JP4856896B2 - リードフレームのめっき方法およびリードフレーム - Google Patents
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Description
かかるめっきによってリードフレームに形成されためっき皮膜には、リードフレームに半導体素子を搭載する工程やボンディング等を行なう工程で熱負荷が加えられる。この熱負荷によって、めっき皮膜がリードフレームと剥離等すると、半導体素子とリードフレームとの電気的接続が損なわれることがある。従って、めっき皮膜に熱負荷が加えられても、半導体素子とリードフレームとの電気的接続が損なわれないように、めっき皮膜の密着性と耐熱性とを向上することが必要である。
このため、通常、リードフレームには薄いストライクめっき層(下地めっき層)を形成した後、所望厚さのめっき層を電解めっきによって形成することが行なわれている(下記特許文献参照)。
しかし、半導体装置の小型化、高密度化の要求に応えるべく、リードフレームのパッケージ形態が多ピン化、ファインピッチ化して、リードフレームのプレス加工性等の機械的特性が問題となってきた。
かかる機械的特性は、従来のFe―Ni合金から成るリードフレームに比較して、Cu―Ni―Si合金等の銅合金から成るリードフレームは良好である。
また、銅合金から成るリードフレームの電気特性は、従来のFe―Ni合金から成るリードフレームよりも優れているため、近年、銅合金から成るリードフレームに移行しつつある。
ところで、プレス加工等の加工によって得られたリードフレームには、通常、その加工歪を除去すべく熱処理が施される。
しかし、かかる熱処理が施された銅合金から成るリードフレームに、直流電流を印加する銅ストライクめっきを施して、リードフレームの表面に薄い銅ストライクめっき層(下地銅めっき層)を形成した後、電解めっきによって所望厚さの電解めっき層を形成すると、銅ストライクめっき層と電解めっき層とから成るめっき層とリードフレームとの密着性及びその耐熱性は乏しい。この現象は、リードフレームを形成する銅合金中にめっき特性に悪影響を与える金属が含有されており、めっき層とリードフレームとの密着性が低下するからである。
かかるめっき層とリードフレームとの密着性及びその耐熱性を向上すべく、銅ストライクめっき層とリードフレームとの密着性が重要であり、めっき前に熱処理を施した銅合金から成るリードフレームの表面に脱脂処理、研磨処理、酸処理及び活性処理を施している。
しかしながら、熱処理を施した銅合金から成るリードフレームに対する銅ストライクめっき前の前処理工程は長く、リードフレームの製造工程が複雑化してリードフレームの製造コストも高くなる。
しかも、この銅ストライクめっき層とリードフレームとの密着性及びその耐熱性を更に向上することが求められている。
そこで、本発明の課題は、熱処理を施した銅合金から成る基材に銅ストライクめっきを施す際に、その前処理工程を可及的に短縮でき、基材との密着性及びその耐熱性についても、充分に満足し得る銅ストライクめっき層を形成できるリードフレームのめっき方法、およびその銅ストライクめっき層を有するリードフレームを提供することにある。
すなわち、本願の一発明は、銅合金から成るリードフレームに対して、電解銅めっき液を用いた電解銅めっきによって下地銅めっき層(銅ストライクめっき層)を形成した後、前記下地銅めっき層上に、電解めっきによって金属めっき層を形成するリードフレームのめっき方法であって、前記下地銅めっき層を形成する前記電解銅めっきでは、前記リードフレームの表面に銅金属が析出する極側のみに電流がパルス状に出現するパルス電流を、前記下地銅めっき層のX線の回折強度が最大値を示す結晶面が(111)面となるように、Duty比を調整して前記リードフレームに印加することを特徴とする。
また、本願の他の発明は、銅合金から成る基材と、前記基材の表面に、電解銅めっき液を用いた電解銅めっきによって形成された下地銅めっき層(銅ストライクめっき層)と、前記下地銅めっき層上に、電解めっきによって形成された金属めっき層とを有しており、前記下地銅めっき層のX線の回折強度が最大値を示す結晶面が、(111)面であることを特徴とするリードフレームである。
このパルス電流としては、電流のパルス周期及び基材に電流を印加するON時間(tON)と前記電流をOFFとするOFF時間(tOFF)とのDuty比[tON/(tON+tOFF)]を、前記表面に形成した銅ストライクめっき層のX線の回折強度が最大値となる結晶面が(111)面となるように調整したパルス電流を好適に用いることができる。
