以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
実施形態の硬化性組成物は、それぞれ異なる粘度を有する第1および第2の混合物を含むものである。以下、これらの混合物について個々に説明する。
[第1の混合物]
第1の混合物は、(A1)末端に下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(以下、「第1のオキシアルキレン重合体」という)、および、(B1)第1のオキシアルキレン重合体と反応し得る(メタ)アクリレート共重合体(以下、「第1の(メタ)アクリレート共重合体」という)を含んでおり、25℃における粘度が15Pa・s以上40Pa・s未満である。
[化2]
−SiXaR1 (3−a) …(1)
[式(1)中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基、Xは水酸基または加水分解性基、aは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数個存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、また、Xが複数個存在するときは、Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
(A1:第1のオキシアルキレン重合体の構造)
第1のオキシアルキレン重合体は、主鎖がポリオキシアルキレン鎖からなり、当該主鎖の末端の少なくとも一部に反応性ケイ素基が結合した構造を有している。この第1のオキシアルキレン重合体が複数の反応性ケイ素基を有する場合、これらは全てが同じ構造であってもよく、2つ以上がそれぞれ異なる構造であってもよい。
反応性ケイ素基は、縮合反応、または、加水分解・縮合反応によってシロキサン結合を形成し得る官能基であり、当該反応性ケイ素基同士でこれらの反応を生じ易いものが好ましい。具体的には、上記一般式(1)中のXが、水酸基、または、加水分解によって水酸基に変換され得る官能基であることが好ましい。このような官能基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、カルバモイル基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が例示できる。
なかでも、第1のオキシアルキレン重合体の製造時における合成の容易さや、加水分解が生じる際に副生する化合物等の環境への影響を低減することを考慮すると、Xで表される基としては、水酸基、アルコキシ基またはアルケニルオキシ基が好ましい。また、硬化性組成物の硬化特性や、取り扱い性等を向上させる観点からは、Xが炭素原子を含む基であり、しかもその炭素数が6以下であると好ましく、4以下であると特に好ましい。
これらの点を考慮すると、Xで表される基としては、炭素数4以下のアルコキシ基またはアルケニルオキシ基が好ましく、なかでも、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはプロペニルオキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
上記式(1)で表される反応性ケイ素基は、ケイ素原子に対して1、2または3個のXで表される基が結合しているものである。ここで、ケイ素原子に2個以上のXが結合している場合、これらのXはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
反応性ケイ素基が、ケイ素原子に1または2個のXが結合してなるものである場合、このケイ素原子は、上記一般式(1)に表されるように、Xの数と合計して3となる数のR1で表される基をさらに有している。R1は、上述の如く、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基であり、炭素数8以下のアルキル基、フェニル基およびフルオロアルキル基からなる群より選ばれる基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基またはフェニル基が好ましい。なかでも、原料の入手が容易であり、また、硬化性組成物をシーリング等として用いる際に、反応性ケイ素基の加水分解・縮合の速度が良好となり得ることから、メチル基が特に好ましい。なお、ケイ素原子にR1が2個以上結合している場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
これらの観点から、反応性ケイ素基としては、ジメチルモノメトキシシリル基、ジメチルモノエトキシシリル基、ジエチルモノエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、メチルジイソプロペニルオキシシリル基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基およびトリイソプロペニルオキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基が好ましく、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基がより好ましい。
第1のオキシアルキレン重合体は、その分子中に、上述した反応性ケイ素基を、少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個、より好ましくは1.1〜3個有している。1分子中の反応性ケイ素基が1個未満である場合、優れた硬化性を有する硬化性組成物が得られ難くなり、硬化物の硬度も不十分となる傾向にある。一方、反応性ケイ素基が5個を超える場合、このような第1のオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物は、硬化の際に過度に架橋が生じ、これにより硬化物の伸びが不十分となり易い傾向にある。
また、第1のオキシアルキレン重合体は、上述の如く、主鎖が実質的にポリオキシアルキレン鎖からなるものである。このような構造を有することによって、かかる成分を含む硬化性組成物は、低温で液状を保つことができ、しかも広い温度範囲で柔軟性を有する硬化物を与え得るものとなる。
主鎖を構成するポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン(ポリオキシ−2−メチルエチレン、ポリオキシ−1,3−プロピレン)、ポリオキシブチレン(ポリオキシ−1,2−ブチレン、ポリオキシ−1,4−ブチレン)、ポリオキシイソブチレン(ポリオキシ−2,2−ジメチル−1,2−エチレン)、ポリオキシテトラメチレン等が挙げられ、これらのオキシアルキレン単位の2種以上を含むブロックおよび/またはランダム共重合鎖であってもよい。
より具体的には、第1のオキシアルキレン重合体は、実質的に下記式(2);
[化3]
−CH2CH(CH3)O− …(2)
で表される繰り返し単位からなる主鎖を有するものであると特に好ましい。ここで、「実質的に」とは、主鎖の大半が上記式(2)の繰り返し単位からなる場合を示しており、後述するような第1のオキシアルキレン重合体の製造方法において用いた開始剤や、反応性ケイ素基との連結基等に由来する化学構造等は、この主鎖中にある程度含まれていてもよい。例えば、上記式(2)で表される繰り返し単位は、第1のオキシアルキレン重合体の総質量に対して50質量%以上であると好ましく、80質量%以上であるとさらに好ましい。
(第1のオキシアルキレン重合体の製造方法)
上述した第1のオキシアルキレン重合体は、例えば、以下に示す方法に従って製造することができる。
第1のオキシアルキレン重合体は、分子末端に所定の官能基を有するポリオキシアルキレン(以下、「原料重合体」という)を原料とし、その分子末端に直接または所定の有機基を介して反応性ケイ素基を結合させることによって好適に製造することができる。
まず、原料重合体について説明する。
硬化性組成物やその硬化物の特性は、オキシアルキレン重合体1分子あたりの反応性ケイ素基の数、反応性ケイ素基1個あたりの重合体の分子量、重合体の分子量分布等の各種パラメータによって変動する。これらは、原料重合体の構造を適宜変更することによって調整することができる。
例えば、硬化物の柔軟性および強度のバランスを良好にする観点からは、原料重合体としては、2〜8価のポリオキシプロピレンポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレンジオールまたはポリオキシプロピレントリオールが特に好ましい。また、良好な接着性を有し、また硬化性にも優れる硬化性組成物を得る観点からは、原料重合体の官能基数は3〜8であると好ましい。
また、第1のオキシアルキレン重合体を製造する際、分子末端に反応性ケイ素基を導入するため、後述するような不飽和基へのヒドロシランまたはメルカプトシランの付加反応を行う場合は、原料重合体として、不飽和基を有するポリオキシアルキレン、例えば、アリルアルコールを開始剤としてアルキレンオキシドを重合して得られるアリル末端ポリオキシプロピレンモノオールなどを適用することもできる。
これらの原料重合体としては、触媒および開始剤の存在下で環状エーテルを開環重合させて得られ、末端に水酸基を有する重合体が好ましい。この場合、環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、2種以上を併用する場合、原料重合体の合成は、環状エーテルをランダム共重合および/またはブロック共重合することによって行うことができる。
原料重合体の合成に用いる開始剤としては、1分子あたり1個以上の活性水素原子を有する化合物、例えば、水酸基を有するヒドロキシ化合物等が使用できる。このような開始剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールや、これらの化合物のアルキレンオキシド付加物等のヒドロキシ化合物が例示できる。なお、開始剤としては、これらのうち1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、重合触媒としては、例えば、水酸化カリウム、カリウムメトキシド等のカリウム化合物や、水酸化セシウム等のセシウム化合物等などのアルカリ金属化合物;複合金属シアン化物錯体;金属ポルフィリン錯体;P=N結合を有する化合物等が例示できる。
重合触媒としては、上述したなかでも、セシウム化合物、複合金属シアン化物錯体、P=N結合を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の触媒を用いることが好ましい。こうすれば、分子量の大きな原料重合体、ひいては分子量の大きな第1のオキシアルキレン重合体が得られる傾向にある。なお、水酸化カリウム等の通常のアルカリ触媒を用いて、比較的低分子量のオキシアルキレン重合体を合成した場合であっても、この重合体を塩化メチレン等の多ハロゲン化合物と反応させる等により分子鎖を延長して多量体とすることで、高分子量を有する原料重合体を調製することができる。
