JP4850816B2 - 精密ろ過フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、精密ろ過フィルター及びその製造方法、特に、ゲル成分を含有する被濾過流体から被濾過成分を効果的に除去する精密ろ過フィルター及びその製造方法に関する。
製造工程中のフォトレジストには固形状成分とゲル状成分が混在するため、これを除去する必要がある。一般に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、即ち、polytetrafluoroethylene)を濾過膜素材とするフィルタエレメントは、固形状異物の濾過に有効であるが、ゲル状成分を除去するためには孔径の極微細化を必要とし、ろ過時に大きな運転圧力を必要とするため、ろ過効率を低下させていた。一方、ポリオレフィンの濾過膜を素材とするフィルタエレメントは、ゲル状異物の濾過に有効であることが知られている。このため、従来は、PTFEを濾過膜素材とするフィルタエレメントと、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンの濾過膜素材とするフィルタエレメントをそれぞれ使用して、フォトレジストを多段濾過することにより、フォトレジスト中の固形状成分とゲル状成分を除去している。
このように、フォトレジスト中の異物は多段濾過によって除去されているため、濾過工程が複雑にならざるを得ない。このため、濾過装置の保守点検作業が困難であるのみならず、濾過効率を向上させることが困難であった。
また、PTFE濾過層は複数のPTFE濾過膜を積層することによって構成され、複数のPTFE濾過膜のうち、少なくとも一対のPTFE濾過膜は、PTFE濾過膜毎に異なる孔径を有する積層型フィルタエレメントが公知となっている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、この積層型フィルタエレメントは、PTFE濾過膜を複数枚積層する必要があり、膜厚が大きくなって、流量が少ない、寿命が短い等の問題を引き起こしていた。
また、この積層型フィルタエレメントは、PTFE濾過膜を複数枚積層する必要があるので、PTFE濾過膜の剥離等が懸念され、耐久性の問題があった。
特開2001−340732号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、非対称孔構造を有する結晶性ポリマーからなる微孔性膜を1枚設けるだけで、被濾過流体中に混在する固形状成分と、固形状成分除去用最下流側濾過膜の孔径よりも概ね小さい径のゲル状成分とを効果的に除去して、膜厚を低減して流量及び寿命を向上することができ、もって、大きな設備にも適用することができると共に、カートリッジの交換回数を低減してメンテナンスにかかる費用や時間を節減することができ、さらに、半導体製造工程に用いることにより歩留まりを向上することができる精密ろ過フィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
なお、前記固形状成分除去用最下流側濾過膜の孔径よりも概ね小さい径のゲル状成分とは固形成分除去用最下流の濾過膜の孔径をゲル状成分が変形して通過し得る径以下の径のゲル状成分を意味し、孔径はJIS K 3832精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験法による測定であって、フィルタ全面からの気泡を認めたときのバブルポイントによって測定した孔径、すなわち、実質的には平均孔径を意味する。
また、精密ろ過フィルターによって処理される被濾過流体は、固形状成分と当該固形状成分除去用最下流側濾過膜の孔径よりも概ね小さい径のゲル状成分とを含有する流体である限り、フォトレジストに限定されるものではない。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 非対称孔構造を有する結晶性ポリマーからなる単層構造の微孔性膜と、ポリオレフィン濾過層とを積層して組み込む精密ろ過フィルターである。
<2> 微孔性膜を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、ポリオレフィン濾過層を被濾過流体の流れに関して下流側に配置した前記<1>に記載の精密ろ過フィルターである。
<3> 結晶性ポリマーがポリテトラフルオロエチレンである前記<1>から<2>のいずれかに記載の精密ろ過フィルターである。
<4> 微孔性膜が、膜の表面の平均孔径が裏面の平均孔径よりも大きくて、且つ表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化している前記<1>から<3>のいずれかに記載の精密ろ過フィルターである。
<5> 微孔性膜の表面を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、微孔性膜の裏面を被濾過流体の流れに関して下流側に配置した前記<4>に記載の精密ろ過フィルターである。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の精密ろ過フィルターの製造方法であって、未焼成フィルムの裏面を加熱し、微孔性膜の厚み方向に温度勾配を形成させる半焼成工程を含むことを特徴とする精密ろ過フィルターの製造方法である。
