JP4852738B2 - スギ花粉由来の新規タンパク質およびそのタンパク質をコードする遺伝子並びにそれらの利用 - Google Patents

スギ花粉由来の新規タンパク質およびそのタンパク質をコードする遺伝子並びにそれらの利用 Download PDF

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Description

本発明は、スギ花粉由来の新規タンパク質およびそのタンパク質をコードする遺伝子並びにそれらの利用に関するものであり、特に、キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ/ヒドロラーゼのアミノ酸配列との相同性を有し、スギ花粉症患者の血清IgEと高い反応頻度を示すタンパク質、およびそのタンパク質をコードする遺伝子並びにそれらの利用に関するものである。
スギ花粉症は、スギ林から早春に飛散するスギ花粉を吸収することによって起こるアレルギー疾患であり、鼻炎や皮膚炎、喘息発作などの即時型のアレルギー反応を誘発するものである。近年、スギ花粉症の患者数は急増し、深刻な社会問題となっている。
スギ花粉症は、スギ花粉症のアレルギー反応を誘発するアレルゲン(以下「スギ花粉アレルゲン」と称す)を免疫系が認識することが引き金となって発症することが知られており、これまでに、いくつかのスギ花粉アレルゲンが同定されている。
例えば、非特許文献1には、ペクテート・リアーゼ活性を有するタンパク質であるCry j1が開示されており、非特許文献2には、ペクチンを加水分解するポリメチルガラクツロナーゼ活性を有するタンパク質であるCry j2が開示されている。また、特許文献1には、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動によって測定した分子量が57000〜67000ダルトンであり、等電点が7.0〜9.0の範囲にあるアレルゲンが開示されている。さらに、本発明者らは、イソフラボンレダクターゼ様のアレルゲンであるCJP−6の同定(非特許文献3)および上記Cry j1およびCry j2の異性体の同定に成功している(非特許文献4)。
特開2001−151797号公報(平成13(2001)年6月5日公開) Yasueda, H. et al., J. Allergy Clin. Immunol., 71, 77-86 (1983). Sakagucji, H. et al., Allergy, 45, 309-312 (1990) Kawamoto S. et al., Clin. Exp. Allergy, 32, 1064-1070(2002) Fujimura, T. et al., Int. Arch. Allergy Immunol., 133, 125-135 (2004)
しかしながら、上述のように、現在のところ同定されたスギ花粉アレルゲンの種類は非常に少ないため、アレルギー反応を実際の生体反応に即した形で知るための情報としては未だ不十分であるという問題がある。したがって、さらに多くのスギ花粉アレルゲンを同定し、その特性を知ることが必要である。
また、上述のこれまで同定されたアレルゲン以外のスギ花粉アレルゲンによってアレルギー反応が誘発される場合も多いため、スギ花粉症患者一人ひとりに適した診断や治療を行うためには、より多くのスギ花粉アレルゲンを同定し、スギ花粉アレルゲンに関するデータを蓄積する必要がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スギ花粉症の診断や治療に有用な新規タンパク質を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ/ヒドロラーゼ(以下「XTH」と称する)と相同性を有する新規タンパク質を見出すとともに、当該タンパク質がスギ花粉症患者の血清IgEと高い反応頻度を示すことを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ/ヒドロラーゼ活性を有し、かつ、アレルゲン活性を有することを特徴としている。
また、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、アレルゲン活性を有することを特徴としている。
また、本発明に係るタンパク質は、キシログルカンエンドトランスグルコシラーゼ/ヒドロラーゼのアミノ酸配列に対して60%以上の相同性を有することが好ましい。
また、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるタンパク質であって、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有することを特徴としている。
上記XTHは、植物が細胞壁の構築・構造変化を起こすための必須酵素であるが、これまでにアレルゲンとして作用するという報告はなされていない。しかしながら、後述する実施例に示すように、上記XTHのアミノ酸配列と相同性の高いタンパク質はスギ花粉症患者血清のIgEと高い反応頻度を有する。上記タンパク質は、それぞれ、XTH活性を有するタンパク質、XTHの活性部位(活性中心)と相同なアミノ酸配列を含むタンパク質、XTHのアミノ酸配列に対して60%以上の相同性を有するタンパク質であり、XTHのアミノ酸配列との相同性は高く、かつ、アレルゲン活性を有している。したがって、新規アレルゲンとして利用でき、アレルギー診断用薬剤や治療用薬剤等に応用することができる。
本発明に係る遺伝子は、本発明に係るタンパク質をコードすることを特徴としている。また、本発明に係る遺伝子は、下記の(a)または(b):
(a)配列番号3に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
(b)配列番号3に示される塩基配列からなる遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子。
のいずれかであることが好ましい。
上記遺伝子は、上記アレルゲン活性を有する新規タンパク質をコードする。したがって、形質転換等の手法により宿主に上記タンパク質を生産させることができる。
また、本発明に係る抗体は、本発明に係るタンパク質と結合することを特徴としている。上記抗体は、上記タンパク質と特異的に抗原抗体反応を行うことができる。したがって、上記タンパク質を発現する生物体またはその組織もしくは細胞を同定することができる。
また、本発明に係るベクターは、本発明に係る遺伝子を含むことを特徴としている。上記ベクターによれば、上記遺伝子を生物または細胞に導入することができる。したがって、上記タンパク質を生物または細胞において発現させることができる。また、無細胞タンパク質合成系を用いて上記タンパク質を合成することもできる。
さらに、本発明に係るタンパク質の生産方法は、上記ベクターを用いることを特徴としている。
また、本発明に係る形質転換体は、本発明に係る遺伝子が導入されていることを特徴としている。さらに、本発明に係るタンパク質の生産方法は、本発明に係る形質転換体を用いることを特徴としている。上記形質転換体には、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子が組み込まれているので、上記形質転換体を有性生殖または無性生殖、もしくは培養等することにより、本発明に係るタンパク質を生産することができる。したがって、本発明に係るタンパク質を容易に大量調製することができる。
また、本発明に係るペプチドは、本発明に係るタンパク質に含まれるペプチドであって、スギ花粉症患者由来T細胞を増殖させる活性を有することを特徴としている。上記ペプチドは、本発明に係るタンパク質の一部分、特にT細胞によって特異的に認識されるエピトープを含んでいるので、アレルゲンとして作用することができる。したがって、アレルギー診断用薬剤や、スギ花粉症患者に対する減感作療法の治療用薬剤等に利用することができる。
また、本発明に係る検出器具は、本発明に係る遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列が基板上に固定化されていることを特徴としている。上記構成によれば、上記塩基配列またはその相補配列をプローブとして、当該プローブとハイブリダイズするヌクレオチドを検出することができる。したがって、種々の生物またはその組織もしくは細胞から作製したcDNAライブラリーを標的サンプルとする検出等を行うことができる。
また、本発明に係る検出器具は、本発明に係るタンパク質および/または本発明に係るペプチドが基板上に固定化されていることを特徴としている。さらに、本発明に係る検出器具は、本発明に係る抗体が基板上に固定化されていることを特徴としている。上記構成によれば、アレルゲン活性を有するタンパク質等が基板上に固定化されているので、上記タンパク質等と相互作用する物質を検出することができる。したがって、タンパク質群の相互作用を分子レベルで明らかにすることができる。
また、本発明に係るアレルギー診断用薬剤は、本発明に係るタンパク質および/または本発明に係るペプチドを含むことを特徴としている。上記タンパク質およびペプチドは、スギ花粉症のアレルゲン活性を有しているので、これらを認識する患者血清中のIgE抗体と結合しうる。したがって、上記タンパク質および/または上記ペプチドを含む薬剤を被験者に投与することにより、スギ花粉に対するアレルギーの有無を診断することができる。
