JP2009127346A - 扉のヒンジ装置 - Google Patents

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章 栗本
Takeshi Isokawa
武志 磯川
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Abstract

【課題】扉の開放時に躯体の内部に扉を取り込むことのできる扉のヒンジ装置の提供。
【解決手段】躯体Aに固定する取付基板2と、扉Bの背面に固定する取付板3と、前記取付基板2に植設する第1支軸8に回動自由に軸承し、揺動端4cを前記取付板3に回動自由に軸着して前記取付基板2に対して前記取付板3を扉の閉塞位置から開放位置に移動変換する第1アーム4と、該第1アーム4と協働して取付板3を支持すると共に扉Bの開放時に扉Bの揺動自由端bを迫り出し方向に誘導する第2アーム5とを有し、前記第1アーム4と前記取付基板2との間に常時扉Bを開放方向に回動付勢する巻きばね12を介挿し、第1アーム4若しくは第2アーム5のいずれかに係止して扉Bを閉塞位置に拘束し解放操作が可能なロック装置14を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、家具等に取り付けられる扉のヒンジ装置に関する。
家具等に取り付けられる扉のヒンジ装置には、扉を閉塞位置と開放位置に移動させる際に扉の開放動作を助勢する機構が取り付けられているものがある。例えば、特許文献1に記載のものがその一例である。
特許文献1に記載の扉体開閉装置は、収納室の内壁に取り付けられる第1取付部材と、扉体に取り付けられる第2取付部材とを、閉塞位置と開放位置に扉体を誘導するリンク機構を介して連結すると共に、リンク機構と第1取付部材の間にリンク機構の揺動につれて扉体を閉塞位置と開放位置とに択一的に付勢保持する付勢機構を設けてある。
この扉体開閉装置は、扉の開放及び閉塞動作に要する操作力をバネ材の弾性復元力によって軽減するようにしてある。そして、扉は上方に起立した姿勢を維持した状態で、閉塞位置と、開口部の上方側の外側脇である開放位置とに亘って移動するものとなっている。
特開2001−248355号公報
特許文献1に記載の扉体開閉装置は、扉を開放するとき開口部の上方に起立した姿勢を維持した状態で移動させる構造になっていることから、開口部の上方に少なくともこの扉の縦幅と同等のスペースを必要とすることになる。このため、天井に近い位置に設置される家具や、上下に複数の棚を段設する場合等には実施することができなかったり、実施がし難いといった不具合があった。
このような問題に鑑み本発明はなされたものであり、その目的とするところは、扉の開放時に、家具等の躯体の内部に扉を取り込むことができ、しかも躯体の内部への扉の取り込み空間を小さくすることのできる扉のヒンジ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、ロックを解除することによって自動的に扉を開放することのできる扉のヒンジ装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、扉の表側に取っ手等を設けることなく、単に押圧することで扉を開閉させることのできる扉のヒンジ装置の提供にある。
上記目的を達成するため本発明は、家具等の躯体に固定する取付基板と、開閉する扉の背面に固定する取付板と、前記取付基板に植設する第1支軸に回動自由に軸承して、その揺動端を前記取付板に回動自由に軸着し、前記取付基板に対して前記取付板を扉の閉塞位置から開放位置に移動変換自由に支持する第1アームと、前記取付基板に軸着する第2支軸に回動自由に軸承し、揺動端を前記第1アームの揺動端の軸承位置と異なる第2の軸着位置に軸着して前記取付板を前記第1アームと協働して支持すると共に、扉が開放位置に移動変換するとき扉の揺動自由端を迫り出し誘導する第2アームと、を有してなる一方、前記第1アームには前記取付基板との間に常時扉を開放方向に回動付勢するばねを介挿し、また前記取付基板には扉が閉塞位置にあるとき前記第1アーム若しくは第2アームのいずれかに係止して当該閉塞位置に拘束するところの解放操作が可能なロック装置を備えてなることを特徴とした扉のヒンジ装置を提供するものである。
