JP4852904B2 - 半導体レーザアレイ - Google Patents

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Description

本発明は、複数の半導体レーザがアレイ状に形成された半導体レーザアレイに関する。
近年、部品の加工や物体形状のセンシングをはじめ、様々な用途に半導体レーザが応用されており、その出射されるレーザ光の出射態様も、それら用途に応じて適宜選択されている。例えば、部品の加工や固体励起のように、高エネルギーのレーザ光を必要とする用途に対しては、複数のレーザ光を集光させて得られるエネルギー密度の高い集光光が用いられている。また、物体形状のセンシングのように、エネルギー密度の高さよりもむしろ広範囲の走査が要求される用途に対しては、シート状のレーザ光、いわゆるシート光が用いられている。
そして、これら集光光やシート光を出射するための構成としては一般に、レンズやミラー等の光学部品を用いた構成が採用されている。このうち、集光光を出射するための構成としては、複数の半導体レーザをアレイ状に配列しておき、これら半導体レーザから出射されるレーザ光をレンズによって集光させるようにした構成がある。一方、上記シート光を出射させるための構成としては、半導体レーザから出射されるレーザ光の光路をミラーあるいはレンズを用いて連続的に変えることによって同レーザ光による1次元走査を行い、擬似的にシート光とする構成がある。ただし、これらいずれの構成も、レンズやミラー等の光学部品を必要としており、またそれら光学部品の配置精度や駆動精度にも高い精度が要求されることから、こうしたレーザ装置としての構成の複雑化、あるいは高コスト化が避けられなかった。
そこで従来は、例えば特許文献1に見られるように、半導体レーザのストライプ部、すなわち電流を活性層に注入する電極ストライプをミラー面に対して傾斜させることによって同ミラー面に対し所定の角度をもったレーザ光が出射されるようにした半導体レーザを複数個、アレイ状に配列した半導体レーザアレイなども提案されるに至っている。このような構成を採用することにより、レンズ等の光学部品を用いずとも、半導体レーザアレイから発せられる複数のレーザ光による集光光やシート光の実現も期待できるようになる。
特開昭62−269377号公報 特公平6−93532号公報 特開平6−53610号公報
このように、上記従来の半導体レーザアレイによれば、同レーザアレイ自身から出射される複数のレーザ光による集光光やシート光の実現が期待できるとはいえ、現実としては、その構造に起因する以下のような問題が無視できず、その実現を困難なものとしている。
すなわち、上記半導体レーザアレイのように、ミラー面に対して電極ストライプだけを傾斜させたとしても、各半導体レーザの活性層から誘導放出されたレーザ光はその端面のミラー面で共振することから、必ずしも上記ストライプ部の傾斜角度通りにレーザ光が出射されるとは限らない。このため結局は、上述の集光光やシート光についてこれを高い精度のもとに得ることは困難とされていた。
なお従来、例えば特許文献2あるいは特許文献3に見られるように、2つのストライプ部を有するいわゆるツインストライプ半導体レーザのそれらストライプ部を通じて活性層に注入する電流の比率を変えることにより半導体レーザから出射されるレーザ光の方向を調整するようにしたものなども知られている。しかし、このようなツインストライプ半導体レーザそのものは基本的に1つのエミッタとしか機能しておらず、このような半導体レーザからは上述した集光光やシート光を得ることはできない。なお、例えば上記電流の比率を連続的に変化させるなどして、ビームスキャンによる擬似的なシート光を得ることは決して不可能ではないが、そのための電流制御の困難性等を考慮すると、実情としてはその実現も難しい。このため、このようなツインストライプ半導体レーザをアレイ配列して上述の集光光やシート光を得ようとしても、結局は、制御システムや装置構成上の複雑化が避けられない。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、何ら複雑な制御や機構等を必要としない簡素な構造でありながら、集光光やシート光等、レーザ光としての指向特性を任意に調整、設定することのできる半導体レーザアレイを提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、上記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して上記活性層を有し、上記アレイ状に配列された半導体レーザとして、上記活性層内に生じるキャリア密度の分布が電流の注入方向に対して非対称となるように上記絶縁層に対して偏倚して上記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられた電極ストライプを備えるものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほど上記電極ストライプの偏倚量が大きく設定される構造とした。
半導体レーザアレイとしてこのような構造によれば、電極ストライプが絶縁層に対して偏倚して設けられている半導体レーザにあって、キャリアの注入を通じて活性層内のキャ
リア密度の分布に非対称性(偏り)が生じると、キャリア密度の高い領域では同密度の低い領域に比較して相対的に屈折率が低下するという現象に基づき屈折率の分布にも非対称性が生じる。これにより、この半導体レーザの活性層内で発生したレーザ光の波面が、屈折率の低い領域から高い領域へと光が移る現象、いわゆる反導波現象に基づき曲げられることとなり、半導体レーザからはミラー面に対して鋭角、あるいは鈍角となるレーザ光が出射されるようになる。このため、半導体レーザアレイを構成する各半導体レーザについて、その電極ストライプの絶縁層に対する偏倚量を個々に調整することにより、同半導体レーザアレイからは前述の集光光やシート光が出射されるようになる。また特に、メサ構造部分に対応して各半導体レーザとしての活性層を設け、電極ストライプをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて同メサ構造の平坦な頂上部分に設けるといったより簡素な構造を通じて、アレイ配列された各半導体レーザの電極ストライプの偏倚量の調整のみによって集光光やシート光等、レーザ光としての指向特性の調整ができるようになるため、例えば前記特許文献2に見られるような注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいては集光光やシート光等の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
なお、このような半導体レーザアレイとしての具体的な構造としては、例えば請求項2に記載の発明によるように、
(イ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが外側に偏倚して設けられてなる構造。
あるいは請求項3に記載の発明によるように、
(ロ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが内側に偏倚して設けられてなる構造。
等々、を採用することができる。ちなみに、上記(イ)の構成によれば、電極ストライプの真下近傍のキャリア密度がその内側のキャリア密度よりも相対的に高くなるため、活性層で発生するレーザ光の波面が内側方向(半導体レーザアレイの中心方向)に曲げられることとなり、半導体レーザアレイからは集光光が出射されるようになる。一方、上記(ロ)の構成によれば、電極ストライプの真下近傍のキャリア密度がその内側のキャリア密度よりも相対的に低くなるため、活性層で発生するレーザ光の波面が外側方向に曲げられることとなり、半導体レーザアレイからはシート光が出射されるようになる。
また、請求項4に記載の発明では、絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、上記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して活性層を有し、上記電極ストライプが、各半導体レーザ毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅にて形成されてなるとともに、この電極ストライプが形成された電極を下層電極としてその上層には、絶縁膜を介して積層されてこの絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して下層電極と電気的に接続された上層電極を有しており、上記アレイ状に配列された半導体レーザとして、上記活性層内に生じるキャリア密度の分布が上記上層電極からの電流の注入方向に対して非対称となるように上記コンタクトホールが上記下層電極との間に介在する絶縁膜に対して偏倚して上記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられたものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほどコンタクトホールの偏倚量が大きく設定される構造とした。
半導体レーザアレイとしてこのような構造によれば、コンタクトホールが上記下層電極との間に介在する絶縁膜に対して偏倚して設けられている半導体レーザでは、上記請求項1に記載の発明と同様、キャリアの注入によって活性層内の屈折率の分布に非対称性が生じることとなるため、半導体レーザからはミラー面に対して鋭角、あるいは鈍角となるレーザ光が出射されるようになる。このため、半導体レーザアレイを構成する各半導体レーザについて、そのコンタクトホールの上記絶縁膜に対する偏倚量を個々に調整することにより、同半導体レーザアレイからは前述の集光光やシート光が出射されるようになる。また特に、メサ構造部分に対応して各半導体レーザとしての活性層を設け、コンタクトホールをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて同メサ構造の平坦な頂上部分に設けるといっ
