JP4851119B2 - 板紙 - Google Patents

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この発明は、板紙に関し、特に、ペーパースラッジ焼却灰や石炭灰を添加して板紙を製造する方法に関する。
紙の中でもダンボールの中芯用板紙などに用いる厚紙は、ダンボールシートの製造で段を形成する際に、ある程度の嵩高さがない場合、段割れ、段切れといった不良品が生じることが知られている。そのため、強度を出来るだけ維持したまま密度を下げる製造方法が用いられている。また、紙の中でも、特に紙管原紙、紙器用原紙などの原紙は、厚みを基準として取引されているため、表示坪量よりも多くのパルプが使われていることがある。従って、強度を維持したまま嵩高にすることが求められている。そのため、密度の高い板紙原料に嵩高剤を添加して、嵩を増やす作業が行われている。この嵩高剤としては、珪藻土やシリカ粉末の他、例えば特許文献1にあるように、目的を持って専用の嵩高剤を合成して用いる場合がある。
一方、紙を製造する際には、原料とする古紙の表面にあった各種の塗工剤や、古紙中のプラスチック類、利用されなかった微細な繊維分や難離解性の繊維が、廃棄物として生じる。この廃棄物はペーパースラッジと呼ばれている。このペーパースラッジは紙の製造時に膨大な量が生じるため、そのまま埋め立てるだけでは処理しきれず、焼却などの処理を行い灰にした上で処理されている。これは物性が一定していないため、あまり有用な使い道がなく、一部がセメント原料に用いられる程度であり、大部分は産業廃棄物として処理されていた。
このようなペーパースラッジを有効利用する方法が検討されており、例えば、ペーパースラッジを高温で処理することで、紙の白色顔料として用いる方法が、特許文献2に記載されている。
特開2005−89953号公報 特開2001−26727号公報
しかしながら、嵩高剤としての珪藻土やシリカ粉末はその効果が十分ではなく、また、特許文献1のように嵩高剤を作っていると、単に紙を嵩高くするための工程としてはあまりにも手間がかかりすぎており、単価の安い板紙においては、薬剤コストを上回るメリットが得られなかった。
一方で、特許文献2の方法でペーパースラッジ焼却灰を白色顔料として用いようとすると、元々不純物が多いために、白色度を維持することが難しく、焼却した後に白色顔料として用いるための加工作業が難しかった。
また、製紙工場において燃料として燃やした石炭の残存灰も、ペーパースラッジの焼却灰と同様に、有効な利用方法に乏しく、産業廃棄物として取り扱う必要があるため、処理にかかる手間が膨大なものであった。
そこでこの発明は、ペーパースラッジ焼却灰や石炭灰などを、比較的容易な方法で加工して、有用に用いて廃棄物を減らすことを目的とする。
この発明は、ペーパースラッジ焼却灰や石炭灰の平均粒径が20〜100μmである灰を、パルプ原料に対して0.01重量%以上、3重量%以下含有する板紙を製造することにより上記の課題を解決したのである。
ペーパースラッジ焼却灰や石炭灰は、燃焼時の熱によって嵩高くなりやすいため、嵩高くするための添加剤として効率の良い構造をしている。
また、従来は産業廃棄物として処理にかかっていた手間を不要とし、有効利用することができる。さらに、板紙に添加するので、白色度を保持する必要は無い。つまり、ダンボール中芯の場合は、添加により紙が着色されても表面に現れないため問題にならず、ライナーの場合は表面の色が問題となる場合があるが、原紙が2層以上の多層構造になっているので、色が問題となる表層以外の層を抄紙する際にのみ灰を添加することにより、問題を回避することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、ペーパースラッジ焼却灰(以下、「PS灰」と略記する。)、石炭灰、又はそれらの両方からなり、平均粒径が20μm以上、100μm以下である灰を含有する板紙である。
上記のPS灰とは、原質工程で系外排出される古紙表面にあった各種の塗工剤や、古紙中のプラスチック類や難離解性の繊維、抄紙工程で利用されなかった微細な繊維分などの廃棄物であるペーパースラッジを焼却したものであり、その成分は特に限定されるものではない。また、上記の石炭灰とは、石炭を燃焼させた後に残る灰であり、特に成分を限定されるものではないが、製紙工程で必要とする熱の供給のために燃焼させた石炭から生成した石炭灰をこの発明に用いると、工程全体から排出される廃棄物が減少できて好ましい。さらに、上記灰としては、これらのPS灰及び石炭灰だけではなく、別の工程で生じる灰が一部含まれていてもよい。
