JP4853336B2 - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法に関するもので、特に前面パネルの製造方法に関するものである。
高品位テレビジョン画像を大画面で表示するためのディスプレイ装置として、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」と記す)を用いたプラズマディスプレイ装置への期待が高まっている。
PDPは、前面パネルと背面パネルとを対向配置して周辺部を封着部材によって封着した構造であり、両パネル間に形成された放電空間にはネオンやキセノンなどの放電ガスが封入された構造をしている。前面パネルは前面ガラス基板の一方の面にストライプ状に形成された走査電極と維持電極とからなる表示電極対と、表示電極対を覆う誘電体層と、保護層とを備えている。背面パネルは背面ガラス基板に表示電極対と直交する方向にストライプ状に形成されたアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、放電空間をアドレス電極毎に区画する隔壁と、隔壁の側面部と下地誘電体層上に順次塗布された赤色、緑色、青色の蛍光体材料からなる蛍光体層とを備えている。
表示電極対とアドレス電極との交差部が放電セルになる。放電セルはマトリクス状に配列され、表示電極対の延設方向に並ぶ赤色、緑色、青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素になる。PDPは順次、走査電極とアドレス電極間、および走査電極と維持電極間に所定の電圧を印加することにより、誘電体層や下地誘電体層に電荷を蓄積させ、その電荷を利用してガス放電を発生させる。そのガス放電によって生じる紫外線で蛍光体材料を励起して可視光を発光させ、カラー画像を表示している。
近年、プラズマディスプレイ装置の高精細化が進み、それにつれてPDPの放電セルサイズが微細化してきている。放電セルサイズが小さくなると放電空間が小さくなるため放電が起こりにくくなり、発光効率が低下してしまう。したがって、高精細化プラズマディスプレイ装置においても十分な消費電力で表示をさせるためには、PDPの発光効率を向上させる必要がある。
発光効率を高める方法として、誘電体層の誘電率を下げることが提案されている。誘電体層に電荷を蓄積するために投入する電力の一部は無効電力になり発光に寄与しない。したがって、誘電体層の誘電率が下がれば無効電力が低減し、発光効率を上げることが可能になる(例えば、特許文献1参照)。誘電体層は、鉛酸化物系ガラスやビスマス酸化物系ガラスを主成分とした低軟化点ガラスを、表示電極対が形成された前面ガラス基板上に塗布後、溶融軟化して形成されている。しかし、ケイ素酸化物などの低誘電率材料の多くは鉛酸化物系ガラスやビスマス酸化物系ガラスよりも軟化点が高いため、ガラス基板上での溶融軟化によって誘電体層を形成することは困難である。したがって、ケイ素酸化物などの低誘電率材料で誘電体層を形成するためには、軟化溶融法とは異なった工法が必要となる。
軟化点の高い材料による誘電体層を形成する方法にゾルゲル法がある。ゾルゲル法とは、金属アルコキシドを水とアルコールとの混合溶媒中で縮合重合させて金属酸化物を製造する方法である。この方法は溶融軟化によらないため、軟化点の高い材料でも比較的低温での誘電体層形成が可能になる。酸素原子または架橋が可能な有機物を結合したケイ素化合物を原料とし、ゾルゲル法を用いてケイ素酸化物の誘電体層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、メチル基またはエチル基などのアルキル基を1つ含むアルコキシド金属を原料とし、ゾルゲル法を用いてアルミニウム酸化物、硼素酸化物などの誘電体層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−110320号公報 特開2005−108691号公報 特表2003−518318号公報
ゾルゲル法では、アルコキシド金属の縮合重合反応によって金属酸化物膜が形成される。この縮合重合反応は金属酸化物同士の結合や金属酸化物膜と基板との密着力を高めるが、縮合重合の際に脱水反応を含むため、膜の収縮が発生する。この収縮によりガラス基板を引っ張る方向の応力が発生し、膜内にクラックが発生する。
