JP2011104516A - 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ - Google Patents
結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011104516A JP2011104516A JP2009261996A JP2009261996A JP2011104516A JP 2011104516 A JP2011104516 A JP 2011104516A JP 2009261996 A JP2009261996 A JP 2009261996A JP 2009261996 A JP2009261996 A JP 2009261996A JP 2011104516 A JP2011104516 A JP 2011104516A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- crystalline polymer
- group
- microporous membrane
- polymer microporous
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Ceased
Links
Landscapes
- Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
Abstract
【解決手段】結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面の少なくとも一部が、ビニル化合物と、少なくとも一つの官能性化合物との反応物により被覆され、前記ビニル化合物が、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有するビニル化合物である結晶性ポリマー微孔性膜である。
【選択図】図5B
Description
これらの微孔性膜は、電子工業用洗浄水、医薬用水、医薬製造工程用水、食品水等の濾過、滅菌に用いられ、近年、その用途及び使用量が拡大しており、粒子捕捉の点から信頼性の高い微孔性膜が注目されている。これらの中でも、結晶性ポリマーによる微孔性膜は耐薬品性に優れており、特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を原料とした微孔性膜は、耐熱性及び耐薬品性に優れているため、その需要の伸びが著しい。
例えば、膜の表面の平均孔径が裏面の平均孔径よりも大きくて、かつ表面から裏面に向けて平均孔径が連続的に変化する結晶性ポリマーの微孔性膜が提案されている(特許文献5参照)。この提案によると、平均孔径が大きい面(表面)をインレット側として濾過を行うことにより、効率良く微粒子を捕捉することができ、濾過寿命を改善することができる。
しかし、非対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜においては、加熱面、非加熱面、及びその内部を有し、それぞれの部位における結晶性ポリマーの結晶化度が異なることから、前記提案の親水化処理方法では、膜全体に対する一律の親水化ができず、親水化処理を行おうとすると、結晶化度に応じた条件ごとに何回かに分けて親水化処理を行う必要があり、効率が悪いものである。また、作製された親水化処理膜の親水性も十分満足できるものではなかった。更に、紫外線レーザー及びArFレーザーを照射して親水化処理する方法では、紫外線レーザー及びArFレーザーの照射により、膜を傷つけることがあり、膜強度を劣化させてしまうという問題もあった。
<1> 結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面の少なくとも一部が、ビニル化合物と、少なくとも一つの官能性化合物との反応物により被覆され、
前記ビニル化合物が、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有するビニル化合物であることを特徴とする結晶性ポリマー微孔性である。
<2> ビニル化合物を重合させてなる前記<1>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<3> ビニル化合物の官能性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<4> 官能性化合物の少なくとも一つは、イオン交換基、キレート基、及びこれらの誘導体基のいずれかを有し、かつ、少なくとも一つは、ビニル化合物との反応性基を有する化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<5> 官能性化合物のビニル化合物との反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である前記<4>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<6> 結晶性ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、及びポリエーテルニトリルから選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<7> 第1の面における平均孔径が、第2の面における平均孔径よりも大きく、かつ前記第1の面から前記第2の面に向かって平均孔径が連続的に変化する複数の孔部を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<8> 露出表面にビニル化合物と官能性化合物との反応物を被覆前の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径d3と、第2の面における平均孔径d4との比(d3/d4)と、
