JP2713023B2 - 冶金用炉の炉体保護壁およびその補修方法 - Google Patents

冶金用炉の炉体保護壁およびその補修方法

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JP2713023B2
JP2713023B2 JP13074292A JP13074292A JP2713023B2 JP 2713023 B2 JP2713023 B2 JP 2713023B2 JP 13074292 A JP13074292 A JP 13074292A JP 13074292 A JP13074292 A JP 13074292A JP 2713023 B2 JP2713023 B2 JP 2713023B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炉体鉄皮を炉内熱負
荷から保護するステーブクーラを備えた冶金用炉の炉体
保護壁および前記炉体保護壁の修復方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鉱石等の溶解精錬、溶解金属の精錬等
に使用される高炉等の冶金用竪型炉においては、その炉
体鉄皮を耐火物層で内張りして炉体保護壁を構築してい
る。この耐火物を保護するとともに、耐火物損傷時に炉
体鉄皮を保護するための冷却手段が付加されているが、
このような冷却手段としては、近年ではステーブクーラ
が多用されている。
【0003】従来の炉体保護壁としては、例えば実開昭
49−43504号公報、実開昭50−137305号
公報に提案されているように、煉瓦支持部を有するステ
ーブクーラの炉内内側に耐火煉瓦を築造したものが知ら
れている。これらは、図1に示すように、炉内側に鋳包
み煉瓦2を配設するととも炉体鉄皮4側の内部に冷却パ
イプ3を埋設した鋳鉄製ステーブクーラ本体1を、炉体
鉄皮4の内側に同心状に配設し、さらに該ステーブクー
ラ本体1の内側に炉壁煉瓦5を築造することにより、炉
体鉄皮を炉内熱負荷から保護するようにしたものであ
る。炉壁煉瓦5は、煉瓦積構造強度をもたせて長寿命化
を図るため、ステーブクーラ本体から棚状に突出させた
煉瓦支持棚1cに約400〜500mmの壁厚で積まれ
ている。しかしながら、この煉瓦支持棚1cは通常1.8
〜2.5 mのピッチでしか設置できず、また炉壁煉瓦5は
単に積層されているだけであるので、炉壁煉瓦5の支持
強度は充分ではなかった。また図2に示すように、ステ
ーブクーラ本体1と炉壁煉瓦5との間には精度上避ける
ことができない間隙が発生するので、これらの間に不定
形耐火物からなるスタンプ層6を形成して炉壁煉瓦5を
ステーブクーラ本体1に連結している。しかし、このス
タンプ層6は通常30〜100mm程度の厚みを有して
いることから、比較的熱伝導性の良いスタンプ材を用い
ても、炉壁煉瓦5の熱伝導率より低くなる。従って、い
わゆる断熱層を形成して炉壁煉瓦5を充分冷却すること
ができず、炉壁煉瓦5の寿命は3年程度と短かった。
【0004】また、ステーブクーラ本体の炉内側面に耐
火物ブロックを接合面が凹凸形状となるように接合した
もの(特公昭60−49834号公報)、ステーブクー
ラ本体の炉内側面にキャスタブルアンカーを配設し、そ
の炉内側面に断熱性キャスタブルを施工したもの(特開
平3−211211号公報)等も知られているが、これ
らは耐火物ブロックや断熱性キャスタブルが損傷あるい
は損耗すると脱落して、ステーブクーラ本体が炉内に露
出することが避けられず、その結果、炉壁の内面プロフ
ィルが乱されるとともに、炉内を過度に冷却することに
なるという問題点があった。 さらに特開昭61−37
904号公報、特開昭63−35708号公報には、図
3および図4(a)および(b)(ともに図3の要部拡
