2、図3に示すように、後加熱処理は、蓄熱カプセル3のカプセル化処理後、すなわち、相変化物質1を乳化して初期縮合物を添加し、乾燥して固体化した蓄熱カプセル3を完成した後に、この完成した蓄熱カプセル3に対し再加熱を行うことができる。
これにより、完成している固体化した蓄熱カプセル3における高分子化合物2の未反応基同士の重合反応が進み、緻密な膜が形成され、重合度が向上して、より強度の高い蓄熱カプセル3を得ることができる。
具体的には、図2に示すように、完成した蓄熱カプセル3の分散液3aを乾燥させて粉末状の蓄熱カプセル3bを製造し、この粉末状の蓄熱カプセル3bを後加熱処理することにより、より強度の高い蓄熱カプセル3を得ることができる。
また、図3に示すように、粉末状の蓄熱カプセル3bをバインダーにより粒状蓄熱材4aとして、この粒状蓄熱材4aに含まれる蓄熱カプセル3を後加熱処理してもよく、さらに、図示はしないが、粒状蓄熱材4aと粒状吸着材5aとをバインダー6により一体化した一体成型蓄熱機能付吸着材10aに含まれる蓄熱カプセル3を後加熱処理してもよい。
酢酸処理としては、後述するような親水基を変化させることで耐水性を向上させることができる酢酸処理として、粒状蓄熱材4aの製造段階において、粒状蓄熱材4aに対し、酢酸が含まれる水溶液中への浸漬を行う。
すなわち、蓄熱カプセル3のカプセル化の際には、界面活性剤の溶液中に相変化物質1を溶解させて乳化させた後、高分子化合物2の重合反応を行うが、このようにしてカプセル化を行うと当該界面活性剤が蓄熱カプセル3の外郭(高分子化合物2)中に残存する。この残存した界面活性剤は親水性の親水基を有するため、蓄熱カプセル3の外郭が水分と結合し易くなり、この外郭が水分により劣化を生じるおそれがある。そこで、界面活性剤の親水基を酸処理により変化させ、水分との結合を防止して耐水性を向上させることができる。
これにより、蓄熱カプセル3のカプセル化処理の際に使用された界面活性剤が、当該蓄熱カプセル3の外郭に残存する場合であっても、蓄熱カプセル3を酢酸処理することで当該界面活性剤の親水性を低下させ、蓄熱カプセル3の耐水性を向上させることができる。すなわち、本方法では、カプセル化処理後の固体状の蓄熱カプセル3に酢酸処理を行う際、固体状の蓄熱カプセルである粉末状の蓄熱カプセル3bをバインダー6とともに粒状に成型して粒状蓄熱材4aとした後、当該粒状蓄熱材4aを酢酸水溶液22中に浸漬させ、高分子化合物2に残存する界面活性剤の親水基を変化させて親水性を低下させ、耐水性を向上させる。
例えば、図4に示すように、酸処理は、完成した粉末状の蓄熱カプセル3bをバインダー6とともに成型して粒状蓄熱材4aとする際に、酸を添加することにより行うことができる。
これにより、蓄熱カプセル3の外郭中に残存した界面活性剤の親水基を減少させ、耐水性を向上させた粒状蓄熱材4aを得ることができる。
これにより、蓄熱カプセル3の外郭中に残存した界面活性剤の親水基を減少させ、耐水性を向上させた粒状蓄熱材4aを得ることができる。
(参考例1)
メラミン粉末5gに37%ホルムアルデヒド水溶液6.5gと水10gを加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱しメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整したスチレン無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100g中に、相変化物質1としてヘキサデカン58gを溶解した混合液を激しく攪拌しながら添加し、粒径が6μm程度になるまで乳化を行った。この乳化された水溶液中に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し、70℃で2時間攪拌を行った後、pHを9に調整しカプセル化を行った。このカプセル化処理により、メラミン樹脂からなる外郭中に相変化物質1としてのヘキサデカンが封入された蓄熱カプセル3の分散液3aを得た。反応終了後、蓄熱カプセル3をスプレードライすることにより、約6μmの粒径を有する粉末状の蓄熱カプセル3bを得た。
結果、図6に示すように、粉末状の蓄熱カプセル3bを後加熱処理することにより、熱分析後の粉末状の蓄熱カプセル3bの重量Miは、熱分析前の重量MOからの減少が少なくなり、蓄熱カプセル3の外郭を構成するメラミン樹脂(高分子化合物2)の重合反応が進行して、重合度が高くなり、緻密な膜(外郭)が生成していることが判明した。
また、参考例1に記載の粉末状の蓄熱カプセル3bを用いて、後加熱処理を行わない当該粉末状の蓄熱カプセル3bに対して熱分析を行った場合の結果は、図6に示すように、熱分析後の粉末状の蓄熱カプセル3bの重量Miが、熱分析前の重量MOから約10%程度減少していることが判明した。
また、後加熱処理の温度が上昇するにつれ、メラミン樹脂の未反応基同士の重合により緻密な外郭が構成され、外郭中に封入されている相変化物質1が外郭の外部に漏出することなく外郭中に留まり、熱分析後の粉末状の蓄熱カプセル3bの重量Miの減少が抑えられているものと判断でき、より強固な外郭が構成されているとともに、蓄熱性能の低下は少ないものと判断できる。
特に、図6に示すように、80℃より高温で粉末状の蓄熱カプセル3bを後加熱処理した場合に重量の減少割合が低下するが、好ましくは、100℃以上140℃以下、より好ましくは110℃以上130℃以下で、後加熱処理をすると重量減少割合が低下してよい。
