JP4852871B2 - 焼結鉱の製造方法および焼結鉱製造用造粒設備 - Google Patents

焼結鉱の製造方法および焼結鉱製造用造粒設備 Download PDF

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Description

本発明は、焼結鉱の製造方法および焼結鉱製造用造粒設備に関し、特に、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造する際に、焼結の生産性を低下させる難焼結原料を用いる際も生産性を維持しかつ品質を高めることができる焼結鉱の製造方法および焼結鉱製造用造粒設備に関する。
鉄鋼業においては、近年、良質なヘマタイト系鉄鉱石が枯渇しつつあるため、使用する鉄鉱石がリモナイト系鉱石に移行している。また、リモナイト系鉱石は結晶水が6mass%以上であって採掘能力の限界があり、結晶水が3mass%以上で、粒径が0.25mm以下の微粉部分を25mass%以上含有するマラマンバ系鉱石が増加することが予想されている。
前記マラマンバ系鉱石を鉄鉱石の一部として用いて焼結鉱を製造する場合には、図39に示すような焼結原料の処理方法が一般的である。まず、マラマンバ系鉱石101、および粒径が10mm以下の鉄鉱石102、および珪石、蛇紋岩または、ニッケルスラグなどからなるSiO含有原料103、および石灰石などのCaOを含有する石灰石系粉原料104、および粉コークスまたは無煙炭などの熱源となる固体燃料系粉原料105を、適当量の水分を添加してドラムミキサー106を用いて混合・造粒して、水を架橋にして造粒粒子である擬似粒子を形成する。この擬似粒子は、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に適当な厚さ例えば500〜700mmになるように装入して表層部の固体燃料に着火し、着火後は下方に向けて空気を吸引しながら固体燃料を燃焼させ、その燃焼熱によって配合した焼結原料を焼結させて焼結ケーキとする。この焼結ケーキは破砕、整粒され、一定の粒径以上の焼結鉱を得る。一方、それ未満の粒径を有するものは返鉱となり、焼結原料として再利用される。
ここで、焼結鉱は原料中のコークスを、層内を通過する空気によって燃焼させて製造しているので、その生産性は、パレット上での通過風量(通気性)によって決定される。パレット上での通気性は、擬似粒子の粒径およびその付着強度によって決定される焼結前の冷間通気性と、融液の流動を介して生成される空気の流路である焼結ケーキの気孔径によって決定される焼結中の熱間通気性に大きく分けられ、この通気性が焼結鉱製造時の生産性に大きく影響する。
このため、これまでに、通気性の改善に対して、擬似粒子径を大きくすることでパレット上での通気性を改善しようという試みが多くなされているが、マラマンバ鉱石は、多孔質であるために、一旦、ドラムミキサーで造粒しても、時間が経過すると、架橋である水が鉱石内に吸収されてしまい、せっかく製造した造粒物が焼結機上で崩壊し、通気性の悪化に繋がる。これを防止するため、予めマラマンバ鉱石を造粒する際の水分を所定量以上に増加させようとすると、ドラムミキサー内での円滑な転動が起こらず、擬似粒子径が逆に低下し、やはり通気性に悪影響を与えてしまう。
このような問題に対して、たとえば、特許文献1では、高速攪拌造粒装置である高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石を処理して、短時間の内に、鉱石内に造粒水分を吸収させて造粒することで、通常のドラムミキサーでの造粒に比較して造粒水分を増加させることが可能となり、焼結機上での通気性が改善されると述べられている。すなわち、マラマンバ鉱石を高速撹拌ミキサーで造粒する場合には、造粒中に水分が鉱石気孔内に侵入して、気孔内及び表面に水分がまんべんなく付着することから、造粒が適正に行われ、しかも時間が経過してもマラマンバ鉱石の気孔内に水分が侵入することがないので、焼結パレット上に装入する時点においても、その造粒性は維持されて通気性の悪化を招くことはないとされており、高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石、ピソライト系鉱石を混合・造粒して、さらにその他の鉱石を添加し、混合・造粒する焼結法が提案されている。
また、特許文献2にも高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石、ピソライト系鉱石を混合・造粒して、さらにその他の鉱石を添加し、混合・造粒する焼結法が提案されている。さらに、特許文献3には、高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石およびヘマタイト鉱石を混合・造粒して、さらにその他の鉱石を添加し、混合・造粒する焼結法が提案されている。
前記特許文献1〜3に開示された技術は、ドラムミキサーでの擬似粒子径の増加のみの観点からの冷間の通気性の改善対策のみを考慮したものであるが、高炉での通気性を確保する観点から、製造された焼結鉱の冷間強度等品質を改善する技術として特許文献4,5が提案されている。
特許文献4では、焼結プロセスにおけるフラックスである石灰石と熱源である粉コークスを鉄鉱石を造粒して形成された粒子(以下、核粒子という)の表面に選択的に付着・外装化させることで、鉄鉱石とSiO含有原料を、石灰石および固体燃料系原料から分離し、カルシウムシリケートの生成を抑制して冷間強度を改善する技術が提案されている。この技術では、石灰石を核粒子の外側に外装させることで焼結後に塊表面に強度の高いカルシウムフェライトを多く生成させることにより、焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として膨大な設備を必要とせず、高い被還元性と冷間強度を持つ焼結鉱が得られる。
また、特許文献5においても石灰石と熱源である粉コークスを核粒子の表面に付着・外装化させることが提案されている。そして、焼結鉱の強度、歩留を向上させるためには、融液の核粒子への浸透を抑制する擬似粒子構造が望まれる。したがって、特許文献5では、融液の核粒子への浸透を抑制する擬似粒子構造を追求したと説明しており、生成した融液を結合剤として有効に使用するためには、核粒子への融液の浸透を抑制することが重要であるため、擬似粒子中の核粒子の表面に第二層として石灰石とコークス以外の原料からなる融液浸透抑制層を設け、その外側に第三層として石灰石とコークスの層を設ける擬似粒子構造を採用したと述べられている。
特開2003−129139号公報 特開2004−137575号公報 特開2004−285398号公報 WO01/92588号公報 特開2002-241851号公報
前記特許文献1〜3に記載の技術では、マラマンバ鉱石の造粒時の造粒性を維持する問題は解決できるものの、実際に焼結に供した場合には熱間通気性の悪化の問題を生じて、焼結生産性の低下が避けられない問題が発生する。
また、後者の特許文献4,5記載の技術も同様であって、マラマンバ鉱石やピソライト鉱石のようなリモナイト鉱石の他、Al含有量が高くPが0.1mass%を超える所謂高リン鉱石等の難焼結原料において、熱間通気性の悪化の問題を生じる他、狙いとしていた高い被還元性と冷間強度を持つ焼結鉱が得られないという問題が発生することを本発明者らは発見した。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、マグネタイト鉱石、ヘマタイト鉱石に代表される焼結性の良い良質鉄鉱石以外の難焼結原料を用いた場合であっても、造粒した際の粒径を大きくすることができ、かつ焼結過程で生成する融液の流動性を向上させることにより、冷間通気性のみならず熱間通気性を改善して、焼結後の被還元性および冷間強度を優れたものにすることができる焼結鉱の製造方法および焼結鉱の製造用造粒設備を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点では、気孔率20vol%超および/またはAl が2.1mass%超でありかつ0.25mm以下の微粉を20mass%以上含む鉄鉱石で構成された第一の焼結原料を造粒して核粒子を生成し、前記核粒子表面に、気孔率20vol%以下およびAl が2.1mass%以下の鉄鉱石で構成された第二の焼結原料を被覆して第一の被覆層を形成し、前記第一の被覆層の表面に石灰石および固体燃料系原料を順次若しくは同時に被覆させた第二の被覆層を形成して擬似粒子を得る工程と、前記擬似粒子を焼結する工程とを具備することを特徴とする焼結鉱の製造方法を提供する。
本発明の骨子は、マラマンバ鉱石や高リン鉱石等のいわゆる難焼結原料を用いる場合であっても生産性や焼結鉱品質を維持するために、難焼結原料を良焼結原料で封じ込めかつカルシウムフェライト融液生成に必要な石灰石と難焼結原料とを切り離して、焼結工程における難焼結原料の問題点を発現させないところにある。なお、難焼結原料は、気孔率が高いためにカルシウムフェライト融液を吸収し(マラマンバ鉱石等)あるいはAl濃度が高いためにカルシウムフェライト融液の粘性を高めて(高リン鉱石等)融液流動距離を短くし、その結果、焼結性を阻害するものと考えられている。
このために、本発明では、マラマンバ鉱石や高リン鉱石等の難焼結原料を中心部に位置させ、良焼結原料をその周りに被覆する構造をとるが、造粒工程において単に原料に造粒作用を及ぼした場合には、粗い粒子の周辺に細かい粒子が被覆される。一方、マラマンバ鉱石や高リン鉱石は、マグネタイト鉱石やヘマタイト鉱石等の良焼結原料に比べると0.25mm以下の微粉が多く算術平均径も小さいため、何らの工夫もなく造粒すると難焼結原料を中心部に封じ込める構造が得られない。したがって、本発明では、微粉の多いマラマンバ鉱石や高リン鉱石をそれだけで一旦造粒し、この造粒された核粒子の表面にマグネタイト鉱石やヘマタイト鉱石等の良焼結原料を被覆するようにしたのである。
