特許文献1の収納具にあっては、衣服が吊下げられるハンガーバーが二つの支柱間に固定されているため、収納具が比較的大型となり、比較的広い配置スペースを必要とする。しかも、ハンガーバーの両端を支持する二つの支柱が必要であり、構造が複雑であり、また、ハンガーバーに吊下げられている衣服を隠蔽する袋体を備える場合、該袋体も大型となり、梱包して搬送する際に嵩高となる。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は被吊物が吊下げられる吊体を上下方向への回動を可能に支持体に枢支し、該吊体及び支持体の一方に固定歯を設け、固定歯と接離する方向への移動が可能な可動歯及び該可動歯を前記固定歯に向けて付勢する弾性体を他方に設け、該弾性体の付勢力に打ち勝って前記可動歯を固定歯と離隔する位置へ移動させ、離隔した位置に前記可動歯を止めるクラッチ部を備える構成とすることにより、比較的小型にでき、比較的狭いスペースに配置することができ、また、構造を簡単にでき、梱包して搬送する際に嵩低にすることができる収納具を提供することにある。
また、他の目的はクラッチ部を、前記枢支軸心周りに回動可能に支持され、周方向位置に前記枢支軸心の方向へ窪む凹部又は前記枢支軸心の方向へ突出する凸部を有する環体と、該環体に突設された操作部と、前記凹部又は凸部と係脱し前記可動歯又は固定歯の前記枢支軸心側に配された凸部又は凹部とを有する構成とすることにより、操作部を操作することにより吊体を下方位置へ簡易に移動させることができ、吊体の操作性を高めることができる収納具を提供することにある。
また、他の目的はクラッチ部を、前記枢支軸心周りに回動可能に支持され、周方向位置に凹部又は凸部及び第1当接部を有する環体と、前記凹部又は凸部と係脱し前記環体を枢支軸心方向へ相対移動させる凸部又は凹部とを備え、前記吊体は前記第1当接部に当接して前記環体を回動させることが可能な第2当接部を有する構成とすることにより、クラッチ部を手動で操作することなく吊体を回動操作することができ、吊体の操作性をより一層高めることができる収納具を提供することにある。
また、他の目的は支持体を上下方向へ移動可能に支持する支柱と、該支柱における前記支持体の上側に遊嵌され、前記袋体が被嵌される枠体と、前記支持体の移動を規制する移動規制体とを備える構成とすることにより、ユーザの背丈に応じて吊体の横方向位置を簡易に調整することができる収納具を提供することにある。
また、他の目的は支柱における前記支持体の下側に遊嵌され、前記袋体が被嵌される第2枠体を備える構成とすることにより、吊体の高さが調整されるとき、吊体の高さ調整とともに上側の枠体と袋体及び下側の第2枠体とを上下方向へ移動させることができ、袋体の封止性を高めることができる収納具を提供することにある。
また、他の目的は移動規制体を、支柱に遊嵌されている筒体と、該筒体内に前記支柱と接触するロック位置及びロック解除位置への動作を可能に保持されているレバー体と、該レバー体をロック位置へ付勢する第2弾性体とを有する構成とすることにより、吊体の高さ調整を簡易にできる収納具を提供することにある。
また、他の目的は枠体及び第2枠体を、支柱に遊嵌される大孔及び複数の小孔を開設してある筒部と、周方向の一部が開放され、その両端部が前記小孔に挿入される枠部とを有する構成とすることにより、組立て/分解の作業性を高めることができる収納具を提供することにある。
また、他の目的は支柱を、下側柱体と該下側柱体に遊嵌される上側柱体と、該上側柱体及び下側柱体の相対移動量を調整する調整体とを有する構成とすることにより、吊体に吊下げられる被吊物の個数が多い場合においても支柱周りに特別の転倒防止部材を設けることなく支柱の転倒を防ぐことができる収納具を提供することにある。