セシウム化合物としては、例えば、セシウム金属、水酸化セシウム、炭酸セシウム、および、セシウムメトキシド等のセシウムアルコキシド等からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が挙げられる。なかでも、入手が容易であることから、水酸化セシウムを用いることが好ましい。セシウム化合物の使用量は、得られる原料重合体の質量に対して0.05〜1.5質量%であると好ましく、0.1〜1質量%であるとより好ましい。
複合金属シアン化物錯体としては、高い重合活性を有することから、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、なかでもそれらのエーテルおよび/またはアルコール錯体が特に高活性であることから好ましい。この場合、エーテルとしてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等が好ましく、製造時の錯体の取り扱いが容易であることからグライムがより好ましい。また、後者のアルコール錯体は、高活性触媒が得られることから、tert−ブタノールを用いて得られたものが好ましい。複合金属シアン化物錯体の使用量は、得られる原料重合体の質量に対して、0.0001〜0.1質量%であると好ましく、0.001〜0.03質量%がより好ましい。このように調整すれば、経済性に優れるようになり、且つ、製品の貯蔵安定性が良好となる傾向にある。
P=N結合を有する化合物としては、ホスファゼニウム化合物、ホスファゼン化合物およびホスフィンオキシド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。なかでも、入手の容易さ等の観点から、ホスファゼニウム化合物またはホスフィンオキシド化合物が好ましい。このようなP=N結合を有する化合物としては、具体的には、以下に示すようなものが例示できる。
ホスファゼニウム化合物としては、例えば、特開平11−106500号公報に記載された化合物が例示できる。具体的には、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムメトキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウムエトキシド、テトラキス[トリ(ピロリジン−1−イル)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフォニウム−tert−ブトキシド等が例示できる。
ホスファゼン化合物としては、例えば、特開平10−36499号公報に記載された化合物が挙げられる。具体的には、1−tert−ブチル−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−2,2,2−トリス(ジメチルアミノ)ホスファゼン、1−エチル−2,2,4,4,4−ペンタキス(ジメチルアミノ)−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−4,4,4−トリス(ジメチルアミノ)−2,2−ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]−2λ5,4λ5−カテナジ(ホスファゼン)、1−tert−ブチル−2,2,2−トリ(1−ピロリジニル)ホスファゼン、7−エチル−5,11−ジメチル−1,5,7,11−テトラアザ−6λ5−ホスファスピロ[5,5]ウンデカ−1(6)−エン等が例示できる。
ホスフィンオキシド化合物としては、例えば、特開平11−302371号公報に記載された化合物が例示できる。具体的には、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド、およびトリス[トリス(ジエチルアミノ)ホスフォラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド等が例示できる。
触媒としてP=N結合を有する化合物を用いる場合、その使用量は、開始剤が有している活性水素原子1モル当量に対して、1×104〜5×101モル当量となる量であることが好ましい。P=N結合を有する化合物の使用量を、開始剤の活性水素原子に対して1×104モル当量以上とすることにより、環状エーテルの重合速度が良好となる傾向にある。また、5×101モル当量以下とすることによって、触媒が過剰となるのを抑制して、ポリアルキレンオキシド重合体の製造コストを低減できるようになる。
次に、上述した原料重合体であるポリオキシアルキレンに対し、その末端に反応性ケイ素基を導入して第1のオキシアルキレン重合体を得る方法について説明する。
原料重合体の末端に反応性ケイ素基を導入する方法としては、原料重合体末端に直接反応性ケイ素基を結合させる方法や、所定の有機基を介して反応性ケイ素基を結合させる方法等が挙げられ、後者の原料重合体の末端に有機基を介して反応性ケイ素基を結合させる方法が一般的である。この場合、第1のオキシアルキレン重合体は、下記式(3)で表される基を分子末端の少なくとも一部に有するものとなる。なお、式中、R31は2価の有機基を表し、R1、Xおよびaは、上記式(1)における定義と同義である。
[化4]
−R31−SiXaR1 (3−a) …(3)
このように、原料重合体の末端に有機基を介して反応性ケイ素基を導入する方法としては、たとえば以下の方法(a)〜方法(c)が例示できる。
まず、方法(a)について説明する。
方法(a)においては、水酸基を有する原料重合体の末端に不飽和結合を導入した後、この不飽和結合と反応し得る官能基を有するケイ素含有化合物を反応させる。
この方法においては、まず、原料重合体の末端に不飽和基を導入する。この方法としては、原料重合体末端の水酸基と結合を生じ得る化学構造を含む官能基と不飽和基との両方を有している反応剤を、原料重合体と反応させる方法が挙げられる。水酸基と結合し得る化学構造としては、例えば、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等が挙げられる。また、開始剤の存在下で環状エーテルを重合して原料重合体を調製する際に、アリルグリシジルエーテル等の不飽和基を含むエポキシ化合物を共重合させることによっても、原料重合体の側鎖の少なくとも一部に不飽和基を導入することができる。
こうして末端の少なくとも一部に不飽和基が導入された原料重合体に、この不飽和基と反応して結合を生じる官能基を含むケイ素含有化合物を反応(付加)させることによって、第1のオキシアルキレン重合体が得られる。
このようなケイ素含有化合物としては、まず、下記式(4)で表されるヒドロシリル化合物が挙げられる。なお、下記式中、R1、Xおよびaは上記式(1)における定義と同義である。このような化合物は、いわゆるヒドロシリル化反応によって、不飽和基に付加するものである。
[化5]
HSiXaR1 (3−a) …(4)
このヒドロシリル化反応は、白金系触媒、ロジウム系触媒、コバルト系触媒、パラジウム系触媒、ニッケル系触媒等の触媒の存在下、好ましくは30〜150℃、より好ましくは60〜120℃で、通常数時間以内の反応時間で充分に進行する。触媒としては、なかでも、塩化白金酸、白金金属、塩化白金、白金オレフィン錯体等の白金系触媒が好ましい。
ケイ素含有化合物としては、また、下記式(5)で表されるメルカプトシラン化合物が挙げられる。このメルカプトシラン化合物は、メルカプト基が不飽和基に付加することによって原料重合体と結合するものである。
[化6]
R1 (3−a)−SiXa−R51−SH …(5)
[式中、R51は2価の有機基を示し、R1、Xおよびaは、上記式(1)における定義と同義である。]
R51としては、炭素数1〜17の2価の炭化水素基が好ましく、トリメチレン基(−CH2−CH2−CH2−)が特に好ましい。このようなメルカプトシラン化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
不飽和基とメルカプト基との反応は、放射線の照射又は加熱により生じさせてもよく、所望によりラジカル重合開始剤として用いられるラジカル発生剤等の化合物を用いることによって生じさせてもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、パーオキシド系、アゾ系、レドックス系の重合開始剤や、金属化合物触媒などが挙げられる。具体的には、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、tert−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
このようなラジカル重合開始剤を用いて不飽和基とメルカプト基とを反応させる場合、反応温度は、好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃とし、反応時間は、好ましくは数時間〜数十時間とする。なお、反応温度の条件は、重合開始剤の分解温度(半減期温度)に応じて適宜変更することが好ましい。
次に、方法(b)について説明する。
方法(b)においては、水酸基を有する原料重合体に下記式(6)で表される化合物を反応させる。このような化合物は、イソシアネート基(−NCO)と水酸基との反応、いわゆるウレタン化反応によって原料重合体と結合するものである。
[化7]
R1 (3−a)−SiXa−R61−NCO …(6)
[式中、R61は、2価の有機基を示し、R1、Xおよびaは、上記式(1)における定義と同義である。]
R61としては、炭素数1〜17の2価の炭化水素基が好ましく、トリメチレン基が特に好ましい。イソシアネート基と水酸基との反応は、公知のウレタン化反応触媒を用いて行うことができる。また、好ましい反応条件は、ウレタン化反応触媒の有無や使用量によって異なるが、反応温度が好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃であり、反応時間が数時間程度である。
次に、方法(c)について説明する。
方法(c)においては、水酸基を有する原料重合体にイソシアネート基を導入した後、さらに、イソシアネート基と反応して結合を生じる官能基を有するケイ素含有化合物を反応させる。
この方法においては、まず、原料重合体の末端にイソシアネート基を導入する。イソシアネートを導入する方法としては、例えば、水酸基と結合を生じ得る官能基とイソシアネート基との両方を有している反応剤を、原料重合体に反応させる方法が挙げられる。水酸基と結合を生じ得る官能基としては、上述した方法(a)で挙げたものや、イソシアネート基が挙げられ、反応剤の入手の容易さ等を考慮すると、イソシアネート基が好ましい。したがって、反応剤としては、複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物が好ましい。原料重合体とポリイソシアネート化合物との反応は、イソシアネート基過剰の条件で行うことが好ましい。
