JP4860542B2 - 高強度自動車部品およびその熱間プレス方法 - Google Patents

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Description

本発明はAl系めっき鋼板を使用して自動車のピラー、ドアインパクトビーム、バンパービーム等の高強度自動車部品、および、高強度部品を製造する際の熱間プレス方法に関する。
近年、地球環境問題を発端とした低燃費化の動きから自動車用鋼板の高強度化に対する要望が強い。しかし一般に高強度化は加工性、成形性の低下を伴い、高強度、高成形性を両立する鋼板が望まれている。
これに対応するものの1つとして、残留オーステナイトのマルテンサイト変態を利用したTRIP(TRansformation Induced Placiticity)鋼があり、近年用途が拡大しつつある。この鋼により、成形性の優れた1000MPa級の高強度鋼板は製造することは可能であるが、更に高強度、例えば1500MPa以上というような超高強度鋼で成形性を確保することは困難である。
そこで、高強度、高成形性を両立する別の形として最近注目を浴びているのが熱間プレス(ホットプレス、ホットスタンプ、ダイクエンチ、プレスクエンチ等とも呼称される)である。これは鋼板を800℃以上のオーステナイト域で加熱した後に熱間で成形することにより高強度鋼板の成形性の課題を無くし、成型後の冷却により焼きを入れて所望の材質を得るというものである。
この工法は超高強度の部材を成形する方法として有望であるが、通常は大気中で鋼板を加熱する工程を有しており、表面に酸化物(スケール)が生成するので、これをショットブラストや酸洗等の後工程で除去する必要があった。ところがショットブラストでは完全にスケールを排除することが難しく、またショットによる変形の可能性があった。酸洗も廃水処理等をする必要があり、環境負荷の観点から対応策を講じる必要がある場合があり、これらが製造コストアップに繋がる場合があった。これを改善する技術として、0.15〜0.5%の炭素を含有する鋼板にAlめっきした試料を使用して加熱時の酸化抑制を図る技術が知られており、例えば特開2003-181549号公報、特開2004-244704号公報に開示されている。
特開2003-181549号公報 特開2004-244704号公報
これら公報に開示された技術は塗装後耐食性に優れた高強度の成形部品を効率良く製造するのに有効であるが、なお以下のような課題を抱えていた。すなわちAl系めっきの付着量が多い場合には良好な耐食性を発揮するが、付着量が少ない場合には十分な耐食性が得られないという問題があった。特開2004-244704号公報によると付着量両面80g/m2の場合300〜900℃までを40℃/秒以上で昇温する必要があり、このような急速加熱をブランク全体で均一に行うことは極めて困難であった。
本発明者らは上記の課題を克服するためにAl系めっき鋼板を加熱した際の適正な合金層構造並びにこれを得るための加熱条件を詳細に検討した結果、以下の知見を得た。特開2004-244704号公報あるいは新日鉄技報第378号p.15にも示されているようにAl系めっき鋼板を加熱合金化した後の断面組織は複層構造を示し、典型的には5層構造となる。このときの断面組織を第1図に示す。表面より1〜5層としたときにこれらの層中のAl濃度はそれぞれ約50%、約30%、約50%、約25%、約10%となっている。残部はFe及びSiである。これら合金層の耐食性はAl量にほぼ依存し、Al量が高いほど耐食性に優れる。従って1、3層が最も耐食性に優れている。
ところが第1図に示すような構造のときに塗膜下腐食は1層、3層で優先的に起こる。実際の腐食試験後の断面を図2に示す。そうすると1層の腐食に伴い塗膜膨れが発生して結果として腐食の程度は大きくなくても塗膜膨れが起こりやすいという欠点があった。このような塗膜膨れを抑制するためには全体のめっき付着量を増大させる必要があった。めっき付着量を増大させると成形時に金型へのめっき粉の付着し、これが堆積することでプレス品のカジリ等が起こる懸念があり、頻繁な金型保守が必要になる。本願発明においては合金層構造を最適化することで塗膜膨れを抑制するものである。こうすることでカジリの抑制が可能で金型保守も容易となる。
本願発明はこのような理由から合金層構造を規定するものである。またこのような合金層構造を得るための加熱方法についても規定する。その要旨とするところは以下の通りである。