第1発明に係る収納具は、被吊物が吊下げられる吊体と、該吊体を支持する支持体と、前記被吊物を収納する袋体とを備える収納具において、前記吊体は上下方向への回動を可能に枢支されており、該吊体及び支持体の一方は枢支軸心周りに固定歯を有し、他方は前記枢支軸心の方向で、且つ前記固定歯と接離する方向への移動が可能な可動歯及び該可動歯を前記固定歯に向けて付勢する弾性体を有し、該弾性体の付勢力に打ち勝って前記可動歯を枢支軸心方向で、且つ前記固定歯と離隔する位置へ移動させ、離隔した位置に前記可動歯を止めるクラッチ部を備え、該クラッチ部は前記枢支軸心周りに回動可能に支持され、周方向位置に前記枢支軸心の方向へ窪む凹部又は前記枢支軸心の方向へ突出する凸部を有する環体と、該環体に突設された操作部と、前記凹部又は凸部と係脱し前記可動歯又は固定歯の前記枢支軸心側に配された凸部又は凹部とを有することを特徴とする。
第1発明にあっては、吊体を回動操作することにより、可動歯が弾性体の付勢力に打ち勝って枢支軸心方向へ移動し、固定歯との噛合が離脱するため、吊体を横方向位置及び下方位置へスムーズに回動させることができ、吊体に吊下げられる被吊物の取出し/格納の操作性を高めることができる。しかも、横方向位置で吊体の回動操作を中断したとき、弾性体の付勢力により可動歯が固定歯と噛合するため、吊体の横方向位置を維持することができ、吊体の枢支部分の耐久性を高めることができる。また、クラッチ部が弾性体の付勢力に打ち勝って可動歯を移動させるため、可動歯が固定歯と噛合しない状態で吊体を下方位置へ自由に回動させることができ、吊体が邪魔になるのを防ぐことができ、比較的狭いスペースに配置することができる。また、吊体を一つの支持体で支持することができるため、比較的小型にでき、構造を簡単にでき、梱包して搬送する際に嵩低にできる。
また、第1発明にあっては、クラッチ部の環体を吊体の枢支軸心と同軸的に配置して凹部と凸部とを係合させることができるため、操作部を操作することにより環体をスムーズに回動させることができるとともに、可動歯を枢支軸心方向へスムーズに移動させることができ、吊体を下方位置へ簡易に移動させることができ、吊体の操作性、ひいては吊体に吊下げられる被吊物の取出し/格納性の操作性を高めることができる。
第2発明に係る収納具は、被吊物が吊下げられる吊体と、該吊体を支持する支持体と、前記被吊物を収納する袋体とを備える収納具において、前記吊体は上下方向への回動を可能に枢支されており、該吊体及び支持体の一方は枢支軸心周りに固定歯を有し、他方は前記枢支軸心の方向で、且つ前記固定歯と接離する方向への移動が可能な可動歯及び該可動歯を前記固定歯に向けて付勢する弾性体を有し、該弾性体の付勢力に打ち勝って前記可動歯を枢支軸心方向で、且つ前記固定歯と離隔する位置へ移動させ、離隔した位置に前記可動歯を止めるクラッチ部を備え、該クラッチ部は前記枢支軸心周りに回動可能に支持され、周方向位置に凹部又は凸部及び第1当接部を有する環体と、前記凹部又は凸部と係脱し前記環体を枢支軸心方向へ相対移動させる凸部又は凹部とを備え、前記吊体は前記第1当接部に当接して前記環体を回動させることが可能な第2当接部を有することを特徴とする。
第2発明にあっては、吊体を回動させることにより第2当接部を第1当接部に当接させて環体を回動させつつ枢支軸心方向へ相対移動させ、固定歯と可動歯との噛合を離脱し、さらに可動歯を固定歯に噛合させることができるため、クラッチ部を手動で操作することなく吊体を回動操作することができ、吊体の操作性、ひいては吊体に吊下げられる被吊物の取出し/格納の操作性をより一層高めることができる。
第3発明に係る収納具は、前記支持体を上下方向へ移動可能に支持する支柱と、該支柱における前記支持体の上側に遊嵌され、前記袋体が被嵌される枠体と、前記支持体の移動を規制する移動規制体とを備えることを特徴とする。
