JP4858160B2 - ガス分離膜およびその使用方法 - Google Patents

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本発明は、スキン層と多孔質層とから構成される非対称構造を有するガス分離膜であって、膜透過成分(ガス)が多孔質層を透過するときの抵抗を小さくすることによって膜透過成分の膜透過速度を大きくしていること、且つ、中空糸ガス分離膜として実用レベル以上の機械的強度を持っていること、且つ、優れた耐水性及び耐熱水性を有していることを特徴とするガス分離膜に関する。また、前記のガス分離膜を用いたことを特徴とする除湿方法及び加湿方法に関する。
種々のガス分離方法においてガス分離膜が使用されている。これらの多くは、ガス選択透過性が高いガラス状ポリマーで形成されたガス分離膜である。概して、ガラス状ポリマーはガス選択透過性(分離度)は高いけれども、ガス透過係数が小さいという短所がある。このため、多くのガラス状ポリマーで形成されたガス分離膜は、多孔質層(支持層)と薄いスキン層(分離層)とから構成される非対称構造、すなわち、ガスの透過抵抗を生じる分離層を薄くしてガス透過速度が小さくなりすぎないようにして用いられている。
ガス分離膜は、通常、中空糸膜の多数本(例えば、百本から数十万本)を集束して中空糸束とし、その中空糸束の少なくとも一方の端部をエポキシ樹脂のような硬化性樹脂やホットメルト型熱可塑性樹脂などで前記端部において中空糸膜が開口状態となるように固着して中空糸分離膜エレメントを構成し、更に、単数又は複数の前記中空糸分離膜エレメントを少なくとも混合ガスの導入口、透過ガスの排出口、非透過ガスの排出口を有する容器内に、中空糸膜の内側へ通じる空間と中空糸膜の外側へ通じる空間が隔絶するように装着されて構成される中空糸ガス分離膜モジュールとして用いられる。中空糸ガス分離膜モジュールにおいては、混合ガスは中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流る間に混合ガス中の特定成分(膜透過成分)が選択的に膜を透過して透過ガスの排出口から回収され、特定成分(膜透過成分)が除かれたガスが非透過ガスの排出口から回収されることによって、ガス分離がおこなわれる。
ポリマーの混合物からなるガス分離膜については、特許文献1は、特定構造を持つ2種以上のポリイミドの混合物からなるガス分離膜を開示し、ポリイミドのブレンド比によって酸素や窒素の透過速度を直線的にコントロールできることを示している。また、特許文献2はフェニルインダン残基を含有するポリイミドと特定のポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドとの混合物からなるガス分離膜を開示している。また、特許文献3は特定のポリエーテルスルホンと特定の芳香族ポリイミドと特定の芳香族ポリイミド又はポリアミド又はポリアミドイミドとの混合物からなるガス分離膜を、特許文献4は特定のポリエーテルスルホンと特定の芳香族ポリイミドとの混合物からなるガス分離膜を開示している。しかしながら、これらの公報では、水蒸気透過速度や多孔質層のガス透過抵抗については言及していない。また、極めて高い水蒸気透過速度を持ち、且つ、非対称中空糸膜として工業的にモジュール化して実際に用いることができるレベルの機械的強度を併せ持ったガス分離膜については開示も示唆もなかった。
水蒸気が膜透過成分である除湿膜や加湿膜では、耐水性及び耐熱水性が重要である。しかしながら、水蒸気を含むガスの透過速度を改良した膜においては、しばしば耐水性及び耐熱水性が劣るものがあった。特許文献5では、耐水性及び耐熱水性が優れたポリイミド分離膜を開示しているが、有機蒸気の脱水に用いられるものであって、水蒸気の透過速度は小さいものであった。
米国特許第5055116号公報 米国特許第5248319号公報 米国特許第5608014号公報 米国特許第5917137号公報 特開平2−222717号公報
非対称構造の膜では、膜透過成分(ガス)が膜を透過する透過速度の律速過程は、膜透過成分が膜のスキン層を透過する過程である。膜透過成分が膜の多孔質層を透過する過程は透過抵抗が比較的小さい。このため、多くの場合、膜透過成分が膜の多孔質層を透過する過程の膜透過成分が膜を透過する透過速度に対する影響は、実際上は無視できる。
ところが、スキン層を極めて薄くして膜透過成分が膜を透過する透過速度を極めて大きくする場合や、膜透過成分が膜を極めて透過し易いガスである場合には、膜透過成分が膜を透過する透過速度は、膜透過成分がスキン層を透過する過程のみならず多孔質層を透過する過程によっても無視できない影響を受ける場合がある。この場合には、非対称構造の膜であっても膜透過成分が膜を透過する透過速度を改良する余地があり、これを改良したより高効率でよりコンパクトな高性能ガス分離膜の開発が求められていた。特に、膜を透過する成分が水蒸気の場合は、水蒸気が膜を透過する透過速度が他の無機ガスに比べて極めて大きい(数百倍から数千倍に達することもある)ので、膜を透過する水蒸気の透過速度は多孔質層の透過抵抗によって影響を受ける。このため、水蒸気が多孔質層を透過するときの透過抵抗を小さくすれば水蒸気が膜を透過する透過速度を大きくすることができると考えられ、そのような改良をおこなって水蒸気が膜を透過する透過速度を大きくした高効率でコンパクトな高性能の除湿膜及び/又は加湿膜の開発が求められていた。