上記灰は、平均粒径20μm以上であることが必要であり、35μm以上であるとより好ましい。平均粒径が20μm未満であると、個々の粒子が小さすぎて、板紙の嵩高さを増加させる効果が十分に発揮されず、紙の製造時に紙中に留まりにくいためである。一方で、平均粒径は100μm以下であると好ましく、70μm以下であるとより好ましい。一般的に用いられる坪量120g/mである中芯の厚みは200μm程度であることから、これ以上の大きさの粒径の灰を入れることは問題がある。すなわち、平均粒径が100μmを超えると、200μmを超える大きな粒径の灰が増加してくるため、製造された板紙を貫通する灰が増えてくることにより、板紙に穴が開くなどの問題が発生しやすくなるほか、強度が低下しすぎるおそれがある。なお、この発明における平均粒径とは、算術平均による粒径を意味する。
上記灰は、嵩密度が0.10g/cm以上であると好ましく、0.30g/cm以上であるとより好ましい。0.10g/cm未満であると、密度が低すぎるために、水に浮きやすく、水に分散させにくい。一方で、嵩密度が1.00g/cm以下であると好ましく、0.70g/cm以下であるとより好ましい。1.00g/cmを超えると、添加した紙の密度が増加するため嵩高効果が発揮されないためである。
製紙工程で得られた上記のPS灰や石炭灰が、上記の平均粒径や嵩高さの条件を満たさない場合は、一般的には粒径が大きく嵩密度の高い塊になっていることが多い。このような場合、その灰の塊を破砕して、分級し、上記の平均粒径や嵩密度の数値範囲を満たす灰を得てこの発明に用いるとよい。破砕する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な粒子の破砕方法を用いることができ、例えば、粉砕機として、遠心式ボールミルを用いる方法や、ロールクラッシャ、ロールミル、スタンプミル、エッジランナ、カッターミル、ロッドミルなどが挙げられる。
この発明にかかる板紙は、上記の灰を0.01重量%以上、3重量%以下含有する板紙である。この板紙は、上記灰を含有しないものよりも、嵩高さを増したものとなる。
この発明にかかる板紙に、上記灰を含有させる方法としては、例えば、板紙の抄紙工程において用いるパルプ原料に上記灰を混合させて板紙を製造する方法や、抄紙した複数の層の紙の層間に上記灰を塗工して積層する方法等が挙げられる。また、これらの方法を両方併用する方法でもよい。
まず、上記灰をパルプ原料と混合する方法について説明する。上記灰をパルプ原料と混合する際の配合率は、パルプ原料に対して上記灰が0.01重量%以上である必要があり、0.1重量%以上であると好ましい。0.01重量%未満では、嵩高くさせる効果がほとんど発揮されず、灰を添加することによる廃棄物の削減効果もほとんど無くなる。一方で、10重量%以下であることが必要であり、3重量%以下であるとより好ましい。10重量%を超えると、製造される板紙の強度が低下しすぎてしまうおそれがあり、さらに上記灰が増えるとそもそも板紙を製造できなくなってしまう。実際に得られる板紙に含まれる灰の量は3重量%を超えないことが好ましいが、多重抄紙をする場合の中層部にのみ灰を加える場合、中層部の抄紙の際には灰が10重量%以下含まれていても、灰を含まない表層及び裏層と重ねることで、板紙全体では灰の含有量を3重量%以下とすることができる。また、単層であったり、多重となる層の全てが灰を含んでいる場合には、板紙原料中の灰の含有量は3重量%以下であると好ましい。
特に、ライナー、紙管原紙、チップボールのような板紙は、2層以上の紙を抄き合わせして製造されている。中芯のような1層構造の紙に、灰を添加すると、製品から灰が脱落するおそれがあるが、多層抄きの紙の中層に灰を添加すると、表裏の層によって覆われているために、灰の脱落を防止できる。また、ライナーやチップボールは表面の色が灰によって変化すると問題を生じるが、中層に灰を添加することにより、灰による着色についても問題にならなくなる。
このように上記灰をパルプ原料に混合して得られた板紙原料を用いて製造された板紙は、通常の板紙の製造工程と同様の手順により製造することができる。上記灰を添加するタイミングは、抄紙の際のスラリー状態の材料に添加してもよいし、パルプそのものの添加剤として添加してもよく、特にタイミングを限定されるものではない。
次に、抄紙した複数の層の紙の層間に上記灰を塗工して積層する方法について説明する。上記灰を塗工するとは、表面に上記灰を添加できるものであれば特に方法は限定されるものではなく、例えば、上記灰を直接に噴射して風圧で吹き付ける方法や、均一に近くなるように表面全体に落下させる方法、上記灰を含有させた溶液、コロイド又は混合液を、塗布、浸漬、噴射する方法等が挙げられる。