第3発明にあっては、吊体の高さを調整することができ、しかも、吊体の高さ調整とともに袋体を上下方向へ移動させることができるため、ユーザの背丈に応じて吊体の横方向位置を簡易に調整することができる。
第4発明に係る収納具は、前記支柱における前記支持体の下側に遊嵌され、前記袋体が被嵌される第2枠体を備えることを特徴とする。
第4発明にあっては、吊体の高さが調整されるとき、吊体の高さ調整とともに上側の枠体と袋体及び下側の第2枠体とを上下方向へ移動させることができるため、袋体の封止性を高めることができる。
第5発明に係る収納具は、前記移動規制体は、前記支柱に遊嵌されている筒体と、該筒体内に前記支柱と接触するロック位置及びロック解除位置への動作を可能に保持されているレバー体と、該レバー体をロック位置へ付勢する第2弾性体とを有することを特徴とする。
第5発明にあっては、弾性体の付勢力に打ち勝ってレバー体を操作することにより支持体の移動ロックを解除することができ、また、レバー体の操作を止めることにより支持体の移動をロックすることができるため、吊体の高さ調整を簡易にできる。
第6発明に係る収納具は、前記枠体及び第2枠体は、前記支柱に遊嵌される大孔及び複数の小孔を開設してある筒部と、周方向の一部が開放され、その両端部が前記小孔に挿入される枠部とを有することを特徴とする。
第6発明にあっては、支柱に遊嵌される筒部夫々の小孔に枠部の両端部、第2枠部の両端部を挿入することにより袋体及び第2枠体を支柱に装着することができるため、組立て/分解の作業性を高めることができる。
第7発明に係る収納具は、前記支柱は、下側柱体と該下側柱体に遊嵌される上側柱体と、該上側柱体及び下側柱体の相対移動量を調整する調整体とを有することを特徴とする。
第7発明にあっては、調整体を操作することにより、支柱の長さを調整することができるため、支柱を床面及び天井に突っ張って固定することができ、吊体につり下げられる被吊り物の個数が多い場合においても支柱周りに特別の転倒防止部材を設けることなく支柱の転倒を防ぐことができる。
第1発明によれば、吊体を横方向位置及び下方位置へスムーズに回動させることができるため、比較的狭いスペースに配置することができ、しかも、吊体に吊下げられる被吊物の取出し/格納の操作性を高めることができる。また、吊体を一つの支持体で支持することができるため、比較的小型にでき、構造を簡単にでき、梱包して搬送する際に嵩低にできる。
また、第1発明によれば、操作部を操作することにより環体をスムーズに回動させることができるとともに、可動歯を枢支軸心方向へスムーズに移動させることができ、吊体を下方位置へ簡易に移動させることができ、吊体の操作性、ひいては吊体に吊り下げられる被吊物の取出し/格納性の操作性を高めることができる。
第2発明によれば、クラッチ部を手動で操作することなく吊体を回動操作することができ、吊体の操作性、ひいては吊体に吊下げられる被吊物の取出し/格納の操作性をより一層高めることができる。
第3発明によれば、ユーザの背丈に応じて吊体の横方向位置を簡易に調整することができる。
第4発明によれば、吊体の高さが調整されるとき、吊体の高さ調整とともに上側の枠体と袋体及び下側の第2枠体とを上下方向へ移動させることができ、袋体の封止性を高めることができる。
第5発明によれば、弾性体の付勢力に打ち勝ってレバー体を操作することにより支持体の移動ロックを解除することができ、また、レバー体の操作を止めることにより支持体の移動をロックすることができ、吊体の高さ調整を簡易にできる。
第6発明によれば、支柱に遊嵌される筒部夫々の小孔に枠部の両端部、第2枠部の両端部を挿入することにより袋体及び第2枠体を支柱に装着することができ、組立て/分解の作業性を高めることができる。