大図)に示すように、ステーブクーラ本体1の炉内側面
に炉壁煉瓦5を、ステーブクーラ本体の一部として構成
した複数の煉瓦支持金物1a間で挟み込んで一体化支持
した炉体保護壁が提案され、その具体例には、炉内側の
内張り煉瓦積みをしないで、プロフィルの安定化、建設
工事の簡素化・低廉化等を意図して薄壁化したものも示
されている。これは、従来のステーブクーラ本体1内側
に築造された炉壁煉瓦5が2〜3年で損耗し消失してい
たのに比べ、さらに2〜3年の寿命延長を期待したもの
であるが、煉瓦支持金物1aの先端はステーブクーラ本
体1からの伝熱による冷却効果も不十分で、該先端部が
炉内の高温ガス(600〜1200°C)によって酸化
欠落、溶損や脆化したりして先行消失(脱落)し、炉壁
煉瓦5が広い範囲で脱落しやすいという問題があった。
また炉壁煉瓦5の脱落により炉壁の炉内側プロファイル
が著しく変化し、炉壁円周方向のバランスが悪化する
と、炉壁周辺側へのガス抜け現象および装入物の降下速
度の増加等を来し、ひいては熱負荷の増大、ガス利用率
の低下、装入物分布制御性の悪化等を生じるとともに、
ステーブクーラ本体1前面の炉壁煉瓦5の脱落によりス
テーブクーラ本体内部が炉内に露出する結果、炉内が過
度に冷却されて安定操業の阻害要因になり、炉況不安定
に陥ることが避けられなかった。
【0005】しかも、前記従来の炉体保護壁はいずれ
も、損傷、損耗した炉内側面の炉壁煉瓦、耐火物ブロッ
ク、断熱性キャスタブル等に対する適切な補修手段を欠
いているものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
従来の高炉等の冶金用炉の炉体保護壁における前述した
諸問題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、下記(1)
〜(4)を要旨とするものである。
【0008】(1)炉体鉄皮を炉内熱負荷から保護する
ステーブクーラを備えた冶金用炉の炉体保護壁におい
て、ステーブクーラが、ステーブクーラ本体と該ステー
ブクーラ本体の凹部に着脱可能な炉壁パネルとの2層複
合構造体からなることを特徴とする冶金用炉の炉体保護
壁。
【0009】(2)前記炉壁パネルが、その炉内側がセ
ラミックス系材料を主体とし、炉体鉄皮側が金属系材料
を主体とする傾斜機能材料から構成されていることを特
徴とする炉体保護壁。
【0010】(3)前記炉壁パネルが、耐火断熱性と耐
スポーリング性とを有する材料からなることを特徴とす
る炉体保護壁。
【0011】(4)ステーブクーラをステーブクーラ本
体と該ステーブクーラ本体に着脱可能な炉壁パネルとの
2層複合構造体からなるステーブクーラを備えた冶金用
炉の炉体保護壁を補修する方法において、損耗もしくは
損傷した炉壁パネルを、炉体保護壁に設けられている貫
通孔を介して押圧することにより、ステーブクーラ本体
から離脱させたのち、ステーブクーラ本体の前面に健全
な炉壁パネルを装着し、その後、ステーブクーラ本体と
新たに装着した健全な炉壁パネルとの間隙部に、高熱伝
導性不定形耐火物を注入、充填することを特徴とする炉
体保護壁の補修方法。
【0012】
【実施例】以下図面を参照して、この発明の具体例およ
びその作用効果について説明する。
【0013】図5は、この発明の炉体保護壁を構成する
ステーブクーラ本体1および炉壁パネル8を炉体鉄皮4
に取り付けた状態の1例を、断面図で示している。図5
に示した炉壁パネル8は、炉内側(加熱側)の遮熱特性
と炉体鉄皮側(冷却側)の構造体としての力学的特性と
いう異なる特性を機能分担させたマクロ不均質な傾斜機
能材料からなる。該傾斜機能材料は、断面拡大図(X)
および図6(a)に模式的に示すように、その炉内側A
がセラミックス系材料1Aからなり、且つその炉体鉄皮