膜内にクラックが生じた状態で誘電体層を形成してPDPを製造すると、表示のために電極に電圧を印加することにより、誘電体層が絶縁破壊を起こす。この絶縁破壊によりPDPは、点灯すべき画素が点灯しないという不灯欠陥が生じる。また、膜内のクラックを防止するために、複数の薄い誘電体層を積層することが考えられるが、工程が長くなるため、コストがかかってしまう。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、クラックの発生が少なく、かつ膜厚の厚い誘電体層を単層で形成したPDPを製造する方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のPDPの製造方法は、表示電極対と表示電極対を覆う誘電体層とを備えた前面基板とデータ電極と背面板隔壁とを備えた背面基板とを表示電極対とデータ電極とを交差させて対向配置するPDPの製造方法であって、誘電体層を形成するステップが、前面基板の誘電体層の形成領域を複数の塗布領域に区画する区画ステップと、塗布領域に誘電体層の誘電体前駆体を単層で塗布する誘電体前駆体塗布ステップとを含んでいる。このような製造方法によれば、誘電体前駆体の塗布が区画された小さい面積内に塗布されるため、クラックの発生が少なく、かつ膜厚の厚い誘電体層を単層で形成することができる。
さらに、上記製造方法において、塗布領域の面積S[mm]と誘電体層の膜厚t[μm]との関係が、t≧4の範囲において、
Figure 0004853336
の関係を満たすことが好ましい。この条件を満たすことにより、膜厚が4μm以上の誘電体層について、クラックの発生が極めて少ない誘電体層を形成することができる。
さらに、上記製造方法において、塗布領域の面積S[mm]と誘電体層の膜厚t[μm]との関係が、t<4の範囲において、
Figure 0004853336
の関係を満たすことが望ましい。この条件を満たすことにより、膜厚が4μm未満の誘電体層について、クラックの発生が極めて少ない誘電体層を形成することができる。
さらに、上記製造方法において、誘電体前駆体が金属アルコキシドから加水分解をした物質を含む溶液であることが望ましい。これにより、誘電率の低い材料で誘電体層を形成することが可能となる。
さらに、上記製造方法における区画ステップが、前面基板へ前面板隔壁を形成するステップを含むことが望ましい。前面板隔壁の形成により確実に区画が可能となり、精度よく誘電体層を形成することができる。
さらに、前面板隔壁の表示電極対の延設方向と直交する方向のピッチが、背面板隔壁のデータ電極の延設方向と平行な方向のピッチの整数倍であり、かつ前面板隔壁の頂部が、背面板隔壁の頂部と対向する位置に前面板隔壁を形成することが望ましい。これにより、前面パネルと背面パネルとの噛み合わせがよくなるため、高い放電安定性を有するPDPを得ることができる。
さらに、前面板隔壁の表示電極対の延設方向と平行な方向のピッチが、背面板隔壁のデータ電極の延設方向と直交する方向のピッチの整数倍であり、かつ前面板隔壁の頂部が、背面板隔壁の頂部と対向する位置に前面板隔壁を形成することが望ましい。これにより、前面パネルと背面パネルとの噛み合わせがよくなり、高い放電安定性を有するPDPを得ることができる。
また、上記製造方法における区画ステップが、前面基板へ誘電体前駆体を千鳥状に塗布し、塗布した誘電体前駆体を乾燥することにより千鳥状誘電体前駆体を形成するステップであり、かつ誘電体前駆体を塗布するステップが乾燥誘電体前駆体によって区画された領域へ誘電体前駆体を塗布するであることが望ましい。これにより、簡単な方法で、区画された誘電体層を形成することができる。
以上のように本発明によれば、低誘電率の誘電体を単層で厚く形成したPDPの製造方法、およびPDPを提供することが可能となる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における背面パネル10の斜視図である。背面パネル10はガラス製の背面基板11、データ電極12、下地誘電体層13、背面板隔壁15、蛍光体層16からなる。背面基板11上にはライン状のデータ電極12が複数形成され、データ電極12を覆うように下地誘電体層13が形成されている。さらにその上に形成されている背面板隔壁15は、データ電極12の延設方向と平行な背面板縦隔壁15aと直交方向の背面板横隔壁15bからなる井桁状をしている。そして、背面板隔壁15の側面および下地誘電体層13上には赤色、緑色および青色の各色に発光する蛍光体材料からなる蛍光体層16が設けられている。なお、背面板縦隔壁15aの高さは5μm、頂部幅は40μm、ピッチは160μmである。背面板横隔壁15bの高さは5μm、頂部幅は40μm、ピッチは480μmである。このピッチは42インチサイズでフルHD規格である1920×1080の画素数を画素が形成できるピッチである。