上記の層間に塗工する上記灰の量は、積層して得られる板紙のうち、上記灰が0.01重量%以上、3重量%以下となる量を占める必要がある。0.01重量%未満では嵩高効果が十分ではなく、3重量%を超えると板紙の強度に問題を生じる場合がある。この値は、一面にのみ塗工することによって成り立つだけでなく、複数の層間に塗工することでこの値となってもよい。1つの層間にのみ塗工するよりも、複数の層間に塗工する方が、上記灰が分散されて、積層しやすくなる場合がある。ただし、実際に塗工する際の効率から、それぞれの層間における上記灰の塗工量は0.01g/m以上であると好ましく、0.1g/m以上であるとより好ましい。一方で、10g/m以下であると好ましく、5g/m以下であるとより好ましい。
この発明にかかる板紙は、比圧縮強度が、上記灰を添加しないこと以外は同様の条件で得られた板紙に比して、90%以上であると好ましく、95%以上であるとより好ましい。比圧縮強度が90%を下回るほど低下すると、板紙としての使用に問題が生じるおそれがあるためである。一方、上記灰を添加した板紙の比圧縮強度が、添加しない板紙の比圧縮強度より高くなることは考えにくい。
この発明にかかる板紙原料を用いて製造された板紙は、裂断長が、上記灰を添加しないこと以外は同様の条件で得られた板紙に比して、90%以上であると好ましく、95%以上であるとより好ましい。裂断長が90%を下回るほど低下すると、板紙としての使用に問題が生じるおそれがあるためである。一方、上記灰を添加した板紙の裂断長が、添加しない板紙の裂断長より高くなることは考えにくい。
この発明にかかる板紙原料を用いて製造された板紙は、その密度が、上記灰を添加せずに製造された板紙に対して、99%以下となることが好ましく、98%以下であるとより好ましい。上記灰を添加しても99%を超える密度であると、嵩高さを増加させる効果が不十分であるためである。一方で、密度が80%を下回ることは現実的では無い。
この発明にかかる板紙原料を用いて製造された板紙の具体的な使用例としては、石膏ボード用紙、台紙用原紙、紙器用原紙、紙管用原紙、ダンボール用原紙などが挙げられる。この中でも特に、ダンボール用原紙として、ダンボールの中芯に用いると、嵩高さと強度とのバランスが適しており、好ましい。
この発明を用いることにより、従来は廃棄することが多かったPS灰や石炭灰を、紙の添加材料として有効利用することができ、廃棄物を減量化し、資源の有効活用を図ることができる。また、得られる板紙は、嵩高くしても比較的強度の低下が少なく、有用なものとなる。さらに、板紙に用いるので、灰に含まれる成分によって着色されることによるデメリットが少なく、灰を徹底して白色化させる必要がないため、灰の加工処理が容易にできる。もっとも、灰による着色がめだちすぎる場合などには、上記板紙原料を製造する際に、ある程度の白色度を確保するために、一般的な白色顔料を添加しておいてもよい。
以下、実施例を挙げてこの発明をより具体的に説明する。
<粒径による効果の測定>
(実施例1〜3、比較例1〜3)
レンゴー株式会社金津事業所にて生成したペーパースラッジを、熱風炉付きロータリーキルン(月島機械(株)製)によって焼却して得られたPS灰を、絶乾脱水後に実験用遠心式ボールミル(フリッチュジャパン社製)によって粉砕して、平均粒径が15μm(比較例1)、36μm(実施例1)、57μm(実施例2)、96μm(実施例3)、144μm(比較例2)になるように調製した。なお、平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置((株)堀場製作所製:LA−920)を用いて測定を行い、特に断りがない限り平均粒径は算術平均で求めた。
また、それぞれの灰について、メスシリンダーに所定重量の灰を入れ、振動を与えて充填し、その際の嵩体積となる値を読み取り、灰の重量と嵩体積から嵩密度を算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0004851119
それぞれの調製したPS灰をパルプ原料(レンゴー(株)金津工場製:中芯紙料)に対して3重量%添加した上で角形テスト抄紙機により、JIS P 8222(試験用板紙の調製方法)に基づき、坪量200g/m前後になるように手すき紙を作製した。また、比較例3として、PS灰を添加しない坪量200g/m前後となる手すき紙を作製した。
作製したそれぞれの手すき紙を調湿した後、紙厚、密度、比圧縮強さ、裂断長を、以下の方法で測定した。その結果を表1に示す。なお、いずれの測定も温度23度、湿度50%RHの環境で行った。
(紙厚測定方法)
JIS P 8118「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に基づき測定した。