第7発明によれば、支柱を床面及び天井に突っ張って固定することができ、吊体に吊下げられる被吊物の個数が多い場合においても支柱周りに特別の転倒防止部材を設けることなく支柱の転倒を防ぐことができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る収納具の構成を示す模式的斜視図、図2は一部を拡大した一部切欠側面図、図3及び図4は要部の拡大断面図である。
この収納具は、室内における床面及び天面に突っ張って固定される支柱1と、該支柱1に上下方向への移動を可能に支持される支持体2と、該支持体2に上下方向への回動を可能に枢支される吊体3と、該吊体3の回動を制御するクラッチ部4と、吊体3に吊下げられる衣服等の被吊物を収納する袋体5と、該袋体5の上部が被嵌される枠体6と、袋体5の下部が被嵌される第2枠体7とを備える。
支柱1は、大径の下側柱体1aと、該下側柱体1aの上部に長手方向への移動を自在に遊嵌されている小径の上側柱体1bとを有する。下側柱体1a及び上側柱体1bはパイプからなり、下側柱体1aの上端には上側柱体1b及び下側柱体1aの相対移動量を粗に調整する調整体11が設けられており、また、下側柱体1aの下端には螺子孔が開設され、該螺子孔に突張体12が螺着され、該突張体12を回し操作することにより下側柱体1aの長さを微調整することができるように構成されている。
上側柱体1bの途中には支持体2の移動を規制する移動規制体13が設けられており、また、上側柱体1bの上部内側には突張体14が移動可能に嵌入され、該突張体14を上方へ付勢するコイルバネが収納され、該コイルバネの付勢力に打ち勝って突張体14を下方へ移動させることにより上側柱体1bの長さを微調整することができるように構成されている。
調整体11は、下側柱体1aの上端に固定されている筒部11aと、該筒部11a内に上側柱体1bと接触するロック位置及びロック解除位置への揺動を可能に保持されているレバー体11bと、該レバー体11bをロック位置へ付勢するコイルバネ11cとを有し、ロック位置では下側柱体1a及び上側柱体1bの相対移動を阻止し、コイルバネ11cの付勢力に打ち勝ってロック位置のレバー体11bを操作することにより下側柱体1a及び上側柱体1bを相対移動させることができるように構成されている。
筒部11aにおける周面の一箇所には窓孔が開設されている。レバー体11bは、一端側に上側柱体1bに遊嵌される孔を有し、上側柱体1bの中心に対し傾斜して配置され、コイルバネ11cの付勢力により孔縁が上側柱体1bの周面に当接し、下側柱体1a及び上側柱体1bの相対移動を規制してあり、他端側は筒部11aの窓孔から外部へ突出している。
移動規制体13は、上側柱体1bに遊嵌されている筒部13aと、該筒部13a内に上側柱体1bと接触するロック位置及びロック解除位置への揺動を可能に保持されているレバー体13bと、該レバー体13bをロック位置へ付勢するコイルバネ13cとを有し、ロック位置では支持体2の下方への移動を阻止し、コイルバネ13cの付勢力に打ち勝ってロック位置のレバー体13bを操作することにより支持体2を下方へ自由に移動させることができるように構成されている。尚、コイルバネ13cが第2弾性体を構成している。
筒部13aにおける周面の一箇所には窓孔が開設されている。レバー体13bは、一端側に上側柱体1bに遊嵌される孔を有し、上側柱体1bの中心に対し傾斜して配置され、コイルバネ13cの付勢力により孔縁が上側柱体1bの周面に当接し、支持体2の下方への移動を規制してあり、他端側は筒部13aの窓孔から外部へ突出している。
支持体2は、支柱1の上側柱体1bに回転自在に遊嵌される筒部21をその一端に有し、上側柱体1bと直交的に横方向位置に配され、他端にその軸心が横方向となる軸体22を介して吊体3が上下方向への回動を可能に枢支されている。