すなわち、本発明によれば、気孔率20vol%超および/またはAl が2.1mass%超でありかつ0.25mm以下の微粉を20mass%以上含む鉄鉱石で構成された焼結性の悪い難焼結原料を造粒し、該造粒粒子を核として、気孔率20vol%以下およびAl が2.1mass%以下の鉄鉱石で構成された焼結性の良い焼結原料粒子で覆い、その上に石灰石と固体燃料系原料を外装することにより、焼結に際しては、焼結性の良い焼結原料を使用して焼結した状態での焼結成績を得ることができ、難焼結原料使用時の問題点を解決できる。
ラマンバ鉱石、リモナイト鉱石など気孔率が20vol%を超える多孔質の鉱石は、造粒時の含水に起因する造粒性の問題と、焼結時においては、カルシウムフェライト融液を吸収しやすく熱間通気性の悪化の問題を発生させる。また、P濃度が0.1mass%を超えるいわゆる高リン鉱石も難焼結原料の一つであり、この高リン鉱石の場合、微粉部分に偏在するAlが2.1mass%を超えて存在することからカルシウムフェライト融液の粘性を高めて融液流動距離を短くし、熱間通気性を悪化させる。しかし、これらを核として使用することで焼結擬似粒子内部に封じ込めることができ、前記カルシウムフェライト融液と接する擬似粒子面は、焼結性の良い焼結原料粒子で覆われているため、融液の流動性がよく、熱間通気性の悪化がない。
本発明の第1の観点において、前記第一の焼結原料から造粒された核粒子は、嵩密度を1.8g/cm以上に圧密した核粒子であることが好ましい。これは、この被覆工程において核粒子が破壊されてしまったのでは本発明の封じ込めの効率が下がるからである。核粒子の上に第二の焼結原料にて第一の被覆層を形成し、該第一の被覆層の表面に石灰石および固体燃料系原料にて第二の被覆層を形成する際も、核粒子が崩壊しにくいため、効率よく前記被覆層内部に封じ込めることができる。核粒子の嵩密度は、好ましくは2.0g/cm以上、より好ましくは2.2g/cm以上である。
さらに、本発明の第1の観点において、前記第一の被覆層は、焼結時に核粒子を構成する第一の焼結原料と第二の被覆層に含まれる石灰石との接触を断つ層厚を有することが好ましい。これにより、焼結性の悪い難焼結原料とカルシウムフェライト融液の反応を阻止でき、熱間通気性を良好に維持することができる。
さらにまた、本発明の第1の観点において、前記第一の焼結原料と前記第二の焼結原料の合計を100mass%としたとき、前記第一の焼結原料の使用量を70mass%未満にすることが好ましい。これにより、焼結性の悪い難焼結原料である第一の焼結原料とカルシウムフェライト融液の反応を阻止することができ、熱間通気性を良好に維持することができることになる。
さらにまた、本発明の第1の観点において、前記第一の被覆層は、前記第二の焼結原料に対し、ミルスケールおよび/または鉄粉を添加して形成してもよい。これにより、第一被覆層、第二被覆層形成の際の核粒子崩壊による焼結への悪影響を軽減することができる。
さらにまた、本発明の第1の観点において、前記第二の被覆層は、先に石灰石を被覆し、その後固体燃料系原料を被覆するものであってもよい。これにより、焼結原料の燃焼性が良く、かつ石灰石と第1被覆層表面で選択的にカルシウムフェライト融液が生成し、さらにカルシウムシリケートの生成量を抑制することができる。
なお、本発明の第1の観点において、核粒子および/または第1の被覆層中に、焼結鉱の成分調整のためにSiO含有副原料を添加することは許容される。
さらにまた、本発明の第1の観点において、難焼結原料である第一の焼結原料の造粒が高速攪拌造粒装置で行われることが好ましい。これにより、多孔質あるいはAl含有量の多い難焼結原料であっても、効率よく造粒することが可能である。
ここで、高速攪拌造粒装置とは、高速回転する高速撹拌子を有し、この高速攪拌子を高速撹拌することにより混合・造粒できる装置をいう。高速攪拌造粒装置としては市販の高速撹拌ミキサーを用いることができ、例えば、高速撹拌子として高速回転する撹拌羽根を備えたタイプとして「アイリッヒミキサー」(商品名)、高速撹拌子として高速回転するシャベルを備えたタイプとして「レディゲミキサー」(商品名)などが挙げられる。これらの高速撹拌ミキサーは、撹拌羽根が50〜700rpm程度の回転速度で回転し、水分が添加された微粒鉱石にせん断力を加えながら混合を行う。
このような高速攪拌造粒装置による造粒は、少なくとも滞留時間を50秒以上保持して行うことが好ましい。これにより、造粒を生産性良く行うことができる。さらに、前記高速攪拌造粒装置による造粒に際して、造粒用水分を9〜11mass%として造粒を行うことが好ましい。これにより、造粒を適正な水分量で生産性良く行うことができる。さらにまた高速攪拌造粒装置による造粒は、攪拌されている被造粒物より高速攪拌子が露出する部分の前方位置に対して水分を添加しつつ行うことが好ましい。これにより、前記高速攪拌造粒装置による造粒時の核粒子の造粒強度を上げることができる。さらにまた、このように第一の焼結原料の造粒が高速攪拌造粒装置で行われた後、さらにペレタイザーで造粒を行うことが好ましい。これにより、擬似粒子径を上昇させることができるため、難焼結原料を効率よく核粒子とすることができる。
本発明の第の観点によれば、気孔率20vol%超および/またはAl が2.1mass%超でありかつ0.25mm以下の微粉を20mass%以上含む鉄鉱石で構成され、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で核粒子となる難焼結性の第一の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を貯蔵する第一の貯蔵槽と、前記貯蔵槽から切り出された第一の焼結原料を搬送する第一の搬送装置と、前記第一の搬送装置の端部に配置された高速攪拌造粒装置を備えた核粒子製造設備と、気孔率20vol%以下およびAl が2.1mass%以下の鉄鉱石で構成され、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で第一の被覆層を形成する第二の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を貯蔵する第二の貯蔵槽と、前記第二の貯蔵槽から切り出された第二の焼結原料またはそれに加えて前記副原料を搬送する第二の搬送装置と、前記第二の搬送装置の端部に配置された第一被覆層形成原料の混合設備と、核粒子と第一被覆層形成原料を混合・造粒する混合・造粒設備と、前記核粒子製造設備からの核粒子と第一被覆層形成原料の混合設備からの第一被覆層形成原料を前記混合・造粒設備に搬送する第三の搬送装置と、前記第一の被覆層の上に第二の被覆層を形成する石灰石および固体燃料系原料を貯蔵する第三の貯蔵槽と、前記第三の貯蔵槽から切り出された石灰石および固体燃料系原料を搬送する第四の搬送装置と、前記第四の搬送装置の端部に配置され前記混合・造粒設備の払い出し側から石灰石および固体燃料系原料を装入する第二被覆層原料添加装置とを具備することを特徴とする焼結鉱製造用造粒設備を提供する。
このような構成により、第一の焼結原料の核粒子への造粒と第一、第二被覆層形成が効率よくできる他、難焼結原料を使用しない場合は、石灰石・固体燃料系原料を生産性の良い焼結原料へ効率よく被覆して被還元性、強度に優れる焼結鉱製造への切替を自在に行うことができる。なお、ここでSiO含有副原料とは、焼結成分調整用等の目的で添加されるものであり、SiO系原料を主体とするものである。
この場合に、核粒子製造設備は、前記高速攪拌造粒装置の下流側に、さらにペレタイザーを配置した構成とすることが好ましい。これにより、核粒子粒度を上昇させることができる設備となる。
本発明によれば、膨大な予備処理等を必要とすることなく、焼結鉱の生産性や強度を悪化させることなく、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、高リン鉱石等の気孔率およびAlの含有率のいずれかまたは両方が高い難焼結性の鉄鉱石を製鉄原料として用いて、冷問通気性のみならず熱間通気性が良好な状態で焼結鉱を製造することができ、かつ得られた焼結鉱の被還元性および冷間強度を高くすることができる。このように、従来のマグネタイト鉱石やヘマタイト鉱石等の良質な原料以外の原料を用いても、優れた特性を得ることができるので、資源の有効利用を図ることができ、工業的価値が高い。
以下、本発明を完成するに至った経緯および本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
図1は、マラマンバ鉱石を用いる際の従来技術を示したもので、マラマンバ鉱石とその他の焼結原料を一括して造粒し焼結操業に供する他、図1(a)に示すようにマラマンバ鉱石をドラムミキサーにより一旦造粒して、その後他の焼結原料と混合・造粒して焼結機に供するか、図1(b)に示すように、マラマンバ鉱石を高速攪拌造粒装置(例えばアイリッヒミキサー(商品名))により一旦造粒して、その他の焼結原料と共に混合・造粒して焼結機に供する。
図2は、マラマンバ鉱石の配合量を変化させて上記図1(a)、(b)で造粒した焼結原料を用いた場合における、擬似粒子径(a)、吸引通気量(b)、焼結機での生産率(c)、焼結鉱の冷間強度(d)を示したものである。この図に示すように、図1(a)、(b)いずれの造粒においてもマラマンバ鉱石の配合率を上げるにしたがって生産率、冷間強度とも悪化することとなった。すなわち特許文献1〜3に開示される、マラマンバ鉱石の造粒性の観点から高速攪拌羽根を有する高速攪拌造粒装置による造粒水分を上げて造粒を行う技術においても生産性は悪化することになった。
本発明者らは、この問題を熱間通気性の悪化ではないかと推定した。図3は、その実験結果である。図3において、焼結原料となる鉱石タブレットと焼結時のカルシウムフェライト融液を生成させるCaO−Feのタブレットを作成し、表1に示す条件で実験を行ったものである(二層タブレット実験)。この実験は図4に模式的に示すように、核鉱石周囲の被覆層と融液の反応(融液流動性)を確認するためのものである。鉱石タブレットとCaO-Feのタブレットを重ねた試料を作成、電気炉内に装入して、焼結鉱製造過程のピーク温度に近い1220℃まで加熱し、その後、試料を縦方向に切断して、融液の浸透距離(融液流動距離)を測定した。図5に測定結果を示す。ヘマタイト鉱石から製造したタブレットの融液流動状況は優れており、一方マラマンバ鉱石から製造したタブレットにおいては融液流動距離が短い。すなわち流動性が悪化していることが観察された。この原因は融液流動部分の顕微鏡観察写真でもわかるように、マラマンバ鉱石に比べ緻密なヘマタイト鉱石では融液が鉱石表面を覆っており、一方、マラマンバ鉱石側においては融液が鉱石部分の多孔質部に捕捉(吸収)され、融液の流動距離が低下していることによるものと判明した。
