JP2023174325A - 取鍋の耐火物構造、及び、その耐火物の構造を備えた取鍋を用いた操業方法 - Google Patents
取鍋の耐火物構造、及び、その耐火物の構造を備えた取鍋を用いた操業方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】取鍋内のパーマネント耐火物の材質などを規定に従って設定することで、耐火物特性を維持しつつ取鍋からの放熱を抑制して断熱性を向上させることができる取鍋の耐火物構造、及び、その耐火物の構造を備えた取鍋を用いた操業方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、外容器の鉄皮2の内側で且つ溶鋼Mが満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物3が施工された取鍋1において、鉄皮2とウェア耐火物4間に2層構造のパーマネント耐火物3が施工され、2層構造のパーマネント耐火物3のうち、鉄皮2側に本パーマネント耐火物3aが施工され、ウェア耐火物4側に準パーマネント耐火物3bが施工され、本パーマネント耐火物3aには、準パーマネント耐火物3bより熱伝導率λが低く且つ、ウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用している。【選択図】図1
Description
本発明は、取鍋の内側に施工されている耐火物の構造及び、その取鍋を用いた操業方法に関する。
周知の如く、鉄鋼業では、溶鋼を搬送する容器として取鍋が使用されている。その取鍋では、溶鋼が装入され、その溶鋼から不純物を除いたり、溶鋼に合金を添加するなどの二次精錬の処理が行われている。二次精錬の主な処理方法としては、例えば、RH、LF、CAS等が挙げられる。このような二次精錬を終えた溶鋼は、取鍋により搬送されて、連続鋳造工程、または、造塊工程に供される。
溶鋼が装入される取鍋の内壁面(炉壁)には、溶鋼を保持するために耐火物が施工されている。その耐火物は、装入された溶鋼の高温に耐えられるものであり、取鍋の鉄皮側(外側)から順に、パーマネント耐火物、ウェア耐火物で構成されている。
このような耐火物の構造に関する技術としては、例えば、特許文献1、2などに開示されているものがある。
このような耐火物の構造に関する技術としては、例えば、特許文献1、2などに開示されているものがある。
特許文献1は、溶融金属容器において、ウェア耐火物層の解体に伴って健全なパーマネント耐火物層が解体されることを防ぐことで、耐火物の補修に掛かるコストを抑えることを目的としている。
具体的には、溶融金属容器100は、鉄皮1と、該鉄皮1の内側に形成される2層のパーマネント耐火物層30,50と、パーマネント耐火物層50の内側に形成されるウェア耐火物層70と、を有する。鉄皮1は、溶融金属容器100の外殻となる。パーマネント耐火物層30,50のうち、鉄皮側のパーマネント耐火物層30を形成する耐火物3同士を接合するモルタルA2は、ウェア耐火物層70側のパーマネント耐火物層50を形成する耐火物5同士を接合するモルタルB4よりも、接合力が大きいものとされている。
具体的には、溶融金属容器100は、鉄皮1と、該鉄皮1の内側に形成される2層のパーマネント耐火物層30,50と、パーマネント耐火物層50の内側に形成されるウェア耐火物層70と、を有する。鉄皮1は、溶融金属容器100の外殻となる。パーマネント耐火物層30,50のうち、鉄皮側のパーマネント耐火物層30を形成する耐火物3同士を接合するモルタルA2は、ウェア耐火物層70側のパーマネント耐火物層50を形成する耐火物5同士を接合するモルタルB4よりも、接合力が大きいものとされている。
特許文献2は、取鍋等の溶鋼容器の内面にスラグが付着するビルドアップを防止することを目的としている。具体的には、取鍋1の内面の溶鋼ライン部6をドロマイト質の耐火物で内張りする。耐火物は、CaO、MgO、Cおよび不可避不純物からなることが開示されている。
さて、取鍋の内側壁に施工された耐火物は、多数回に亘って溶鋼の装入と出湯を繰り返すうちに、損傷を受けて徐々に損耗が進行する。この耐火物の損耗が進む状況下になると、炉壁に穴が開いてしまうようなトラブルに繋がることになる。また、二次精錬処理時や溶鋼の搬送時など製鋼の過程に影響を与えないため、取鍋内の溶鋼の温度を維持することが必要となる。このようなことより、取鍋は、耐火物の損耗を抑制しつつ溶鋼の保温性を備えるようにすることが求められる。
ここで、本発明者は、耐火物の断熱性を向上させるために鋭意研究を行った。その断熱性を向上させるためには、溶鋼が接触するウェア耐火物と、隣り合うパーマネント耐火物(準パーマネント耐火物)間の界面温度を制御する(所定の範囲内にする)ことが必要となることが分かった。その界面温度に関しては、耐火物の熱伝導率を考慮することで、界面温度が所定の範囲内になることを知見した。
ところが、特許文献1、2においては、以下に示すような課題がある。
特許文献1は、鉄皮とパーマネント耐火物の間に断熱材を有するものであるが、損耗したウェア耐火物層を解体する際、パーマネント耐火物層が解体されることを防ぐため、モ
