JP4851108B2 - 複合ペロブスカイト型化合物の膜の成膜方法、並びに、それを用いた液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

複合ペロブスカイト型化合物の膜の成膜方法、並びに、それを用いた液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合ペロブスカイト型化合物を含む多元系材料の膜をスパッタリングによって形成する成膜方法に関する。さらに、本発明は、そのような成膜方法を利用した液体吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の製造方法に関する。
圧電体の両端に電極が形成された構造体は、圧電アクチュエータ、圧電ポンプ、インクジェットプリンタのインクヘッド、超音波トランスデューサ等の様々な用途に利用されている。近年、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)関連の機器の開発に伴い、このような構造を有する素子の微細化及び集積化がますます進んでいる。そのため、そこで用いられる圧電体についても、微細化や性能の向上等が望まれている。
近年、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛:Pb(lead) zirconate titanate)に様々な元素を添加することにより、高い圧電特性を有する強誘電体(PNN−PZT)が得られることが知られている。しかしながら、そのような化合物において高い特性を得るためには、化合物を構成する元素の組成を制御することが重要となる。
関連する技術として、特許文献1には、所定の組成及び結晶構造を有するPZT薄膜を得るために、3個のPZTターゲットに300Wの電力を投入し、1個のPbOターゲットに0〜450Wの電力を投入して、基板ホルダーを30rpmの速度で回転させながら、基板上に膜を堆積させ、基板温度が700℃以上で、膜内のPb/(Zr+Ti)比が1以上になるように鉛の基板入射原子束比を制御することが開示されている。
しかしながら、特許文献1において作製目的とされているのはPZT薄膜に限定されており、鉛、チタン、ジルコニウム、及び、酸素以外の元素が含まれる場合については言及されていない。そのため、上記の元素以外の構成元素が含まれる膜を形成する場合には組成の制御性が悪くなると考えられるので、特許文献1に開示されているPZT薄膜の製造方法を適用することが困難となる。また、3個以上のターゲットを用いるので、装置が複雑となってしまう。
また、特許文献2には、圧電薄膜において大きな圧電変位を得るために、化学組成がPb1+a(ZrTi1−x)O3+a(但し、0.2≦a≦0.6、0.50≦x≦0.62)で表記され、その構成元素である酸素イオン、チタンイオン、ジルコニウムイオンの一部が欠けたイオン欠損のあるペロブスカイト型の柱状結晶領域と、イオン欠損のない化学量論組成のペロブスカイト型の柱状結晶領域との混合体からなる圧電薄膜が開示されている。
特許文献3には、Pb系強誘電体をスパッタリングにより形成する際に、成分調整のために強誘電体粉末にPbO粉末を添加した場合における強誘電体の成分の安定化に要する時間を短縮化するために、Pb系強誘電体をスパッタリングによって形成するためのターゲットであって、平均粒径が、10μm以下のPb系強誘電体粉末およびPbO粉末とを混合・焼結することが開示されている。
上記の特許文献2及び3においては、形成された膜において所望の組成を得るために、予め鉛元素を増加させた1つのターゲットが用いられている。また、鉛以外の元素についても、ターゲットにおいて組成を調整している。しかしながら、このような成膜方法によれば、形成される膜の組成が成膜条件によって異なってしまう。また、スパッタリング率が大きく異なる材料がターゲットに含まれる場合には、形成された膜の組成がターゲットの組成から大きくずれてしまう。従って、膜の組成をあまり良く制御することはできない。また、ターゲットの組成によっては、ターゲット作製時の焼結性に問題が生じることも考えられる。
特許文献4には、非誘電率を低く抑制しつつ大きな歪量を具現するために、複合ペロブスカイト型化合物のPb(Ni1/3Nb2/3)Oと単純ペロブスカイト型化合物PbTiO及びPbZrOとを主成分とする磁器組成物において、Pb(Ni1/3Nb2/3)O、PbTiO、PbZrOを頂点とする三角座標中、Pb(Ni1/3Nb2/3)OをXモル%、PbTiOをYモル%、PbZrOをZモル%とした場合(但し、X+Y+Z=1)、その組成範囲がA点(X=40、Y=37、Z=23)、B点(X=36、Y=37、Z=27)、C点(X=33、Y=40、Z=27)及びD点(X=37、Y=40、Z=23)の各組成点を結ぶ線上およびこの4点に囲まれた領域とする範囲を主成分とする圧電磁器組成物が開示されている。