また、本発明に係る治療用薬剤は、本発明に係るタンパク質および/または本発明に係るペプチドを含むことを特徴としている。上記タンパク質および上記ペプチドは、スギ花粉症のアレルゲン活性を有している。したがって、上記タンパク質および/または上記ペプチドを含む薬剤は、スギ花粉症に対する減感作療法等における治療用薬剤として用いることができる。
さらに、本発明に係る治療用薬剤は、本発明に係る抗体を含むことを特徴としている。上記抗体は、スギ花粉アレルゲンと特異的に結合することができる。したがって、上記抗体を含む薬剤は、受動免疫によるスギ花粉症の治療用薬剤等として用いることができる。
本発明に係るタンパク質は、以上のように、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、XTHのアミノ酸配列と相同性を有し、かつ、アレルゲン活性を有するものである。それゆえ、スギ花粉症患者血清のIgEと高頻度で反応することができるので、アレルギー診断薬や、減感作療法用の治療用薬剤等として好適に利用することができるという効果を奏する。
本発明の位置実施の形態について説明すれば以下のとおりであるが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、本発明に係るタンパク質、当該タンパク質をコードする遺伝子、およびこれらの利用について詳述する。
(1)本発明に係るタンパク質
一実施形態において、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、XTH活性を有し、かつ、アレルゲン活性を有することが好ましい。上記XTHは糖転移酵素の一つであり、セルロースに架橋しているキシログルカンを切断し、他のキシログルカンに繋ぎ換えることにより、細胞壁の再編や構築に関与していると考えられている。また、XTHは、花粉においては、花粉柱が伸長する際に活性化して細胞壁の糖鎖構造を変化させる酵素として知られている。
上記「XTH活性を有する」とは、本発明に係るタンパク質が、XTHと同様の酵素活性を示すことができればよいとの意である。後述するCPA121の組み換えタンパク質は界面活性剤により変性しているため、リフォールディングして活性を取り戻す必要があるが、一定分子量範囲のキシログルカンに対して酵素を作用させた場合、糖転移が起こり、分子量分布が変化するため、リフォールディング後のXTH活性をゲル濾過クロマトグラフィーなどで分析することでXTH活性を確認することができる。なお、天然物のXTH活性についても同様に確認することができる。
また、本明細書中において、上記「アレルゲン活性」とは、肥満細胞上のIgEと結合し、アトピー性の人に即時型アレルギー反応を引き起こす活性のみならず、単に血清中のIgEと結合する活性をも含むものとする。
他の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、アレルゲン活性を有することが好ましい。
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列は、XTH特有の活性部位(活性中心)であり、XTHが基質を取り込んでその反応を触媒する場所のアミノ酸配列である。上記配列番号1に示されるアミノ酸配列を含むタンパク質は、その一部が改変された変異タンパク質であってもよい。すなわち、本発明に係るタンパク質には、(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質も含まれる。
上記「1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」とは、特に限定されるものではないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、挿入、及び/又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されるものであることが好ましく、上記XTH活性を維持することができるものであればよい。
このように、上記(b)のタンパク質は、上記(a)のタンパク質の変異タンパク質である。なお、ここでいう「変異」は、主として公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異タンパク質を単離精製したものであってもよい。
他の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、N型糖鎖結合部位を含んでいてもよい。N型糖鎖とは、糖タンパク質の糖鎖のうち、タンパク質のアスパラギン残基に結合している糖鎖のことであり、N−アセチルグルコサミン2個とマンノース3個の基本構造からなる。
また、他の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、上記XTHのアミノ酸配列に対して60%以上の相同性を有することが好ましい。ここで「相同性」とは、アミノ酸配列中に占める同じ配列の割合のことであり、この値が高いほど両者は近縁であるといえる。上記相同性は、60%以上であることが好ましいが、後述する実施例に示すように、XTHと相同性の高いタンパク質はスギ花粉症患者血清のIgEと高い反応頻度を有していることから、相同性は高いほど好ましいと考えられ、65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。また、特に、XTHの活性部位(活性中心)のアミノ酸配列に対する相同性が高いことがより好ましい。
また、他の実施形態において、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉に含まれるタンパク質であって、
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;または
(b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有することが好ましい。
上記配列番号2に示されるアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質(以下「CPA121」と称する)のアミノ酸配列は、上記XTHのアミノ酸配列と相同性を有している。具体的には、後述する実施例に示すように、リンゴ、アスパラガス、アラビドプシス由来のXTHと、それぞれ70%、68%、66%という高い相同性を有している。
また、上記CPA121は、後述する実施例に示すように、スギ花粉症患者の血清に含まれるIgE抗体によって認識され、当該スギ花粉症患者のアレルギー反応を誘発するアレルゲンである。これまで上記XTHがアレルゲンとして報告された例はないが、上記CPA121は上述のようにアレルゲンであるとともに、XTHのアミノ酸配列と高い相同性を有するため、XTHとして初めて見出されたアレルゲンである可能性がある。
上記「1個又はそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加された」は、特に限定されるものではないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異タンパク質作製法により置換、欠失、挿入、及び/又は付加できる程度の数(好ましくは10個以下、より好ましくは7個以下、さらに好ましくは5個以下)のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されるものであることが好ましい。このような変異タンパク質は、上述したように、公知の変異タンパク質作製法により人為的に導入された変異を有するタンパク質に限定されるものではなく、天然に存在するタンパク質を単離精製したものであってもよい。
なお、以上説示した本発明に係るタンパク質は、アミノ酸がペプチド結合してなるポリペプチドであればよいが、これに限定されるものではなく、ポリペプチド以外の構造を含む複合タンパク質であってもよい。したがって、本発明に係るタンパク質は、既に説明した構造以外に、他の構造を含む複合タンパク質であっても良い。ここでいうポリペプチド以外の構造としては、糖鎖やイソプレノイド基等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
また、本発明に係るタンパク質は、付加的なポリペプチドを含むものであってもよい。このようなポリペプチドが付加される場合としては、例えば、HisやMyc、Flag等によって本発明に係るタンパク質がエピトープ標識されるような場合が挙げられる。
さらに、本発明に係るタンパク質を取得する方法は、特に限定されるものではない。例えば、後述する本発明に係る遺伝子(本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子)を宿主細胞に導入して、そのタンパク質を細胞内で発現させて取得してもよいし、細胞、組織などから単離精製してもよい。また、上記宿主細胞での発現条件によっては、本発明に係るタンパク質は、他のタンパク質とつながった融合タンパク質であってもよい。さらに本発明に係るタンパク質は、無細胞系によって合成されたものであってもよいし、化学合成されたものであってもよい。あるいは、本発明に係るタンパク質は、Cry j1やCry j2など、他のアレルゲンタンパク質と融合させて使用してもよい。