(1)表面にFeAl2、Fe2Al5、FeAl3、FeAl、Al固溶α-Feの2種以上から成る合金層を有し、Hv400以上の硬度を持つ鋼部品であって、この合金層の組織が3層構造であることを特徴とする高強度自動車部品。
(2)前記被覆層中のAl:40%以下の相の面積率であって、鋼板の表面に垂直な任意の断面をナイタールエッチングした後に顕微鏡観察し、画像解析して算出した面積率が20%以下であることを特徴とする(1)に記載の高強度自動車部品。
(3)前記被覆層の厚みが30μm以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の高強度自動車部品。
(4)鋼成分として質量%でC:0.05〜0.7%、Si:0.1〜1%、Mn:0.7〜2%、P:0.003〜0.1%、S:0.003〜0.1%を含有する鋼にAlを主体とするめっきを施した鋼板を使用して自動車部材を熱間プレス法で製造するに際し、プレス前到達板温が850℃以上でかつ600〜850℃間の平均昇温速度が4℃/秒以上となるように加熱することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の高強度自動車部品の熱間プレス方法。
(5)加熱炉として近赤外線加熱を使用することを特徴とする(4)に記載の高強度自動車部品の熱間プレス方法。
本発明によれば、Al系めっき鋼板を使用して熱間プレス工法により高強度部材を、めっき剥離をほとんど生じることなく製造でき、その工業的意義は極めて大きい。
Al系めっき鋼板を加熱したときの合金層構造について説明する。第1図 に代表的な合金化後の断面組織を示すが、合金化後のFe-Al系被覆層は一般に5層構造となることが多い。これを第1図では1層〜5層で表している。1層、3層の層中のAl濃度は約50%、第2層のAl濃度は約30%、第4層、第5層はそれぞれ15〜30%、1〜15%の幅を持つ組成となる。第4層と第5層の界面付近にボイドの生成が観察されることもある。なお第5層下部の組織は鋼素地であり、マルテンサイトを主体とする焼入組織となっている。第6図にFe-Aの二元系状態図を示す。1層、3層はFeAl2を主成分とし、4層、5層はそれぞれFeAl、αFeに対応する。2層はFe-Al二元系状態図から説明できないSiを含有する層でその詳細は未だ明らかではないが、FeAl2とFe-Al-Si化合物が微細に混じりあったようなものであると推定している。
本発明において熱間プレス工程前の加熱炉内で生成する合金層の組織を規定する。この組織は熱間プレス工程によって変化しないため最終的な部品の組織と一致する。塗装後耐食性を向上させるためには表面にAl、Feを主成分とする金属間化合物から成り、該金属間化合物の組織が3層構造であるような被覆層を有することが必要で、更には該金属間化合物中のAl:40%以下の相の面積率が20%以下とすることが望ましい。
ここで被覆層は加熱工程前にはAl系めっきであるが、加熱工程で表面までFeが拡散して金属間化合物に変化するものとする。表面に金属Alが存在しないということを意味し、これは表面よりX線回折でAlのピークを検出することで容易に確認できる。
また「3層構造」とは第1図に示すような5層構造と異なるもので、代表的な組織を図3、図4に示す。第1図と図3の対比より分かるように、図3の組織は第1図の2層が分断された形となっている。第1図を見て分かるように5層構造の場合でも2層は長さ100μm当たり1〜2個程度の微細な分断を有しているが、この程度の分断を有する組織は層構造とみなす。通常は最表層はFeAl2を主成分としてよりFe、Si含有量の多い相を内在する層、2層はFeAl、3層はαFeであることが多い。これらの組成、結晶構造を分析するにはEPMA、SEM-EDS、TEM等の手法がある。
本発明において上記の条件に加えて金属間化合物からなる被覆層の組織がAl:40%の相の面積率が20%以下であることが塗装後耐食性を確保するためにより好ましいことを知見した。「Al:40%の相」とは第1図の2層、4層、5層に相当し、これらの相の合計が20%以下とすることが極めて有効である。合金層構造の比率は断面の光学顕微鏡観察を画像解析等の手法で定量するものとする。なお図4に本発明による合金層組織を示す。この写真において2層は光学顕微鏡では観察できないほど微細になっている。