更に、基材としては、銅から成るマトリックス中に、Ni、Fe、Sn、Cr、Si及びMgから成る群から選ばれた一種又は二種以上が配合されて成る銅合金から成る基材を用いることによって、基材のプレス加工性等の機械加工性を向上できる。
尚、銅ストライクめっき層の厚さは、0.01〜5μmとすることが好適である。
熱処理が施された銅合金の表面は、銅合金中に添加された添加物が表面に拡散し偏析して不均一な分布状態となっている。このため、従来の様に、直流を基材に印加する銅ストライクめっきでは、基材表面の所定箇所で金属結晶が成長し、大きなサイズの金属結晶から成る銅ストライクめっき層が形成される。この様に、大きなサイズの金属結晶から成る銅ストライクめっき層では、基材との密着性及びその耐熱性が劣るものとなる。
従って、従来の直流を基材に印加する銅ストライクめっきでは、研磨処理等を施し基材表面をめっきに適した表面となるように調整することが必要である。
しかし、基材表面の調整には限界があり、研磨処理等を施した基材に銅ストライクめっきを施しても、形成された銅ストライクめっき層の金属結晶は大きく、緻密構造の銅ストライクめっき層を形成することは至難のことである。
これに対し、本発明の様に、基材の表面に銅金属が析出する極側のみに電流がパルス状に出現するパルス電流を印加する銅ストライクめっきでは、基材に電流が印加された際には、直流を基材に印加する銅ストライクめっきと比較して、瞬時に大きな電圧が基材に加えることができる。このため、基材内に結晶核の発生が優先的に且つ均一に惹起される結果、金属結晶が緻密に充填された銅ストライクめっき層が形成される。
この様に、基材の表面に銅金属が析出する極側のみに電流がパルス状に出現するパルス電流を印加する銅ストライクめっきでは、基材内に結晶核の発生が優先的に且つ均一に惹起されるため、基材表面が不均一状態であっても、金属結晶が緻密に充填され且つ基材との密着性及びその耐熱性が向上された銅ストライクめっき層を形成できる。このため、ストライクめっき前の前処理として研磨処理等を省略可能である。
就中、添加剤又はその同伴物としてMg及びSiの少なくとも一方を含有する銅合金から成る基材を好適に用いることができる。
かかる銅合金から成る基材には、プレス加工等の加工に因る加工歪が蓄積されている場合には、通常、加工歪を除去すべく熱処理が施される。
この熱処理によって銅合金から成る基材では、図7に示す様に、内部の結晶粒界100に分散していた合金102が表面に拡散・偏析し、研磨処理後にはスマット104を形成して表面を不均一面とする。
また、熱処理によって、基材の表面には、変質層106が形成され、表面近傍には加工変質層108も形成される。特に、基材を形成する銅合金内にMg及びSiの少なくとも一方が含有されている場合には、表面に拡散・偏析したMgやSiは、導電性に乏しい変質層を形成し易い。
かかる変質層106は、直流電流による銅ストライクめっきを基材の表面に施す際に、基材の表面に形成されたスマット104及び有機汚れ110と共に障害となる。
このため、従来では、スマット104、変質層106及びの有機汚れ110をストライクめっき前に除去することが必要である。かかる除去手段としては、基材表面に研磨処理を施した後、脱脂処理及び電解活性処理を施す。かかる一連の処理を施しても、基材の表面にはスマット104が残存しているため、酸処理によってスマット104を除去する。
この点、本発明では、熱処理を施した銅合金から成る基材の表面に脱脂処理及び活性処理のみを施した後、パルス電流による銅ストライクめっきによって、基材の表面に金属結晶が緻密に充填された銅ストライクめっき層を形成できる。この銅ストライクめっき層は、基材との密着性及びその耐熱性が良好である。
ここで、基材に施す熱処理としては、加工歪を除去するための公知の熱処理条件を採用でき、基材に施す脱脂処理及び活性処理は、公知の処理剤及び処理条件で施すことができる。
この電圧源34からは、電源制御用コンピュータ36によって制御されるプログラマブル電源37から発せられる制御信号に基づいて所定の電圧を陽極CE及び陰極WE1に供給する。かかる電圧は、参照電極REと陰極WE2との間の電位差に基づいて制御される。
また、陽極CEと陰極WE1との間に流れた電流は、デジタルマルチメータ38にモニタされ、モニタされた電流値は電源制御用コンピュータ36にフィードバックされる。かかる電流値は、陰極WE1に接続された基材WEの表面に形成された銅ストライクめっき皮膜の厚さに略比例するため、電源制御用コンピュータ36は、デジタルマルチメータ38にモニタされた電流値に基づいてプログラマブル電源37を制御する。
尚、銅めっき浴32としては、市販されている銅ストライクめっき用のめっき液を用いることができる。