図2は、本発明の第1の実施の形態における前面パネル20の斜視図である。前面パネル20は、ガラス製の前面基板21、表示電極対24、前面板隔壁25、誘電体層26、保護層27からなる。前面基板21上に形成された表示電極対24は、走査電極22と維持電極23とからなる。走査電極22と維持電極23は、透明電極22a(走査電極側)と透明電極23a(維持電極側)、バス電極22b(走査電極側)とバス電極23b(維持電極側)からなる。そして走査電極22と維持電極23の上に、表示電極対24の延設方向と直行方向の前面板縦隔壁25aと平行な方向の前面板横隔壁25bからなる前面板隔壁25が形成されている。また、前面板隔壁25で区画された部分に誘電体層26が形成されている。そして前面板隔壁25と誘電体層26の上に保護層27が形成されている。なお、前面板縦隔壁25aのピッチは160μm、前面板横隔壁25bのピッチは480μmで作成されている。これらのピッチは、それぞれ背面板縦隔壁15a、背面板横隔壁15bと同一である。
次に、本実施の形態における前面パネル20の製造方法について図3を参照しながら説明する。
まず、表示電極対形成ステップについて、図3(a)を参照しながら説明する。前面基板21の上に、走査電極22、維持電極23からなる表示電極対24を形成する。走査電極22と維持電極23は、インジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO)などからなる透明電極22a(走査電極側)、透明電極23a(維持電極側)と、銀などからなるバス電極22b(走査電極側)、バス電極23b(維持電極側)とによって構成されている。
透明電極22a、透明電極23aが形成された前面基板21の全面にバス電極の原料である感光性電極前駆体ペーストを塗布した後にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングする。パターニング後に焼成を行い、バス電極22b、バス電極23bを形成する。
次に、前面板隔壁形成ステップについて、図3(b)、図3(c)を参照しながら説明する。まず図3(b)に示すように、表示電極対24を形成した前面基板21全体に感光性を有する隔壁前駆体31を塗布する。その後、露光、現像、焼成を行うことにより、図3(c)に示すように、前面板縦隔壁25aと前面板横隔壁25bからなる前面板隔壁25を形成する。このステップによって、前面板隔壁25によって区画された塗布領域30が形成される。
次に、誘電体前駆体塗布ステップについて、図3(d)を参照しながら説明する。まず、誘電体前駆体塗布ステップで用いる誘電体前駆体32を作製する。2−プロパノールにエタノールを30重量%の割合で加えて溶媒とする。この溶媒にメチルトリエトキシシランを酢酸に溶解した溶液を加える。メチルトリエトキシシランの濃度は3モル/lになるように調整する。このようにして作製した誘電体前駆体32の中に、図3(c)で作製した前面板隔壁25が形成された前面基板21を浸漬する。浸漬した前面基板21を徐々に引き上げることにより塗布領域30の内部に誘電体前駆体32を塗布する。
この誘電体前駆体32を塗布した前面基板21を、150℃の大気雰囲気中において10分間硬化処理を行う。この硬化処理によって、メチルトリエトキシシランは、エトキシ基が分解し、ゲル状態に変化する。その後、前面基板21を昇温速度10℃/分で昇温し、500℃、40分で焼成処理を行い10℃/分で冷却して誘電体層26を作製する。作製した誘電体層26の膜厚は4μmである。
このようにして形成した誘電体層26について、クラックの評価を行った。評価は、任意に抽出した面内12箇所の塗布領域30における中央部、前面板縦隔壁25a近傍、前面板横隔壁25b近傍における顕微鏡観察で行った。その結果、いずれの場所においてもクラックはまったく観察できなかった。
この後、図3(e)に示すように、MgOからなる保護層27を蒸着法によって形成し、前面パネル20を完成させる。
