JP4856772B2 - 高炉鋳床樋 - Google Patents

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本発明は、高炉の出銑口から吐出した溶銑及び溶滓の流路となる高炉鋳床樋に関し、詳しくはバック材層及びウェア材層からなる耐火物ライニング構造を有する高炉鋳床樋に関する。
高炉鋳床には、高炉から出銑された溶銑や溶滓などの高温流体を取扱うための設備が配置されており、まず溶銑と溶滓とは主樋において比重差により分離され、その後溶銑は溶銑樋、溶滓は溶滓樋を通って搬送車などの注入口まで導かれるように各樋が構築され、それぞれの用途に適合する耐火物でライニング(「ライニング」とは、窯炉に耐火物で内張りすることをいう。また、耐火物で内張りされたものをいう。)されている。また、いずれの樋も、一般に複数種の耐火物で層状にライニングされている(このようなライニングの構造を、以下「ライニング構造」という。)。
溶銑及び溶滓と接する面に施工されるウェア材耐火物(窯炉の内張り耐火物の最も内側、最高温度となる稼動面側にライニングされるもの。以下「ウェア材」という。)は、溶銑及び溶滓の強い侵食作用を受けるため、耐熱性や耐食性に優れる材質であることが要求され、主にアルミナ−炭化珪素−炭素質やアルミナ−スピネル(MgO−Al2O3系スピネルのこと。以下「スピネル」という。)−炭化珪素−炭素質の流し込み耐火物が用いられている。このウェア材は、通常はアルミナ−炭化珪素質れんがや断熱質不定形耐火物等のバック材耐火物(ウェア材の背面側(外側)に、バックアップや断熱化による鉄皮保護、省エネルギーを目的としてライニングされるもの。以下「バック材」という。)を介して樋の外側を形成する鉄皮やコンクリート製樋枠により支持されている。
しかし、ウェア材は高温の溶湯と接して加熱−冷却を繰り返し受けるため、亀裂や局部的損傷を生じやすい。また、樋は長手構造物であるため、加熱冷却に伴う膨張収縮の繰り返しにより輪切り状に亀裂(縦亀裂)が生じやすい。さらに、鋳床樋(特に主樋)の損耗は溶滓の表面(以下「スラグライン」という。)や溶滓−溶銑界面(以下「メタルライン」という。)に沿って局部的に、場合によっては鋭角的に損耗するため、損耗部位の先端から亀裂が発達しやすい。このような欠陥を放置すると欠陥部分から溶銑や溶滓が侵入し、ついには溶銑や溶滓が鉄皮にまで達して鉄皮を溶損させ、漏銑事故につながる恐れがある。
一般に高炉鋳床樋の点検を行う場合、出銑を一端中断し、溶銑や溶滓を全て樋内から排出した後、樋内温度が常温近くに下がるのを待って中に入り、詳細な点検を行う。しかしこの点検作業は数日間隔でしか実施できないので、その間は上面からの観察のみで、異常の有無を十分に点検できないまま連続して使用する。このため亀裂を通って溶銑や溶滓が耐火物層内部に侵入しても、そのまま使用し続けることになる。特に主樋の場合、メタルラインなどの溶銑浸漬部は出銑中全く目視点検できない他、局部的に損耗した部位の状況は上方からの点検では確認できないため、最悪の場合、この耐火物層内部に侵入した溶銑や溶滓が、亀裂の進展とともに鉄皮まで達し、鉄皮を溶かして炉外に漏れ出す(漏銑事故)まで異常に気付かないことがある。
また、外枠鉄皮は長期間使用するうちに膨張−収縮を繰り返し受けて熱変形し、これに起因してバックに配したれんがの目地が緩み、これが溶銑及び溶滓の通路となる危険性が増大する。一般に高炉鋳床樋のバック材は、ウェア材用とは別にバック材用の型枠まで準備することの不便さから、流し込み耐火物でなくれんがが用いられており、そのためれんがの目地がライニング中に多数存在するようになっているのが現状である。
さらに、内側ライニングの稼動時の膨張歪が鉄皮に作用すると、鉄皮に大きな引張り応力が発生し、鉄皮の継ぎ目等から切断されやすくなる。しかも、この鉄皮の切断や鉄皮の歪によってライニングとの間に隙間が生じると、ライニングの背面からの空気の流入が加速され、その内側にライニングされたウェア材やバック材の酸化劣化が進み、その結果同様の事故の危険性がより増大するようになる。このため、実操業においては、ウェア材及びそれを支えるバック材、鉄皮の入念な点検・補修作業を頻繁に行って、漏銑事故を未然に防止している。
特許文献1には、この漏銑トラブル(漏銑事故)を未然に防止する方法として、上記漏銑トラブルが、膨張−収縮を繰り返し受けることにより樋を構成する各材料間に不均一な歪みが生じることに起因して発生する点に着目し、特性の異なる耐火物を適切に配置して樋内部の温度勾配を適正化することにより、樋全体としての耐久性を向上させるため、高炉鋳床樋の溶湯に接する耐火物であるウエアーライニング材と、樋の外枠を形成する鉄皮との間に、上記ウエアーライニング材側から順に、アルミナ質耐火物層、断熱れんが層、アルミナ炭珪れんが層を配してなる高炉鋳床樋の耐火物構造を開示している。しかし、この耐火物構造では、漏銑事故の主因である耐火物層内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを防止したり、鉄皮の歪や損傷と、これに起因するウェア材等の酸化劣化を防止したりすることはできていない。
特許文献2には、高炉より出銑中の熔銑を流すための溝型構造体、及びこの構造体の冷却方法に関する発明が開示されている。特許文献2は、熔銑を流す際に発生する熱応力による割れを防止するための新しい冷却方法を持つ構造を提供することが目的であり、永久ライニングの外側に高熱伝導率の外側ライニングを設け、この外側ライニングから底部に設けた放熱手段を経由して熱を放散させることにより側壁を冷却する方法に関する。しかし、この方法は、磨耗ライニング(ウェア材)以外の永久ライニングや外側ライニングをれんがで構成しており、目地からの溶銑や溶滓の進入の危険性には着目しておらず、さらに漏銑事故の主因である耐火物層内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを食い止めることもできていない。
特許文献3には、樋材の損耗速度を低減するため、溶融金属に接する部分に設けた樋材と該樋材の外面に設けた外面耐火物とを有する溶融金属用樋において、前記樋材が、黒鉛を3〜20重量%含有する黒鉛含有耐火物であり、前記外面耐火物が、黒鉛質耐火物、SiC質耐火物、Al2O3質耐火物のいずれか一種又は二種以上の組み合わせとすること、さらには前記樋材及び外面耐火物を冷却する冷却手段を有するのが好ましいことを開示している。これにより、耐火物の熱伝導性が向上して従来よりも飛躍的に樋材の損耗速度を低減することができ、その結果、樋材の原単価、原単位を削減でき、また冷却手段により鉄皮温度を制御できることから、鉄皮変形防止効果を強化でき、鉄枠交換での投資を大幅に削減できる。しかし、この方法では、漏銑事故の主因である耐火物層内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを食い止めることはできていない。