こうして末端にイソシアネート基が導入された原料重合体に、このイソシアネート基と反応して結合を生じる官能基を有するケイ素含有化合物を反応させることによって、第1のオキシアルキレン重合体が得られる。かかる反応は、イソシアネート基(−NCO)と所定の官能基との反応であり、いわゆるウレタン化反応に該当する。
このようなケイ素含有化合物としては、下記式(7)で表される化合物が挙げられる。
[化8]
R1 (3−a)−SiXa−R71−W …(7)
[式中、R71は、2価の有機基を示し、Wは、イソシアネート基と反応し得る官能基を示し、R1、Xおよびaは、上記式(1)における定義と同義である。]
R71としては、炭素数1〜17の2価の炭化水素基が好ましく、トリメチレン基が特に好ましい。また、Wとしては、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、1級アミノ基および2級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも一種の活性水素含有基が好ましい。
イソシアネート基が導入された原料重合体と上記式(7)で表される化合物との反応は、公知のウレタン化触媒の存在下で行うことができる。また、好ましい反応条件は、ウレタン化反応触媒の有無や使用量によって異なるが、反応温度が好ましくは20〜200℃、より好ましくは50〜150℃であり、反応時間が数時間程度である。
(第1のオキシアルキレン重合体の特性)
上述した第1のオキシアルキレン重合体は、以下に示すような特性を有するものであると好ましい。
まず、第1のオキシアルキレン重合体としては、様々な重量平均分子量および数平均分子量を有するものを適用できるが、これらの値は、硬化性組成物に求められる特性に応じて適宜調整することが好ましい。具体的には、例えば、(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))の値を調整することが好ましい。このMw/Mnの値は、オキシアルキレン重合体の分子量分布を示す値であり、後述するように、約1.6を境にして、得られる硬化性組成物の特性が変化する傾向にある。
このようなMw/Mn(分子量分布)の値は、例えば、原料重合体の製造時に用いる重合触媒の種類や量、原料重合体の原料である環状エーテルの重合条件、用いる原料重合体の組み合わせ等の条件を調節することによって好ましい値となるように調整することができる。
まず、Mw/Mnが1.6未満である場合、第1のオキシアルキレン重合体は、同一の数平均分子量を有しているが分子量分布がこれよりも広いものと比較した場合に、分子量の小さな重合体成分の含有量が少ないため、硬化後の破断時伸度や最大応力が大きくなる傾向にある。また、重合体の粘度が低くなることから、当該重合体やこれを含む硬化性組成物の取り扱い性が良好となる傾向にある。これらの特性を向上させる観点からは、第1のオキシアルキレン重合体のMw/Mnが、1.5以下であるとより好ましく、1.4以下であると更に好ましい。
このようにMw/Mnが小さなオキシアルキレン重合体を得る方法としては、上述した方法のなかでは、環状エーテルを、上述した複合金属シアン化物錯体(触媒)および開始剤の存在下で重合させて得られる原料重合体を用い、その末端を変性して反応性ケイ素基とする方法が最も好ましい。
一方、Mw/Mnが1.6以上である場合、この第1のオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物は、スランプ性が小さくなる傾向にある。このようにMw/Mnが大きなオキシアルキレン重合体を得る方法としては、例えば、以下に示す(1)〜(4)の方法が例示できる。すなわち、(1)の方法として、分子量約3000のポリオキシアルキレンジオール等の比較的入手し易い分子量のポリオールを原料として、多ハロゲン化合物を反応させて分子量を増大させた後(架橋反応)、分子末端に不飽和結合を導入し、更にこの不飽和結合に反応性ケイ素基を導入する方法(特開昭53−134095号公報、特開昭55−13768号公報等)が挙げられる。
また、(2)の方法として、上述した入手が容易なポリオールの末端基を不飽和結合含有基に変換し、多価水素化ケイ素化合物を反応させて分子量を増大させた後、不飽和結合に反応性ケイ素基を導入する方法(特開昭55−13767号公報、特開昭55−13768号公報、特開昭59−131625号公報、特開昭57−158226号公報、特開昭58−42691号公報等)が挙げられる。
さらに、(3)の方法として、開始剤の存在下、複合金属シアン化物錯体を触媒として、アルキレンオキシドを反応させて、高分子量で且つMw/Mnが1.5より小さいオキシアルキレン重合体を得た後、反応性ケイ素基を導入して得られる反応性ケイ素基含有オキシアルキレン重合体を、数種類混合して製造する方法が挙げられる(特開平3−72527号公報)。さらにまた、(4)の方法として、開始剤および複合金属シアン化物錯体を触媒とし、環状エーテルを所要量複数回に分けて供給するか、または、連続的に供給して反応させ、分子量分布の広い重合体を得る方法も挙げられる(特開2003−55451号公報)。
また、第1の混合物の25℃における粘度を、上述した好適範囲、すなわち15Pa・s以上40Pa・s未満の範囲に調整するためには、後述するように、第1のオキシアルキレン重合体として、その数平均分子量が25000未満であるものを用いることが好ましく、10000以上23000未満であるものを用いることがより好ましく、15000以上20000未満であるものを用いることが特に好ましい。
第1のオキシアルキレン重合体の数平均分子量が、25000以上である場合、その粘度が過度に高くなり、第1の混合物が所望の粘度となり難くなる傾向にある。一方、10000未満であると、硬化後の硬化性組成物の破断強度や伸び等の機械特性が不十分となる傾向にある。なお、本明細書において、重合体の「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量を示す。分子量計算には、分子量既知の標準ポリスチレン試料を測定した検量線を用いた。また、本明細書中、単に重合体の分子量という場合は、特に記載がない限り数平均分子量を意味することとする。
(B1:第1の(メタ)アクリレート共重合体の構造)
B1成分である第1の(メタ)アクリレート共重合体は、上記第1のオキシアルキレン重合体と反応し得る化合物である。この共重合体としては、分子中に、第1のオキシアルキレン共重合体における反応性ケイ素基と反応する官能基を有しているものが好ましく、かかる官能基としては、第1のオキシアルキレン重合体と同様の、上記式(1)で表される反応性ケイ素基が好ましい。
より具体的には、第1の(メタ)アクリレート共重合体としては、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位、および、分子内に反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を少なくとも含む重合体が好ましい。ここで、「(メタ)アクリル酸」の表記は、便宜上、「アクリル酸」または「メタクリル酸」の両方を併せて表すものであり、対応する「(メタ)アクリレート」等の表記も同様である。なお、かかる表記は、「アクリル酸」または「メタクリル酸」の両方を含有する場合も含むものとする。
このような第1の(メタ)アクリレート共重合体としては、炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位、および、分子内に上記式(1)で表される反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー単位を含む共重合体、並びに、炭素数1〜2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位、炭素数3〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位、および、分子内に上記式(1)で表される反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー単位を含む共重合体等がより好ましい。
また、第1の(メタ)アクリレート共重合体は、硬化性組成物の特性を大きく損ねない程度に、上述した各モノマー単位以外の構造単位を更に有していてもよい。このような構造単位としては、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を含むモノマー単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含むモノマー単位;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含むモノマー単位;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含むモノマー単位のほか、アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等のモノマー単位を挙げることができる。第1の(メタ)アクリレート共重合体中において、これらのモノマー単位は、当該共重合体の合成時に、対応するモノマー成分を、全モノマー量に対して好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは5質量%以下用いることで得られた程度の含有量であることが好ましい。
第1の(メタ)アクリレート共重合体において、反応性ケイ素基は、この共重合体1分子あたりの平均数で0.7〜5.0個であると好ましく、0.8〜4.0個であるとより好ましく、0.9〜2.0個であると更に好ましい。こうすれば、硬化性組成物を硬化する際に適度に架橋が生じるようになり、硬化物が優れた機械強度(引張物性等)および耐候性を有するものとなる。
また、第1の(メタ)アクリレート共重合体の数平均分子量(Mn)は、500〜100000であると好ましく、1000〜50000であるとより好ましく、5000〜40000であると更に好ましく、5000〜30000であると特に好ましい。Mnが500以上である第1の(メタ)アクリレート共重合体を含む硬化性組成物によれば、耐候性に優れた硬化物が得られる傾向にある。また、Mnが100000以下であることで、第1の(メタ)アクリレート共重合体の常温での取り扱い性が向上する傾向にある。なお、このMnは、第1の混合物に対して求められる粘度に応じて適宜変更することが望ましい。
(第1の(メタ)アクリレート共重合体の製造方法)