このようにして作製した前面パネル20と従来の方法で作製した背面パネル10との重ね合わせを行う。前面パネル20と背面パネル10とを表示電極対24とデータ電極12とが交差するように対向配置し、位置合わせを行う。図4は、本発明の第1の実施の形態における前面パネル20と背面パネル10との重ね合わせ状態を示す断面図である。図4(a)はデータ電極12の延設方向と平行な方向での断面図、図4(b)はデータ電極12の延設方向と直交する方向での断面図である。同ピッチで形成している前面板縦隔壁25aの頂部と背面板縦隔壁15aの頂部とが対向し、かつ同ピッチで形成している前面板横隔壁25bの頂部と背面板横隔壁15bの頂部とが対向するようにして重ね合わせる。
その後、前面パネル20と背面パネル10との外周部をガラスフリットなどの封着材によって封着し、それぞれのパネルの間の放電空間に、ネオンとキセノンの混合ガスを放電ガスとして封入し、PDPを完成させる。
このようにして作製したPDPの表示電極対24に電圧を印加して放電させたが、すべての表示電極対24において、絶縁破壊は観測されず、良好な表示が可能であった。
なお、誘電体前駆体塗布ステップにおける誘電体前駆体32の塗布厚さは、前面板隔壁25の高さを変えることによって制御が可能である。誘電体前駆体32の硬化処理において、誘電体層26の膜厚は約20%減少するため、形成する前面板隔壁25の高さは形成する誘電体層26の膜厚と比較して、約20%高く形成する必要がある。さらに誘電体前駆体32の塗布厚さは、誘電体前駆体32の粘度と前面基板21の引き上げる速度によっても制御することができる。
図5は、本発明の第1の実施の形態における誘電体層26の区画された面積と膜厚を変えてクラックを評価した特性図である。クラックの有無は、焼成処理後の誘電体層26を顕微鏡観察して評価した。横軸は形成する誘電体層26の膜厚t[μm]、縦軸は前面板縦隔壁25aと前面板横隔壁25bとで囲まれた平面の面積S[mm]である。膜厚tが4μm以上では、
Figure 0004853336
の関係を満たせばクラックは起こらない。また膜厚tが4μm未満では、
Figure 0004853336
の関係を満たせばクラックは起こらない。すなわち、図5の斜線領域内の面積Sと膜厚tであればクラックは起こらない。斜線領域から外れる場合は、焼成処理によってクラックが発生する。クラックが発生した誘電体層26を利用してPDPを作製した場合、クラックの発生場所が絶縁破壊を起こし、不灯欠陥が生じる。
図4に示したように、前面板隔壁25の頂部は、背面板隔壁15の頂部と対向させて形成することが望ましい。対向させることにより、前面パネル20と背面パネル10との噛み合わせがよくなり、すべての放電セルでの特性が均一となり、安定した放電が可能になる。
なお、図4(a)、図4(b)は、前面板横隔壁25bと背面板横隔壁15bとのピッチが等しく、前面板縦隔壁25aと背面板縦隔壁15aとのピッチが等しい例を示しているが、これらのピッチは必ずしも一致させる必要はない。ただし、前面板横隔壁25bのピッチが背面板横隔壁15bの整数倍であることが望ましい。また、前面板縦隔壁25aのピッチが背面板縦隔壁15aの整数倍であることが望ましい。
図6に本発明の第1の実施の形態におけるピッチが異なる前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図を示す。なお、図6においては、単純化するために、保護層27を省略している。図6(a)は、前面板横隔壁25bのピッチが背面板横隔壁15bのピッチの2倍の例である。図6(b)は、前面板縦隔壁25aのピッチが背面板縦隔壁15aのピッチの3倍の例である。このように前面板隔壁25のピッチを背面板隔壁15のピッチの整数倍にすると、前面パネル20と背面パネル10でピッチが異なっていても噛み合わせがよく、安定した放電が可能になる。
このように前面板の区画面積を大きくすることにより、前面板隔壁25の数を少なくすることができ、生産がしやすくなる。
なお、前面板隔壁25のピッチを背面板隔壁15のピッチの整数倍にするとき、組み合わせる背面基板11の画素は、縦方向でも横方向でもよいが、形成する前面板隔壁25に囲まれた空間の縦と横の比が1:1から1:5の範囲外になると、(数3)または(数4)の関係式を満たしていたとしても、クラックが発生する。したがって、形成する前面板隔壁25に囲まれた空間の縦と横の比が1:1から1:5の範囲内にあることが望ましい。