露出表面にビニル化合物と官能性化合物との反応物を被覆後の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd3’と、第2の面における平均孔径d4’との比(d3’/d4’)とが、次式、(d3’/d4’)/(d3/d4)>1、を満たす前記<7>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜である。
<9> 結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面に、少なくとも一つの不飽和性基及び官能性基をそれぞれ有するビニル化合物を付与し、該ビニル化合物を重合させる親水化処理工程と、
前記ビニル化合物の一部に、少なくとも一つの官能性化合物を付加反応させる付加反応処理工程と、
を含むことを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<10> 結晶性ポリマーからなるフィルムの一の面を加熱して、該フィルムの厚み方向に温度勾配を形成した半焼成フィルムを形成する非対称加熱工程と、
前記半焼成フィルムを延伸する延伸工程と、
を更に含む前記<9>に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<11> ビニル化合物の官能性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である前記<9>から<10>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<12> 官能性化合物の少なくとも一つは、イオン交換基、キレート基、及びこれらの誘導体基のいずれかを有し、かつ、少なくとも一つは、ビニル化合物との反応性基を有する化合物である前記<9>から<11>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<13> 官能性化合物のビニル化合物との反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である前記<9>から<12>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<14> 結晶性ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、及びポリエーテルニトリルから選択される少なくとも1種である前記<9>から<13>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<15> 延伸工程が、半焼成フィルムを一軸方向に延伸する前記<9>から<14>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<16> 延伸工程が、半焼成フィルムを二軸方向に延伸する前記<9>から<15>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法である。
<17> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜を有することを特徴とする濾過用フィルタである。
<18> プリーツ状に加工成形される前記<17>に記載の濾過用フィルタである。
<19> 第1の面をフィルタの濾過面とする前記<17>から<18>のいずれかに記載の濾過用フィルタである。
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜は、結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面の少なくとも一部が、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有するビニル化合物と、少なくとも一つの官能性化合物との反応物により被覆されている。
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法は、親水化処理工程と、付加反応処理工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、更に、非対称加熱工程、延伸工程、結晶性ポリマーフィルム作製工程などのその他の工程を含む。
以下、本発明の結晶性ポリマー微孔性膜及び結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法について詳細に説明する。
また、前記結晶性ポリマーからなるフィルムは、結晶性ポリマーからなるフィルムの一方の面を加熱して、該フィルムの厚み方向に温度勾配を形成した半焼成フィルムを延伸したものであることが好ましい。
この場合、前記第1の面における平均孔径よりも平均孔径が小さい側の前記第2の面を加熱面とすることが好ましい。
前記孔部は、第1の面から第2の面への連続孔(両端が開口している)となっている。
以下においては、平均孔径が大きい側の第1の面を「非加熱面」とし、平均孔径が小さい側の第2の面を「加熱面」として説明する。これは本発明の説明をわかりやすくするために便宜的につけた呼称に過ぎない。したがって、未焼成の結晶性ポリマーフィルムのいずれの面を加熱して半焼成後に「加熱面」にしても構わない。
前記「結晶性ポリマー」とは、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶領域が混在したポリマーを意味し、このようなポリマーは物理的な処理により、結晶性が発現する。例えば、ポリエチレンフィルムを外力により延伸すると、始めは透明なフィルムが白濁する現象が認められる。これは外力によりポリマー内の分子配列が一つの方向に揃えられることによって、結晶性が発現したことに由来する。