たより簡素な構造を通じて、各半導体レーザのコンタクトホールの偏倚量の調整のみによって集光光やシート光等、レーザ光としての指向特性の調整がなされるため、この場合も集光光やシート光等の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。さらに、この構造では、キャリアを注入するための電極の構造として上層電極及び下層電極からなる2層電極構造を採用しているため、活性層の発光可能領域上を避けて上層電極にワイヤのボンディングを行うことができるようになり、ひいては半導体レーザアレイの寿命や信頼性の向上を図ることができるようにもなる。また、このような2層電極構造によれば、上層電極の同一箇所へのワイヤボンディングによって生産性の向上も期待できる。
また、請求項5に記載の発明によるように、上記コンタクトホールが、上記電極ストライプに沿ったストライプ状の孔として形成されてなる構造とすれば、コンタクトホールの長手方向に沿って一様に屈折率の分布の非対称性が生じることとなり、コンタクトホールの上記絶縁膜に対する偏倚量の調整を通じた上記集光光やシート光の指向特性の調整もより高い精度のもとに行われるようになる。
なお、このような半導体レーザアレイとしての具体的な構造としては、請求項6に記載の発明によるように、
(ハ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、上記コンタクトホールが外側に偏倚して設けられてなる構造。
あるいは請求項7に記載の発明によるように、
(ニ)上記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、上記コンタクトホールが内側に偏倚して設けられてなる構造。
等々、を採用することができる。ちなみに上記(ハ)の構成によれば、上記(イ)の構造と同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになり、一方、上記(ニ)の構造によれば、上記(ロ)の構造と同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
また、請求項1〜のいずれかに記載の半導体レーザアレイにおいて、請求項に記載の発明によるように、上記活性層が、上記メサ構造部分に対応する部分以外の部分で上記絶縁層により分離されてなる構造とすれば、分離された活性層の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じるようになる。このため、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れるようになり、活性層内で発生したレーザ光の波面もより顕著に曲げられるようになる。すなわち、集光光やシート光等を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
また、請求項1〜のいずれかに記載の半導体レーザアレイにおいて、請求項に記載の発明によるように、上記活性層にキャリアを注入する電極として、例えばCr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗の大きいCr/Au系及びTi/Au系のいずれかの材料を採用することが特に有効である。これにより、注入されるキャリアの余分な拡散が抑制されてキャリア密度の偏りが助長されるため、レーザ光の波面がより大きく曲げられるようになる。このため、この場合も集光光やシート光等を得る上での指向特性の調整範囲の拡大が図られるようになる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる半導体レーザアレイを適用した第1の実施の形態について図1を参照して説明する。
<構成>
図1は、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイについて、そのへき開面(断面)を示したものである。同図1に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、複数個の半導体レーザがアレイ状に配列されることによって構成されている。なお、ここでは便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうち、5個分についてのみその断面構造を図示している。
図1に示されるように、この半導体レーザアレイは、半導体レーザ100〜104が、アレイ状に配列されることによって構成されている。具体的には、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイは、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層4は、所定の間隔毎、例えば200μm〜500μm間隔毎に、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造となるように形成されている。すなわち、各半導体レーザ100〜104は、メサ構造部分に対応して活性層3を有する構造となっている。
また、この半導体レーザアレイにおいて、上記絶縁層5には、クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、へき開面に直交する方向に電極ストライプ5aが設けられている。本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、アレイ状に配列された半導体レーザ100〜104のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aが外側に偏倚して設けられている。例えば、半導体レーザ102を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、この半導体レーザ102から遠ざかる位置に配列された半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが絶縁層5に対して外側に偏倚して設けられている。すなわち、半導体レーザ100、101では、その電極ストライプ5aが、図1における左側に偏倚して設けられており、半導体レーザ103、104では、その電極ストライプ5aが、同図1における右側に偏倚して設けられている。しかも、その偏倚量は、半導体レーザ101よりも半導体レーザ100の方が大きく、半導体レーザ103よりも半導体レーザ104の方が大きくなっている。このうち半導体レーザ100について見てみると、その電極ストライプ5aは、クラッド層4のメサ構造部分の中心を通る中心線Aから図1において左側に偏倚して設けられている。
また、この半導体レーザアレイにおいて、上記絶縁層5の上面には、クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、基板1側からCr、Auとなる2層構造の電極6が設けられている。このように電極6の材料としてCr/Auを採用することにより、半導体レーザの電極材料として一般に使用されるCr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗を大きくすることができる。なお、Cr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗が大きい材料としてはこの他にも、例えばTi/Auがある。そこで、上記電極6の構造として、基板1からTi、Auとなる2層構造を採用するようにしてもよい。そして、この電極6とクラッド層4とのオーミックコンタクトが取られた後、各電極6に対してワイヤボンディングが施されることになる。
他方、こうした半導体レーザアレイにおいて、上記基板1の下面には、基板1側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極7が設けられている。
半導体レーザアレイとしてのこのような構造のもとに、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、活性層3に電流(キャリア)が注入されることとなり、半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。次に、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの動作態様について、詳細に説明する。
<動作態様>
まず、絶縁層5の各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、クラッド層4がメサ構造部分を有する構造であることから、電極ストライプ5aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。こうした活性層3のキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図1に二点破線にて付記する。
ここで、半導体レーザ100について見てみると、その電極ストライプ5aがクラッド層4のメサ構造部分の中心線Aから図1において左側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Aよりも左側に存在することとなり、キャリア密度の分布に偏り(非対称性)が生じる。すなわち、活性層3内にキャリア密度の高い部分と低い部分とが生じる。その結果、キャリア密度の高い部分では低い部分に比較して光結合が活発に行われることとなり、同低い部分に比較して相対的に利得が高くなるとともに、屈折率が相対的に低下する。こうして屈折率の分布にも偏り(非対称性)が生じると、活性層3内で発生したレーザ光は、屈折率の低い方から屈折率の高い方へと光が曲げられる現象、いわゆる反導波現象によってその波面が曲げられることとなる。このため、図1に破線にて示すように、半導体レーザ100からはミラー面(へき開面)に対して出射角度θ1だけ傾斜したレーザ光が出射されるようになる。