図2に示すように、参考例1と同様にして製造したカプセル化処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを130℃で3時間、後加熱処理した。そして、E10ガソリン90質量%とエタノール10質量%との混合媒体に、当該後加熱処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを所定時間、40℃にて浸漬後、取り出し、ヘキサンにより洗浄して、100℃で真空乾燥し、蓄熱可能な熱量を測定した(図7)。
結果、図7に示すように、E10ガソリンへの浸漬時間が経過しても、蓄熱カプセル3の蓄熱可能な熱量の低下は微小であり、蓄熱性能の低下はほぼ生じていない。これは、後加熱処理を行うことで、メラミン樹脂の未反応基同士の重合により緻密な膜が形成され蓄熱カプセル3の外郭の強度が向上して、E10ガソリン雰囲気下における相変化物質1の漏出が最小限に抑制された結果によるものと判断することができる。
参考例1と同様にして製造したカプセル化処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを後加熱処理せずに、E10ガソリン90質量%とエタノール10質量%との混合媒体に、所定時間、40℃にて浸漬後、取り出し、ヘキサンにより洗浄して、100℃で真空乾燥し、蓄熱可能な熱量を測定した(図7)。
結果、図7に示すように、E10ガソリンへの浸漬時間が経過するにつれ、粉末状の蓄熱カプセル3bの蓄熱可能な熱量は相当低下している。
図4に示すように、粒状蓄熱材4aの製造段階において、参考例1と同様にして製造したカプセル化処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを、1.2質量%酢酸水溶液22、バインダー6としてアミドエステル、水と混合し(酸処理)、直径2mmのペレット(粒状蓄熱材4a)を作成した。このペレットを乾燥後、80℃の水に72時間浸漬後、そのペレットの切断強度を測定した。
結果、切断強度は5Nであった。
図5に示すように、粒状蓄熱材4aの製造段階において、参考例1と同様にして製造したカプセル化処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを、バインダー6としてアミドエステル、および水と混合し、直径2mmのペレット(粒状蓄熱材4a)を作成した。このペレットを乾燥後、pH3.3の酢酸水溶液22に室温で3時間浸漬し(酢酸処理)、取り出して乾燥した。乾燥したペレットを80℃の水に72時間浸漬後、そのペレットの切断強度を測定した。
結果、切断強度は6Nであった。
参考例1と同様にして製造したカプセル化処理後の粉末状の蓄熱カプセル3bを、参考例3および実施例1のように、酸処理を行うことなくバインダー6としてアミドエステル、水と混合し、直径2mmのペレットを複数作成した。このペレットを乾燥後、80℃の水に72時間浸漬後、これらペレットの切断強度を測定した。
結果、切断強度は1〜1.5Nであった。
上記第1実施形態では、本方法により製造された蓄熱機能付吸着材10の用途は特に限定していないが、当該蓄熱機能付吸着材10を、特にキャニスター30に用いることもできる。
ここで、キャニスター30とは、一般に、車両等の内燃機関に供給される蒸散燃料(有機溶剤等)が外部(大気中など)に放出されるのを防止するために、車両の停車時等には余剰の蒸散燃料をケース31内の吸着材5に吸着し、走行時等にはケース31内に大気をパージガスとして導入して、吸着された蒸散燃料を脱着し、改めて内燃機関等に供給するものである。
また、当該キャニスター30のケース31内に充填された蓄熱機能付吸着材10は、ガソリン等の蒸散燃料に接触するとともに、大気などに含まれる水分に接触することから耐溶剤性(例えば、耐ガソリン性)、耐水性が要求される。
このようなキャニスター30においては、車両停止時等には燃料タンクから流入口を通じて流入した蒸散燃料が、ケース31内の流通路に充填された蓄熱機能付吸着材10に吸着され、車両走行時には当該吸着された蒸散燃料が、大気流入口から流入した大気により脱着させられて、当該蒸散燃料が流出口から内燃機関へ供給され燃焼させられる、という蒸散燃料の吸着・脱着操作が行われる。
2:高分子化合物(外郭)
3:蓄熱カプセル
4:蓄熱材
4a:粒状蓄熱材
5:吸着材
6:バインダー
10:蓄熱機能付吸着材
10a:一体成型蓄熱機能付吸着材
22:酢酸水溶液
30:キャニスター
31:ケース
Claims (4)
- 温度変化に応じて潜熱の吸収および放出を生じる相変化物質を外郭中に封入してなる蓄熱カプセルを含んで構成され、界面活性剤が当該外郭を構成する高分子化合物に残存する蓄熱材と、吸着材とを混合してなる蓄熱機能付吸着材の製造方法であって、
カプセル化処理後の固体状の蓄熱カプセルに酸処理を行う際、前記固体状の蓄熱カプセルである粉末状の蓄熱カプセルをバインダーとともに粒状に成型して粒状蓄熱材とした後、当該粒状蓄熱材を酢酸水溶液中に浸漬させ、前記高分子化合物に残存する前記界面活性剤の親水基を変化させて親水性を低下させ、耐水性を向上させる蓄熱機能付吸着材の製造方法。 - 前記蓄熱機能付吸着材を、前記蓄熱材と前記吸着材とをバインダーとともに混合して一体成形した一体成形蓄熱機能付吸着材とする請求項1に記載の蓄熱機能付吸着材の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の蓄熱機能付吸着材の製造方法により製造された蓄熱機能付吸着材。
- 請求項1又は2に記載の蓄熱機能付吸着材の製造方法により製造された蓄熱機能付吸着材を、ケース内に充填してなるキャニスター。
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