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、非対称孔構造を有する結晶性ポリマーからなる微孔性膜を1枚設けるだけで、ゲル成分を含有する被濾過流体から被濾過成分を効果的に除去するので、膜厚を低減して流量及び寿命を向上することができ、もって、大きな設備にも適用することができると共に、カートリッジの交換回数を低減してメンテナンスにかかる費用や時間を節減することができ、さらに、半導体製造工程に用いることにより歩留まりを向上することができる精密ろ過フィルター及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明の精密ろ過フィルターが濾過機能が高くて長寿命であるという特徴を有することから、濾過装置をコンパクトにまとめることができる。従来の濾過装置では、多数の濾過ユニットを並列的に使用して濾過寿命の短さに対処していたが、本発明の精密ろ過フィルターを用いれば並列的に使用する濾過ユニットの数を大幅に減らすことができる。
以下、本発明の精密ろ過フィルター及びその製造方法について説明する。
(精密ろ過フィルター)
前記精密ろ過フィルターは、単層構造の微孔性膜と、ポリオレフィン濾過層とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他のフィルム(膜)を有してなる。
前記精密ろ過フィルターは、微孔性膜を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、ポリオレフィン濾過層を被濾過流体の流れに関して下流側に配置することが望ましく、このとき、微孔性膜において、孔径の大きい方の表面は上流側に配置され、孔径の小さい方の裏面は下流側に配置される。
また、微孔性膜及びポリオレフィン濾過層は、被濾過流体の流れに関して上流側から下流側に向かって孔径が連続的に及び/又は段階的に小さくなるように配置することが好ましい。かかる構成を有する精密ろ過フィルターにおいては、被濾過流体中の固形成分とゲル状成分の同時濾過が可能であり、ろ過時の運転圧力を大きく減じることができる。
さらに、本発明の精密ろ過フィルターは、プリーツカートリッジに加工されても、平膜積層型カートリッジに加工されてもよいが、プリーツ状に加工することが好ましい。プリーツ状に加工することにより、カートリッジあたりのフィルターの濾過に使用する有効表面積を増大させることができるという利点がある。
<微孔性膜>
前記微孔性膜としては、非対称孔構造を有する結晶性ポリマーからなるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性ポリマーがポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
前記微孔性膜は、表面の平均孔径が裏面の平均孔径よりも大きいことを1つの特徴とする。ここでいう平均孔径は、次に示す方法で測定される。すなわち、走査型電子顕微鏡(日立S−4000型、蒸着は日立E1030型)で膜表面の写真(SEM写真、倍率1,000倍〜5,000倍)をとり、得られた写真を画像処理装置(本体名:日本アビオニクス(株)TVイメージプロセッサTVIP−4100II、制御ソフト名:ラトックシステムエンジニアリング(株)TVイメージプロセッサイメージコマンド4198)に取り込んで繊維のみからなる像を得て、その像を演算処理することにより平均孔径が求められる。
前記微孔性膜では、表面と裏面の平均孔径の比(表面/裏面比)が5〜30倍であることが好ましく、10〜25倍であることがより好ましく、15〜20倍であることがさらに好ましい。
なお、本願では、平均孔径が大きい方の面を「表面」と言い、平均孔径が小さい方の面を「裏面」と言っているが、これは本発明の説明をわかりやすくするために便宜的につけた呼称に過ぎない。したがって、後述する製造方法にて使用する結晶性ポリマー未焼成フィルムのいずれの面を半焼成後に「表面」にしても構わない。
前記微孔性膜には、上記の特徴に加えてさらに表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化していることも特徴とする態様(第1の態様)と、上記の特徴に加えてさらに単層構造であることも特徴とする態様(第2の態様)の両方が含まれる。これらの付加的な特徴をさらに加えることによって、濾過寿命を効果的に改善することができる。
第1の態様でいう「表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化している」とは、横軸に表面からの厚さ方向の距離d(表面からの深さに相当)をとり、縦軸に平均孔径Dをとったときに、グラフが1本の連続線で描かれることを意味する。表面(d=0)から裏面(d=膜厚)に至るまでのグラフは傾きが負の領域(dD/dt<0)のみからなるものであってもよいし、傾きが負の領域と傾きがゼロの領域(dD/dt=0)が混在するものであってもよいし、傾きが負の領域と正の領域(dD/dt>0)が混在するものであってもよい。好ましいのは、傾きが負の領域(dD/dt<0)のみからなるものであるか、傾きが負の領域と傾きがゼロの領域(dD/dt=0)が混在するものである。さらに好ましいのは、傾きが負の領域(dD/dt<0)のみからなるものである。