Figure 0004852871
前記融液流動距離の低下は、焼結時の熱間通気性の悪化に至るものであり、図5に模式図で示すようにヘマタイト鉱石使用時は融液が鉱石を流下するように流動し、通気性に影響する焼結擬似粒子間の間隙の閉塞を伴わず、通気性が維持され、そのため生産性が良好であり、かつ焼結鉱強度も良い。マラマンバ鉱石の場合は、同図に示しているように多孔質部分で補足・吸収されるため焼結擬似粒子間の間隙部分が閉塞し、通気性に影響するいわゆる貫通空隙の減少となって、熱間通気性の悪化によって生産性が低下し、かつ融液流動性が悪いために焼結擬似粒子部分に不均一に偏在して焼結鉱強度の劣るものとなるのである。
図6も融液流動の悪化を示す試験結果である。ヘマタイト鉱石はおおよそFe濃度89mass%、マラマンバ鉱石はFe濃度91mass%程度である。焼結時に受ける熱履歴から固相率を求め発生する融液粘度を調査した。表2に示したようにヘマタイト鉱石から生じる融液粘度は、0.073Pa・sに対し、マラマンバ鉱石から生じる融液粘度は、0.261Pa・sと、マラマンバ鉱石使用時には、融液と鉱石が過剰に反応し、融液中のFe濃度が増加して融液粘度が上昇することも判明した。なお、このときの融液粘度(固液共存相の粘度)は、以下の(1)式で表される。
Figure 0004852871
Figure 0004852871
さらに表3および図7にマラマンバ鉱石と他の鉱石の特徴を比較したデータを示す。
表3に示すように、マラマンバ鉱石は、0.5mm以下の気孔量がヘマタイト鉱石に比べ約1.8倍多く、リモナイト鉱石に比べても約1.6倍多く細粒である。そして、マラマンバ鉱石は、図7(a)の写真および(b)の気孔径データに示すように多孔質である。このデータからマラマンバ鉱石は、他の鉱石に比べ、前記融液を吸収し易く、かつ前記の如く融液粘度が高く、したがって浸透距離が短く難焼結性焼結原料であることが明白である。
Figure 0004852871
さらにまた、マラマンバ鉱石使用時の通気性悪化原因を追求した。図8はその実験装置と実験結果を示したもので、(a)の実験装置に設置した複数の熱電対から、(b)に示すように、湿潤帯と溶融帯を区分して各圧力損失を測定した。同図に示すようにマラマンバ鉱石使用時には、マラマンバ鉱石30mass%の配合において、湿潤帯の圧力損失は22%増加するが、この増加より、溶融帯での圧力損失が64%増加し、従来開示される造粒性の改善のみならず、特に溶融帯での圧力損失を低減できる熱間通気性の改善が重要であることが判明した。
なお、焼結においては、溶融帯の直下に湿潤帯が存在し、これらの層を通過するガス温度から各帯は区分可能であって、湿潤帯においては60〜70℃である。焼結原料はさらに加熱され、コークス着火温度に到達し、燃焼する。コークス着火後、原料温度は一気に上昇する。このプロセスによって焼結反応は上層から下層に吸引空気を媒体として進行しており、圧力損失の上昇(通気性低下)は直ちに焼結の生産性低下につながる。
本発明者らは、前記問題を解決するために以下の検討を行った。
図9は、擬似粒子構造に起因する焼結鉱の冷間強度を確認する実験を示す図である。
まず、マラマンバ鉱石と他の焼結原料を混合・造粒した擬似粒子(現状均一型:以下擬似粒子Aと言う)、また、マラマンバ鉱石を核として他の焼結原料を混合・造粒した擬似粒子(複合外装型:以下擬似粒子Bと言う)、マラマンバ鉱石と他の焼結原料を造粒するに当たり、石灰石・粉コークスを焼結原料から分離し、一旦混合・造粒した後、石灰石・粉コークスを外装化した擬似粒子(石灰外装型:以下擬似粒子Cと言う)について、いずれもマラマンバ鉱石30mass%の使用における実験結果である。
擬似粒子Aによる焼結では冷間強度が悪化し、10mm以上の焼結鉱質量割合は4.4mass%である。これに対し、擬似粒子Bによる焼結では、マラマンバ鉱石を一旦造粒して核となすため冷間強度は向上し、10mm以上の焼結鉱質量割合は33.6mass%となった(従来技術では特許文献1〜3が該当する)。また、擬似粒子C使用の焼結においては、さらに向上して、10mm以上の焼結鉱質量割合は54.5mass%となった(従来技術では特許文献4,5が該当する)。
前記冷間強度の大きな差は、融液の流動性にかかる差異と推察し、以下の結論を得た。すなわち、擬似粒子Aにおいては、焼結時に発生する融液は擬似粒子内全域で発生し、当該融液はマラマンバ鉱石の粗粒・細粒部分に吸収され融液による結合効果が低下することから冷間強度が弱く、また、マラマンバ鉱石を一旦造粒して、他の焼結原料と造粒を図る擬似粒子Bであっても、発生した融液はマラマンバ鉱石と直に接触することから、これも後述する擬似粒子Cよりも悪化している。一方、擬似粒子Cにおいては発生する融液は石灰石が外装された外装面であり、特に本出願人の開発した特許文献4記載のカルシウムフェライトが焼結鉱外装面に多く生成し強度が上昇した結果、強度向上がなされたと考えられた。
本発明者らはこれを前提にして、さらに改良を加え、前記外装面に生成されるカルシウムフェライトを効果的に生成させるべく、図9において、さらに擬似粒子Dを検討に加えた。この擬似粒子Dは、マラマンバ鉱石と石灰石をできるだけ接触させなくするもので、擬似粒子の中心核にマラマンバ鉱石を封じ込めることを狙った。
そのために、一旦マラマンバ鉱石を造粒して、マラマンバ鉱石のみの擬似粒子径を増加させた。すなわち、造粒は、粗い原料の周りに、粗い原料より細粒の原料を付着させながら行われるため、マラマンバ鉱石を他の焼結原料と造粒する際に、マラマンバ鉱石を核粒子とするための擬似粒子径上昇のための造粒操作である。
なお、このマラマンバ鉱石からなる擬似粒子は、次の他の焼結原料との造粒過程で崩壊すると、造粒で得られる擬似粒子は、前記した擬似粒子Cとなるため、擬似粒子強度を上げるため高速攪拌造粒装置を使用した。
引き続き、前記マラマンバ鉱石の擬似粒子をドラムミキサーに代表される既知の造粒機に供給して第一の被覆層となる焼結原料とともに造粒して、第一の被覆層の形成を図った。この第一の被覆層形成の焼結原料としては、石灰石・粉コークスを除く原料であって、さらに前記マラマンバ鉱石よりも焼結性の良いヘマタイト鉱石などの原料を選択する。焼結の返鉱も第一の被覆層形成原料として加えてもよい。マラマンバ鉱石の擬似粒子表面を覆うように第一の被覆層形成原料は外装化されて造粒され、第一の被覆層の原料のなかでも粗粒原料は同じ第一の被覆層形成原料の細粒部分を外装化して造粒が進行する。その後、石灰石・粉コークスをさらに装入し、第一の被覆層が形成された焼結原料の表面に石灰石・粉コークスを外装化した。このようにして得た擬似粒子Dを焼結に供したところ、さらに冷間強度は向上し、10mm以上の焼結鉱質量割合は69.1mass%となった。
すなわち、マラマンバ鉱石等の難焼結性である鉱石を造粒時の核粒子となるべく造粒操作を一旦施し、続いてその核粒子表面には焼結性の良い鉄鉱石原料を用いて第一の被覆層を形成させ、その上に石灰石・粉コークスを外装化するのである。前記第一の被覆層は、カルシウムフェライト融液が浸透して核粒子に達しない被覆層厚とする。すなわち、マラマンバ鉱石使用においては、第一の被覆層は、焼結時に核粒子を構成するマラマンバ鉱石と第二の被覆層に含まれる石灰石との接触を断つ層厚のブロック層とする。そしてこのブロック層は前述したように、マラマンバ鉱石より、焼結性が優れる焼結原料とするため融液流動性が良い。
前記融液接触防止用のブロック層とは、特許文献5記載の融液浸透抑制層と異なる構成が必要である。前記特許文献5記載の融液浸透抑制層とは、ドラムミキサーによる造粒後、マルメライザーなどの造粒機により付着粉層部分を圧密化して融液浸透間隙を抑制する点にある。この考え方は、擬似粒子Cにあたり、良くはなるものの、マラマンバ鉱石使用時には融液浸透抑制層にはマラマンバ鉱石粉の存在があり、マラマンバ鉱石と融液の接触からマラマンバ鉱石の多孔質部分に融液が吸収され、かつ、融液とマラマンバ鉱石中のFeが過剰に反応して融液流動性が悪化し、冷間強度向上には不満足な結果となる。特許文献3も同じであった。すなわち、前記図5、6で説明したような問題が生じ、熱間通気性、冷間強度低下となってしまう。
また、前記特許文献4,5の手段においては、前記第一の被覆層の表面に、石灰石および固体燃料系原料にて第二の被覆層を形成して、焼結用原料としての擬似粒子を形成する。したがって、融液発生は、基本的には石灰石と被覆層の接する界面で生じる。融液発生量も、焼結原料中に石灰石を混在させる従来法に比べ低下するため、マラマンバ鉱石等難焼結原料を使用する際には、擬似粒子Dに比べると強度は上昇が不足するなど前記問題が起こりやすい。
そのために、本発明では、前記融液接触防止用のブロック層としての第一の被覆層を形成して、焼結時に核粒子構成焼結原料と石灰石との接触を断つブロック層とし、熱間通気性を向上させるのである。
以下、熱間通気性について説明する。
焼結において、ガス通気は擬似粒子間およびシンターケーキ(擬似粒子が焼結されたもの。いわゆる焼結鉱)内の貫通空隙を通して行われるため、これを確保すれば通気性は維持され生産性を損なうことなく焼結操業が可能である。
図10は、原料充填層中の擬似粒子の焼結過程の挙動を模式的に示した説明図である。まず、図10(a)は、焼結原料として、粗粒を核としその周囲に粉状体を付着させて形成された擬似粒子が充填された状態の平面図を示す。擬似粒子間に存在する空隙により原料充填層の通気性が維持される。