しかしながら、非対称構造を有する膜において、単に多孔質層を薄くしたり多孔質層の多孔性を高めることによって、膜透過成分が膜を透過するときの透過抵抗をより小さくして膜透過成分が膜を透過する透過速度を大きくしようとすると、透過速度は大きくできるが多孔質層が担うべき膜の支持機能即ち機械的強度が低下する。このために、向上された膜透過成分が膜を透過する透過速度と、非対称中空糸膜として工業的にモジュール化して実際に用いることができるレベルの機械的強度、言い換えれば、実用レベルの機械的強度との両方を併せ持った実用的な高性能ガス分離膜を得ることは困難であった。
更に、ガス分離膜を除湿や加湿のために用いる時に、膜の耐水性及び耐熱水性が劣ると長期間安定して使用ができなかったり用途が限定されるという問題が生じた。このため、耐水性及び耐熱水性が優れた除湿膜及び/又は加湿膜の開発が求められていた。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、本発明者らは、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で非対称膜を形成することによって、多孔質層の膜透過成分が膜を透過するときの透過抵抗を小さく(透過速度を大きく)しながら、膜の機械的強度を実用レベル以上に保持し得ること、更に、優れた耐水性及び耐熱水性を有するガス分離膜を製造することができることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、スキン層(分離層)と多孔質層(支持層)とから構成される非対称構造を有し、水蒸気透過速度(P’H2O)が2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、水蒸気と窒素の透過速度比(P’H20/P’N2)が50以上である膜において、前記膜の多孔質層(支持層)のヘリウムガスの透過速度(P’He)が2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、破断伸度が10%以上であり、100℃の熱水中で50時間熱水処理した後の中空糸膜の破断伸度が熱水処理前の80%以上保持することを特徴とするガス分離膜に関する。
また、スキン層(分離層)と多孔質層(支持層)とから構成される非対称構造を有し、水蒸気透過速度(P’H2O)が2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、水蒸気と窒素の透過速度比(P’H2O/P’N2)が50以上である膜において、前記膜の多孔質層(支持層)のヘリウムガスの透過速度(P’He)が3.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、破断伸度が10%以上であり、100℃の熱水中で50時間熱水処理した後の中空糸膜の破断伸度が熱水処理前の80%以上保持することを特徴とするガス分離膜に関する。
更に、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で形成されたことを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
更に、中空糸膜での引張強度が3.0kgf/mm2以上、破断伸度が15%以上であることを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
更に、100℃の熱水中で50時間熱水処理した後、中空糸膜の破断伸度が熱水処理前の90%以上を保持することを特徴とする前記ガス分離膜に関する。
更に、前記ガス分離膜を用いることを特徴とする除湿方法、前記ガス分離膜を用いることを特徴とする加湿方法、又、前記ガス分離膜を用いて、燃料電池の供給ガスを除湿及び/又は加湿することを特徴とする除湿及び/又は加湿方法に関する。
本発明において、膜の水蒸気透過速度(P’H2O)、水蒸気と窒素の透過速度比(P’H2O/P’N2)、膜の多孔質層(支持層)のヘリウム透過速度(P’He)は50℃におけるものである。
また、本発明において、前記膜の多孔質層(支持層)のヘリウム透過速度(P’He)は膜の多孔質層(支持層)のガス透過抵抗を示すもの(但し、値が大きい方が抵抗が小さい)として用いており、次のような測定方法で測定した値として規定されるものである。即ち、非対称中空糸膜を酸素プラズマ処理によって表面のスキン層を削り、ヘリウムガスと窒素ガスとの透過速度比が実質的に均質膜の透過速度比とは認められない領域に到達したときのヘリウムガスの透過速度(P’He)である。具体的には、プラズマ処理前のヘリウムと窒素の透過速度比(P’He/P’N2)が20以上の膜をプラズマ処理して、前記透過速度比(P’He/P’N2)が1.2以下になったときのヘリウムガスの透過速度である。このヘリウムガスの透過速度(P’He)の値が大きいと、その膜の多孔質層のガス透過抵抗が小さいことを意味し、ヘリウムガスの透過速度(P’He)の値が小さいと、その膜の多孔質層のガス透過抵抗が大きいことを意味する。
また、本発明における機械的強度は、膜を中空糸としたときの引張試験における引張強度と破断伸度で表わしている。これらは温度23℃にて引張試験機を用いて試料の有効長20mm、引張速度10mm/分で測定した値である。引張り強度は中空糸膜の引張破断時の応力を中空糸の膜断面積で除した値[単位:kgf/mm2]であり、破断伸度は中空糸の元の長さをL0、引張破断時の長さをLとしたときの(L−L0)/L0×100[単位:%]である。