また、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいては、上述のように、半導体レーザ102を中心として、外側に配列された半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが外側に偏倚して設けられている。このため、キャリア密度の最も高い部分も、外側に配列された半導体レーザほど外側に存在することとなる。その結果、半導体レーザ100、101、103、104からは、それぞれ出射角度の異なるレーザ光が出射され、半導体レーザアレイからはこれらレーザ光の総和として集光光が出射されるようになる。また、このように電極ストライプ5aの絶縁層5に対する偏倚の方向、偏倚量に応じてキャリア密度の最も高い部分も偏倚することから、半導体レーザアレイから出射される集光光の指向特性は、上記電極ストライプ5aの絶縁層5に対する偏倚量によって調整可能である。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ100、101、103、104のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aを外側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層3におけるキャリア密度の最も高い部分が外側に存在することとなり、半導体レーザ100、101、103、104から半導体レーザアレイの中心方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。
(2)また、半導体レーザ100、101、103、104の電極ストライプ5aの絶縁層5に対する偏倚量の調整によって集光光の指向特性が調整されるため、注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいては集光光の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
(3)また、メサ構造部分に対応して活性層3を設けるようにした。このため、電極ストライプ5aをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて設けるといったより簡素な構造を通じて、活性層3内のキャリア密度の分布に非対称性を生じさせることができる。
(4)活性層3にキャリアを注入する電極6の材料として、Cr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗の大きいCr/Au(Ti/Au)を採用した。これにより、注入されるキャリアの余分な拡散が抑制されてキャリア密度の偏りが助長されるため、半導体レーザ100、101、103、104から出射されるレーザ光の波面がより大きく曲げられるようになる。このため、集光光を得る上での指向特性の調整範囲の拡大が図られるようになる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じて集光光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについてそのへき開面を図2に示し、この図2を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図2に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図2に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザ110〜114がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ110〜114毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離された構造となっている。なお、このように分離された構造の活性層3は、周知の半導体加工技術により形成可能であり、例えば、クラッド層4までを基板1上にエピタキシャル成長により積層させた後、上記メサ構造部分に対応する部分以外の部分をエッチングにより除去することによって形成される。
また、この半導体レーザアレイにおいても、絶縁層5には、クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、へき開面に直交する方向に電極ストライプ5aが設けられている。そして、本実施の形態においても、半導体レーザ112を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、先の第1の実施の形態と同様、この半導体レーザ112から外側に位置する半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが絶縁層5に対して外側に偏倚して設けられている。また、その偏倚量は、半導体レーザ111よりも半導体レーザ110の方が大きく、半導体レーザ113よりも半導体レーザ114の方が大きくなっている。
そして、絶縁層5の上面には、上記クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、基板1側からCr、Auとなる2相構造の電極6が設けられている。一方、上記基板1の下面には、基板1側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極7が設けられている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。ただし、その集光光の指向特性、すなわち半導体レーザ110、111、113、114から出射されるレーザ光の出射角度θ2は、先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ100、101、103、104(図1)から出射されるレーザ光の出射角度θ1よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ2が出射角度θ1よりも大きくなる点について詳細に説明することとする。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層3内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図2に二点破線にて付記している。
この場合もまず、絶縁層5に設けられた各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。ここで、半導体レーザ100について見てみると、その電極ストライプ5aがクラッド層4のメサ構造部分の中心線Aから図2において左側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Aよりも左側に存在することとなり、活性層3におけるキャリア密度の分布に非対称性が生じる。しかも、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、活性層3が絶縁層5により分離されていることから、分離された活性層3の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じる。このため、活性層3を分離しない場合に比較して、活性層3内の屈折率の分布がより大きく表れることとなり、活性層3内で発生したレーザ光の波面はより顕著に曲げられるようになる。その結果、図2に破線にて示すように、半導体レーザ110からは、先の図1に示す出射角度θ1よりも大きな出射角度θ2にてレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから出射される集光光の指向特性の調整範囲が拡大されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、上記(1)〜(4)の効果に加えて、以下のような新たな効果を得ることができるようになる。
(5)各半導体レーザ110〜114毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離されてなる構造とした。これにより、分離された活性層3の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じるようになるため、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れ、活性層3内で発生したレーザ光の波面がより顕著に曲げられるようになる。したがって、集光光を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、電極ストライプの絶縁層に対する偏倚方向を変えることによって半導体レーザアレイから前述のシート光が出射されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図3を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図3に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図3に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第1の実施の形態同様、半導体レーザ120〜124がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層4は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