また、背面板隔壁15のピッチを前面板隔壁25の整数倍にすることも可能である。この場合も噛み合わせがよく、すべての放電セルの特性が均一になる。
前面板隔壁25、背面板隔壁15の頂部の幅は、必ずしも同じである必要はない。図7は、本発明の第1の実施の形態における頂部幅が異なる前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図である。図7においては、単純化するために、保護層27を省略している。図7(a)は、前面板横隔壁25bの幅が背面板横隔壁15bの幅より狭い場合である。低誘電率の誘電体を用いた場合、このような構成により、誘電体が占める面積が大きくなるのでより低誘電率化が可能となる。また図7(b)は、前面板横隔壁25bの幅が背面板横隔壁15bの幅より広い場合である。
また、図8に示すように、前面パネル20と背面パネル10を貼り合わせる工程において、位置合わせの精度は粗くてよいが、好適には前面板隔壁25の頂部の中心と背面板隔壁15の頂部の中心との隔壁ずれ量33は5μm以下であることが望ましい。図8においては、単純化するために、保護層27を省略している。
誘電体前駆体32として、メチルトリエトキシシランを用いて説明したが、シリコン系のアルコキシドであれば同様の効果が得られる。特に、耐クラック性を向上させるために、好適にはアルコキシド基のうち1つがメチルまたはエチルで置換された構造を有することが望ましい。また、シリコン系以外の金属アルコキシドであっても、同様の効果を得ることができる。金属アルコキシドを用いることで、誘電率の低い材料で誘電体層26を形成することが可能となる。
さらに、誘電体前駆体32における金属アルコキシドの濃度や溶媒についても上記に限定されるものではない。
誘電体前駆体塗布ステップにおいて塗布領域30に塗布する誘電体前駆体32は酸化珪素の微粒子が混合されていてもよい。このような構成により、微粒子が誘電体層26の収縮を緩和するため、より膜厚を大きくすることができる。また微粒子が入っていることにより誘電体層26の収縮が小さくなるため、形成した隔壁の高さと形成される誘電体の膜厚の差が小さくなる。好適には微粒子を混合する体積比率が5%以上80%以下であることが望ましい。体積比率が5%より小さいと収縮を緩和する効果が小さい。体積比率が80%より大きくなると、誘電体層26の透明度が低下する。さらに粒子径は、好適には10nm以上100nm以下であることが望ましい。粒子径が10nmより小さいと、粒子が凝集しやすくなる。粒子径が100nmより大きいと、微粒子の沈降が速くなり、微粒子と原液が均一に混ざり合った状態を保持することが困難となる。また表面に微粒子が飛び出した構造となる場合、粒子径が大きいほど表面が粗くなり、乱反射により透過率が低下する。微粒子の混合は、誘電体前駆体32の作製時に行ってもよいし、誘電体前駆体32を塗布した後に、塗布領域30へ微粒子を加えてもよい。
なお、誘電体前駆体塗布ステップの前に、前面板隔壁25の頂部をマスクするかまたは撥水材を塗布しておくと、前面板隔壁25頂部に誘電体前駆体32が付着しないため、前面パネル20と背面パネル10とを円滑に対向させることができる。
本実施の形態における誘電体前駆体32の塗布方法として、前面基板21を誘電体前駆体32中に浸漬する方法を例示して説明したが、塗布方法に限定されるものではない。例えば、誘電体前駆体32を霧状にして噴射することにより塗布してもよい。この方法において、前面板隔壁25の頂部に直接溶液が付着しないように噴射するためには、ノズルの位置を制御するか、前述したように予め隔壁頂部をマスクするか撥水性の材料を塗布することが望ましい。この方法は、誘電体前駆体32に前面基板21を浸漬する必要がないため、誘電体前駆体32がごみなどによって汚染されることがなく、また塗布領域30のみを選択的に塗布することができる。また、インクジェット法によって塗布しても同様の効果が得られる。
