JP2008035790A - 新規ダニアレルゲンおよびその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のタンパク質はダニ虫体抽出物に含まれ、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により測定すると分子量約15kDaを示し、等電点電気泳動法により測定すると約5.5付近に等電点を示し、IgEと交差反応を示す特徴を有している。上記タンパク質をESI Q−TOF MSによって解析したところグループ2のダニアレルゲンと相同性を示す新規アレルゲンであった。本発明から、新規ダニアレルゲンタンパク質、当該タンパク質をコードするポリヌクレオチド、当該タンパク質を認識する抗体が得られ、それらを用いることでダニアレルギー性疾患の診断薬、予防薬および治療薬等を提供することができる。
【選択図】図1
Description
Platts−Mills TAE, Chapman MD: Dust mites, immunology, allergic disease, and environmental control. J Allergy Clin Immunol, 80: 755−775 (1987) Lin KL, Hsieh KH, Thomas WR, Chang BL, Chua KY: Allergens, IgE, mediators, inflammatory, mechanisms. Characterization of Der p 5 allergen, cDNA analysis, and IgE−mediated reactivity to the recombinant protein. J Allergy Clin Immunol, 94: 989−996 (1994) International workshop report: dust mite allergens and asthma: a world wide problem. WHO Bulletin, 66: 769−780 (1988) Van der Zee JS, Van Swieten P, Janse HM, Aalberse RC: Skin tests and histamine release with PI−depleted Dermatophagoides pteronyssinus body extracts and purified PI. J Allergy Clin Immunol, 81: 884−895 (1988) Nacksung KS, Soon SK, Jaechun Lee, Sohyung Kim, Tai JY: Protective effects of the DNA vaccine encoding the major house dust mite allergens on allergic inflammation in the murine model of house dust mite allergy. Clinical and Molecular Allergy, 4:4 (2006)
ダニ(例えばDermatophagoides farinae等)由来のタンパク質であって、以下の(a)〜(c)に記載のタンパク質である:
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約15kDaである;
(b)等電点が約5.5である;および
(c)アレルゲン活性を有する。
アレルゲン活性を有するダニ(例えば、Dermatophagoides farinae等)に含まれるタンパク質であって、以下の(d)または(e)に記載のタンパク質である:
(d)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質;
(e)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質。
(f)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または
(g)以下の(i)もしくは(ii)のいずれかとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド:
(i)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;もしくは
(ii)配列番号4に示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド。
ダニアレルゲンにおいては、Der fファミリーおよびDer pファミリーの主要抗原が同定され詳細に研究されているが、その他のアレルゲンに関しては、未だ充分なされていない。そこで、本発明者らは、ダニに含まれるアレルゲンの網羅的解析を目指して、コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)虫体抽出物を2次元電気泳動により展開した後、ウェスタンブロット法によってダニアレルギー患者血清IgEと特異的かつ高頻度に反応するスポットを検索した。その結果、分子量約15kDaで、等電点約5.5付近のスポットに高いアレルゲン活性が存在することを発見した。