上記タンパク質は、スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、上記XTHに特有な活性部位(活性中心)と相同なアミノ酸配列を含んでおり、かつ、アレルゲン活性を有しているため、新規アレルゲンとして、アレルギー診断用薬剤や治療用薬剤等に利用することができる。
本発明に係るタンパク質を取得する方法(生産方法)は、特に限定されるものではない。例えば、本発明に係るタンパク質を発現する細胞、組織などから単純精製する方法を挙げることができる。すなわち、スギ花粉から本発明に係るタンパク質を抽出・精製してもよい。また、精製方法も特に限定されるものではない。例えば、細胞抽出液を従来公知のカラム等を用いて精製すればよい。
本発明に係るタンパク質は、その一部分、特にT細胞によって特異的に認識されるエピトープ(以下「T細胞エピトープ」と称する)を含む部分のみを利用するようにしてもよい。すなわち、本発明に係るタンパク質に含まれるペプチドであって、スギ花粉症患者由来のT細胞を増殖させる活性を有するペプチドも、本発明の技術的範囲に含まれる。
上記「スギ花粉症患者由来のT細胞を増殖させる活性」とは、スギ花粉症患者由来の末梢血単核細胞群(T細胞が多く含まれる)を、上記ペプチドの存在下で培養したときに、該末梢血単核細胞群のDNA合成速度を、上記ペプチドの非存在下で培養した末梢血単核細胞群の2倍を越える速度、より好ましくは5倍以上の速度にする活性のことを意味する。
なお上記T細胞は、体内に取り込まれたアレルゲンを認識し、IgE抗体の産生を促す細胞である。したがって、T細胞がアレルゲンを認識する能力が低下すれば、当該アレルゲンに対するIgE抗体の産生量は低下し、それに伴い当該アレルゲンによって誘発されるアレルギー反応は沈静化する。そこで減感作療法では、微量のアレルゲンを当該アレルゲンに対してアレルギー反応を誘発する患者に投与することにより、当該アレルゲンに対するT細胞の感受性を低下させる。したがって、上記ペプチドは、スギ花粉症患者に対する減感作療法において利用することができる。
上記ペプチドの同定は、適宜公知の方法を用いて行うことが可能である。例えば以下のようにして同定することができる。
まず本発明に係るオーバーラップペプチドを合成する。ここで「オーバーラップペプチド」とは、本発明にかかるタンパク質(例えば、CPA121;配列番号2)のアミノ酸配列に基づき、N末端からC末端に至る全アミノ酸残基をカバーするペプチドのことである。かかるオーバーラップペプチドは、市販されているペプチド自動合成装置により容易に合成することができる。これらのオーバーラップペプチドの中から、少なくとも一つのT細胞エピトープを含むペプチドを同定すればよい。
またT細胞エピトープを同定するためには、スギ花粉症患者の末梢血リンパ球から、本発明にかかるタンパク質(例えば、CPA121)を特異的に認識し増殖応答するT細胞ラインを樹立する必要がある。一般に、患者毎に反応するT細胞エピトープが異なるため、患者毎にT細胞ラインを樹立することが望ましい。
T細胞ラインの樹立するためには、通常患者の末梢血リンパ球を本発明に係るタンパク質(例えば、CPA121)の存在下、7日間程度培養して抗原刺激によりT細胞を活性化し、さらに、活性化T細胞を、抗原と抗原提示細胞と共に7日間培養することを数回繰り返して抗原刺激することにより、抗原特異的T細胞ラインを作製することができる。
しかしながら、T細胞が増殖因子のIL−2の存在下でよく増殖している場合は、抗原刺激は最初だけにすることが好ましい。T細胞ラインを数度抗原刺激すると、増殖率の高いT細胞が選択的に取れ、T細胞エピトープを含むペプチドを同定する場合において、エピトープによっては十分な増殖応答を示さない場合が生じるからである。
なお、抗原刺激に使用する本発明に係るタンパク質(例えば、CPA121)としては、スギ花粉から取得した天然型のものが最も望ましいが、組換えタンパク質、あるいはオーバーラップペプチドの混合物も好適に使用できる。上記本発明に係るタンパク質は、大腸菌で発現させ精製したものが利用できる。
また、上記で使用する抗原提示細胞としては、T細胞ラインと同一人の末梢血リンパ球を、マイトマイシンC処理あるいは放射線照射して増殖能力を失わせたものが望ましい。しかし、採血回数が多くなるため、Epstein−Barr virus(EBV)を自己のBリンパ球に感染させトランスフォーメーションを起こさせたものは、in vitroで増殖し続けリンパ芽球様細胞株(B細胞株)となるため、このB細胞株を抗原提示細胞として用いてもよい。B細胞株の樹立方法は既に確立されている[組織培養の技術第二版、187-191 頁、日本組織学会編(1988.8.10)]。
それぞれの患者固有のT細胞ラインが認識する、T細胞エピトープを含むペプチドは以下のようにして同定される。ここで「認識する」という意味は、T細胞レセプターが抗原エピトープ(MHC 分子を含めて)と特異的に結合し、その結果、T細胞が活性化されることを意味し、活性化の状態は、リンホカインの産生や、DNAの合成を [ 3H] チミジンの取込み量を指標として測定することにより観察される。すなわち、T細胞ラインとマイトマイシンC処理した同一人のB細胞株とを、96穴平底プレートに播種し、オーバーラップペプチドと共に混合培養し、 [ 3H] チミジンの取込み量(cpm )を液体シンチレーションカウンターで測定する。その際、 [ 3H] チミジンの取込みは、個々の培養系で異なるため、例えば、個々のペプチドに対するT細胞ラインの[ 3H] チミジン取込み量(cpm)を、抗原を添加していないコントロールの [ 3H] チミジン取込み量(cpm )で除した数(stimulation index: SI )が2以上のものを上記ペプチドと同定する。
(2)本発明に係る遺伝子
本発明に係る遺伝子は、本発明に係るタンパク質をコードする。本発明に係る遺伝子には、さらに、上記遺伝子の変異体が含まれる。変異体は、天然の対立遺伝子変異体のように、天然に生じ得る。「対立遺伝子変異体」によって、生物の染色体上の所定の遺伝子座を占める遺伝子のいくつかの交換可能な形態の1つが意図される。天然に存在しない変異体は、例えば当該分野で周知の変異誘発技術を用いて生成され得る。
このような変異体としては、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列において1または数個の塩基が欠失、置換、または付加した変異体が挙げられる。変異体は、コードもしくは非コード領域、またはその両方において変異され得る。コード領域における変異は、保存的もしくは非保存的なアミノ酸欠失、置換、または付加を生成し得る。
本発明はさらに、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子または当該遺伝子にハイブリダイズする遺伝子を含む、単離した遺伝子を提供する。
本発明に係る遺伝子は、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAやRNAも包含する。アンチセンス鎖は、プローブとして又はアンチセンス薬剤として利用できる。DNAには、例えばクローニングや化学合成技術又はそれらの組み合わせで得られるようなcDNAやゲノムDNAなどが含まれる。さらに、本発明に係る遺伝子は、本発明に係るタンパク質をコードする配列以外に、非翻訳領域(UTR)の配列やベクター配列(発現ベクター配列を含む)などの配列を含むものであってもよい。
一実施形態において、本発明に係る遺伝子は、
(a)配列番号3に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
(b)配列番号3に示される塩基配列からなる遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズする遺伝子。
のいずれかであることが好ましい。上記(a)に係る遺伝子は、上記CPA121をコードする遺伝子である。
なお、上記「ストリンジェントな条件」とは、少なくとも90%以上の同一性、好ましくは少なくとも95%以上の同一性、最も好ましくは97%の同一性が配列間に存在する時にのみハイブリダイゼーションが起こることを意味する。
上記ハイブリダイゼーションは、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法のような周知の方法で行うことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなる(ハイブリダイズし難くなる)。ハイブリダイゼーションの条件としては、従来公知の条件を好適に用いることができ、特に限定しないが、例えば、42℃、6×SSPE、50%ホルムアミド、1%SDS、100μg/ml サケ精子DNA、5×デンハルト液(ただし、1×SSPE;0.18M 塩化ナトリウム、10mMリン酸ナトリウム、pH7.7、1mM EDTA。5×デンハルト液;0.1% 牛血清アルブミン、0.1% フィコール、0.1% ポリビニルピロリドン)が挙げられる。
本発明に係る遺伝子を取得する方法としては、公知の技術により本発明に係る遺伝子を含むDNA断片を単離し、クローニングする方法が挙げられる。例えば、本発明における遺伝子の塩基配列の一部と特異的にハイブリダイズするプローブを調製し、ゲノムDNAライブラリーやcDNAライブラリーをスクリーニングすればよい。このようなプローブとしては、本発明に係る遺伝子の塩基配列またはその相補配列の少なくとも一部に特異的にハイブリダイズするプローブであれば、いずれの配列および/または長さのものを用いてもよい。
