JP4064387B2 - 炉体水冷ジャケット - Google Patents

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本発明は,炉体水冷ジャケットに関するものであり、さらに詳しく述べるならば、銅製錬自溶炉のシャフト直下の炉壁を冷却するための水冷ジャケットに関するものである。
自溶炉の炉体を冷却するために、冷却水を流す鋼管を鋳込んだ鋳鉄体の炉内に面する側に凹凸を形成したステーブジャケットは特許文献1(特公昭63―19793号公報)の第2図Aに示されている。なお、前記凹部と冷却流路を構成する鋳鉄管の長手方向は直交している。
炉内に面する側に凹凸を形成した炉体水冷ジャケットは、特許文献2(実開昭62−25798号公報)及び特許文献3(実開昭61−159790号公報)においても公開されている。
炉壁冷却体に銅を使用することは次の特許文献より公知である。
特許文献4(特公平3−57169号公報)によると脱酸銅製ジャケットに冷却媒体通路をきり穴加工で形成している。
高炉などに使用する炉壁冷却板(ステーブ)に関して、冷却水流路をドリル、エンドミルなどにより形成した銅又は銅合金の圧延、鍛造もしくは鋳造板は特許文献5(特開2002−98481号公報)に提案されている。
自溶炉のセットラーにおいて、銅マット及びスラグの浴液面より上方のレンガ
冷却する一つの方法が特許文献1により提案されている。この方法によると、炉内に突出させた冷却フィンにダストなどを成長させることにより形成したセルフコーティングが炉内ガス及び炉壁を冷却する。
特公昭63−19793号公報 実開昭62−25796号公報 実開昭61−159790号公報 特公平3−57169号公報 特開2002−98481号公報
従来、自溶炉シャフトの炉体冷却に使用される冷却ジャケットは煉瓦が炉内側に存在していることを前提としているので、煉瓦の侵食が進むと冷却ジャケットが直接溶体と接触する危険が高まる。そこで、煉瓦の侵食を監視することにより、煉瓦が薄くなると煉瓦を交換することが考えられるが、操業中煉瓦を交換することは困難であるので、炉の定期修理の際に煉瓦の交換が併せて行なわれている。
本発明は、銅製錬自溶炉ではシャフト直下の煉瓦の侵食が特に激しいこと、及び従来技術ではこの問題に対応できないことに着目し、自溶炉の定期修理の間隔を長くすることができる自溶炉シャフト部冷却ジャケットを提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1において自溶炉セットラーのフィン上のセルフコーティングが起こるとの知見を得ており、その後さらに検討を進めたところ自溶炉内壁で、スラグによるセルフコーティングが起こることを見出して、本発明を完成した。即ち、本発明に係る炉体水冷ジャケットは、自溶炉シャフト直下のスラグ層が生成する領域の耐火物を冷却する銅製水冷ジャケットにおいて、炉内に面する側の該ジャケットに凹凸を形成し、凹部に、キャスタブル耐火物及び煉瓦積耐火物からなる炉内耐火物とは別種の充填式耐火物を充填し、かつ凸部は前記キャスタブル耐火物と直接接触しており、炉内耐火物と前記記載の充填した耐火物が侵食された場合であっても、前記凹部にスラグがコーティングされ冷却作用を維持することを特徴とする。
図1及び2において示される自溶炉において、1は精鉱バーナー、2はシャフト、3はセットラー、4はアップテイク、5はスラグ、6はマットである。精鉱は自溶状態でシャフト1内を落下し、シャフト部直下においてスラグ5とマット6に層状に分離される。シャフト直下の炉内壁において、前記スラグ5やマット6の抜き出し等により湯深変動があり、これに伴う温度変化が大きいために炉壁耐火物に激しい熱的負荷を加える。
また、シャフト部直下は、鉱石の酸化反応により高温となったガスが一番先に通過する場所でもあり、鉱石の投入が無くなると又温度低下したガスが一番先に通過する位置であるため雰囲気温度においても熱的負荷が加わる場所である。
更に、シャフト部直下は、未反応の落下物等による物理的衝撃も受けやすい場所でもある。
通常の操業状態において、スラグ5の厚さは400〜700mm, マット6の厚さは500〜850mm,両者とも温度は1200〜1300℃であり、スラグとマットを合わせた最大湯深は約1300mmである。
本発明の炉体水冷ジャケット(以下「ジャケット」という)を設ける位置は、炉底から300〜1450mmの高さでかつシャフト2直下のコ形領域7(図2)である。
本発明のジャケットは炉内に面する側に凸部と凹部を交互に配列しており、凸部は炉内壁耐火物と直接接触して冷却を行う。すなわち、肉厚の凸部の銅を経て集中的に抜熱を行う。一方、本発明のジャケット凹部は、充填された耐火物を介して炉壁耐火物を間接的に冷却する。このような両方式の冷却により十分な冷却効果が得られる。
炉壁耐火物の侵食が進むと溶体が凹部の耐火物と接触するために、ジャケット本体の最薄肉へのダメージを防ぐことができる。さらに炉体耐火物の侵食が進むと、充填耐火物が凹部から脱落して、凹部にスラグが入り込み冷却凝固する。冷却凝固したスラグは以降溶体とジャケットの直接接触を妨げる。上記した充填耐火物の脱落をタイミングよく実現するためには、凹部に充填される耐火物は炉内壁耐火物とは別種の耐火物であることが必要である。即ち、炉内壁耐火物自体を凸状に成形しジャケット凹部に嵌め込む方式では、凸状耐火物は溶融スラグにより溶損され侵食するが、均等に脱落し難く、均一なスラグ捕捉は実現されない。なお、凹部への充填耐火物としては、スラグより融点が高く、熱膨張係数が小さい物質が好ましく、主成分MgOのもの(特に株式会社ヨータイ製:ヨータイスタンプ(R-MP))が好ましい。