上述した構造を有する第1の(メタ)アクリレート共重合体は、上述した各モノマー単位を形成し得るモノマーを共重合することによって得ることができる。このような共重合は、例えば、溶液重合法や塊状重合法などにより、各モノマーをラジカル重合させることにより行うことができる。
共重合は、モノマーに、必要に応じてラジカル開始剤や、目的とする分子量に調整するための連鎖移動剤を加え、50〜150℃の反応温度で生じさせることができる。この連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等が挙げられる。この重合反応には、溶剤を用いても用いなくてもよいが、用いる場合、溶媒としては、安価でかつ重合反応時の安全性が高いことから、エーテル類、炭化水素類、酢酸エステル類およびアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種の溶剤を用いることが好ましい。なかでも、ブタノール等のアルコール類が環境への影響が少ないことから好ましい。
第1の(メタ)アクリレート共重合体は、上述の如く、分子中に反応性ケイ素基を有するモノマー単位を有している。第1の(メタ)アクリレート共重合体にこのような構造を導入する方法としては、例えば、以下に示す方法(i)〜(v)が挙げられる。
まず、方法(i)について説明する。
方法(i)においては、まず、重合性不飽和結合と反応性ケイ素基とを有する化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−(メチルジメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート等を共重合成分として用い、これを、上述した(メタ)アクリレート共重合体の各モノマー単位を形成し得るモノマー成分とともに共重合する。
このような重合性不飽和結合および反応性ケイ素基を有する化合物としては、具体的には、次に示す化合物が例示できる。すなわち、CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2、CH2=CHSi(CH3)Cl2、CH2=CHSi(OCH3)3、CH2=CHSiCl3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH2)3Si(CH3)Cl2、CH2=CHCH2OC(O)−Ph−COO(CH2)3Si(CH3)Cl3等が挙げられる。但し、式中、−Ph−はパラフェニレン基を示す。
上述したもののうち、入手が容易であり、且つ、得られる共重合体を含む硬化性組成物の硬化性が実用に適したものとなり得ることから、CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3、CH2=CHCOO(CH2)3Si(OC2H5)3、CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3およびCH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
次に、方法(ii)について説明する。
方法(ii)においては、重合性不飽和結合および反応性官能基を有する化合物を上述したような各モノマー成分とともに共重合した後、得られた共重合体と、この反応性官能基と反応して結合を生じる官能基および反応性ケイ素基を有するケイ素含有化合物とをさらに反応させる。
ここで、重合性不飽和結合は、互いに反応して重合を生じ得る官能基である。また、反応性官能基としては、ラジカル重合性が低く、重合性不飽和結合との反応が生じ難い不飽和基や、カルボキシル基や水酸基等の不飽和結合以外の官能基が挙げられる。
反応性官能基として前者の不飽和結合を有するモノマーとしては、アリルアクリレートやアリルメタクリレート等が挙げられる。そして、ケイ素含有化合物における上記反応性官能基と反応して結合を生じる官能基としては、ヒドロシリル基が挙げられる。
この場合、方法(ii)においては、まず、重合性不飽和結合および反応性官能基を有する化合物を、その重合性不飽和基において他のモノマー成分と共重合させる。その後、例えば、白金化合物等のVIII族遷移金属化合物触媒の存在下、得られた共重合体とケイ素含有化合物とを反応させることにより、反応性ケイ素基を導入する。この反応は、共重合体における原料化合物に由来する反応性不飽和基と、ケイ素含有化合物におけるヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応である。
このケイ素含有化合物としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、トリメチルシロキシメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロへキシルケトキシメート)メチルシラン、ビス(ジエチルケトキシメート)トリメチルシロキシシラン等のケトキシメートシラン類;ジメチルシラン、トリメチルシロキシメチルシラン、1,1−ジメチル−2,2−ジメチルジシロキサン等のハイドロシラン類;メチルトリ(イソプロペニルオキシ)シラン、ジメチルトリ(イソプロペニルオキシ)シラン等のアルケニルオキシシラン類等が例示できる。
一方、反応性官能基として後者の不飽和基以外の官能基を有するモノマーとしては、アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。そして、ケイ素含有化合物における上記反応性官能基と反応して結合を生じる官能基としては、例えば、反応性官能基がカルボキシル基または水酸基である場合には、メトキシ基またはイソシアネート基等が好ましい。
この場合、方法(ii)においては、まず、重合性不飽和基および反応性官能基を有する化合物を、その重合性不飽和基において他のモノマーと共重合させる。その後、得られた共重合体における反応性官能基と、ケイ素含有化合物が有している上記官能基とを反応させることによって反応性ケイ素基を導入する。
ケイ素基含有化合物としては、例えば、メチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
次に、方法(iii)について説明する。
方法(iii)においては、上述した各モノマー成分を共重合する際に、連鎖移動剤として、反応性ケイ素基およびメルカプト基を有するケイ素含有化合物を用いる。かかる方法によれば、得られる共重合体は、その末端の少なくとも一部に上記連鎖移動剤が結合して、これに由来する反応性ケイ素基を有するようになる。
連鎖移動剤である、反応性ケイ素基およびメルカプト基を有するケイ素含有化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
また、方法(iii)においては、2官能性ラジカル重合性化合物を共重合成分とし、連鎖移動剤としてアルコキシシリル基を有するメルカプタンの存在下で、上述したような他のモノマーと共重合させる方法を用いてもよい(例えば、特開昭59−78222号公報参照)。
次に、方法(iv)について説明する。
方法(iv)においては、開始剤として、反応性ケイ素基を有するラジカル開始剤を用い、上述したモノマーを共重合する。かかる方法によれば、得られる共重合体は、その末端の少なくとも一部に上記ラジカル開始剤が結合して、これに由来する反応性ケイ素基を有するようになる。
このようなラジカル開始剤としては、例えば、アゾビスニトリル化合物やジスルフィド化合物が挙げられる。具体的には、開始剤として公知のアルコキシシリル基含有アゾビスニトリル化合物やアルコキシ基含有ジスルフィド化合物等を例示できる(例えば、特開昭60−23405号公報、特開昭62−70405号公報等参照)。
次に、方法(v)について説明する。
方法(v)においては、リビングラジカル重合法によって上述したモノマーを共重合して末端にハロゲンが導入された共重合体を得た後、このハロゲンを反応性ケイ素基と置換する。このような方法としては、例えば、特開平09−272714号公報に記載された方法が挙げられる。
以上説明したように、(メタ)アクリレート共重合体に反応性ケイ素基を導入する方法としては、上述した方法(i)〜(v)が例示できるが、これらの方法は必ずしも単独で行う必要はなく、方法(i)〜(v)のうちの2種以上の方法を組み合わせて実施してもよい。例えば、方法(i)と方法(iii)との組み合わせが好適である。
(第1の混合物)
第1の混合物は、上述した(A1)第1のポリオキシアルキレン共重合体および(B1)第1の(メタ)アクリレート共重合体を含むものである。このような第1の混合物は、例えば、第1のオキシアルキレン重合体と第1の(メタ)アクリレート共重合体とをそれぞれ製造した後、これらを混合することによって調製することができる。なお、溶剤を用いて第1の(メタ)アクリレート共重合体を製造した場合は、第1のオキシアルキレン重合体を混合した後、溶剤を除去することにより製造することが好ましい。また、第1の混合物の調製方法としては、第1のオキシアルキレン重合体中で、モノマーを重合して第1の(メタ)アクリレート共重合体を合成する方法や、第1のオキシアルキレン重合体中で、モノマーを重合して(メタ)アクリレート共重合を得た後、更に第1のオキシアルキレン重合体を添加する方法を採用することもできる。なお、第1の混合物中には、第1のオキシアルキレン重合体や第1の(メタ)アクリレート共重合体がそれぞれ複数種配合されていても構わない。
そして、第1の混合物は、上述の如く、25℃における粘度が15Pa・s以上40.0Pa・s未満、好ましくは20Pa・s以上35Pa・s未満、より好ましくは20Pa・s以上30Pa・s未満である。第1の混合物の粘度をこのような範囲に調製するためには、まず、上述の如く、第1のオキシアルキレン重合体の数平均分子量を、25000未満とすることが好ましく、10000以上23000未満とすることがより好ましく、15000以上20000未満とすることが更に好ましい。ここで、粘度とは、流体の流動に対する抵抗の度合いを表した値であり、本明細書においては、JISK7117−2(1999)に準拠して、円錐−平板システムを備える装置により測定された値であると定義する。具体的には、粘度の値は、回転粘度計によってせん断速度とせん断応力を同時に測定し、これらの値を、粘度=せん断応力/せん断速度の式に代入することにより算出することができる。なお、第1の混合物の粘度とは、実質的に第1のオキシアルキレン重合体と第1の(メタ)アクリレート共重合体のみからなる混合物の粘度をいい、溶剤や可塑剤等の粘度に影響を与える成分を実質的に含まない状態の混合物の粘度をいう。
また、上述した2成分を含む混合物に、第1のオキシアルキレン重合体と同様の構造を有しており、数平均分子量が10000以下であり、且つ、反応性ケイ素基が1分子中1個未満である重合体を適量加えることによって、第1の混合物の粘度を所定の範囲に調整することもできる。