あるいは、本発明に係る遺伝子を取得する方法として、PCR等の増幅手段を用いる方法を挙げることができる。例えば、本発明における遺伝子のcDNAのうち、5’側および3’側の配列(またはその相補配列)の中からそれぞれプライマーを調製し、これらプライマーを用いてゲノムDNA(またはcDNA)等を鋳型にしてPCR等を行い、両プライマー間に挟まれるDNA領域を増幅することで、本発明に係る遺伝子を含むDNA断片を大量に取得することができる。
(3)抗体
本発明に係る抗体は、本発明に係るタンパク質と特異的に結合することができる。上記抗体とは免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgG、IgMおよびこれらのFabフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fcフラグメント)を意味し、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、抗イディオタイプ抗体およびヒト化抗体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記抗体は、本発明に係るタンパク質を発現する生物体またはその組織もしくは細胞の同定などに利用することができる。例えば、本発明に係るタンパク質を含む花粉が大気中や屋内の空間またはヒトの粘膜にどの程度存在しているのかを調べるために利用することができる。
上記抗体は、種々の公知の方法を用いて作製することができ、作製方法は特に限定されるものではない。例えば、HarLowら、「Antibodies:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1988)」、岩崎ら、「単クローン抗体 ハイブリドーマとELISA、講談社(1991)」)等の方法を用いて作製することができる。
また、上記抗体には、上記タンパク質に特異的に結合しうる完全な抗体分子のみならず、例えば、FabおよびF(ab’)フラグメントのような抗体フラグメントも含まれる。FabおよびF(ab’)フラグメントは完全な抗体のFc部分を欠いており、循環によってさらに迅速に除去され、そして完全な抗体の非特異的組織結合をほとんど有し得ないため(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))、好ましく用いることができる。
(4)本発明に係るタンパク質および/または遺伝子の利用
(4−1)ベクター
本発明に係るベクターは、上記本発明に係る遺伝子を含むものであれば特に限定されるものではない。例えば、上記本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子のcDNAが挿入された組換え発現ベクターなどが挙げられる。組換え発現ベクターの作製方法としては、プラスミド、ファージ、またはコスミドなどを用いる方法が挙げられるが特に限定されるものではない。
ベクターの具体的な種類は特に限定されず、宿主細胞中で発現可能なベクターを適宜選択すればよい。すなわち、宿主細胞の種類に応じて、確実に本発明に係る遺伝子を発現させるために適宜プロモーター配列を選択し、これと本発明に係る遺伝子を各種プラスミド等に組み込んだベクターを発現ベクターとして用いればよい。
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含む。このようなマーカーとしては、真核生物細胞培養についてはジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性、および大腸菌および他の細菌における培養についてはテトラサイクリン耐性遺伝子またはアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
上記選択マーカーを用いれば、本発明に係る遺伝子が宿主細胞に導入されたか否か、さらには宿主細胞中で確実に発現しているか否かを確認することができる。あるいは、本発明に係るポリペプチドを融合ポリペプチドとして発現させてもよく、例えば、オワンクラゲ由来の緑色蛍光ポリペプチドGFP(Green Fluorescent Protein)をマーカーとして用い、本発明に係るポリペプチドをGFP融合ポリペプチドとして発現させてもよい。
上記の宿主細胞は、特に限定されるものではなく、従来公知の各種細胞を好適に用いることができる。具体的には、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌、酵母(出芽酵母Saccharomyces cerevisiae、分裂酵母Schizosaccharomyces pombe)、線虫(Caenorhabditis elegans)、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の卵母細胞等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。上記の宿主細胞のための適切な培養培地および条件は当分野で周知である。
上記発現ベクターを宿主細胞に導入する方法、すなわち形質転換法も特に限定されるものではなく、電気穿孔法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、DEAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適に用いることができる。また、例えば、本発明に係るポリペプチドを昆虫で転移発現させる場合には、バキュロウイルスを用いた発現系を用いればよい。
このように、本発明に係るベクターは、少なくとも、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子を含めばよいといえる。すなわち、発現ベクター以外のベクターも、本発明の技術的範囲に含まれる。
(4−2)形質転換体
本発明に係る形質転換体は、本発明に係る遺伝子が導入されているものであり、上記「形質転換体」とは、細胞、組織または器官だけでなく、生物個体を含むことを意味する。
形質転換体の作製方法(生産方法)は特に限定されるものではないが、例えば、上述した組換えベクターを宿主に導入して形質転換する方法を挙げることができる。また、形質転換の対象となる生物も特に限定されるものではなく、上記宿主細胞で例示した各種微生物、植物または動物を挙げることができる。
本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子を含む形質転換体は、当該タンパク質を含む組換えベクターを、当該遺伝子が発現し得るように宿主中に導入することにより得ることができる。
宿主への遺伝子の導入には、当業者に公知の形質転換方法(例えば、アグロバクテリウム法、遺伝子銃、PEG法、エレクトロポレーション法など)が用いられる。また、遺伝子を直接細胞または組織に導入する方法としては、エレクトロポレーション法、遺伝子銃法が知られている。
遺伝子が宿主に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法などによって行うことができる。例えば、形質転換植物からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行えばよい。
PCR増幅産物については、アガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはキャピラリー電気泳動などを行い、臭化エチジウム、SYBR Green液などによって染色し、増幅産物を1本のバンドとして検出することによって、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素などによって標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレートなどの固相に増幅産物を結合させ、蛍光または酵素反応などによって増幅産物を確認する方法も採用することができる。
上記形質転換体を作製し、有性生殖あるいは無性生殖、または培養等することにより、上記形質転換体内で本発明に係るタンパク質を生産することができるため、上記タンパク質を容易に大量調製することが可能となる。
(4−3)タンパク質の生産方法
上記本発明にかかるベクターおよび形質転換体を用いることによって本発明にかかるタンパク質の生産を行うことができる。
一実施形態において、本発明に係るタンパク質の生産方法は、本発明に係るタンパク質をコードする遺伝子を含むベクター(上記本発明にかかるベクター)を用いることを特徴とする。
本実施形態の一つの局面において、本実施形態に係るタンパク質の生産方法は、上記ベクターを無細胞タンパク質合成系に用いることが好ましい。無細胞タンパク質合成系を用いる場合、種々の市販のキットを用いればよい。好ましくは、本実施形態に係るタンパク質の生産方法は、上記ベクターと無細胞タンパク質合成液とをインキュベートする工程を包含する。
本実施形態の他の局面において、本実施形態に係るタンパク質の生産方法は、組換え発現系を用いることが好ましい。組換え発現系を用いる場合、本発明に係る遺伝子を組換え発現ベクターに組み込んだ後、公知の方法により発現可能に宿主に導入し、宿主内で翻訳されて得られる上記タンパク質(ポリペプチド)を精製するという方法などを採用することができる。組換え発現ベクターは、プラスミドであってもなくてもよく、宿主に目的遺伝子(ポリヌクレオチド)を導入することができればよい。好ましくは、本実施形態に係るタンパク質(ポリペプチド)の生産方法は、上記ベクターを宿主に導入する工程を包含する。