上記本発明の扉のヒンジ装置は、家具等の躯体に固定する取付基板に取り付けられる第1、第2アームに支持される取付板を介して躯体の開口部を閉塞する扉が取り付けられる。
この扉は、閉塞位置にあるときは、第1又は第2アームに係止するロック装置によって閉塞状態に拘束されることになり、ロックを解除すると開放方向に付勢するばねによって、第1アームが回動され、これに伴って取付板に取り付けられた扉が開放方向に回動されることになり、この回動を通して、躯体の内部に取り込まれる。このとき、第1、第2アームの各揺動端が取付板に回動自由に軸着し、且つ取付基板の異なる位置に設けられた支軸にそれぞれ第1、第2アームが回動自由に軸承していることから、第2アームが扉の揺動自由端(扉の下縁にあたる)を一旦迫り出すように前方に押出し、その後、水平姿勢になった扉を躯体内部に引き入れるように誘導することになり、扉を躯体内部に設定する開放位置へと移動させ格納することになる。
また、本発明は、前記取付基板は一面側に第1支軸を、他面側に第2支軸を植設して前記第1アームと前記第2アームを前記取付基板の両面に振分け配置することを特徴とした扉のヒンジ装置を提供することにある。
この発明によれば、第1アームと第2アームを取付基板の両面に振り分け配置することにより、第1アームと第2アームとが回動する時、アーム相互が干渉し合うのを回避し、円滑に回動するのを可能にすると共に、取付基板に対する組付けを容易にする。
また、本発明は、前記第1アームには回動を制御するダンパー装置を係合させ、前記ロック装置の解放時にばねによる開放位置への移動速さを抑制するようにしてなることを特徴とした扉のヒンジ装置を提供することにある。
この発明によれば、第1アームに回動を制御するダンパー装置を係合させることによって、ロック装置の解放時にばねによる開放位置への移動速さを抑制し、急激な扉の開放を抑えて安全な使用を図ると共に、騒音の発生を防止することになる。
また、本発明は、前記第1アームには当該アームと共に前記第1支軸を支点に回動するギヤを備え、該ギヤに前記ダンパー装置の回転軸に軸着するピニオンギヤを噛合させることを特徴とした扉のヒンジ装置を提供することにある。
この発明によれば、第1アームに備えたギヤにダンパー装置のピニオンギヤを噛合させることによって、直接的に第1アームの作動を抑制するものであり、狭い設置空間にダンパー装置を組み込み、装置を小型化することができる。
また、本発明は、前記ばねを巻きばねにして第1支軸に巻装し、その一端を取付基板に、他端を第1アームに掛け止めて、該両者間に縮設することを特徴とした扉のヒンジ装置を提供することにある。
この発明によれば、ばねを巻きばねにすると同時に、第1支軸に巻装して第1アームと取付基板との間に介挿することとしたことから、狭い設置空間にばねを設置することができ、ヒンジ装置全体を小型化することができる。
また、本発明は、第1支軸には弾力調整板を軸承して取付基板と第1アームとの間に介挿し、前記巻きばねの一端を弾力調整板に、他端を第1アームに各掛け止める一方、前記弾力調整板には複数の係止部を設けて取付基板に止め付ける固定軸を該係止部のいずれかに係止し、前記巻きばねの弾力を調整可能にした扉のヒンジ装置を提供することにある。
この発明によれば、巻きばねの弾力を調整する弾力調整板を設けることにより、取り付ける扉の重量に応じて、組み込みの途中において、或いは組み立て後にばねの弾力を調整することができる。
したがって、上記説明から、本発明の扉のヒンジ装置によれば、扉の閉塞状態から、ロック装置の解除によりばねの復元力が第1アームに作用し、第1アームを第1支軸を中心に開放方向に回動させ、直上に跳ね上げるようにして扉を開放位置、すなわち家具等の躯体の上方内部へ誘導することになる。このため、天井に近い位置に設けられた家具等、躯体の開口部の上方にスペースがなくとも扉の取り付けが可能となる。また、このとき第2アームは第1アームとは異なる第2支軸を中心に回動しながら扉の揺動自由端を一旦前方に迫り出すようにした後、躯体内部に水平姿勢に変換しながら引き込むように誘導するため、躯体の内部への扉の取り込み空間を小さくすることができ、従って躯体内部に荷物等の収納空間を広くとることが可能になる。