図10(a)の状態の原料充填層としてマラマンバ鉱石を使用すると、通常の造粒法では、時間が経過すると、架橋である水が鉱石内に吸収されてしまい、せっかく造粒した造粒物である擬似粒子の崩壊が始まり、焼結パレットにおいて圧密されると同図(b)に示すように擬似粒子間の空隙を減少させ通気性の悪化が発生する。この焼結前の時点の通気性を本発明の説明においては冷間通気性と呼ぶ。したがって、従来技術においては、高速攪拌造粒装置によりマラマンバ鉱石の造粒がおこなわれて、前記時間経過による擬似粒子崩壊を抑止することで図10(b)の状態になることを防止し、擬似粒子間の空隙を確保して冷間通気性を良好にすることが提案された。
一方、擬似粒子は焼結過程で熱履歴を経て焼結鉱(シンターケーキと呼ばれる)となる。図10(c)、(d)は、焼結後のシンターケーキを表したもので、前記図5で説明したように焼結時の融液流動性が悪化すると、図10(c)に示すように、融液により空隙が閉塞されることになり、いわゆる通気不良から焼結生産性の悪化を発生させる。また、融液の流動性悪化は、マラマンバ鉱石の気孔内に吸収悪化させることもあって、被覆層を形成する粉状体間の空隙を十分に埋めることができず、気孔が多く存在した状態となって焼結鉱強度をも低下させる。
図10(d)は、擬似粒子の被覆層に融液流動性の良い鉱石を使用したときの状態を示すもので、流動性よく被覆層を取り込むため、粉状体間が結合して、気孔の少ない焼結鉱が得られる。焼結時に生成する融液の良流動性から粉状体間の空隙に起因する気孔の合体、成長が図られ、貫通空隙が増大し、貫通空隙が増大された状態で焼結が進行する結果、通気性(熱間通気性)も向上する。
すなわち、本発明ではマラマンバ鉱石等の難焼結原料を核として、より焼結性の高い焼結原料により第一の被覆層を形成することにより、図10(a)の状態を維持して冷間通気性を良好にし、かつ焼結の際には擬似粒子の被覆層に融液流動性の良い鉱石を使用して図10(d)の状態として熱間通気性を良好にする。
そして、さらに本発明では、石灰石・粉コークスが外装化されているため、擬似粒子表面に形成される組織はカルシウムフェライトに富み、被還元性に優れしかも強度が高い。
以上は、難焼結性原料としてマラマンバ鉱石について説明したが、難焼結性原料としてその他に高リン鉱石を挙げることができる。高リン鉱石は、後述するように、P濃度が他の鉱石の2〜3倍であり、算術平均径が、1.86mmとマラマンバ鉱石並に細粒であることが特徴で、0.25mm以下が33%程度である。
高リン鉱石は前述したように、高リンであるという難点のほかに、焼結原料として使用した場合には、マラマンバ鉱石と同様に焼結生産性が著しく悪化するという問題があった。このため、マラマンバ鉱石とは異なり、今まで高リン鉱石は焼結原料として多量に使用されることはなかった。
そこで、本発明者らは、焼結原料として使用した場合には、焼結生産性が著しく悪化する点を解明するため、高リン鉱石の詳細な調査を行った。そして、高リン鉱石は、表4、5に示すように、前述した0.25mm以下の微粉部分が33%程度の他、0.25mm以下の微粉部分においては、他の鉱石と比較して微粉部のAlが増加し、絶対値とともにAl/SiOが高いことが特徴であった。
Figure 0004852871
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本発明者らは、前記、高リン鉱石中に多量に含まれる微粉と、この微粉部に含まれる高濃度のAlが、焼結時の通気性を悪化させ、焼結生産性悪化の要因となっているとの考察を基に、本発明を適用し、微粉部分あるいは微粉部に含まれるAlによる影響を解消することで高リン鉱石を用いた場合の焼結生産性の悪化を抑制または解消できることを追求した。
まず、本発明者らは、高リン鉱石を用いた場合に焼結生産率の悪化をもたらす要因を調査した。トップサイズが6.3mmの高リン鉱石を焼結原料鉱石に30mass%、60mass%と配合して行った焼結鍋試験の結果を図11に示す。なお、この試験では以下の表6に示すような焼結配合原料を用いた。
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図11に示すように、高リン鉱石の配合量の増加に伴って、比重が軽く粗粒のリモナイト鉱石Cと振り替えたため装入嵩密度は増加し(同図(a))、擬似粒径が低下し(同図(c))、焼結中の風速(通気性)が低下し(同図(b))、焼結時間が延長した(同図(d))。さらに、歩留も低下した(同図(e))ため、比較的劣質なリモナイト鉱石と振り替えたにもかかわらず焼結生産率が低下した(同図(g))。また、高リン鉱石の配合量の増加に伴って、被還元性はそれほど変化しないものの(同図(f))、還元粉化性が悪化した(同図(h))。
以上が高リン鉱石の焼結操業での使用結果である。
この結果に基づき、本発明者らは、焼結中の通気性の悪化の要因について調査するため、焼結中の通気性の変化を観測した。図12には、高リン鉱石を焼結原料鉱石中に60mass%配合した場合および高リン鉱石を配合しない場合の通気性変化を示す。この結果、高リン鉱石を配合した場合には、高リン鉱石を配合しない場合に比べて、焼結時間が延長し(同図(a))、通気性が悪化していることが確認された(同図(b)丸囲み部分)。さらに、通気性(ガス風速)の変化に着目すると、高リン鉱石を配合した場合には、焼結前半および焼結後半のどちらにおいても通気性は悪化しているものの、主に湿潤帯での通気抵抗が支配的な焼結前半においては通気性悪化の程度は小さく、主に溶融帯での通気抵抗が支配的な焼結後半で顕著な悪化が見られた。
つまり、高リン鉱石は細粒であるため、擬似粒子径が低下し、これが焼結前半での通気性の悪化をもたらしたものと考えられる。しかしながら、焼結前半での通気性悪化による影響は小さく、主には、高リン鉱石が溶融している状態での通気性の悪化が生産性に悪影響を及ぼしていると推察される。
次に、焼結中の排ガス組成変化の観測結果を図13に示す。同図に示すように、高リン鉱石を焼結配合原料に60mass%配合した場合は、配合しない場合に比べて、排ガス中のCO濃度が上昇し、CO濃度が低下した。これより、高リン鉱石を配合した場合には、コークスの燃焼が阻害されたものと考えられる。
稲角らによれば、流動する融液はコークス燃焼により発生する気体により迂回することが確認されており、融液の流動性が悪化するとコークスが融液に包まれて燃焼する比率が高まると報告されている(鉄と鋼、Vol.78(1992)、P.1053)。このことから、高リン鉱石を焼結原料鉱石に配合すると、融液の流動性が悪化するものと推察される。
さらに、この融液の流動性悪化をもたらす要因について、本発明者らは高リン鉱石がAlを多く含有し、またAl含有量/SiO含有量の値が高い点に着目して検討した。以下、表7〜10に高リン鉱石と他の鉱石の組成の相違を示す。
Figure 0004852871
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なお、表7〜10中、A鉱石は南米へマタイト鉱石、B鉱石は豪州へマタイト鉱石、D鉱石はインド鉱石、E鉱石はマラマンバ鉱石を示す。
上述したように高リン鉱石は、リンを他の鉱石の約2〜3倍含有し(表7)、0.25mm以下の微粉部が高リン鉱石全体の33mass%と他の鉱石に比べて多く、算術平均が1.86mmとマラマンバ鉱石並に細粒であることが特徴である(表8)。
さらに、表9に示すように、高リン鉱石は、他の鉱石と比較して、高リン鉱石全体と0.25mm以下の微粉部とでAlの含有率が大きく異なっており、微粉部では、Al含有率の絶対値とともにAl/SiO(Alの含有量/SiOの含有量)の値も高いことが特徴である。表10には、湿潤熱、見掛け比重、0.5mm以下の気孔量および比表面積の各値を示すが、高リン鉱石は比較的濡れ性が良いものの、気孔構造の観点からはそれほど特異な性質は認められなかった。
以上の結果から本発明者らは、微粉部が多く、その微粉部でのAl含有率およびAl/SiOが高いという高リン鉱石の特徴的な性質が融液の流動性の悪化の要因となっていると推察し、Alが融液の流動性に与える影響を調査した。
まず、融液の粘度を図14に示す粘度測定装置を用いて測定した。この測定では、球引き上げ法を採用し、融液中の球Bを引き上げる際の天秤指示針Nの移動速度をもとに、粘度を算出した。測定は、CaOを20mass%、Feを80mass%含有する融液に、Al試薬をそれぞれ0.5,1,2,6,8mass%添加して行った。その結果、図15に示すようにAl含有量の増加に従って、融液粘度が上昇することが確認された。
次に、図16に示す装置を用いて融液の浸透速度を測定し、融液粘度の上昇と浸透速度との関係を調べた。この測定では、ガラスビーズ(直径5mm)の充填したシリンダー(内径45mm、高さ320mm)に、シリンダー上方に設置したストッパー付きの漏斗(筒上端部の内径3mm)から融液を滴下し、この充填層に浸透する融液を観測することで、浸透速度を算出した。図17に示す結果より、融液粘度の上昇に従って、融液の浸透速度は低下することが確認された。したがって、この融液の浸透速度の低下が、焼結ケーキ中の気孔の成長を阻害し、ひいては、熱間での通気性やコークスの燃焼の悪化につながるものと考えられる。
以上の結果から、次のことが解明した。すなわち、高リン鉱石の配合率を増加させた場合には、微粉部全体のAl含有量が増加し、焼結過程においては、表面積が大きい微粉部から優先的に溶融するものと考えられるため、融液はAlが高濃度となって、融液粘度が増加するとともに融液の浸透速度が低下する。これにより、焼結過程における空気の流路である気孔の成長が阻害され、焼結擬似粒子間の間隙が融液によって埋められることで、焼結中の通気性が低下して焼結時間が延長し、焼結鉱の生産性が低下することになる。
また、さらに詳細に分析を行うと、微粉部分に含まれているAlにより、下記障害を発生していることが判明した。図18は、各微粉領域で含有されるAl量による示差熱分析結果を示したものであり、(a)は重量変化を示したもの、(b)は吸発熱を示すものである。Alの高濃度領域となる、高リン鉱石の微粉部分(図のウ)では、カルシウムフェライトの分解溶融に起因すると思われる1200℃以上での大きな吸熱反応を有し、融液が生じた後吸熱反応が生じ、焼結過程における融液の流動性の悪化や空気の流路となる気孔の成長阻害を引き起こしているものと考えられ、焼結中の通気性が低下して焼結時間が延長し、焼結鉱の生産性が低下することになったと推察された。