また、本発明では、中空糸膜の耐水性及び耐熱水性を示す指標として、温度100℃の熱水中で50時間熱水処理をおこなった後の引張試験における破断伸度の保持率[単位:%]を用いた。
本発明のガス分離膜は、改良されたガス透過速度を持つ非対称膜であり、しかも、非対称膜として工業的にモジュール化して実際に用いることができるレベルの機械的強度、言い換えれば、実用レベルの機械的強度をも併せ持ち、更に、優れた耐水性及び耐熱水特性を持つ高性能ガス分離膜である。このため、本発明のガス分離膜を用いれば、ガス分離速度が向上したより高効率でよりコンパクトな高性能中空糸ガス分離膜モジュールを提供することができ、高効率のガス分離を実現することができる。また、本発明のガス分離膜は、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で非対称構造を有する膜を形成することで得ることができる。
特に、本発明のガス分離膜を用いることによって、極めて高効率に除湿及び/又は加湿をおこなうことができる。更に、本発明のガス分離膜を用いることによって、固体高分子型燃料電池の供給ガスを、極めて好適に除湿及び/又は加湿することができる。
本発明の非対称ガス分離膜は、多孔質層のガス透過抵抗を小さく(ガス透過速度を大きく)して膜透過成分(特に、水蒸気)の膜の透過速度を改良し、且つ、非対称中空糸膜として工業的にモジュール化して実際に用いることができるレベルの機械的強度、言い換えれば、実用レベルの機械的強度を持ち、且つ、優れた耐水性及び耐熱水性を持っている。
すなわち、本発明は、多孔質層のガス透過速度がヘリウムガスの透過速度(P’He)で2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上となるようにし、且つ、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、破断伸度が10%以上とすることによって、水蒸気透過速度(P’H2O)が2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上の高い透過速度を持ち、且つ、中空糸膜として優れた耐圧性と工業的にガス分離膜モジュールへの加工が可能な実用レベルの機械的強度を持ち、且つ、優れた耐水性及び耐熱水性を持った非対称ガス分離膜である。
また、本発明は、多孔質層のガス透過速度がヘリウムガスの透過速度(P’He)で3.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上となるようにし、且つ、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、破断伸度が10%以上とすることによって、水蒸気透過速度(P’H2O)が2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上の高い透過速度を持ち、且つ、中空糸膜として優れた耐圧性と工業的にガス分離膜モジュールへの加工が可能な実用レベルの機械的強度を持ち、且つ、優れた耐水性及び耐熱水性を持った非対称ガス分離膜である。
膜の多孔質層のガス透過速度が、ヘリウムガスの透過速度(P’He)で2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、好ましくは3.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、より好ましくは3.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であれば、多孔質層のガス透過抵抗は小さくなって膜のガス透過性能への影響は少なくなるか又は実質的に無視できるようになり、膜の水蒸気透過速度(P’H2O)が2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上、更に、2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上のガス分離膜を得ることが可能になる。逆に、膜の多孔質層のガス透過速度がヘリウムガスの透過速度(P’He)で3.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以下、特に、2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以下であると、多孔質層のガス透過抵抗が大きいので、膜のガス透過速度を大きくすることが難しくなり、改良された水蒸気透過速度を持つ高性能ガス分離膜を得ることは難しい。
また、本発明は、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、好ましくは3.0kgf/mm2以上であり、且つ、破断伸度が10%以上、好ましくは15%以上の非対称構造を有するガス分離膜である。このような機械的強度を持った中空糸膜は、容易に破損や破断することなく取扱うことができるので、工業的にモジュール化(ガス分離膜モジュールへの組立て及び加工)をすることができる。更に、このような機械的強度を持った中空糸膜を用いたガス分離膜モジュールは、優れた耐圧性や耐久性を持つので特に有用である。一方、引張強度が2.5kgf/mm2以下、又は、破断伸度が10%以下であると、ガス分離膜モジュールへの組立て及び加工時に中空糸膜が破損や破断を起こし易いので工業的に分離膜モジュールへ組立て及び加工することが困難になり、更に、分離膜モジュールとしても、耐圧性が低くなり用途や使用条件が限定される。また、分離膜モジュール内の中空糸膜は供給され中空糸の内側や外側を流れて排出されるガスの流量、流速、圧力、温度、及び、それらの変動によって、連続的又は断続的に変形応力を受けるので、引張強度が2.5kgf/mm2以下、又は、破断伸度が10%以下であると、容易に破損や破断が発生するので問題が生じ易い。