これらの中でも、耐薬品性や扱い性の観点から、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)が好ましく、ポリアルキレンにおけるアルキレン基の水素原子がフッ素原子によって一部又は全部が置換されたフッ素系ポリアルキレンがより好ましく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。
前記ポリエチレンは、その分岐度により密度が変化し、分岐度が多く、結晶化度が低いものが低密度ポリエチレン(LDPE)、分岐度が少なく、結晶化度の高いものが高密度ポリエチレン(HDPE)と分類され、いずれも用いることができる。これらの中でも、結晶性コントロールの点から、HDPEが特に好ましい。
また、前記結晶性ポリマー微孔性膜は、膜厚みを「10」とし、表面から深さ方向「1」の厚み部分における平均孔径をP1とし、「9」の厚み部分における平均孔径をP2としたとき、P1/P2が2〜10,000が好ましく、3〜100がより好ましい。
また、前記結晶性ポリマー微孔性膜は、非加熱面と加熱面の平均孔径の比(非加熱面/加熱面比)が5倍〜30倍が好ましく、10倍〜25倍がより好ましく、15倍〜20倍が更に好ましい。
ここで、前記露出表面には、結晶性ポリマー微孔性膜の露出している表面以外にも、孔部の周囲、孔部の内部も含まれる。
前記ビニル化合物とは、ビニル基(CH2=CH−)を有する化合物である。
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜において、前記ビニル化合物は、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有する。
これらの中でも、前記ビニル化合物は、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基を有することが官能性化合物との反応性がよく、反応後にできる結合部位の耐酸、耐アルカリ性が高いという点で好ましい。
これらの中でも、アリルグリシジルエーテルは、官能性化合物と付加反応できる点で、スチレンスルホン酸及びビニルスルホン酸は、前記結晶性ポリマー微孔性膜に優れた親水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐薬品性を付与できる点で、好ましい。
ただし、前記ビニル化合物は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド誘導体でないことが好ましい。
前記官能性化合物としては、少なくとも一つがイオン交換基、キレート基、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも1種を有し、かつ、少なくとも一つが前記ビニル化合物との反応性基を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記イオン交換基は、金属イオン等をイオン結合により捕捉する官能基である。
前記イオン交換基としては、金属イオンとイオン結合する官能基である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基等のカチオン交換基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アミノ基、4級アンモニウム塩基等のアニオン交換基などが挙げられる。
前記キレート基は、金属イオン等をキレート(配位)結合により捕捉する官能基である。
前記キレート基としては、金属イオンとキレート(配位)結合する官能基である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニトリロトリ酢酸誘導体(NTA)基、イミノジ酢酸基、イミノジエタノール基、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ポルフィリン骨格、フタロシアニン骨格、環状エーテル、環状アミン、フェノール及びリジン誘導体、フェナンスロリン基、テルピリジン基、ビピリジン基、トリエチレンテトラアミン基、ジエチレントリアミン基、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン基、ジエチレントリアミンペンタ酢酸基、ポリピラゾリルホウ酸基、1,4,7−トリアゾシクロノナン基、ジメチルグリオキシム基、ジフェニルグリオキシム基等の多座配位子などが挙げられる。
前記多官能性カルボン酸含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノカルボン酸、ポリカルボン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルカリ金属−アルカリ土類金属混合塩などが挙げられる。
前記キレート基を有する化合物の具体例としては、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ビスヒドロキシエチルグリシン、アミノカルボキシペンチルイミノジ酢酸(株式会社同仁化学研究所製)などが挙げられる。
前記ビニル化合物との反応性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、カルボキシル基、若しくはこれらの誘導体基などが挙げられる。これらの中でも、前記反応性基は、アミノ基、ヒドロキシル基、若しくはこれらの誘導体基が好ましい。