このように宿主に外来遺伝子(ポリヌクレオチド)を導入する場合、発現ベクターは、外来遺伝子(ポリヌクレオチド)を発現するように宿主内で機能するプロモーターを組み込んであることが好ましい。組換え的に産生されたタンパク質(ポリペプチド)を精製する方法は、用いた宿主、タンパク質(ポリペプチド)の性質によって異なるが、タグの利用等によって比較的容易に目的のタンパク質(ポリペプチド)を精製することが可能である。
本実施形態に係るタンパク質(ポリペプチド)の生産方法は、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を含む細胞または組織の抽出液から当該タンパク質(ポリペプチド)を精製する工程をさらに包含することが好ましい。タンパク質(ポリペプチド)を精製する工程は、周知の方法(例えば、細胞または組織を破壊した後に遠心分離して可溶性画分を回収する方法)で細胞や組織から細胞抽出液を調製した後、この細胞抽出液から周知の方法(例えば、硫安沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィー)によって精製する工程が好ましいが、これらに限定されない。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)が精製のために用いられる。
別の実施形態において、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)の生産方法は、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を天然に発現する細胞または組織から当該タンパク質(ポリペプチド)を精製することを特徴とする。本実施形態に係るタンパク質(ポリペプチド)の生産方法は、上述した抗体を用いて本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を天然に発現する細胞または組織を同定する工程を包含することが好ましい。また、本実施形態に係るタンパク質(ポリペプチド)の生産方法は、上述したタンパク質(ポリペプチド)を精製する工程をさらに包含することが好ましい。
さらに他の実施形態において、本発明に係るタンパク質の生産方法は、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を化学合成するものであってもよい。化学合成の方法は特に限定されるものではない。例えば、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)のアミノ酸配列に基づいて周知の化学合成技術を適用すれば、本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を化学合成することができる。
本発明に係るタンパク質(ポリペプチド)を生産する方法によって取得されるタンパク質(ポリペプチド)は、天然に存在する変異タンパク質(ポリペプチド)であっても、人為的に作製された変異タンパク質(ポリペプチド)であってもよい。
変異タンパク質(ポリペプチド)を作製する方法についても、特に限定されるものではない。例えば、部位特異的変異誘発法(例えば、Hashimoto−Gotoh,Gene 152,271−275(1995)参照)、PCR法を利用して塩基配列に点変異を導入し変異タンパク質(ポリペプチド)を作製する方法、またはトランスポゾンの挿入による突然変異株作製法などの周知の変異タンパク質(ポリペプチド)作製法を用いることによって、変異タンパク質(ポリペプチド)を作製することができる。変異タンパク質(ポリペプチド)の作製には市販のキットを利用してもよい。
(4−4)検出器具
本発明に係る検出器具は、本発明に係る遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列が基板上に固定化されたもの、本発明に係るタンパク質および/またはペプチドが基板上に固定化されたもの、または、本発明に係る抗体が基板上に固定化されたものであり、種々の条件下において、本発明に係るタンパク質、ペプチド、遺伝子の発現パターンの検出・測定などに利用することができる。
一実施形態において、本発明に係る検出器具は、本発明に係る遺伝子における少なくとも一部の塩基配列またはその相補配列が基板上に固定化されていることを特徴としている。このような検出器具としては、例えば、DNAチップを挙げることができる。上記「DNAチップ」とは、合成したオリゴヌクレオチドを基板上に固定化した合成型DNAチップを意味するが、これに限定されず、PCR産物などのcDNAを基板上に固定化した貼付け型DNAマイクロアレイも包含する。
基板上に固定するプローブとして用いる配列は、cDNA配列の中から特徴的な配列を特定する公知の方法(例えば、SAGE法(Serial Analysis of Gene Expression法)(Science 276:1268,1997;Cell 88:243,1997;Science 270:484,1995;Nature 389:300,1997;米国特許第5,695,937号)等が挙げられるがこれらに限定されない)によって決定することができる。
また、一般的なDNAチップと同様、パーフェクトマッチプローブ(オリゴヌクレオチド)と、当該パーフェクトマッチプローブにおいて一塩基置換されたミスマッチプローブとを配置して遺伝子の検出精度をより向上させてもよい。さらに、異なる遺伝子を並行して検出するために、複数種のオリゴヌクレオチドを同一の基板上に固定してDNAチップを構成してもよい。
本実施形態の好ましい局面において、本実施形態に係る検出器具は、種々の生物またはその組織もしくは細胞から作製したcDNAライブラリーを標的サンプルとする検出に用いることができ、発現しているmRNAの種類、発現レベルの把握・発現解析等を行うことができる。
他の実施形態において、本発明に係る検出器具は、本発明に係るタンパク質および/またはペプチドまたは抗体が基板上に固定化されていることを特徴とする。本実施形態の好ましい局面において、本実施形態に係る検出器具は、いわゆるプロテインチップである。
上記の方法以外のタンパク質および/またはペプチド、または抗体を基板上に固定化する方法としては、例えば、ニトロセルロース膜やPDVF膜にタンパク質や抗体をドットブロットの要領でスポットする物理吸着法、または、タンパク質や抗体の変性を軽減するために、スライドガラス上にポリアクリルアミドのパッドを接合して、これにタンパク質や抗体をスポットする方法が挙げられる。
さらに、タンパク質や抗体を基板表面に吸着させるだけでなく、強固に結合させるため、アルデヒド修飾ガラスを利用した方法(G.MacBeath,S.L.Schreiber,Science,289,1760(2000))を用いることもできる。また、基板上でのタンパク質の配向を揃えて固定化する方法としては、オリゴヒスチジンタグを介して、ニッケル錯体で表面修飾した基板へ固定化する方法(H.Zhu,M.Bilgin,R.Bangham,D.Hall,A.Casamayor,P.Bertone,N.Lan,R.Jansen,S.Bidlingmaier,T.Houfek,T.Mitchell,P.Miller,R.A.Dean,M.Gerstein,M.Snyder,Science,293,2101(2001))を用いることができる。
上記検出器具は、例えば種々の生物またはその組織もしくは細胞からの抽出液を標的サンプルとする検出に用いることができ、上記タンパク質等と相互作用する物質を検出することができる。したがって、タンパク質群の相互作用を分子レベルで明らかにすることができる。
なお、上記「基板」は、目的物(例えば、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質)を担持することのできる物質をいい、「支持体」と交換可能に使用される。好ましい基板(支持体)としては、ビーズ(例えば、ポリスチレンビーズ)、固相(例えば、ガラスチューブ、試薬ストリップ、ポリスチレン製のマイクロタイタープレートまたはアミノ基結合型のマイクロタイタープレート)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、目的物をこれらの基板に固定化する方法は、特に限定されるものではない。例えば、Nature 357:519−520(1992)に記載の方法を用いることができる。
本発明に係る検出器具に用いる基板の材質としては、目的物を安定して固定化することができるものであればよい。上記した基板以外には、例えば、ポリカーボネートやプラスティックなどの合成樹脂、ガラス等を挙げることができるが、これらに限定されない。基板の形態も特に限定されないが、例えば、板状、フィルム状等の基板を好適に用いることができる。
(4−5)薬剤
一実施形態において、本発明に係るアレルギー診断用薬剤は、本発明に係るタンパク質および/または本発明に係るペプチドを含むことを特徴としている。