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約15kDaである。
(b)等電点が約5.5である。
(c)アレルゲン活性を有する。
(配列番号2)―Val−Xaa−Gly―Asp―Asn―Gly―Xaa−Val―Cys―Xaa―Lys
なお上記アミノ酸配列1および2において、XaaはLeuまたはIleを示す。
(d)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなり、かつアレルゲン活性を有するタンパク質;
(e)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質。
(i)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(ii)SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
(iii)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(iv)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
(v)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明にかかる部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるペプチドまたは部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
本発明にかかるポリペプチドは、上記本発明にかかるタンパク質または部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドのことである。本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」は「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。本明細書中で使用される場合、用語「塩基配列」は、「核酸配列」または「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用され、デオキシリボヌクレオチド(A、G、CおよびTと省略される)の配列として示される。
(f)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド
(g)以下の(i)もしくは(ii)のいずれかとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド:
(i)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;もしくは
(ii)配列番号4に示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド。
本発明は、本発明にかかるタンパク質と特異的に結合する抗体を提供する。本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE、IgY、IgG、IgMおよびこれらのFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fcフラグメント)を意味し、例としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単鎖抗体、抗イディオタイプ抗体およびヒト化抗体が挙げられるがこれらに限定されない。本発明にかかる抗体は、本発明にかかるタンパク質を発現する生物材料を選択する際に有用である。また本発明にかかるタンパク質を含む粗溶液から、当該タンパク質を精製する際にも有用である。
(4−1)ベクター
本発明は、本発明にかかるタンパク質を生成するために使用されるベクターを提供する。本発明にかかるベクターは、インビトロ翻訳に用いるベクターであっても組換え発現に用いるベクターであってもよい。
本発明は、上述した本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)をコードするポリヌクレオチドが導入された形質転換体または細胞を提供する。ここで「形質転換体」とは、組織または器官だけでなく、生物個体を含むことを意味する。
本発明は、本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)を生産する方法を提供する。
本発明は、種々の検出器具をも提供する。本発明にかかる検出器具は、本発明にかかるポリヌクレオチドもしくはそのフラグメントが基板上に固定化されたもの、または、本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)もしくは抗体が基板上に固定化されたものであり、種々の条件下において、本発明にかかるポリヌクレオチドおよびタンパク質(または部分ペプチド)の発現パターンの検出または測定などに利用することができる。