また、この半導体レーザアレイにおいても、絶縁層5には、クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、へき開面に直交する方向に電極ストライプ5aが設けられている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、アレイ状に配列された半導体レーザ120〜124のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aが内側に偏倚して設けられている。例えば、半導体レーザ122を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、この半導体レーザ122から遠ざかる位置に配列された半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが絶縁層5に対して内側に偏倚して設けられている。すなわち、半導体レーザ120、121では、その電極ストライプ5aが、図3における右側に偏倚して設けられており、半導体レーザ123、124では、その電極ストライプ5aが、同図3における左側に偏倚して設けられている。しかも、その偏倚量は、半導体レーザ121よりも半導体レーザ120の方が大きく、半導体レーザ123よりも半導体レーザ124の方が大きくなっている。このうち半導体レーザ120について見てみると、その電極ストライプ5aは、クラッド層4のメサ構造部分の中心を通る中心線Bから図3において右側に偏倚して設けられている。
そして、この半導体レーザアレイにおいても、絶縁層5の上面には、上記クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、基板1側からCr、Auとなる2相構造の電極6が設けられている。一方、上記基板1の下面には、基板1側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極7が設けられている。
そして、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、活性層3にキャリアが注入されることとなり、半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。ただし、上述した本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造のもとでは、同半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ここで、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの動作態様について、詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層3内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図3に二点破線にて付記している。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁層5の各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、前述のように、電極ストライプ5aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
ここで、半導体レーザ120について見てみると、その電極ストライプ5aがクラッド層4のメサ構造部分の中心線Bから図3において右側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Bよりも右側に存在することとなり、屈折率の分布にも非対称性が生じる。ただし、その屈折率の分布態様は、先の第1の実施の形態、あるいは先の第2の実施の形態とは異なり、メサ構造部分の中心線Bよりも右側の屈折率が同中心線Bの左側の屈折率よりも相対的に低い分布となる。このため、図3に破線にて示すように、ミラー面に対して出射角度θ3だけ半導体レーザアレイの外側方向に傾斜したレーザ光が半導体レーザ120から出射されるようになる。
また、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいては、上述のように、半導体レーザ122を中心として、外側に配列された半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが内側に偏倚して設けられている。このため、キャリア密度の最も高い部分も、外側に配列された半導体レーザほど内側に存在することとなる。その結果、半導体レーザ120、121、123、124からは、それぞれ出射角度の異なるレーザ光が出射され、半導体レーザアレイからはこれらレーザ光の総和としてシート光が出射されるようになる。また、この半導体レーザアレイから出射されるシート光の指向特性は、先の第1の実施の形態同様、上記電極ストライプ5aの絶縁層5に対する偏倚量によって調整可能である。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ120、121、123、124のうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプ5aを内側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層3におけるキャリア密度の最も高い部分が内側に存在することとなり、半導体レーザ120、121、123、124から半導体レーザアレイの外側方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
(2)また、半導体レーザ120、121、123、124の電極ストライプ5aの絶縁層5に対する偏倚量の調整によってシート光の指向特性が調整されるため、注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいてはシート光の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
(3)また、メサ構造部分に対応して活性層3を設けるようにしたため、電極ストライプ5aをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて設けるといったより簡素な構造を通じて、活性層3内のキャリア密度の分布に非対称性を生じさせることができるようになる。
(4)活性層3にキャリアを注入する電極6の材料として、Cr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗の大きいCr/Au(Ti/Au)を採用した。これにより、注入されるキャリアの余分な拡散が抑制されてキャリア密度の偏りが助長されるため、半導体レーザ120、121、123、124から出射されるレーザ光の波面がより大きく曲げられるようになる。このため、シート光を得る上での指向特性の調整範囲の拡大が図られるようになる。
(5)各半導体レーザ120〜124毎に各別に電極6を設けるようにした。このため、各電極6に同一タイミングにて電流を流してシート光を得ることができることに加えて、これら各電極6に流す電流を順次切り換えることによってビームスキャン(一次元走査)を行うこともできるようになる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第4の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第3の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じてシート光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図4を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの5個分についてのみ、そのへき開面を同図4に示すこととする。また、先の第3の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図4に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第3の実施の形態同様、半導体レーザ130〜134がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板1上に、n−AlGaAsクラッド層2、GaAs活性層3、p−AlGaAsクラッド層4、及び絶縁層5が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ130〜134毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離された構造となっている。
また、絶縁層5には、クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、へき開面に直交する方向に電極ストライプ5aが設けられている。そして、本実施の形態においても、半導体レーザ132を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、先の第3の実施の形態と同様、この半導体レーザ132から外側に位置する半導体レーザほど、その電極ストライプ5aが絶縁層5に対して内側に偏倚して設けられている。また、その偏倚量は、半導体レーザ131よりも半導体レーザ130の方が大きく、半導体レーザ133よりも半導体レーザ134の方が大きくなっている。