また、本発明は、水蒸気と窒素との透過速度比(P’H2O/P’N2)が50以上のガス分離膜である。水蒸気と窒素との透過速度比(P’H2O/P’N2)が50以上であると、ガス選択性が実用以上であることを意味し、特に、水蒸気を選択的に透過して、−15℃以下の露点を持つ乾燥空気を容易に得ることができるので除湿膜として有用であるし、又、優れた加湿膜としても有用である。
更に、本発明のガス分離膜は、改良されたガス透過速度と実用レベル以上の機械的強度を有することに加えて、優れた耐水性及び耐熱水性を有する。本発明のガス分離膜は、温度100℃の熱水中で50時間熱水処理した後でも、中空糸膜の破断伸度が熱水処理前の80%以上、特に好ましくは90%以上を保持することができる耐水性及び耐熱水性を有する。このため、本発明のガス分離膜は、加湿膜及び/又は除湿膜として広範囲な用途に使用することができ、且つ、長期間使用しても高性能を維持することができる。
本発明のガス分離膜は、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で膜を形成することで得ることが可能であり、好ましくは、2種類以上のポリイミドの混合物で膜を形成することで得ることが可能である。1種類のポリイミドで多孔質層の多孔性を高めるとガス透過速度は改良できるが、機械的強度は低下するので、本発明のガス分離膜を得ることはできない。尚、前記の1種類のポリイミドとは、一定のモノマー組成が繰返し単位として重合しているポリイミドであり、いわゆるホモポリイミドも、共重合ポリイミドも、1種類のポリマーである。また、本発明において、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物を形成することができるポリイミド以外のポリマーは、特に限定しないが、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、芳香族ポリエーテルイミド、芳香族ポリスルホン、芳香族ポリカーボネートなどを挙げることができる。
本発明で用いる少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物は、少なくとも1種類の高いガス選択透過性(分離度が高く透過速度が大きい)を持つポリイミドと、少なくとも1種類の優れた機械的強度を持つポリイミドあるいはポリイミド以外のポリマーを含むポリマー混合物である。これらのポリマー混合物は同一の溶媒に溶解し得るものである。また、これらのポリマー混合物を溶媒に溶解した溶液は外観上濁りが生じないものが好ましい。外観上明らかに不均一なポリマー混合物溶液を用いると本発明のガス分離膜を得ることはできない。本発明のガス分離膜は、前記のポリマー混合物が溶解したポリマー溶液を用いて、Loebらが提案(例えば、米国特許3,133,132号)した方法、即ち、ポリマー混合物溶液をノズルから押し出して目的形状物とし空気又は窒素雰囲気空間を通過させた後で凝固浴に浸漬する、いわゆる乾湿式法により製造することができる。前記乾湿式法では凝固過程において、目的形状をしたポリマー溶液の溶媒と凝固液中のポリマーに対する貧溶媒との置換によってポリマー相と溶媒相の相分離が進行し、ポリマーが多孔質構造を形成するが、本発明のポリマー混合物溶液の凝固過程の場合には、前記のポリマー相と溶媒相の相分離の進行に加えて、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポりマー間で少なくとも分子鎖レベルの不均一化又は相分離が進行して、より多孔性を高めながら機械的強度の低下は抑制される多孔質構造を形成するものと推定される。ポリマー混合物でなくポリマー混合物と同一のモノマー組成からなる1種類の共重合ポリマーを用いて膜を形成しても、改良されたガス透過速度と実用レベルの機械的強度を併せ持つ高性能ガス分離膜を得ることはできない。
本発明のガス分離膜の製造方法は、より詳しくは次のとおりである。即ち、1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーを同一溶媒に溶解したポリマー混合物溶液を調製し、これをノズルから中空糸状などの目的とする形状に吐出させ、吐出直後に空気又は窒素雰囲気中を通したあと、ポリマー混合物を実質的には溶解せず且つポリマー混合物溶液の溶媒とは相溶性を有する凝固液に浸漬して非対称構造を形成し、その後乾燥、加熱処理を経て分離膜を製造する。ポリマー混合物溶液は、1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの溶液を別々に調製後それらを混合してもよいし、1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーを順次同一溶媒に溶解してもよい。ポリマー混合物溶液の濃度は10〜25重量%が製膜上好ましい。また、ノズルから吐出させるポリマー混合物溶液の溶液粘度(回転粘度)は、吐出温度で50〜15000ポイズ、特に100〜10000ポイズが中空糸状などの吐出後の形状を安定に得ることができるので好ましい。凝固液への浸漬は、一次凝固液に浸漬して中空糸状などの膜の形状が保持できる程度に凝固した後、案内ロールに巻き取られ、次いで二次凝固液に浸漬して膜全体を十分に凝固させることが好ましい。凝固した膜の乾燥は炭化水素などの溶媒を用いて凝固液と置換した後乾燥する方法が効率的である。加熱処理は用いられている1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの軟化点又は二次転移点よりも低い温度で実施されることが好ましい。