特許文献5には、アクチュエータやセンサの小型化及び高密度化を図るために、セラミック基体と、PbMg1/3Nb2/3−PbZrO−PbTiO三成分固溶系組成物で、一般式Pb(Mgy/3Nb2/3TiZrに示す組成物を主成分とし、NiOを全組成物中0.05〜10.0重量%含有する磁器組成物からなる圧電体と、該圧電体に電気的に接続される電極とを供え、該圧電体が、上記セラミックス基体に、直接又は上記電極を介して固着されてなる圧電体素子が開示されている。
特許文献6には、アクチュエータ材料として用いられる圧電磁器組成物において、高電界における圧電変位量を大きくすると共に、比誘電率の温度変化を小さくするために、xPb(Sb1/2Nb1/2)O−yPbZrO−zPbTiOと表記される3成分ジルコンチタン酸鉛(PZT)において、0.96≦y/z≦1.39、0<x≦11mol%(但し、x+y+z=100mol%)とすることが開示されている。
上記の特許文献4〜6においては、PZTに他の元素を混合することにより圧電材料の性能を高めることが提案されているが、そのような組成を有する膜をスパッタリングによって再現性良く形成することについては開示されていない。
さらに、非特許文献1には、0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O−0.09PbTiO(PZN−PT系材料)の単結晶体が高い圧電定数を示すことが報告されているが、そのような組成を有する薄膜を形成する方法については開示されていない。
特開平6−57412号公報(第1頁、図2) WO2002/29129号公報(第1頁、図1) 特開平6−81138号公報(第1頁、図2) 特開2004−59369号公報(第1頁、図1) 特開2004−153252号公報(第1頁) 特開2004−67437号公報(第1頁、図1) 桑田(KUWATA)、他、「0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−0.09PbTiO3単結晶の誘電特性及び圧電特性(Dielectric and Piezoelectric Properties of 0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O3-0.09PbTiO3 Single Crystals)」、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS:JJAP)、第21巻、第9号、1982年9月、p.1298−1302
このように、従来においては、鉛及びチタンを含む複合ペロブスカイト型化合物の圧電膜をスパッタリングによって形成する場合に、組成を精度良く制御する方法は知られていない。
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、鉛及びチタンを含む複合ペロブスカイト型化合物の膜であって、組成が精度良く制御された膜をスパッタリングによって形成する成膜方法、及び、そのような成膜方法を用いて形成された複合ペロブスカイト型化合物の膜を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、そのような成膜方法により形成された圧電膜を利用した液体吐出ヘッドの製造方法を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る成膜方法は、鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び、酸素(O)を含む4種類以上の元素によって構成される複合ペロブスカイト型化合物の膜をスパッタリングによって形成する方法であって、鉛及びチタンを構成元素として含む第1のターゲットに電力を供給することにより、第1のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(a)と、チタンを基準とした場合に300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率が0.5以下又は1.2以上である第4の元素を構成元素として含む第2のターゲットに電力を供給することにより、第2のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(b)と、第1及び第2のターゲットからスパッタされた成分を、所定の温度に加熱された基板に付着させることにより、基板上に複合ペロブスカイト型化合物の膜を形成する工程(c)とを具備し、工程(a)及び(b)が、第1及び第2のターゲットに供給される電力を制御して、第1及び第2のターゲットからスパッタされる成分の量をそれぞれ制御することにより、複合ペロブスカイト型化合物の膜内における第4の元素の組成分布の変動幅を10%以下にすることを含み、第4の元素の組成分布の変動幅は、複合ペロブスカイト型化合物の膜の厚さ方向に1μm間隔で抽出した10箇所の点における第4の元素のモル比の最大値と最小値との差を最大値と最小値との和で割ったものである