第1の混合物は、第1のオキシアルキレン重合体と第1の(メタ)アクリレート共重合体とを、以下に示す配合量で含有していると好ましい。すなわち、第1のオキシアルキレン重合体100質量部に対して、第1の(メタ)アクリレート共重合体を5〜200質量部含有していると好ましく、5〜50質量部含有しているとより好ましい。第1の(メタ)アクリレート共重合体の含有量が、第1のオキシアルキレン重合体100質量部に対して5質量部未満であると、これを含む硬化性組成物の硬化物の耐候性が不十分となる傾向にある。一方、200質量部を超えると、上記硬化物の耐候性は良好となるものの、硬化前の組成物の粘度が過度に大きくなって、作業性が悪くなる傾向にある。
[第2の混合物]
第2の混合物は、(A2)下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体(以下、「第2のオキシアルキレン重合体」という)、および、(B2)反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリレート共重合体(以下、「第2の(メタ)アクリレート共重合体」という)を含み、25℃における粘度が40Pa・s以上70Pa・s以下であり、しかも、上述した第1の混合物よりも5〜55Pa・s以上高いものである。第1の混合物よりも5〜55Pa・s高い粘度を有する第2の混合物を添加することにより、硬化物の物性および耐候性と糸引き等に代表される作業性が良好となる。
[化9]
−SiXaR1 (3−a) …(1)
[式中、R1は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基、Xは、それぞれ独立に水酸基または加水分解性基、aは1〜3の整数を示す。]
第2の混合物は、上記第1の混合物と同様の方法および配合比で調製することができる。この第2の混合物に含まれる第2のオキシアルキレン重合体および第2の(メタ)アクリレート共重合体としては、上述した第1のオキシアルキレン重合体および第1の(メタ)アクリレート共重合体と同様のものが適用できる。なお、第1のオキシアルキレン重合体または(メタ)アクリレート共重合体と、第2のオキシアルキレン重合体または(メタ)アクリレート共重合体とは、それぞれ同一の化合物であってもよく、異なる化合物であってもよいが、上述した粘度の差を良好に得るためには、それぞれが異なる化合物であることが好ましい。
ただし、第2の混合物は、上述の如く、25℃における粘度が40Pa・s以上70Pa・s以下である。このような粘度を達成するためには、第2の混合物が、以下に示すような条件のうちのいずれかまたは複数を満たしていると好ましい。なお、第2の混合物の粘度とは、実質的に第2のオキシアルキレン重合体と第2の(メタ)アクリレート共重合体のみからなる混合物の粘度をいい、溶剤や可塑剤等の粘度に影響を与える成分を実質的に含まない状態の混合物の粘度をいう。
まず、第2の混合物中の第2のオキシアルキレン重合体が、20000以上、好ましくは25000以上の数平均分子量を有していると好ましい。また、第2のオキシアルキレン重合体の数平均分子量は、50000以下であるとより好ましい。こうすることで、上記範囲の粘度を有する第2の混合物が得られやすくなるほか、これを含む硬化性組成物の硬化物の最大伸度が良好となる傾向にある。
また、第2の(メタ)アクリレート共重合体の数平均分子量(Mn)は、500〜100000であると好ましく、5000〜50000であるとより好ましく、10000〜40000であると更に好ましく、15000〜40000であると特に好ましい。Mnが500以上である第2の(メタ)アクリレート共重合体を含む硬化性組成物によれば、耐候性に優れた硬化物が得られる傾向にある。また、Mnが100000以下であることで、第2の(メタ)アクリレート共重合体の常温での取り扱い性が向上する傾向にある。なお、このMnは、第2の混合物に対して求められる粘度に応じて適宜変更することが望ましい。
さらに、第2の混合物は、第2のオキシアルキレン重合体と第2の(メタ)アクリレート共重合体とを、以下に示す配合割合で含有していると好ましい。すなわち、第2のオキシアルキレン重合体100質量部に対して、第2の(メタ)アクリレート共重合体を5〜200質量部含有していると好ましく、5〜50質量部含有しているとより好ましい。第2の(メタ)アクリレート共重合体の含有量が、第2のオキシアルキレン重合体100質量部に対して5質量部未満であると、これを含む硬化性組成物の硬化物の耐候性が不十分となる傾向にある。一方、200質量部を超えると、上記硬化物の耐候性が十分となるものの、硬化性組成物の粘度が過度に高くなり、作業性が悪くなる傾向にある。
[硬化性組成物]
硬化性組成物は、上述した第1の混合物および第2の混合物を含有するものである。この硬化性組成物においては、第1の混合物および第2の混合物は、以下に示す配合比で混合されていることが好ましい。すなわち、第1の混合物100質量部に対し、第2の混合物が20〜1000質量部含まれていると好ましく、50〜700質量部含まれているとより好ましく、70〜400質量部含まれていると更に好ましい。第1の混合物100質量部に対する第2の混合物の含有量が、20質量部未満であると、硬化物の破断強度や伸び等の機械特性が低下する傾向にある。一方、1000質量部を超えると、粘度が過度に高くなり、作業性が悪くなる傾向にある。
[その他の成分]
硬化性組成物は、上述した第1の混合物(第1のオキシアルキレン重合体および第1の(メタ)アクリレート共重合体)、および、第2の混合物(第2のオキシアルキレン重合体および第2の(メタ)アクリレート共重合体)以外に、所望とする特性に応じて他の成分を更に含んでいてもよい。以下、このような他の成分について説明する。
(硬化触媒)
まず、硬化性組成物は、当該組成物の硬化の際に生じる、各成分中の反応性ケイ素基の加水分解や架橋反応を促進するための硬化触媒を含有していてもよい。
硬化触媒としては、まず、有機スズカルボン酸塩、含硫黄有機スズ化合物、有機スズオキシド、この有機スズオキシドとエステル化合物との反応生成物、キレートスズ化合物、このキレートスズ化合物とアルコキシシランとの反応生成物、−SnOSn−結合を含む有機スズ化合物、2価スズカルボン酸塩類等のスズ含有化合物が挙げられる。
有機スズカルボン酸塩としては、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(n−C4H9)2Sn(OCOCH=CHCOO(n−C4H9))2、(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOOCH3)2、(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO(n−C4H9))2、(n−C8H17)2Sn(OCOCH=CHCOO(iso−C8H17))2等が挙げられる。
含硫黄有機スズ化合物としては、(n−C4H9)2Sn(SCH2COO)、(n−C8H17)2Sn(SCH2COO)、(n−C8H17)2Sn(SCH2CH2COO)、(n−C8H17)2Sn(SCH2COOCH2CH2OCOCH2S)、(n−C4H9)2Sn(SCH2COO(iso−C8H17))2、(n−C8H17)2Sn(SCH2COO(iso−C8H17))2、(n−C8H17)2Sn(SCH2COO(n−C8H17))2、(n−C4H9)2SnS等が挙げられる。また、有機スズオキシドとしては、(n−C4H9)2SnO、(n−C8H17)2SnO等が挙げられる。
有機スズオキシドとエステル化合物との反応生成物を得るためのエステル化合物としては、例えば、エチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル等が挙げられる。
キレートスズ化合物としては、(n−C4H9)2Sn(acac)2、(n−C8H17)2Sn(acac)2、(n−C4H9)2Sn(OC8H17)(acac)、(n−C4H9)2Sn(OC(CH3)CHCO2C2H5)2、(n−C8H17)2Sn(OC(CH3)CHCO2C2H5)2、(n−C4H9)2Sn(OC8H17)(OC(CH3)CHCO2C2H5)等が挙げられる。ただし、式中の「acac」はアセチルアセトナト配位子を表し、「OC(CH3)CHCO2C2H5」はエチルアセトアセテート配位子を表す。また、キレートスズ化合物とアルコキシシランとの反応生成物を得るためのアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
−SnOSn−結合を含む有機スズ化合物としては、(n−C4H9)2(CH3COO) SnOSn(OCOCH3)(n−C4H9)2、(n−C4H9)2(CH3O) SnOSn(OCH3)(n−C4H9)2等が挙げられる。2価スズカルボン酸塩類としては、2−エチルヘキサン酸スズ、n−オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ等が挙げられる。
また、硬化触媒としては、スズ以外の金属を含む金属塩類も好適である。具体的には、有機カルボン酸の金属塩類、チタンアルコキシド類、アルミニウムアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類、チタンキレート類、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムアセチルアセトナト錯体等が挙げられる。
有機カルボン酸の金属塩類としては、オクチル酸、オレイン酸、ナフテン酸、ステアリン酸等が挙げられる。具体的には、例えば、カルボン酸カルシウム、カルボン酸ジルコニウム、カルボン酸鉄、カルボン酸バナジウム、カルボン酸ビスマス(例えば、ビスマストリス−2−エチルヘキソエート等)、カルボン酸鉛、カルボン酸チタニウム、カルボン酸ニッケル等が例示できる。
チタンアルコキシド類としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラメチルチタネート、テトラ(2−エチルへキシルチタネート)等が挙げられる。また、アルミニウムアルコキシド類としては、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシド類としては、ジルコニウム−n−プロピレート、ジルコニウム−n−ブチレート等が挙げられる。また、チタンキレート類としては、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート等が挙げられる。さらに、アルミニウムキレート類としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
ジルコニウムアセチルアセトナト錯体またはジルコニウムアセテートとしては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