(比圧縮強度測定方法)
JIS P 8126「板紙の圧縮強さ試験方法(リングクラッシュ法)」に基づき測定した。
(裂断長測定方法)
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に基づき測定した。
(結果)
投入した灰の平均粒径が15μmである比較例1の手すき紙は、何も添付していない比較例3の手すき紙と比べて、紙厚はやや増加したものの、密度の値はほぼ同じであり、嵩高さを増加させる効果は十分では無かった。
実施例1乃至3の、平均粒径が36μm、57μm、96μmである灰を投入した手すき紙は、灰を添加しなかった比較例3に比べて密度が低下しており、また、紙厚も大きく上昇して、嵩高さを増加させる効果が現れた。また、比圧縮強度と裂断長の低下は比較的小さくて済んだ。
投入した灰の平均粒径が144μmである比較例2の手すき紙は、比較例3に比べて密度の低下と紙厚の増加は十分であったが、比圧縮強度の低下が10%を超え、裂断長の低下も無視できないものとなってしまった。
<異なる発生源での効果の確認>
(実施例4)
レンゴー株式会社金津事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径100.0μmとした。なお、粒径の測定は実施例1と同様に行った。また、実施例1と同様にメスシリンダーを用いて嵩密度を測定した。この灰を、パルプ原料に3重量%混合した上で角型テスト抄紙機によりJIS P 8222(試験用手すき紙の調製方法)に基づき坪量200g/m前後になるように手すき紙を作製した。得られた手すき紙の坪量、紙厚、密度を測定した値を表2に示す。また、この手すき紙について、比圧縮強度と裂断長を測定した。その結果を表2に示す。なお、いずれの測定も温度23℃、湿度50%RHの環境で行った。
Figure 0004851119
(実施例5)
レンゴー株式会社八潮事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径94μmとした。この灰を、実施例4と同様に測定し、抄紙して、手すき紙を作製した。同様に測定した値を表2に示す。
(実施例6)
レンゴー株式会社尼崎事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径72μmとした。この灰を、実施例4と同様に測定し、抄紙して、手すき紙を作製した。同様に測定した値を表2に示す。
(実施例7)
レンゴー株式会社金津事業所において、燃料として用いた石炭(中国産)の石炭灰のうち、電気集塵機により捕集した微粉末の灰(平均粒径28μm)を得た。この灰を、実施例4と同様に測定し、抄紙して手すき紙を作製した。同様に測定した値を表2に示す。
(比較例4)
実施例4の手順において、灰を添加しないこと以外は、実施例4と同様の手順により坪量が約200g/mとなるように抄紙して手すき紙を作製した。この手すき紙について、実施例4と同様の手順により測定を行った。その結果を表2に示す。
(結果)
灰を添加した手すき紙は、灰を添加しない手すき紙よりも密度が減少し、特に、粒径が100μmに近い実施例4及び5は、大きく密度が減少した。また、比圧縮強度はいずれも必須な強度を維持したものとなった。これらの結果から、板紙製紙工場でのPS灰であれば、特に焼成条件、ペーパースラッジの組成にこだわる必要はなく、嵩高効果があることが確認できた。
<PS灰と石炭灰の混合灰による効果>
(実施例8)
実施例4と同様の手順により調製したPS灰と、実施例7の石炭灰とを重量比1:1に混合して、この混合した灰を、パルプ原料に対して3重量%混合して、実施例4と同様の手順により、手すき紙を抄紙した。同様に測定した値を表2に示す。
(結果)
灰を添加しない比較例4に比して、混合灰の添加により、紙厚が増加し、密度の低下が見られた。また、比圧縮強度の低下は10%以下で済み、必須な強度を維持したものとなった。PS灰と石炭灰を混合した灰でも、嵩高効果が発揮され、強度低下が小さく済むことが分かった。
<多層抄きの場合の効果の測定>
(実施例9)
レンゴー株式会社金津事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径100.0μmとした。この灰を、パルプ原料に6重量%混合して坪量が約100g/mである3層手すき紙の中層を抄紙し、また、灰を混合しないパルプ原料により坪量が約50g/mである3層手すき紙の表層と裏層を抄紙して、これらを合わせて、坪量が約200g/mであり、灰を3重量%含有する3層手すき紙を作製した。得られた3層手すき紙の坪量、紙厚、密度を測定した値を表3に示す。また、この3層手すき紙について、比圧縮強度と裂断長を測定した。その結果を表3に示す。なお、いずれの測定も温度23℃、湿度50%RHの環境で行った。