本発明に係るタンパク質は、これまでにスギ花粉症の主要アレルゲンとして知られているCry j1やCry j2とは異なる構造を有する新規のスギ花粉アレルゲンである。アレルゲンを認識するIgE抗体は、アレルゲンであるタンパク質の特定の領域(エピトープ)を認識することから、本発明に係るタンパク質は、Cry j1やCry j2とは異なるエピトープを有していると考えられる。換言すれば、本発明に係るタンパク質を認識する抗体と、Cry j1またはCry j2を認識する抗体とは異なると考えられる。
また、本発明に係るペプチドは、上述のように、本発明に係るタンパク質に含まれるペプチドであって、スギ花粉症患者由来のT細胞を増殖させる活性を有するペプチドである。
したがって、本発明に係るタンパク質および/または本発明に係るペプチドを含む薬剤を用いることにより、上記タンパク質および/またはペプチドを認識する抗体を有するスギ花粉症患者を検出することができ、上記薬剤をアレルギー診断用薬剤として利用することができる。
また、スギ花粉症患者に対して減感作療法を行う場合には、当該スギ花粉症患者が保有している抗体により認識されるアレルゲンを当該患者に投与する必要がある。例えば、Cry j1に対する抗体を保有している患者には、Cry j1を投与する必要がある。
これまで、スギ花粉症患者に対して減感作療法を行う場合には、主にCry j1やCry j2が当該患者に投与されていた。しかし、上述の理由から、本発明に係るタンパク質に対する抗体を保有するスギ花粉症患者に対しては、上記Cry j1やCry j2を用いた治療方法は効果を奏さないと考えられる。
すなわち、本発明に係るタンパク質および/またはペプチドを認識する抗体を有するスギ花粉症患者に対して減感作療法を行う場合は、上記Cry j1やCry j2ではなく、上記本発明に係るタンパク質および/またはペプチドを抗原として用いる必要がある。したがって、上記タンパク質および/またはペプチドを含む薬剤を用いることにより、的確な減感作療法を行うことが可能となる。
また、本発明に係る抗体は、本発明に係るタンパク質を認識することができるので、上記抗体を含む抗体を含む治療用薬剤は、免疫されていない個体に注射して免疫能を賦与する受動免疫に用いることができる。
本発明に係る治療用薬剤は通常、本発明にかかるタンパク質または抗体を0.01〜100%(w/w)、好ましくは0.05〜50%(w/w)、さらに好ましくは0.5〜5.0%(w/w)含んでなる。また、減感作療法の治療用薬剤としては、本発明にかかるタンパク質を0.01〜0.02%(w/w)含んでなることが好ましい。
本発明にかかる治療用薬剤は、当該タンパク質または抗体単独の形態はもとより、それ以外に生理的に許容される、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、グルコース、シュークロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、プルランなどの担体、賦形剤、免疫助成剤、安定剤、さらには必要に応じてステロイドホルモンやクロモグリク酸ナトリウムなどの抗炎症剤や抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン剤、抗タキキニン剤を含む1種または2種以上の他の薬剤と組み合わせた組成物としての形態を包含する。
さらに、本発明の薬学的組成物は、投薬単位形態の薬剤をも包含し、その投薬単位形態の薬剤とは、本発明にかかるタンパク質および/またはペプチド、または抗体を、例えば、1日当たりの用量またはその整数倍(4倍まで)またはその約数(1/40まで)に相当する量を含有し、投与に適する物理的に分離した一体の剤形にある薬剤を意味する。このような投薬単位形態の薬剤としては、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、口腔剤、シロップ剤、乳剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、坐剤、点眼剤、点鼻剤、噴霧剤、注射剤などが挙げられる。
なお、本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
[実施例1:アレルゲンの分画]
(1)スギ花粉粗抗原の調製
日本スギ花粉(広島県豊田郡豊町にて採取)80gに抽出バッファー(20mM PBS+3mM EDTA;pH7.6)を3.2リットル加えた後、4℃で一晩攪拌した。その後、遠心分離(6000rpm、30分)によって得た上清に対して、終濃度80%飽和となるように硫酸アンモニウムを加え、4℃で一晩攪拌した。次に、遠心分離(6000rpm、30分)によって沈殿を採取し、超純水を用いて一晩透析する工程を5回行った。その後、遠心分離(10000rpm、30分)することで得られた上清を凍結乾燥し、スギ花粉粗抗原を得た。
(2)スギ花粉粗抗原のSDS−PAGEによる分離
まず、上記スギ花粉粗抗原を平衡化し、陽イオン交換クロマトグラフィー(SP−Sepharose)に供した。上記スギ花粉粗抗原はカラム容量の5倍量の20mM酢酸バッファー(以降「Aバッファー」と称する。pH5)による透析で平衡化し、カラムに平衡化したスギ花粉粗抗原の溶液を流して塩基性タンパクを吸着させた。次に、カラムの3倍量のAバッファーで未吸着の成分を洗い流した後、Aバッファーに対して1M塩化ナトリウムを含む20mM酢酸バッファー、(以降「Bバッファー」と称する。pH5)の割合が徐々に上がるようにグラジエントをかけて流し、塩基性の弱いタンパク質から順に溶出させた。なお、グラジエントは流量1リットルの時点で両バッファーの比率が50%ずつになるよう設定した。最後に、Bバッファー100%で残りのタンパク質を全て溶出した。
上記陽イオン交換クロマトグラフィーによって6つのフラクションが得られた。当該6つのフラクションは超純水に対する透析により脱塩し、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分離した。分離ゲルはポリアクリルアミド濃度12.5%のゲルを用い、電気泳動後、染色液(エタノール:酢酸:水=9:2:9+0.25%CBB R−250)でタンパク質を染色した。その後、脱色液(エタノール:酢酸:水=5:2:13)で余分な染色液を除去した。
図1は、上記6つのフラクションをSDS−PAGEで分離した結果を示すものである。「LMW」は分子量マーカーである。SDS−PAGEで分離された各タンパク質は、40人のスギ花粉症患者から得た血清とのウエスタンブロッティングに供した。
ウェスタンブロッティングにより電気泳動したタンパク質は、PVDFメンブレン(MILLIPORE社)に転写し、メンブレンをブロッキングバッファー(PBST、+3%スキムミルク、1%BSA)に浸して室温で3〜5時間浸透した後、ブロッキングバッファーで10倍希釈した血清(患者および健常者のもの)に浸して4℃で一晩浸透した。
次に、PBSTで10分×3回振盪洗浄し(以降、洗浄は全てPBSTを用いて行った)、ブロッキングバッファーで20000倍希釈したGoat Anti−Human IgE Biotin Conjugate(BIOSOURCE社)に浸して室温で2時間浸透した。そして、10分×3回振盪洗浄後、ブロッキングバッファーで20000倍希釈したHRP−Streptavidin(ZYMED社)に浸して室温で1時間浸透した。最後に、10分×5回振盪洗浄後、ECL+Plus(Amersham社)で発光させ、X線フィルムに感光させた。
その結果、データは示さないが、図1のレーン5に丸囲みしたバンド(分子量約30kDa)のタンパク質が、スギ花粉症患者の血清IgEと70%の反応頻度を示した。
[実施例2:スギ花粉アレルゲンCPA121の分離、解析]
(1)二次元電気泳動
上記分子量約30kDaのタンパク質の分解能を向上させるため、まず、スギ花粉粗抗原の二次元電気泳動を行った。
スギ花粉粗抗原200mgに4mlのPBS+ジチオトレイトール60mgを加えて懸濁し、PBSで60%に調製したトリクロロ酢酸2mlを加えた後、氷上で90分間静置した。その後、遠心分離(3500rpm、15分)を行い、沈殿を回収した。この沈殿に冷アセトン10mlを加えて懸濁し、洗浄した。さらに、遠心分離(3500rpm、20分)を行った後、スピードバックで沈殿を乾燥させた。その沈殿にLysis Buffer(8M尿素、2Mチオ尿素、2%CHAPS、2%SB3−10、1%DTT、0.8%Ampholine)1mlを加えて懸濁し、超音波破砕によって完全に溶解させた。その後、遠心分離(18000rpm、20分)を行い、その上清を二次元電気泳動用のサンプルに用いた。
pIレンジ3〜10のドライストリップをLysis Bufferで一晩膨潤させた後、スギ花粉粗抗原のサンプルをストリップにアプライして一次元目(等電点)の電気泳動を行った。アクリルアミド濃度9〜18%のグラジエントゲルを作製し、その上に等電点電気泳動後のゲルをセットした。ゲルの上から低融点アガロースを重層し固化させた後、80Vで一晩、二次元目(分子量)の電気泳動を行った。二次元目の電気泳動が終了した後、ゲルを銀染色することによってタンパク質を検出した。
図2は、スギ花粉粗抗原の二次元電気泳動結果を示すものである。上述の図1のレーン5に丸囲みしたバンド(分子量約30kDa)のタンパク質は、図2において丸で囲んだ部分に相当する。
(2)N末端アミノ酸配列の分析およびXTHとの相同性確認
図2において丸で囲んだ部分のうち、矢印で示した中央のスポット(No.121)について、プロテインシークエンサーによりN末端アミノ酸配列を決定したところ、20残基のアミノ酸配列(配列番号4)が明らかとなった。