本発明のガス分離膜のスキン層の厚さは10〜200nmであり、好ましくは20〜100nmである。また、本発明のガス分離膜の多孔質層の厚さは20〜200μmであり、好ましくは30〜100μmである。スキン層の厚さが10nm以下は製造することが困難であり、200nm以上にするとガス透過速度が小さくなって本発明のガス分離膜を得ることができなくなる。また、多孔質層が20μm以下では機械的強度が小さくなって支持機能が果たせなくなり、200μm以上になると多孔質層のガス透過抵抗が大きくなり改良されたガス透過速度をもったガス分離膜を得ることができなくなる。
本発明のガス分離膜は、中空糸膜として好適に用いられるが、中空糸膜の内径は30〜500μmのものが好適である。また、本発明の中空糸膜は通常のガス分離膜モジュールに組み込んで好適に用いることができる。例えば、中空糸膜は適当な長さで100〜200000本程度が束ねられる。束ね方は、平行配列、交叉配列、織物状でもよく、束の略中心部に芯管があってもよく、束の外周部をプラスチック製のフィルムで取巻かれたものでも構わない。この中空糸束は少なくとも一方の端部において中空糸膜が開口状態を保持した状態で管板によって固着され、少なくとも混合ガスの導入口、透過ガスの排出口、非透過ガスの排出口とを備える容器内に収納され、管板は容器内の空間を隔絶するように容器に密閉して取り付けられる。供給される混合ガスは、中空糸膜の内側又は外側に接する空間へ供給され、中空糸膜に接して流れる間に混合ガス中の特定成分が選択的に膜を透過して透過ガス排出口から回収され、透過されなかった非透過ガスは非透過ガス排出口から排出することによって回収され、ガス分離がおこなわれる。また、透過ガス側の空間に例えば供給された混合ガスと向流になる方向にキャリアガスを流して透過ガスの回収を促進してもよく、その際、キャリアガスとして非透過ガスを用いてもよい。
本発明のガス分離膜は水蒸気透過速度が極めて大きいので、本発明のガス分離膜を用いることによって除湿及び/又は加湿を極めて効率よく好適におこなうことができる。除湿をおこなう場合、本発明のガス分離膜からなるガス分離膜モジュールに、水蒸気を含有する混合ガスを中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給することによって、水蒸気を選択的に膜の透過側へ透過して非透過ガスとして除湿されたガスを極めて効率よく得ることができる。特に、水蒸気を含有する混合ガスは中空糸膜の内側へ供給し、中空糸膜の外側の空間へ乾燥したキャリアーガスを混合ガスと向流になるように導入することがより高効率で除湿ができるので好ましく、更に、キャリアーガスとしてガス分離膜の非透過側で得られる除湿されたガスの一部をリサイクルして用いることが簡便なキャリアガスの導入方法として好ましい。加湿する場合には、水蒸気をより多量に含有する(水蒸気分圧が高い)混合ガスを中空糸膜の内側あるいは外側に接する空間へ供給し、中空糸膜の反対側の空間へ水蒸気をより少量含有する(水蒸気分圧が低い)ガスを供給することによって、水蒸気が膜を選択的に透過して、水蒸気をより少量含有するガスを容易に加湿することができる。特に、水蒸気をより多量に含有する混合ガスと水蒸気をより少量含有するガスは中空糸膜を挟んで向流となるように供給することが高効率になるので望ましい。
更に、本発明のガス分離膜を用いることによって、燃料電池用の供給ガスの除湿及び/又は加湿を極めて効率よく好適におこなうことができる。固体高分子型燃料電池は、一般に水素イオン伝導性の固体高分子電解質膜の両側を白金触媒を担持したカーボン電極で挟み込んで積層した発電素子と、それらの各電極に水素等の燃料ガスあるいは酸素等の酸化性ガスを供給したり電極からの排出ガスを排出するための配流機能を備えたセパレータや更にその外側に配置した集電体などを積層して構成されている。この電池では、固体高分子電解質膜が乾燥すると、イオン伝導度が低下するとともに、固体高分子電解質膜と電極との接触不良をおこして出力の急激な低下をきたすため、固体高分子電解質膜が一定の湿度を保つように制御することが重要である。このため、供給ガス(燃料ガス及び/又は酸化性ガス)の加湿(水分が多すぎる場合は加湿の代わりに除湿)をおこなうことが必要である。前記供給ガスの加湿方法として分離膜を用いることは既に提案されている。特開平3−269958号公報にはテトラフルオロエチレン樹脂からなる多孔質膜を用いることが開示されている。中空糸状多孔質膜を用いることによって単位面積当たりの透過膜面積を大きくし、加湿性能を高めることが特開平8−273687号公報や特開平8−315838号公報に開示されている。しかしながら、これらの加湿膜では加湿性能が十分でないとうい問題を有していたし、長時間水と膜が接触していると膜の燃料電池の供給ガス側に水がしみ出て液滴が生成するという不都合があった。更に、自動車用などの燃料電池では、燃料電池の排出ガス中の水分を分離膜によって選択的に透過させて燃料電池の供給ガスへリサイクルして使用する方法が検討されているが、前記の多孔質膜では燃料電池の排出ガス中の水分以外の成分を燃料電池の供給ガスへ混入させるなどの問題もあった。