特許文献4には、樋耐火物及び背面充填材とこれらを構造的に支持し、かつその外殻となる鉄筋コンクリート製凹型樋枠とで構成され、隙間のない積層構造となっている鋳床樋において、溶銑や溶滓などの高温流動体からの伝導、対流及び輻射の各伝熱により高温状態下に曝されることに起因して、高温状態になった樋耐火物及び背面充填材が高温流動体の流れる方向に大きく熱膨張し、特に樋屈曲部の外側の鉄筋コンクリート製凹型樋枠壁を外側に押出し、屈曲部に亀裂を生じさせたり、外側樋壁を倒壊に至らしめるのを防止するため、樋耐火物又は背面充填材と鉄筋コンクリート製凹型樋枠の内壁面との境界に、粒子充填層、空隙、及び可縮性を有する緩衝材のうち、少なくとも一つを設置することを開示している。しかし、この方法では、漏銑事故の主因である耐火物層内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを食い止めたり、鉄皮の歪や損傷と、これに起因するウェア材などの酸化劣化の促進を防止することはできていない。
特許文献5は、その用途が白銅や青銅等の連続鋳造装置に使用される溶湯用樋という、高炉鋳床樋に比べ小型の溶湯用樋に関するものであるが、上面に湯道を形成した不定形耐火物製第1耐火層と、この第1耐火層の底面から側面にかけて外側に配設される不定形耐火物製第2耐火層と、この第2耐火層の底面から側面にかけて外側に配設される断熱層と、前記各層により形成される積層体の上面を除く外周面を包囲する鉄皮とを備えた溶湯用樋において、前記第1耐火層と前記第2耐火層との間に繊維状断熱材からなるセラミックファイバー層を介在させ、このセラミックファイバー層を介して前記第2耐火層により前記第1耐火層の底面及び側面全体を包囲させるとともに、前記第1耐火層を長手方向に隙間を設けて配置した複数の分割片から形成して配置されるとともに、前記断熱層を貫かせて前記鉄皮に固定した保持部材により前記第2耐火層を保持させた構成を開示している。これにより、第1耐火層に長手方向における大きな圧縮力は作用せず、幅方向における異常な広がりもなくなり、第1耐火層の割れあるいは亀裂、またこれに伴う第1断熱層或は第2断熱層の損傷、さらには操業の緊急停止という事態の発生は回避され、安定した操業が可能になるとともに溶湯用樋自体の寿命も長くなるとしている。しかし、この方法では、第1耐火層を長手方向に隙間を設けて配置するなど、始めから溶銑が容易に外側まで進入する危険性がある構造となっていることや、亀裂が鉄皮まで達するのを防止する対策を講じていない(図8に示す従来構造も含めて)など、高炉鋳床樋で課題となっている漏銑事故の主因である耐火物層内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを食い止めたり、鉄皮の歪や損傷と、これに起因するウェア材などの酸化劣化の促進を防止することはできていない。
特開平9−157718号公報 特開平3−31408号公報 特開2000−17313号公報 特開2008−240000号公報 特開2001−21271号公報
本発明の目的は、漏銑事故の主因である耐火物ライニング内に発生する亀裂が鉄皮まで達するのを防止し、鉄皮の歪や損傷と、これに起因するウェア材等の酸化劣化を防止することにより、間隔をおいて実施される冷間点検作業と冷間点検作業との合間に、漏銑事故が発生しないようにした高炉鋳床樋を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、高炉鋳床樋の耐火物ライニングを、特定の不定形耐火物を複数層組み合わせた構造とすることによって、耐火物ライニングの亀裂の発生を抑制し、さらに発生した亀裂が鉄皮面まで進展するのを防止できること、及び稼動時の内側ライニングの膨張歪が鉄皮に作用して鉄皮に歪が生じたり破断したりするのを防止できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の高炉鋳床樋は、樋状の鉄皮と、前記樋状の鉄皮の内壁にライニングした耐火物層とからなり、側壁部の耐火物層が、溶銑及び/又は溶滓に接する面を内側、鉄皮を外側としたとき、内側のウェア材層及び外側のバック材層からなり、前記ウェア材層が、アルミナ−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物、及び/又はアルミナ−スピネル−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物からなり、前記バック材層が、外側から順に第一バック材層、第二バック材層及び第三バック材層の少なくとも3層からなり、前記第一バック材層が断熱質不定形耐火物、前記第二バック材層が粉末状不定形耐火物、及び前記第三バック材層が流し込み耐火物からなることを特徴とする。
前記第三バック材層は、2層以上で構成されるのが好ましい。
前記第三バック材層は、ステンレスファイバーを1質量%以上含有する流し込み耐火物、又は前記流し込み耐火物で成形したプレキャストブロックからなるのが好ましい。
前記ウェア材と接する部位にライニングされる前記第三バック材層は、アルミナ−炭化珪素質流し込み耐火物、又は前記アルミナ−炭化珪素質流し込み耐火物で成形したプレキャストブロックからなり、溶損指数200以下の耐食性(但し、溶損指数は、溶銑及び溶滓を侵食材とする1550±50℃誘導炉侵食試験において、同時比較した前記ウェア材の溶損指数を100としたときの相対値。)を有するのが好ましい。
前記第二バック材層は、炭素粉、フェノール樹脂粉及びピッチ粉からなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.5〜7質量%含有するアルミナ−炭化珪素−炭素質粉末状不定形耐火物からなり、20 MPa以下の圧縮強度(但し、圧縮強度は、成形圧6.86 MPaで圧縮成形した試験片の1000℃還元焼成後測定した値。)を有するのが好ましい。
前記第二バック材層は、溶損指数300以下の耐食性(但し、溶損指数は、溶銑及び溶滓を侵食材とする1550±50℃誘導炉侵食試験において、同時比較した前記ウェア材の溶損指数を100としたときの相対値。)を有するのが好ましい。
前記第二バック材層は、前記第三バック材層の硬化体と前記第一バック材層の硬化体との間隙に充填施工されるのが好ましい。
前記第一バック材層の前記断熱質不定形耐火物は、断熱質吹付け耐火物であるのが好ましい。
本発明では、耐火物を「れんが」と「不定形耐火物」とに分類し、「れんが」とは耐火性原料をプレス成形して得られるものをいい、高炉鋳床樋のバック材を「れんが」で築造する場合は人の手で持ち上げられる寸法のものを用いるので、ライニング中にれんが間の目地が多数形成される。これに対し、「不定形耐火物」のうち、粉末状の耐火物に水を加えて混練し流し込んで使用するものを「流し込み耐火物」、粉末状のまま投入し充填して使用するものを「粉末状不定形耐火物」といい、これらの使用により、いずれも目地無し一体施工ライニングを得ることができる。また、流し込み耐火物で成形した「プレキャストブロック」は、成形品ではあるが、プレス成形という制約を受けないため、寸法や形状を自由に決定できるので、本発明では「不定形耐火物」に分類している。また、「プレキャストブロック」は、吊り下げ金具を埋設しておくなどして設置にクレーンを用いることで、大型ブロック化でき、目地の影響を大きく軽減することが可能である。