本発明で精製される抗体としては、動物に抗原を免疫することにより得られた抗血清、動物に抗原を免疫し免疫動物の脾臓細胞より作製したハイブリドーマ細胞が分泌するモノクローナル抗体、遺伝子組換え技術により作製された抗体、すなわち抗体遺伝子を挿入した抗体発現ベクターを宿主細胞へ導入することにより取得された抗体などいかなるものでもよい。また、抗体のFc領域を融合させた融合タンパク質なども本発明では抗体として含まれる。また上記抗体はモノクローナル抗体であっても、ポリクローナル抗体であってもよい。その抗体については、「(3)抗体」の記載を適宜参照できる。
本発明にかかるタンパク質は、アレルゲン活性を有するので、当該タンパク質の活性を阻害する化合物は、例えば、ダニアレルギー性疾患の予防または治療薬として使用できる。したがって、本発明にかかるタンパク質は、本発明にかかるタンパク質の活性を阻害する化合物のスクリーニングのための試薬として有用である。すなわち、本発明は、本発明にかかるタンパク質を用いることによって、本発明のタンパク質(または部分ペプチド)と特異的に結合し且つ当該タンパク質のアレルゲン活性を阻害する化合物(以下、適宜「阻害剤」と称する)のスクリーニング方法や、本発明にかかるタンパク質とIgEとの結合を阻害する抗体のスクリーニング方法などを提供する。
本発明にかかる薬学的組成物(ダニアレルギー性疾患用治療薬または予防薬)の一実施形態としては、本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)が有効成分として含まれているものが挙げられる。上記薬学的組成物をダニアレルギー性疾患の減感作治療へ適用することによって、ダニアレルギー性疾患の症状を治療または予防することができる。
本発明は、ダニアレルギー性疾患の診断キット(検出キット)には、本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)を含むことを特徴としている。本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)と被験者の血清との結合性(反応性)をELISA法等で検討することによって、被験者血清中にダニアレルゲンに対するIgE抗体が存在するか否かを判断することができ、被験者がダニアレルギー性疾患である(またはダニアレルギー性疾患を発症する可能性がある)か否かを検出(診断)することができる。
本発明はダニアレルギー性疾患の発症又は発症の可能性を検出する方法(以下「本発明にかかる検出方法」という)を提供する。本発明にかかる検出方法は、本発明にかかるタンパク質(または部分ペプチド)と生体から採取された試料(たとえば被験者の血清、被験動物の血清等)と反応させる工程(反応工程)を含むことを特徴としている。本発明にかかるタンパク質(部分ペプチド)と試料(被験者の血清等)との結合性(反応性)をELISA法等で検討することによって、試料(被験者の血清等)中にダニアレルゲンに対するIgE抗体が存在するか否かを判断することができ、被験者がダニアレルギー性疾患を発症している(またはその可能性)を検出(診断)することができる。
(1)ダニ虫体抽出物の調製
コナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae)をマウス・ラット・ハムスター用粉末飼料(オリエンタル酵母工業株式会社、Tokyo、Japan)と襖の混合培地(7:3)中で湿度75%、25℃において30日間培養した。その後、ダニ培養物を飽和食塩水に懸濁して遠心分離し、その上清を含む浮遊物を濾過した。濾紙上(Tokyo Roshi Kaisha、Ltd.110 mm)に回収されたダニ虫体は、使用するまで−80℃で保存した。
TCA沈殿処理後、溶解バッファーに溶解したダニ虫体抽出物(100μgタンパク質)を全量が500μlとなるように溶解バッファーに溶かし、二次元ゲル電気泳動による分離および解析を藤村ら(Fujimura et al.(2004) Int. Arch. Allergy Immunol. 133、 125−135)の方法に従って行った。一次元目はImmobiline DryStrip gel pH3−10(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)を使用し、MultiphorII水平型電気泳動装置(GEヘルスケアバイオサイエンス株式会社製)で20℃、約12時間電気泳動を行なった。ゲルを平衡化バッファー(A)(尿素14.4g、グリセロール15.125g、10% SDS 8ml、0.5M Tris―HCl(pH 6.8) 8ml、DTT 200mg/40ml 超純水)中で15分間振盪した後、平衡化バッファー(B)(尿素14.4g、グリセロール15.125g、10% SDS 8ml、0.5M Tris―HCl(pH6.8) 8ml、ヨードアセトアミド3.6g、ブロモフェノールブルー0.005g/40ml 超純水)中で15分間振とうを行ないシステイン残基にカルバミドメチル化を行なった。二次元目は9〜18%ポリアクリルアミドグラジエント平板ゲルを使用し、20℃、80Vで16〜18時間電気泳動を行なった。ゲル内の全タンパク質は銀染色によって可視化した。その結果を図1に示す。