側Bが鋳鉄等の金属系材料1Bからなり、AからBにか
けた中間領域では、これらの材料の組成を実質的に界面
が形成されないように連続的に遷移させて、セラミック
ス系材料1Aと金属系材料1Bとの複合相を形成したも
のである。
【0014】炉体保護壁材として使用する傾斜機能材料
は、遮熱特性と力学的特性とのバランスの最適化およ
び熱応力緩和機能の最適化の両面を達成する必要があ
り、ここに、傾斜機能材料の技術的困難性がある。この
発明は、炉壁パネル8として、スペースシャトルや次世
代の極超音速機における超高温環境下での遮熱パネルと
して注目されている、遮熱特性と力学的特性とを併せも
つ傾斜機能型パネルを採用することによって、前記困難
性を解決するものである。
【0015】即ち、この傾斜機能型パネルは、炉内側面
Aに耐熱性、低熱伝導性のセラミックス系材料1Aを配
することにより遮熱特性が向上し、それにより、構造材
料である金属系材料1Bの低温化または冷却剤流量の低
減を図ることができる。またセラミックス系材料1Aか
ら金属系材料1Bへと組成が連続して遷移して、中間領
域Cではセラミックス系材料1Aと金属系材料1Bとの
複合相をなしており、それにより、加熱、冷却の温度勾
配下で炉壁パネル8内部に発生する局部熱応力の緩和機
能を果たすことができるものである。
【0016】この発明における傾斜機能型炉壁パネル8
の材料は、炉内側(加熱側)Aが高温ガス流にさらされ
た場合、遮熱・低熱伝導性、耐熱性、耐酸化性および装
入物降下に対応すべき耐摩耗性を備えることが必要であ
る。さらに、この材料は繰返し加熱を受けるので、非弾
性歪により熱疲労破壊する可能性が多分にあり、熱疲労
破壊の起点となる炉内側セラミックス系材料表面の温度
が弾塑性遷移温度以下となるよう遮熱特性と熱応力緩和
特性とをバランスさせる必要がある。従って、材料面か
らは、セラミックス系材料1Aとしては、弾塑性遷移温
度ができるだけ高く且つ適切な熱膨張係数を有するもの
が使用されなければならない。このような観点から、炉
内側Aの最表面層にアルミナ(Al2O3) を配することが好
ましい。
【0017】またこのアルミナ(Al2O3) には、その力学
的特性を向上させるために、炭化珪素(SiC) を強化材と
して添加することが好ましい。また中間層C以降は、炉
内側A最表面層がある期間(3〜4年程度)経過して損
耗した場合高温下における酸化抵抗特性が重要となるの
で、耐酸化特性に優れたシリコン系非酸化物セラミック
スである炭化珪素(SiC) 、窒化珪素(Si3N4) 、珪化モリ
ブデン(MoSi2) 等を配するのが好ましい。一方、炉体鉄
皮側(冷却側)の金属系材料としては、高炉のステーブ
クーラ等の母材として豊富な使用実績を有するねずみ鋳
鉄FC150(JISG5501)や球状黒鉛鋳鉄FC
D440(JISG5502)等が好ましい。
【0018】図6(b)は、図6(a)に示した炉壁パ
ネル8のAB間でのマクロ組成(縦軸)を示す模式図で
ある。実線は金属系材料1Bの、また破線はセラミック
ス系材料1Aの、それぞれ相対組成を示している。図に
示すように、炉内側Aから炉体鉄皮側Bにむかって、セ
ラミックス系材料1Aの割合が徐々に減少し、逆に金属
系材料1Bの割合が徐々に増加して、これらの材料から
なる組成が連続的に遷移している。 図6(c)は、炉
内温度が1200°C程度になった場合の炉壁パネル8
の厚さ方向の温度分布(縦軸が温度)を示している。図
中の破線は炉壁パネル8が全て金属系材料からなる場合
であり、実線はこの発明の傾斜機能型炉壁パネル8の場
合を示す。図から明らかなように、金属系材料のみから
なる炉壁パネルでは、炉内側Aの表面温度tA から炉体
鉄皮側Bの表面温度tB にかけて、温度勾配がほぼ直線
状となる。一方、この発明の炉壁パネル8では、放物線