また、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、振動板、隔壁、及び、吐出口が設けられたノズルプレートによって画定されており、液体が充填される圧力室と、該圧力室内の液体を吐出口から吐出するために振動板を振動させる圧電アクチュエータとを有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、鉛及びチタンを構成元素として含む第1のターゲットに電力を供給することにより、第1のターゲットに含まれる成分をスパッタすると共に、チタンを基準とした場合に300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率が0.5以下又は1.2以上である第4の元素を構成元素として含む第2のターゲットに電力を供給することにより、第2のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(a)と、第1及び第2のターゲットからスパッタされた成分を所定の温度に加熱された基板に付着させることにより、基板上に圧電膜を形成する工程(b)と、圧電膜上に電極を形成する工程(c)と、電極上に振動板を形成する工程(d)と、振動板上に、圧力室を画定するための隔壁を形成する工程(e)と、隔壁上に、吐出口が設けられたノズルプレートを形成する工程(f)とを具備し、工程(a)が、第1及び第2のターゲットに供給される電力を制御して、第1及び第2のターゲットからスパッタされる成分の量をそれぞれ制御することにより、圧電膜内における第4の元素の組成分布の変動幅を10%以下にすることを含み、第4の元素の組成分布の変動幅は、圧電膜の厚さ方向に1μm間隔で抽出した10箇所の点における第4の元素のモル比の最大値と最小値との差を最大値と最小値との和で割ったものである
本願において、スパッタリング率とは、1つのイオンがターゲットに衝突した際にスパッタされる原子の個数(atoms/ion)のことをいう。
本発明によれば、複合ペロブスカイト型化合物の構成元素の内で、スパッタリング率がチタンと大きく異なる元素を、チタンとは別のターゲットに配置すると共に、複数のターゲットに供給される電力をそれぞれ制御しながら、それらのターゲットからそれぞれスパッタされた成分を基板に付着させるので、構成元素のスパッタリング率にかかわらず、形成された膜の組成を精度良く制御することができる。それにより、複合ペロブスカイト型化合物の膜が有する機能(例えば、圧電性能)を高くすることが可能となる。従って、そのようにして形成された圧電膜を含む圧電アクチュエータを利用する液体吐出ヘッド等の機器の性能を向上させることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る成膜方法が用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。本実施形態に係る成膜方法は、複合ペロブスカイト型化合物の圧電膜をスパッタリングにより形成する方法である。
図1に示す成膜装置は、成膜室1と、排気ポンプ2と、基板ホルダ3と、基板ホルダ駆動部4と、反応ガス供給部5と、2つのターゲット保持部6及び7と、高周波電源(RF)8及び9と、2つのマッチングボックス(MB)10及び11とを含んでいる。
成膜室1は、接地配線に接続されている。排気ポンプ2は、成膜室1を排気することにより、その内部を所定の真空度に保っている。
基板ホルダ3は、膜が形成される基板20を保持するホルダであり、回転可能な状態で成膜室4に設置されている。また、基板ホルダ3には、基板20を所定の温度に保つためのヒータが設けられている。
基板ホルダ駆動部4は、基板ホルダ3に保持されている基板20がその主面内において回転するように、基板ホルダ3を回転させる。
反応ガス供給部5は、例えば、アルゴン(Ar)や酸素(O)等の反応ガスを成膜室1内に供給する。
ターゲット保持部7及び8は、例えば、直径が約4インチのマグネトロンカソードであり、スパッタリングターゲット(以下において、単にターゲットという)21及び22をそれぞれ保持している。ターゲット保持部7は、マッチングボックス10を介して高周波電源8に接続されており、ターゲット保持部8は、マッチングボックス11を介して高周波電源9に接続されている。
高周波電源8及び9は、例えば、周波数13.56MHzの交流電圧を発生する電源装置である。また、マッチングボックス10及び11は、負荷の持つリアクタンス成分をキャンセルすることにより、負荷と高周波電源8及び9との間でインピーダンスをそれぞれ整合する。マッチングボックス10及び11としては、例えば、ブロッキングコンデンサを用いたマッチングボックスを用いることができる。ブロッキングコンデンサは、直流成分をカットし、交流成分のみを通過させる。
このような成膜装置において、基板ホルダ3に基板20をセットし、基板を所定の温度に保つと共に、ターゲット保持部7及び8に、所定の元素を含むターゲット21及び22をそれぞれセットする。また、反応ガス供給部5から反応ガスを成膜室1内に導入する。そして、基板ホルダ駆動部4を駆動させて基板ホルダ3を回転させながら、ターゲット保持部7及び8に所定の大きさの電力をそれぞれ供給する。それにより、ターゲット21からスパッタされた成分とターゲット22からスパッタされた成分とが、基板20に順次付着する。その結果、ターゲット21及び22に含まれる元素を構成元素として含む膜が基板20に形成される。