さらに、硬化触媒としては、上述したような金属を含有する化合物以外に、酸性化合物類、脂肪族モノアミン類、脂肪族ジアミン類、脂肪族ポリアミン類、複素環式アミン類、芳香族アミン類、芳香族アミン類、トリアルキルアミン類や、その他、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物を適用することもできる。
酸性化合物類としては、リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル酸等が挙げられ、脂肪族モノアミン類としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン等が例示できる。また、脂肪族ジアミン類としては、エチレンジアミン、ヘキサンジアミン等が挙げられ、脂肪族ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が例示できる。
複素環式アミン類としては、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられ、芳香族アミン類としてはメタフェニレンジアミン等が例示できる。また、アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、トリアルキルアミン類としては、トリエチルアミン等が例示できる。
なお、硬化触媒は、上述した各種のもののうち、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、例えば、2価スズカルボン酸塩、有機スズカルボン酸塩、および、有機スズオキシドとエステル化合物との反応物からなる群より選ばれる少なくとも一種のスズ含有化合物と、脂肪族モノアミンと、その他の上記アミン化合物とを併用することが好ましい。このような組み合わせによって、優れた硬化性を有する硬化性組成物が得られるようになる。
硬化性組成物において、硬化触媒の含有量は、第1および第2の混合物の合計100質量部に対して、0.001〜10質量部であると好ましく、0.01〜5質量部であるとより好ましい。硬化触媒の含有量が、0.001質量部以上であると、硬化性組成物の硬化速度が十分に速くなる傾向にある。また、10質量部以下であると、硬化物の発泡や耐久性の低下などの不具合の発生が十分に抑制できる。なお、硬化性組成物は、予め硬化触媒を添加した状態で脱水条件で保存され、硬化時に大気中の湿分と反応させる一液型としてもよく、硬化させる直前に硬化触媒を混合して硬化させる二液型としてもよい。
(充填剤)
硬化性組成物は、更に充填剤を含有することもできる。充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム類、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、プラスチックバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体充填剤や、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤が挙げられる。
なかでも、炭酸カルシウム類としては、脂肪酸や樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、この炭酸カルシウムをさらに微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム等が例示できる。
硬化性組成物中の充填剤の含有量は、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して0.01〜1000質量部であると好ましく、50〜250質量部であるとより好ましい。なお、上述した充填剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、上述の充填剤のうち、プラスチックバルーン等の中空体は硬化性組成物の比重を小さくするための軽量化剤としても有効である。
(可塑剤)
硬化性組成物は、可塑剤を更に含有していてもよい。可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル類;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを縮合せて得られるポリエステル類;ポリオキシプロピレングリコールやその誘導体などのポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のスチレン系オリゴマー類;特開2000−178456号公報等に開示されたリビングラジカル重合法を用いて製造した分子量分布(Mw/Mn)が1.8以下の反応性ケイ素基を有しない(メタ)アクリル酸エステル系重合体;「工業材料」1998年8月号110頁に記載された東亜合成株式会社製のSGOポリマー等のアクリル重合体;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類が挙げられる。
硬化性組成物中の可塑剤の含有量は、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して、1000質量部以下であると好ましい。可塑剤の添加量が1000質量部を超えると、硬化物の表面にブリードアウトする可塑剤の量が多くなり、これにより表面汚れが発生し易くなるおそれがある。なお、上述した可塑剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(接着性付与剤)
また、硬化性組成物は、被着体に対する接着性を向上させる目的で接着性付与剤を更に含有していてもよい。接着性付与剤としては、シランカップリング剤が挙げられ、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;2−カルボキシエチルトリエトキシシラン、2−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(N−カルボキシルメチル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシル基含有シラン類等を例示できる。
また、上述したシランカップリング剤の2種以上を反応させて得られる反応物を接着性付与剤として添加することもできる。このような反応物としては、例えば、アミノ基含有シラン類とエポキシ基含有シラン類との反応物、アミノ基含有シラン類と(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類との反応物、エポキシ基含有シラン類とメルカプト基含有シラン類の反応物、メルカプト基含有シラン類同士の反応物等が挙げられる。これらの反応物は、例えば、原料のシランカップリング剤を混合し、室温〜150℃の範囲の温度で1〜8時間撹拌することによって容易に得ることができる。
また、接着性付与剤としては、上述したシランカップリング剤のほか、エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する各種のエポキシ化合物を用いることもできる。このようなエポキシ化合物としては、公知のエポキシ樹脂やエポキシ基を含有するビニル系重合体が挙げられる。エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラブロモビスフェノールA−グリシジルエーテル型エポキシ樹脂などの難燃型エポキシ樹脂;ノボラック型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールA−プロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;4−グリシジルオキシ安息香酸グリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のジグリシジルエステル系エポキシ樹脂;m−アミノフェノール系エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂;ウレタン変性エポキシ樹脂;各種脂環式エポキシ樹脂;N,N−ジグリシジルアニリン;N,N−ジグリシジル−o−トルイジン;トリグリシジルイソシアヌレート;ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル;グリセリン等の多価アルコールのグリシジルエーテル;ヒダントイン型エポキシ樹脂;石油樹脂などの不飽和重合体のエポキシ化物等が例示できる。
接着性付与剤として上述したようなエポキシ化合物を用いる場合、これに加えて、エポキシ樹脂硬化剤を更に添加してもよい。これにより、硬化性組成物の硬化が更に良好となる傾向にある。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミンやこれらの塩類、或いはこれらのアミン類から誘導されるケチミン化合物などのブロックドアミン類等のアミン類;ポリアミド樹脂;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;三フッ化ホウ素錯化合物類;無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物;フェノキシ樹脂;カルボン酸類;アルコール類;エポキシ基と反応し得る基を平均して分子内に少なくとも1個有するオキシアルキレン重合体(例えば、末端アミノ化ポリオキシプロピレングリコール、末端カルボキシル化ポリオキシプロピレングリコール等);末端が水酸基、カルボキシル基およびアミノ基からなる群より選ばれる官能基で修飾されたポリブタジエン、水添ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル系重合体等の液状末端官能基含有重合体等が挙げられる。
硬化性組成物中の接着性付与剤の添加量は、例えば、接着性付与剤としてシランカップリング剤を用いる場合、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して30質量部以下が好ましい。この含有量が30質量部を超えると、硬化性組成物の硬化物が硬くなりすぎる場合がある。なお、上述したような接着性付与剤は、単独で添加してもよく、また2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
一方、接着性付与剤としてエポキシ化合物を含有させる場合、その含有量は、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましい。また、エポキシ樹脂硬化剤を更に添加する場合、その添加量はエポキシ化合物100質量部に対して300質量部以下とすることが好ましい。
(溶剤)