傾きが負の領域の中には少なくとも膜の表面が含まれることが好ましい。傾きが負の領域(dD/dt<0)においては、傾きが常に一定であっても異なっていてもよい。例えば、前記微孔性膜が傾きが負の領域(dD/dt<0)のみからなるものである場合、膜の表面におけるdD/dtよりも膜の裏面におけるdD/dtが大きい態様をとることができる。また、膜の表面から裏面に向かうにしたがって徐々にdD/dtが大きくなる態様(絶対値が小さくなる態様)をとることができる。
第2の態様でいう「単層構造」からは、2以上の層を貼り合わせたり積層したりすることにより形成される複層構造は除外される。すなわち、第2の態様でいう「単層構造」とは、複層構造に存在する層と層の間の境界を有しない構造を意味する。第2の態様では、膜中に、表面の平均孔径よりも小さく且つ裏面の平均孔径よりも大きな平均孔径を有する面が存在することが好ましい。
前記微孔性膜は、第1の態様の特徴と第2の態様の特徴を両方とも兼ね備えているものが好ましい。すなわち、膜の表面の平均孔径が裏面の平均孔径よりも大きくて、表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化しており、且つ、単層構造であるものが好ましい。
このような微孔性膜であれば、表面側から濾過を行ったときに一段と効率よく微粒子を捕捉することができ、濾過寿命も大きく改善することができるとともに、容易かつ安価に製造することもできる。
前記微孔性膜の膜厚は、1〜300μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、10〜80μmであることがさらに好ましい。
特に、前記微孔性膜は、膜面厚みを10とし、表面から深さ方向1の部分における平均孔径をP1とし、9の部分の孔径をP2としたとき、P1/P2が2〜10,000の範囲にあることが好ましく、3〜100の範囲にあることがより好ましい。
前記微孔性膜は、比表面積が大きいため、その表面から導入された微細粒子が最小孔径部分に到達する以前に吸着または付着によって除かれる。したがって、目づまりを起こしにくく、長期間にわたって高い濾過効率を維持することができる。
<<結晶性ポリマー>>
前記結晶性ポリマーとは、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶領域が混在したポリマーを表す。このような樹脂は物理的な処理により、結晶性が発現する。
例えば、ポリエチレンフィルムを外力により延伸すると、始めは透明なフィルムが白濁する現象が認められる。これは外力によりポリマー内の分子配列が一つの方向に揃えられることによって、結晶性が発現したことに由来する。
このような結晶性ポリマーの例としては、ポリアルキレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、液晶性ポリマー等が挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル等を挙げることができる。
中でも、本発明では、その耐薬品性と扱い性の観点から、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレンおよびポリエチレン)、特に、該アルキレン基の水素原子がフッ素原子によって一部または全部が置換されたフッ素系ポリアルキレンが好ましく使用され、特にその中でもポリテトラフルオロエチレンが好ましく使用される。
ポリエチレンの場合、その分岐度により密度が変化することがよく知られている。通常、分岐度が多く、結晶化度が低いものが低密度ポリエチレン(LDPE)、分岐度が少なく、結晶化度の高いものが高密度ポリエチレン(HDPE)と分類されるが、本発明ではその両方とも用いることができる。中でも結晶性コントロールいう観点で、HDPEの方が好ましい。
また、前記結晶性ポリマーは、ガラス転移温度が、40〜400℃であることが好ましく、50〜350℃であることがさらに好ましい。また、前記結晶性ポリマーの重量平均分子量は、1,000〜100,000,000であることが好ましい。さらに、前記結晶性ポリマーの数平均分子量は、500〜50,000,000であることが好ましい。
<<微孔性膜の製造方法>>
次に、前記微孔性膜の製造方法について説明する。以下では、前記微孔性膜の好ましい製造工程を具体的に引用しながら説明を行っているが、前記微孔性膜はこれらの具体的な製造方法により製造されたものに限定されるものではない。
前記微孔性膜を製造するに際しては、まず結晶性ポリマー未焼成フィルムを製造することが好ましい。
結晶性ポリマー未焼成フィルムを製造する際に用いる結晶性ポリマー原料の種類は特に
制限されず、上述した結晶性ポリマーを好ましく用いることができる。特に、ポリエチレンもしくはその水素原子がフッ素原子に置換された結晶性ポリマーが使用され、中でも特にポリテトラフルオロエチレンが好ましく使用される。
原料として使用する結晶性ポリマーは、数平均分子量500〜50,000,000のものが好ましく、1,000〜10,000,000のものがより好ましい。