次に、本発明の一実施形態に係る成膜方法の原理について説明する。
一般に、スパッタリングによって形成される膜の組成は、(i)ターゲットから気相中に飛び出す原子の量と、(ii)気相中の原子が基板に付着する量と、(iii)基板に付着した原子が再度スパッタされる量とによって定まる。この内で(i)及び(iii)における原子の量は、スパッタリング率に応じて決まる量である。
ここで、鉛(Pb)、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、及び、チタン(Ti)を含む複合ペロブスカイト型化合物をスパッタリングによって形成する場合について検討する。表1は、300eVのエネルギーを有するアルゴンイオン(Ar)に対する上記の元素のスパッタリング率と、それらのスパッタリング率の各々をチタンのスパッタリング率で規格化した値を示している。なお、表1におけるスパッタリング率は、真空ハンドブック(日本真空技術編集、オーム社発行)から抜粋されたものである。また、特開平6−49638号公報(第4頁)に開示されているように、鉛(Pb)については、ターゲットに過剰に混入することにより、最適値となるように組成が自己的に制御されるので、本実施形態においては組成を制御する対象から外している。
Figure 0004851108
表1に示すように、スパッタリング率は元素の種類によって異なっている。そのため、他の元素とスパッタリング率が大きく離れた元素を1つのターゲットに含めてしまうと、ターゲットの組成とは無関係に、スパッタされる成分にばらつきが生じてしまう。その結果、ターゲットにおける複数の元素の組成比が、形成された膜の組成比に反映されなくなり、所望の組成を有する膜を作製することができなくなってしまう。例えば、ニッケルのように、他の元素よりもスパッタリング率が大幅に高い元素(例えば、規格化された値が1.2以上、望ましくは1.5以上)がターゲットに含まれる場合には、その元素が優先的にスパッタされてしまうので、他の元素の組成比が相対的に低下してしまう。反対に、他の元素よりもスパッタリング率が大幅に低い元素(例えば、規格化された値が0.5以下)がターゲットに含まれる場合には、他の元素が優先的にスパッタされるため、その元素の組成率が低下してしまう。
そこで、本実施形態においては、形成目的とする膜を構成する複数種類の元素を、スパッタリング率に応じて複数のターゲットに分けて配置し、それらのターゲットの各々に供給される電力等を調整しながらスパッタリングを行っている。それにより、形成された膜における組成比を制御している。
本実施形態においては、各ターゲットに配置される構成元素を決定する基準として、いずれのペロブスカイト型化合物にも含まれているチタン(Ti)のスパッタリング率を用いている。具体的には、スパッタリング率がチタンよりも大幅に小さい元素(例えば、規格化された値が0.5以下)、又は、スパッタリング率がチタンよりも大幅に大きい元素(例えば、規格化された値が1.2以上、望ましくは1.5以上)は、チタンとは別のターゲットに配置される。
(実施例1)
第1の実施例として、0.2Pb(Ni1/3Nb2/3)O−0.8Pb(Zr0.5Ti0.5)O膜の形成を目的として成膜を行った。
表1に示すように、この膜を構成する主な元素(鉛以外)の内で、スパッタリング率が大きく異なっているのは、ニッケル(Ni)である。そこで、ニッケルのみを別のターゲットに配置することとして、次のような組成を有する2つのターゲットを作製した。
第1のターゲット…組成比(モル比)がPb:Nb:Zr:Ti=1.2:0.13:0.4:0.4である酸化物焼結体
第2のターゲット…NiO焼結体
なお、第1のターゲットについては、化学量論的組成(ストイキオメトリ)となる組成でなくても構わず、適宜組成を調整しても良い。また、第2のターゲットについては、上記のような酸化物ターゲットでも良く、金属ターゲットでも良い。さらに、第2のターゲットにも鉛元素を添加しても構わない。先に述べたように、形成された膜において、鉛の組成比は自己的に制御されるからである。
これらの第1及び第2のターゲットを、図1に示す成膜装置のターゲット保持部6及び7にそれぞれ配置して成膜を行った。その際の成膜条件は、以下の通りである。
基板…Pt(200nm)/Ti(50nm)/Si
基板温度…600℃
成膜室内圧力…0.5Pa
第1のターゲットへの供給電力…400W
第2のターゲットへの供給電力…可変
なお、基板の内で、シリコン上にチタン層を介して形成される白金層は、圧電膜とシリコンとの間の拡散防止層として設けられている。圧電膜に含まれる鉛は、シリコンと反応し易いからである。また、チタン層は、シリコンと白金層との密着性を良くするために設けられている。
このような条件の下で、第2のターゲットへの供給電力を変化させながらスパッタリングを行うことにより、厚さが約10μmの膜を形成した。
一方、比較例として、組成比(モル比)がPb:Ni:Nb:Zr:Ti=1.2:0.066:0.13:0.4:0.4である焼結体を作製し、これをターゲットとして用いてスパッタリングを行うことにより、厚さが約10μmの膜を形成した。基板、基板温度、成膜室内圧力等の成膜条件は実施例1におけるものと同様とし、ターゲットへの供給電力は400Wとした。