本発明の高炉鋳床樋は、耐火物ライニング層中での亀裂の発生の抑制と、発生した亀裂が鉄皮面まで進展することを防止することができ、その亀裂を通って溶銑や溶滓が侵入し、それが鉄皮面まで達し、鉄皮を溶かすことによって発生する漏銑事故を防止できるので、高炉鋳床における主樋、溶銑樋及び溶滓樋に好適である。
さらに、稼動時の内側ライニングの膨張歪が鉄皮に達するのを防止することができるので、鉄皮の継ぎ目等からの切断が防止でき、この鉄皮の切断部を通ってライニングの背面から空気が流入することによるウェア材の酸化劣化を防止できるので、高炉鋳床樋の耐用が向上するとともに漏銑事故の発生がより軽減される。
本発明の高炉鋳床樋の例を示す断面図である。 ウェア材層の溶損プロフィールを説明するための模式図である。 プレキャストブロック間の接合部の例を示す模式図である。 第二バック材層と第三バック材層との焼付き試験方法を説明するための模式図である。 本発明の高炉鋳床樋の側壁部第一バック材層を施工した状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の高炉鋳床樋の敷部バック材層を施工した状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の高炉鋳床樋の側壁部第三バック材層を施工した状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の高炉鋳床樋の側壁部第二バック材層を施工した状態を模式的に示す斜視図である。 本発明の高炉鋳床樋のウェア材層を施工するための型枠を設置した状態を模式的に示す斜視図である。
A.ライニング構造及び施工手順
(1)構造
本発明の高炉鋳床樋は、側壁部の耐火物層が、溶銑及び/又は溶滓に接する面を内側、鉄皮を外側としたとき、内側のウェア材層及び外側のバック材層からなり、前記ウェア材層が、アルミナ−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物、及び/又はアルミナ−スピネル−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物からなり、前記バック材層が、外側から順に第一バック材層、第二バック材層及び第三バック材層の少なくとも3層からなり、前記第一バック材層が断熱質不定形耐火物、前記第二バック材層が粉末状不定形耐火物、及び前記第三バック材層が流し込み耐火物からなることを特徴とする。
樋状の鉄皮の内壁に不定形耐火物としてウェア材をライニングしてなる高炉鋳床樋においては、稼動時の熱膨張及び収縮の動きに伴ってウェア材ライニング中に引張り及び圧縮応力が発生する。この応力が背面(外側)へと伝播することによって、鉄皮にも大きな引張り及び圧縮応力がかかり、継ぎ目等から鉄皮が切断されやすくなる。この引張り及び圧縮応力は、例えば前記不定形耐火物が複数の層からなるとき、それらの層と層との境界部で開放され、鉄皮への伝播が防止される場合がある。この応力は境界部の結合や焼付きが弱いほど開放されやすい。従って、不定形耐火物層の数(境界部の数)を増やし、さらに亀裂が進展し難い特性を有する流し込み耐火物や粉末状不定形耐火物等を組み合わせてバック材を構成することで、応力が開放され易いライニング構造となり、漏銑事故を起こし難い鋳床樋が得られる。
(2) 施工
本発明の高炉鋳床樋の施工は、以下の手順で行う。
まず、鉄皮の側壁部全面に断熱質不定形耐火物からなる側壁部第一バック材層(以下、単に「第一バック材層」という。)を施工する。この断熱質不定形耐火物を流し込み耐火物でライニングする場合は、あらかじめ型枠を設ける。吹付け耐火物でライニングする場合は、型枠は不要であり、鉄皮に直接吹付けてライニングする。第一バック材層を吹付け施工する際は、吹付け後、直ちに鏝などを用いて表面を平滑にしておくのが好ましい。
次に、敷部(底部)に敷部用バック材層(以下「敷部バック材層」という。)を施工する。この敷部バック材層は特に種類を限定するものではなく、現場の状況に応じて選択することができるが、側壁部の第一バック材層(前述)及び第二バック材層(後述)と同じ組成の耐火物を、敷部の底側から順に敷部第一バック材層及び敷部第二バック材層として施工するのが好ましい。この粉末状不定形耐火物からなる敷部第二バック材層の上に、直接側壁部第三バック材層として不定形耐火物プレキャストブロックを設置すると、前記ブロックが敷部の粉末状不定形耐火物層に潜り込み、傾いてしまうなど耐火物層の構造が不安定になりやすい。従って、敷部第三バック材層として、より形状安定性の優れる湿式スタンプ材(水分を含む練土状不定形耐火物)、流し込み耐火物、又はそのプレキャストブロックを敷部第二バック材層(粉末状不定形耐火物ライニング)の上に被せて施工するのが好ましい。
前記敷部バック材層(敷部第一バック材層、敷部第二バック材層及び敷部第三バック材層)のライニング後、側壁部の第三バック材層(以下、単に「第三バック材層」という。)を側壁部の第二バック材層よりも先に施工する(第三バック材層が2層以上で構成される場合は、第二バック材層と接する第三バック材層)。第三バック材層は、鋳床現場で直接流し込み施工を行う場合や、別の場所で事前にプレキャストブロックとして成形しておいたものを設置する場合、プレキャストブロックと流し込み施工との2層構造とする場合等を適宜選択できる。但し、いずれの場合においても、第二バック材層を充填施工する際は、第二バック材と接する第三バック材が硬化体となっていなければならない。本発明において、「硬化体」とは、型枠内に施工した流し込み耐火物や、鉄皮面に吹付けられた施工体の養生強度が発現し、硬化した状態にあるものをいう。勿論プレキャストブロックは硬化体である。
前記第三バック材層の施工後、側壁部の第二バック材層(以下、単に「第二バック材層」という。)を充填施工する。充填施工は、第三バック材の硬化体と第一バック材の硬化体との間隙に第二バック材を投入し、粉末充填機(バイブルフォーク)等を用いて加振充填して行う。充填度としては、投入直後の静置容積に対する加振充填後の容積の比(加振充填後/加振充填前の容積比)が0.90以下となるまで加振するのが好ましく、0.85以下となるまで加振するのがより好ましい。加振充填後/加振充填前の容積比が0.90超では充填性が低いため、溶銑の侵入を防止する効果や耐火物としての機能が不十分となる。
側壁部の第二バック材層を施工後、必要に応じて第二バック材層と接していない残りの第三バック材層を施工し、最後にウェア材層を施工する。ウェア材層を施工する前に第三バック材層の流し込み施工を行う際は、層間の結合が弱まるように、第三バック材層用型枠の表面はできるだけ滑らかな状態が好ましく、型枠に十分な離型剤を塗布したり、型枠表面にビニールを貼っておくとよい。また、第二バック材層やウェア材層を施工するときは、第三バック材層の養生強度は高いほど好ましい。
前記ウェア材層を施工した後、耐火物ライニング中の水分を除去するための乾燥を行って、高炉鋳床樋の耐火物ライニングは完成する。
上述したように、本発明は、側壁部のバック材層を少なくとも3層以上の、不定形耐火物をライニングしてなる層により構成するので漏銑事故の発生頻度を著しく低減することが可能である。これに対して第三バック材層にれんがを用いた場合は、れんがとれんがとの隙間を埋める多くの目地が、稼働中の加熱冷却の繰り返しや、ウェア材層をライニングし直す際の解体機による機械的衝撃によって緩んでしまい、この緩みによって生じた亀裂が、内側から進入してきた溶銑や溶滓の通り道となって漏銑事故の発生原因となる。