そして、絶縁層5の上面には、上記クラッド層4のメサ構造部分にそれぞれ対応して、基板1側からCr、Auとなる2相構造の電極6が設けられている。一方、上記基板1の下面には、基板1側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極7が設けられている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記電極6と上記電極7との間に順方向電圧が印加されると、先の第3の実施の形態同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ただし、そのシート光の指向特性、すなわち半導体レーザ130、131、133、134から出射されるレーザ光の出射角度θ4は、先の第3の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ120、121、123、124(図3)から出射されるレーザ光の出射角度θ3よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ4が出射角度θ3よりも大きくなる点について詳細に説明することとする。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層3内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図4に二点破線にて付記している。
この場合もまず、絶縁層5に設けられた各電極ストライプ5aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアがクラッド層4内を拡散していき、活性層3内にキャリア密度の分布が生じる。ここで、半導体レーザ130について見てみると、その電極ストライプ5aがクラッド層4のメサ構造部分の中心線Bから図4において右側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Bよりも右側に存在することとなり、活性層3におけるキャリア密度の分布に非対称性が生じる。しかも、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、活性層3が絶縁層5により分離されていることから、活性層3を分離しない場合に比較して、活性層3内の屈折率の分布がより大きく表れることとなる。その結果、活性層3内で発生したレーザ光の波面はより顕著に曲げられるようになり、図4に破線にて示すように、半導体レーザ110からは、先の図3に示す出射角度θ3よりも大きな出射角度θ4にてレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから出射されるシート光の指向特性の調整範囲が拡大されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、先の第3の実施の形態における上記(1)〜(5)の効果に加えて、以下のような新たな効果を得ることができるようになる。
(6)各半導体レーザ130〜134毎に活性層3が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層5により分離されてなる構造とした。これにより、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れて、活性層3内で発生したレーザ光の波面がより顕著に曲げられるようになる。このため、シート光を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第5の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第1の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、電極を2層構造とすることによってワイヤボンディングによる活性層への悪影響が抑制されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図5を参照しながら説明する。なお、ここでは便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図5に示すこととする。また、先の第1の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図5に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、半導体レーザ140〜142がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層14は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
また、絶縁層15には、クラッド層14のメサ構造部分にそれぞれ対応して、へき開面に直交する方向に電極ストライプ15aが設けられている。ただし、本実施の形態においてこの電極ストライプ15aは、各半導体レーザ140〜142毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅となるように形成されている。
また、この絶縁層15上には、基板11側からCr、Auとなる2相構造の下層電極16が設けられている。さらにこの下層電極16の上層には、絶縁膜17を介して積層されて同下層電極16と電気的に接続された上層電極18が設けられている。この上層電極18も、上記下層電極16と同様、基板11側からCr、Auとなる2相構造となっている。そして、上層電極18の上面には、活性層13の発光可能領域を避けた位置、すなわちクラッド層14のメサ構造部分から外れた位置に2箇所、ワイヤボンディングが施されている。このように本実施の形態では、キャリアを注入するための電極として、いわゆる2層電極構造を採用している。なお、本実施の形態では、ワイヤの断線等による不都合に対処するために、上層電極18の2箇所にワイヤボンディングが施されている。
また、上記2層電極構造部分において、絶縁膜17には、上記電極ストライプ15aに沿ったストライプ状の孔としてコンタクトホール17aが設けられている。本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、アレイ状に配列された半導体レーザ140〜142のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aが外側に偏倚して設けられている。具体的には、半導体レーザ141を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、半導体レーザ140では、そのコンタクトホール17aが、図5における左側に偏倚して設けられており、半導体レーザ142では、そのコンタクトホール17aが、同図5における右側に偏倚して設けられている。このうち半導体レーザ140について見てみると、そのコンタクトホール17aは、クラッド層14のメサ構造部分の中心を通る中心線Cから図5において左側に偏倚して設けられている。
そして、上記基板11の下面には、基板11側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極19が設けられている。
半導体レーザアレイとしての以上の構造において、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、活性層13にキャリアが注入されることとなり、半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。ここで、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの動作態様について、詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図5に二点破線にて付記している。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁膜17の各コンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、コンタクトホール17aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
ここで、半導体レーザ140について見てみると、そのコンタクトホール17aがクラッド層14のメサ構造部分の中心線Cから図5において左側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Cよりも左側に存在することとなり、屈折率の分布に非対称性が生じる。このため、図5に破線にて示すように、ミラー面に対して出射角度θ5だけ半導体レーザアレイの中心方向に傾斜したレーザ光が半導体レーザ140から出射されるようになる。
また、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいては、上述のように、半導体レーザ141を中心として、外側に配列された半導体レーザほど、そのコンタクトホール17aが外側に偏倚して設けられている。このため、キャリア密度の最も高い部分も、外側に配列された半導体レーザほど外側に存在することとなる。その結果、半導体レーザ140、142からは、それぞれ出射角度の異なるレーザ光が出射され、半導体レーザアレイからはこれらレーザ光の総和として集光光が出射されるようになる。また、このようにコンタクトホール17aの絶縁膜17に対する偏倚の方向、偏倚量に応じてキャリア密度の最も高い部分も偏倚することから、半導体レーザアレイから出射される集光光の指向特性は、上記コンタクトホール17aの絶縁膜17に対する偏倚量によって調整可能である。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)キャリアを注入するための電極構造として、下層電極16、絶縁膜17、及び上層電極18からなる2層電極構造を採用した。そして、半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ140〜142のうちの外側に位置するものほど、その絶縁膜17に対してコンタクトホール17aを外側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層13におけるキャリア密度の最も高い部分が外側に存在することとなり、半導体レーザ140、142から半導体レーザアレイの中心方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。したがって、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。