実施例及び比較例により得られた膜について分析を行ったところ、次の(1)〜(4)に示す結果が得られた。なお、組成分析に際しては、エネルギー分散型X線分析装置(energy dispersive X-ray spectrometer:EDX)を用いた。
(1)ニッケル組成比の供給電力依存性
図2に示すように、実施例1により得られた膜において、第2のターゲットへの供給電力に対するニッケルとチタンとの組成比(Ni/Ti組成比)の依存性が見られた。即ち、第2のターゲットへの供給電力により、形成された膜におけるニッケル組成比が制御されたことが確認された。
(2)構成元素の組成比
実施例1により得られた膜においては、第2のターゲットへの供給電力を40Wとした場合に、構成元素の組成比がPb:Ni:Nb:Zr:Ti=1:0.07:0.14:0.39:0.41となっており、目標に比較的近い値が得られたことが確認された。
一方、比較例により得られた膜においては、組成比がPb:Ni:Nb:Zr:Ti=1:0.03:0.14:0.38:0.4となっており、ニッケルの組成比は目標値から大きくずれていた。
(3)圧電特性
実施例1及び比較例により得られた膜を用いて片持ち梁構造を作製し、圧電性能を測定した。その結果、実施例1により得られた膜において、圧電特性d31=190pm/Vが得られ、良好な圧電性能を示すことが確認された。一方、比較例により得られた膜においては、圧電特性d31=110pm/Vが得られ、実施例と比較して圧電性能が劣っていることがわかった。
(4)組成変動
実施例1及び比較例により得られた膜における厚さ方向に対する組成分布の変動幅を調べた。組成分布の変動幅は、膜の断面において厚さ方向に1μm間隔で10箇所の点を抽出し、各点における組成分布を測定して次式(1)を用いることにより算出した。式(1)において、組成maxは、ある構成元素の組成比の上記10箇所中の最大値であり、組成minは、その構成元素のモル比による組成比の上記10箇所中の最小値である。
変動幅=(組成max−組成min)×100/(組成max+組成min) …(1)
その結果、実施例1により得られた膜において、酸素以外の構成元素の組成分布の変動幅は10%以下、望ましくは5%以下、さらに望ましくは3%以下であった。それにより、膜の厚さ方向において、ニッケルを含む各構成元素(酸素以外)の組成分布が比較的均一であることが確認された。一方、実施例により得られた膜において、鉛、ジルコニウム、チタン、ニオブの組成比の変動幅は5%以下であったが、ニッケルの組成比の変動幅が15%となっており、膜の厚さ方向において、組成分布のムラが生じていることが確認された。
(実施例2)
第2の実施例として、0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O−0.09PbTiO膜の形成を目的として成膜を行った。この膜を構成する主な元素(鉛以外)のスパッタリング率は、表2に示すとおりである。
Figure 0004851108
これらの元素の内でスパッタリング率が大きく異なっているのは、亜鉛(Zn)である。そこで、亜鉛のみを別のターゲットに配置することとして、次のような組成を有する2つのターゲットを作製した。
第1のターゲット…組成比がPb:Nb:Ti=1.2:0.61:0.09である焼結体
第2のターゲット…ZnO焼結体
これらの第1及び第2のターゲットを図1に示す成膜装置のターゲット保持部6及び7にそれぞれ配置し、第1の実施例と同様の成膜条件の下で成膜を行った。その結果、形成された膜において、第2のターゲットへの供給電力に対するZn/Ti組成比の依存性が見られた。即ち、第2のターゲットへの供給電力により、形成された膜における亜鉛組成比が制御されていたことが確認された。
以上説明したように、複合ペロブスカイト型化合物であるPZTに、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、及び、チタン(Ti)以外の元素が添加される場合には、添加された元素の内で、スパッタリング率がチタンのものと大きく異なる元素を別のターゲットに配置することにより、組成比の再現性の良い膜を形成することが可能となる。例えば、上記の複合ペロブスカイト型化合物に添加され得る元素の内で、スパッタリング率がチタンと大幅に異なる元素(規格化された値が0.5以下、又は、1.2以上)には、表3に示すものが挙げられる。
なお、表3に示すスパッタリング率は、真空ハンドブック(日本真空技術編集、オーム社発行)から抜粋されたものであり、300eVのエネルギーを有するアルゴンイオン(Ar)に対する値を示している。
Figure 0004851108
以上説明した本実施形態においては、ターゲットの組成を決定する際に、300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率に用いているが(表1〜3参照)、実際に使用される反応ガス(クリプトン、キセノン等)や、そのエネルギー(例えば、300eV〜100keV)等に応じて、異なるスパッタリング率の値及び基準を用いても良い。