高炉鋳床樋側壁部の場合、高炉鋳床の設備的、構造的な制約があるため、耐火物のライニング厚みにも制約はあるが、主樋の場合ウェア材は平均的には300〜600 mm、バック材は合計で400〜700 mm程度である。バック材ライニングは、少なくとも3層以上の不定形耐火物層からなるようにするために、各層の厚みを適正に配分しなければならない。例えば、第一バック材は100〜200 mm、第二バック材は50〜200 mm、第三バック材は150〜300 mm程度であれば、本発明の目的である漏銑事故の防止に効果的である。
B.ウェア材層
ウェア材層は、アルミナ−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物及び/又はアルミナ−スピネル−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物、特に緻密質の流し込み耐火物からなるのが好ましい。主樋では、図2に示すように、溶銑22と溶滓21とが比重差で分離され、上部を溶滓21が流れ、下部を溶銑22が流れる。この溶滓21と大気との界面αが接する部位(スラグラインS)と、溶滓21と溶銑22との界面βが接する部位(メタルラインM)とでは、最適な耐火物組成が異なるため、特に出銑温度が高い高炉ではゾーンライニングを行って、スラグラインS用の耐火物とメタルラインM用の耐火物とを使い分けるのが好ましい。その際、スラグラインS用耐火物には、炭化珪素を30質量%以上含有するアルミナ−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物が好ましく、メタルラインM用耐火物には、耐溶銑性及び耐FeO性が必要とされるため、FeOとの反応性が小さいスピネルを主材としたアルミナ−スピネル−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物が好ましい。尚、出銑温度が比較的低い高炉や、ウェア材による継ぎ足し補修を高頻度で行う高炉では、上部材と下部材とのゾーンライニングを行わない場合もあり、その場合はアルミナ−炭化珪素−炭素質緻密質流し込み耐火物が好ましい。
溶銑樋のウェア材には、溶銑に対する耐食性に優れる流し込み耐火物が、溶滓樋のウェア材には、溶滓に対する耐食性に優れる流し込み耐火物が好ましく、特に緻密質流し込み耐火物が好ましい。
流し込み耐火物は耐火性骨材、耐火性微粉、結合材及び分散剤、並びに爆裂防止剤等の添加剤からなる。耐火性骨材としては、高純度電融アルミナ、高純度焼結アルミナ、褐色電融アルミナ、ボーキサイト、炭化珪素、スピネル等を用いることができる。耐火性微粉としては、高純度電融アルミナ微粉、高純度焼結アルミナ微粉、褐色電融アルミナ微粉、仮焼アルミナ超微粉、ボーキサイト微粉、炭化珪素微粉、スピネル微粉、シリカフューム、チタニア微粉、ジルコニア微粉、粘土微粉、ピッチ粉、カーボンブラック、黒鉛微粉等を用いることができる。耐火性微粉の粒度は0.3 mmフルイを通過するものから平均粒径10μm以下の超微粉まで、各種組み合わせて用いることができるが、特に緻密質の流し込み耐火物とするためには、仮焼アルミナ超微粉などの超微粉と分散剤とを組み合わせて低水量で十分な流動性が得られるようにしたものが好ましい。結合材としてはCaO含有量が10〜30質量%のアルミナセメントが好ましく、耐食性が低下しないよう、その含有量は耐火物の合計に対して7質量%以下となるようにするのが好ましい。その他、有機繊維や金属Al粉などの爆裂防止剤やB4Cなどの酸化防止剤を含有することができる。
C.第一バック材層
第二バック材層と鉄皮との間には、第一バック材層として断熱質不定形耐火物をライニングする。この断熱質不定形耐火物は断熱質流し込み耐火物でもよいが、流し込み耐火物は型枠の設置を必要とするため、吹付け耐火物の方が施工の簡便性においてより好ましい。吹付け施工は乾式でも、湿式でもよいが、より簡便な施工法である乾式吹付けが好ましい。
第一バック材層の断熱質不定形耐火物は、溶銑や溶滓からの熱による鉄皮の温度上昇を抑える役割を担っている。さらに、断熱質不定形耐火物は低弾性特性を有するため、その内側の第二バック材層の粉末状不定形耐火物の低弾性特性との相乗効果により、ウェア材層からの熱膨張歪がより緩和される。その結果、鉄皮保護に非常に有効に働き、鉄皮が損傷することによって生じる背面からの空気のライニング中への入り込みと、それによるウェア材等の酸化劣化が抑制できる。
第一バック材の施工厚みは、鉄皮の歪を防止するため、鉄皮温度が300℃以上にならないように、各ライニング材の熱伝導率に応じて決定するのが好ましい。
D.第二バック材層
第二バック材層は、粉末状不定形耐火物が用いられ、中でもアルミナ−炭化珪素−炭素質粉末状不定形耐火物が好ましい。これは、第二バック材層よりも内側のバック材層で溶銑や溶滓の侵入を防止することができなかった場合に、第二バック材層にこれらの侵入を防止する機能を付与するためである。その組成としては、溶銑や溶滓に対する耐食性に優れるアルミナ−炭化珪素−炭素質組成が選択される。
第二バック材層の粉末状不定形耐火物は、ウェア材から進展してきた亀裂が鉄皮まで達するのを防止し、亀裂を通って侵入してきた溶銑や溶滓などの高温流体が鉄皮やコンクリート製樋枠まで達するのを食い止めることを主たる目的としている。そのためには、粉末状不定形耐火物には、1000℃以下では亀裂の発生や発生した亀裂の進展が起こり難いことが要求され、加熱したときに熱硬化性バインダーの作用や焼結等によって弾性体特性が発現しないのが好ましい。
加熱によって弾性体特性が発現しない程度の強度にするためには、成形圧6.86 MPaで圧縮成形した試験片の1000℃還元焼成後の圧縮強度が20 MPa以下となるように熱硬化性バインダーを添加して用いるのが好ましい。熱硬化性バインダーの含有量は、他の耐火性微粉との組み合わせで適宜選択される。もし前記1000℃で還元焼成した試験片の圧縮強度が20 MPaを超えるような量の熱硬化バインダーを含有させた場合、第二バック材層内部に弾性体としての特性が強く現れ、亀裂が生じたり進展したりしやすくなる。
さらに、第二バック材層の粉末状不定形耐火物は、加熱後においても第三バック材層と焼付かない(接着しない)ことが要求される。そのために、炭素粉、ピッチ粉及びフェノール樹脂粉からなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.5〜7質量%含有するのが好ましい。この炭素粉、ピッチ粉及びフェノール樹脂粉からなる群から選ばれた少なくとも1種の合計含有量が0.5質量%未満になると第二バック材層の粉末状不定形耐火物が第三バック材層と接着するようになり、稼動中の熱による膨張収縮に第三バック材層と第二バック材層とが連動して動くようになり膨張収縮に伴う応力をうまく緩和できなくなる。また、7質量%を超えると、耐食性が低下し、溶銑や溶滓が第二バック材層まで達したときに溶損速度が増大し、外側へのさらなる侵入を抑制できなくなる。