かかるパルス電流は、基材WEの表面に形成した銅ストライクめっき層のX線の回折強度が最大値を示す結晶面が、銅から成る金属結晶を最密充填した銅層のX線の回折強度が最大値となる結晶面である(111)面となるように調整する。
具体的には、電流のパルス周期及び基材WEに電流を印加するON時間(tON)と電流をOFFとするOFF時間(tOFF)とのDuty比[tON/(tON+tOFF)]によって調整することが好ましい。特に、パルス電流を、パルス周期が10〜1000Hzで且つDuty比が0.2〜0.5の範囲で調整することが好ましい。
かかるパルス電流による銅ストライクめっき層の厚さは、0.01〜5μm程度とすることが好ましい。
また、パルス電流の電流密度は、銅析出の電流効率が30%程度となるように調整することが好ましい。
従来、銅合金、特にMg及びSiの少なくとも一方を含有する銅合金から成る基材WEでは、加工歪等の除去のために熱処理を施したとき、MgやSiが基材WEの表面に拡散・偏析して導電性の乏しい変質層を形成し易い。このため、従来、熱処理を施した銅合金から成る基材WEには、その表面に形成される導電性の乏しい変質層を除去する研磨処理等の前処理を施した後でなければ、銅ストライクめっきを施すことができなかった。
この点、本願の一発明によれば、熱処理を施した銅合金から成る基材WEには、銅ストライクめっき前の前処理として脱脂処理及び活性処理のみを施すことで足り、従来の前処理工程に比較して、その工程を充分に短縮できる。
基材WEの表面上に形成した銅ストライクめっき層上には、電解めっきによって銅めっき層や銀めっき層等の任意の金属めっき層を形成できる。形成した金属めっき層は、めっき金属の異常析出もなく均斉であり且つ耐熱性も良好である。
この基材WEとしては、リードフレーム等の電子部品用基材を好適に用いることができ、電子部品のアセンブリ性を向上できる。
ところで、パルス電流としては、基材WEの表面に銅金属が析出する極側の電流と、基材WEの表面に析出した銅金属が溶出する極側の電流とを基材WEに交互に印加する、いわゆる逆電流パルス電流も考えられるが、逆電流パルス電流を基材WEに印加すると、基材WEを形成する成分等が銅めっき浴32中に溶出して銅ストライクめっきに悪影響を与えるおそれがある。
次いで、図1に示す電解銅めっき装置を用い、電解銅めっき液が貯留されているめっき槽30内に、基材WEとして上記リードフレームを挿入し、パルス電流を印加してリードフレームの表面に銅ストライクめっきを施した。
この際の銅ストライクめっきでは、パルス電流のパルス周期を100Hzとすると共に、平均電流密度(C.D.)を7A/dm2とし、Duty比を0.2〜1.0に変更して厚さ0.5μmの銅ストライクめっき層を形成した。形成された銅ストライクめっき層の外観を下記表1に示す。
更に、リードフレーム上に形成した厚さ0.5μmの銅ストライクめっき層上に、市販されている電解銀めっき液を用いた電解銀めっきによって厚さ5μmの銀めっき層を形成した。この銀めっき層の外観及びAg異常析出を示すノジュール(表面のザラツキ)、段差及び光沢ムラの発生程度を肉眼観察した結果を表1に併せて示す。表1において、「○;良好、△;若干の異常析出が認められる、×;異常析出が認められる」を各々表す。
尚、Duty比が0.5を越える水準では、焼けめっきとなる傾向あるが、実用に供し得るものである。
形成された銅ストライクめっき層は、その外観が赤色無光沢を呈するものであり、焼けめっきの範疇に入るものである。また、形成された銀めっき層は、半光沢を呈し且つ光沢ムラは見受けられないものの、Ag異常析出を示すノジュール(表面のザラツキ)及び段差が認められるものであった。
次いで、めっきを施したリードフレームを下記表3に示す加熱条件で銅の酸化膜を形成した後、リードフレームに張りつけた粘着テープを引き剥がしてめっき層が剥離するか否かのテープ剥離試験を施して、銅ストライクめっきの酸化膜密着性を評価した。評価結果を表3に併記する。
しかし、厚さを0.3μmとした銅ストライクめっき層上に電解銀めっきによって厚さ3〜5μmの銀めっき層を形成することによって、加熱条件が340℃×10分で銅酸化膜を形成した後のテープ剥離試験では銅酸化膜の剥離は認められなかった。
実施例3の水準では、リードフレームに形成した銅ストライクめっき層の表面に酸化膜が形成されても、リードフレームとの密着性を低下させるものでないことを示している。
尚、かかるテープ剥離試験において、銅ストライクめっき層の表面に形成した銅酸化膜との密着性が良好なリードフレームでは、モールド樹脂及び半導体素子との密着性も良好であることは経験的に判明している。