また、本実施形態においては、鉛及びチタンを含むPZT圧電膜を形成しているが、本発明の原理、即ち、形成目的とする膜の構成元素を、スパッタリング率に基づいて複数のターゲットに分けて配置し、各ターゲットに供給される電力を調整することにより形成される膜の組成を制御するという原理は、他の材料系の膜を形成する場合にも適用することができる。それにより、所望の組成を有する膜を、スパッタリングにより再現性良く形成することが可能となる。このような方法を用いることにより形成された膜は、スパッタリングによって生じる柱状構造、表面平滑性、及び、配向性を有しており、さらに、複数のターゲットを用いることによって可能となる組成の均一性(制御性)を有している。
ここで、図1に示す成膜装置においては、基板ホルダ3を回転させることにより、ターゲット21のスパッタ面とターゲット22のスパッタ面とが、基板20の成膜面に順次対向するようにしている。しかしながら、ターゲット21及び22からそれぞれスパッタされた成分の両方を基板20に付着させることができれば、それ以外の構成を用いても構わない。例えば、図1において、基板20を単に左右に移動させたり、ターゲット21及び22側を移動させても良い。
或いは、図3に示すように、2つのターゲット23及び24のスパッタ面が常に基板25の方を向くように、ターゲット保持部12及び13の位置及び向きを調整して設置しても良い。この場合には、基板25を回転させても良いし、回転させなくても良いが、形成された膜の組成の均一性の観点からは、回転させる方がより好ましい。
また、図1及び図3においては、2つのターゲットのみが示されているが、形成目的とされる膜の組成及び構成元素のスパッタリング率に応じて、3つ以上のターゲットを用いることができるのは当然である。
本発明の一実施形態に係る成膜方法を用いることにより形成された圧電膜は、圧電アクチュエータ、圧力センサ(超音波トランスデューサ)、強誘電体メモリ、焦電センサ等の様々な機器に適用することができる。組成が制御された圧電膜は良好な圧電性能を発現するので、そのような圧電膜を利用する機器全体の性能を向上させることが可能となる。
次に、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法について説明する。液体吐出ヘッドは、インクジェットプリンタのインク吐出部において用いられる部品であり、液体吐出ヘッドを駆動するための圧電アクチュエータに、本発明の一実施形態に係る成膜方法を用いて形成された圧電膜を適用することができる。
図4は、液体吐出ヘッドが適用されるインクジェットプリンタの印字部の周辺を示す平面図である。図4に示すように、印字部30は、ローラ32及び33に掛け渡されたベルト34に吸着保持されている記録紙31の上部に配置されている。記録紙31は、制御信号に従って駆動されるローラ32及び33並びにベルト34により、矢印の方向に送られる。
印字部30は、インクを吐出する複数の液体吐出ヘッド30a〜30dを含んでいる。これらの液体吐出ヘッド30a〜30dは、記録紙31の紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドである。液体吐出ヘッド30a〜30dの各々は、記録紙31の紙送り方向に対して直交する方向に配置された複数のノズル部を含んでおり、供給される制御信号に従って、黒、シアン、マゼンタ、イエローのインクをそれぞれ吐出する。また、印字検出部35は、印字部30による印字結果を撮像するためのラインセンサを含んでおり、ラインセンサによって読み取られた画像に基づいて、ノズルの目詰まり等の吐出不良を検出する。
図5は、図4に示す液体吐出ヘッド30a〜30dの断面の一部を示している。図5に示すように、液体吐出ヘッドは、ノズルプレート40と、ノズルプレート40上の空間を複数の領域に仕切る隔壁41と、隔壁41上に配置されている振動板42とを含んでいる。このノズルプレート40と、隔壁41と、振動板42とによって、圧力室43が画定される。この圧力室43には、所定の色のインクが充填される。また、ノズルプレート40の面内には、圧力室43の位置に対応して、複数の液体吐出口(ノズル部)44が形成されている。さらに、振動板42上には下部電極45が形成されており、その上には、圧電体(圧電膜)46が配置されている。これらの圧電体46の上には、上部電極47が形成されている。各液体吐出ヘッド30a〜30dには、このような圧力室が複数配置されている。なお、図5においては、説明を簡単にするために、各圧力室43にインクを補給するための機構は省略されている。
印字を行う場合には、制御信号に従って下部電極45及び上部電極47に電圧を印加する。それにより、圧電体46が圧電効果により伸縮して、振動板42が変形する。その結果、圧力室43の容積が変化するので、内部に充填されているインクが加圧されて吐出部44から滴下される。
図6及び図7は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図である。なお、通常の製造過程においては、多数の圧力室等が並行して形成されるが、図6及び図7には、説明を簡単にするために、1つのインクジェットヘッドのみが示されている。