ルタルの接合力を規定した技術である。すなわち、断熱性を向上させる技術とは異なるため、本発明において重要となる耐火物(断熱材)の熱伝導率の記載が無く不明である。このことから、断熱性を向上させるために必要な、ウェア耐火物とパーマネント耐火物(準パーマネント耐火物)間の界面温度を算出することができない。この文献では、ウェア耐火物のスラグ耐食性、熱衝撃性が十分に有るかが不明である。
特許文献1は、鉄皮とパーマネント耐火物の間に断熱材を有するものであるが、損耗したウェア耐火物層を解体する際、パーマネント耐火物層が解体されることを防ぐため、モ
ルタルの接合力を規定した技術である。すなわち、断熱性を向上させる技術とは異なるため、本発明において重要となる耐火物(断熱材)の熱伝導率の記載が無く不明である。このことから、断熱性を向上させるために必要な、ウェア耐火物とパーマネント耐火物(準パーマネント耐火物)間の界面温度を算出することができない。この文献では、ウェア耐火物のスラグ耐食性、熱衝撃性が十分に有るかが不明である。
また、特許文献2は、鉄皮とパーマネント耐火物の間に断熱材を有するものであるが、不定形耐火物の事前乾燥中の通気性を良好にするため、断熱材の間に間隙を形成する技術である。すなわち、断熱性を向上させる技術とは異なるため、本発明において重要となる耐火物(断熱材)の熱伝導率の記載が無く不明である。このことから、断熱性を向上させるために必要な、ウェア耐火物とパーマネント耐火物(準パーマネント耐火物)間の界面温度を算出することができない。この文献では、ウェア耐火物のスラグ耐食性、熱衝撃性が十分に有るかが不明である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、取鍋の鉄皮とウェア耐火物の間に施工されたパーマネント耐火物の構造において、その耐火物の材質、配置、厚みなどを規定に従って設定することで、耐火物の特性を維持しつつ、取鍋からの放熱を抑制して断熱性を向上させることができ、さらに例えば数年といった長期間に亘って断熱性能を発揮させることができる取鍋の耐火物構造、及び、その耐火物の構造を備えた取鍋を用いた操業方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる取鍋の耐火物構造は、外容器の鉄皮の内側で且つ溶鋼が満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物が施工された取鍋において、前記鉄皮と前記ウェア耐火物間に2層構造のパーマネント耐火物が施工されていて、前記2層構造のパーマネント耐火物のうち、前記鉄皮側に本パーマネント耐火物が施工され且つ、前記ウェア耐火物側に準パーマネント耐火物が施工されていて、前記本パーマネント耐火物には、前記準パーマネント耐火物より熱伝導率λが低く且つ、前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用していることを特徴とする。
本発明にかかる取鍋の耐火物構造は、外容器の鉄皮の内側で且つ溶鋼が満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物が施工された取鍋において、前記鉄皮と前記ウェア耐火物間に2層構造のパーマネント耐火物が施工されていて、前記2層構造のパーマネント耐火物のうち、前記鉄皮側に本パーマネント耐火物が施工され且つ、前記ウェア耐火物側に準パーマネント耐火物が施工されていて、前記本パーマネント耐火物には、前記準パーマネント耐火物より熱伝導率λが低く且つ、前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用していることを特徴とする。
本発明にかかる取鍋を用いた操業方法は、上記の耐火物の構造を備えた取鍋を用いて操業するにあたり、前記取鍋内の溶鋼の排出を完了してから、次回チャージの溶鋼の装入が完了されるまでの時間をt(min)とし、前回チャージへの前記取鍋内への溶鋼装入回数をNOldとし、当該チャージへの前記取鍋内への溶鋼装入回数をNNewとし、
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193とし、
NOld≧2のときは、t≦210とし、
前記条件を満たさない場合は、NNew=1とし、
NNew≧2の二次精錬処理開始から前記取鍋内にある前記溶鋼の排出が完了するまでの前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となるように操業することを特徴とする。
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193とし、
NOld≧2のときは、t≦210とし、
前記条件を満たさない場合は、NNew=1とし、
NNew≧2の二次精錬処理開始から前記取鍋内にある前記溶鋼の排出が完了するまでの前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となるように操業することを特徴とする。
本発明によれば、取鍋の鉄皮とウェア耐火物の間に施工されたパーマネント耐火物の構造において、その耐火物の材質、配置、厚みなどを規定に従って設定することで、耐火物の特性を維持しつつ、取鍋からの放熱を抑制して断熱性を向上させることができ、さらに例えば数年といった長期間に亘って断熱性能を発揮させることができる。