そのために、本発明においては、前記高リン鉱石もマラマンバ鉱石と同様の手段でもって焼結生産性の悪化を防止することにした。
すなわち、高リン鉱石を用いた場合も前述の擬似粒子Dの状態とし、擬似粒子の中心核に高リン鉱石を封じ込めて高リン鉱石と石灰石をできるだけ接触させないようにする。
そのために、マラマンバ鉱石と同様に、一旦高リン鉱石を造粒して、高リン鉱石のみの擬似粒子径を増加させる。高リン鉱石を核粒子とするための擬似粒子径上昇のための造粒操作である。なお、この高リン鉱石の擬似粒子も、次の他の焼結原料との造粒過程で崩壊すると、造粒で得られる擬似粒子は、前述した擬似粒子Cとなり、含有するAlにより焼結生産性を悪化させるため、擬似粒子強度を上げることを目的として高速攪拌造粒装置を使用することが好ましい。
引き続き、前記高リン鉱石の擬似粒子をドラムミキサーに代表される既知の造粒機に供給して第一の被覆層となる焼結原料とともに造粒して、第一の被覆層の形成を図る。この第一の被覆層形成の焼結原料としては、石灰石・粉コークスを除く原料であって、さらに前記高リン鉱石よりも焼結性の良いヘマタイト鉱石などの原料を選択する。焼結の返鉱も第一の被覆層を形成する原料として加えてもよい。高リン鉱石の擬似粒子表面を覆うように第一の被覆層を形成する原料は外装化されて造粒され、第一の被覆層の原料のなかでも粗粒原料は同じ第一の被覆層を形成する原料の細粒部分を外装化して造粒が進行する。その後、石灰石・粉コークスがさらに装入され第一の被覆層が形成された焼結原料の表面に石灰石・粉コークスが第2の被覆層として外装化される。このようにして得た擬似粒子Dを焼結に供したところ、マラマンバ鉱石と同様に焼結性が改善され、さらに冷間強度は向上することになる。これは、第一の被覆層が高リン鉱石より焼結性が優れる焼結原料で構成されるための効果である。
次に、本発明者らは、本発明の確認実験を行った。
まず、マラマンバ鉱石をその代表例として説明する。
図19は、擬似粒子Dが熱間通気性を改善しているのかの実験結果である。擬似粒子Dは、マラマンバ鉱石が中央に、その周囲をヘマタイト鉱石、その外周を石灰石・粉コークスと偏析させているため、この擬似粒子を偏析造粒粒子と呼び、その造粒を偏析造粒法として説明する。
図19(a)において、マラマンバ鉱石とCaO-Feのタブレットを重ねた試料を作成、電気炉内に装入して融液を発生させた使用の場合、左方に示す融液流動距離となるが、偏析造粒粒子を使用して、偏析造粒粒子とCaO-Feのタブレットを重ねた試料を作成、電気炉内に装入して融液を発生させた場合、右方に示すように融液流動性は改善される。なお、この際の融液の流動距離h(m)は以下の(2)式に示すHagenの式で表すことができる。
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図19(b)は、溶融時間と融液流動距離を調査したもので、マラマンバ鉱石では、前記したように多孔質で吸収しやすく、融液粘度が上昇するため、流動距離はきわめて小さい。一方、偏析造粒粒子は良好であり、特にヘマタイト鉱石並とも言える。すなわち、偏析造粒粒子では、核粒子であるマラマンバ鉱石の周囲を本例ではヘマタイト鉱石粉が被覆しているため、本実験において、ヘマタイト鉱石を使用した時と同様な融液流動距離を持つと確認された。なお、ヘマタイト鉱石と偏析造粒粒子の流動距離の差異は、ヘマタイト鉱石被覆時の、核粒子となるマラマンバ鉱石の一部崩壊・被覆部分への混入によるものと推察された。
また、図20は、高リン鉱石を対象に図19と同様にして溶融時間と融液流動距離を調査したものである。図20(a),(b)に示すように、高リン鉱石では、前記したようにAl濃度が高く、融液粘度が上昇するため、流動距離はきわめて低いが、高リン鉱石を核粒子とする偏析造粒粒子は良好であり、特にヘマタイト鉱石(銘柄:イタビラ)並とも言える。すなわち、高リン鉱石使用においても、偏析造粒粒子では、本実験において、ヘマタイト鉱石を使用した時と同様な融液流動距離を持つと確認された。高リン鉱石使用時も、ヘマタイト鉱石と偏析造粒粒子の流動距離の差異は、ヘマタイト鉱石被覆時の、核粒子となる高リン鉱石の一部崩壊・被覆部分への混入によるものと推察できた。
図21は,鍋試験による確認実験である。試験装置は、(a)に示すように、図8の通気悪化の原因を試験した装置と同じタイプを用い、熱電対、圧力端子を用いて溶融帯、湿潤帯を判定、各帯の圧力損失を求めた。(b)に示すように、偏析造粒粒子使用の偏析造粒法では、マラマンバ鉱石を使用した際の溶融帯圧力損失の数値が改善され、マラマンバ鉱石を使用しない焼結法による圧力損失に近づいている。湿潤帯圧力損失も改善されている。マラマンバ鉱石を30mass%使用した本実験では、偏析造粒粒子使用により、擬似粒子C型に比べ、通気性は、溶融帯で22%(約6割)、湿潤帯で12%(約4割)の改善が確認できた。高リン鉱石の偏析造粒粒子使用の焼結鍋試験も同様であった。
(核粒子造粒法の追求)
本発明では、マラマンバ鉱石、高リン鉱石に代表される難焼結原料を核粒子となるように造粒する。造粒は、高速攪拌造粒装置を用いての造粒がやはり効率がよい。高速攪拌造粒装置は、上述したように、高速回転する高速撹拌子を有し、この高速攪拌子を高速撹拌することにより混合・造粒できる装置をいい、上述したアイリッヒミキサー(商品名)およびレディゲミキサー(商品名)や、他にヘンシルミキサー(商品名)等、市販の高速攪拌ミキサーを使用することができる。好ましくは、アイリッヒミキサーである。
図22〜25に高速攪拌造粒装置として用いたアイリッヒミキサーによる造粒条件を示す。造粒条件は、造粒時間(滞留時間)、占積率、水分、攪拌羽根回転数である。図22に示す造粒時間(滞留時間)は、生産性に最も影響を及ぼし、アイリッヒミキサー内滞留時間を50秒以上、好ましくは60秒を維持することが重要である。滞留時間60秒で造粒効果はほぼ飽和して、生産性が一定となる。したがって、本発明で用いる難焼結原料の造粒に際し、高速攪拌造粒装置による造粒は、少なくとも滞留時間を50秒以上保持して行うこととする。この造粒のための滞留時間が明らかになったため、通常は2分程度造粒のために滞留させていたアイリッヒミキサーの使用において60秒の滞留時間とした造粒を実施することで約2倍の量の焼結原料の造粒が可能となった。また、図23は、アイリッヒミキサー内の占積率と生産性の関係を示したものであるが、占積率の生産率への影響は少ない。
さらに、図24は、水分と生産性の関係を示したものである。この水分は、特許文献1でも、高速攪拌ミキサーを用いてマラマンバ系の鉱石を処理して、短時間の内に、鉱石内に造粒水分を吸収させて造粒することで、通常のドラムミキサーでの造粒に比較して造粒水分を増加させることが可能となり、焼結機上での通気性が改善されると述べられており重要である。マラマンバ鉱石の造粒において、生産性との兼ね合いから図24においては、9〜11.5mass%の範囲が好ましい。最適範囲は9.5〜10.5mass%の範囲に存在する。水分の上昇は湿潤帯増加につながるため、生産率が同じ状態であれば水分値の低い側で添加水を制御して水分値を調整することが好ましい。また、この造粒水分は、添加量の他、後述する添加水添加位置が重要であって、両者の制御によって核粒子の造粒強度が向上することがわかった。なお、高速撹拌羽根の回転数と生産率との関係を図25に示す。この図に示すように、高速撹拌羽根の回転数の影響は少ないが、100〜220rpmの回転数範囲が好ましい。
次に、前記した造粒用の水分上昇操作のための添加水添加位置について図26を用いて説明する。
図26で示すアイリッヒミキサーの円筒断面は、図中下方に傾斜した配置の中での説明である。アイリッヒミキサーの底部分が図中下方に傾斜しているため造粒は焼結原料が下方に偏在して造粒が行われている状態を示す。この状態において、図中左側の位置(枠で表示)での添加水添加は、造粒粒径が大きくなることが判明した。図中右側の位置(枠で表示)での添加水添加は、造粒粒径が小であった。しかし、造粒粒子の強度を比較すると、図中右側の位置(枠で表示)が、造粒粒径は小さいものの粒子強度が強くなっており、本発明ではこのアイリッヒミキサーを通し造粒した粒子を核粒子として用いるため、図中右側の位置(枠で表示)、すなわち、高速攪拌羽根が被造粒物より露出する前方位置(高速攪拌羽根が傾斜配置された高速攪拌槽底上昇する領域の範囲)に対して水を添加することが好ましい。核粒子が後の第一の被覆層を形成するための造粒工程で崩壊しにくいからである。
図27にアイリッヒミキサーによる造粒後の粒度変化を示す。図27(a)は、マラマンバ鉱石について、図27(b)は高リン鉱石について、それぞれ造粒前、造粒後の擬似粒子の粒度割合を示す図であり、細粒部分が大きく減少している。図19および図20で述べた、第一の被覆層の鉱石とマラマンバ鉱石あるいは高リン鉱石を核とする偏析造粒粒子の融液流動距離の差異は、図27(a),(b)の造粒後に細粒として残る核粒子とならない細粒部分が第一の被覆層に混在する影響と考えられる。したがって、本発明においては、前記アイリッヒミキサーによる造粒後、さらにペレタイザーによる造粒を加えて核粒子とすることが好ましい。
図28は、各造粒機の造粒特性を示したもので、アイリッヒミキサーによる造粒では、0.25mm以下の減少率が大きく、1〜3mm粒子に造粒が進行する。造粒時に5mm以上の増加率が低い。ペレタイザーによる造粒では、0.5mm以下の減少率が大きく、5mm以上の粒子に造粒する。ドラムミキサーは、工業化されている中では汎用的であるが、前記造粒機にくらべ造粒能力は劣る。したがって、本発明においては、一旦アイリッヒミキサーによる造粒を加え、微粉部分までを核粒子とする造粒を加える。一方、造粒時には、粒子粒径が大きいものが核粒子となるため、図に示すように、さらにペレタイザーによる造粒を加え造粒時に5mm以上の造粒物増加を狙うのである。アイリッヒミキサーとペレタイザーの組合わせにおいては、最も微粉量が少なくなり、かつ5mm以上の増加も顕著であり、細粒・微粉部分は、二度の造粒で核粒子側に被覆層となって擬似粒子化され、その後、焼結性の良好な焼結原料からなる第一の被覆層で覆われる。