支持体2の他端は軸体22の枢支軸心周りに同芯的に配された大径環部23及び小径環部24を有し、小径環部24内に前記軸体22が内嵌されている。大径環部23の一端部には後記する操作部が相対移動可能に配置される凹所25が設けられている。また、大径環部23及び小径環部24間の環状凹部26には固定歯8が内嵌固定されている。
この固定歯8は支持体2と別個に形成されたもので、環板形をなし、前記環状凹部26に内嵌される環部81と、該環部81の一側部に突設されたラチェット歯形の複数の歯82とを有する。
吊体3は前記枢支軸心周りに同芯的に配置された大径環部31及び小径環部32と、大径環部31の外周部にその中心軸線が前記枢支軸心と交差するように連結された杆部33とを有しており、小径環部32が前記小径環部24に回動自在に外嵌されている。大径環部31及び小径環部32間の環状凹部34には前記固定歯8と接離する方向への移動が可能な可動歯9と、該可動歯9を固定歯8に向けて付勢する弾性体10と、該弾性体10の付勢力に打ち勝って可動歯9を前記枢支軸心に沿う方向で、且つ固定歯8と離隔する位置へ移動させ、離隔した位置に可動歯9を止めるクラッチ部4の環体41とが保持されている。杆部33の途中にはハンガを吊下げるための吊下部材35が設けられている。
この吊下部材35は、合成樹脂製の環部35a及び該環部35aの周方向の一箇所に突設され、前記ハンガが引掛けられる引掛部35bを有し、吊体3に該吊体3の長手方向への移動を可能に外嵌され、吊体3との接触抵抗及び引掛部35bに加わる荷重により移動を規制するように構成されている。
図5は可動歯9の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。
可動歯9は小径環部32の外周に相対回転を不可能に外嵌される環部91と、該環部91の枢支軸心側の一側部に突設されたラチェット歯形の複数の歯92と、該歯92よりも外周側で、且つ枢支軸心側の一側部に周方向に離間して枢支軸心の方向へ突設された3つの凸部93とを有しており、コイルバネからなる前記弾性体10の付勢力によって固定歯8と噛合する方向へ付勢され、固定歯8との噛合により、支持体2及び吊体3の相対回動を制限し、可動歯9の移動によって固定歯8との噛合を解除することにより、支持体2及び吊体3の相対回動を可能にしている。凸部93は該凸部93に連なる傾斜面を介して設けられている。
図6はクラッチ部4の一部の構成を示すもので、(a) は背面図、(b) は一部を切欠いた側面図である。また、図7は可動歯9の固定歯8との噛合が解除された状態の説明図である。
クラッチ部4は、前記可動歯9の周りに回動可能に配置され、前記凸部93と係合する係合部41aを有する環体41と、該環体41の外周部に突設された操作部42と、前記凸部93とを備えている。係合部41aは凸部93に対応する凹部、換言すると前記枢支軸心の方向へ窪む凹部からなり、可動歯9の噛合時には係合部41aと凸部93とが係合し、弾性体10により可動歯9が固定歯8と噛合する位置へ移動しており、環体41の僅かな回動により係合部41aと凸部93との係合が離脱し、環体41の非係合部と凸部93との係合により弾性体10の付勢力に打ち勝って可動歯9を前記枢支軸心の方向へ離間移動させるようにしてある。
枠体6は、線材が矩形に曲げられた枠部61と、該枠部61の一辺部に固定された二つの脚部62と、上側柱体1bに上下方向への移動を自在に遊嵌され、枠部61を受止める筒部63とを備える。筒部63の周方向二箇所には中心に沿う方向へ開放された嵌合孔を有し、該嵌合孔に前記脚部62が抜き出しを可能に嵌入されている。
第2枠体7は、線材が矩形に曲げられた枠部71と、該枠部71の一辺部に固定された二つの脚部72と、下側柱体1aに上下方向への移動を自在に遊嵌され、枠部71を受止める筒部73とを備える。筒部73の周方向二箇所には中心に沿う方向へ開放された嵌合孔を有し、該嵌合孔に前記脚部72が抜き出しを可能に嵌入されている。