以下、本発明にかかる取鍋の耐火物構造、及び、その耐火物の構造を備えた取鍋を用いた操業方法の実施形態を、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明は、鉄鋼製造業に用いられる取鍋1の内側壁に施工されている耐火物3の構造(ライニング構造)、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に関するものであり、耐摩耗性や耐熱衝撃性などの耐火物特性を維持しつつ、断熱性に優れるように取鍋1の内側壁に施工された耐火物3の構造を規定する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明は、鉄鋼製造業に用いられる取鍋1の内側壁に施工されている耐火物3の構造(ライニング構造)、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に関するものであり、耐摩耗性や耐熱衝撃性などの耐火物特性を維持しつつ、断熱性に優れるように取鍋1の内側壁に施工された耐火物3の構造を規定する。
すなわち、本発明は、溶鋼Mが満たされて接触する箇所のウェア耐火物4にアルミナ-マグネシアキャスタブルを施工した取鍋1において、そのウェア耐火物4の外側にパーマネント耐火物3が施工され、そのパーマネント耐火物3は外側の本パーマネント耐火物3aとその内側の準パーマネント耐火物3bからなり、本パーマネント耐火物3aの熱伝導率λは、準パーマネント耐火物3bの熱伝導率λよりも低いものであり、ウェア耐火物4とそれと隣り合う準パーマネント耐火物3bの界面温度が、700℃を超過し且つ1400℃未満の温度領域となるように、準パーマネント耐火物3bの材質、配置、厚みを設定する。
本発明の取鍋1の耐火物3構造、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法について具体的に説明する。
本発明は、溶鋼Mが満たされる箇所のウェア耐火物4にアルミナ-マグネシアキャスタブルを施工した取鍋1を対象としている。
周知の如く、鉄鋼業では、溶鋼Mを搬送する容器として取鍋1が使用されている。その取鍋1では、溶鋼が装入され、その溶鋼Mから不純物を除いたり、溶鋼Mに合金を添加するなどの二次精錬の処理が行われている。二次精錬の主な処理方法としては、例えば、RH、LF、CAS等が挙げられる。このような二次精錬を終えた溶鋼Mは、取鍋1により搬送されて、連続鋳造工程、または、造塊工程に供される。
本発明は、溶鋼Mが満たされる箇所のウェア耐火物4にアルミナ-マグネシアキャスタブルを施工した取鍋1を対象としている。
周知の如く、鉄鋼業では、溶鋼Mを搬送する容器として取鍋1が使用されている。その取鍋1では、溶鋼が装入され、その溶鋼Mから不純物を除いたり、溶鋼Mに合金を添加するなどの二次精錬の処理が行われている。二次精錬の主な処理方法としては、例えば、RH、LF、CAS等が挙げられる。このような二次精錬を終えた溶鋼Mは、取鍋1により搬送されて、連続鋳造工程、または、造塊工程に供される。
図1に、取鍋1の内側壁に施工された耐火物3の構造(ライニング構造)の詳細を模式的に示す。
図1に示すように、溶鋼Mが装入される取鍋1の内壁面(炉壁)には、溶鋼Mを保持するために耐火物3が施工されている。その耐火物3は、装入された溶鋼Mの高温に耐えられるものであり、取鍋1の鉄皮2側(外側)から順に、パーマネント耐火物3、ウェア耐火物4で構成されている。
図1に示すように、溶鋼Mが装入される取鍋1の内壁面(炉壁)には、溶鋼Mを保持するために耐火物3が施工されている。その耐火物3は、装入された溶鋼Mの高温に耐えられるものであり、取鍋1の鉄皮2側(外側)から順に、パーマネント耐火物3、ウェア耐火物4で構成されている。
パーマネント耐火物3とは、地金浸潤による取鍋1の漏鋼(二次精錬中などにおいて、取鍋1の鉄皮2を溶鋼Mが融解して外部へ漏洩すること)を防ぐことが目的であり、主に緻密レンガが施工されている。
パーマネント耐火物3を、例えば2層とする場合は、鉄皮2側から順に本パーマネント耐火物3aと呼ばれ、準パーマネント耐火物3bと呼ぶ。なお、以降の説明においては、本パーマネント耐火物3aを「本パーマ3a」と記載し、準パーマネント耐火物3bを「準パーマ3b」と記載することもある。
パーマネント耐火物3を、例えば2層とする場合は、鉄皮2側から順に本パーマネント耐火物3aと呼ばれ、準パーマネント耐火物3bと呼ぶ。なお、以降の説明においては、本パーマネント耐火物3aを「本パーマ3a」と記載し、準パーマネント耐火物3bを「準パーマ3b」と記載することもある。
本パーマ3aは、シリカをベースとした耐火物である。また、準パーマ3bは、アルミナをベースとした耐火物である。
ウェア耐火物4とは、取鍋1の最内面に配置され且つ、溶鋼Mおよびスラグに直接接する耐火物である。このウェア耐火物4は、スラグ耐食性や耐熱衝撃性に優れる材質であることが要求される。また、スラグに直接接する箇所(スラグライン)には、スラグ耐食性が良好なマグネシア-カーボンレンガなどが施工されている。