また、ロック装置を解除することに伴わせて自動的に扉を開放することができるので、プッシュ型のラッチをロック装置とすることで扉の表側に取っ手等を設けることなく扉を開閉させることができる。
さらに、第1アームの回動を制御するダンパー装置を設けた場合は、開放時の扉の移動速度を抑えることができるので、急激な扉の開放を抑えて安全に使用することができると共に、衝撃音等の騒音の発生を有効に回避することができる。
また、ばねを巻きばねとした場合は、ヒンジ装置を小さくすることができる。そして、この巻きばねの弾力を調整する弾力調整板を設けることにより、取り付ける扉の重量に応じてばねの弾力を取付時も、また取付けた後においても調整することができる。
以下、本発明に係る扉のヒンジ装置につき実施の形態に基づき詳細に説明する。
図1は本発明に係るヒンジ装置の一部欠截した側面図、図2はヒンジ装置の分解斜視図、図3はヒンジ装置の閉塞時における平面図、図4は扉の閉塞時の側面図、図5はロック解除の初動操作を示す側面図、図6は扉の開放動作を説明する側面図、図7はヒンジ装置の設置状態を説明する斜視図、図8(A)は取付板の分解拡大斜視図、図8(B)は取付板の組立後の拡大斜視図である。
図1〜図7において、符号1は本発明に係るヒンジ装置、2は取付基板、3は取付板、4は第1アーム、5は第2アームである。
取付基板2は、食器棚のような躯体Aの側壁内面に固定されるもので、ここでは縦長の略長方形の主取付基板2aと従取付基板2bとからなる。主取付基板2aと従取付基板2bは、後述する部材を収納するための空間6を形成するために、複数本の支柱7・・・によって一定の間隔をあけて並行に連結されている。
主取付基板2aと従取付基板2bの間には支柱7をも兼用する第1支軸8が渡され、これに第1アーム4の一端が軸承される。そして、主取付基板2aの外側面であって第1支軸8と平行する線上に第2支軸9が軸着されて、第2アーム5の一端が回動自由に軸承される。
このように、第1アーム4と第2アーム5の軸承位置を主取付基板3aの両面に振分け配置することにより、後述する扉Bの回動時に第1アーム4及び第2アーム5が干渉し合うことを防止している。
また、第2アーム5が軸承する第2支軸9を、第1支軸8に対して平行する線上に位置させたことにより後述する扉Bの回動時に扉Bの揺動端b(下端)を前方に押し出すことができ、これによって扉全体を水平姿勢に変換するのを助けると同時に、開放移動の負荷を最小限にすることができる。
取付板3は、扉Bの背面に固定されるもので、第1アーム4の揺動端4cに第1ピン10を介して軸承支持され、第2アーム5の揺動端5bに第2ピン11を介して軸承支持される。
扉Bが閉塞された位置、すなわち垂直の位置にあるとき、第1ピン10は取付板3の上部に、そして間隔をあけて第2ピン11は下部に設けられている。すなわち、取付板3は、上部を第1アーム4によって、下部を第2アーム5によって間隔をあけて支持されることになる。そして、この閉塞位置では、第1アーム4は略水平状態にあり、第2アーム5は下方に向けて傾斜した状態にある。
前記第1支軸8を中心として巻きばね12が巻装されている。この巻きばね12は、一端を後述する弾力調整板13を介して従取付基板2bに、他端を第1アーム4に掛け止めた状態で両者間に縮設されることにより、取付板3を介して第1アーム4に支持される扉Bを開放方向へ回動付勢する。
このように、巻きばね12によって扉Bは常に開放方向に付勢され、開放することから、扉Bの閉塞状態を保つために従取付基板2bにはロック装置14が取り付けられている。
ロック装置14は、扉Bの閉塞方向への押動作でロック、ロック解除が交互になされるプッシュラッチ構造からなる。そして、ロック状態ではロック装置14に設けられたフック14aと、第2アーム5に設けられた係合部5aが係合することにより扉Bを閉塞状態に保ち、ロックの解除は、フック14aと係合部5aの係合を解除することによって行われる。そして、この係合が解除されると前記巻きばね12の付勢力によって自動的に扉Bが開放位置に移動することになる。