前記気孔率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60%以上が好ましく、60%〜95%がより好ましい。前記気孔率が60%未満であると、親水性が低くなり、前記結晶性ポリマー微孔性膜において所望の透過流量を得ることができないことがあり、95%を超えると、前記結晶性ポリマー微孔性膜の強度が落ちることがある。
結晶性ポリマー微孔性膜の気孔率が低いほど、前記ビニル化合物と、前記官能性化合物との反応物の被覆率が少なく、逆に、気孔率が高くなるほど、被覆率が多くなるが、その範囲は、下記式(1)及び下記式(2)で規定される範囲内にあればよい。
前記被覆率が、下記式(1)及び下記式(2)で規定される範囲より少ないと、親水性が高く、濾過寿命の長い結晶性ポリマー微孔性膜を得ることができないことがあり、前記範囲より大きいと、目詰まりを起こすことがある。
(C/5)−11.5≦D≦(C/5)−9.5 ・・・式(1)
D=(前記ビニル化合物と、前記官能性化合物との反応物の塗布重量/結晶性ポリマー微孔性膜重量)×100 ・・・式(2)
(前記式(1)中、「C」は、結晶性ポリマー微孔性膜の気孔率(%)を表す。)
また、前記結晶性ポリマー微孔性膜を溶媒に抽出することができない場合には、膜ごと細かく切り刻み、KBrとまぶした状態で、IRにより測定及び解析を行うこと、及び超臨界メタノールを用いて、ポリマーを分解しつつ、そのコンポーネントをMASS、NMR、IR、熱分解ガスクロマトグラフィー等で測定及び解析することで確認することができる。
このことは、以下に示す関係を満たすことからも明らかである。
図5Aに示すように、露出表面に前記ビニル化合物と、前記官能性化合物との反応物を被覆させてなるポリマーを被覆前の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径d3と、第2の面における平均孔径d4との比(d3/d4)と、
図5Bに示すように、露出表面に前記ビニル化合物及び前記官能性化合物を被覆させてなるポリマーを被覆後(親水化処理後)の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd3’と、第2の面における平均孔径d4’との比(d3’/d4’)とが、次式、(d3’/d4’)/(d3/d4)>1、を満たすことが好ましく、(d3’/d4’)/(d3/d4)>1.005がより好ましく、(d3’/d4’)/(d3/d4)>1.01が更に好ましい。前記(d3’/d4’)/(d3/d4)が1以下であると、粒子の目詰まり等により、寿命が極端に短くなることがある。
結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面の少なくとも一部に前記ビニル化合物と、前記官能性化合物との反応物を被覆する際、前記ビニル化合物及び前記官能性化合物は、親水性組成物として付与されてもよい。
前記親水性組成物は、少なくとも前記ビニル化合物を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記官能性化合物は、前記ビニル化合物と同時に付与してもよく、前記結晶性ポリマー微孔性膜を前記ビニル化合物で被覆した後に付与してもよい。
前記親水性組成物における前記ビニル化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.02質量%〜17.5質量%がより好ましく、0.03質量%〜15質量%が特に好ましい。
0.01質量%未満であると、前記結晶性ポリマーの微孔性膜全体を親水化することができないことがあり、20質量%を超えると、前記結晶性ポリマーの微孔性膜の孔部を塞いでしまい、透過流量を低下させることがある。
前記親水性組成物における前記官能性化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.001質量%〜20質量%が好ましく、0.002質量%〜15質量%であることがより好ましく、0.003質量%〜10質量%であることが特に好ましい。該含有量が0.001質量%未満であると、効率的にイオン捕捉ができないことがあり、20質量%を超えると、前記結晶性ポリマーの微孔性膜の孔部を塞いでしまい、透過流量を低下させることがある。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤、光増感剤、酸化防止剤、溶剤などが挙げられる。
前記親水性組成物における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記結晶性ポリマー微孔性膜は、前記ビニル化合物が重合されてなることが好ましく、前記重合が光重合により行われる場合、前記光重合に用いられる光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,3α−アミノアルキルフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ベンジルジメチルケタール、アシルフォスフィンオキサイド系誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの光開始剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線などの活性エネルギー線の照射によって、重合を開始するものである。
前記重合が熱重合により行われる場合、前記熱重合に用いられる熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、三新化学工業株式会社から市販されているSIシリーズ(例えばSI−100等)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結晶性ポリマー微孔性膜に前記ビニル化合物と、前記官能性化合物との反応物を被覆させる際、前記光増感剤を併用することにより、反応性が向上し、硬化物の機械強度や接着強度を向上させることができる。