ウェア耐火物4とは、取鍋1の最内面に配置され且つ、溶鋼Mおよびスラグに直接接する耐火物である。このウェア耐火物4は、スラグ耐食性や耐熱衝撃性に優れる材質であることが要求される。また、スラグに直接接する箇所(スラグライン)には、スラグ耐食性が良好なマグネシア-カーボンレンガなどが施工されている。
また、本実施形態では、溶鋼Mに直接接する箇所(ウェア耐火物4)に、スラグ耐食性、耐熱衝撃性が良好な、アルミナ-マグネシアキャスタブルを施工する。なお、アルミナ-マグネシアキャスタブルとは、アルミナをベースとし、MgO,SiO2,およびCaO・Al2O3を主体とするアルミナセメントから構成される流し込み材である。また、流し込み材とは、粉粒体に水を加えて混練し、コンクリートのように型に流し込み、乾燥して使用する材料である。
本実施形態の取鍋1は、鉄皮2とウェア耐火物4間に2層構造の耐火物3を有している。
本実施形態では、取鍋1の断熱性を向上させることが目的であるが、耐火物3が1層の構造では、緻密レンガの施工のみとなり、後述する熱伝導率λの低い耐火物を併用することができなくなる。つまり、耐火物3が1層の構造では断熱性を向上させることが難しいものとなる。
本実施形態では、取鍋1の断熱性を向上させることが目的であるが、耐火物3が1層の構造では、緻密レンガの施工のみとなり、後述する熱伝導率λの低い耐火物を併用することができなくなる。つまり、耐火物3が1層の構造では断熱性を向上させることが難しいものとなる。
また、ウェア耐火物4にキャスタブルを使用する場合、キャスタブルの乾燥時間が必要となるので、耐火物3を3層構造にすると施工に時間がかかってしまい、生産性が低下する。
上記の理由から、本発明では、2層構造のパーマネント耐火物3を、鉄皮2とウェア耐火物4間に設けている。
上記の理由から、本発明では、2層構造のパーマネント耐火物3を、鉄皮2とウェア耐火物4間に設けている。
本実施形態の取鍋1では、取鍋1からの放熱抑制のために、2層構造の耐火物3のうち、鉄皮2側の耐火物である本パーマネント耐火物3aに、ウェア耐火物4側の耐火物である準パーマネント耐火物3bよりも熱伝導率λが低い耐火物を配置する。
本パーマ3aに熱伝導率λの低い耐火物を配置することとしたのは、熱伝導率λの低い耐火物の温度を低く運用することができるので、例えば、2年以上といった長期間に亘って断熱性能を発揮することができるという理由からである。
本パーマ3aに熱伝導率λの低い耐火物を配置することとしたのは、熱伝導率λの低い耐火物の温度を低く運用することができるので、例えば、2年以上といった長期間に亘って断熱性能を発揮することができるという理由からである。
このことから、本パーマ3aについては、準パーマ3bより熱伝導率λが低く(本パーマ3aのλ<準パーマ3bのλを満たし)且つ、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度が、操業時に700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用する。
本実施形態では、取鍋1内にある溶鋼Mの排出を完了してから、次チャージの溶鋼Mの装入を完了するまでの装入時間をt(min)とする。
本実施形態では、取鍋1内にある溶鋼Mの排出を完了してから、次チャージの溶鋼Mの装入を完了するまでの装入時間をt(min)とする。
装入時間tが短いと、取鍋1の鉄皮2およびウェア耐火物4からの放熱量が少ないため、取鍋1の蓄熱量が多く、次チャージの溶鋼Mを受けた際に溶鋼Mから取鍋1への放熱量が少なくなり、溶鋼Mの保温性が上がる。つまり、溶鋼Mの温度降下を抑制することができる。
一方、装入時間tが長いと、取鍋1の鉄皮2およびウェア耐火物4からの放熱量が多いため、取鍋1の蓄熱量が少なく、次チャージの溶鋼Mを受けた際に溶鋼Mから取鍋1への放熱量が多くなり、溶鋼Mの保温性が下がる。つまり、溶鋼Mの温度降下を促進させてしまう。
一方、装入時間tが長いと、取鍋1の鉄皮2およびウェア耐火物4からの放熱量が多いため、取鍋1の蓄熱量が少なく、次チャージの溶鋼Mを受けた際に溶鋼Mから取鍋1への放熱量が多くなり、溶鋼Mの保温性が下がる。つまり、溶鋼Mの温度降下を促進させてしまう。
本実施形態では、前チャージへの取鍋1内への溶鋼装入回数をNOldとし、当該チャージへの取鍋1内への溶鋼装入回数をNNewとする。
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193minとし、
NOld≧2のときは、t≦210minとし、
上記を満たさない場合は、NNew=1とする。
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193minとし、
NOld≧2のときは、t≦210minとし、
上記を満たさない場合は、NNew=1とする。
当該チャージへの溶鋼装入回数NNewが1のときは、前チャージでの溶鋼Mを保持することによる取鍋1への蓄熱が得られない。そのため、装入時間tや、当該チャージの溶鋼装入回数NNewで取鍋1の蓄熱状況が変化し、後述するウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度に影響を与えることとなる。
