JP4858676B2 - L−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法 - Google Patents
L−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法 Download PDFInfo
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しかし、上記ベンズアルデヒド誘導体とグリシンからの化学合成法では、高立体選択的な合成が困難なため、スレオ/エリスロ体、D/L体の4種類の異性体が生成し、目的のL−スレオ−DOPSを得るためには繁雑な分離工程が必要となるばかりでなく、D/L体の光学分割にはキニン、ブルシン等の非常に高価な光学分割剤を用いなければならない等の問題点がある。
尚、選択性を表わす指標過剰率(%d.e.)は次の計算式により算出される。L−スレオ体過剰率(%d.e.)={(L−スレオ体−L−エリスロ体)÷(L−スレオ体+L−エリスロ体)}×100
[1]リゾビウム(Rhizobium)属、メソリゾビウム(Mesorhizobium)属、オクロバクトラム(Ochrobactrum)属、シュードアミノバクター(Pseudaminobacter)属およびエンシファー属(Ensifer)から選択される属に属し、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンからL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生産する能力を有する微生物またはその調製物を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンを含有する液と接触せしめ、前記液中にL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法、
[2]微生物がリゾビウム・ラジオバクター(Rizobium radiobacter)、リゾビウム・リゾゲネス(Rizobium rhizogenes)、エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)、エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)、エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)およびエンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)から選択される種に属することを特徴とする前項[1]記載のL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法、および
[3]微生物がリゾビウム・ラジオバクター(Rizobium radiobacter){独立行政法人製品評価技術基盤機構、生物遺伝資源部門保存カタログ番号(NBRC生物資源カタログ):NBRC15296}、リゾビウム・リゾゲネス(Rizobium rhizogenes)(同カタログ番号:NBRC14793、NBRC15196、NBRC15198、NBRC15199、NBRC15200またはNBRC15201)、エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)(同カタログ番号:NBRC100387)、エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)(同カタログ番号:NBRC100383)、エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)(同カタログ番号:NBRC100384)およびエンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)(同カタログ番号:NBRC14782)から選択される微生物の菌株であることを特徴とする前項[1]記載のL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法、
に関する。
リゾビウム属に属す微生物としては、例えばリゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)種に属する独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下、同機構と略記することもある。)、生物遺伝資源部門生物資源カタログ番号NBRC3058,NBRC12607,NBRC12664,NBRC12665,NBRC13532,NBRC13533,NBRC14554,NBRC14555,NBRC15188,NBRC15189,NBRC15190,NBRC15191,NBRC15192,NBRC15193,NBRC15194,NBRC15195,NBRC15292,NBRC15293,NBRC15294,NBRC15295,NBRC15296またはNBRC15297等や,リゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)種に属する同機構保存菌株番号NBRC14793,NBRC15196,NBRC15197,NBRC15198,NBRC15199,NBRC15200,NBRC15201またはNBRC15202等が好ましく挙げられる。
オクロバクトラム属に属す微生物としては、例えばオクロバクトラム・アントロピ(Ochrobactrum anthropi)種に属する同機構保存菌株番号NBRC15819等,オクロバクトラム・インターメディウム(Ochrobactrum intermedium)種に属する同機構保存菌株番号NBRC12951,NBRC13694またはNBRC15820等,あるいはオクロバクトラム・エスピー(Ochrobactrum sp.)種に属する同機構保存菌株番号NBRC12950,NBRC12952またはNBRC12953等が好ましく挙げられる。
シュードアミノバクター属に属す微生物としては、例えばシュードアミノバクター・デフルビ(Pseudaminobacter defluvii)種に属する同機構保存菌株番号NBRC14570等が好ましく挙げられる。
エンシファー属に属す微生物としては、例えばエンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100387またはNBRC100388等,エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100383等,エンシファー・フレディ(Ensifer fredii)種に属する同機構保存菌株番号NBRC14780等,エンシファー・コスティエンシス(Ensifer kostiensis)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100382等,エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100384等,エンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)種に属する同機構保存菌株番号NBRC14782等,エンシファー・サヘリ(Ensifer saheli)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100386等,またはエンシファー・キシンジアンエンシス(Ensifer xinjiangensis)種に属する同機構保存菌株番号NBRC100018等が好ましく挙げられる。
これらの微生物の中でもリゾビウム・ラジオバクター、リゾビウム・リゾゲネス、エンシファー・アドヘレンス、エンシファー・アルボリス、エンシファー・メディカまたはエンシファー・メリロティがより好ましく、NBRC15296、NBRC14793、NBRC15196、NBRC15198、NBRC15199、NBRC15200、NBRC15201、NBRC100387、NBRC100383、NBRC100384またはNBRC14782が特に好ましい。