次いで、図1に示す電解銅めっき装置を用い、電解銅めっき液が貯留されているめっき槽30内に、基材WEとしてのアルカリ脱脂処理、研磨処理、酸洗処理、化学研磨処理及び電解活性処理を施したリードフレームを挿入し、このリードフレームに電流密度(C.D.)を7A/dm2とする直流電流を印加してリードフレームの表面に0.1μmの銅ストライクめっきを施した。
更に、リードフレーム上に形成した厚さ0.1μmの銅ストライクめっき層上に、市販されている電解銀めっき液を用いた電解銀めっきによって厚さ3〜5μmの銀めっき層を形成した。
次いで、めっきを施したリードフレームについて、実施例3と同様に、テープ剥離試験を施して、銅ストライクめっき層の銅酸化膜の密着性を評価した。評価結果を表4に併記する。
この場合、厚さを0.3μmとした銅ストライクめっき層上に電解銀めっきによって厚さ3〜5μmの銀めっき層を形成しても、依然として、加熱条件が280℃×10分で銅酸化膜を形成した後のテープ剥離試験では銅酸化膜の剥離が認められた。
比較例2の水準では、リードフレームに形成した銅ストライクめっき層の表面に形成された銅酸化膜は、リードフレームとの密着性を低下させるものあることを示している。
尚、かかるテープ剥離試験において、銅ストライクめっき層の表面に形成した銅酸化膜との密着性が劣るリードフレームでは、モールド樹脂及び半導体素子との密着性も劣ることは経験的に判明している。
次いで、図1に示す電解銅めっき装置を用い、脱脂処理及び電解活性処理のみを施したリードフレームを基材WEとして挿入し、このリードフレームにパルス周期が100Hzで且つ平均電流密度(C.D.)が7A/dm2のパルス電流を印加してリードフレームの表面に5μmの銅ストライクめっきを施した。この際のDuty比は0.4であった。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図3のパターンAとして示し、この銅ストライクめっき層の断面の電子顕微鏡写真を図4(c)に示す。
(2)上記(1)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理及び電解活性処理を施した後、上記(1)と同様にして銅ストライクめっきを施した。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図3のパターンBとして示し、この銅ストライクめっき層の断面の電子顕微鏡写真を図4(b)に示す。
(3)上記(1)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理、電解活性処理及び酸処理を施した後、上記(1)と同様にして銅ストライクめっきを施した。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図3のパターンCとして示し、この銅ストライクめっき層の断面についての電子顕微鏡写真を図4(a)に示す。
尚、図4(a)〜(c)に示す電子顕微鏡写真において、縦筋状部分が銅ストライクめっき層10であり、銅ストライクめっき層10の下方の横筋状部分がリードフレームの表層部12である。
更に、本実施例の銅ストライクめっき層は、その断面についての図4に示す電子顕微鏡写真から明らかな様に、いずれも銅から成る小さな金属結晶が緻密に充填されており、且つ銅ストライクめっき層の上面が平滑面である。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図5のパターンXとして示し、この銅ストライクめっき層の断面についての電子顕微鏡写真を図6(c)に示す。
(2)上記(1)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理及び電解活性処理を施した後、上記(1)と同様にして銅ストライクめっきを施した。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図5のパターンYとして示し、この銅ストライクめっき層の断面についての電子顕微鏡写真を図6(b)に示す。
(3)上記(1)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理、電解活性処理及び酸処理を施した後、上記(1)と同様にして銅ストライクめっきを施した。
この銅ストライクめっき層のX線の回折パターンを図5のパターンZとして示し、この銅ストライクめっき層の断面についての電子顕微鏡写真を図6(a)に示す。
尚、図6(a)〜(c)示す電子顕微鏡写真において、縦筋状部分が銅ストライクめっき層100であり、銅ストライクめっき層10の下方の横筋状部分がリードフレームの表層部102である。
