JP4852904B2 - 半導体レーザアレイ - Google Patents
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Description
リア密度の分布に非対称性(偏り)が生じると、キャリア密度の高い領域では同密度の低い領域に比較して相対的に屈折率が低下するという現象に基づき屈折率の分布にも非対称性が生じる。これにより、この半導体レーザの活性層内で発生したレーザ光の波面が、屈折率の低い領域から高い領域へと光が移る現象、いわゆる反導波現象に基づき曲げられることとなり、半導体レーザからはミラー面に対して鋭角、あるいは鈍角となるレーザ光が出射されるようになる。このため、半導体レーザアレイを構成する各半導体レーザについて、その電極ストライプの絶縁層に対する偏倚量を個々に調整することにより、同半導体レーザアレイからは前述の集光光やシート光が出射されるようになる。また特に、メサ構造部分に対応して各半導体レーザとしての活性層を設け、電極ストライプをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて同メサ構造の平坦な頂上部分に設けるといったより簡素な構造を通じて、アレイ配列された各半導体レーザの電極ストライプの偏倚量の調整のみによって集光光やシート光等、レーザ光としての指向特性の調整ができるようになるため、例えば前記特許文献2に見られるような注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいては集光光やシート光等の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
(イ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが外側に偏倚して設けられてなる構造。
あるいは請求項3に記載の発明によるように、
(ロ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが内側に偏倚して設けられてなる構造。
等々、を採用することができる。ちなみに、上記(イ)の構成によれば、電極ストライプの真下近傍のキャリア密度がその内側のキャリア密度よりも相対的に高くなるため、活性層で発生するレーザ光の波面が内側方向(半導体レーザアレイの中心方向)に曲げられることとなり、半導体レーザアレイからは集光光が出射されるようになる。一方、上記(ロ)の構成によれば、電極ストライプの真下近傍のキャリア密度がその内側のキャリア密度よりも相対的に低くなるため、活性層で発生するレーザ光の波面が外側方向に曲げられることとなり、半導体レーザアレイからはシート光が出射されるようになる。
たより簡素な構造を通じて、各半導体レーザのコンタクトホールの偏倚量の調整のみによって集光光やシート光等、レーザ光としての指向特性の調整がなされるため、この場合も集光光やシート光等の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。さらに、この構造では、キャリアを注入するための電極の構造として上層電極及び下層電極からなる2層電極構造を採用しているため、活性層の発光可能領域上を避けて上層電極にワイヤのボンディングを行うことができるようになり、ひいては半導体レーザアレイの寿命や信頼性の向上を図ることができるようにもなる。また、このような2層電極構造によれば、上層電極の同一箇所へのワイヤボンディングによって生産性の向上も期待できる。
(ハ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、上記コンタクトホールが外側に偏倚して設けられてなる構造。
あるいは請求項7に記載の発明によるように、
(ニ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、上記コンタクトホールが内側に偏倚して設けられてなる構造。
等々、を採用することができる。ちなみに上記(ハ)の構成によれば、上記(イ)の構造と同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになり、一方、上記(ニ)の構造によれば、上記(ロ)の構造と同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
以下、本発明にかかる半導体レーザアレイを適用した第1の実施の形態について図1を参照して説明する。
<構成>
図1は、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイについて、そのへき開面(断面)を示したものである。同図1に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、複数個の半導体レーザがアレイ状に配列されることによって構成されている。なお、ここでは便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうち、5個分についてのみその断面構造を図示している。
半導体レーザアレイとしてのこのような構造のもとに、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、活性層3に電流(キャリア)が注入されることとなり、半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。次に、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの動作態様について、詳細に説明する。
<動作態様>
まず、絶縁層5の各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、クラッド層4がメサ構造部分を有する構造であることから、電極ストライプ5aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。こうした活性層3のキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図1に二点破線にて付記する。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ100、101、103、104のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aを外側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層3におけるキャリア密度の最も高い部分が外側に存在することとなり、半導体レーザ100、101、103、104から半導体レーザアレイの中心方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じて集光光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについてそのへき開面を図2に示し、この図2を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図2に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図2に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザ110〜114がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ110〜114毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離された構造となっている。なお、このように分離された構造の活性層3は、周知の半導体加工技術により形成可能であり、例えば、クラッド層4までを基板1上にエピタキシャル成長により積層させた後、上記メサ構造部分に対応する部分以外の部分をエッチングにより除去することによって形成される。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。ただし、その集光光の指向特性、すなわち半導体レーザ110、111、113、114から出射されるレーザ光の出射角度θ2は、先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ100、101、103、104(図1)から出射されるレーザ光の出射角度θ1よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ2が出射角度θ1よりも大きくなる点について詳細に説明することとする。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層3内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図2に二点破線にて付記している。
(5)各半導体レーザ110〜114毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離されてなる構造とした。これにより、分離された活性層3の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じるようになるため、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れ、活性層3内で発生したレーザ光の波面がより顕著に曲げられるようになる。したがって、集光光を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、電極ストライプの絶縁層に対する偏倚方向を変えることによって半導体レーザアレイから前述のシート光が出射されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図3を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図3に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図3に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザ120〜124がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層4は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁層5の各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、前述のように、電極ストライプ5aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ120、121、123、124のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aを内側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層3におけるキャリア密度の最も高い部分が内側に存在することとなり、半導体レーザ120、121、123、124から半導体レーザアレイの外側方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第3の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じてシート光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図4を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図4に示すこととする。また、先の第3の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図4に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第3の実施の形態同様、半導体レーザ130〜134がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ130〜134毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離された構造となっている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、先の第3の実施の形態同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ただし、そのシート光の指向特性、すなわち半導体レーザ130、131、133、134から出射されるレーザ光の出射角度θ4は、先の第3の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ120、121、123、124(図3)から出射されるレーザ光の出射角度θ3よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ4が出射角度θ3よりも大きくなる点について詳細に説明することとする。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層3内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図4に二点破線にて付記している。