本発明者らの試験によれば、前記アイリッヒミキサーによる造粒後、さらにペレタイザーによる造粒を加えて核粒子とする偏析造粒粒子を使用した際には、図19、図20の融液流動距離と溶融時間の関係において、最もヘマタイト鉱石のデータに接近した。すなわち、マラマンバ鉱石あるいは高リン鉱石を使用していても、その核粒子がヘマタイト鉱石で被覆され、ヘマタイト鉱石を使用する焼結製造方法と同じ生産率、強度を有するようになり、被還元性も向上した。
前述しているように、難焼結原料を用いて焼結を行う際の本発明の要旨は、図29に示すように、中心部分に難焼結原料、すなわちマラマンバ鉱石あるいは高リン鉱石を偏在させる。すなわち核粒子となるように別途造粒する。その外側を、焼結性が核粒子となった鉱石よりも優れる良焼結原料にて被覆し、さらにその外面を石灰石・粉コークスで覆った偏析造粒粒子を焼結に供するのである。この偏析造粒粒子を使用すると第一の被覆層に使用する鉱石に近い高焼結生産性での焼結が可能となり、また、得られる焼結鉱の冷間強度、被還元性は、第一の被覆層の鉱石とその表面の石灰石との境界面で生じるカルシウムフェライト形成量で決まる。前述したように境界面で生じるカルシウムフェライト融液量は、鉱石と石灰石が混在した状態で発生する融液量より少ない。しかし、境界面で生じたカルシウムフェライト融液は、カルシウムシリケートになりにくいため冷間強度、被還元性に優れた焼結鉱が得られる。この発生するカルシウムフェライト融液で偏析造粒粒子を覆うようにするためには、核粒子および核粒子を形成する難焼結原料と石灰石を接触させないことが重要である。すなわち、焼結時にカルシウムフェライト融液が浸透して核粒子を構成する難焼結原料に達しない被覆層厚を有することである。そのためには前記第一の被覆層の厚みは少なくとも0.5mm以上が必要であり、好ましくは1.5mm以上の被覆厚みを確保する造粒を行う。
次に、焼結原料としてマラマンバ鉱石、高リン鉱石など難焼結原料を用いて偏析造粒粒子を形成する際に、使用可能な難焼結原料の上限値を追及した結果について説明する。図30にその実験結果を示す。実験方法は図3などと同様であり流動状況はEPMAにて測定した。図30(a)は、マラマンバ鉱石とヘマタイト鉱石50:50で混合・造粒した粒子のカルシウムフェライト融液の流動距離を、図30(b)〜(f)は、マラマンバ鉱石使用の偏析造粒粒子を使用した際の流動距離を示し、マラマンバ鉱石(MC)とヘマタイト鉱石(Carajas:CJ)の使用量をそれぞれ50:50、60:40,70:30、80:20、90:10として流動距離を測定した結果である。
図30(a)の状態では焼結操業は行い難く、一方、図30(b)、(c)においては焼結操業上問題発生はなかった。図30(d)において流動距離の悪化から焼結操業時に生産性の低下が生じ、図30(e),(f)においては焼結操業に支障をきたした。
図31に溶融時間経過による流動距離データを各マラマンバ鉱石とヘマタイト鉱石の使用量毎に示す。マラマンバ鉱石とヘマタイト鉱石50:50、60:40では、第一の被覆層を形成するヘマタイト鉱石並みの流動距離を持つために焼結操業上問題発生はないものと推察され、マラマンバ鉱石とヘマタイト鉱石70:30において、流動距離が悪化しており、焼結操業時に生産性の低下が生じたものと推察された。したがって、マラマンバ鉱石の70mass%以上の使用ではマラマンバ鉱石の難焼結原料の性質に支配される焼結操業方法となることになり、使用可能な難焼結原料の割合は事実上70mass%未満である。高リン鉱石使用でも同様の結果であった。
難焼結原料が70mass%未満が好ましいことのメカニズムは、第一被覆層を形成するヘマタイト鉱石の被覆厚みの問題の他、造粒時に、核粒子相互が接触しやすく核粒子崩壊が起こりやすいこと、ならびに第一の被覆層を形成する焼結原料が核粒子に対して過少となっているため第一の被覆層として均一に被覆できない状況至っていることから生じているものと推察された。したがって、本発明においては、前記難焼結原料と第一の被覆層を形成する焼結原料の合計を100mass%としたとき、前記難焼結原料の使用量を70mass%未満に制限することにより焼結を行うものとした。好ましくは前記難焼結原料の使用量を60mass%以下とする。その理由は前述したように、難焼結原料の70masss%を超える使用では、焼結性が良好な焼結原料を用いても、核粒子崩壊、焼結性が良好な焼結原料による被覆の不均一が発生し、難焼結原料の性質が造粒後の焼結原料粒子に現れるためである。したがって、難焼結原料の使用は、70mass%未満とするものである。なお、上限値の探求においては、返鉱は粗粒を含み粒度分布が不均一ともいえ、第一の被覆層を形成する焼結原料から除外して求めた。
なお、難焼結原料としてマラマンバ鉱石、高リン鉱石を例にとって説明しているが、マラマンバ鉱石では気孔率が20vol%超、高リン鉱石ではAlが2.1mass%超であって、特に焼結に使用するとき、焼結操業、焼結強度の悪化が顕著に発生するための代表例としての開示である。他に、難焼結原料としては、高結晶水を含むリモナイト鉱石などを上げることができる。リモナイト鉱石も結晶水を含有しているため、焼結過程の初期の250℃〜500℃前後の温度で結晶水が分解・蒸発し、亀裂を発生して多孔質なものと変わり、発生する融液を多孔質部分に吸収し上掲したように融液流動性を低下させる傾向にある。
本発明は、前記難焼結原料に適用して効果が大となるが、本発明の趣旨は、第一の被覆層形成に焼結性の良好な焼結原料を使用すれば、その焼結原料よりも難焼結原料を使用しても、本発明になる焼結鉱の製造方法を適用した時、焼結性の良好な焼結原料を使用したと同じような焼結鉱の製造方法が可能となるということであり、前記難焼結原料に限定されるものではない。また、核粒子および/または第1の被覆層中に、焼結鉱の成分調整のためにSiO含有副原料を添加してもよい。
次に本発明者らは、さらなる焼結性向上の方法を追求した。
上述したように、焼結原料を偏析造粒粒子化できれば焼結操業上の問題は解消されることが判明した。しかしながら、核粒子製造時も、核粒子まで成長し切れなかった粒子が存在するし、また、第一の被覆層とする焼結原料を加えて偏析造粒粒子に造粒するドラムミキサーなど転動造粒形態では造粒粒子の崩壊・造粒が繰り返されて造粒が進行していくもので、この造粒過程で前記核粒子の一部崩壊が発生して偏析造粒粒子まで成長し切れなかった粒子、粉体が残存する。すなわち全量偏析造粒粒子化できることが望ましいが一部偏析造粒粒子化できない焼結原料が存在する。前記核粒子まで成長し切れなかった粒子ならびに偏析造粒粒子まで成長し切れなかった難焼結原料側の粒子、粉体の存在が、前述した図19,20,31の第一の被覆層焼結原料と偏析造粒粒子の融液流動距離の差となって焼結阻害要因となっている。第一の被覆層の焼結原料が被覆されず粒子、粉体として残存しても問題とはならない。
そのため本発明においては、焼結阻害要因となる前記難焼結原料側の造粒残渣が焼結に与える影響を低減するため、前記第一の被覆層に用いられる焼結原料に対し、ミルスケールおよび/または鉄粉を添加して用いてもよい。
焼結において発生する融液は、CaO-Feの反応からなるカルシウムフェライト融液が理想であるが、鉱石と石灰石の反応中、鉱石中のAl,SiO,およびSiO系原料とも反応してAl-SiO-CaO-Fe系融液を生成する。このAl-SiO-CaO-Fe系融液にFeOを加えると融液粘性が低下することに着目して、前記した如く第一の被覆層に用いられる焼結原料に対し、FeO源としてミルスケールおよび/または鉄粉を添加して用いる。第一の被覆層の焼結原料にミルスケールおよび/または鉄粉を添加して用いるため、前記した前記核粒子まで成長し切れなかった粒子ならびに偏析造粒粒子まで成長し切れなかった難焼結原料側の粒子、粉体と前記第一の被覆層の被覆に用いられるミルスケールおよび/または鉄粉が添加された焼結原料が粒子状あるいは粉状で混在しFeOの存在によって融液の粘性を低下させ、焼結時の熱間通気性を改善する。ミルスケールおよび/または鉄粉の添加量は、5mass%以下が好ましく、1〜3mass%がより好ましい。また、ミルスケールおよび/または鉄粉の好ましい量は、マラマンバ鉱石等の難焼結原料の量にほぼ対応しており、例えばマラマンバ鉱石が20mass%のとき1mass%程度、40mass%のとき2mass%程度、60mass%のとき3mass%程度である。
なお、第一の被覆層形成完了後に第二の被覆層を形成するが、この第二の被覆層は、石灰石と粉コークスすなわち固体燃料系原料である。石灰石と固体燃料系原料を混在させ第二の被覆層の被覆を行ってもかまわないが、固体燃料系原料が最外周に存在すると固体燃料系原料の燃焼性が良いため、前記第二の被覆層は、先に石灰石を被覆し、その後固体燃料系原料を被覆することがより好ましい。
(造粒設備)
以上述べた偏析造粒粒子を製造することができる本発明の一実施形態に係る焼結鉱製造用造粒設備を図32を参照して説明する。