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販品として、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、イルガノックス1010、イルガノックス1035FF、イルガノックス565などが挙げられる。
前記親水性組成物に用いる溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法は、親水化処理工程と、付加反応処理工程と、を少なくとも含み、必要に応じて、更に、非対称加熱工程、延伸工程、結晶性ポリマーフィルム作製工程などのその他の工程を含む。
結晶性ポリマーからなる未焼成の結晶性フィルムを製造する際に用いる結晶性ポリマー原料の種類としては、特に制限はなく、上述した結晶性ポリマーを好ましく用いることができる。これらの中でも、ポリエチレン又はその水素原子がフッ素原子に置換された結晶性ポリマーが使用され、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。
原料として使用する結晶性ポリマーは、数平均分子量500〜50,000,000のものが好ましく、1,000〜10,000,000のものがより好ましい。
原料として使用する結晶性ポリマーとしては、ポリエチレンが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いることができる。ポリテトラフルオロエチレンは、通常、乳化重合法により製造されたポリテトラフルオロエチレンを用いることができ、好ましくは乳化重合により得られた水性分散体を凝析することにより取得した微粉末状のポリテトラフルオロエチレンを使用する。
原料として使用するポリテトラフルオロエチレンの数平均分子量は、2,500,000〜10,000,000が好ましく、3,000,000〜8,000,000がより好ましい。
前記ポリテトラフルオロエチレン原料としては、特に制限はなく、市場で販売されているポリテトラフルオロエチレン原料を適宜選択して使用してもよい。例えば、ポリフロン・ファインパウダーF104U(ダイキン工業株式会社製)などが好適に挙げられる。
なお、結晶性ポリマー未焼成フィルムの製造に際しては、「ポリフロンハンドブック」(ダイキン工業株式会社発行、1983年改訂版)に記載されている事項を適宜採用することができる。
前記非対称加熱工程は、結晶性ポリマーからなるフィルムの一の面を加熱して、該フィルムの厚み方向に温度勾配を形成した半焼成フィルムを形成する工程である。
ここで、前記半焼成とは、結晶性ポリマーをその焼成体の融点以上であり、かつ、その未焼成体の融点+15℃以下の温度で加熱処理することを意味する。
また、本発明において、結晶性ポリマーの未焼成体とは、焼成の加熱処理をしていないものを意味する。また、結晶性ポリマーの融点とは、結晶性ポリマー未焼成体を示差走査熱量計により測定した際に現れる吸熱カーブのピークの温度を意味する。前記焼成体の融点及び未焼成体の融点は、結晶性ポリマーの種類や平均分子量などにより変化するが、50℃〜450℃が好ましく、80℃〜400℃がより好ましい。
このような温度は、以下のように考えることができる。例えば、結晶性ポリマーがポリテトラフルオロエチレンである場合には、焼成体の融点が約324℃で未焼成体の融点が約345℃である。したがって、半焼成体にするには、ポリテトラフルオロエチレンフィルムの場合、327℃〜360℃が好ましく、335℃〜350℃がより好ましく、例えば、345℃の温度に加熱する。半焼成体は、融点約324℃のものと、融点約345℃のものとが混在している状態である。
また、結晶性ポリマーからなるフィルムの厚み方向の温度勾配としては、非加熱面と加熱面の温度差は、30℃以上が好ましく、50℃以上であることがより好ましい。
前記加熱方法としては、特に制限はされないが、フィルムの表面に加熱物を接触させる方法、赤外線照射する方法が特に好ましい。加熱物としては、加熱ロールを選択することが特に好ましい。加熱ロールであれば、工業的に流れ作業で連続的に半焼成を行うことができ、しかも温度制御や装置のメンテナンスも容易である。加熱ロールの温度は、上記の半焼成体にする際の温度に設定することができる。加熱ロールにフィルムを接触させる時間は、目的とする半焼成が十分に進行するのに必要な時間であり、30秒間〜120秒間が好ましく、45秒間〜90秒間がより好ましく、60秒間〜80秒間が更に好ましい。
前記赤外線の一般的な定義は、「実用遠赤外線」(人間と歴史社、1992年発行)を参考にすることができる。本発明において、前記赤外線とは、波長が0.74μm〜1,000μmの電磁波を意味し、そのうち波長が0.74μm〜3μmの範囲を近赤外線とし、波長が3μm〜1,000μmの範囲を遠赤外線とする。
前記赤外線の装置の種類としては、目的の波長の赤外線が照射できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に、近赤外線は電球(ハロゲンランプ)、遠赤外線はセラミック、石英、金属酸化面などの発熱体を用いることができる。
また、赤外線照射であれば、工業的に流れ作業で連続的に半焼成を行うことができ、しかも温度制御や装置のメンテナンスも容易である。また非接触であるため、クリーン、かつ毛羽立ちのような欠陥が生じることがない。