(2)また、半導体レーザ140、142のコンタクトホール17aの絶縁膜17に対する偏倚量の調整によって集光光の指向特性が調整されるため、注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいては集光光の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
(3)また、メサ構造部分に対応して活性層13を設けるようにした。このため、コンタクトホール17aをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて設けるといったより簡素な構造を通じて、活性層13内のキャリア密度の分布に非対称性を生じさせることができるようになる。
(4)活性層13にキャリアを注入する上層電極18及び下層電極16の材料として、Cr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗の大きいCr/Au(Ti/Au)を採用した。これにより、注入されるキャリアの余分な拡散が抑制されてキャリア密度の偏りが助長されるため、半導体レーザ140、142から出射されるレーザ光の波面がより大きく曲げられるようになる。このため、集光光を得る上での指向特性の調整範囲の拡大が図られるようになる。
(5)また、キャリアを注入するための電極構造として、下層電極16、絶縁膜17、及び上層電極18からなる2層電極構造を採用したため、コンタクトホール17aから離れた箇所からのキャリアの注入に対しても活性層13内には好適なキャリア密度の分布が生じるようになる。このため、活性層13の発光可能領域上を避けて上層電極18にワイヤのボンディングを行うことができるようになり、ひいては半導体レーザアレイの寿命や信頼性の向上を図ることができるようにもなる。また、このような2層電極構造によれば、上層電極18の同一箇所へのワイヤボンディングによって生産性の向上も期待できるようになる。
(第6の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第6の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じて集光光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図6を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図6に示すこととする。また、先の第5の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図6に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザ150〜152がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ150〜152毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離された構造となっている。
また、絶縁層15には、へき開面に直交する方向に対して、各半導体レーザ150〜152毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅となる電極ストライプ15aが設けられている。
また、この絶縁層15上には、基板11側からCr、Auとなる2相構造の下層電極16が設けられている。さらに下層電極16の上層には、絶縁膜17を介して積層されて同下層電極16と電気的に接続された上層電極18が設けられている。この上層電極18も、下層電極16と同様、基板11側からCr、Auとなる2相構造となっている。そして、上層電極18の上面には、クラッド層14のメサ構造部分から外れた位置に2箇所、ワイヤボンディングが施されている。すなわち、本実施の形態においても、キャリアを注入するための電極として、いわゆる2層電極構造を採用している。
また、上記2層電極構造部分において、絶縁膜17には、上記電極ストライプ15aに沿ったストライプ状の孔としてコンタクトホール17aが設けられている。本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいても、アレイ状に配列された半導体レーザ150〜152のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aが外側に偏倚して設けられている。すなわち、半導体レーザ151を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、半導体レーザ150では、そのコンタクトホール17aが、図6における左側に偏倚して設けられており、半導体レーザ152では、そのコンタクトホール17aが、同図6における右側に偏倚して設けられている。
そして、上記基板11の下面には、基板11側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極19が設けられている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザアレイから集光光が出射されるようになる。ただし、その集光光の指向特性、すなわち半導体レーザ150、152から出射されるレーザ光の出射角度θ6は、先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ140、142(図5)から出射されるレーザ光の出射角度θ5よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ6が出射角度θ5よりも大きくなる点について詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図6に二点破線にて付記している。
この場合もまず、絶縁膜17に設けられた各コンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。ここで、半導体レーザ150について見てみると、そのコンタクトホール17aがクラッド層14のメサ構造部分の中心線Cから図6において左側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Cよりも左側に存在することとなり、活性層13におけるキャリア密度の分布にも非対称性が生じる。しかも、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、活性層13が絶縁層15により分離されていることから、分離された活性層13の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じる。このため、活性層13を分離しない場合に比較して、活性層13内の屈折率の分布がより大きく表れることとなり、活性層13内で発生したレーザ光の波面はより顕著に曲げられるようになる。その結果、図6に破線にて示すように、半導体レーザ150からは、先の図5に示す出射角度θ5よりも大きな出射角度θ6にてレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから出射される集光光の指向特性の調整範囲が拡大されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、先の第5の実施の形態における上記(1)〜(5)の効果に加えて、以下のような新たな効果を得ることができるようになる。
(6)各半導体レーザ150〜152毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離されてなる構造とした。これにより、分離された活性層13の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じるようになるため、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れ、活性層13内で発生したレーザ光の波面がより顕著に曲げられるようになる。したがって、集光光を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
(第7の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第7の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第5の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、コンタクトホールの絶縁膜に対する偏倚方向を変えることによって半導体レーザアレイから前述のシート光が出射されるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図7を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を同図7に示すこととする。また、先の第5の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図7に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第5の実施の形態同様、半導体レーザ160〜162がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構造となっている。このうち、クラッド層14は、所定の間隔毎にメサ構造となるように形成されている。