そこで、本発明では、取鍋1の蓄熱状況を明確化するために、溶鋼装入回数Nの増加条件を装入時間tから決定した。
そこで、本発明では、取鍋1の蓄熱状況を明確化するために、溶鋼装入回数Nの増加条件を装入時間tから決定した。
図2に、ウェア耐火物4と、準パーマ3bの界面温度が700℃となるNOld(回)と、t(min)の関係を示す。
図2に示すように、本実施例(後ほど示す表4を参照)の中で、最も耐火物温度が低くなる「実験番号1」のライニング(耐火物構造)を用いて、二次精錬処理開始時のウェア耐火物4と準パーマ3bとの界面温度が700℃となる装入時間tを、実施条件(詳細は後述
)に示す一次元非定常伝熱計算から求めた。
図2に示すように、本実施例(後ほど示す表4を参照)の中で、最も耐火物温度が低くなる「実験番号1」のライニング(耐火物構造)を用いて、二次精錬処理開始時のウェア耐火物4と準パーマ3bとの界面温度が700℃となる装入時間tを、実施条件(詳細は後述
)に示す一次元非定常伝熱計算から求めた。
図2より、当該チャージの溶鋼装入回数NNewを増加させる条件としては、以下の(1)、(2)のときである。
(1)NOld=1のときは、t≦193minを満たす時
(2)NOld≧2のときは、t≦210minを満たす時
なお、取鍋1の施工(例えば、補修等)を完了した後に、初めて溶鋼Mを装入する場合を、NNew=1とする。
(1)NOld=1のときは、t≦193minを満たす時
(2)NOld≧2のときは、t≦210minを満たす時
なお、取鍋1の施工(例えば、補修等)を完了した後に、初めて溶鋼Mを装入する場合を、NNew=1とする。
このように、上記の条件であれば、本実施例のいずれにおいてもウェア耐火物4と、準パーマ3bの界面温度が1400℃未満を満たすようになる。
本実施形態では、NNew≧2の二次精錬処理開始から取鍋1内にある溶鋼Mの排出が完了するまでのウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満になるように操業する。
本実施形態では、NNew≧2の二次精錬処理開始から取鍋1内にある溶鋼Mの排出が完了するまでのウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満になるように操業する。
上記の界面温度が700℃を超えることとしている理由は、以下の通りである。
参考文献に示す、石川氏らの報告によると、アルミナ-マグネシアキャスタブルでは、700℃で熱応力が最大値を示している(参考文献:「石川ら:耐火物, 51(3) (1999), p144-148」)。
このことから、ウェア耐火物4の温度が700℃以下では、アルミナ-マグネシアキャスタブルが熱膨張することで迫り割れが生じ、その割れ部から準パーマ3bに向かってスラグが浸潤する。スラグが準パーマ3bと反応することで準パーマ3bの耐火度が低下してしまい、漏鋼が発生する虞がある。
参考文献に示す、石川氏らの報告によると、アルミナ-マグネシアキャスタブルでは、700℃で熱応力が最大値を示している(参考文献:「石川ら:耐火物, 51(3) (1999), p144-148」)。
このことから、ウェア耐火物4の温度が700℃以下では、アルミナ-マグネシアキャスタブルが熱膨張することで迫り割れが生じ、その割れ部から準パーマ3bに向かってスラグが浸潤する。スラグが準パーマ3bと反応することで準パーマ3bの耐火度が低下してしまい、漏鋼が発生する虞がある。
また、上記の界面温度が1400℃未満としている理由は、以下の通りである。
参考文献に示す、永井氏らの報告によると、アルミナ-マグネシアキャスタブルでは、1400℃以上でアノーサイトが生成している(参考文献:「永井ら:耐火物, 40(5)(1988),
p284-289」)。
このことから、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度が1400℃以上になると、アノーサイトがウェア耐火物4と準パーマ3bの界面にて生成する可能性があるため、準パーマ3bに低融点物質であるアノーサイトが浸潤し、準パーマ3bの耐火度が低下し、漏鋼が発生する虞がある。
参考文献に示す、永井氏らの報告によると、アルミナ-マグネシアキャスタブルでは、1400℃以上でアノーサイトが生成している(参考文献:「永井ら:耐火物, 40(5)(1988),
p284-289」)。
このことから、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度が1400℃以上になると、アノーサイトがウェア耐火物4と準パーマ3bの界面にて生成する可能性があるため、準パーマ3bに低融点物質であるアノーサイトが浸潤し、準パーマ3bの耐火度が低下し、漏鋼が発生する虞がある。
以上から、スラグを調製する二次精錬処理の開始以降においては、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度が700℃を超過し且つ、1400℃未満とすることが適切であると知見した。
図3に、ウェア耐火物4と準パーマ3b間の界面温度(℃)の推移を計算した結果の一例を示す。
図3に、ウェア耐火物4と準パーマ3b間の界面温度(℃)の推移を計算した結果の一例を示す。