上記20残基のアミノ酸配列について相同性検索を行ったところ、XTHのアミノ酸配列と60%の相同性を有していた。なお、上記相同性は、GenBankデータベースを用いたFASTAおよびBLAST検索によって確認した。
[実施例3:CPA121のcDNA塩基配列の決定および一次構造の決定]
上述のように、図2において説明したスポット(No.121)のN末端アミノ酸配列は、XTHのアミノ酸配列と60%の相同性を有していた。現在までにXTHがアレルゲンとして報告された例はないが、このような相同性の高さから、上記No.121はXTHとして初めて見出されたアレルゲンである可能性が考えられる。そこで、本発明者は上記No.121に係るタンパク質をCPA121と命名し、CPA121がスギ花粉のアレルゲンである可能性を検証することとし、まずCPA121のcDNA塩基配列および一次構造を決定した。
(1)スギ花粉からの全RNAの抽出
日本スギの花粉3gを液体窒素中で粉砕し、10倍量(W/V)の2×CTAB(centyltrimethylammomium bromide)溶液中に、粉砕されたスギ花粉を懸濁した後、65℃で10分間インキュベートした。そして、上記懸濁液と等量のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を上記懸濁液に加えて攪拌し、室温で遠心分離(15000rpm、10分)した。分離された液層のうち、水層(上層)を回収し、当該水層と等量のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を当該水層に加えて攪拌し、再度室温で遠心分離(15000rpm、10分)した。分離された液層のうち、水層を回収し、当該水層の3/4倍量のイソプロピルアルコールを当該水層に加えた後に、室温で10分間静置した。その後、4℃で遠心分離(15000rpm,10分)し、形成された沈殿をTE(Tris−EDTA)バッファーに溶解することにより全RNA粗抽出液を得た。
上記全RNA粗抽出液をさらに精製するために、上記全RNA粗抽出液の1/4倍量の10M塩化リチウム溶液を上記全RNA粗抽出液に加え、2時間氷上でインキュベートした。そして、4℃で遠心分離(15000rpm,10分)し、形成された沈殿をTEバッファーに溶解した。この溶解液に当該TEバッファーと等量のTE飽和フェノール(pH9.0)を加え攪拌した後に、室温で遠心分離(15000rpm,10分)した。分離された液層のうち、水層を回収し、当該水層と等量のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を当該水層に加えて攪拌し、再度室温で遠心分離(15000rpm,10分)した。分離された液層のうち、水層を回収し、当該水層の1/10倍量の3M酢酸ナトリウムと2倍量の冷エタノール(−20℃)とを当該水層に加え、−80℃で10分間静置した。その後、4℃で遠心分離(15000rpm,10分)し、RNAの沈殿を得た。そして、当該沈殿を70%エタノールで洗浄した後に、真空乾燥し、乾燥した沈殿を適量のTEバッファーに溶解した。
(2)CPA121cDNA断片の取得
上記(1)において得られた全RNAを鋳型として、全RNAに対するcDNAを合成した。具体的には、3´RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends(Invitrogen社製)を用いて、逆転写反応とPCR反応とを行い、全RNAに対するcDNAを合成した。以下において、この手法の詳細な説明を行う。
(2−a)全RNAを鋳型とした逆転写反応によるcDNAの合成
全RNA(5μg)を含む溶液 5μlに、アダプタープライマー 1μlと、DEPC(diethylpyrocarbonate)処理液 6μlとを加え、インキュベート(70℃、10分間)した後に、氷上に1分間静置した。この反応液に10×PCRバッファー 2μl、25mMMgCl 2μl,dNTP MI×(2.5 mM each) 1μl、DTT(dithiothreitol)(0.1 M) 2μlを加え、42℃で5分間プレインキュベートした。この反応液にSUPERSCRIPT II(Life Technonogies, Inc.社製)を1μl加えて、42℃で50分間インキュベートした。その後、70℃で15分間インキュベートすることにより反応を停止させた。この反応液を氷上で静置した後に、RNase Hを1μl加えてインキュベート(37℃、20分間)することによりRNAを消化した。
(2−b)PCR反応によるCPA121遺伝子のcDNAの増幅
次に、上記(a)の処理によって合成されたcDNAを鋳型として、PCR反応を行った。この反応において次に示す2種類のプライマーを用いた。
プライマー1:Forward 5’ ACHGAYTTYGAYATHACNTTYGG 3’(配列番号9)
プライマー2:Reverse 5’ RCAIGCITSDGCIYTRAARTTNC 3’(配列番号10)
PCR反応は、94℃2分間の後、94℃1分間→53℃1分間→68℃1分間の工程を30回行い、その後試料を4℃に保持した。
(3)全長CPA121cDNAの取得および塩基配列の決定
上記(2)において得られたCPA121cDNA断片をpGEM−T Easy(Promega社)に組み込み、ベクター特異的なプライマーを用いて、CPA121cDNA断片の塩基配列を決定した。
さらに、5´末端および3´末端を含めたCPA121cDNAの全塩基配列を決定するために、上記CPA121cDNA断片の塩基配列を基に、次に示す新たなプライマー3、4を作製した。
プライマー3:Forward 5’ GACGGTGCAGTGAAGATCGATTG 3’(配列番号11)
プライマー4:Reverse AUAP
上記プライマー3、4を用いて、3´RACE(Rapid Amplification of cDNA Ends)を行った。すなわち、94℃2分間の後、94℃1分間→60℃1分間→68℃1分間の工程を30回行い、その後試料を4℃に保持した。
さらに、次に示す新たなプライマー5〜8を作製した。
プライマー5:Forward(first) AAP
プライマー6:Reverse(first) 5’ CCATGAATTCACAGAGCAATCAG 3’(配列番号12)
プライマー7:Forward (second) AUAP
プライマー8:Reverse (second) 5’ AGTGAGCTGCAAGCGTTGGC 3’(配列番号13)
上記プライマー5〜8を用いて、5´RACEを行った。すなわち、94℃2分間の後、94℃1分間→55℃1分間→68℃1分間の工程を30回行い、その後試料を4℃に保持した。条件はプライマー5および6を用いる第一段階PCR、プライマー7および8を用いる第二段階PCRともに同じである。
プライマー3、4を用いた3’RACE法により、CPA121cDNAの3’末端側の断片を取得し、この断片の塩基配列を決定した。一方、プライマー5〜8を用いた5’RACE法により、CPA121cDNAの5’末端側の断片を取得し、この断片の塩基配列を決定した。これにより、CPA121cDNAの全塩基配列を決定するに至った。
なお、上記のように、配列番号9、10においては「ユニバーサルコード」表示できる塩基についてはこれを用いた。「ユニバーサルコード」は以下の通り定義されている。また、上記プライマー2の配列中「I」はイノシンを表し、配列表においてはイノシンは「n」で表している。また、上記「AUAP」、「AAP」は、それぞれ、Abridged Universal Amplification Primer、Abridged Anchor Primerというキット内の特定配列を持ったプライマーの名称である。
m:AまたはC
r:GまたはA
w:AまたはT
s:GまたはC
y:TまたはC
k:GまたはT
v:AまたはGまたはC
h:AまたはCまたはT
d:AまたはGまたはT
b:GまたはCまたはT
n:(AまたはCまたはGまたはT)または(不明または他の塩基)
図3は、CPA121の全塩基配列と、当該配列から予想されるアミノ酸配列を示すものである。決定された配列は、1155塩基からなり(配列番号5)、834塩基からなるオープンリーディングフレーム(ORF)領域(配列番号3)を有していた。図3に示すように、上記ORF領域は、278のアミノ酸(配列番号2)をコードすると予想される。上記配列番号2に係るアミノ酸配列から算出した理論分子量は、約31500であり、その配列中には、図3に下線を引いて示したXTHに特有な活性部位(活性中心)のアミノ酸配列(DEIDFEFLG;配列番号1)および、その直後に下線を引いて示したN型糖鎖結合部位(NLS)が存在していた。
なお、上記配列番号4に記載のアミノ酸配列は、図3および配列番号5に示すアミノ酸配列の23位から42位までに相当するが、両者のアミノ酸配列には相違する部分も存在している。これはXTHには多くのアイソフォームが存在し、アイソフォームによって少しずつアミノ酸配列が異なることによると考えられる。例えばアラビドプシスのXTHでは少なくとも20以上のアイソフォームが報告されている。
[実施例4:CPA121とXTHとのアミノ酸配列の相同性検索]