ここで、炭素粉は焼結し難い特性を有するため、第三バック材層と第二バック材層との焼付きを抑制する効果が大きい。この炭素粉の例としてはカーボンブラックや黒鉛微粉があげられる。また、ピッチ粉やフェノール樹脂粉といった有機バインダーは、400℃以下の低温で軟化して粉末状不定形耐火物のバインダーとして作用するが、さらに高温まで加熱すると揮発分が飛散し、炭素分が一部残存するようになる。このとき、特に第三バック材層と第二バック材層との境界面付近に炭素分が析出して、第三バック材層と第二バック材層との焼付きを抑制する効果が発現する。高炉鋳床樋では、この第二バック材層中の温度は、通銑時には1000℃以上まで上昇するため、添加した有機バインダーは炭化するようになる。
また、炭素粉、ピッチ粉及びフェノール樹脂粉からなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.5〜7質量%含有すると、第一バック材層との結合も抑制できる。これにより、ウェア材層から鉄皮までの耐火物の温度変化による動きが、第二バック材層の両側で遮断され、ライニング中の亀裂の進展や鉄皮の損傷を防止することができる。
剥離等を起こすことによりウェア材層及び第三バック材層が急激に損耗した場合には、第二バック材層は十分に耐火物として機能することも要求される。特に、主樋の出銑口近傍では、出銑口から流出する溶銑や溶滓による損耗が激しいので、第二バック材層にも一定の強度発現が要求される。従って、出銑口近傍の部分の第二バック材層は、内側のライニング層の急激な損耗により、ウェア材としての機能が要求される温度レベル(1400℃以上)まで上昇したら、構造体として必要とする強度を発現するように、1400℃以上での還元焼成後圧縮強度が30 MPa以上となるように熱硬化バインダーの量を調整するのが好ましい。特に、金属アルミニウム(金属Al粉)や金属シリコン(金属Si粉)は、高温下でCOガスなどと反応して酸化物を生成し、強度発現に有効に作用するので熱硬化バインダーとして好適である。しかし、例えば溶滓樋や溶銑樋の下流部等は、ウェア材層が急激に損耗することはほとんどなく、亀裂の進展防止効果の発現のみが要求されるので、高温加熱後強度を発現するための熱硬化バインダーは含有しなくてもよい。
但し、溶銑が侵入してきた場合に、それが鉄皮面に達するのを食い止めるのに必要な充填密度は有している必要がある。そのため、第二バック材層を施工する際は、粉末充填機(バイブルフォーク)等を用いて、投入直後の静置容積に対する加振充填後の容積の比(加振充填後/加振充填前の容積比)が0.90以下となるまで加振充填するのが好ましい。
本発明は、先に施工しておいた第三バック材層の外側に、粉末状不定形耐火物からなる第二バック材層を施工する。第二バック材層と接する第三バック材層は、第二バック材層を施工する前に所定の位置で硬化した硬化体となっていることが必要である。第三バック材層を先に施工することにより、第三バック材層と粉末状不定形耐火物からなる第二バック材層とがより結合し難くなるので、両層間の動きが連動し難くなる。それにより、使用中にウェア材層から第三バック材層までの内側ライニング内に大きな引張り応力が発生し、亀裂が外側方向に向かって進展しても、第三バック材層と第二バック材層(粉末層)との境界部で引張り応力が緩和され、第二バック材層(粉末状耐火物ライニング層)内には引張り応力が伝播され難くなる。その結果、亀裂が外側へ進展したとしても境界部で止まり、溶銑等のそれ以上の侵入を防止することができる。
これに対して、この第三バック材層を施工又は設置するよりも前に、型枠をセットして粉末状不定形耐火物である第二バック材層を投入し、加振充填し、さらに型枠を通して加熱硬化させた後脱枠しておき、その内側に流し込耐火物をライニングし第三バック材層を施工した場合は、流し込み耐火物は第二バック材層とよくなじんでしまうため(流し込み耐火物が多孔質の第二バック材層の表面空隙に入り込んでしまうため)、第三バック材層と第二バック材層との境界部が一体化してしまう。その結果、境界部での内側ライニング材の引張り応力が第二バック材層まで連動してしまうおそれがある。さらに、第二バック材のライニングから型枠を外さなければならないが、そのためには第二バック材ライニングに十分な強度発現が必要となるため、1000℃以下での還元焼成後試験片の圧縮強度が20 MPaを超える程度の量の熱硬化バインダーを含有させなければならず、第二バック材のライニング層内部にも亀裂が生じたり、亀裂が進展しやすくなる。
ウェア材層等の内側のライニング層内部は稼働中高温となるため、熱膨張量が大きくなる。このライニングの膨張歪が直接鉄皮に作用すると、鉄皮に大きな引張り応力が発生し、鉄皮の継ぎ目から切断したりする。その場合、鉄皮の切れ目を通ってライニングの背面からの空気の流入が加速し、ウェア材の酸化損耗が促進されるようになる。しかし、本発明のように、第三バック材層と第二バック材層との境界部でウェア材等の内側耐火物の膨張収縮に連動しにくい構造とすることで、鉄皮の保護の役割をも得られ、結果的にウェア材層の酸化劣化を抑制し、耐用が向上する効果も得られる。
第二バック材のライニング層厚みは50 mm以上が好ましい。50 mm以上であれば、ウェア材層が損耗したときに、第二バック材層表面が1300℃以上の焼結温度に達したとしても、第二バック材層の背面側は焼結温度に達しないため、亀裂が鉄皮まで進展しない状態を保つことができる。
E.第三バック材層
第三バック材層は、流し込み耐火物からなるのが好ましい。また、ウェア材層に大きな亀裂が発生し、溶銑等がその亀裂を通って第三バック材層の表面に達することがあるので、第三バック材層は亀裂が生じ難い材料で形成しなければならない。そのためにステンレスファイバーを1質量%以上、より好ましくは2質量%以上含有するのが好ましい。
さらに、第二バック材層と接する部位にライニングする第三バック材層は、上述したように第二バック材層を施工する前に、所定の位置で硬化した硬化体であることを必要とする。即ち、第二バック材層と接する第三バック材層は、事前に成形したプレキャストブロックを設置するか、流し込み施工により事前に硬化させ脱枠することにより設けておく。
ウェア材層と接する部位にライニングする第三バック材層は、ウェア材層が通常よりも早く損耗した場合に、ウェア材層の代わりを務めることが要求される。特にウェア材層の使用末期には、第三バック材層が直接溶銑や溶滓に曝されることがある。そのため、ウェア材層に接する部位にライニングする第三バック材層には、アルミナ−炭化珪素質の緻密質流し込み耐火物を適用し、ウェア材の溶損指数100に対して、ウェア材層と接する部位にライニングされる第三バック材の溶損指数は200以下でなければならず、溶損指数が200を超えると、冷間で実施される詳細な樋の点検と点検との間にウェア材層が急激に損耗消失し、第三バック材層が直接溶銑や溶滓に曝されたとき、次の点検まで耐用できなくなる可能性が生じる。例えば一般的には、ウェア材層の残厚が100 mm程度を管理基準とし、これを下回った場合を終点とし、ウェア材層を再施工する。ここで最悪の場合を想定し、この100 mmのウェア材層が全く機能しないと仮定し、一般的な施工厚200 mmの第三バック材層で受銑したとすると、ウェア材層に対する溶損指数200以下でなければ対応できない。また、構造的な制約がなく、第三バック材層厚みを300 mmほど確保したとしても、スラグラインやメタルラインといった局部溶損のように鋭角的に損耗する場合には、第三バック材層の溶損指数が200を超えると、局部溶損が加速されたり、局部溶損部の上部のライニングが倒れこんだりして、トラブルの要因となりやすくなる。