まず、液体吐出ヘッドを駆動する圧電膜を作製するための基板を用意する。そのために、シリコン基板上に、厚さが50nm程度のチタン膜、及び、200nm程度の白金膜をスパッタ法等により形成する。この白金膜は、その上に形成される圧電膜とシリコン基板との間の拡散防止層として設けられている。圧電膜(PZT)に含まれる鉛は、シリコンと反応し易いからである。また、チタン膜は、シリコン基板と白金膜との密着性を良くするために設けられている。
次に、図6の(a)に示すように、基板50上に、厚さが10μm程度で底面サイズが約300μm角のPZT膜51aを形成する。このPZT膜51aは、例えば、組成として、0.2Pb(Ni1/3Nb2/3)O−0.8Pb(Zr0.5Ti0.5)Oを有しており、本発明の一実施形態の実施例1において説明したのと同様の成膜方法及び成膜条件により形成することができる。上記のパターンを形成するために、スパッタリングを行う際に、圧力室43(図5)の配置に対応する開口が設けられたマスクを用いれば良い。
ここで、インクジェットヘッドにおけるもののように、PZT等の圧電膜をアクチュエータとして用いる場合には、圧電膜の厚さを3μm以上20μm以下とすることが望ましい。厚さが3μm以下の場合には、圧電膜による駆動力が小さいので十分なインク吐出力を得ることができず、厚さが20μm以上の場合には、圧電膜において十分な変位量を得ることができないので十分なインク吐出量を得ることができないからである。アクチュエータとして用いられる圧電膜において十分な駆動力及び変位量を得るために、さらに好ましくは、圧電膜の厚さを5μm以上20μm以下にすることが望ましく、さらには、10μm以上20μm以下とすることが望ましい。そのため、本実施形態においては、PZT膜の厚さを約10μmとしている。このような厚さを有する厚膜であっても、本発明の一実施形態に係る成膜方法を用いることにより、組成が制御された膜を形成することが可能となる。
次に、図6の(b)に示すように、基板50上のPZT膜51a以外の領域にレジスト51bを配置し、PZT配向膜及びレジスト上に白金電極52をスパッタ法により形成する。次に、図6の(c)に示すように、白金電極52上に、厚さが約15μmのクロム(Cr)膜53をスパッタ法又はメッキ法により形成する。このクロム膜53は、液体吐出ヘッドにおいて振動板として機能する。
次に、図6の(d)に示すように、クロム膜53上に、圧力室43(図5)を画定するための隔壁構造体54を配置する。隔壁構造体54は、底面サイズが約500μm角の複数の開口54aが設けられた柱状構造体であり、例えば、シリコンやSUS等の材料をエッチングすることにより作製することができる。隔壁構造体54は、開口54aの中心とPZT膜51aの中心とが対応するように配置されて、クロム膜53に接着される。
次に、図7の(a)に示すように、基板50の内のシリコン基板を剥離又はエッチングにより除去する。エッチングとしては、BHF(緩衝フッ酸)溶液を用いたウェットエッチングを行っても良いし、ドライエッチングを行っても良い。なお、基板50の内、シリコン基板上に形成されたチタン膜又は白金膜は、そのまま残留させても良いし、研磨等により除去しても良い。さらに、図7の(b)に示すように、シリコン基板が剥離された面に、白金電極55をスパッタ法により形成し、その後でレジスト51bを除去する。
次に、図7の(c)に示すように、隔壁構造体54上にノズルプレート56を配置する。ノズルプレート56は、シリコンやSUS等の板材に複数のノズル部56aが形成された構造体であり、ノズル部56aの位置と圧力室(隔壁構造体54の開口54a)の位置とが対応するように配置されて、隔壁構造体54に接着される。それにより、液体吐出ヘッドが完成する。
本発明は、液体吐出ヘッドを駆動するための圧電アクチュエータや超音波撮像装置において超音波を送受信するための超音波トランスデューサ(圧力センサ)等において用いられる圧電素子、赤外線センサ等において用いられる焦電素子、強誘電体メモリ等において利用することが可能である。
本発明の一実施形態に係る成膜方法が用いられる成膜装置の構成を示す模式図である。 第1の実施例により得られた膜における、第2のターゲットへの供給電力に対するNi/Ti組成比の依存性を示す図である。 図1に示す成膜装置の変形例を示す模式図である。 インクジェットプリンタの印字部の周辺の構造を示す平面図である。 図4に示す液体吐出ヘッドの断面の一部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1 成膜室
2 排気ポンプ
3 基板ホルダ
4 基板ホルダ駆動部
5 反応ガス供給部
6、7、12、13 ターゲット保持部
8、9 高周波電源(RF)
10、11 マッチングボックス(MB)
20 基板
21〜24 ターゲット
30 印字部
30a〜30d 液体吐出ヘッド
31 記録紙
32、33 ローラ
34 ベルト
35 印字検出部
40、56 ノズルプレート
44、56a 吐出口(ノズル部)
41 隔壁
42 振動板
43 圧力室
45 下部電極
46 圧電体
47 上部電極