図32に示すように、本発明の一実施形態に係る焼結鉱製造用造粒設備は、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で核粒子となるマラマンバ鉱石や高リン鉱石等の難焼結性の第一の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を貯蔵する第一の貯蔵槽11と、第一の貯蔵槽11から切り出された第一の焼結原料を搬送する第一の搬送装置12と、第一の搬送装置12の端部に配置された高速攪拌造粒装置であるアイリッヒミキサー(商品名)13を備えた核粒子製造設備15と、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で第一の被覆層を形成するヘマタイト鉱石やマグネタイト鉱石等の第二の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料からなる第一被覆層形成原料を貯蔵する第二の貯蔵槽21と、第二の貯蔵槽21から切り出された第二の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を搬送する第二の搬送装置22と、第二の搬送装置22の端部に配置された第一被覆層形成原料の混合設備(一次ミキサー)23と、核粒子と第一被覆層形成原料を混合・造粒する混合・造粒設備(二次ミキサー)32と、核粒子製造設備13からの核粒子と第一被覆層形成原料の混合設備23からの第一被覆層形成原料を混合・造粒設備32に搬送する第三の搬送装置31と、石灰石およびコークス等の固体燃料系原料を貯蔵する第三の貯蔵槽41と、第三の貯蔵槽41から切り出された石灰石および固体燃料系原料を搬送する第四の搬送装置(外装ライン)42と、第四の搬送装置42の端部に配置され混合・造粒設備32の払い出し側から石灰石および固体燃料系原料を装入する第二被覆層原料添加装置43と、混合・造粒設備32から排出された擬似粒子を焼結機へ搬送する第五の搬送装置51とを具備する。
造粒設備である核粒子製造設備15は、高速攪拌造粒装置であるアイリッヒミキサー(商品名)13の下流側に配置されたペレタイザー14をさらに備えることが好ましい。
図32において、造粒設備である核粒子製造設備15としては、高速攪拌造粒装置であるアイリッヒミキサー13が配置され、アイリッヒミキサー13で造粒されたマラマンバ鉱石あるいは高リン鉱石さらにはリモナイト鉱石など焼結に使用する焼結原料の中で難焼結原料を個別に、あるいは混合配合して核粒子とする造粒が行われる。造粒後の排出側には第3の搬送装置31としてベルトコンベアが最終の混合・造粒を行う混合・造粒設備(二次ミキサー)32まで設置されている。アイリッヒミキサー13にはマラマンバ鉱石や高リン鉱石を貯蔵する第一の貯蔵槽11から前記難焼結原料が第一の搬送装置(具体的にはベルトコンベア)12で供給される。例えば、マラマンバ鉱石の造粒時には、第一の貯蔵槽11のうちマラマンバ鉱石貯蔵槽のゲートが開とされベルトコンベアからなる第一の搬送装置12に払い出されアイリッヒミキサー13に供給される。図では、アイリッヒミキサー13を初期滞留時間2分として運転し50t/hrの造粒能力を想定している。
また、核粒子を難焼結原料の混合物で形成する場合は、前記したマラマンバ鉱石貯蔵槽の他、混合使用する他銘柄の貯蔵槽もゲートを開とされベルトコンベアからなる第1の搬送装置12へ切り出される。この場合に、同一ベルトコンベアへの切り出しでもかまわないし、別途搬送装置を設けてもかまわない。同一ベルトコンベアへの切り出しでは、層上に重ねて搬送してアイリッヒミキサー13に供給することができる。アイリッヒミキサー13においては、その中の焼結原料の滞留時間を50秒以上、好ましくは60秒以上としてアイリッヒミキサー底から搬送装置に切り出し焼結原料の核粒子として前記最終の混合・造粒を行う混合・造粒設備に供給する。核粒子は、難焼結性の第一の焼結原料の他、焼結鉱成分調整用のSiO含有副焼結原料が含まれてもよい。
なお、本図では、アイリッヒミキサーを初期滞留時間2分として運転し50t/hrの造粒能力として使用する例を示しているが、60秒の滞留時間の場合には100t/hrの造粒能力として使用する。これにより核粒子造粒強度変化は生じなかった。
第三の搬送装置31は、前記アイリッヒミキサー13から二次ミキサーである混合・造粒設備32に至るベルトコンベア31aと、ベルトコンベア31aに一次ミキサーである混合設備23で混合された第一の被覆層を形成する第二の焼結原料を搬送するベルトコンベア31bとを有する。一方、ベルトコンベアからなる第二の搬送装置22は、第一の被覆層を形成する第二の焼結原料を貯蔵する第二の貯蔵槽21から払いだされる焼結原料を一次ミキサーである混合設備23まで搬送する。第一の被覆層は、本発明で言う焼結性の優れる第二の焼結原料の他、焼結鉱成分調整用のSiO含有副焼結原料が含まれてもよい。これらは原料中に偏在せぬように一旦一次ミキサーである混合設備23にて混合されて第一の被覆層形成焼結原料として供給される。
なお、本発明では核粒子を構成する第一の焼結原料および第一の被覆層形成焼結原料として、石灰石、粉コークス(固体燃料系原料)は含まない。本例では、アイリッヒミキサー13から払い出される造粒された核粒子となった難焼結原料が搬送されているベルトコンベア31a上に、さらに一次ミキサーである混合設備23の排出側に設けたベルトコンベア31bにより第一の被覆層形成焼結原料が搭載される。両原料を同時に二次ミキサーである混合・造粒設備32に供給することにより、混合・造粒がなされ、核粒子に第一の被覆層が形成され、擬似粒子が生成される。この状態で、二次ミキサーである混合・造粒設備32の後端、すなわち排出側から石灰石・粉コークスが供給され、第一の被覆層が形成された擬似粒子に第二の被覆層として石灰石・粉コークス層が被覆される。図32に示すように、この第二の被覆層は、第三の貯蔵槽41から石灰石・粉コークスを順次に切り出し、外装ラインとして示されている第四の搬送装置(ベルトコンベア)42で第二の被覆層原料添加装置43へ供給し、この第二の被覆層原料添加装置43により、二次ミキサーである混合・造粒設備32へ添加されることにより形成される。第二の被覆層原料添加装置43とは、前記石灰石・粉コークスを二次ミキサー排出側から二次ミキサー内に装入する装置であって、二次ミキサー内に排出点を臨ませたベルトコンベアあるいは高速ベルトコンベアとして、ベルト上の石灰石・粉コークスを二次ミキサー内に投射する形式でも良い。二次ミキサーである混合・造粒設備32内に装入された核粒子および第一被覆層形成原料が造粒されて擬似粒子化された過程で、その中に石灰石・粉コークスが装入される。そして擬似粒子外殻として第二の被覆層として石灰石・粉コークスが付着・造粒され、石灰石・粉コークスの外装化がなされ偏析造粒粒子が完成する。当該偏析造粒粒子は、図示しているようにベルトコンベアからなる第五の搬送装置51により焼結機へ供給され、焼結パレット上に500〜700mmの厚みで焼結操業が行われる。
さらに、本発明の焼結鉱製造用造粒設備において、高速攪拌造粒装置であるアイリッヒミキサー13の下流側に、さらにペレタイザー14を配置した核粒子製造設備15とすることにより、核粒子粒度の上昇と、造粒残渣の減少を図ることができることになり、造粒設備として造粒性能が向上する。
以下に本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
実機への導入実験として表11に示した条件で焼結原料調整を行った。
Figure 0004852871
まず、表11の主原料および返鉱をドラムミキサーにて一括造粒し、ドラムミキサー後端部から石灰石およびコークスを装入して、石灰外装型擬似粒子として焼結機に供して、焼結操業を行った。
一方、本発明に基づいた偏析造粒粒子を使用する焼結操業の実機での効果を検証すべく、図33に示す試験造粒設備を使用し、実機操業中において石灰外装型擬似粒子による焼結操業から偏析造粒粒子による焼結操業に変更した。
石灰外装型擬似粒子製造から偏析造粒粒子製造への切替と、焼結操業データについて説明する。
石灰外装型擬似粒子製造は、鉄鉱石類の貯蔵槽から表11に示す主原料および返鉱を切り出し、その各焼結原料の混合のため一次ミキサー(混合用ドラムミキサー)を通して、二次ミキサー(混合・造粒用ドラムミキサー)へ焼結原料を供給した。石灰石、粉コークス貯蔵槽から切り出される石灰石、粉コークスは、前記焼結原料搬送装置とは別途の搬送装置により搬送され、石灰石、粉コークスは二次ミキサー後端から二次ミキサーに装入され、焼結機に供給する焼結原料は、石灰外装型擬似粒子とされて焼結操業を継続させていた。
この設備に高速攪拌造粒装置であるアイリッヒミキサーを介在させ、マラマンバ鉱石のみアイリッヒミキサーに装入して造粒を加え、前記一次ミキサーの排出焼結原料搭載位置より上流側からアイリッヒミキサーによる造粒物(本発明で言うところの核粒子)を供給した。すなわち、偏析造粒粒子製造では、石灰外装型擬似粒子製造において一括して焼結原料を混合・造粒して焼結機に供給していた流れから、マラマンバ鉱石の供給を停止し、マラマンバ鉱石はアイリッヒミキサーを経由させて供給した。なお、搬送時間、アイリッヒミキサー滞留時間など、供給切替はタイムラグが発生するため、マラマンバ鉱石払い出し停止タイミングは同期を採って行った。
図34に石灰外装型擬似粒子と本発明になる偏析造粒粒子切替時の焼結データを示す。図中ベースと表現している範疇は石灰外装型擬似粒子による焼結機操業データである。
この図に示すように、偏析造粒粒子切替によりBTP(焼成完了点)前の風箱温度が上昇し、通気性向上が確認できた。そのため焼結パレット速度を増加させ所定BTPとなるパレット増速が行われた。この偏析造粒粒子使用の生産率は偏析造粒粒子使用中良好であった。また、この間に製造された焼結鉱のタンブラー強度の向上も確認できた。
(実施例2)
ヘマタイト鉱石の構成を変化させ、前記実施例1の手順で実機試験を行ったデータを図35,36に示す。実施例1の評価項目の他に、圧損、メインダクト風量、凝結材比、成品中−4mm、成品中4〜10mmの評価も行った。これらの図に示すように、いずれも良好であり、本発明の効果が確認された。
図37に石灰外装型擬似粒子と実施例1,2における偏析造粒粒子の粒子断面を示す。データは電子線マイクロアナライザーによる測定結果である。
偏析造粒粒子では、核粒子としてFeおよびAlの分布から、所定の偏析造粒粒子になっていることが観察でき、ヘマタイト鉱石よりT.Feが低く、Alが高いマラマンバ鉱石が、核粒子となって偏析造粒粒子に封じ込められていることがわかる。したがって、熱間通気性も良好となって実施例1、2の結果が生じていることを確認できた。
(実施例3)
本実施例は、高リン鉱石を核粒子とした偏析造粒粒子から得られた焼結鉱が、所定組織になっているかの確認である。図38にその結果を示す。データは電子線マイクロアナライザーによる測定結果で示す。