このような組織を得るための加熱方法についても知見が得られた。合金層構造を律するのは600〜850℃の温度域であり、この温度範囲を一定以上の速度で昇温することで分断された2層あるいはAl:40%以下の相を20%以下とすることができる。加熱方式は輻射加熱が望ましいが特に限定はしない。輻射加熱は熱が外部から入るのに対して、他の急速加熱法である通電加熱や高周波誘導加熱は熱が鋼板内部から発生する。この熱の発生の仕方が影響してやや輻射加熱方式の方が好ましい組織をとりやすいと考えている。
次に、本発明の限定理由について説明する。
本願発明は最表面まで合金化して金属間化合物としたときの該金属間化合物中のAl:40%以下の相の面積率を規定する。Al-Fe-Si系状態図において生成しうる化合物数は10種類にも達するが、Fe-AlあるいはαFe中のAl濃度は900℃において約33%のためこれらの相を主体とするときには金属間化合物中のAl量は40%以下となる。この相の面積率が20%以下とする。図6にFe-Alの二元系状態図を示す。Fe-Al系金属間化合物において耐食性を決定するのは主にはその相中のAl量で、低Alの相が少ないほど全体の耐食性は向上するためである。下限は特に設けない。これはAlとFeとは相互拡散しているためAl量が1〜2%という相も生成しうるためである。またSi量についても特に制限しない。先述したように耐食性を律するのは主としてAlであるためである。なおαFeはAlの固溶したフェライト相で厳密な意味では金属間化合物ではないが他の相との境界が明瞭ではないために本発明においてはこの相も金属間化合物と称する。
次に該金属間化合物から成る被覆層の厚みについて述べる。ここで言う被覆層とは図1 でいう1〜5層の合計に相当し、5層と鋼板の界面は2〜3vol%のナイタールエッチングをすることで容易に判別できる。前述したようにこの層の厚みが厚いほど耐食性は向上するが、その反面加工時に欠落し易くなるために薄くて耐食性を確保することが最も望ましい。本発明は金属間化合物の構造を制御することで耐食性を向上さしめるもので厚み30μm以下でも十分な耐食性を得ることができる。必要以上の厚みは不要ではあるが、厚み40μmあるいはそれ以上であっても、加工性は低下する傾向にあるものの、耐食性という観点からはより安定するため、用途によってはこのようなめっき厚とすることも可能である。下限は特に設けないが、溶融めっき法で安定して製造できるめっき厚みの下限から5μm程度が事実上の下限となる。
次に鋼成分の限定理由を述べる。本発明は金型によるプレスと焼入を同時に行うところに特徴があり、鋼板としては焼入されやすい成分である必要がある。この焼入性の向上という目的から鋼中C量は0.05%以上であることが望ましく、またC量が高すぎると鋼板の靱性の低下が著しくなるため、0.7%以下が望ましい。これ以外の鋼成分について、Si:0.1〜1%、Mn:0.7〜2%、P:0.003〜0.1%、S:0.003〜0.1%であることが望ましい。Mnは焼入れ性に寄与する元素で0.7%以上の添加が有効である。一方焼入れ後の靭性という観点からは2%を超えることは好ましくない。Siを1%超添加するとAlめっき性が低下し、P、Sをそれぞれ0.1%超添加すると焼入れ後の靭性が低下する。Si、P、Sをそれぞれ0.1、0.003、0.003%以下とすることは製鋼工程における経済合理性に反する。なお焼入性向上という点から更にCr、B、Tiの添加が好ましい。添加する場合にはCr:0.05〜1%、Ti:0.01〜0.1%、B:0.001〜0.01%の範囲とすることが望ましい。
その他の元素として、 A l 、 N 、 M o 、 N b 、 N i 、 C u 、 V 、 S n 、 S b 等の添加がありうる。望ましい添加範囲はA l : 0 . 1 % 以下、N : 0 . 0 1 % 以下、C r : 2 % 以下、M o : 0 . 5 % 以下、T i : 0 . 5 % 以下、N b : 0 . 1 % 以下、B : 0 . 0 5 % 以下、N i : 1 % 以下、C u : 1 % 以下、V : 0 . 1 % 以下、S n 、 S b : 0 . 1 % 以下である。
この鋼板を使用してホットプレスをする際の加熱条件としては輻射加熱を使用し、到達板温が850℃以上かつ600〜850℃間の平均昇温速度が4℃/秒以上とすることが望ましい。850℃以上に昇温するのは鋼板をオーステナイト域まで加熱するためである。また加熱のときの加熱方法並びに加熱条件を適正にすることで望ましい合金層組織とすることができる。高速昇温が可能な輻射加熱の方式として近赤外線加熱方式があり、このような加熱方式が望ましい。