さらに、バック材層は、ウェア材を数十回ライニングし直す間、そのまま使用される(バック材を1サイクル使用する間に、ウェア材は数十回ライニングし直すことになる。)ため、長期間使用しても劣化が少ないことが要求される。従って、より酸化の影響を受けやすい炭素類(炭素類:ピッチ粉、カーボンブラック、黒鉛微粉等)は含有しないか、含有しても少量に留めるのが好ましい。また、炭化珪素の不純物として不可避的に炭素が混入することがある。この炭化珪素の不純物として混入する炭素も含めて、炭素の含有量は1質量%以下が好ましい。
しかし、第三バック材を2層以上ライニングする場合であって、ウェア材層と接する部位にライニングされる第三バック材層の厚みが十分に確保できる場合は、ウェア材層と接しない部位にライニングされる第三バック材層には高アルミナ質流し込み耐火物やそのプレキャストブロックを適用してもよい。
この第三バック材層にアルミナ−炭化珪素質の緻密質流し込み耐火物を適用する場合、耐火性骨材としては、高純度電融アルミナ、高純度焼結アルミナ、褐色電融アルミナ、ボーキサイト、炭化珪素、スピネル等を用いることができる。耐火性微粉としては、高純度電融アルミナ微粉、高純度焼結アルミナ微粉、褐色電融アルミナ微粉、仮焼アルミナ超微粉、ボーキサイト微粉、炭化珪素微粉、スピネル微粉、シリカフューム、チタニア微粉、ジルコニア微粉、粘土微粉等を用いることができる。結合材としてはCaO含有量が10〜30質量%のアルミナセメントが好ましく、耐食性が低下しないよう、その含有量は耐火物の合計に対して7質量%以下となるようにしたものが好ましい。その他、有機繊維や金属Al粉等の爆裂防止剤やB4Cなどの酸化防止剤を含有することができる。
尚、第三バック材層は、高炉鋳床での工期短縮のために、事前に作製したプレキャストブロックを用いて形成することもできる。プレキャストブロックは、流し込み耐火物に水やコロイダルシリカ等の混練液を加えて混練したものを、所定の型枠に流し込み、養生硬化した後脱枠して得られる。特に、ウェア材層と接する部位にライニングざれる第三バック材層としてプレキャストブロックを適用する場合は、プレキャストブロック間の接合部から容易に溶銑などが侵入しないようにしておくのが好ましい。具体的には、接合部を鍵形(図3(a))や凹形と凸形との嵌め合わせ(図3(b))にするとよい。また、高炉鋳床樋のウェア材層は大きく縦割れを起こしやすい。この縦割れ亀裂が外側まで伝播しないようにするため、さらにはウェア材層の縦割れ亀裂とプレキャストブロック間の接合部とがつながり難くするためには、図7に示すように、プレキャストブロックの壁面(前面)側の形状を台形とし、これを上下反転した形状のものを交互に組み合わせるとよい。
プレキャストブロックを用いた場合の寸法は、鋳床樋の寸法形状や作業の状況に応じて決められるが、ブロック間の接続部はできるだけ少ない方が望ましいため、樋の長手軸方向に少なくとも(最短部で)500 mm以上の幅を有するのが好ましい。また、プレキャストブロックの高さは第二バック材層の上端部やスラグラインよりも高い位置とするのが好ましい。
プレキャストブロックの代わりに、並型形状(230×115×65 mm)のれんがを用いた場合は、多くの目地ができるため、長期間の使用により膨張及び収縮を繰り返し受けたときに、この目地に緩みが生じ易くなる。目地に緩みが発生すると、例えば、ウェア材層の損耗が残厚100 mm程度にまで進んだときに、ウェア材層をライニングし直すために行う解体作業時の重機による衝撃により、目地の緩みがさらに進行しれんがの型崩れが起こり、構造体としての不安定さが増加する。また、第二バック材層である粉末状不定形耐火物もれんがの型崩れの影響を受けて部分的に充填性が損なわれてしまう。
第三バック材のプレキャストブロックは、必要に応じて据付時の取り扱い性を確保するため、上端部などに吊り金具を取り付けてもよい。また、プレキャストブロック間の接合は目地モルタルで行うとよい。
F. その他の耐火物ライニング
施工厚みに十分な余裕がある場合は、第二バック材層と第一バック材層との間にさらにもう一層以上ライニングしてもよい。このライニングに適用する耐火物は特に種類は限定されない。各種不定形耐火物を用いることができ、また耐火物の組成は高アルミナ質やこれに炭化珪素を含むもの、断熱質のものなどが使用できる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実験例
第二バック材層と第三バック材層との焼付き性、並びに第二バック材層の圧縮強度及び亀裂の進展しやすさに対して、第二バック材層に使用する材料(バインダー等)が与える影響を確認する実験を行った。第三バック材層と第二バック材層とが、使用時に焼付かないことが必要である。
<焼付き性の評価>
図4に示すような、底面が80 mm×80 mmで高さが130 mmの金枠40の底部に、80 mm×80 mm×30 mmの直方体形状に成形したプレキャストブロック43(第三バック材層、表1-1に示す組成)を置き、その上に表1-1及び表1-2に示す各第二バック材の粉末状耐火物42を500g投入し、上面から6.86 MPaで圧縮成形した(成形圧は、JISR2575「高アルミナ質及び粘土質プラスチック耐火物の強さ試験方法」の試験片作成方法に準拠)。これを脱枠し、プレキャストブロック43(第三バック材層)の上に第二バック材層の粉末状耐火物42を乗せたまま蓋付き坩堝中で炭素粉中に埋めて1000℃×3 hr還元焼成した。焼付き性の評価は、焼成後の試験片を手で持ち上げたときに、簡単に剥れるかどうかで評価した。
<第二バック材層の圧縮強度の測定>
表1-1及び表1-2に示す第二バック材の粉末状不定形耐火物を、成形圧6.86 MPaにて加圧成形して、40 mm×40 mm×160 mmの試験片を作製し、各試験片を炭素粉中に埋設して還元雰囲気下で1000℃×3時間焼成し、JISR2575に準拠して圧縮強度を測定した。
<第二バック材層の破壊及び亀裂の状態>
前記圧縮強度を測定する際に、試験片の破壊の様子を観察し、崩れるように破壊するものは載荷時の応力が分散されながら破壊が進行しているので良、破断するものは載荷時の応力が数本の亀裂に集中するようにして破壊が進行しているため不可として亀裂の進展しやすさを評価した。
実験例2〜4に示した配合のように、炭素粉、又はピッチ粉、フェノール樹脂粉等の有機バインダー(400℃以下の低温で軟化し、さらに加熱すると揮発分が飛散し、炭素分が一部残存するもの)を含有すると、第三バック材層と第二バック材層とが焼付かなかった(手で持ち上げるだけで簡単に剥れる状態)。これに対し、炭素粉、ピッチ粉又はフェノール樹脂粉を含まない実験例1は、第三バック材層と第二バック材層とが焼付いてしまった。また、有機バインダーと同様に実験温度よりも融点は低いが、さらに加熱しても炭素分が残存することがない低融点ガラス粉のみを含有した実験例5は、第三バック材層と第二バック材層とが焼付いてしまった。また、実験例1〜5は、1000℃×3hr還元焼成後試験片の圧縮強度が20 MPa未満であり、崩れるように、かつ亀裂も分散された状態で破壊した。