特に、前記微孔性膜の製造方法では、ポリエチレンが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンは、通常、乳化重合法により製造されたポリテトラフルオロエチレンを用いることができ、好ましくは乳化重合により得られた水性分散体を凝析することにより取得した微粉末状のポリテトラフルオロエチレンを使用する。原料として使用するポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は、通常2,500,000〜10,000,000であり、好ましくは3,000,000〜8,000,000である。ポリテトラフルオロエチレン原料として市場で販売されているポリテトラフルオロエチレン原料を適宜選択して使用してもよい。例えば、ダイキン工業株式会社製「ポリフロン・ファインパウダーF104U」等を好ましく用いることができる。
本発明においては、結晶性ポリマー原料を押出助剤と混合した混合物を作製し、これをペースト押出して圧延することによりフィルムを調製するのが好ましい。押出助剤としては、液状潤滑剤を用いることが好ましく、具体的にはソルベントナフサ、ホワイトオイルなどを例示することができる。押出助剤としては、市場で販売されているエッソ石油社製「アイソパー」などの炭化水素油を用いても構わない。押出助剤は、結晶性ポリマー100質量部に対して、20〜30質量部使用することが好ましい。
ペースト押出しは、通常50〜80℃にて行う。押出し形状は特に制限されないが、通常は棒状にするのが好ましい。押出物は次いで圧延することによりフィルム状にする。圧延は、例えばカレンダーロールにより50m/分の速度でカレンダー掛けすることにより行うことができる。圧延温度は、通常50〜70℃に設定することができる。その後、フィルムを加熱することにより押出助剤を除去して結晶性ポリマー未焼成フィルムとすることが好ましい。このときの加熱温度は用いる結晶性ポリマーの種類に応じて適宜定めることができるが、通常40〜400℃であり、60〜350℃が好ましい。特に、テトラフルオロエチレンを用いる場合、通常150〜280℃、好ましくは200〜255℃に設定する。加熱は、フィルムを熱風乾燥炉に通すなどの方法で行うことができる。このようにして製造される結晶性ポリマー未焼成フィルムの厚さは、最終的に製造しようとしている結晶性ポリマーからなる前記微孔性膜の厚さに応じて適宜調整する。後の工程で延伸を行う場合には、延伸による厚さの減少も考慮して調整することが必要である。
なお、結晶性ポリマー未焼成フィルムの製造に際しては、ポリフロンハンドブック(ダイキン社、1983年改訂版)に記載される事項を適宜採用することができる。
前記微孔性膜の製造方法では、結晶性ポリマー未焼成フィルムを半焼成する。本願において、半焼成とは、結晶性ポリマーをその焼成体の融点以上であり、かつ、その未焼成体の融点+15℃以下の温度で加熱処理することを意味する。本願において結晶性ポリマーの未焼成体とは、焼成の加熱処理をしていないものを意味する。またその融点とは、結晶性ポリマー未焼成体を示差走査熱量計により測定した際に現れる吸熱カーブのピークの温度を意味する。焼成体の融点も未焼成体の融点も結晶性ポリマーの種類や平均分子量等により変化するが、通常、50〜450℃、好ましくは80〜400℃である。
このような温度は、以下のように考えることができる。すなわち、例えば、ポリテトラフルオロエチレンの場合、焼成体の融点が約324℃で未焼成体の融点が約345℃である。従って、半焼成体にするには、ポリテトラフルオロエチレンフィルムの場合、約327〜360℃、好ましくは335〜350℃、例えば345℃の温度に加熱する。半焼成体は、融点約324℃のものと融点約345℃のものが混在している状態である。
半焼成は、未焼成フィルムの表面に熱エネルギーを付与し、フィルムの厚み方向に温度勾配を形成させる方法および/またはフィルムの表面に裏面よりも多くの熱エネルギーが供給される方法で行う。このような条件で半焼成を行うことによって、厚さ方向に非対称に焼成度を制御することができ、本発明の第1の態様に係る結晶性ポリマーからなる微孔性膜を容易に製造することができる。ここでいう焼成度については特開平5−202217号公報の説明を参照することができる。
また、フィルムの厚み方向の温度勾配としては、表面と裏面の温度差が30℃以上、好ましくは50℃以上であることが好ましい。
熱エネルギーの供給については、本発明の工程中、連続的に供給する方法、もしくは何度かに分割して間欠的にエネルギーを供給する方法のいずれも採用することができる。上記半焼成工程の定義上、膜面の表裏で温度に差を生じさせることが必要であるが、この方法として、間欠的にエネルギーを供給することにより裏面の温度上昇を抑えるという方法が利用できる。一方、連続的に加熱する場合、この温度勾配を保持するために、表面の加熱と同時に裏面を冷却するという方法も有効に使用できる。
熱エネルギーの供給方法としては、熱風を吹き付ける方法、熱媒に接触させる方法、加熱した材料に接触させる方法、熱線を照射する方法、マイクロ波等電磁波による加熱など種々の方法が使用できる。この方法として特に制限はされないが、好ましくは、フィルムの表面に加熱物を接触させることにより行う。加熱物としては、加熱ロールを選択することが特に好ましい。加熱ロールであれば、工業的に流れ作業で連続的に半焼成を行うことができ、しかも温度制御や装置のメンテナンスも容易である。加熱ロールの温度は、上記の半焼成体にする際の温度に設定することができる。加熱ロールにフィルムを接触させる時間は、目的とする半焼成が十分に進行するのに必要な時間であり、通常30秒〜120秒であり、好ましくは45秒〜90秒であり、より好ましくは60秒〜80秒である。