硬化性組成物は、粘度の調整や組成物の保存安定性の向上等を目的として、溶剤を更に含有していてもよい。溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、エステルアルコール類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、エステルエーテル類等が挙げられる。
なかでも、アルコール類は、硬化性組成物の保存安定性を特に良好にできる傾向にあり、当該組成物の長期保存を可能とすることができる。このようなアルコール類としては、炭素数1〜10のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソペンチルアルコールまたはヘキシルアルコールが特に好ましい。
硬化性組成物中の溶剤の含有量は、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して、100質量部以下とすることが好ましく、1〜50質量部とすることがより好ましく、1〜10質量部とすることが更に好ましい。ただし、溶剤の使用により、硬化性が低下するほか、溶剤揮発による臭気の発生等、環境面での問題が顕著となる場合があることから、溶剤は、実質的には含まないことが好ましい。
(脱水剤)
硬化性組成物は、その貯蔵安定性をさらに向上するために脱水剤を更に含有していてもよい。脱水剤としては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル;オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の加水分解性ケイ素化合物;加水分解性有機チタン化合物等が挙げられる。なかでも、脱水剤としては、ビニルトリメトキシシランまたはテトラエトキシシランが、低コストであり、優れた脱水効果を有していることから特に好ましい。
硬化性組成物中の脱水剤の含有量は、硬化性組成物の硬化性や硬化物の柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲に調整することが好ましい。具体的には、脱水剤の含有量は、第1の混合物および第2の混合物の合計100質量部に対して30質量部以下であることが好ましい。なお、脱水剤は上述したものの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(チキソ性付与剤)
硬化性組成物は、チキソ性付与剤を更に含有していてもよい。チキソ性付与剤としては、例えば、水添ひまし油、脂肪酸アミド等が挙げられる。このようなチキソ性付与剤が添加された硬化性組成物は、スランプ性が小さくなり、取り扱い性が更に優れるものとなる。
(老化防止剤)
硬化性組成物は、所望により老化防止剤を更に含有していてもよい。老化防止剤としては、一般に用いられている酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等から適宜選択でき、所望によりこれらの複数種を組み合わせて用いることもできる。老化防止剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエ−ト系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系等の公知の老化防止剤を用いることができる。
(顔料(着色剤))
さらに、硬化性組成物は顔料を更に含むものであってもよい。顔料としては、例えば、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料を特に制限なく使用できる。
(その他の添加剤)
硬化性組成物は、上述したもの以外にも、所望によりその他の添加剤を更に含有していても構わない。その他の添加剤としては、例えば、硬化物の耐候性を向上させるための光硬化性化合物、防かび剤、発泡剤等が挙げられる。これらの添加剤は、硬化性組成物の要求特性に応じて1種または2種以上含有させることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[(メタ)アクリレート共重合体の調製]
(調製例1)
窒素導入管および撹拌装置を備え、内温調節が可能な耐圧反応容器を用いて以下の反応を行った。なお、以下の実施例または比較例においては、いずれも同様の装置を用いて各反応を実施した。
すなわち、アクリルモノマーとして、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ステアリル、3―メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3―メルカプトプロピルメチルジメトキシシランを用いるとともに、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを用い、重合開始剤の添加量を調整しながら、特開平07−258535号公報における合成例4と同様にしてこれらのアクリルモノマーを共重合させて、調製例1の(メタ)アクリレート共重合体のトルエン溶液を得た。得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は22000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.00であった。
ここで、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、いずれもゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値であり、分子量既知のポリスチレン標準試料を用いて作成した検量線から、ポリスチレン換算分子量として算出した値である。具体的には、GPCは、カラムとしてMultiporeHxL(東ソー社製)を2本直列につないだものを用い、移動相としてテトラヒドロフランを用い、温度40℃の条件で測定を行った。また、ポリスチレン標準試料としては、Polymer Laboratories社製のPS−2を用いた。なお、以下の実施例または比較例における(メタ)アクリレート共重合体やオキシアルキレン重合体等の重合体成分は、全て同様にしてMw、MnおよびMw/Mnの値を算出した。
(調製例2)
特開2004−51830号公報における製造例1と同様にして、アルケニル基を末端に有するアクレート共重合体(アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸メトキシエチルの共重合体)を得た。その後、白金触媒下でジメトキシメチルヒドロシランを反応させて、調製例2の(メタ)アクリレート共重合体を得た。得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は18000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であった。
(調製例3)
まず、反応容器に酢酸エチル198gを入れ、約67℃に昇温した。この反応容器の内温を約67℃に保ち、窒素雰囲気下で攪拌しながら、メタクリル酸メチル9.6g、アクリル酸ブチル52.6g、アクリル酸2−エチルヘキシル37.8g、分子量840のポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート2.9g(日本油脂社製、ブレンマーPP800)、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン0.46g、3―メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン0.35g、および、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V65、和光純薬社製)0.82gを混合した溶液を、上述した酢酸エチル中に3時間かけて滴下した。
滴下終了後、溶液を約67℃に保持しながらさらに20時間攪拌した。攪拌後の溶液に、0.1gのV65を溶解した酢酸エチル溶液10gを、30分かけてさらに滴下した後、この溶液を約67℃で3時間攪拌して、調製例3の(メタ)アクリレート共重合体の酢酸エチル溶液を得た。なお、得られた共重合体の数平均分子量(Mn)は21000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.10であった。
[オキシアルキレン重合体の調製]
(調製例4)
まず、開始剤として、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシド(PO)を開環重合させて得られたポリオキシプロピレンジオール(Mn=3000、以下、「ジオール」と略す)120gと、グリセリンにPOを開環重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(Mn=5000、以下、「トリオール」と略す)200gとの混合物、および、触媒として、1.2gの亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒を準備した。
これらの開始剤および触媒の存在下、2480gのPOを反応容器内に少しずつ添加しながら120℃の温度条件で重合させた。なお、重合反応は、POの全量を添加した後、反応容器の内圧が下がらなくなるまで行った。
その後、反応系に、ジオールおよびトリオールを加えた後、所定量のPOを添加しながら重合反応を行う工程を繰り返し5回行って、ポリオキシプロピレンポリオールを得た。なお、各工程におけるジオール、トリオールおよびPOの添加量は、以下の(1)〜(5)に示す順で変化させた。また、各工程における反応方法および条件は全て上記と同様とした。
(1)ジオール:120g、トリオール:200g、PO:1680g
(2)ジオール:120g、トリオール:200g、PO:1280g
(3)ジオール:80g、トリオール:130g、PO:590g
(4)ジオール:60g、トリオール:100g、PO:240g
(5)ジオール:75g、トリオール:125g、PO:200g
得られたポリオキシプロピレンポリオールの数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.76であり、粘度は19.5Pa・s(25℃)であった。
得られたポリオキシプロピレンポリオールに、当該ポリオールの有する水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加した後、加熱減圧下でメタノールを留去することで、ポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。次に、末端変換後のポリオキシプロピレンポリオールに塩化アリルを反応させた後、未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去して、末端アリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。