50 基板
51a PZT膜
51b レジスト
52、55 白金電極
53 クロム膜
54 隔壁構造体
54a 開口

Claims (8)

  1. 鉛(Pb)、チタン(Ti)、及び、酸素(O)を含む4種類以上の元素によって構成される複合ペロブスカイト型化合物の膜をスパッタリングによって形成する方法であって、
    鉛及びチタンを構成元素として含む第1のターゲットに電力を供給することにより、前記第1のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(a)と、
    チタンを基準とした場合に300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率が0.5以下又は1.2以上である第4の元素を構成元素として含む第2のターゲットに電力を供給することにより、前記第2のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(b)と、
    前記第1及び第2のターゲットからスパッタされた成分を、所定の温度に加熱された基板に付着させることにより、前記基板上に複合ペロブスカイト型化合物の膜を形成する工程(c)と、
    を具備し、工程(a)及び(b)が、前記第1及び第2のターゲットに供給される電力を制御して、前記第1及び第2のターゲットからスパッタされる成分の量をそれぞれ制御することにより、前記複合ペロブスカイト型化合物の膜内における前記第4の元素の組成分布の変動幅を10%以下にすることを含み、前記第4の元素の組成分布の変動幅は、前記複合ペロブスカイト型化合物の膜の厚さ方向に1μm間隔で抽出した10箇所の点における前記第4の元素のモル比の最大値と最小値との差を最大値と最小値との和で割ったものである、成膜方法。
  2. 前記複合ペロブスカイト型化合物の膜が、3μm以上20μm以下の厚さを有する、請求項記載の成膜方法。
  3. 工程(c)が、前記第1のターゲットのスパッタ面と前記第2のターゲットのスパッタ面とが前記基板の成膜面に順次対向するように、前記第1及び第2のターゲットと、前記基板との内の少なくとも一方を移動又は回転させることを含む、請求項1又は2記載の成膜方法。
  4. 前記第2のターゲットが、チタンを基準とした場合に300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率が0.5以下又は1.5以上である元素を構成元素として含む、請求項のいずれか1項記載の成膜方法。
  5. 振動板、隔壁、及び、吐出口が設けられたノズルプレートによって画定されており、液体が充填される圧力室と、該圧力室内の液体を吐出口から吐出するために振動板を振動させる圧電アクチュエータとを有する液体吐出ヘッドの製造方法であって、
    鉛及びチタンを構成元素として含む第1のターゲットに電力を供給することにより、前記第1のターゲットに含まれる成分をスパッタすると共に、チタンを基準とした場合に300eVのエネルギーを有するアルゴンイオンに対するスパッタリング率が0.5以下又は1.2以上である第4の元素を構成元素として含む第2のターゲットに電力を供給することにより、前記第2のターゲットに含まれる成分をスパッタする工程(a)と、
    前記第1及び第2のターゲットからスパッタされた成分を所定の温度に加熱された基板に付着させることにより、前記基板上に圧電膜を形成する工程(b)と、
    前記圧電膜上に電極を形成する工程(c)と、
    前記電極上に振動板を形成する工程(d)と、
    前記振動板上に、前記圧力室を画定するための隔壁を形成する工程(e)と、
    前記隔壁上に、吐出口が設けられたノズルプレートを形成する工程(f)と、
    を具備し、工程(a)が、前記第1及び第2のターゲットに供給される電力を制御して、前記第1及び第2のターゲットからスパッタされる成分の量をそれぞれ制御することにより、前記圧電膜内における前記第4の元素の組成分布の変動幅を10%以下にすることを含み、前記第4の元素の組成分布の変動幅は、前記圧電膜の厚さ方向に1μm間隔で抽出した10箇所の点における前記第4の元素のモル比の最大値と最小値との差を最大値と最小値との和で割ったものである、液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 工程(b)が、3μm以上20μm以下の厚さを有する圧電膜を形成することを含む、請求項記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記圧電膜から前記基板を剥離又はエッチングにより除去する工程をさらに具備する請求項又は記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記基板が除去された前記圧電膜上に第2の電極を形成する工程をさらに具備する請求項のいずれか1項記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
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