袋体5はビニールシート等の可撓シートからなり、角筒形袋部51の上下に蓋部を有し、角筒形袋部51の一側にその長手方向が上下となるファスナ52が設けられており、また、角筒形袋部51の一側で、上蓋部側にその長手方向が横方向となる二つの第2ファスナ53,53が設けられており、ファスナ52,53により角筒形袋部51の一側を開放し、上側の枠体6及び下側の第2枠体7に被嵌することができるように構成されている。
以上のように構成された収納具は、例えば室内で支柱1を上下に配し、調整体11の操作で上側柱体1b及び下側柱体1aを上下方向へ相対移動させ、下側柱体1aの突張体12の下端を床面に突き当て、上側柱体1bの突張体14の上端を天面に突き当て、調整体11の操作を止めて上側柱体1b及び下側柱体1aの相対移動量を調整する。この調整により支柱1を固定することができ、吊体3が横方向位置へ回動された場合においても支柱1の転倒を防ぐことができる。尚、下側の突張体12は下側柱体1aに螺着されているため、該突張体12を回し操作することにより支柱1の長さを微調整することができ、また、上側の突張体14は上側柱体1bに長手方向への移動を可能に嵌入され、コイルバネにより外方へ付勢されているため、該コイルバネの付勢力に打ち勝って突張体14を押圧することにより支柱1の長さを微調整することができ、支柱を簡易に固定することができる。
支柱1の途中には比較的短い長さの支持体2が回動及び上下方向への移動を自在に遊嵌支持され、該支持体2の先端に、枢支軸心が横方向となる吊体3が上下方向への回動を可能に枢支され、支柱1における支持体2の上側及び下側には筒部63,73が遊嵌支持されている。
上側の筒部63の嵌合孔に枠体6の二つの脚部62を嵌入することにより枠体6を支柱1に支持し、下側の筒部73の嵌合孔に第2枠体7の二つの脚部72を嵌入することにより第2枠体7を支柱1に支持し、ファスナ52,53により一側が開放されている袋体5を枠体6及び第2枠体7に外側から被嵌して袋体5を装着し、吊体3を隠蔽する。この場合、支柱1は袋体5の外部に配される。
以上のように配設された収納具は、長手方向の途中に複数の吊下部材35が設けられている吊体3が下方位置に回動しており、環体41の係合部41aと可動歯9の凸部93とが係合し、弾性体10によって付勢されている可動歯9が固定歯8と噛合しており、吊体3の自由回動が制限されている。
収納具内に衣服等の被吊物を収納する場合、ファスナ52により袋体5の一側を開放した状態で下方位置の吊体3を横方向位置(ほぼ水平位置)に向けて回動させることにより、可動歯9が固定歯8に対して係脱しつつ相対回動し、ほぼ水平位置に配置させることができる。この状態で吊体3の操作を止めることにより、可動歯9と固定歯8との噛合状態が維持され、吊体3の下方への回動を阻止することができ、吊体3をほぼ水平位置に維持することができる。この状態で吊体3の吊下部材35に衣服のハンガを引掛けることにより、複数の衣服を横方向に離隔して容易に吊下げることができ、衣服の荷重により吊体3は下方へ回動しない。また、吊体3を支持する支持体2、枠体6及び第2枠体7は支柱1を中心として360度回動させることができるため、室内のスペースに応じて衣服の吊下げ位置を変えることができる。
既に収納されている衣服を取り出す場合においても、下方位置に回動している吊体3をほぼ水平位置へ回動させることにより、上述と同様に吊体3をほぼ水平位置に維持することができ、該吊体3に吊下げられている衣服を横方向に並べることができ、該衣服を容易に取り出すことができる。