逆に裏面を冷却する工程を実施する場合も、冷風を吹き付ける方法、冷媒に接触させる方法、冷却した材料に接触させる方法、放冷による冷却等種々の方法が使用できる。この方法として特に制限はされないが、好ましくは、フィルムの表面に冷却物を接触させることにより行う。冷却物としては、冷却ロールを選択することが特に好ましい。冷却ロールであれば、表面の加熱と同様に、工業的に流れ作業で連続的に半焼成を行うことができ、しかも温度制御や装置のメンテナンスも容易である。冷却ロールの温度は、上記の半焼成体にする際の温度と差を生じさせるように設定することができる。冷却ロールにフィルムを接触させる時間は、目的とする半焼成が十分に進行するのに必要な時間であり、加熱工程と同時進行で行うことを前提とすると、通常30秒〜120秒であり、好ましくは45秒〜90秒であり、より好ましくは60秒〜80秒である。
加熱ならびに冷却ロールの表面材質は、一般に耐久性に優れるステンレス鋼とすることができ、特にSUS316を挙げることができる。本発明の製造方法では、フィルムの表面を加熱ならびに冷却ロールに接触させることが好ましいが、当該加熱ならびに冷却ロールよりも低い温度に設定されたローラーをフィルムの裏面に接触させても構わない。例えば、常温に維持されたローラーをフィルム裏面から圧接させて、フィルムを加熱ロールにフィットさせるようにしてもよい。また、加熱ロールに接触させる前または後において、フィルムの裏面をガイドロールに接触させても構わない。
半焼成したフィルムは、次いで延伸することが好ましい。延伸は、長手方向と幅方向の両方について行うことが好ましい。長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行ってもよいし、同時に二軸延伸を行ってもよい。
長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行う場合は、まず長手方向の延伸を行ってから幅方向の延伸を行うことが好ましい。長手方向の延伸倍率は、通常4倍〜100倍、好ましくは8倍〜90倍、より好ましくは10倍〜80倍である。長手方向の延伸温度は、通常100℃〜300℃、好ましくは200℃〜290℃、より好ましくは250℃〜280℃である。幅方向の延伸倍率は、通常10〜100倍、好ましくは12〜90倍、より好ましくは15〜70倍、特に好ましくは20〜40倍である。幅方向の延伸温度は、通常100℃〜300℃、好ましくは200℃〜290℃、より好ましくは250℃〜280℃である。面積延伸倍率は、通常50倍〜300倍、好ましくは75倍〜280倍、より好ましくは100倍〜260倍である。延伸を行う際には、予め延伸温度以下の温度にフィルムを予備加熱しておいてもよい。
延伸後に、必要に応じて熱固定を行うことができる。熱固定の温度は、通常、延伸温度以上で結晶性ポリマー焼成体の融点未満で行う。
また、熱固定後に、必要に応じて親水化を行うことができる。前記親水化は、例えば、過酸化水素水中に予めエタノールを含浸させた微孔性膜を浸漬し、引き上げた微孔性膜の上方からArFエキシマレーザー光(193nm)を照射することによって行う。
−親水化工程−
前記親水化工程は、延伸後のフィルムを親水化処理する工程である。
前記親水化処理としては、(1)延伸後のフィルムに過酸化水素水または水溶性有機溶剤の水溶液を含浸させた後、紫外線レーザーを照射する処理、(2)化学的エッチング処理、などが挙げられる。
前記(1)の延伸後のフィルムに過酸化水素水または水溶性有機溶剤の水溶液を含浸させた後、紫外線レーザーを照射する処理に使用しうる水溶性有機溶剤としては、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびジエチレングリコールジアルキルエーテル等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセチルおよびアセチルアセトン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキシルアルコール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレンクロロヒドリンおよびグリセリン等)、アルデヒド類(例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等)、アミン類(例えば、トリエチルアミン、ピペリジン等)およびエステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等)等が挙げられる。
これらの中でもケトン類が好ましく、さらにいえばアセトン、メチルエチルケトンが好ましく、中でもアセトンが特に好ましい。結晶性ポリマー微孔性膜に含浸する段階での過酸化水素水または水溶性有機溶剤の濃度は結晶性ポリマー微孔性膜の材質及び細孔の大きさによって若干変動するが、アセトン及びメチルエチルケトンの場合、好ましくは85質量%〜100質量%である。また、紫外レーザー光照射時の結晶性ポリマー微孔性膜内部の過酸化水素水または水溶性有機溶剤の濃度は、使用する紫外レーザー光の波長における吸光度として0.1〜10が好ましい。例えばこれはアセトンの場合、光源としてKrFを使用する場合は、0.05質量%〜5質量%に相当する。吸光度として0.1〜6が好ましく、0.5〜5がより好ましい。この濃度範囲に調整された過酸化水素水または水溶性有機溶剤を含んだ結晶性ポリマー微孔性膜に紫外レーザー光を照射する場合には、従来よりもかなり低い照射量で既に満足すべき親水化効果が得られる。