図3に示すように、溶鋼Mの装入完了後、二次精錬処理を開始し、溶鋼Mの排出を完了する。NOldの間では、界面温度が約550℃から約1000℃に上昇する。その後、次チャージの溶鋼Mを受けるまでに、界面温度が約750℃に下降する。
次に、NNewの間では、界面温度が約750℃約1000℃に上昇する。このとき(NNew≧2)、界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満の範囲内に入っている。
次に、NNewの間では、界面温度が約750℃約1000℃に上昇する。このとき(NNew≧2)、界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満の範囲内に入っている。
図4に、取鍋1内への溶鋼装入回数Nの増加の考え方のフローチャートを示す。ただし、Nは取鍋内への溶鋼装入回数、Xは2以上の自然数とする。
図4に示すように、取鍋1の施工(例えば、補修等)を完了した後に、初めて溶鋼Mを装入する(N=1)。t≦193minを満たす場合、次に進む。なお、t>193minの場合、バーナなどで取鍋1を再加熱する。次チャージの溶鋼Mを受ける(N=2)。t≦210minを満たす場合、次に進む。なお、t>210minの場合、バーナなどで取鍋1を再加熱する。これを繰り返す。
図4に示すように、取鍋1の施工(例えば、補修等)を完了した後に、初めて溶鋼Mを装入する(N=1)。t≦193minを満たす場合、次に進む。なお、t>193minの場合、バーナなどで取鍋1を再加熱する。次チャージの溶鋼Mを受ける(N=2)。t≦210minを満たす場合、次に進む。なお、t>210minの場合、バーナなどで取鍋1を再加熱する。これを繰り返す。
表1に、本実施形態で用いるパラメータの定義を示す。
[実施例]
以下に、本発明の取鍋1内に施工された耐火物3の構造、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に従って実施した実施例及び、本発明と比較するために実施した比較例について、説明する。
本実施例における実施条件については、以下の通りである。
以下に、本発明の取鍋1内に施工された耐火物3の構造、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に従って実施した実施例及び、本発明と比較するために実施した比較例について、説明する。
本実施例における実施条件については、以下の通りである。
ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度(℃)を、一次元非定常伝熱計算を用いて算出した。
以下に、上記の界面温度(℃)の計算方法を示す。
本実施例および比較例など(後ほど示す表4を参照)に示すような、耐火物3(ライニング構造)を施工した際における、溶鋼Mを保持しているときのウェア耐火物4から鉄皮2までの各時間の温度変化を、一次元非定常伝熱計算により算出した。また同様に、溶鋼Mを保持していないときのウェア耐火物4から鉄皮2までの各時間の温度変化を、一次元非定常伝熱計算により算出した。これらの結果を用いて、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度の推移を求めた。
以下に、上記の界面温度(℃)の計算方法を示す。
本実施例および比較例など(後ほど示す表4を参照)に示すような、耐火物3(ライニング構造)を施工した際における、溶鋼Mを保持しているときのウェア耐火物4から鉄皮2までの各時間の温度変化を、一次元非定常伝熱計算により算出した。また同様に、溶鋼Mを保持していないときのウェア耐火物4から鉄皮2までの各時間の温度変化を、一次元非定常伝熱計算により算出した。これらの結果を用いて、ウェア耐火物4と準パーマ3bの界面温度の推移を求めた。
物体の内部エネルギー変化Q(W)は、以下に示す式(1)で表すことができる。
また、Vを以下の式(2)に示す。
ただし、以下と定義する。
熱伝達によって生じる熱流束をq1とすると、以下に示す式(3)で表される。
また、熱伝導によって生じる熱流束をq2とすると、以下に示す式(4)で表される。
また、熱輻射によって生じる熱流束をq3とすると、以下に示す式(5)で表される。
ただし、以下と定義する。
なお、本発明では一次元伝熱計算とするため、以降においてはdy=1,dz=1とする。
図5に、一次元非定常伝熱計算で考慮する取鍋1の内側壁に施工されたライニング構造(耐火物3の構造)のパターン(I、II、III)を示す。
図5に示すように、取鍋1においては、(I)~(III)に示すライニング構造の状況に分けて計算を行う。
図5に、一次元非定常伝熱計算で考慮する取鍋1の内側壁に施工されたライニング構造(耐火物3の構造)のパターン(I、II、III)を示す。
図5に示すように、取鍋1においては、(I)~(III)に示すライニング構造の状況に分けて計算を行う。
(I):溶鋼Mと接する耐火物3,4の内部エネルギー変化を、式(6)に示す。
(II):大気と接する耐火物3,4または鉄皮2の内部エネルギー変化を、式(7)に示す。
(III):耐火物3と接する耐火物4、鉄皮2と接する耐火物3,4、耐火物3,4と接する鉄皮2のそれぞれの内部エネルギー変化を、式(8)に示す。