ほぼ水平位置の吊体3に吊下げられた衣服を下方位置へ格納する場合、弾性体10の付勢力に打ち勝って環体41の操作部42を指で押圧するのであり、この押圧によって環体41が僅かに回動し、前記係合部41aと凸部93との係合が離脱するとともに、環体71の非係合部と凸部93とが係合し、弾性体10の付勢力に打ち勝って可動歯9が移動し、該可動歯9の固定歯8との噛合が解除される。この結果、吊体3を下方位置に向けて自由に回動させることができる。この状態で環体41を戻し操作することにより、係合部41aと可動歯9の凸部93とが係合し、弾性体10によって付勢されている可動歯9が固定歯8と噛合し、吊体3を下方位置に維持することができる。
この際、吊体3の長手方向に並べて吊下げられている衣服は、上下に段違い状に配され、支柱1と吊体3との間の比較的狭い空間に格納することができる。また、吊体3に外嵌されている吊下部材35には偏倚した箇所に引掛部35bがあり、吊下部材35に偏荷重が加わっているため、吊下部材35の移動はなく、吊下げ状態を維持することができる。また、ファスナにより袋体5の開放部を閉じることにより埃の侵入を防ぐことができる。
収納具を使用するユーザの背丈に応じて吊体3の高さを調整する場合、支柱1に設けられている移動規制体13のレバー体13bをコイルバネ13cの付勢力に打ち勝って操作することにより、筒部13aが上側柱体1bに対して移動自在となり、該筒部13aとともに支持体2の上下位置、及び支持体2に支持されている吊体3の上下位置を調整することができる。この際、支持体2とともに枠体6が上下に移動し、該枠体6に被嵌されている袋体5を介して第2枠体7が上下に移動する。
実施の形態2
図8は収納具の他の構成を示す一部を拡大した一部切欠側面図、図9及び図10は拡大断面図、図11は固定歯8の構成を示すもので、(a) は正面図、(b) は側面図である。図12はクラッチ部4の一部の構成を示すもので、(a) は環体の背面図、(b) は環体の一部を切欠いた側面図である。また、図13は吊体3の回動により可動歯9の固定歯8との噛合が解除された状態の説明図、図14は吊体3の回動により可動歯9が固定歯8と噛合した状態の説明図である。
この収納具は前記環体41の凹部からなる係合部41a及び操作部42に代えて、周方向に離隔する2つの凸部43,43及び周方向に離隔する2つの第1当接部44,44を環体41に設け、凸部43,43に係合して環体41を枢支軸心方向へ移動させることが可能な2つの凸部83,83を固定歯8に設け、第1当接部44,44に当接して前記環体41を回動させることが可能な一つの第2当接部36を前記吊体3に設けたものであり、基本的には実施の形態1と同じである。
クラッチ部4は固定歯8の歯82よりも外周側の一側部に周方向に離隔して突設された前記凸部83,83と、一側部に周方向に離隔して突設された凸部43,43を有する環体41とを備えている。固定歯8の凸部83,83は歯82よりも外周側の一側部に突設されており、凸部43,83同士が係合することにより弾性体10の付勢力に打ち勝って可動歯9を離間移動させ、可動歯9の固定歯8との噛合を解除し、また、凸部43の凸部83との係合が解除され、凸部43が固定歯8の非凸部と係合したとき、弾性体10の付勢力によって可動歯9が固定歯8と噛合する方向へ付勢され、可動歯9が固定歯8と噛合するように構成されている。また、環体41の外周部には凸部からなる2つの第1当接部44,44が離隔した周方向位置に突設されている。
支持体2の大径環部23の一端部には周方向に離隔する2つの凹所25,25が設けられており、該凹所25,25に前記第1当接部44,44が相対移動可能に配置されている。
吊体3の杆部33の基部には凸部からなる前記第2当接部36が突設されている。
以上のように構成された収納具は、クラッチ部4の操作部42がなく、二つの第1当接部44,44及び一つの第2当接部36があるため、操作部42を操作することなく、吊体3の先部を把持して該吊体3を回動操作するだけで吊体3をほぼ水平位置から下方位置へ回動させることができる。