一方、ロック装置14の解除によって扉Bが開放するとき、巻きばね12の付勢力によって、急激に扉Bが回動するのを防止するため、従取付基板2bにはダンパー装置15が取り付けられている。
このダンパー装置15は、ロータリー式のオイルダンパーからなり、作動油の抵抗を受ける出力軸15aに装着されたピニオンギヤ16を有している。このピニオンギヤ16は、第1アーム4に一体に成形され第1支軸8を中心とした略円形のプレート部4aの円弧状部分に形成されたギヤ4bに噛合することによって、第1アーム4の回動に対して制動力を与えることになる。
なお、ここでは、第1アーム4とプレート部4aを一体成形する例について示しているが、これに限られず、第1アーム4とは別体の歯車を成形して組み付けるようにしてもよい。
上述の構成からなるヒンジ装置1は、一対が一組になって図7に示すように躯体Aの両側壁内面に相対向に取付られ、扉Bを回動自由に支持する。
このヒンジ装置1は、図1に示すように、従取付板1bに設けられた孔17を通してネジを揉み込んで、従取付基板1bを躯体Aの内部に固定することによって取り付けられる。このとき、孔17に対応する位置であって主取付基板1aに設けられた切欠き部18a及び孔18bに工具を差し入れ、ねじを揉み込む等して取り付けることになる。
一方、取付板3は扉Bの背面に取り付けることになるが、この取付板3は、扉Bに対する取付けを容易にするため、ここでは図8に示すように主取付板3aと従取付板3bの2枚の板から構成している。
主取付板3aは、第1アーム4と第2アーム5によって支持されるものとなっているが、縦長の長方形状に形成してあり、扉の閉塞時に上下方向に長さを揃えるようにして取り付けられる。
この主取付板3aは、上部と下部に大径部19aと小径部19bとからなる倒ダルマ形状の孔19を穿孔し、更に上部の孔19と下部の孔19との間に固定ネジ20をねじ込むためのネジ孔21を設けている。そして、この主取付板3aの下端には従取付板3bに螺合する調整ネジ22を当接させるための屈曲させた受部23が形成してある。
従取付板3bは、上記主取付板3aよりも長い長方形の部材であり、上部と下部に設けた孔24を通してネジを揉み込むことにより扉Bの背面に取り付けられる。
この従取付板3bには取付ネジ25をねじ込むためのネジ孔26が形成してあり、下端には前記調整ネジ22をねじ込むためネジ孔27を有する屈曲部28が形成してある。
この取付板3を組み付けるとき、まず従取付板3bを扉Bの背面に添わせ、孔24を通してネジを揉み込むことにより取り付けておき、取付ネジ25を従取付板3bに設けられたネジ孔26に仮締め状態にねじ込み、立ち上げた状態に取り付ける。そうした後、この取付ネジ25の頭部を主取付板3aの孔19の大径部19aに挿通させ、次に調整ネジ22をねじ込むことによって、従取付板3bを主取付板3aに対してスライドさせて上下方向の位置の調整を行なう。この後、仮締め状態にしていた取付ネジ25をねじ込むとともに、固定ネジ20を主取付板3aのネジ孔21にねじ込むことによって、主取付板3aと従取付板3bを固定する。
ところで、前述したように、この実施の形態では、巻きばね12は、一端が弾力調整板13を介して従取付基板2bに取り付けられているが、この弾力調整板13は、取り付ける扉Bの重さによって巻きばね12に対する負荷が異なることから、扉Bの重さに合わせて巻きばね13の弾力を調整するために設けらたものである。
弾力調整板13は、ドーナツ状に形成され、その中心の孔部に第1支軸8を挿通することによって組み込まれ、板の一面には巻きばね12を掛け止めるための選択される2つの突部13aと、工具を掛けるための突部13bが形成され、更に板の円弧状をなす外周縁部には、従取付基板1bに植設される固定軸29に選択的に係止する凹状の係止部13cが形成されている。