CPA121とXTHとのアミノ酸配列の相同性を、GenBankデータベースを用いたFASTAおよびBLAST検索により探索した。図4は、上記配列番号2に係るCPA121のアミノ酸配列と、リンゴ(M.domestica、図中M.domと略記;配列番号6)、アスパラガス(A.officinalis、図中A.offと略記;配列番号7)、アラビドプシス(A.thaliana,図中A.thaと略記;配列番号8)由来のXTHのアミノ酸配列との相同性を示すものである。
図4において、リンゴ、アスパラガス、アラビドプシスのアミノ酸配列中、CPA121のアミノ酸配列と相同性を有する部分は白抜き文字で表している。CPA121のアミノ酸配列は、リンゴ、アスパラガス、アラビドプシス由来XTHのアミノ酸配列と、それぞれ70%、68%、66%という高い相同性を示した。
[実施例5:組み換えCPA121の発現]
CPA121を大量に得るために、CPA121とGST(glutathione S−transferase)との融合タンパク質(GST−CPA121)を大腸菌の発現系にて発現させた。図5は、GST−CPA121を発現誘導させた大腸菌から抽出したタンパク質を電気泳動(SDS−PAGE)した結果を示している。
GST−CPA121の発現誘導は、以下のように行った。まず、CPA121遺伝子の翻訳領域(ORF)(配列番号3)をpGEX4T-1ベクターに組み込み、当該ベクターをタンパク質発現用大腸菌株であるBL21に導入した。上記pGEX4T−1ベクターには、IPTG(isopropyl-thio-beta-D-galactopyranoside)によって転写活性が高まるプロモーターが組み込まれており、IPTGを大腸菌の培地に添加することによりタンパク質発現を誘導できる。そこで、IPTGによりタンパク質発現を誘導した後に、大腸菌を回収し、SDS−PAGEを行った。
図5中のレーン1はIPTGによる発現誘導前の大腸菌から抽出したタンパク質の電気泳動結果を示すものであり、レーン2はIPTGによる発現誘導後の大腸菌から抽出したタンパク質の電気泳動結果を示すものである。レーン2に現れた分子量約57kDaのバンドがGST−CPA121であり、GST−CPA121は抗GST抗体と反応することを確認した。なお、上記確認はGST−CPA121をSDS−PAGE後、ウエスタンブロッティングすることにより行った。1次抗体にはAnti−GST抗体を、2次抗体にAnti−Goat IgG−HRPを用いた。
次に、GST−CPA121が可溶性か不溶性かを確認するために、IPTG添加後の大腸菌をPBS中にて超音波破砕した後に遠心分離することにより、当該大腸菌のタンパク質を可溶性画分と不溶性画分とに分離した。当該可溶性画分および不溶性画分を電気泳動したところ、図5のレーン3、4に示すように、上記GST−CPA121の大部分は、不溶性画分に存在していた。
そこで、上記不溶性画分に含まれるCPA121をGST−CPA121から分離するために、上記不溶性画分を0.3%サルコシルに溶解し、トロンビンによって消化した。図5中のレーン5は、GST−CPA121のトロンビン消化物の電気泳動結果を示すものである。上記GST−CPA121は、GSTと推測されるタンパク質と、組み替えCPA121(以下では、rCPA121と称す)と推測されるタンパク質とに分離した。ここで、上記トロンビンは、GSTと当該GSTに融合されたタンパク質との境界に存在する特定のアミノ酸配列を認識し、消化する酵素である。
上記rCPA121と推測されるタンパク質のN末端のアミノ酸配列をペプチドシークエンスにより決定したところ、当該N末端のアミノ酸配列とCPA121のアミノ酸配列とが一致した。この結果から、上記rCPA121と推測されるタンパク質は、実際にrCPA121であることが確認された。
[実施例6:rCPA121のアレルゲン活性の測定]
上記実施例5において得られたrCPA121がアレルゲン活性を有しているかどうかを明らかにするために、rCPA121を含む画分と、スギ花粉症患者の血清IgEとの反応を、ウエスタンブロッティングによって解析した。また、スギ花粉症の主要アレルゲンであるCrj1(組換え体ではないネイティブCrj1)と上記血清IgEとの反応についても解析した。
上記rCPA121を含む画分をSDS−PAGEにより分離した後に、分離されたタンパク質をブロッティングキット(ATTO社製)を用いてPVDF膜(MILLIPORE社製)に転写した。ネイティブCrj1についても同様にPVDF膜への転写を行った。次に、当該PVDF膜をブロッキング液(3% 脱脂粉乳、1% BSA、0.5% Tween20を含むPBS)中で3〜5時間振とうした後に、10倍希釈したスギ花粉症患者の血清または健常者の血清と4℃で一晩反応させた(1次抗体反応)。
次に、1次抗体反応後のPVDF膜をPBST(0.5% Tween20を含むPBS)により洗浄した後に、ビオチン標識されたヒトIgE抗体(20000倍希釈)(BIOSOURCE社製)と2時間反応させた(2次抗体反応)。
その後、2次抗体反応後のPVDF膜をPBSTで洗浄し、HRP(horseradish peroxidase)標識されたストレプトアビジン(20000倍希釈)(Zymed Laboratories Inc.社製)と1時間反応させた。そして、ECL−Plus Western blotting detection reagent(Amersham Bioscience社製)を用いてX線フィルム上でHRPの活性を検出した。
図6は、ウエスタンブロッティングの結果を示すものである。被験者はスギ花粉症患者17人であり、図6において、P1〜P17で表されている。図6に示したプラスマイナスの記号は、プラスがrCPA121に対して陽性であることを示し、プラス記号の数が多いほど強い陽性であることを示す。マイナスはrCPA121に対して陰性であることを示す。H1およびH2は健常者血清により染色を行った対照区の結果を表し、Nは血清を添加しない対照区の結果を表している。
図6に示すように、スギ花粉症患者17検体の血清IgEを用いて染色を行ったところ、17検体中12検体がrCPA121と反応性を示し、71%という高い頻度で反応したことが確認された。この結果から、スギ花粉症患者は高い確率でrCPA121に対するIgE抗体を有していることが示唆され、CPA121がスギ花粉アレルゲンとして作用することが示唆された。また、ネイティブCrj1とは上記17検体中14検体(82%)が高い頻度で反応性を示したが、P1、P2の血清IgEのように、rCPA121とは反応するが、Crj1とは反応しない患者も見られた。なお、上記対照区では、いずれも反応は見られなかった。
以上の結果から、CPA121は、XTHと相同性を有するとともに、スギ花粉症のアレルギー反応を誘発するアレルゲンであることが強く示唆された。
以上のように、本発明に係るタンパク質は、スギ花粉症患者の血清IgEと高頻度に反応することができるため、スギ花粉アレルゲンとして用いることが可能となる。そのため、新規アレルゲンとして、アレルギー診断用薬剤や治療用薬剤等に利用することができ、製薬産業等に広く応用することが可能である。
スギ花粉粗抗原を陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて分画したフラクションをSDS−PAGEで分離した結果を示すものである。 スギ花粉粗抗原の二次元電気泳動結果を示すものである。 CPA121の全塩基配列と、当該配列から予想されるアミノ酸配列を示すものである。 配列番号2に係るCPA121のアミノ酸配列と、リンゴ、アスパラガス、アラビドプシス由来のXTHのアミノ酸配列との相同性を示すものである。 GST−CPA121を発現誘導させた大腸菌から抽出したタンパク質を電気泳動(SDS−PAGE)した結果を示すものである。 rCPA121を含む画分と、スギ花粉症患者の血清IgEとの反応を、ウエスタンブロッティングによって解析した結果を示すものである。

Claims (11)

  1. スギ花粉に含まれるアレルゲンであって、
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列;または
    (b)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、10個以下のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有することを特徴とするタンパク質。
  2. 請求項1に記載のタンパク質をコードすることを特徴とする遺伝子。
  3. 請求項1に記載のタンパク質と結合することを特徴とする抗体。
  4. 請求項2に記載の遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターを用いることを特徴とするタンパク質の生産方法。
  6. 請求項2に記載の遺伝子が導入されていることを特徴とする形質転換体。
  7. 請求項6に記載の形質転換体を用いることを特徴とするタンパク質の生産方法。
  8. 配列番号3に示される塩基配列またはその相補配列を有するポリヌクレオチドが基板上に固定化されていることを特徴とする検出器具。
  9. 請求項1に記載のタンパク質が基板上に固定化されていることを特徴とする検出器具。
  10. 請求項3に記載の抗体が基板上に固定化されていることを特徴とする検出器具。
  11. 請求項1に記載のタンパク質を含むことを特徴とするアレルギー診断用薬剤。
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