フェノール樹脂粉を添加した実験例6及び7は、第三バック材層と第二バック材層との焼付きは起こらなかった。しかし、低融点ガラス粉、金属Al粉等の熱硬化性バインダーを多く含むため、1000℃×3hr還元焼成後試験片の圧縮強度が20 MPaを超えるようになり、破断し、載荷時の応力が数本の亀裂に集中するようにして破壊した。
以上の実験結果において、第二バック材層として好ましいのは、炭素粉、ピッチ粉又はフェノール樹脂粉を含有する実験例2、3及び4であった。
Figure 0004856772
Figure 0004856772
実施例1
鋳床樋の主樋に、図1に示すように、側壁部の耐火物層が、外側から順に第一バック材層1、第二バック材2、第三バック材層3及びウェア材層4(上部ウェア材層4a及び下部ウェア材層4bからなる)となるように施工してなる本発明の高炉鋳床樋を下記のようにして作製した。表2に、各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を示す。
(1) 側壁部第一バック材層の施工
図5に示すように、鉄皮10の側壁部全面に、表2に示す組成の乾式吹付け材を吹付けることにより、断熱質不定形耐火物からなる第一バック材層1を施工した。乾式吹付け材は、吹付けた後直ちに鏝で均し表面を平滑にした。
(2) 敷部バック材層の施工
図6に示すように、敷部(底部)に敷部用バック材層(以下「敷部バック材層」という。)を施工した。表2に示す組成の乾式吹付け材を吹付けて敷部第一バック材層11を施工し、その上に表2に示す組成の粉末状不定形耐火物を充填し敷部第二バック材層12を施工した。さらにこの粉末状不定形耐火物からなる敷部第二バック材層12の上に、アルミナ−炭化珪素質湿式スタンプ材からなる敷部第三バック材層13を施工した。
(3) 側壁部第三バック材層の施工
図7に示すように、敷部バック材層(第一バック材層11、第二バック材層12及び第三バック材層13)のライニング後、側壁部の第三バック材層3を施工した。第三バック材層3は、褐色電融アルミナを骨材と、15質量%の炭化珪素とを含有することで、ウェア材層との耐食性比較で溶損指数121を確保し、さらにステンレスファーバーを2.5質量%含有させて亀裂の発生や進展の抑制を図った表2に示す組成の緻密質流し込み耐火物のプレキャストブロックをライニングして施工した。第三バック材層3には、長期間使用しても酸化劣化しにくくするため、炭素類は添加しなかった。但し、炭化珪素中には不純物として炭素が0.2〜0.4質量%含まれていた(第三バック材層3中で換算すると、炭素含有量は0.03〜0.06質量%に相当する。)。
(4) 敷部第四バック材層の施工
側壁部第三バック材層3の施工後、図8に示すように、側壁部第二バック材層2を加振充填施工する前に、側壁部第三バック材層3が側壁部第二バック材層2の加振充填時の振動で内側にずれないよう、敷部にアルミナ−炭化珪素質湿式スタンプ材からなる敷部第四バック材層14を施工した。
(5) 側壁部第二バック材層の施工
図8に示すように、第三バック材層3の施工後、側壁部の第二バック材層2を充填施工した。充填施工は、第三バック材層3と第一バック材層1との間隙Aに第二バック材2(表2に示す組成の粉末状不定形耐火物)を投入し、粉末充填機を用いて充填度(加振充填後/加振充填前の容積比)が0.90以下となるまで加振充填して行った。ここで、第二バック材層2に用いた粉末状不定形耐火物には、少量の熱硬化性バインダー(金属Al粉、金属Si粉、低融点ガラス粉)及び第三バック材層3との稼動時の焼付きを防止するためのフェノール樹脂粉及びピッチ粉を添加した。但し、1000℃還元焼成後の圧縮強度が20 MPa未満になるようにした(この例では15 MPaであった。)。熱硬化性バインダーを添加することにより、第二バック材層2にも構造体としての強度が発現し、内側ライニング耐火物が急激に損耗した場合でも、亀裂が鉄皮まで達するのを防止する効果が得られる。
(6) ウェア材層の施工
側壁部の第二バック材層2を施工後、表2に示す組成のウェア材層4を施工した。ウェア材層4は、図9に示すように、ウェア材層施工用型枠20を設置し、第三バック材層3とウェア材層施工用型枠20との隙間Bに、上部ウェア材4a(スラグライン用)と下部ウェア材4b(メタルライン用)との緻密質流し込み耐火物のゾーンライニングにより施工した。
<侵食試験溶損指数の評価>
侵食試験溶損指数は、耐火物手帳’99(耐火物協会、1999、p65-66)に規定されている誘導炉内張り侵食試験で評価した。すなわち、各種不定形耐火物を所定の形状に成形した試験片で内張りした誘導炉にて、侵食剤に銑鉄(溶銑)と高炉スラグ(溶滓)とを用い、溶銑温度は1550±50℃(1550℃を目標温度とする)とし、その上に高炉スラグを浮かべて溶融させ、スラグを30分毎に交換しながら、合計10時間保持して試験片を溶損させ、溶銑−溶滓界面の局部溶損量を測定した。耐食性試験の結果は、ウェア材(主樋の場合は、メタルライン用下部ウェア材)の溶損を100としたときの指数で示した。
流し込み耐火物及びプレキャストブロックの試験片は、所定の配合の混合物に水を添加し、ミキサーで混練したものを型枠に流し込み、室温で24hr養生後脱枠し、110℃×24hr乾燥して作製した。粉末状不定形耐火物の試験片は、表中に示した配合の混合物を所定の寸法及び形状となるように型枠に投入し、上面から6.86 MPaの荷重をかけて圧縮成形し脱枠して作製した。
<加熱後圧縮強度の評価>
ウェア材層4、第一バック材層1、第二バック材層2及び第三バック材層3の加熱後圧縮強度は、40 mm×40 mm×160 mmの試験片を作製し、各試験片を炭素粉中に埋設して還元雰囲気下で1000℃×3時間焼成し、JISR2553に準拠して測定した。
Figure 0004856772
上記のように、側壁部の耐火物層として、第三バック材層3に十分に硬化強度を発現したプレキャストブロックを適用し、第二バック材層2にはフェノール樹脂粉及びピッチ粉を含有させたことで、第二バック材層2は第三バック材層3と焼付かなくなり、バック材層は稼動時のウェア材層の膨張収縮の動きと連動し難くなった。さらには、第二バック材層2に、亀裂の発生や進展し難くなるような強度を持たせ、かつ耐火物としての耐食性を確保したことで、漏銑事故が発生し難い構造の主樋が得られた。
実施例2
主樋側壁部のバック材層が、図2に示すように、4層の不定形耐火物層からなる高炉鋳床樋を作製した。この高炉鋳床樋は、側壁部の第三バック材層3を、第二バック材層2と接する側(外側:第三aバック材層3a)をプレキャストブロック、ウェア材層4と接する側(内側:第三bバック材層3b)を流し込みでライニングして2層構造とした以外は実施例1と同様にして施工した。各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を表3に示す。第三バック材層3を2層構造としたことで、層間数が増し、応力がより開放されやすくなり、鉄皮面までの亀裂の進展を防止する効果が高くなった。
Figure 0004856772