さらに、末端アリル基を有するポリオキシポリプロピレンに対して、過剰量のメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させた後、未反応のメチルジメトキシシランを加熱減圧下で留去して、調製例4のオキシアルキレン重合体(末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体)を得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は17500であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。
(調製例5)
まず、開始剤としてプロピレングリコール、触媒として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒を準備した。これらの開始剤および触媒の存在下、プロピレンオキシドを開環重合させることにより、ポリオキシプロピレンジオールを得た。得られたポリオキシプロピレンジオールのMnは17000であり、Mw/Mnは1.3であった。
このポリオキシプロピレンジオールに、水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加した後、加熱減圧下でメタノールを留去して、ポリオキシプロピレンジオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。次に、末端変換後のポリオキシプロピレンポリオールに塩化アリルを反応させた後、未反応の塩化アリルを減圧下で留去し、さらに副生した塩を精製により除去して、末端アリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。
さらに、末端アリル基を有するポリオキシプロピレンに対して、過剰量のメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させた後、未反応のメチルジメトキシシランを加熱減圧下で留去して、調製例5のオキシアルキレン重合体(末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体)を得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は18000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.35であった。
(調製例6)
Mnが25000であり、Mw/Mnが1.35であるポリオキシプロピレンジオールを得たこと以外は、調製例5と同様にして、調製例6のオキシアルキレン重合体(末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体)を得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は26000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.39であった。
(調製例7)
開始剤として調製例4で用いたジオール120gおよび調製例4で用いたトリオール200gの混合物、および、触媒として1.2gの亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒を準備した。これらの開始剤および触媒の存在下、2480gのPOを反応容器内に少しずつ添加しながら120℃の温度条件で重合させた。なお、重合反応は、POの全量を添加した後、反応容器の内圧が下がらなくなるまで反応させた。
その後、反応系に、ジオールおよびトリオールを加えた後、所定量のPOを添加しながら重合反応を行う工程を繰り返し5回行って、ポリオキシプロピレンポリオールを得た。なお、各工程におけるジオール、トリオールおよびPOの添加量は、以下の(1)〜(5)に示す順で変化させた。また、各工程における反応方法および条件は全て上記と同様とした。
(1)ジオール:120g、トリオール:200g、PO:1680g
(2)ジオール:320g、トリオール:0g、PO:1280g
(3)ジオール:210g、トリオール:0g、PO:590g
(4)ジオール:160g、トリオール:0g、PO:240g
(5)ジオール:200g、トリオール:0g、PO:200g
得られたポリオキシプロピレンポリオールの数平均分子量(Mn)は18000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.70であり、粘度は18.5Pa・s(25℃)であった。
得られたポリオキシプロピレンポリオールに、当該ポリオールの有する水酸基に対して1.05当量のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を添加した後、加熱減圧下でメタノールを留去することで、ポリオキシプロピレンポリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。次に、末端変換後のポリオキシプロピレンポリオールに塩化アリルを反応させた後、未反応の塩化アリルを除去し、さらに副生した塩を精製により除去して、末端アリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。
さらに、末端アリル基を有するポリオキシポリプロピレンに対して、過剰量のメチルジメトキシシランを白金触媒の存在下で反応させた後、未反応のメチルジメトキシシランを加熱減圧下で留去して、調製例7のオキシアルキレン重合体(末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシプロピレン重合体)を得た。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は19000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.72であった。
上述した調製例1〜7で得られた(メタ)アクリレート共重合体およびオキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)をまとめて表1に示す。
[混合物の調製]
調製例1〜3のうちのいずれか一つの(メタ)アクリレート共重合体と、調製例4〜7のうちのいずれか一つのオキシアルキレン重合体とを、溶媒を除く重合体量が表に示す質量となるように混合し、混合物1〜6を得た。混合物は、混合後、必要に応じて、脱溶剤および未反応のモノマー類の除去を行った。脱溶剤および未反応のモノマー類の除去は、フラスコに混合物を入れ、徐々に加熱し、70℃から真空ポンプで減圧を開始し、最終的に120℃で5時間の減圧を行うことにより実施した。そして、得られた混合物の25℃における粘度を、E型粘度計(RE80型粘度計、東機産業社製)を用いて測定した。その結果、15Pa・s以上40Pa・s以下であった混合物1〜4を第1の混合物とし、40Pa・s以上70Pa・s以下であった混合物5および6を第2の混合物とした。得られた各混合物の粘度を合わせて表2に示す。
[硬化性組成物の調製]
(実施例1〜5、比較例1〜5)
表3に示す組み合わせおよび配合量にしたがって、混合物1〜4のうちのいずれか一種(第1の混合物)と、混合物5または6(第2の混合物)とを混合するとともに、これに、充填剤、チキソ性付与剤、可塑剤、接着性付与剤、脱水剤および老化防止剤を加え、3本ペイントロールにより均一に混合させた。この混合物に触媒を添加した後更によく混練して、実施例1〜5および比較例1〜5の硬化性組成物を調製した。なお、表3中、第1または第2の混合物の含有量は、両者の合計100質量部中の各混合物の質量部で示してあり、その他の成分の含有量は、第1および第2の混合物の合計100質量部に対する質量部で示してある。
なお、表中、白艶華CCR、ホワイトンSR、ディスパロン6500、UP1000、KBM603、KBM403、KBM1003、イルガノックス1010、LA67、チヌビン327および♯918の各成分は、下記の表4に示される材料である。
[特性評価]
(物性および取扱い性の評価)
以下に示す方法により、実施例1〜5および比較例1〜5の各硬化性組成物からなる硬化物の物性、および、第1の混合物および第2の混合物を含む組成物の取り扱い性についての評価を行った。得られた結果を表5に示す。
まず、実施例1〜5および比較例1〜5の硬化性組成物を用い、JIS A1439(2004)にしたがって、各種のH型試験体を作成して初期養生を行った後、各H型試験体の引張試験を行い、50%モジュラス(M50)および破断伸び(E)を測定した。
また、第1の混合物と第2の混合物とを、実施例1〜5および比較例1〜5の硬化性組成物と同様の組み合わせおよび配合量で配合した組成物を調製し、得られた各組成物の糸引き評価を行うことにより、各組成物の取り扱い性を評価した。糸引き評価は、以下に示す方法に従って行った。すなわち、まず、各組成物をそれぞれプラスチック容器に100gずつ詰め、これに長さが約150mmのプラスチック製丸棒を約10mmの深さまで差し込んだものを用意した。この状態を保ちながら、丸棒をクランプに保持するとともに容器を架台に載置して、丸棒が約300mmの高さに位置するようにこれらを配置した。その後、容器のみを下方に落下させて、丸棒の先端から伸びた組成物の長さを測定した。この測定を各組成物について10回ずつ行い、最大値および最小値を除いた8つの値の平均値を算出した。そして、この平均値が100mm未満であった組成物を、糸引きが少なく、取扱い性が良好であるとして○で示し、100mm以上であった組成物を、糸引きが多く、取扱い性が悪いものとして×で示した。なお、各組成物で得られた取扱い性の評価結果は、他の物性の測定結果とともに表5中に示した。
表5に示されるように、第1および第2の混合物の両方を含む実施例1〜5の硬化性組成物から得られた試験体は、一方のみを含む比較例1〜5の硬化性組成物から得られたものに比して、機械的な物性および取扱い性に優れていることが判明した。
また、第1の混合物中に、分子量分布(Mw/Mn)が1.60未満であるオキシアルキレン重合体(調製例5)を含む実施例1の硬化性組成物は、Mw/Mnが1.60以上であるポリオキシアルキレン(調製例7)を含む実施例5の硬化性組成物に比べると、硬化物の機械特性が良好であることが判明した。
さらに、第1および第2の混合物の両方に、Mw/Mnが1.6未満であるオキシアルキレン重合体(調製例5)を含む実施例4の硬化性組成物は、特に機械特性が良好であった。また、この実施例4と同様の配合比で第1および第2の混合物を含む組成物は、極めて取り扱い性が良好であった。
(スランプ性試験)
スランプ性試験は、JIS A1439(2004)に準じた方法により行った。すなわち、所定の溝型容器に実施例1または実施例3の硬化性組成物をそれぞれ充填して試料を作成し、これを用いて測定を行った。