更に、本比較例の銅ストライクめっき層は、その断面についての図6に示す電子顕微鏡写真から明らかな様に、いずれも銅から成る大きな金属結晶が形成されており、且つ銅ストライクめっき層の上面も凹凸面である。
次いで、図1に示す電解銅めっき装置を用い、脱脂処理及び電解活性処理のみを施したリードフレームを基材WEとして挿入し、このリードフレームにパルス周期が100Hzで且つ平均電流密度(C.D.)が7A/dm2のパルス電流を印加してリードフレームの表面に0.1μmの銅ストライクめっきを施した。この際のDuty比は0.4であった。
更に、この銅ストライクめっき層上に、銀ストライクめっきを施した後、電流密度(C.D.)を120A/dm2の電解銀めっきによって、厚さ5μmの銀めっき層を形成した。
(2)上記(1)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理、電解活性処理及び酸処理を施した後、上記(1)と同様にして銅ストライクめっき、銀ストライクめっき及び電解銀めっきを施した。
銅ストライクめっき、銀ストライクめっき及び電解銀めっきを施した上記(1)及び(2)のリードフレームの各々を、400℃に加熱されているホットプレートに2分間載置して加熱する耐熱試験を施した。この耐熱試験では、直径が100μm以上で且つ下地から発生している「シミ・変色発生数」及びめっき層の「加熱フクレ」の有無を調査し、結果を下記表5の実施例として示す。
(I)実施例5(1)において、電流密度(C.D.)が7A/dm2の直流電流を印加し
てリードフレームの表面に0.1μmの銅ストライクめっきを施した他は実施例5(1)と同様にして銅ストライクめっき層、銀ストライクめっき層及び銀めっき層を形成した。
(II)上記(I)で用いたリードフレームに研磨処理、脱脂処理、電解活性処理及び酸処
理を施した後、上記(I)と同様にして銅ストライクめっき、銀ストライクめっき及び電
解銀めっきを施した。
銅ストライクめっき、銀ストライクめっき及び電解銀めっきを施した上記(I)及び(
II)のリードフレームの各々を、400℃に加熱されているホットプレートに2分間載置
して加熱する耐熱試験を施した。この耐熱試験では、直径が100μm以上で且つ下地から発生している「シミ・変色発生数」及びめっき層の「加熱フクレ」の有無を調査し、結果を下記表5の比較例として併記して示す。
一方、表5の比較例において、「加熱フクレ」が発生した水準でも、銅ストライクめっき層の厚さを0.3μmとしたが、依然として「加熱フクレ」は発生した。
従って、実施例の水準では、比較例の水準よりもめっき皮膜の耐熱性が向上していることが判る。
32 めっき浴
34 電圧源
36 電源制御用コンピュータ
37 プログラマブル電源
38 デジタルマルチメータ
Claims (5)
- 熱処理を施した銅合金から成るリードフレームに脱脂処理及び電解活性処理を施した後、該リードフレームに対して、電解銅めっき液を用いた電解銅めっきによって下地銅めっき層を形成した後、前記下地銅めっき層上に、電解めっきによって金属めっき層を形成するリードフレームのめっき方法であって、
前記下地銅めっき層を形成する前記電解銅めっきでは、前記リードフレームの表面に銅金属が析出する極側のみに電流がパルス状に出現するパルス電流を、前記下地銅めっき層のX線の回折強度が最大値を示す結晶面が(111)面となるように、Duty比を調整して前記リードフレームに印加することを特徴とするリードフレームのめっき方法。 - 前記パルス電流を、パルス周期が10〜1000Hzで且つDuty比が0.2〜0.5の範囲で調整する請求項1記載のリードフレームのめっき方法。
- 前記リードフレームは、銅合金から成る基材にプレス加工が施されたものである請求項1又は請求項2記載のリードフレームのめっき方法。
- 銅から成るマトリックス中に、Ni、Fe、Sn、Cr、Si及びMgから成る群から選ばれた一種又は二種以上が配合されて成る銅合金から成る前記リードフレームに対して、前記電解銅めっき及び前記電解めっきを施す請求項1〜3のいずれか一項記載のリードフレームのめっき方法。
- 銅合金から成り、表面が脱脂処理及び電解活性処理が前処理として施された基材と、
前記基材の表面に、電解銅めっき液を用いた電解銅めっきによって形成された下地銅めっき層と、
前記下地銅めっき層上に、電解めっきによって形成された金属めっき層とを有しており、
前記下地銅めっき層のX線の回折強度が最大値を示す結晶面が、(111)面であることを特徴とするリードフレーム。
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