本実施の形態の誘電体前駆体32の溶媒の主成分として水またはアルコール系の溶媒を選択した場合、図9に示すように、表面張力により溶液が隔壁側面に付着して、誘電体層26の周辺部が盛り上がり、中央部の窪んだ構造とすることができる。このような構造によりガス放電時の誘電体層26の表面電界強度が大きくなるため、PDPの駆動電圧を低減することができ、放電効率をさらに向上させることができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態における前面パネル20の製造方法について、図10を参照しながら説明する。図10(a)は、前面基板21上に走査電極22と維持電極23からなる表示電極対24が形成されている。表示電極対24を形成する方法はすでに第1の実施の形態で述べた方法と同様なので、説明を省略する。
図10(b)は、第1誘電体前駆体形成ステップである。表示電極対24を形成した前面基板21上の放電セルに相当する部分のうち、半分の放電セルについて、千鳥状に第1誘電体前駆体34を塗布する。第1誘電体前駆体34は誘電体前駆体32と同じ成分を含有し、メタルマスク印刷に適した粘度に調整して作製する。1個おきに目が開いた千鳥構造のメタルマスクを用いて行い、塗布後、メタルマスクを取り外すことなく150℃の大気雰囲気において10分間硬化処理を行う。硬化後にメタルマスクを取り外すことにより、千鳥状にパターニングされた第1誘電体前駆体34と、第1誘電体前駆体34で囲まれた塗布領域30が形成される。
図10(c)は、第2誘電体前駆体形成ステップである。第2誘電体前駆体35をマスクを使用せず、スキージのみを用いて塗布領域30へ充填塗布する。第2誘電体前駆体35は誘電体前駆体32と同じ成分を含有し、スキージングによる充填塗布に適した粘度に調整して作製する。
第2誘電体前駆体35の硬化処理以降は第1の実施の形態と同様に行い、PDPを作製する。このようにして作製したPDPの表示電極対24に電圧を印加して放電させたが、すべての表示電極対24において、絶縁破壊は観測されず、良好な表示が可能であった。
なお、第1誘電体前駆体34の塗布は、メタルマスク印刷に限定されるものではなく、スクリーン印刷や、パターニングされたレジストをマスクにした埋め込みなどによって形成してもよい。
第1誘電体前駆体34と第2誘電体前駆体35は、図10(c)に示すように、好適には誘電体層間隙36が少ないことが望ましい。このような構成により、第1誘電体前駆体34および第2誘電体前駆体35の占める割合が高くなるので、PDPの放電効率が向上する。
形成した誘電体層26の膜厚tと面積Sの関係は、第1の実施の形態で説明した関係と同一である。
このような構造を形成することにより、前面板隔壁25を形成する工程をなくすことができ、低コストで製造することができる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態における前面パネル20の製造方法について、図11を参照しながら説明する。図11(a)は、前面基板21上に走査電極22と維持電極23からなる表示電極対24が形成されている。表示電極対24を形成する方法はすでに第1の実施の形態で述べた方法と同様なので、説明を省略する。
図11(b)は撥水性材料層形成ステップである。放電セルの境界部分に撥水性材料層37をスクリーン印刷法にて形成する。その後、図11(c)に示すように、誘電体前駆体32の塗布を行う。誘電体前駆体32の塗布は、第1の実施の形態で示したように、誘電体前駆体32の中への前面基板21の浸漬、硬化を行い、硬化処理以降も第1の実施の形態と同様にしてPDPを作製する。このようにして作製したPDPの表示電極対24に電圧を印加して放電させたが、すべての表示電極対24において、絶縁破壊は観測されず、良好な表示が可能であった。
撥水性材料層37を形成する工程は、インクジェット法などで行ってもよい。また、誘電体前駆体32の形成は、スプレーによる吹き付けによって形成してもよい。
形成した誘電体層26の膜厚tと面積Sの関係は、第1の実施の形態で説明した関係と同一である。
このような構造を形成することにより、前面板隔壁25を形成する工程をなくすことができ、低コストで製造することができる。
本発明は、PDPおよびその製造方法であり、テレビ受像機、モニターなどのディスプレイ装置に利用できる。