一般的には、沸点が50℃〜100℃の水溶性有機溶剤を用いる場合には、紫外レーザー照射による親水化処理効率が高く、親水化処理後の溶剤除去も容易であるが、沸点が100℃よりも高い水溶性有機溶剤を用いる場合には、親水化処理後の水溶性有機溶剤除去が困難となる。
水溶性有機溶剤を含浸した結晶性ポリマー微孔性膜に紫外レーザー光を照射して親水化処理するに当たっては、均一で高い親水化処理効果を得るために、水溶性有機溶剤を含浸した結晶性ポリマー微孔性膜に水を含浸させて結晶性ポリマー微孔性膜中の水溶性有機溶剤水溶液の濃度を、使用する紫外レーザー光の波長における吸光度が0.1〜10、好ましくは0.1〜6、特に好ましくは0.5〜5となるように調整する。前記吸光度が0.1よりも低い場合には十分な親水化処理効果が得難くなることがあり、10よりも高くなると、水溶液による光エネルギーの吸収が大きくなり、微孔内部までの十分な親水化処理が困難となることがある。
結晶性ポリマー微孔性膜中の水溶性有機溶剤水溶液の濃度を調整するために水を含浸させる方法としては、同じ水溶性有機溶剤の極く低濃度の水溶液中に浸漬するのが好ましい。
ここで、前記吸光度とは、次式で定義される量を意味する。
吸光度≡log10(I/I)=εcd
ただし、εは水溶性有機溶剤の吸光係数、cは水溶性有機溶剤水溶液の濃度(モル/dm3)、dは透過光路長さ(cm)、Iは溶媒単独の光透過強度、Iはその溶液の光透過強度を表す。本発明で、吸光度がxとなる濃度とは、dが1cmの測定セルで測定した場合に吸光度がxとなるような濃度を意味する。ただし、dが1cmでは透過光量が少なすぎて吸光度の測定が困難であるような高い濃度の場合は、dが0.2cmの測定セルを使用して得られた吸光度を5倍したものを吸光度とした。
前記過酸化水素水または水溶性有機溶剤の水溶液を結晶性ポリマー微孔性膜に含浸させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、浸漬法、噴霧法、塗布法等を結晶性ポリマー微孔性膜の形態や寸法等に応じて適宜採用すればよいが、浸漬法が一般的である。
前記過酸化水素水または水溶性有機溶剤又はその水溶液の含浸温度は、結晶性ポリマー微孔性膜の微孔内への水溶液の拡散速度の観点からは10℃〜40℃が好ましい。含浸温度が10℃よりも低い場合には、微孔内部へ水溶液を十分に拡散させるのに比較的長い時間が必要となり、また、40℃よりも高くなると、水溶性有機溶剤の蒸発速度が高くなり、好ましくない。
前記含浸処理に付した結晶性ポリマー微孔性膜は含浸されている過酸化水素水または水溶性有機溶剤の濃度を上記範囲に調整したのち以下の紫外レーザー光照射処理に付される。
紫外レーザー光としては、波長が190nm〜400nm以下のものが好ましく、アルゴンイオンレーザー光、クリプトンイオンレーザー光、Nレーザー光、色素レーザー光、及びエキシマレーザー光等が例示されるが、エキシマレーザー光が好適である。これらの中でも、高出力が長時間にわたって安定して得られるKrFエキシマレーザー光(波長:248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長:193nm)及びXeClエキシマレーザー光(308nm)が特に好ましい。
前記エキシマレーザー光照射は、通常、室温、大気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。また、エキシマレーザー光の照射条件は、フッ素樹脂の種類及び所望の表面改質の程度によって左右されるが、一般的な照射条件は次の通りである。
・フルエンス:10mJ/cm/パルス以上
・入射エネルギー:0.1J/cm以上
特に好適なKrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、及びXeClエキシマレーザー光の常用される照射条件は次の通りである。
・KrFフルエンス:50〜500mJ/cm/パルス入射エネルギー:0.25〜10.0J/cm
・ArFフルエンス:10〜500mJ/cm/パルス入射エネルギー:0.1〜10.0J/cm
・XeClフルエンス:50〜600mJ/cm/パルス入射エネルギー:3.0〜100J/cm
前記(2)の化学的エッチング処理としては、アルカリ金属を用いて、結晶性ポリマー微孔性膜を構成するフッ素樹脂を変性し、その変性された部分を除去する酸化分解処理が挙げられる。
前記酸化分解処理は、例えば、有機アルカリ金属溶液を用いて行われる。結晶性ポリマー微孔性膜に、有機アルカリ金属溶液により化学的エッチング処理を施すと、表面は変性され親水性が付与されるとともに、褐色化した層(褐色層)が形成される。この褐色層は、フッ化ナトリウム、炭素−炭素二重結合を有するフッ素樹脂の分解物、これらとナフタレン、アントラセンとの重合物等からなるが、これらは、脱落、分解、溶出等により濾過液に混入する場合があるので、除去することが好ましい。これらの除去は、過酸化水素や次亜塩素酸ソーダ、オゾン等による酸化分解によりすることができる。