(第5の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、電極を2層構造とすることによってワイヤボンディングによる活性層への悪影響が抑制されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図5を参照しながら説明する。なお、ここでは便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図5に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図5に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、半導体レーザ140〜142がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層14は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
半導体レーザアレイとしての以上の構造において、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、活性層13にキャリアが注入されることとなり、半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。ここで、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの動作態様について、詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図5に二点破線にて付記している。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁膜17の各コンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、コンタクトホール17aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
(1)キャリアを注入するための電極構造として、下層電極16、絶縁膜17、及び上層電極18からなる2層電極構造を採用した。そして、半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ140〜142のうちの外側に位置するものほど、その絶縁膜17に対してコンタクトホール17aを外側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層13におけるキャリア密度の最も高い部分が外側に存在することとなり、半導体レーザ140、142から半導体レーザアレイの中心方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。したがって、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第6の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じて集光光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図6を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図6に示すこととする。また、先の第5の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図6に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザ150〜152がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ150〜152毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離された構造となっている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。ただし、その集光光の指向特性、すなわち半導体レーザ150、152から出射されるレーザ光の出射角度θ6は、先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ140、142(図5)から出射されるレーザ光の出射角度θ5よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ6が出射角度θ5よりも大きくなる点について詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図6に二点破線にて付記している。
(第7の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第7の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、コンタクトホールの絶縁膜に対する偏倚方向を変えることによって半導体レーザアレイから前述のシート光が出射されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図7を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図7に示すこととする。また、先の第5の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図7に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザ160〜162がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層14は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
このような半導体レーザアレイにおいて、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、活性層13にキャリアが注入されることとなり、同半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。ただし、上述した本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造のもとでは、同半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ここで、こうした半導体レーザアレイの動作態様について、以下詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図7に二点破線にて付記している。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁膜17のコンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、前述のように、コンタクトホール17aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ160〜162のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aを内側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層13におけるキャリア密度の最も高い部分が内側に存在することとなり、半導体レーザ160、162から半導体レーザアレイの外側方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。したがって、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
(第8の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第8の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第7の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じてシート光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図8を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を図8に示すこととする。また、先の第7の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図8に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第7の実施の形態同様、半導体レーザ170〜172がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ170〜172毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離された構造となっている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、先の第7の実施の形態同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ただし、そのシート光の指向特性、すなわち半導体レーザ170、172から出射されるレーザ光の出射角度θ8は、先の第7の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ160、162(図7)から出射されるレーザ光の出射角度θ7よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ8が出射角度θ7よりも大きくなる点について詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図8に二点破線にて付記している。
・半導体レーザアレイにキャリアを注入するための電極6や上層電極18の構造は任意である。例えば、上記各実施の形態のように各半導体レーザ毎に各別に電極6を設けるのではなく、これら各半導体レーザに共通の電極として、電極6や上層電極18を一体に設けるようにしてもよい。このような電極構造によれば、ワイヤボンディングにかかる工数の削減が図られるようになる。
Claims (9)
- 絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、
前記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して前記活性層を有し、
前記アレイ状に配列された半導体レーザとして、前記活性層内に生じるキャリア密度の分布が電流の注入方向に対して非対称となるように前記絶縁層に対して偏倚して前記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられた電極ストライプを備えるものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほど前記電極ストライプの偏倚量が大きく設定されてなる
ことを特徴とする半導体レーザアレイ。 - 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが外側に偏倚して設けられてなる
請求項1に記載の半導体レーザアレイ。 - 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが内側に偏倚して設けられてなる
請求項1に記載の半導体レーザアレイ。 - 絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、
前記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して前記活性層を有し、
前記電極ストライプは、各半導体レーザ毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅にて形成されてなるとともに、この電極ストライプが形成された電極を下層電極としてその上層には、絶縁膜を介して積層されてこの絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して下層電極と電気的に接続された上層電極を有してなり、前記アレイ状に配列された半導体
レーザとして、前記活性層内に生じるキャリア密度の分布が前記上層電極からの電流の注入方向に対して非対称となるように前記コンタクトホールが前記下層電極との間に介在する絶縁膜に対して偏倚して前記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられたものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほど前記コンタクトホールの偏倚量が大きく設定されてなる
ことを特徴とする半導体レーザアレイ。 - 前記コンタクトホールが、前記電極ストライプに沿ったストライプ状の孔として形成されてなる
請求項4に記載の半導体レーザアレイ。 - 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、前記コンタクトホールが外側に偏倚して設けられてなる
請求項4または請求項5に記載の半導体レーザアレイ。 - 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、前記コンタクトホールが内側に偏倚して設けられてなる
請求項4または請求項5に記載の半導体レーザアレイ。 - 前記活性層は、前記メサ構造部分に対応する部分以外の部分で前記絶縁層により分離されてなる
請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザアレイ。 - 前記活性層にキャリアを注入する電極が、Cr/Au系及びTi/Au系のいずれかの材料からなる
請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体レーザアレイ。
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