ダニアレルゲンタンパク質をウェスタンブロット法により検出した。2次元電気泳動を行なった後に、ゲル内のタンパク質を60V,6時間でPVDFメンブレンに転写させ,ブロッキングバッファー(5% スキムミルク,1% BSA,0.1% Tween20/PBS)中に4℃で一晩ブロッキングした。その後,PBST(PBS,0.5% Tween20)で5分×1回,10分×1回洗浄した。洗浄後、メンブレンを、0.02% アジ化ナトリウム/PBS中に4℃で保存した。メンブレンをPBSTで洗浄した後、ダニアレルギー性疾患患者血清を希釈バッファー(5%スキムミルク,1% BSA,0.1% Tween20/PBS)で10倍希釈させた溶液に浸して、4℃で一晩振とうさせた。上記ダニアレルギー性疾患患者血清は、ハウスダストまたはダニに対する皮内反応陽性の検体から採取した血液を遠心分離して得られた上清を用いた。その後、PBSTで5分×1回,10分×3回,5分×1回洗浄した。洗浄後、ビオチン化ヤギ抗−ヒトIgE(Vector Laboratories社)を0.5% Tween20を含む希釈バッファーで1万倍希釈した溶液に浸し、室温で1時間振盪させた。メンブレンを洗浄した後、ECL−Plus(Amersham Pharmacia Biotech UK社)15.375mlをメンブレン上に滴下して5分静置し、Hyper film ECL(Amersham Pharmacia Biotech UK社)に露光させて、ダニアレルゲンタンパク質である陽性スポットを検出した。
(4)質量分析法によるダニアレルゲンタンパク質の同定
DFA22のタンパク質はQ−TOF型nano−ESI MS/MS(Applied Biosystems社、QSTAR(登録商標)XL Hybrid LC/MS/MS System)によって同定した。すなわち、ウェスタンブロットの結果と比較し、二次元電気泳動後のゲルから目的の陽性スポットと一致する部位をメスで切り出し、1mm3程度に切り刻み、30mM フェリシアンカリウム/100mM硫酸ナトリウム等量混合液を加えてゲルが黄色になるまで激しく振とうした。溶液を除去し、超純水でゲルが透明になるまで洗浄した。100mM炭酸水素アンモニウムを加え10分間の強振とうを2回行ない、アセトニトリルを加え10分間強振とうを行ない、100mM炭酸水素アンモニウムを加え10分間強振とうを行ない、アセトニトリルを加え10分の強振とうを2回行ない、完全にゲルが白くなるまで脱水した。遠心濃縮機で20分間ゲルを乾燥させ、トリプシン溶液(10ng/μlトリプシン、40mM炭酸水素アンモニウム、10%アセトニトリル)をゲルに加え、室温で45分インキュベートした。トリプシン消化バッファー(40mM炭酸水素アンモニウム、10%アセトニトリル)をゲルの半分程度加え、37℃で16時間程度インキュベートした。その後、5%TFAを加えて20分間強振とうを行ない、5%TFA/50%アセトニトリルを加えて20分間の強振とうを3回行ない、ペプチドを抽出した。遠心濃縮器で10μl程度まで抽出液を濃縮した。脱塩はZipTip C18(日本ミリポア社製)を用いて行なった。
配列番号1:YSYNVPAV(LまたはI)PN(LまたはI)K、および配列番号2:V(LまたはI)GDNG(LまたはI)VC(LまたはI)Kからなるアミノ酸配列が推定された。図2(B)に示されているアミノ酸配列であって、配列番号1および2以外のアミノ酸配列を配列番号28〜32に示した。当該アミノ酸配列について、DDBJ(日本DNAデータバンク)のBlast検索により全生物種を対象に相同性検索を行なったところ、グループ2ダニアレルゲンと相同性が高いことがわかったが、既知のダニアレルゲンタンパク質とは完全に一致することはなく、新規のダニアレルゲンタンパク質であった。
<実施例2> DFA22の全長遺伝子配列の決定
(5)ダニ由来cDNAライブラリーの作成
D.farinaeの全RNAを調製するため、180℃、12時間乾熱滅菌した乳鉢にD.farinae虫体2g(−80℃凍結保存状態)、適量の液体窒素、トリゾール(Life Technologies 社製)20mlを入れ、石英砂により粉状になるまで破砕した。60℃に保温しておいた5mlのトリゾールを加え、30秒間激しく攪拌し、15分、60℃でインキュベートして、遠心分離(14000rpm、1分間、4℃)を行なった。1.5mlマイクロチューブに上清を1mlずつ分注し、5分室温でインキュベートした後、各チューブに200μlずつクロロホルムを加え、エマルジョンになるまで激しく攪拌した。3分間室温でインキュベートし、遠心分離(14000rpm、15分間、4℃)して、2層に分かれた上層部分を別のマイクロチューブにとり、500μlのイソプロパノールを加えて10分間室温で静置した。遠心分離(14000rpm、10分間、4℃)後、上清を除き、残存した沈殿に300μlの氷冷した4M塩化リチウムを加え、ピペッティングにより溶解し、遠心分離(6500rpm、5分間、室温)した。上清を除き、沈殿物に200μlの0.5% SDS−TEbufferと200μlのクロロホルムを加え、激しく攪拌した後、遠心分離(6500rpm、10分間、室温)して、上層の水層部分を別のマイクロチューブにとった。その水層部分に1/10量の3M酢酸ナトリウムと2倍量のエタノールを加え、5分間−80℃で静置した。遠心分離(14000rpm、10分間、4℃)して、上清を除いた沈殿(RNA)に75%エタノールを加えてリンスして遠心分離(14000rpm、2分間)して得た沈殿を風乾した後、DEPC処理水に溶解し、全RNAサンプルとした。Oligotex−dt30(super)mRNA Purification Kit(タカラバイオ社製)を用いて、メーカーの指示通り使用して、mRNAを精製した。cDNAはBD SMART RACE cDNA Amplification Kit(BD Bioscienes社製)を用いて、合成された。