続いて、本発明のジャケットの好ましい構造について説明する。
ジャケットは炉内壁に面する側が矩形であり、炉の水平方向(H、図1,2参照)の一辺に沿って縞状凹凸部が伸びていると、スラグの層と凹部の長手方向が一致するので、スラグが凹部に効率的に捕捉される。
さらに、上記段落で述べた構造のジャケットにおいてスラグ捕捉効果を高めるためには、凹部のそれぞれの裏側に冷却水流路を延在させる。即ち、冷却水流路は凹部と同じ方向に延在し、かつ凹部の裏側には必ず水が流れる構造である。同時に、凸部の裏側には冷却水流路の境界となる仕切部を存在させると、凸部自体とその基底部に存在する銅が熱伝導に寄与する。
本発明に係るジャケットの凹部断面の全体形状は、三角形、四角形、矩形、台形、U字形、皿型など種々の形状が可能であるが、上記した耐火物脱落の観点から、炉内側に開いた台形形状が好ましい。また、凹部の面は、平坦面、細かい凹凸面などの態様が可能であり、さらに充填耐火物と凹部が堅く係合するように、ピン状突起を設けることも可能であるが、充填耐火物の脱落をタイミングよく行うためには鋳造や切削などで得られる平坦面が好ましい。
凹部に充填される耐火物は、予め凹部と同じ形状・寸法に焼成したブロックなどをジャケットの凹部に嵌めこむ方式であってもよいが、粉状耐火物に適量の水等を加えて凹部内に突き固めて充填したものであることが好ましい。
以下、図面に示された実施例を参照して本発明をより詳しく説明する。
図3は、ジャケット内部の冷却水流路を示した平面図であり、図4は側面断面図である。ジャケットは長さLが1500mm程度、幅Wが1200mm程度である。
ジャケット10全体の外形は側枠20a,20b,20c,20dと上下蓋22a,22bで構成され、内部には仕切り部により独立した1本の流路13a,で形成されている。16a,16bは流路13aのそれぞれ冷却水流入口及び流出口である。
流路13aは11回方向転換している。このような構造のジャケットの製造方法は例えば次のとおりである。側枠20b,20dに砂抜き穴をもつ中子を使用して鋳造して半製品を得、その後中子を解体し、次に側枠20b,20dの砂抜き穴に銅栓を溶接で取り付ける。
本発明に係るジャケット10は炉内に面する表面、即ち上板22aに凹凸11,12が形成されている。凹部11の幅は凸部12の幅に対して3〜6倍程度が好ましく、また、凸部12の高さは10〜30mm程度が好ましい。さらに図4に示すように、凸部12の裏側には流路の仕切りとなる隔壁18が存在しており、上板22aと底板22bは一体物であり、連結している。なお、凸部12の先端面に凹部耐火物の厚さの1/10以下の薄い耐火物を塗布してもよい。
図3、4のように構成されたジャケット10は図3の平面及び図4に示された凹凸部が炉内壁に面するように炉体に公知の方法で設置される。
図5には、ジャケット10及び自溶炉炉体の一部の断面図を示す。図中、25はスタンプにより凹部12に充填された段落番号0010で記したMgO主成分耐火物粉体である。耐火物粉体25は充填後自然乾燥され炉体に定期修理の際に設置される。その後スタンプの際に使用された水分が蒸発し、かつ本操業中にある程度粉体同士が結合されるが、水冷を受けているために、通常の焼成煉瓦のような強固な結合状態にはならない。26はAl2O3主成分のキャスタブル耐火物(具体的には株式会社ヨータイ製:ヨータイキャスター(C-190))、27は煉瓦積み構造であり、何れも公知のものである。
上記条件下で、自溶炉の操業を3年行った結果、自溶炉シャフト部直下の炉内壁耐火物は、1/4の面積の相当する部分が、剥離或いは侵食し、凹部の粉状耐火物も消失していたが、スラグコーティングが意外にも成されており、ジャケット部は、侵食されずに健全な状態であった。
ジャケット表面の凹凸が効果的に作用するために、銅製錬自溶炉シャフト直下の耐熱構造部の寿命を、従来は1年であったが、3年以上延長することができた。
これにより、自溶炉の定修時の作業時間等も大幅に短縮できるようになった。
自溶炉長さ方向の模式的断面図である。 図1の平面図である。 本発明に係るジャケットの冷却水流路を示す平面図である。 図3のa-a断面図である。 図3,4に示すジャケットを設置した炉体の一部断面図である。
符号の説明
1 精鉱バーナー
2 シャフト
3 セットラー
4 アップテイク
5 スラグ
6 マット
10 ジャケット
11 凹部
12 凸部
13 冷却水流路
25 充填された耐火物

Claims (4)

  1. 自溶炉シャフト直下のスラグ層が生成する領域の耐火物を冷却する銅製水冷ジャケットにおいて、炉内に面する側の該ジャケットに凹凸を形成し、凹部に、キャスタブル耐火物及び煉瓦積み耐火物からなる炉内耐火物とは別種の充填式耐火物を充填し、かつ凸部は前記キャスタブル耐火物と直接接触していることを特徴とする炉体水冷ジャケット。
  2. 矩形ジャケットの一辺に沿って請求項1記載の凹凸部が多数形成されていることを特徴とする請求項1記載の炉体ジャケット。
  3. 請求項1記載の凹部のそれぞれの裏側に冷却水流路が延在し、かつ請求項1記載の凸部の裏側には冷却水流路の境界となる仕切部が延在することを特徴とする請求項2記載の炉体ジャケット。
  4. 粉状の耐火物を請求項1の凹部に充填したことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載の炉体水冷ジャケット。
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