巻きばね12の掛け止めは、巻きばね12の一端を開放位置に跳ね上がった第1アーム4の突起に掛け止める一方、他端を前記弾力調整版13の1つの突部13aに掛け止めることによって行われ、この状態から扉Bを閉塞方向へ回動し、絞り込むことによって巻きばね12に付勢する力が生じることになる。このとき、固定軸29を一端抜き取り、工具によって弾力調整板13を回転させて係止する係止部13cを他の係止部13cに変更することによって巻きばね12の付勢力を調整することができる。
なお、本実施の形態においては、突部13aは2つとし、係止部13cを4つとしたが、これに限られず多数設けてもよい。勿論ばねの調整方向はこれに限られないので、弾力調整板13を設けずに直接従取付板1bに巻きばね12を取り付けてもよいことは言うまでもない。
次に、扉Bの開閉動作を説明する。
図4は、扉Bが躯体Aの開口部を完全に閉じた閉塞位置、つまり閉塞状態を示している。この閉塞位置では、扉Bがロック装置14のフック14aと第2アーム5の係合部5aが係合することによって、巻きばね12の付勢力に抗して閉塞状態を保っている。
この扉Bを開放するには、図5に示すように、扉Bの揺動自由端b(少なくとも第1支軸5よりも下方)を矢印方向に押圧する。この押圧により係合部5aがロック装置14に押し付けられることによってロック装置14内部の係止機構が解除され、フック14aと係合部5aとが離れることになる。
こうしてロックが解除されると、図6に示すように、巻きばね12の付勢力を受けて第1アーム4が第1支軸8を中心として図のX方向へ跳ね上げ回動されることにより扉Bが躯体Aの内部上方空間の開放位置に移動する。
このとき、第2アーム5は、第1支軸8とは異なる位置に設けられた第2支軸を軸心として回動することから、扉Bの下縁を一旦迫り出すように前方に押出し、水平姿勢に傾けながら、扉Bを躯体Aの内部に引き入れるように誘導する。このことから、上部における取付板3の回転角を小さくすることができ、小さな取り込み空間で扉Bを躯体Aの内部上方にほぼ水平に格納することになる。
また、第1アーム4が回動するとき、ギヤ4bがダンパー装置11のピニオンギヤ16と係合しながら回動するため、ダンパー装置15の制動力が第1アーム4に伝わり、第1アーム4が急激に回動しないようになる。
なお、扉Bを再び閉塞位置に戻す場合は、扉Bの躯体Aから突出した部分、すなわち扉Bの下縁部を巻きばね12の付勢に抗して図の下方に向かってへ押し下げることによって第1アーム4と第2アーム5を回動させる。そして、図5に示す状態まで扉Bを押し込むことによって、扉Bの閉塞と同時にロック装置14のフック14aと第2アーム5の係合部5aが係合して、扉Bを閉塞位置に固定させることになる。
上述したように、本発明のヒンジ装置1によれば、扉Bの閉塞状態から、ロック装置14のロック解除により巻きばね12の復元力が第1アーム4に作用し、第1アーム4を第1支軸8を中心に開放方向に回動させることになるので、扉Bを開放位置、すなわち躯体Aの内部へ跳ね上げるように誘導することになる。このため、天井に近い位置に設けられた家具等、躯体Aの開口部よりも上方にスペースがなくとも取り付けが可能となる。また、このとき第2アーム5は第1アーム4とは異なる第2支軸9を中心に回動しながら扉Bの下縁を一旦迫り出し、これによって水平姿勢に倒した状態で、躯体Aの内部に引き込むように誘導するため、躯体Aの内部への扉Bの取り込み空間を小さくすることができ、躯体Aの内部に収納する荷物等の収納空間を広くとることができる。
また、プッシュラッチ構造のロック装置14を用い、このロック解除によって自動的に扉Bを開放することができるので、扉Bの表側を取っ手等を設けずフラットに形成しても扉Bを押すだけで簡単に開閉させることができる。
さらに、第1アーム4の回動を制御するダンパー装置15を設けたことによって、開放時の扉Bの移動速度が抑制され、急激な扉Bの開放が抑えられることから手を打ったりする危険がなく安全に取り扱えることになる。
また、第1アーム4のギヤ4bとダンパー装置15のピニオンギヤ16を係合させることにより直接第1アーム4を制御したこと、及び巻きばね12を用いたことにより、ヒンジ装置1内の空間6内にコンパクトに収納することができ、ヒンジ装置1自体を小さくすることができる。