前記化学的エッチング処理は、有機アルカリ金属溶液等を用いて行うことができるが、具体的には、有機アルカリ金属溶液に結晶性ポリマー微孔性膜を浸漬することにより行うことができる。この場合、結晶性ポリマー微孔性膜の表面側から化学的エッチング処理が行われるので、膜の両表面近傍のみに化学的エッチング処理を施すことも可能である。しかし、膜の保水性をより高めるためには、両表面近傍のみではなく、結晶性ポリマー微孔性膜の内部まで化学的エッチング処理を施すことが好ましい。結晶性ポリマー微孔性膜の内部まで化学的エッチング処理を施しても、分離膜としての機能の低下は小さい。
前記化学的エッチング処理に用いられる有機アルカリ金属溶液としては、例えばメチルリチウム、金属ナトリウム−ナフタレン錯体、金属ナトリウム−アントラセン錯体のテトラヒドロフラン等の有機溶剤溶液、金属ナトリウム−液体アンモニアの溶液等が挙げられる。これらの中でも、ナフタレンを芳香族アニオンラジカルとした金属ナトリウムとの錯体の溶液が一般に広く用いられているが、結晶性ポリマー微孔性膜の内部まで化学的エッチング処理を施こすためには、ベンゾフェノン、アントラセン、ビフェニルを芳香族アニオンラジカルとして用いることが好ましい。
<ポリオレフィン濾過層>
前記ポリオレフィン濾過層は、ポリオレフィン濾過膜によって構成されている。なお、前記ポリオレフィン濾過層を単一のポリオレフィン濾過膜によって構成することもできる。
前記ポリオレフィン濾過膜としては、低分子量から超高分子量までのポリプロピレン、ポリエチレン及びそれらが混合されたポリエチレン等のポリオレフィンから製膜された多孔膜及び/又は微多孔膜が適用でき、このポリオレフィン濾過膜は、結晶性ポリマー微孔性膜よりもゲル状成分を効果的に捕捉する特性を有する。
また、ポリオレフィン濾過膜は、相分離法による薄膜または延伸法よる薄膜が適用でき、孔径を0.1から1.0μmにすることができる。
また、ポリオレフィンを濾過膜素材とするポリオレフィン濾過膜を複数枚積層させてポリオレフィン濾過層を構成し、複数のポリオレフィン濾過膜のうち、少なくとも一対のポリオレフィン濾過膜が、ポリオレフィン濾過膜毎に異なる孔径を有するように構成することができる。このとき、前述の少なくとも一対のポリオレフィン濾過膜のうち、孔径が大きい方のポリオレフィン濾過膜を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、孔径が小さい方のポリオレフィン濾過膜を被濾過流体の流れに関して下流側に配置することが望ましい。
<その他のフィルム(膜)>
前記その他のフィルム(膜)としては、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、被濾過流体の流れに関して、ポリオレフィン濾過層の上流側及び下流側に不織布を配置してもよい。
前記不織布は、被濾過流体の上流側から下流側に向けて、その密度勾配を大きくなるようにしたもの(その空隙率の勾配を小さくしたもの)、その繊維径も細くしたもの、空隙率をある好適な一定の値に保ちながらその繊維径を細くしたものが好適であるが、均一密度でその繊維径を細くしたもの、あるいは、その繊維径を一定としたものも適用できる。
(精密ろ過フィルターの製造方法)
未焼成フィルムの裏面を加熱し、微孔性膜の厚み方向に温度勾配を形成させる半焼成工程を含むものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半焼成フィルムを延伸する延伸工程、延伸したフィルムを熱固定する熱固定工程、熱固定したフィルムを親水化する親水化工程、カートリッジ加工工程等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
数平均分子量が6,200,000のポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(ダイキン工業株式会社製「ポリフロン・ファインパウダーF104U」)100質量部に押出助剤として炭化水素油(エッソ石油社製「アイソパーM」)27質量部を加え、丸棒状にペースト押出しを行い、これを70℃に加熱したカレンダーロールにより50m/分の速度でカレンダー掛けしてポリテトラフルオロエチレンフィルムを得た。このフィルムを250℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を乾燥除去し、平均厚さ100μm、平均幅150mm、比重1.55のポリテトラフルオロエチレン未焼成フィルムを得た。
得られた未焼成フィルムを345℃に加熱したロール(表面材質:SUS316)で1分間焼成し、半焼成フィルムを得た。
得られた半焼成フィルムを250℃にて長手方向に10倍にロール間延伸し、いったん巻き取りロールに巻き取った。その後、フィルムを290℃に予備加熱した後、両端をクリップで挟み250℃で幅方向に20倍延伸した。その後、380℃で熱固定を行った。フィルムの面積延伸倍率は、伸長面積倍率で180倍であった。以上の方法により、ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を製造した。
(カートリッジ加工)