ただし、以下と定義する。
ウェア耐火物4については10分割して計算し、その他の耐火物3と鉄皮2については2分割して計算した。
表2に、本実施例と比較例など(後ほど示す表4を参照)での計算に使用した初期温度などの初期条件、熱伝達率hと、輻射率εを示す。
表2に、本実施例と比較例など(後ほど示す表4を参照)での計算に使用した初期温度などの初期条件、熱伝達率hと、輻射率εを示す。
表3に、本実施例と比較例などでの計算に使用した耐火物3,4の物性値、および、鉄皮2の物性値を示す。
なお、本実施例と比較例などに記載した、ウェア耐火物4と準パーマ3b間の界面温度については、二次精錬処理の開始時間を、取鍋1内への溶鋼Mの装入を完了してから55min後と仮定し、二次精錬処理の開始から取鍋1内への溶鋼Mの排出を完了するまでの時間の中での最小温度(℃)と、最大温度(℃)を記載している。
表4に、本発明の取鍋1内に施工された耐火物3の構造、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に従って、実施した実施例と、本発明と比較するために実施した比較例を示す。
表4に、本発明の取鍋1内に施工された耐火物3の構造、及び、その耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いた操業方法に従って、実施した実施例と、本発明と比較するために実施した比較例を示す。
なお、比較例の実験番号19については、鉄皮から順に本パーマ3a、準パーマ3bの1層目、準パーマ3bの2層目の3層構造とする。
表4に示すように、「実験番号1~17」は本実施例であり、「実験番号18~25」は比較例である。本実施例では、鉄皮2とウェア耐火物4との間のパーマネント耐火物3は、本パーマ3aと準パーマ3bの2層構造である。一方で、比較例では、パーマネント耐火物3が1層構造のもの(番号18)や、パーマネント耐火物3が3層構造のもの(番号19)が含まれている。
表4に示すように、「実験番号1~17」は本実施例であり、「実験番号18~25」は比較例である。本実施例では、鉄皮2とウェア耐火物4との間のパーマネント耐火物3は、本パーマ3aと準パーマ3bの2層構造である。一方で、比較例では、パーマネント耐火物3が1層構造のもの(番号18)や、パーマネント耐火物3が3層構造のもの(番号19)が含まれている。
パーマネント耐火物3の熱伝導率λについては、本実施例では、「本パーマ3aの熱伝導率λ<準パーマ3bの熱伝導率λ」を満たしている。一方で、比較例では、「本パーマ3aの熱伝導率λ<準パーマ3bの熱伝導率λ」を満たさないもの(番号18~19,22~24)が含まれている。
溶鋼装入回数NNewについては、本実施例では、NNew≧2を満たしている。一方で、比較例では、NNew≧2を満たさないもの(番号20~21,25)が含まれている。
溶鋼装入回数NNewについては、本実施例では、NNew≧2を満たしている。一方で、比較例では、NNew≧2を満たさないもの(番号20~21,25)が含まれている。
ウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度については、本実施例では、ウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が「700℃を超過し且つ1400℃未満」を満たしている。一方で、比較例では全て、「700℃を超過し且つ1400℃未満」を満たしていない。
すなわち、パーマネント耐火物3を本パーマ3aと準パーマ3bの2層構造とし、「本パーマ3aの熱伝導率λ<準パーマ3bの熱伝導率λ」を満たし、溶鋼Mの装入時間を規定の時間t(min)とし、NNew≧2とすると、ウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が「700℃を超過し且つ1400℃未満」を満たすと、ウェア耐火物4の損耗を抑制し、放熱量の抑制により断熱性に優れた取鍋1となる。
すなわち、パーマネント耐火物3を本パーマ3aと準パーマ3bの2層構造とし、「本パーマ3aの熱伝導率λ<準パーマ3bの熱伝導率λ」を満たし、溶鋼Mの装入時間を規定の時間t(min)とし、NNew≧2とすると、ウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が「700℃を超過し且つ1400℃未満」を満たすと、ウェア耐火物4の損耗を抑制し、放熱量の抑制により断熱性に優れた取鍋1となる。
ここで、本発明のまとめると以下の通りである。
本発明の取鍋の耐火物構造は、外容器の鉄皮2の内側で且つ溶鋼Mが満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物3が施工された取鍋1において、鉄皮2とウェア耐火物4間に2層構造のパーマネント耐火物3が施工されていて、2層構造のパーマネント耐火物3のうち、鉄皮2側に本パーマネント耐火物3aが施工され且つ、ウェア耐火物4側に準パーマネント耐火物3bが施工されていて、本パーマネント耐火物3aには、準パーマネント耐火物3bより熱伝導率λが低く且つ、操業時においてウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用している。