本発明のガス分離膜は、水蒸気透過速度が極めて高いので加湿及び/又は除湿を効率よくおこなうことができる。また、本発明のガス分離膜は少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で形成された膜であり、好ましくは、2種類以上のポリイミドの混合物で形成された膜であるので燃料電池用に用いる時に要求される耐熱性、耐薬品性などが優れている。更に、固体高分子型燃料電池が運転される100℃前後の耐熱水性も極めて良好である。しかも、本発明のガス分離膜は、スキン層(分離層)と多孔質層(支持層)とから構成される非対称構造を有しているので、燃料電池で長時間使用したとき燃料電池の供給ガス側の膜面に水がしみ出て液滴が生成するという不都合や、燃料電池の排出ガス中の水分以外の成分を燃料電池の供給ガスへ混入させるといった問題は生じ難い。本発明のガス分離膜を用いれば、燃料電池の供給ガスを除湿及び/又は加湿を極めて好適におこなうことができる。
次に、本発明における中空糸ガス分離膜の製造とその特性について具体的に説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではない。
(ポリイミド(a)溶液の調製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)29.422gと、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(以下、6FDAと略記することもある)44.424gと、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、DADEと略記することもある)16.179gと、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、TPEQと略記することもある)35.432gとを、溶媒のパラクロロフェノール(以下、PCPと略記することもある)726.44gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度180℃で17時間重合し、回転粘度が1748ポイズ、ポリマー濃度が14重量%のポリイミド(a)溶液を得た。
(ポリイミド(b)溶液の調製)
s−BPDA88.266gと、DADE60.973gとを、溶媒のPCP850.41gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度180℃で10時間重合し、回転粘度1730ポイズ、ポリマー濃度14重量%のポリイミド(b)溶液を得た。
(ポリイミド(c)溶液の調製)
s−BPDA44.133gと、6FDA66.636gと、DADE60.432gとを、溶媒のPCP985.32gと共にセパラブルフラスコ中にて重合温度180℃で12時間重合し、回転粘度1674ポイズ、ポリマー濃度14重量%のポリイミド(c)溶液を得た。
(非対称中空糸膜の製造方法)
ポリイミド溶液、又は、ポリイミド混合物溶液を、400メッシュの金網で濾過したあと、中空糸紡糸ノズル(円形開口部外径1000μm、円形開口部スリット幅200μm、芯部開口部外径400μm)から吐出させ、吐出した中空糸状体を窒素雰囲気中に通した後、温度0℃の所定濃度(70〜80重量%)のエタノール水溶液からなる凝固液に浸漬し湿潤糸とした。これを温度50℃のエタノール中に2時間浸漬し脱溶媒処理を完了し、更に、温度70℃のイソオクタン中に3時間浸漬洗浄して溶媒を置換後、温度100℃で絶乾状態まで乾燥し、その後所定温度(200〜300℃)で1時間の熱処理をおこなった。得られた中空糸膜はいずれも、外径寸法約470μm、内径寸法約320μm、膜厚約75μmのものであった。
(中空糸膜の水蒸気透過性能の測定方法)
約10本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が20mmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。このペンシルモジュールの中空糸の外側へ水蒸気量1500ppmの窒素ガスを一定量供給し、透過側へは一定量のキャリアガス(Arガス)を流しながら水蒸気分離をおこない、非透過ガス及び透過ガスの水蒸気量を鏡面式の露点計で検出した。測定した水蒸気量(水蒸気分圧)と供給ガス量及び有効膜面積から膜の水蒸気透過速度を算出した。尚、これらの測定は50℃でおこなった。
(中空糸膜の窒素ガス透過性能の測定方法)
約15本の中空糸膜と、ステンレスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して有効長が10cmの透過性能評価用のエレメントを作成し、これをステンレス容器に装着してペンシルモジュールとした。それに一定圧力の窒素純ガスを供給して透過流量を測定した。測定した透過窒素ガス量と供給圧力及び有効膜面積から窒素ガスの透過速度を算出した。尚、これらの測定は50℃でおこなった。
(中空糸膜の多孔質層のヘリウムガス透過性能の測定方法)