状の温度分布となる。これは、中間領域Cがセラミック
ス系材料1Aと金属系材料1Bとの複合相をなしている
ので、温度勾配(温度差)が緩和されて、加熱、冷却の
温度変動下でも、発生する熱応力が大幅に軽減され、熱
応力緩和機能を果たすことを意味している。また、炉壁
パネル8が炉内側から損耗して薄くなっても、厚さT方
向に連続して遷移する中間領域Cが存在するため、前記
熱応力緩和機能は依然として存続することができるもの
である。
【0019】傾斜機能型炉壁パネル8の内部におけるセ
ラミックス系材料1Aの形状は、炉の操業条件を勘案し
て適宜選定することができる。従って、図5および図6
(a)には、1例として断面が円形のセラミックス系材
料を示しているが、これに限定されるものではなく、そ
の断面は三角、四角、五角、六角等の多角形、楕円等の
長円形などから選定することができ、また溶融金属との
接着性を考慮して異形でもよい。さらに、セラミックス
系材料1Aは、長さが炉壁パネル8の全幅あるいは全長
にまで及ぶ必要はなく、例えば球体等の小寸体でもよ
い。
【0020】また、セラミックス系材料1Aの配置とし
ては、図6(a)に示すような千鳥状配置のほか、図6
(a)のA方向(またはB方向)からみて格子状の配
置、単なる積層配置等をとることができ、さらに幾つか
のセラミックス系材料1Aを格子状等に事前に組み合わ
せたのち配置することもできる。
【0021】なお、炉壁パネル8内のセラミックス系材
料1Aの径は、その形状、配置状態等に応じて、熱的お
よび力学的な諸特性を勘案して選定される。
【0022】以上、この発明における炉壁パネル8の好
ましい1例、即ちマクロ不均質な傾斜機能材料からなる
ものについて説明したが、この発明の炉体保護壁は、前
記傾斜機能型パネルを用いる場合のみに限定されるもの
ではなく、耐火断熱性および耐スポーリング性を有する
不定形耐火物をプレキャスト成形したのち焼成した耐火
物ブロックを、炉壁パネル8として使用することもでき
る。
【0023】さらに、この発明の炉体保護壁において
は、炭化ケイ素(SiC) をプレキャスト成形したのち焼成
したような比較的熱伝導率の高い耐火物ブロックを炉壁
パネル8として使用することもできる。この場合、該耐
火物ブロック内部の温度分布が炉内温度等の変動に対し
て高応答性で追従するものとなるが、これは逆に、冷却
媒体による温度制御が有効に作用することを意味する。
【0024】この発明においては、後述する炉体保護壁
の構築方法および補修方法から明らかなように、これら
の耐火物ブロックを炉壁パネル8として用いる場合で
も、それらを、例えばコ字状のステーブクーラ本体1内
の炉内側凹部に容易に取付け、取外し、交換することが
可能である。
【0025】さて、改めて図5を参照すると、この発明
の炉体保護壁を構成するステーブクーラ本体1は、その
上部に煉瓦支持棚1cおよび下部に炉壁パネル支持金物
1dを有し、これらの支持棚1cおよび支持金物1dを
突出縁とする凹部(本図例では、コ字状)を備えてい
る。ステーブクーラ本体1内には、煉瓦支持棚1cおよ
び炉壁パネル支持金物1dの鋳物を冷却して耐久性を保
持するために、冷媒通路となる煉瓦支持棚冷却パイプ
3′および炉壁パネル支持金物冷却パイプ3″を配設す
るとともに、ステーブクーラ本体1内の炉体鉄皮側に
は、冷媒通路となる通常2〜6本の冷却パイプ3が配設
されている。また、ステーブクーラ本体1の炉内側面に
は、鋳包み煉瓦2が配設されている。これらの冷却パイ
プ3、3′および3″と鋳包み煉瓦2とは、ステーブク
ーラ本体1の鋳造時に一体的に鋳包まれる。さらに、ス
テーブクーラ本体1の煉瓦支持棚1cおよび炉壁パネル
支持金物1dを突出縁とする凹部に、前記傾斜機能型炉
壁パネルまたは耐火物ブロックからなる炉壁パネル8を
嵌着して、2層複合構造体を構成する。この際、ステー