本発明の取鍋の耐火物構造は、外容器の鉄皮2の内側で且つ溶鋼Mが満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物3が施工された取鍋1において、鉄皮2とウェア耐火物4間に2層構造のパーマネント耐火物3が施工されていて、2層構造のパーマネント耐火物3のうち、鉄皮2側に本パーマネント耐火物3aが施工され且つ、ウェア耐火物4側に準パーマネント耐火物3bが施工されていて、本パーマネント耐火物3aには、準パーマネント耐火物3bより熱伝導率λが低く且つ、操業時においてウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用している。
また、本発明の取鍋を用いた操業方法は、上記した耐火物3の構造を備えた取鍋1を用いて操業するにあたり、取鍋1内の溶鋼Mの排出を完了してから、次回チャージの溶鋼Mの装入が完了されるまでの時間をt(min)とし、前回チャージへの取鍋1内への溶鋼装入回数をNOldとし、当該チャージへの取鍋1内への溶鋼装入回数をNNewとし、
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193minとし、
NOld≧2のときは、t≦210minとし、
上記条件を満たさない場合は、NNew=1とし、
NNew≧2の二次精錬処理開始から取鍋1内にある溶鋼Mの排出が完了するまでのウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となるように操業する。
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193minとし、
NOld≧2のときは、t≦210minとし、
上記条件を満たさない場合は、NNew=1とし、
NNew≧2の二次精錬処理開始から取鍋1内にある溶鋼Mの排出が完了するまでのウェア耐火物4と準パーマネント耐火物3bの界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となるように操業する。
以上、本発明によれば、ウェア耐火物4の損耗を抑制しつつ、取鍋1からの放熱量を抑制することができ、優れた断熱性を備えるため、取鍋1の保温性が上がる。また、溶鋼Mの温度降下速度が小さくなる。
すなわち、本発明によれば、取鍋1の鉄皮2とウェア耐火物4の間に施工されたパーマネント耐火物3の構造において、その耐火物3の材質、配置、厚みなどを規定に従って設定することで、耐火物3の特性を維持しつつ、取鍋1からの放熱を抑制して断熱性を向上させることができ、さらに例えば数年といった長期間に亘って断熱性能を発揮させることができる。
すなわち、本発明によれば、取鍋1の鉄皮2とウェア耐火物4の間に施工されたパーマネント耐火物3の構造において、その耐火物3の材質、配置、厚みなどを規定に従って設定することで、耐火物3の特性を維持しつつ、取鍋1からの放熱を抑制して断熱性を向上させることができ、さらに例えば数年といった長期間に亘って断熱性能を発揮させることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 取鍋
2 鉄皮
3 パーマネント耐火物
3a 本パーマネント耐火物(本パーマ)
3b 準パーマネント耐火物(準パーマ)
4 ウェア耐火物
M 溶鋼
2 鉄皮
3 パーマネント耐火物
3a 本パーマネント耐火物(本パーマ)
3b 準パーマネント耐火物(準パーマ)
4 ウェア耐火物
M 溶鋼
Claims (2)
- 外容器の鉄皮の内側で且つ溶鋼が満たされて接触する箇所に、アルミナ-マグネシアキャスタブルのウェア耐火物が施工された取鍋において、
前記鉄皮と前記ウェア耐火物間に2層構造のパーマネント耐火物が施工されていて、
前記2層構造のパーマネント耐火物のうち、前記鉄皮側に本パーマネント耐火物が施工され且つ、前記ウェア耐火物側に準パーマネント耐火物が施工されていて、
前記本パーマネント耐火物には、前記準パーマネント耐火物より熱伝導率λが低く且つ、前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となる耐火物を採用している
ことを特徴とする取鍋の耐火物構造。 - 請求項1に記載の耐火物の構造を備えた取鍋を用いて操業するにあたり、
前記取鍋内の溶鋼の排出を完了してから、次回チャージの溶鋼の装入が完了されるまでの時間をt(min)とし、
前回チャージへの前記取鍋内への溶鋼装入回数をNOldとし、
当該チャージへの前記取鍋内への溶鋼装入回数をNNewとし、
NNew=NOld+1とする条件は、
NOld=1のときは、t≦193とし、
NOld≧2のときは、t≦210とし、
前記条件を満たさない場合は、NNew=1とし、
NNew≧2の二次精錬処理の開始から前記取鍋内にある前記溶鋼の排出が完了するまでの前記ウェア耐火物と前記準パーマネント耐火物の界面温度が700℃を超過し且つ1400℃未満となるように操業する
ことを特徴とする取鍋を用いた操業方法。
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