プラズマ処理装置に多数本の中空糸膜を均一にひろげて設置し、印加電圧20Vで酸素プラズマ処理をおこなった。酸素プラズマ処理を5分間おこなう毎に中空糸の一部(数本)を取り出して、プラスマ処理時間の異なった中空糸膜を得た。これらの中空糸膜を用いて前記と同様の方法でガス透過測定用ペンシルモジュール(有効長10mm)を作成し、これに窒素純ガスあるいはヘリウム純ガスを一定量圧力で供給してそれぞれの透過流量を測定し、測定した透過流量と供給圧力及び有効膜面積から窒素あるいはヘリウムの透過速度を算出した。20分間以上プラズマ処理した中空糸膜のこれらの値の比即ちP’He/P’N2は1.2以下になったので、20分間処理した中空糸膜のヘリウムの透過速度(P’He)を、本発明で用いる膜の多孔質層のヘリウムの透過速度とした。尚、これらの測定は50℃でおこなった。
(中空糸膜の引張強度と破断伸度の測定)
引張試験機を用いて有効長20mm、引張速度10mm/分で測定した。破断面積は破断面を光学顕微鏡を用いて寸法を測定して算出した。
(回転粘度の測定方法)
ポリイミド溶液の回転粘度は、回転粘度計(ローターのずり速度1.75/sec)を用い温度100℃で測定した。
(中空糸膜の耐水性及び耐熱水性の測定)
破断伸度が既知の中空糸膜を試料として、ステンレス容器内にイオン交換水と前記中空糸膜を入れて密封し、前記容器を100℃のオーブン中に入れ50時間保持して中空糸膜を熱水処理した。熱水処理後の中空糸膜は容器から取り出され100℃のオーブン中で乾燥した。乾燥後の中空糸膜は前記の引張試験方法に従って破断伸度を測定した。耐水性及び耐熱水性は、破断伸度の保持率[%]を指標として表わした。
〔実施例1〕
前記ポリイミド(a)溶液280gと、前記ポリイミド(b)溶液120gとを、セパラブルフラスコにて温度130℃で3時間攪拌してポリイミド混合物溶液を得た。この混合物溶液のポリマー濃度は14重量%であり、回転粘度は1786ポイズであった。このポリイミド混合物溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的特性を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔実施例2〕
前記ポリイミド(a)溶液360gと、前記ポリイミド(b)溶液40gとを、セパラブルフラスコにて温度130℃で3時間攪拌してポリイミド混合物溶液を得た。この混合物溶液のポリマー濃度は14重量%であり、回転粘度は1804ポイズであった。このポリイミド混合物溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的特性を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔比較例1〕
前記ポリイミド(a)溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的強度を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔比較例2〕
前記ポリイミド(b)溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的強度を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔実施例3〕
前記ポリイミド(c)溶液240gと、前記ポリイミド(b)溶液160gとを、セパラブルフラスコにて温度130℃で3時間攪拌してポリイミド混合物溶液を得た。この混合物溶液のポリマー濃度は14重量%であり、回転粘度は1748ポイズであった。このポリイミド混合物溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的特性を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔実施例4〕
前記ポリイミド(c)溶液280gと、前記ポリイミド(b)溶液120gとを、セパラブルフラスコにて温度130℃で3時間攪拌してポリイミド混合物溶液を得た。この混合物溶液のポリマー濃度は14重量%であり、回転粘度は1786ポイズであった。このポリイミド混合物溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的特性を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
〔実施例5〕
前記ポリイミド(c)溶液360gと、前記ポリイミド(b)溶液40gとを、セパラブルフラスコにて温度130℃で3時間攪拌してポリイミド混合物溶液を得た。この混合物溶液のポリマー濃度は14重量%であり、回転粘度は1693ポイズであった。このポリイミド混合物溶液を用いて、前記の非対称中空糸膜の製造方法に基づいて、中空糸膜を製造した。この中空糸膜のガス透過性能と機械的特性を前記の方法によって測定した。結果は表−1のとおりであった。