実施例1及び2に示したライニングを適用することで、耐火物ライニング層中での亀裂の発生の抑制と、発生した亀裂が鉄皮面まで進展することを防止することができ、その亀裂を通って溶銑や溶滓が侵入し、それが鉄皮面まで達し、鉄皮を溶かすことによって発生する漏銑事故を防止できた。さらには鉄皮の保護の役割をも得られ、結果的にウェア材の酸化劣化を抑制し、耐用が向上するとともに、漏銑事故の危険性をより軽減できた。
実施例3
溶銑樋の側壁部に、外側から順に第一バック材層、第二バック材、第三バック材層及びウェア材層を施工してなる本発明の高炉鋳床樋を作製した。各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を表4に示す。実施例3の高炉鋳床樋は、ウェア材層を均一の組成にした点と、各層の耐火物を表4に示す配合量とした点以外は実施例1と同様にして施工した。
Figure 0004856772
ウェア材層には、褐色電融アルミナ(主骨材)及びボーキサイトを含有する骨材と、15質量%の炭化珪素とを含有する緻密質流し込み耐火物を使用した。第三バック材層には、亀裂の発生や進展の抑制を図るためステンレスファーバーを2.5質量%含有する耐火物を適用した。また、ウェア材層に接する部位にライニングする第三バック材層には、ウェア材に匹敵する耐食性を有する緻密質流し込み耐火物を適用し、かつ長期間使用しても酸化劣化が生じにくくするため、炭素類は添加しなかった。第三バック材層は、鋳床現場で流し込み施工した。第二バック材層の粉末状不定形耐火物には、溶銑樋においては構造体としての強度発現を特に要求されないため、金属Al粉、金属Si粉、低融点ガラス粉等の熱硬化バインダーを含有させなかった。但し、第三バック材層との稼動時の焼付きを防止するため、ピッチ粉を添加した。
実施例4
溶銑樋側壁部の第三バック材層を、第二バック材層と接する側(外側:第三aバック材層)をプレキャストブロック、ウェア材と接する側(内側:第三bバック材層)を流し込みでライニングして2層構造とした以外は実施例3と同様にして施工した。各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を表5に示す。ウェア材層に接しない部位にライニングする第三aバック材層については、耐食性は劣るが耐スポール性に優れる高アルミナ質流し込み耐火物を適用した。
Figure 0004856772
実施例5
溶滓樋の側壁部に、外側から順に第一バック材層、第二バック材、第三バック材層及びウェア材層を施工してなる本発明の高炉鋳床樋を作製した。各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を表6に示す。実施例5の高炉鋳床樋は、各層の耐火物を表6に示す配合量とした点以外は実施例3同様にして施工した。
Figure 0004856772
ウェア材層には、褐色電融アルミナ(主骨材)及びボーキサイトを含有する骨材と、25質量%の炭化珪素とを含有する緻密質流し込み耐火物を使用した。第一〜第三バック材層は実施例3とほぼ同様の配合組成のものを用いた。
実施例6
溶滓樋側壁部の第三バック材層を、第二バック材層と接する側(外側:第三aバック材層)をプレキャストブロック、ウェア材と接する側(内側:第三bバック材層)を流し込みでライニングして2層構造とした以外は実施例5と同様にして施工した。各耐火物層に使用した耐火物の配合量及び特性を表7に示す。第三aバック材層及び第三bバック材層は実施例4とほぼ同様の配合組成のものを用いた。
Figure 0004856772
1・・・第一バック材層
2・・・第二バック材層
3・・・第三バック材層
3a・・・第三aバック材層
3b・・・第三bバック材層
4・・・ウェア材層
4a・・・上部ウェア材
4b・・・下部ウェア材
10・・・鉄皮
11・・・敷部第一バック材層
12・・・敷部第二バック材層
13・・・敷部第三バック材層
14・・・敷部第四バック材層

Claims (7)

  1. 樋状の鉄皮と、前記樋状の鉄皮の内壁にライニングした耐火物層とからなる高炉鋳床樋であって、
    側壁部の耐火物層が、溶銑及び/又は溶滓に接する面を内側、鉄皮を外側としたとき、内側のウェア材層及び外側のバック材層からなり、
    前記ウェア材層が、アルミナ−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物、及び/又はアルミナ−スピネル−炭化珪素−炭素質流し込み耐火物からなり、
    前記バック材層が、外側から順に第一バック材層、第二バック材層及び第三バック材層の少なくとも3層からなり、
    前記第一バック材層が断熱質不定形耐火物からなり
    前記第二バック材層が、炭素粉、フェノール樹脂粉及びピッチ粉からなる群から選ばれた少なくとも1種を合計で0.5〜7質量%含有するアルミナ−炭化珪素−炭素質粉末状不定形耐火物からなり、20 MPa以下の圧縮強度(但し、圧縮強度は、成形圧6.86 MPaで圧縮成形した試験片の1000℃還元焼成後測定した値。)を有し、
    前記第三バック材層が流し込み耐火物又は前記流し込み耐火物で成形したプレキャストブロックからなることを特徴とする高炉鋳床樋。
  2. 請求項1に記載の高炉鋳床樋において、前記第三バック材層が、2層以上で構成されることを特徴とする高炉鋳床樋。
  3. 請求項1又は2に記載の高炉鋳床樋において、前記第三バック材層が、ステンレスファイバーを1質量%以上含有する流し込み耐火物、又は前記流し込み耐火物で成形したプレキャストブロックからなることを特徴とする高炉鋳床樋。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の高炉鋳床樋において、前記ウェア材と接する部位にライニングされる前記第三バック材層は、アルミナ−炭化珪素質流し込み耐火物、又は前記アルミナ−炭化珪素質流し込み耐火物で成形したプレキャストブロックからなり、溶損指数200以下の耐食性(但し、溶損指数は、溶銑及び溶滓を侵食材とする1550±50℃誘導炉侵食試験において、同時比較した前記ウェア材の溶損指数を100としたときの相対値。)を有することを特徴とする高炉鋳床樋。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の高炉鋳床樋において、前記第二バック材層が、溶損指数300以下の耐食性(但し、溶損指数は、溶銑及び溶滓を侵食材とする1550±50℃誘導炉侵食試験において、同時比較した前記ウェア材の溶損指数を100としたときの相対値。)を有することを特徴とする高炉鋳床樋。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の高炉鋳床樋において、前記第二バック材層は、前記第三バック材層の硬化体と前記第一バック材層の硬化体との間隙に充填施工されることを特徴とする高炉鋳床樋。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の高炉鋳床樋において、前記第一バック材層の前記断熱質不定形耐火物が、断熱質吹付け耐火物であることを特徴とする高炉鋳床樋。
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