図38において、高リン鉱石の核粒子の周りをヘマタイト鉱石で覆うと、融液が流動する偏析造粒粒子表層部分へのAlの溶出が抑えられていることが分かる。すなわち、Ca表示部分において界面が存在しており、Al表示部分においてもAl残存、Si表示部分においてもSi残存部分が明確に観察でき、見事に核粒子として封じ込めら得ていることがわかる。したがって、熱間通気性も良好となって実施例1、2と同様の結果が生じていることを確認できた。
図38の下の段は、石灰外装型擬似粒子の焼結鉱断面であってCa,Al,Siは混在して観察できない。したがって融液流動性は偏析造粒粒子より悪化し、実施例3との差異になったものと考えられた。
マラマンバ鉱石を用いて造粒粒子を製造するための従来の装置を示す図。 マラマンバ鉱石の配合量を変化させて図1の装置で造粒した焼結原料を用いた場合における特性を示す図。 図1の装置で造粒した焼結原料の熱間通気性を確認するための実験を説明するための図。 図3の実験により確認されることを説明するための図。 図3の実験における測定結果を説明するための図。 マラマンバ鉱石を用いた際の融液流動の悪化を説明するための状態図。 マラマンバ鉱石と他の鉱石の特徴を比較したデータを示す図。 マラマンバ鉱石使用時の通気性悪化の原因を追及した実験の実験装置および実験結果を示す図。 擬似粒子構造からくる焼結鉱の冷間強度を確認する実験を示す図。 熱間通気性を説明するための図。 高リン鉱石の配合割合と各特性の関係を示す図。 高リン鉱石を焼結原料鉱石中に60mass%配合した場合および高リン鉱石を配合しない場合の通気性変化を示す図。 高リン鉱石を焼結原料鉱石中に60mass%配合した場合および高リン鉱石を配合しない場合の焼結中の排ガス組成変化の観察結果を示す図。 融液の粘度測定装置を示す図。 カルシウムフェライト系融液へ添加するAl量と融液の粘度との関係を示す図。 融液の浸透試験装置を示す図。 融液の粘度と融液の浸透速度との関係を示す図。 高リン鉱石の各微粉部分領域で含有されるAl量による示差熱分析結果を示した図。 マラマンバ鉱石を用いて本発明の構造を有する擬似粒子を形成した場合の熱間通気性を確認した実験結果を示す図。 高リン鉱石を用いて本発明の構造を有する擬似粒子を形成した場合の熱間通気性を確認した実験結果を示す図。 マラマンバ鉱石を用いて製造した偏析造粒粒子を用いた場合の熱間通気性をマラマンバ鉱石を用いた石灰外装粒子およびヘマタイト鉱石のみを用いた石灰外装粒子と比較した実験の実験装置および実験結果を示す図。 アイリッヒミキサーの造粒時間と生産率との関係を示す図。 アイリッヒミキサーの占積率と生産率との関係を示す図。 アイリッヒミキサーの出側水分と生産率との関係を示す図。 アイリッヒミキサーの高速攪拌羽根の回転数と生産率との関係を示す図。 アイリッヒミキサーにおける造粒用の水分上昇操作のための添加水添加位置を説明するための図。 マラマンバ鉱石および高リン鉱石を用いた場合のアイリッヒミキサーによる造粒後の粒度変化を示す図。 各造粒機の造粒特性を示す図。 本発明に係る焼結鉱の製造方法を実施する際の擬似粒子構造を示す模式図。 マラマンバ鉱石の使用可能な量を追求した実験結果を示す図。 溶融時間経過による流動距離データをマラマンバ鉱石とヘマタイト鉱石の使用割合毎に示す図。 本発明の一実施形態に係る焼結鉱製造用造粒設備を示す模式図。 実施例で用いた焼結鉱製造用造粒設備を示す模式図。 石灰外装型擬似粒子と本発明になる偏析造粒粒子の切替時における焼結データの変化を示す図。 石灰外装型擬似粒子と本発明になる偏析造粒粒子の切替時における焼結データの変化を示す図。 石灰外装型擬似粒子と本発明になる偏析造粒粒子の切替時における焼結データの変化を示す図。 石灰外装型擬似粒子と実施例1,2における偏析造粒粒子の粒子断面の電子線マイクロアナライザーによる測定結果を示す図。 高リン鉱石を核粒子とした偏析造粒粒子から得られた焼結鉱の粒子断面の電子線マイクロアナライザーによる測定結果を示す図。 従来の焼結原料の混合・造粒工程を示す図。
符号の説明
11…第一の貯蔵槽
12…第一の搬送装置
13…アイリッヒミキサー(高速攪拌造粒装置)
14…ペレタイザー
15…核粒子製造設備
21…第二の貯蔵槽
22…第二の搬送装置
23…混合設備(一次ミキサー)
31…第三の搬送装置
32…混合・造粒設備(二次ミキサー)
41…第三の貯蔵槽
42…第四の搬送装置
43…第二被覆層原料添加装置
51…第五の搬送装置

Claims (15)

  1. 気孔率20vol%超および/またはAlが2.1mass%超でありかつ0.25mm以下の微粉を20mass%以上含む鉄鉱石で構成された第一の焼結原料を造粒して核粒子を生成し、前記核粒子表面に、気孔率20vol%以下およびAlが2.1mass%以下の鉄鉱石で構成された第二の焼結原料を被覆して第一の被覆層を形成し、前記第一の被覆層の表面に石灰石および固体燃料系原料を順次若しくは同時に被覆させた第二の被覆層を形成して擬似粒子を得る工程と、
    前記擬似粒子を焼結する工程と
    を具備することを特徴とする焼結鉱の製造方法。
  2. 前記第一の焼結原料から造粒された核粒子は、嵩密度を1.8g/cm以上に圧密した核粒子であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記第一の被覆層は、焼結時に核粒子を構成する第一の焼結原料と第二の被覆層に含まれる石灰石との接触を断つ層厚を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記第一の焼結原料と前記第二の焼結原料の合計を100mass%としたとき、前記第一の焼結原料の使用量を70mass%未満にすることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  5. 前記第二の焼結原料は、マグネタイト鉱石、へマタイト鉱石、返鉱から選択される1種または2種以上の鉄含有物質で構成され、前記第一の焼結原料は、マグネタイト鉱石およびヘマタイト鉱石以外の鉄鉱石を含むことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  6. 前記第一の焼結原料は、マラマンバ鉱石、リモナイト鉱石、および高リン鉱石から選択される1種または2種以上の鉄鉱石で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  7. 前記第一の被覆層は、前記第二の焼結原料に対し、ミルスケールおよび/または鉄粉を添加して形成されることを特徴とする請求項または請求項に記載の焼結鉱の製造方法。
  8. 前記第二の被覆層は、先に石灰石を被覆し、その後固体燃料系原料を被覆することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  9. 前記第一の焼結原料の造粒が高速攪拌造粒装置で行われることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  10. 前記高速攪拌造粒装置による造粒は、少なくとも滞留時間を50秒以上保持して行うことを特徴とする請求項に記載の焼結鉱の製造方法。
  11. 前記高速攪拌造粒装置による造粒に際して、造粒用水分を9〜11mass%として造粒を行うことを特徴とする請求項または請求項10に記載の焼結鉱の製造方法。
  12. 前記高速攪拌造粒装置による造粒は、攪拌されている被造粒物より高速撹拌子が露出する部分の前方位置に対して水分を添加しつつ行うことを特徴とする請求項から請求項11のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  13. 前記第一の焼結原料の造粒が前記高速攪拌造粒装置で行われた後、さらにペレタイザーで造粒を行うことを特徴とする請求項から請求項12のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
  14. 気孔率20vol%超および/またはAl が2.1mass%超でありかつ0.25mm以下の微粉を20mass%以上含む鉄鉱石で構成され、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で核粒子となる難焼結性の第一の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を貯蔵する第一の貯蔵槽と、
    前記貯蔵槽から切り出された第一の焼結原料を搬送する第一の搬送装置と、
    前記第一の搬送装置の端部に配置された高速攪拌造粒装置を備えた核粒子製造設備と、
    気孔率20vol%以下およびAl が2.1mass%以下の鉄鉱石で構成され、石灰石および固体燃料系原料を含まない状態で第一の被覆層を形成する第二の焼結原料またはそれに加えてSiO含有副原料を貯蔵する第二の貯蔵槽と、
    前記第二の貯蔵槽から切り出された第二の焼結原料またはそれに加えて前記副原料を搬送する第二の搬送装置と、
    前記第二の搬送装置の端部に配置された第一被覆層形成原料の混合設備と、
    核粒子と第一被覆層形成原料を混合・造粒する混合・造粒設備と、
    前記核粒子製造設備からの核粒子と第一被覆層形成原料の混合設備からの第一被覆層形成原料を前記混合・造粒設備に搬送する第三の搬送装置と、
    前記第一の被覆層の上に第二の被覆層を形成する石灰石および固体燃料系原料を貯蔵する第三の貯蔵槽と、
    前記第三の貯蔵槽から切り出された石灰石および固体燃料系原料を搬送する第四の搬送装置と、
    前記第四の搬送装置の端部に配置され前記混合・造粒設備の払い出し側から石灰石および固体燃料系原料を装入する第二被覆層原料添加装置と
    を具備することを特徴とする焼結鉱製造用造粒設備。
  15. 前記核粒子製造設備は、前記高速攪拌造粒装置の下流側に配置されたペレタイザーをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の焼結鉱製造用造粒設備。
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