一次側(上流側)に、ポリプロピレン不織布(三井石油化学製シンテックスPK−110)を配置し、前記ポリプロピレン不織布の二次側(下流側)に、前記ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を配置し、前記ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜の二次側(下流側)に、ポリオレフィン濾過層としてのポリエチレン微孔性膜(アクゾノーベル製、孔径0.1μm、厚さ75μm、空隙率61%)を配置し、二次側(下流側)にポリプロピレン不織布(三井石油化学製シンテックスPK−110)を配置して、プリーツ加工して10インチのプリーツカートリッジに組み込んだ。
(比較例1)
カートリッジに組み込むポリテトラフルオロエチレン微孔性膜として、その作製において、ロールを用いた半焼成の代わりに、345℃のオーブンを用い、実施例1と同様にして作製したポリテトラフルオロエチレン微孔性膜、を用いた。
(比較例2)
カートリッジに組み込むポリテトラフルオロエチレン微孔製膜として、2枚(2種)のポリテトラフルオロエチレン微孔製膜を用いた。上流側に配置した第1のポリテトラフルオロエチレン微孔製膜は、平均孔径が5.0μm、膜厚が50μmであり、下流側に配置した第2のポリテトラフルオロエチレン微孔製膜は、平均孔径が0.1μm、膜厚が50μmであった。
(評価)
実施例1と比較例1で、微孔性膜の膜面厚みを10とした場合、表面から深さ方向1の部分における平均孔径をP1とし、9の部分の孔径をP2とした。
各例におけるP1/P2を比較すると実施例1はP1/P2=4.5であった。一方比較例1は片面加熱による半焼成化処理を行ってないためP1/P2=0.95であり、非対称膜ではなかった。また、実施例1と比較例1の最小孔径部位はいずれも孔径0.1μmであった。
(濾過寿命テスト)
被濾過流体である試験液は、フェノール樹脂をトルエンに溶解し、粘度を約15mPa・s(15cP)に調整したものを使用した。
カートリッジ(精密ろ過フィルター)の濾過寿命を評価するために、この試験液を差圧0.1kg/cmで濾過し、目詰まりするまでの濾過量を計測した。その結果、比較例1および比較例2のカートリッジ(精密ろ過フィルター)はそれぞれ50ml/cmおよび70ml/cmで実質的に目づまりを起こしたのに対し、実施例1のカートリッジ(精密ろ過フィルター)は200ml/cmまで濾過が可能であり、実施例1のカートリッジ(精密ろ過フィルター)を用いることによって、濾過寿命が大幅に改善されていることが実証された。
また、濾過後の試験液(濾液)の清浄度を評価するため、濾液を孔径0.05μmのニュークリポアメンブレンで濾過し、一定時間ごとの濾過量を計測したが、実施例1および比較例1〜2のカートリッジ(精密ろ過フィルター)でほとんど差はなく、いずれも清浄なものであった。
さらに同じ試験でカートリッジ(精密ろ過フィルター)の濾過流量を評価するために、初期の流量を評価したところ比較例1および比較例2のカートリッジ(精密ろ過フィルター)ではろれぞれ50ml/cm・分および60ml/cm・分であったのに対し、実施例1のカートリッジ(精密ろ過フィルター)は100ml/cm・分であり、有機溶剤に対する濾過流量が大幅に改善されていることが実証された。
また、本発明の実施例1のカートリッジ(精密ろ過フィルター)では、膜厚が薄く、取り扱いが難しいポリテトラフルオロエチレン微孔性膜の張り合わせの手間がなく、ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を2枚(2種)用いる比較例2のカートリッジ(精密ろ過フィルター)に比べて経済的に作製することができる。

Claims (6)

  1. 非対称孔構造を有し、膜の表面の平均孔径が裏面の平均孔径よりも大きくて、且つ表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化している、結晶性ポリマーであるポリテトラフルオロエチレンからなる単層構造の微孔性膜と、ポリオレフィン濾過層とを積層して組み込む精密ろ過フィルター。
  2. 微孔性膜を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、ポリオレフィン濾過層を被濾過流体の流れに関して下流側に配置した請求項1に記載の精密ろ過フィルター。
  3. 微孔性膜が、親水化されてなる請求項1から2のいずれかに記載の精密ろ過フィルター。
  4. 微孔性膜の膜面厚みを10とし、前記微孔性膜の表面から深さ方向1の部分における平均孔径をP1とし、9の部分の孔径をP2としたとき、P1/P2が3〜100である請求項1から3のいずれかに記載の精密ろ過フィルター。
  5. 微孔性膜の表面を被濾過流体の流れに関して上流側に配置し、微孔性膜の裏面を被濾過流体の流れに関して下流側に配置した請求項1からのいずれかに記載の精密ろ過フィルター。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の精密ろ過フィルターの製造方法であって、未焼成フィルムの裏面を加熱し、微孔性膜の厚み方向に温度勾配を形成させる半焼成工程を含むことを特徴とする精密ろ過フィルターの製造方法。
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