DFA22遺伝子をPCR法によって増幅するため、MS/MS解析で得られたアミノ酸配列(配列番号1:YSYNVPAV(LまたはI)PNL(LまたはI)K、および配列番号2:V(LまたはI)GDDG(LまたはI)VG(LまたはI)K)と、D.farinaeのcodon usageを考慮して縮重プライマーを設計した。
5’RACE:TaKaRa Ex taqTM (5units/μl) 0.5μl、10×ExTaqTM Buffer 5μl、dNTP mix (2.5 mM each) 4μl、Templete 5’RACE cDNA 2.5μl、Universal Primer Mix (10×) 5μl、5’RACE用 Primer (10μM) 1μl、MilliQ 32μl。
3’RACE:TaKaRa Ex taqTM (5 units/μl)0.5μl、10×Ex TaqTM Buffer 5μl、dNTP mix (2.5mM each) 4μl、Templete 3’RACE cDNA 2.5μl、3’RACE用 Primer (10μM) 1μl、Universal Primer Mix (10×) 5μl、MilliQ 32μl。
PCR産物の一部をとり、pGEM−T Easy vector (10ng/μl)(Promega社)1μl、10×Ligation buffer 1.5μl、T4リガーゼ(3Weiss units/μl)1μlを加えて15℃で一晩インキュベートした。この溶液15μlにコンピテントセル(E.coli DH5α)100μlを加え、5分間氷冷後、42℃で30秒インキュベートし、直ちに氷上に戻し2分静置した。次に、SOC培地を500μl加え37℃で1時間振盪培養した。この菌体懸濁液にあらかじめ100mM IPTG 40μl、20mg/ml X−gal 40μlをスプレッドしておいたLBプレート培地(50μg/mlアンピシリン)にまき、37℃、12時間培養した。形成されたコロニーをLB培地(50μg/ml アンピシリン)5mlで37℃、12hr振盪培養し、得られた培養液からRapid Plasmid Miniprep System(MARLIGEN社)を用いてプラスミドを精製した。挿入断片の塩基配列をBig Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)およびABI PRISM 3100−Avant Genetic Analyzer(Applied Biosystem)を用いて決定した。
<実施例3>組み換えDFA22タンパク質の発現
(8)大腸菌発現ベクターへのサブクローニング
DFA22を、大腸菌シャペロンの一種であるトリガーファクター(TF)融合タンパク質(N末端にHis×6、TFとDFA22の間にthronbim消化部位)として発現させるため、S22 EXP F Nde1(配列番号26:ATCCATATGATCAAATTTTTGTGCATCTT)およびS22 EXP R Xho1(配列番号27:CAGCTCGAGTTAATCGGCGATTTCACCAT)の塩基配列からなる遺伝子組換え用のオリゴDNAプライマーを作製した。上記プライマーを用いダニ由来cDNAを鋳型としてPCR増幅を行なった。PCRにより得られた増幅産物を制限酵素NdeIおよびXhoIで消化し、pCold TF DNAベクター(タカラバイオ社製)に連結させた後に、E.coli Rosetta−gami(DE3)pLysSへトランスフォーメーションした。LBプレート培地(15μg/mlカナマイシン、34μg/mlクロラムフェニコール、12.5μg/mlテトラサイクリン、50μg/mlアンピシリン)上に生育した形質転換体をLB液体培地(15μg/mlカナマイシン、34μg/mlクロラムフェニコール、12.5μg/mlテトラサイクリン、50μg/mlアンピシリン)で37℃にて培養し、OD600=0.5に達した時点で培養液を15℃に冷却し、30分間静置した。その後、終濃度1.0mMになるようにIPTGを添加し15℃で24時間培養して、TF融合タンパク質として発現させた。
(9)銀染色による組換えDFA22の検出
その後、菌体成分を破砕し遠心分離を行なった。その後、上清のみの試料と、上清にthrombinを加えた試料とをSDS−PAGEにより分画し、銀染色によってタンパク質を検出した。その結果を図3(A)に示した。図3(A)によれば、DFA22は可溶性画分に存在することが確認された。また、thrombinによる酵素消化でTF部分を切り離したところ、理論分子量約16.2kD(N末端付加配列0.73kDを含む)に相当する組換えDFA22の遊離確認された(図3(A)レーン5矢印部参照)。