さらに、巻きばね12の弾力を調整する弾力調整板13を設けることにより、取り付ける扉Bの重量に応じて巻きばね12の弾力を調整することができるので、常に安定した、しかも適正な開閉操作が期待できる。
本発明に係るヒンジ装置の一部欠截した側面図である。 ヒンジ装置の分解斜視図である。 ヒンジ装置の閉塞時における平面図である。 扉の閉塞時の側面図である。 ロック解除の初動操作を示す側面図である。 扉の開放動作を説明する側面図である。 ヒンジ装置の設置状態を説明する斜視図である。 (A)は取付板の分解拡大斜視図、(B)は取付板の組立後の拡大斜視図である。
符号の説明
1 ヒンジ装置
2 取付基板
2a 主取付基板
2b 従取付基板
3 取付板
3a 主取付板
3b 従取付板
4 第1アーム
4a プレート部
4b ギヤ
4c 揺動端
5 第2アーム
5a 係合部
5b 揺動端
6 空間
7 支柱
8 第1支軸
9 第2支軸
10 第1ピン
11 第2ピン
12 巻きばね
13 弾力調整板
13a、13b 突部
13c 係止部
14 ロック装置
14a フック
15 ダンパー装置
15a 出力軸
16 ピニオンギヤ
17 孔
18a 切欠き部
18b 孔
19 孔
19a 大径部
19b 小径部
20 固定ネジ
21 ネジ孔
22 調整ネジ
23 受部
24 孔
25 取付ネジ
26 ネジ孔
27 ネジ孔
28 屈曲部
29 固定軸
A 躯体
B 扉
b 揺動自由端

Claims (6)

  1. 躯体に固定する取付基板と、
    扉の背面に固定する取付板と、
    前記取付基板に植設する第1支軸に回動自由に軸承し、揺動端を前記取付板に回動自由に軸着して前記取付基板に対して前記取付板を扉の閉塞位置から開放位置に移動変換自由に支持する第1アームと、
    前記取付基板に軸着する第2支軸に回動自由に軸承し、揺動端を前記第1アームの揺動端の軸承位置と異なる第2の軸着位置に軸着して前記取付板を前記第1アームと協働して支持すると共に扉が開放位置に移動変換するとき扉の揺動自由端を迫り出し誘導する第2アームと、
    を有し、前記第1アームには前記取付基板との間に常時扉を開放方向に回動付勢するばねを介挿し、また前記取付基板には扉が閉塞位置にあるとき前記第1アーム若しくは第2アームのいずれかに係止して当該閉塞位置に拘束する解放操作が可能なロック装置を備えてなることを特徴とした扉のヒンジ装置。
  2. 請求項1に記載の扉のヒンジ装置において、取付基板は一面側に第1支軸を、他面側に第2支軸を植設して第1アームと第2アームを取付基板の両面に振分け配置することを特徴とした扉のヒンジ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の扉のヒンジ装置において、第1アームには回動を制御するダンパー装置を係合させ、ロック装置の解放時にばねによる開放位置への移動速さを抑制するようにしてなることを特徴とした扉のヒンジ装置。
  4. 請求項3に記載の扉のヒンジ装置において、第1アームには当該アームと共に第1支軸を支点に回動するギヤを備え、該ギヤにダンパー装置の回転軸に軸着するピニオンギヤを噛合させることを特徴とした扉のヒンジ装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の扉のヒンジ装置において、ばねは巻きばねにして第1支軸に巻装すると共に、その一端を取付基板に、他端を第1アームに掛け止め、該両者間に縮設することを特徴とした扉のヒンジ装置。
  6. 請求項5に記載の扉のヒンジ装置において、第1支軸には弾力調整板を軸承して取付基板と第1アームとの間に介挿し、巻きばねの一端を弾力調整板に、他端を第1アームに各掛け止める一方、前記弾力調整板には複数の係止部を設けて取付基板に止め付ける固定軸を該係止部のいずれかに係止し、前記巻きばねの弾力を調整可能にすることを特徴とした扉のヒンジ装置。
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