吊体3が下方位置にある場合、クラッチ部4の凸部43と固定歯8の非凸部とが係合し、弾性体10によって付勢されている可動歯9が固定歯8と噛合しており、吊体3の自由回動が制限されている。また、クラッチ部4の第1当接部44,44は支持体2の側方及び下方に配されている。
収納具内に衣服を収納、又は既に収納されている衣服を取り出すべく吊体3をほぼ水平位置へ回動させる場合、可動歯9が固定歯8に対して係脱しつつ相対回動し、吊体3をほぼ水平位置に回動させることができ、このほぼ水平位置を可動歯9及び固定歯8の噛合により維持することができる。吊体3をほぼ水平位置に回動した状態で回動操作を止めることにより、可動歯9と固定歯8との噛合状態が維持され、吊体3の下方への回動を阻止することができ、吊体3をほぼ水平位置に維持することができる。この状態で吊体3の吊下部材35に衣服のハンガを引掛けたり、吊体3の吊下部材35に既に引掛けられている衣服を取り出すことができる。
ほぼ水平位置の吊体3に吊下げられた衣服を下方位置へ格納する場合、吊体3の先部を把持し、該吊体3を一旦上方へ僅かに回動させる。この吊体3の上方への回動により該吊体3の杆部33に突設された第2当接部36が環体41の上側の第1当接部44に当接し、環体41が固定歯8に対して僅かに相対回動し、環体41の凸部43が固定歯8の凸部83と係合し、弾性体10の付勢力に打ち勝って可動歯9が移動し、該可動歯9の固定歯8との噛合が解除され、吊体3は支持体2(固定歯8)及び環体41に対して自由に回動可能となる。この結果、吊体3を下方へ回動操作することにより、該吊体3を自由に下方へ回動させることができ、吊体3を下方位置に回動させることができる。この場合、吊体3の回動に伴い杆部33に突設された第2当接部36が環体41の下側の第1当接部44に当接し、環体41が固定歯8に対して僅かに相対回動し、環体41の凸部43と固定歯8の凸部83との係合が離脱し、弾性体10の付勢力により可動歯9が移動し、該可動歯9が固定歯8と噛合し、吊体3を下方位置に維持することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同じであるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
尚、以上説明した実施の形態では、支持体2に固定歯8を設け、吊体3に可動歯9及び環体41を保持したが、その反対に、吊体3に固定歯8を設け、支持体2に可動歯9及び環体41を保持してもよい。また、固定歯8と可動歯9との一方は全周に亘って歯を設け、他方は複数の周方向位置に歯を設けた構成としてもよい。また、固定歯8は支持体2又は吊体3と一体とした構成としてもよい。
また、以上説明した実施の形態1では環体41に係合部41aを設け、可動歯9に凸部93を設けたが、その反対に、環体41に凸部93を設け、可動歯9に係合部41aを設けた構成としてもよい。
また、以上説明した実施の形態2では環体41に二つの第1当接部44,44を設け、吊体3に一つの第2当接部36を設けたが、その他、環体41に一つの第1当接部44を設け、吊体3に二つの第2当接部36,36を設け、吊体3を一方向へ回動させるとき一つの第2当接部36が第1当接部44に当接して環体41を回動させ、吊体3を他方向へ回動させるとき他の一つの第2当接部36が第1当接部44に当接して環体41を回動させるように構成してもよい。また、第1当接部及び第2当接部の構造は特に制限されない。
また、以上説明した実施の形態では支持体2を上下方向へ移動可能に支持する支柱1を備える構成としたが、その他、支持体2は例えば室内の壁、柱等の静止物に取付ける構成としてもよい。