(10)ウェスタンブロット法による組換えDFA22、およびダニアレルギー性疾患患者血清IgEとの結合の検証
DFA22がダニアレルゲンタンパク質であるかを1次抗体にダニアレルギー性疾患患者血清IgEを用いて調べた。組み換えDFA22タンパク質を発現誘導した後の菌体成分をSDS−PAGEにより分画し、セミドライ式転写装置によって、ゲルよりPVDF膜(メタノールに数秒浸した後、25mM Tris/20mMグリシン/20%メタノールで平衡化したもの)に転写した。PVDF膜は、ブロッキングバッファー(5%スキムミルク、1%BSA、0.1%Tween20/PBS)中にて1時間室温で振とうした。患者血清を同溶液で30倍に希釈したもので膜を4℃で一晩振とうした。その後の操作は、二次元電気泳動と同様の条件で行った。
Claims (20)
- ダニ由来のタンパク質であって、以下の(a)〜(c)に記載のタンパク質:
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量が約15kDaである;
(b)等電点が約5.5である;および
(c)アレルゲン活性を有する。 - 配列番号1および2に示されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする請求項1に記載のタンパク質。
- グループ2ダニアレルゲンに属することを特徴とする請求項1または2に記載のタンパク質。
- ダニ由来のタンパク質であって、以下の(d)または(e)に記載のタンパク質:
(d)配列番号3に示されるアミノ酸配列からなり、かつアレルゲン活性を有するタンパク質;
(e)配列番号3のアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、アレルゲン活性を有するタンパク質。 - 請求項4に記載のタンパク質をコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
- 下記の(f)または(g)のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載のポリヌクレオチド:
(f)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;または
(g)以下の(i)もしくは(ii)のいずれかとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド:
(i)配列番号4に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;もしくは
(ii)配列番号4に示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド。 - 請求項5または6に記載のポリヌクレオチドを含むことを特徴とするベクター。
- 請求項7に記載のベクターを用いることを特徴とする請求項4に記載のタンパク質の生産方法。
- 請求項5または6に記載のポリヌクレオチドが導入されていることを特徴とする形質転換体。
- 請求項9に記載の形質転換体を用いることを特徴とする請求項4に記載のタンパク質の生産方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質と結合することを特徴とする抗体。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質に含まれるペプチドであって、
ダニアレルギー患者由来のT細胞を増殖させる活性を有することを特徴とするペプチド。 - 請求項12に記載のペプチドをコードすることを特徴とするポリヌクレオチド。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項12に記載のペプチドを用いることを特徴とする、当該タンパク質に特異的に結合しかつ当該タンパク質のアレルゲン活性を阻害する阻害物質のスクリーニング方法。
- 請求項14に記載のスクリーニング方法を行なうために用いられるキットであって、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項12に記載のペプチドを含有することを特徴とするキット。 - 請求項14に記載のスクリーニング方法により得られた阻害物質を含有することを特徴とするダニアレルギー性疾患用薬学的組成物。
- 請求項11に記載の抗体を含有することを特徴とするダニアレルギー性疾患用薬学的組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項12に記載のペプチドを含有することを特徴とするダニアレルギー性疾患用薬学的組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項12に記載のペプチドを含有することを特徴とするダニアレルギー性疾患の診断キット。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質または請求項12に記載のペプチドと、生体から採取された試料とを反応させることにより、ダニアレルギー性疾患の発症または発症の可能性を検出する方法。
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