実施例と比較例で得られた中空糸膜の、水蒸気透過速度、水蒸気と窒素の透過速度比、中空糸膜の機械的強度、多孔質層のヘリウム透過速度の測定結果は表−1に示すとおりであった。実施例1〜5の膜は、水蒸気透過速度(P’H2O)が2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、水蒸気と窒素の透過速度比(P’H2O/P’He)が50以上であり、多孔質層のヘリウム透過速度(P’He)が2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上であり、破断伸度が10%以上である。これらの分離膜は、改良された優れた水蒸気透過速度を持ち、かつ、実用レベルの機械的強度を持つので分離膜モジュールへの加工が容易におこなうことが出来る高性能中空糸ガス分離膜である。しかしながら、比較例1の膜は多孔質層のヘリウム透過速度や膜の水蒸気透過速度は優れているが中空糸膜の引張強度が2.5kgf/mm2以下で破断伸度が10%以下であり、実用レベルの機械的強度がなく分離膜モジュールへの加工、組立てが工業的に困難なものである。また、比較例2は、中空糸膜としての機械的強度は実用レベル以上であるが、多孔質層のヘリウム透過速度や膜の水蒸気透過速度が低いものである。更に、実施例1〜5は、耐水性及び耐熱水性が非常に優れたものであった。
Figure 0004858160
本発明のガス分離膜は、改良されたガス透過速度を持つ非対称膜であり、しかも、非対称膜として工業的にモジュール化して実際に用いることができるレベルの機械的強度、言い換えれば、実用レベルの機械的強度をも併せ持ち、更に、優れた耐水性及び耐熱水特性を持つ高性能ガス分離膜である。このため、本発明のガス分離膜を用いれば、ガス分離速度が向上したより高効率でよりコンパクトな高性能中空糸ガス分離膜モジュールを提供することができ、高効率のガス分離を実現することができる。また、本発明のガス分離膜は、少なくとも1種類のポリイミドを含む2種類以上のポリマーの混合物で非対称構造を有する膜を形成することで得ることができる。
特に、本発明のガス分離膜を用いることによって、極めて高効率に除湿及び/又は加湿をおこなうことができる。更に、本発明のガス分離膜を用いることによって、固体高分子型燃料電池の供給ガスを、極めて好適に除湿及び/又は加湿することができる。

Claims (5)

  1. ポリイミド(a)とポリイミド(b)とからなる2種類のポリマーの混合物、または、ポリイミド(b)とポリイミド(c)とからなる2種類のポリマーの混合物で形成されたことを特徴とする、スキン層(分離層)と多孔質層(支持層)とから構成される非対称構造を有するガス分離膜。
    なお、ポリイミド(a)はs−BPDA、6FDA、DADE、TPEQからなるポリイミドであり、ポリイミド(b)はs−BPDA、DADEからなるポリイミドであり、ポリイミド(c)はs−BPDA、6FDA、DADEからなるポリイミドであり、
    s−BPDAは3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を表し、6FDAは2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物を表し、DADEは4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを表し、TPEQは1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを表す。
  2. 水蒸気透過速度(P'H2O)が2.0×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、水蒸気と窒素の透過速度比(P'H20/P'N2)が50以上であって、且つ、多孔質層(支持層)のヘリウムガスの透過速度(P'He)が2.5×10-3cm3(STP)/cm2・sec・cmHg以上であり、中空糸膜での引張強度が2.5kgf/mm2以上、破断伸度が10%以上であり、100℃の熱水中で50時間熱水処理した後の中空糸膜の破断伸度が熱水処理前の80%以上を保持することを特徴とする請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 請求項1〜2のいずれかに記載のガス分離膜を用いることを特徴とするガスを除湿又は加湿する方法。
  4. 燃料電池の供給ガスを除湿又は加湿することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. ポリイミド(a)とポリイミド(b)とからなる2種類のポリマーの混合物、または、ポリイミド(b)とポリイミド(c)とからなる2種類のポリマーの混合物を溶媒に均一に溶解したポリマー混合物溶液を調製する工程、
    前記ポリマー混合物溶液をノズルから押し出して目的形状物とし空気又は窒素浴空間を通過させた後で凝固浴に浸漬する工程、
    からなることを特徴とするスキン層(分離層)と多孔質層(支持層)とから構成される非対称構造を有するガス分離膜の製造方法。
    なお、ポリイミド(a)はs−BPDA、6FDA、DADE、TPEQからなるポリイミドであり、ポリイミド(b)はs−BPDA、DADEからなるポリイミドであり、ポリイミド(c)はs−BPDA、6FDA、DADEからなるポリイミドであり、
    s−BPDAは3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を表し、6FDAは2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物を表し、DADEは4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを表し、TPEQは1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンを表す。
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