また、絶縁層15には、へき開面に直交する方向に対して、各半導体レーザ160〜162毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅となる電極ストライプ15aが設けられている。
また、この絶縁層15上には、基板11側からCr、Auとなる2相構造の下層電極16が設けられている。さらにこの下層電極16の上層には、絶縁膜17を介して積層されて同下層電極16と電気的に接続された上層電極18が設けられている。この上層電極18も、下層電極16と同様、基板11側からCr、Auとなる2相構造となっている。そして、上層電極18の上面には、クラッド層14のメサ構造部分から外れた位置に2箇所、ワイヤボンディングが施されている。すなわち、本実施の形態においても、キャリアを注入するための電極として、いわゆる2層電極構造を採用している。
また、上記2層電極構造部分において、絶縁膜17には、上記電極ストライプ15aに沿ったストライプ状の孔としてコンタクトホール17aが設けられている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、アレイ状に配列された半導体レーザ160〜162のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aが内側に偏倚して設けられている。具体的には、半導体レーザ161を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、半導体レーザ160では、そのコンタクトホール17aが、図7における右側に偏倚して設けられており、半導体レーザ162では、そのコンタクトホール17aが、同図7における左側に偏倚して設けられている。このうち半導体レーザ160について見てみると、そのコンタクトホール17aは、クラッド層14のメサ構造部分の中心を通る中心線Dから図7において右側に偏倚して設けられている。
そして、上記基板11の下面には、基板11側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極19が設けられている。
このような半導体レーザアレイにおいて、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、活性層13にキャリアが注入されることとなり、同半導体レーザアレイからレーザ光が出射されるようになる。ただし、上述した本実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造のもとでは、同半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ここで、こうした半導体レーザアレイの動作態様について、以下詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図7に二点破線にて付記している。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてのこのような構造においてもまず、絶縁膜17のコンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。このキャリア密度の分布は、前述のように、コンタクトホール17aの真下近傍が最も密度の高い分布となる。
ここで、半導体レーザ160について見てみると、そのコンタクトホール17aがクラッド層14のメサ構造部分の中心線Dから図7において右側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Dよりも右側に存在することとなり、屈折率の分布にも非対称性が生じる。ただし、その屈折率の分布態様は、先の第5の実施の形態、あるいは先の第6の実施の形態とは異なり、メサ構造部分の中心線Dよりも右側の屈折率が同中心線Dの左側の屈折率よりも相対的に低い分布となる。このため、図7に破線にて示すように、ミラー面に対して出射角度θ7だけ半導体レーザアレイの外側方向に傾斜したレーザ光が半導体レーザ160から出射されるようになる。
また、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいては、上述のように、半導体レーザ161を中心として、外側に配列された半導体レーザほど、そのコンタクトホール17aが内側に偏倚して設けられている。このため、キャリア密度の最も高い部分も、外側に配列された半導体レーザほど内側に存在することとなる。その結果、半導体レーザ160、162からは、それぞれ出射角度の異なるレーザ光が出射され、半導体レーザアレイからはこれらレーザ光の総和としてシート光が出射されるようになる。また、この半導体レーザアレイから出射されるシート光の指向特性は、先の第5の実施の形態同様、コンタクトホール17aの絶縁膜17に対する偏倚量によって調整可能である。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)半導体レーザアレイを構成する半導体レーザ160〜162のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aを内側に偏倚して設けるようにした。これにより、外側に配列された半導体レーザほど、その活性層13におけるキャリア密度の最も高い部分が内側に存在することとなり、半導体レーザ160、162から半導体レーザアレイの外側方向へ向かうレーザ光が出射されるようになる。したがって、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。
(2)また、半導体レーザ160、162のコンタクトホール17aの絶縁膜17に対する偏倚量の調整によってシート光の指向特性が調整されるため、注入電流の精密な制御やそのための機構等が不要となり、ひいてはシート光の出射を可能とする半導体レーザ装置としての簡素化が併せて図られるようにもなる。
(3)また、メサ構造部分に対応して活性層13を設けるようにした。このため、コンタクトホール17aをこのメサ構造部分の中心から偏倚させて設けるといったより簡素な構造を通じて、活性層13内のキャリア密度の分布に非対称性を生じさせることができる。
(4)活性層13にキャリアを注入する上層電極18及び下層電極16の材料として、Cr/Pt/AuやTi/Pt/Auよりもシート抵抗の大きいCr/Au(Ti/Au)を採用した。これにより、注入されるキャリアの余分な拡散が抑制されてキャリア密度の偏りが助長されるため、半導体レーザ160、162から出射されるレーザ光の波面がより大きく曲げられるようになる。このため、シート光を得る上での指向特性の調整範囲の拡大が図られるようになる。
(5)また、キャリアを注入するための電極構造として、下層電極16、絶縁膜17、及び上層電極18からなる2層電極構造を採用したため、活性層13の発光可能領域上を避けて上層電極18にワイヤのボンディングを行うことができるようになり、ひいては半導体レーザアレイの寿命や信頼性の向上を図ることができるようにもなる。また、このような2層電極構造によれば、上層電極18の同一箇所へのワイヤボンディングによって生産性の向上も期待できるようになる。
(6)各半導体レーザ160〜162毎に各別に上層電極18を設けるようにした。このため、各上層電極18に同一タイミングにて電流を流してシート光を得ることができるようになるとともに、これら各上層電極18に流す電流を順次切り換えることによってビームスキャンを行うこともできるようになる。
(第8の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第8の実施の形態について説明する。本実施の形態の半導体レーザアレイの構造も、基本的には先の第7の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの構造に準じたものとなっている。ただし、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイでは、活性層の分離を通じてシート光の指向特性の調整範囲の拡大が図られるようにしている。以下、こうした半導体レーザアレイについて、図8を参照しながら説明する。なお、ここでも便宜上、半導体レーザアレイを構成する複数個の半導体レーザのうちの3個分についてのみ、そのへき開面を図8に示すこととする。また、先の第7の実施の形態と同様の構造については詳細な説明を割愛する。
<構成>
図8に示されるように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイも、先の第7の実施の形態同様、半導体レーザ170〜172がアレイ状に配列されてなり、n−GaAs基板11上に、n−AlGaAsクラッド層12、GaAs活性層13、p−AlGaAsクラッド層14、及び絶縁層15が順に積層された構成となっている。ただし、本実施の形態では、各半導体レーザ170〜172毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離された構造となっている。
また、絶縁層15には、へき開面に直交する方向に対して、各半導体レーザ170〜172毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅となる電極ストライプ15aが設けられている。
また、この絶縁層15上には、基板11側からCr、Auとなる2相構造の下層電極16が設けられている。さらにこの下層電極16の上層には、絶縁膜17を介して積層されて同下層電極16と電気的に接続された上層電極18が設けられている。この上層電極18も、下層電極16と同様、基板11側からCr、Auとなる2相構造となっている。そして、上層電極18の上面には、クラッド層14のメサ構造部分から外れた位置に2箇所、ワイヤボンディングが施されている。すなわち、本実施の形態においても、キャリアを注入するための電極として、いわゆる2層電極構造を採用している。