また、これら微生物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を一緒に使用してもよい。
尚、これらの微生物は独立行政法人製品評価技術基盤機構(日本、木更津)に保存されている菌株であり、誰にでも容易に入手することができる。
炭素源としては、例えばグルコース、フルクトース、シュークロース、マンノース、マルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、澱粉、糖蜜、ソルビトールまたはグリセリン等の糖質および糖アルコール、酢酸、クエン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸またはグルコン酸等の有機酸、エタノールまたはプロパノール等のアルコール等が挙げられる。また、所望によりノルマルパラフィン等の炭化水素等も用いることができる。炭素源は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これら炭素源の培地における濃度は通常約0.1〜10%(wt)程度である。
窒素源の培地濃度は、使用する窒素化合物によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。
無機塩類の培地濃度は、使用する無機塩によっても異なるが、通常約0.01〜1.0%(wt)程度である。
栄養物質の培地濃度は、使用する栄養物質によっても異なるが、通常約0.1〜10%(wt)程度である。
反応液と微生物またはその調製物との接触方法は、公知の方法、例えばバッチ方式または連続方式(例えば、カラム法、固定化微生物、固定化酵素法等)など、いずれの方法も用いることができる。また、反応液と微生物をフィルターなどにより分離し、微生物を連続的に回収し、繰り返し再使用することもできる。
また、本発明の反応は、好気、嫌気いずれの条件でも行なうことができる。また、反応液と微生物の反応は、微生物が生存できる条件、例えば上記微生物の培養における条件と同様の条件で実施することが好ましい。
また。反応液には、所望により例えば2−メルカプトエタノールのような還元剤を添加することもできる。
反応液中から合成されたL−スレオ−DOPSの採取および精製は、イオン交換樹脂、吸着樹脂やシリカゲル等のクロマト分離、酢酸エチルやトルエン等の有機溶媒を用いた溶媒抽出、溶解度の差を利用した分別結晶化等を組み合わせて行なうことができる。
培地A:
ポリペプトン1.0%,酵母エキス0.2%,硫酸マグネシウム0.1%,ビリドキシン0.05%,pH7.0
培地B:
グルコース1.0%,ポリペプトン1.0%,酵母エキス0.2%,硫酸マグネシウム0.1%,ビリドキシン0.05%,pH7.0
反応は以下の条件で行なった。
反応液組成:
30mg/mL 3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド
と300mg/mL グリシン混合溶液 333μL
0.6mg/mL ビリドキサール−6−リン酸 25μL
2−メルカプトエタノール 1μL
無細胞抽出液 141μL
反応温度: 37℃
反応時間: 3時間
反応終了後、反応液に1.5mLのメタノールを添加し攪拌混合し反応を停止させ、遠心分離により沈殿を除去した上清の反応混合物中に存在するL−スレオ/エリスロ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析・定量した。
HPLCの分析条件は以下の通りである。
カラム:コスモシル5C18−MS(Φ4.6×150mm)
カラム温度:30℃
移動相:0.1%1−ヘプタンスルホン酸(リン酸でpH2.5に調整)/メタノール/1,4−ジオキサン=500/50/15
流速:0.75mL/分
検出器:UV220nm
Claims (3)
- リゾビウム・ラジオバクター(Rhizobium radiobacter)、リゾビウム・リゾゲネス(Rhizobium rhizogenes)、メソリゾビウム・シセリ(Mesorhizobium ciceri)、メソリゾビウム・フワクイ(Mesorhizobium huakuii)、メソリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、オクロバクトラム・アントロピ(Ochrobactrum anthropi)、オクロバクトラム・インターメディウム(Ochrobactrum intermedium)、オクロバクトラム・エスピー(Ochrobactrum sp.)、シュードアミノバクター・デフルビ(Pseudaminobacter defluvii)、エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)、エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)、エンシファー・フレディ(Ensifer fredii)、エンシファー・コスティエンシス(Ensifer kostiensis)、エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)、エンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)、エンシファー・サヘリ(Ensifer saheli)、およびエンシファー・キシンジアンエンシス(Ensifer xinjiangensis)から選択される種に属し、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンからL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生産する能力を有する微生物またはその調製物を、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドとグリシンを含有する液と接触せしめ、前記液中にL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンを生成蓄積せしめ、これを採取することを特徴とするL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法。
- 微生物がリゾビウム・ラジオバクター(Rizobium radiobacter)、リゾビウム・リゾゲネス(Rizobium rhizogenes)、エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)、エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)、エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)およびエンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)から選択される種に属することを特徴とする請求項1記載のL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法。
- 微生物がリゾビウム・ラジオバクター(Rizobium radiobacter){独立行政法人製品評価技術基盤機構、生物遺伝資源部門保存カタログ番号(NBRC生物資源カタログ):NBRC15296}、リゾビウム・リゾゲネス(Rizobium rhizogenes)(同カタログ番号:NBRC14793、NBRC15196、NBRC15198、NBRC15199、NBRC15200またはNBRC15201)、エンシファー・アドヘレンス(Ensifer adhaerens)(同カタログ番号:NBRC100387)、エンシファー・アルボリス(Ensifer arboris)(同カタログ番号:NBRC100383)、エンシファー・メディカ(Ensifer medicae)(同カタログ番号:NBRC100384)およびエンシファー・メリロティ(Ensifer meliloti)(同カタログ番号:NBRC14782)から選択される微生物の菌株であることを特徴とする請求項1または2記載のL−スレオ−3,4−ジヒドロキシフェニルセリンの製造法。
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