ブクーラ本体1と前記各種炉壁パネル8との間には、ス
テーブクーラ製造時の精度上、10mm程度の間隙部を
生じることが避けられないので、この間隙部に、炉体鉄
皮4に設けた複数個のモルタル注入ノズル10およびモ
ルタル注入孔11を介して、高熱伝導性の不定形耐火物
を注入、充填して、いわゆる”裏風”の侵入を防止する
とともに、ステーブクーラ本体1からの冷却が炉壁パネ
ル8に充分伝達されるようにする。
【0026】図7(a)に、この発明における2層複合
構造体をなすステーブクーラの1例を構成部品に分けて
示しているが、ステーブクーラ本体1には、炉体鉄皮4
と締結固定するステーブクーラ取付けボルト12(本図
例では、上側に1か所、下側に2か所の計3か所)の設
置位置、炉壁パネル取付けボルトの貫通孔13′(本図
例では、炉壁パネル8の取付けボルト設置位置に対応し
て3か所)およびステーブクーラ本体1中央部のモルタ
ル注入孔11(本図例では、2か所))が設けられてい
る。また炉壁パネル8には、パネル取付けボルト13の
設置部(本図例では、上側に2か所、下側に1か所の計
3か所)が設けられている。
【0027】この発明において、特に傾斜機能材料から
なる炉壁パネル8を使用する場合には、その炉体鉄皮側
は力学的特性に優れた鋳鉄等の金属系材料が主体となっ
ているので、炉壁パネル8がパネル取付けボルト13に
より炉体鉄皮側に強固に締結・固定することが可能であ
る。
【0028】この発明における2層複合構造体をなすス
テーブクーラは、炉体保護壁を構築する際には、図7
(b)に示すように、ステーブクーラ本体1の凹部に炉
壁パネル8を嵌着して一体化した状態で、ワイヤロープ
18で炉上部から吊り下げて炉内の所定取付け位置に至
らしめる。そのため、ステーブクーラ本体上部には吊り
金物14が設けられている。また、図7(c)は、炉壁
パネル8の両側縦方向の角隅部の損耗防止を図るため、
煉瓦支持棚1c、炉壁パネル支持金物1d以外に、ステ
ーブクーラ本体1の炉内側の両側にパネル保持金物1e
を設けて額縁状の凹部を形成させ、該凹部に炉壁パネル
8を嵌着して一体化した状態を示すものである。
【0029】この発明の炉体保護壁を構築する方法を、
図8を参照してさらに具体的に説明すると、2層複合構
造体をなすステーブクーラは、図8の左側断面に示すよ
うに、当初、炉の上下方向および円周方向に炉と同心状
に配設されて、初期の炉内プロフィルを形成している。
ステーブクーラ本体1内に配設された冷却パイプ3、
3′または3″は炉体外の冷媒流通管(図示せず)に連
結され、各ステーブクーラ間およびステーブクーラ本体
1と炉体鉄皮4との間には充填材7が注入、充填され
る。ステーブクーラ本体1は2〜4本のステーブクーラ
取付けボルト12で炉体鉄皮4の炉内側に締結固定され
る。
【0030】次に、図8の右側断面において、破線は健
全時のプロフィル15を示し、実線は、高炉稼働後、炉
内高温下での熱スポーリングや装入物22の降下による
損耗等により炉内プロフィルが経年変化して損傷した状
態を示している。
【0031】図8および図9を参照して、損傷炉壁パネ
ル8′を取替えて炉体保護壁を修復する方法を説明す
る。図9の炉内側炉壁部の2点鎖線は、稼働後の経年変
化により生じた損傷プロフィル15′を示している。ま
ず、炉の操業を停止して装入物22を所定レベルまで減
尺したのち、損傷炉壁パネル8′のパネル取付けボルト
13を締結固定していたナット(図示せず)を取外す。
次いで、モルタル注入孔11を介してプッシュロッド等
の押圧材23を貫入し、炉体鉄皮4側に油圧ラム24お
よびその反力支持用治具25を溶接等により固定する。
その後、油圧ラム24に液圧を送ることにより押圧材2
3を前進させることにより、損傷炉壁パネル8′を背後
から押圧して炉内側に押し出し、破線で示すようにステ