本発明の第1の実施の形態における背面パネルの斜視図 本発明の第1の実施の形態における前面パネルの斜視図 本発明の第1の実施の形態における前面パネルの製造方法を示す斜視図 本発明の第1の実施の形態における前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図 本発明の第1の実施の形態における誘電体層のクラックを評価した特性図 本発明の第1の実施の形態におけるピッチが異なる前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図 本発明の第1の実施の形態における頂部幅が異なる前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図 本発明の第1の実施の形態におけるずれ量のある前面パネルと背面パネルとの重ね合わせ状態を示す断面図 本発明の第1の実施の形態における誘電体前駆体塗布後の誘電体前駆体の形状を示す斜視図 本発明の第2の実施の形態における前面パネルの製造方法を示す斜視図 本発明の第3の実施の形態における前面パネルの製造方法を示す斜視図
符号の説明
10 背面パネル
11 背面基板
12 データ電極
13 下地誘電体層
15 背面板隔壁
15a 背面板縦隔壁
15b 背面板横隔壁
16 蛍光体層
20 前面パネル
21 前面基板
22 走査電極
23 維持電極
24 表示電極対
25 前面板隔壁
25a 前面板縦隔壁
25b 前面板横隔壁
26 誘電体層
27 保護層
30 塗布領域
31 隔壁前駆体
32 誘電体前駆体
33 隔壁ずれ量
34 第1誘電体前駆体
35 第2誘電体前駆体
36 誘電体層間隙
37 撥水性材料層

Claims (8)

  1. 表示電極対と前記表示電極対を覆う誘電体層とを備えた前面基板とデータ電極と背面板隔壁とを備えた背面基板とを前記表示電極対と前記データ電極とを交差させて対向配置するプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    前記誘電体層を形成するステップが、前記前面基板の前記誘電体層の形成領域を複数の塗布領域に区画する区画ステップと、
    前記塗布領域に前記誘電体層の誘電体前駆体を単層で塗布する誘電体前駆体塗布ステップとを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記塗布領域の面積S[mm2]と前記誘電体層の膜厚t[μm]との関係が、t≧4の範囲において、
    Figure 0004853336
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記塗布領域の面積S[mm2]と前記誘電体層の膜厚t[μm]との関係が、t<4の範囲において、
    Figure 0004853336
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 前記誘電体前駆体が金属アルコキシドから加水分解をした物質を含む溶液であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記区画ステップが、前記前面基板へ前面板隔壁を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記前面板隔壁の前記表示電極対の延設方向と直交する方向のピッチが、前記背面板隔壁の前記データ電極の延設方向と平行な方向のピッチの整数倍であり、
    かつ前記前面板隔壁の頂部が、前記背面板隔壁の頂部と対向する位置に前記前面板隔壁を形成することを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 前記前面板隔壁の前記表示電極対の延設方向と平行な方向のピッチが、前記背面板隔壁の前記データ電極の延設方向と直交する方向のピッチの整数倍であり、
    かつ前記前面板隔壁の頂部が、前記背面板隔壁の頂部と対向する位置に前記前面板隔壁を形成することを特徴とする請求項5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  8. 前記区画ステップが、前記前面基板へ前記誘電体前駆体を千鳥状に塗布し、前記塗布した前記誘電体前駆体を乾燥することにより千鳥状誘電体前駆体を形成するステップであり、かつ前記誘電体前駆体塗布ステップが乾燥誘電体前駆体によって区画された領域へ前記誘電体前駆体を塗布するステップであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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