プレスされた後の部品は溶接、化成処理、電着塗装等を経て製品となる。通常はカチオン電着塗装が用いられることが多く、その膜厚は1〜30μm程度である。電着塗装の後に中塗り、上塗り等の塗装が施されることもある。
鋼板へのAl系めっきの方法については特に限定するものでなく、溶融めっき法をはじめとして電気めっき法、真空蒸着法、クラッド法等が可能である。現在工業的に最も普及しているのは溶融めっき法であり、通常めっき浴としてAl-10%Siを使用することが多く、これに不可避的不純物のFeが混入している。これ以外の添加元素として、M n 、 Cr 、 M g 、 T i 、 Z n 、 S b 、 S n 、 C u 、 N i 、 C o 、 I n 、 B i 、 ミッシュメタル等がありうるが、めっき層がA l を主体とする限り、適用可能である。Z n 、 M g の添加は赤錆を発生し難くするという意味で有効であるが、蒸気圧の高いこれら元素の過剰な添加はZ n 、 M g のヒューム発生、表面へのZ n 、 M g 起因の粉体状物質の生成等があり、Zn : 6 0 % 以上、 M g : 1 0 % 以上の添加は望ましくない。付着量としては表裏両面で60〜200g/m2が望ましい。これより少ないと熱間プレス後の部品の合金層が十分生成せず、耐食性が確保できない。これより多すぎると熱間プレス時にめっき層が十分に合金化せず金型にめっき金属が粉状に付着する。
本発明において、A l めっきのめっき前処理、後処理等については特に限定するものではない。めっき前処理としてN i 、 C u 、 C r 、 F e プレめっき等もありうるが、これも適用可能である。また、めっき後処理としては一次防錆、潤滑性を目的としてクロメート処理、樹脂被覆処理等ありうる。クロメート処理も近年の6 価クロム規制を考慮すると、電解クロメート等の3 価の処理皮膜が好ましい。その他、無機系のクロメート以外の後処理も適用可能である。潤滑性を狙ってアルミナ、シリカ、M o S 2 等を予め処理することも可能である。
( 実施例1 )
通常の熱延、冷延工程を経た、表1 に示すような鋼成分の冷延鋼板( 板厚1 . 2 m m ) を材料として、溶融A l めっきを行った。溶融A l めっきは無酸化炉− 還元炉タイプのラインを使用し、めっき後ガスワイピング法でめっき付着量を調節し、その後冷却した。この際のめっき浴組成としてはA l − 9 % S i − 2 % F e であった。浴中のF e は浴中のめっき機器やストリップから供給される不可避のものである。めっき外観は不めっき等なく良好であった。この鋼板を大気中で加熱し、約7 0 0 ℃ の温度まで大気中で冷却して、その後厚さ5 0 m m の金型間で圧着することで急冷した。このときの金型間での冷却速度は約100℃/秒であった。A l めっきのめっき付着量と、鋼板の加熱条件を変えて試料を作成して、これらの試料の塗装後耐食性を評価した。なお、加熱速度の影響を見るために加熱方法としては高周波誘導加熱法と近赤外線加熱という2種類の方法を使用した。Al40%以下の相の面積率は3%ナイタールエッチング後の断面からの光学顕微鏡組織を画像解析することで求めた。
Figure 0004860542
塗装後耐食性の評価に当たっては、日本パーカライジング(株) 製化成処理液PB−3081Mで化成処理を施し、その後日本ペイント(株) 製カチオン電着塗料パワーニクス110を約20μm厚みで塗装した。その後、カッターで塗膜にクロスカットを入れ、自動車技術会で定めた複合腐食試験(JASO−610M)を150サイクル(50日)行ない、クロスカットからの膨れ幅(両側最大膨れ幅) を測定した。このときの腐食の判定基準を下に示す。
〔膨れ幅〕
○ : 6 m m 以下
△ : 6 m m 超〜 9 m m
× : 9 m m 超
まためっき層の加工性評価のために試料を加熱した後に750℃まで降温させ、750℃で図5の形状に成形加工した。十分冷えた金型で冷却し、冷却速度は部位により異なるが、速い箇所で約100℃/秒、遅い箇所で30℃/秒であった。このときのめっきの加工性(耐剥離性)を評価した。めっき剥離は圧縮面に線状、あるいは点状に発生していた。その加熱条件とめっきの剥離状況の関係を第2表に示す。また、本発明の加熱条件を図2に示す。