ーブクーラ本体1から脱離させて、装入物22上に落下
させる。この例では、油圧ラム24による離脱方法を示
したが、ステーブクーラ本体1と損傷炉壁パネル8′と
の間の間隙部に充填されている高熱伝導性不定形耐火物
9の相互付着力を減殺し、縁切りする必要がある場合
は、油圧ラム24で押圧する前に、例えば押圧材23の
炉外側端部にハンマリング機構(図示せず)を用いて衝
撃力を加えることにより、高熱伝導性不定形耐火物9を
縁切りすることもできる。
【0032】再び図8を参照すると、前述したようにし
て損傷炉壁パネル8′をすべてステーブクーラ本体1か
ら離脱、落下させたのち、ステーブクーラ本体1の炉内
側面に付着残存している高熱伝導性不定形耐火物9を、
炉外から挿入した先端部にハンマリング機構等を有する
炉内壁補修用ロッド(図示せず)等により剥離して手入
れする。次いで、炉体デッキ21に設置されたウインチ
20によりワイヤーシーブ19およびワイヤロープ18
を介して、予め成形された健全な炉壁パネル8を、炉上
部のガス捕集用マンテル16に開口されたマンホール1
7から吊り下げることにより、炉内に挿入し、所定修復
位置まで移動させる。その後、炉壁パネル8の炉体鉄皮
側面に予め取り付けたメッセンジャーワイヤーロープ2
6を、ステーブクーラ本体1の複数個のパネル取付けボ
ルト用貫通孔13′を利用して炉外側に引き寄せて、ス
テーブクーラ本体1のコ字状凹部内の所定位置に定置さ
せる。次いで、炉内側からパネル取付けボルト13を挿
入して、炉体鉄皮4に締結・固定する。その後、ステー
ブクーラ本体1と炉壁パネル8との間隙部に、モルタル
注入用ノズル10を介して、炉外側から高熱伝導性不定
形耐火物9を注入、充填する。このようにして、損傷炉
壁パネル8′が健全な炉壁パネル8と交換されて、炉体
保護壁が修復される。
【0033】以上説明したように、この発明の炉体保護
壁を構成する2層複合構造体をなすステーブクーラは、
その炉壁パネルが傾斜機能材料またはプレキャスト成形
したのち焼成した耐火物ブロックからなる一体的なパネ
ルであるため、部分的に損傷あるいは損耗してもステー
ブクーラ本体が炉内側に露出することがなく、炉内過冷
却を来さないのみならず、損傷あるいは損耗した場合の
補修工事を簡便に実施することができるものである。
【0034】
【発明の効果】以上詳述したこの発明によると、以下の
ような顕著な効果が奏される。即ち、 (イ) この発明の炉体保護壁におけるステーブクーラ
は、冷却作用を有するステーブクーラ本体と炉内熱負荷
に対する遮熱作用を有する炉壁パネルからなる2層複合
構造体からなるため、全体的に均一な構造を有し、耐久
性、信頼性に優れた炉壁構造を形成することができ、長
期にわたり安定した炉内プロフィルを維持することがで
きる。
【0035】(ロ) この発明の炉体保護壁を構成する
2層複合構造体のステーブクーラ本体と炉壁パネルとが
ともに鋳造、プレキャスト成形等により製造できるの
で、炉型、炉内の位置等に応じたそれらの設計条件を容
易に選定、変更することが可能であり、炉体保護壁の最
適化を適切に図ることができる。
【0036】(ハ) ステーブクーラ本体と炉壁パネル
とを一体ブロックとして設置することができるので、炉
体構築時に、炉内での炉体保護壁構築作業を著しく軽減
させることができ、工事の簡素化および工期の短縮等を
図ることが可能となり、設備費を低減することができ
る。
【0037】(ニ) 炉壁パネルの損傷あるいは損耗時
にも、炉壁パネルが一体的であるため、容易にしかも短
時間で取替可能であり、炉内での炉体保護壁修復作業を
著しく軽減させることができ、操業費を低減することが
可能となる。
【0038】(ホ) 前記(イ)〜(ニ)により、炉体
保護壁の維持・管理を迅速且つ的確にに行なうことがで