Figure 0004851119
(実施例10)
レンゴー株式会社八潮事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径94μmとした。この灰を、実施例9と同様に3層手すき紙の中層を製造するパルプ原料に混合して、3層手すき紙を作製した。同様に測定した値を表3に示す。
(実施例11)
レンゴー株式会社尼崎事業所で生じたPS灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径72μmとした。この灰を、実施例9と同様に3層手すき紙の中層を製造するパルプ原料に混合して、3層手すき紙を作製した。同様に測定した値を表3に示す。
(実施例12)
レンゴー株式会社金津事業所において、燃料として用いた石炭(中国産)の石炭灰を、3分間乳鉢で粉砕し、目開き250μmのふるいを通過させて、平均粒径28μmとした。この灰を、実施例9と同様に3層手すき紙の中層を製造するパルプ原料に混合して、3層手すき紙を作製した。同様に測定した値を表3に示す。
(比較例5)
実施例9の手順において、灰を添加しないこと以外は、実施例9と同様の手順により坪量が約200g/mとなるように3層手すき紙を作製した。このブランク3層手すき紙について、実施例9と同様の手順により測定を行った。その結果を表3に示す。
(結果)
中層に灰を添加した3層手すき紙は、灰を添加しない3層手すき紙よりも密度が減少し、特に、粒径が大きな実施例9乃至11は、大きく密度が減少した。また、比圧縮強度はいずれも必須な強度を維持したものとなった。さらに、裂断長は、単層の中芯に灰を添加した場合よりも低下量が小さく、強度が維持された。
<添加量による効果の測定>
(実施例13,14、比較例6,7)
実施例1で使用したPS灰(平均粒径:36μm)を、パルプ原料(レンゴー(株)金津工場製:中芯原料)に対して、それぞれ、1.0重量%(実施例13)、3.0重量%(実施例14)、5.0重量%(比較例6)添加した上で、角形テスト抄紙機により、JIS P 8222(試験用手すき紙の調製方法)に基づき、坪量200g/m前後になるように、手すき紙を作製した。また、比較例7として、PS灰を添加せず、坪量200g/m前後になるように手すき紙を作製した。これらについて、実施例1と同様に測定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 0004851119
(実施例15,16、比較例8,9)
実施例3で使用したPS灰(平均粒径:96μm)を、パルプ原料(レンゴー(株)金津工場製:中芯原料)に対して、それぞれ、1.0重量%(実施例15)、3.0重量%(実施例16)、5.0重量%(比較例8)添加した上で、角形テスト抄紙機により、JIS P 8222(試験用手すき紙の調製方法)に基づき、坪量200g/m前後になるように、手すき紙を作製した。また、比較例9として、PS灰を添加せず、坪量200g/m前後になるように手すき紙を作製した。これらについて、実施例1と同様に測定を行った。その結果を表5に示す。
Figure 0004851119
(結果)
灰の添加量が増加するにつれて、紙厚の上昇と密度の低下とが見られた。また、添加量が3重量%までは比圧縮強度、裂断長の低下は10%以下に抑えられたが、添加量が5重量%であると、10%以上低下した。また、添加量5重量%では、紙のざらつき、PS灰の脱落なども見られるので、添加量は3重量%以下が好ましく考えられる。

Claims (6)

  1. ペーパースラッジ焼却灰、石炭灰、又はそれらの両方からなり、平均粒径20μm以上、100μm以下である灰を、0.01重量%以上、3重量%以下含有する段ボール用原紙
  2. 厚さが200μm以上0.370mm以下である請求項1に記載の段ボール用原紙。
  3. 上記灰の嵩密度が、0.1g/cm以上であり、1g/cm以下である、請求項1又は2に記載の段ボール用原紙
  4. 上記灰を、パルプ原料に対して0.01重量%以上、10重量%以下混合した板紙原料を用いて製造された請求項1乃至3のいずれかに記載の段ボール用原紙
  5. 複数の層からなり、層間に上記灰を塗工して積層することで製造された、請求項1乃至のいずれかに記載の段ボール用原紙
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の段ボール用原紙を用いて製造されたダンボール用中芯。
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