また、上記2層電極構造部分において、絶縁膜17には、上記電極ストライプ15aに沿ったストライプ状の孔としてコンタクトホール17aが設けられている。本実施の形態にかかる半導体レーザアレイにおいても、アレイ状に配列された半導体レーザ170〜172のうちの外側に位置するものほど、そのコンタクトホール17aが内側に偏倚して設けられている。具体的には、半導体レーザ171を半導体レーザアレイの真中に配列された半導体レーザであるとすると、半導体レーザ170では、そのコンタクトホール17aが、図8における右側に偏倚して設けられており、半導体レーザ172では、そのコンタクトホール17aが、同図8における左側に偏倚して設けられている。
そして、上記基板11の下面には、基板11側からAuGe、Ni、Auとなる3層構造の電極19が設けられている。
<動作態様>
半導体レーザアレイとしてこのような構造においても、上記上層電極18と上記電極19との間に順方向電圧が印加されると、先の第7の実施の形態同様、半導体レーザアレイからシート光が出射されるようになる。ただし、そのシート光の指向特性、すなわち半導体レーザ170、172から出射されるレーザ光の出射角度θ8は、先の第7の実施の形態にかかる半導体レーザアレイの半導体レーザ160、162(図7)から出射されるレーザ光の出射角度θ7よりも大きくなる。ここでは、このレーザ光の出射角度θ8が出射角度θ7よりも大きくなる点について詳細に説明する。なお、ここでも、キャリア注入に伴い活性層13内に生じるキャリア密度の分布のうち、最も密度の高い部分のみを図8に二点破線にて付記している。
このような構造においてもまず、絶縁膜17に設けられた各コンタクトホール17aを通じてキャリアが注入されると、この注入されたキャリアが下層電極16及びクラッド層14内を拡散していき、活性層13内にキャリア密度の分布が生じる。ここで、半導体レーザ170について見てみると、そのコンタクトホール17aがクラッド層14のメサ構造部分の中心線Dから図8において右側に偏倚して設けられているため、キャリア密度の最も高い部分が同中心線Dよりも右側に存在することとなり、活性層13におけるキャリア密度の分布に非対称性が生じる。しかも、本実施の形態の半導体レーザアレイでは、活性層13が絶縁層15により分離されていることから、分離された活性層13の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じる。このため、活性層13を分離しない場合に比較して、活性層13内の屈折率の分布がより大きく表れることとなり、活性層13内で発生したレーザ光の波面はより顕著に曲げられるようになる。その結果、図8に破線にて示すように、半導体レーザ170からは、先の図7に示す出射角度θ7よりも大きな出射角度θ8にてレーザ光が出射されるようになる。すなわち、半導体レーザアレイから出射されるシート光の指向特性の調整範囲が拡大されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる半導体レーザアレイによれば、先の第7の実施の形態における上記(1)〜(6)の効果に加えて、以下のような新たな効果を得ることができるようになる。
(7)各半導体レーザ170〜172毎に活性層13が、メサ構造部分に対応する部分以外の部分で絶縁層15により分離されてなる構造とした。これにより、分離された活性層13の狭い領域内でキャリア密度の分布に非対称性が生じるようになるため、屈折率の分布の非対称性がより大きく表れ、活性層13内で発生したレーザ光の波面がより顕著に曲げられるようになる。したがって、シート光を得る上での指向特性の調整範囲の好適な拡大が図られるようになる。
なお、この発明にかかる半導体レーザアレイは上記各実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・半導体レーザアレイにキャリアを注入するための電極6や上層電極18の構造は任意である。例えば、上記各実施の形態のように各半導体レーザ毎に各別に電極6を設けるのではなく、これら各半導体レーザに共通の電極として、電極6や上層電極18を一体に設けるようにしてもよい。このような電極構造によれば、ワイヤボンディングにかかる工数の削減が図られるようになる。
・活性層の構造は任意であり、いわゆる量子井戸構造や、この量子井戸構造を多層化した多重量子井戸構造としてもよい。このような構造によれば、光ゲインをより増大させることができるようになる。
本発明にかかる半導体レーザアレイの第1の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第2の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第3の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第4の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第5の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第6の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第7の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。 本発明にかかる半導体レーザアレイの第8の実施の形態についてそのへき開面の一部分を示す模式図。
符号の説明
1、11…n−GaAs基板、2、12…n−AlGaAsクラッド層、3、13…GaAs活性層、4、14…p−AlGaAsクラッド層、5、15…絶縁層、5a、15a…電極ストライプ、6、7、19…電極、16…下層電極、17…絶縁膜、17a…コンタクトホール、18…上層電極、100〜104、110〜114、120〜124、130〜134、140〜142、150〜152、160〜162、170〜172…半導体レーザ。

Claims (9)

  1. 絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、
    前記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して前記活性層を有し、
    前記アレイ状に配列された半導体レーザとして、前記活性層内に生じるキャリア密度の分布が電流の注入方向に対して非対称となるように前記絶縁層に対して偏倚して前記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられた電極ストライプを備えるものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほど前記電極ストライプの偏倚量が大きく設定されてなる
    ことを特徴とする半導体レーザアレイ。
  2. 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが外側に偏倚して設けられてなる
    請求項1に記載の半導体レーザアレイ。
  3. 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、その電極ストライプが内側に偏倚して設けられてなる
    請求項1に記載の半導体レーザアレイ。
  4. 絶縁層に形成された電極ストライプを通じて電極から活性層内に注入されるキャリアの再結合によってレーザ光を出射する半導体レーザの複数がアレイ状に配列されてなる半導体レーザアレイにおいて、
    前記アレイ状に配列された各半導体レーザは、平坦な頂上の両側方に急な崖を有する外形構造であるメサ構造部分に対応して前記活性層を有し、
    前記電極ストライプは、各半導体レーザ毎にレーザ光の発光可能領域の全域を覆う幅にて形成されてなるとともに、この電極ストライプが形成された電極を下層電極としてその上層には、絶縁膜を介して積層されてこの絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して下層電極と電気的に接続された上層電極を有してなり、前記アレイ状に配列された半導体
    レーザとして、前記活性層内に生じるキャリア密度の分布が前記上層電極からの電流の注入方向に対して非対称となるように前記コンタクトホールが前記下層電極との間に介在する絶縁膜に対して偏倚して前記メサ構造の平坦な頂上部分に設けられたものを含むとともに、同アレイ状に配列された半導体レーザは、それら半導体レーザのうちの外側に位置するものほど前記コンタクトホールの偏倚量が大きく設定されてなる
    ことを特徴とする半導体レーザアレイ。
  5. 前記コンタクトホールが、前記電極ストライプに沿ったストライプ状の孔として形成されてなる
    請求項4に記載の半導体レーザアレイ。
  6. 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、前記コンタクトホールが外側に偏倚して設けられてなる
    請求項4または請求項5に記載の半導体レーザアレイ。
  7. 前記アレイ状に配列された半導体レーザのうちの外側に位置するものほど、前記コンタクトホールが内側に偏倚して設けられてなる
    請求項4または請求項5に記載の半導体レーザアレイ。
  8. 前記活性層は、前記メサ構造部分に対応する部分以外の部分で前記絶縁層により分離されてなる
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザアレイ。
  9. 前記活性層にキャリアを注入する電極が、Cr/Au系及びTi/Au系のいずれかの材料からなる
    請求項1〜のいずれか一項に記載の半導体レーザアレイ。
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