きるので、炉体寿命を長期化することができる。
【0039】(ヘ) この発明の2層複合構造体からな
るステーブクーラを有する炉体保護壁は、一般の炉壁構
造体あるいは炉体冷却装置としても、炉内原料の過冷却
を防止するとともに、炉内からの奪熱量を抑え、省エネ
ルギー対策上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の炉体保護壁の断面図である。
【図2】従来の炉体保護壁断面の要部拡大図である。
【図3】従来の他の炉体保護壁の断面図である。
【図4】図3の要部拡大図(a)、(b)である。
【図5】この発明の炉体保護壁を示す断面図である。
【図6】この発明の炉体保護壁を構成する炉壁パネルで
ある傾斜機能材料の断面図(a)、その厚さ方向での相
対組成を示すグラフ(b)および温度分布を示すグラフ
(c)である。
【図7】この発明における2層複合構造体をなすステー
ブクーラの構成部品の斜視図(a)、組み立て斜視図
(b)および他例の組み立て斜視図(c)である。
【図8】この発明の炉体保護壁の配置状態を示す概略断
面図(左側)および損傷炉壁パネルの交換方法を示す断
面図(右側)である。
【図9】この発明における損傷炉壁パネル離脱方法を示
す断面図である。
【符号の説明】
1 ステーブクーラ本体 1c 煉瓦支持棚 1d 炉壁パネル支持金物 1e パネル保持金物 2 鋳包み煉瓦 3 冷却パイプ 3′ 煉瓦支持棚冷却パイプ 3″ 炉壁パネル支持金物冷却パイプ 4 炉体鉄皮 5 炉壁煉瓦 6 不定形耐火物からなるスタンプ層 7 充填材 8 炉壁パネル 8′ 損傷炉壁パネル 9 高熱伝導性不定形耐火物 10 モルタル注入ノズル 11 モルタル注入孔 12 ステーブクーラ取付けボルト 13 パネル取付けボルト 13′ パネル取付けボルト貫通孔 14 吊り金物 15 健全時のプロフィル 15′ 損耗プロフィル 16 ガス捕集マンテル 17 マンホール 18 ワイヤーロープ 19 ワイヤーシーブ 20 ウインチ 21 炉体デッキ 22 装入物 23 押圧材 24 油圧ラム 25 反力支持用治具 26 メッセンジャーワイヤーロープ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉体鉄皮を炉内熱負荷から保護するステ
    ーブクーラを備えた冶金用炉の炉体保護壁において、ス
    テーブクーラが、ステーブクーラ本体と該ステーブクー
    ラ本体に着脱可能な炉壁パネルとの2層複合構造体から
    なることを特徴とする冶金用炉の炉体保護壁。
  2. 【請求項2】 炉壁パネルが、その炉内側がセラミック
    ス系材料を主体とし、炉体鉄皮側が金属系材料を主体と
    する傾斜機能材料から構成されていることを特徴とする
    請求項1記載の炉体保護壁。
  3. 【請求項3】 炉壁パネルが、耐火断熱性と耐スポーリ
    ング性とを有する材料からなることを特徴とする請求項
    1記載の炉体保護壁。
  4. 【請求項4】 ステーブクーラをステーブクーラ本体と
    該ステーブクーラ本体に着脱可能な炉壁パネルとの2層
    複合構造体からなるステーブクーラを備えた冶金用炉の
    炉体保護壁を補修する方法において、損耗もしくは損傷
    した炉壁パネルを、炉体保護壁に設けられている貫通孔
    を介して押圧することにより、ステーブクーラ本体から
    離脱させたのち、ステーブクーラ本体の前面に健全な炉
    壁パネルを装着し、その後、ステーブクーラ本体と新た
    に装着した健全な炉壁パネルとの間隙部に、高熱伝導性
    不定形耐火物を注入、充填することを特徴とする炉体保
    護壁の補修方法。
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