密着性評点 ○:めっき剥離無し △:線状に剥離 ×:コーナー部全面剥離
Figure 0004860542
表2に加熱条件とそのときの金属間化合物の組成及び組織並びにそのときの特性を評価した結果を示す。No.1〜7はめっき付着量が80g/m2(表裏両面)でNo.8〜9は160g/m2の鋼板を使用した。600〜850℃間の昇温速度を上げると金属間化合物が3層となり、またAl40%以下の相の面積率も減少する。4℃/秒以上の昇温速度とすることで15μmという比較的めっき量が少なくても良好な塗装後耐食性を得ることが出来る。No.5のような高周波加熱ではややAl40%以下の相が生成しやすい傾向が認められた。Al系めっきの付着量を増大させた場合(No.8〜10)には耐食性は向上するもののめっきの加工性が低下し、金型に粉状の付着物が認められた。また到達温度を上昇させると鋼板からのFeの拡散が活発となりAl40%以下の相の面積率は増大し、塗装後耐食性は低下する傾向にある。塗装後耐食性とめっきの加工性を両立させるためにはNo.3、4のように昇温速度は大きく、到達温度は低く、金属間化合物の厚みは薄い方がよい。
( 実施例2 )
表3に示した様々な鋼成分を持つ冷延鋼板( 板厚1 . 2 m m ) に実施例1 と同じ要領で溶融A l めっきを施した。めっき付着量は両面80g/m2とした。これらのA l めっき鋼板を、近赤外線加熱により600〜850℃間の昇温速度4.5℃/秒、到達温度900℃で加熱し、その後金型焼入した。焼入後の硬度( ビッカース硬度、荷重10k g ) を測定した結果も表3に示しているが、鋼中C量が低いと焼入後の硬度が低下するため、C量として0.05%以上あることが好ましい。
Figure 0004860542
( 実施例3 )
第1表に示した鋼成分を持つ冷延鋼板( 板厚1 . 2 m m ) に実施例1 と同じ要領で溶融A l めっきを施した。めっき付着量は両面80g/m2とした。これらのA l めっき鋼板を、近赤外線加熱により600〜850℃間の昇温速度4.5℃/秒、到達温度800、850、900℃で加熱し、金型焼入れした。焼入れ後の硬度(ビッカース硬度、荷重10kg)を測定したところ、それぞれ340、405、480であった。十分な焼入硬度を得るためには到達温度を850℃以上にすることが必要である。
従来技術によるA l めっき層の加熱後の光学顕微鏡断面組織を示す図である。 従来技術によるA l めっき層の腐食試験後の光学顕微鏡による腐食状況を示す図である。 本発明によるA l めっき層の加熱後の光学顕微鏡断面組織を示す図である。 本発明によるA l めっき層の加熱後の光学顕微鏡断面組織を示す図である。 合金化したA l めっき層の加工性を評価するための成形形状を示す図である。 Fe-Al二元系状態図を示す図である。

Claims (5)

  1. 表面にFeAl2、Fe2Al5、FeAl3、FeAl、Al固溶α-Feの2種以上から成る合金層を有し、Hv400以上の硬度を持つ鋼部品であって、この合金層の組織が3層構造であることを特徴とする高強度自動車部品。
  2. 前記被覆層中のAl:40%以下の相の面積率であって、鋼板の表面に垂直な任意の断面をナイタールエッチングした後に顕微鏡観察し、画像解析して算出した面積率が20%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高強度自動車部品。
  3. 前記被覆層の厚みが30μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度自動車部品。
  4. 鋼成分として質量%でC:0.05〜0.7%、Si:0.1〜1%、Mn:0.7〜2%、P:0.003〜0.1%、S:0.003〜0.1%を含有する鋼にAlを主体とするめっきを施した鋼板を使用して自動車部材を熱間プレス法で製造するに際し、プレス前到達板温が850℃以上でかつ600〜850℃間の平均昇温速度が4℃/秒以上となるように加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の高強度自動車部品の熱間プレス方法。
  5. 加熱炉として近赤外線加熱を使用することを特徴とする請求項4に記載の高強度自動車部品の熱間プレス方法。
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