前記赤外線照射によるフィルム表面温度は、赤外線照射装置の出力、赤外線照射装置とフィルム表面の距離、照射時間(搬送速度)、雰囲気温度で制御でき、上記の半焼成体にする際の温度に設定することができるが、327℃〜380℃が好ましく、335℃〜360℃がより好ましい。前記表面温度が、327℃未満であると、結晶状態が変化せず、孔径制御ができなくなることがあり、380℃を超えると、フィルム全体が溶融することにより過度に形状が変形したり、結晶性ポリマーの熱分解が生じたりすることがある。
前記赤外線の照射時間は、特に制限はなく、目的とする半焼成が十分に進行するのに必要な時間であり、30秒間〜120秒間が好ましく、45秒間〜90秒間がより好ましく、60秒間〜80秒間が更に好ましい。
連続的にフィルムの加熱面を加熱する場合には、フィルムの加熱面と、非加熱面とで温度勾配を保持するため、加熱面の加熱と同時に非加熱面を冷却することが好ましい。
前記非加熱面を冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、冷風を吹き付ける方法、冷媒に接触させる方法、冷却した材料に接触させる方法、放冷による冷却等の種々の方法が使用でき、好ましくは、フィルムの非加熱面に冷却物を接触させることにより行う。冷却物としては、冷却物としては、冷却ロールを選択することが特に好ましい。冷却ロールであれば、加熱面の加熱と同様に、工業的に流れ作業で連続的に半焼成を行うことができ、しかも温度制御や装置のメンテナンスも容易である。冷却ロールの温度は、上記の半焼成体にする際の温度と差を生じさせるように設定することができる。冷却ロールにフィルムを接触させる時間は、目的とする半焼成が十分に進行するのに必要な時間であり、加熱工程と同時進行で行うことを前提とすると、通常30秒間〜120秒間であるが、45秒間〜90秒間が好ましく、60秒間〜80秒間がより好ましい。
加熱ロール及び冷却ロールの表面材質は、一般に耐久性に優れるステンレス鋼とすることができ、特にSUS316を挙げることができる。本発明の製造方法では、フィルムの非加熱面を加熱及び冷却ロールに接触させることが好ましいが、該加熱及び冷却ロールよりも低い温度に設定されたローラーをフィルムの加熱面に接触させても構わない。例えば、常温に維持されたローラーをフィルム加熱面から圧接させて、フィルムを加熱ロールにフィットさせるようにしてもよい。また、加熱ロールに接触させる前又は後において、フィルムの加熱面をガイドロールに接触させても構わない。
また、前記非対称加熱工程を間欠的に行う場合にも、フィルムの加熱面を間欠的に加熱及び非加熱面を冷却して、非加熱面の温度上昇を抑制することが好ましい。
半焼成したフィルムは、次いで延伸することが好ましい。延伸は、長手方向と幅方向の両方について行うことが好ましい。長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行ってもよいし、同時に二軸延伸を行ってもよい。
長手方向と幅方向について、それぞれ逐次延伸を行う場合には、まず、長手方向の延伸を行ってから幅方向の延伸を行うことが好ましい。
前記長手方向の延伸倍率は、4倍〜100倍が好ましく、8倍〜90倍がより好ましく、10倍〜80倍が更に好ましい。長手方向の延伸温度は、100℃〜300℃が好ましく、200℃〜290℃がより好ましく、250℃〜280℃が特に好ましい。
前記幅方向の延伸倍率は、10倍〜100倍が好ましく、12倍〜90倍がより好ましく、15倍〜70倍が更に好ましく、20倍〜40倍が特に好ましい。幅方向の延伸温度は、100℃〜300℃が好ましく、200℃〜290℃がより好ましく、250℃〜280℃が特に好ましい。
面積延伸倍率は、50倍〜300倍が好ましく、75倍〜280倍がより好ましく、100倍〜260倍が更に好ましい。延伸を行う際には、予め延伸温度以下の温度にフィルムを予備加熱しておいてもよい。
前記親水化処理工程は、フィルムの露出表面に、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有するビニル化合物を付与し、前記延伸後のフィルムの露出表面を被覆する工程である。前記ビニル化合物は、少なくとも前記ビニル化合物を含む前記親水性組成物として付与されることが好ましい。
前記親水化処理工程を含む結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法によれば、紫外線レーザー、ArFレーザーの照射処理、化学エッチング処理などを行うことなく親水化処理することができ、効率的に親水性の前記結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができ、かつ親水性、濾過流量、及び濾過寿命に優れた結晶性ポリマー微孔性膜を製造することができる。
前記少なくともビニル化合物を含む親水性組成物が、前記熱重合開始剤を含有する場合には、加熱処理により、前記親水性組成物を重合させて、フィルムの露出表面にポリマーが被覆される。
前記加熱処理における時間としては、1分間〜120分間が好ましく、1分間〜100分間がより好ましく、1分間〜80分間が特に好ましい。
前記紫外線照射処理の照度条件としては、1.0×102mJ/cm2〜1.0×105mJ/cm2が好ましく、5.0×102mJ/cm2〜5.0×104mJ/cm2がより好ましい。
前記付加反応工程は、前記ビニル化合物の一部に、前記官能性化合物を付加反応させる工程である。
前記加熱処理における時間としては、0.5分間〜300分間が好ましく、0.75分間〜200分間がより好ましく、1分間〜100分間が特に好ましい。
結晶性ポリマー微孔性膜の孔壁面に前記ビニル化合物を被覆させ、重合させることで固定化するため、前記官能性化合物が、前記ビニル化合物が有する不飽和性基及び官能性基の少なくともいずれかに付加反応することにより、非共有結合状態で、結晶性ポリマー微孔性膜に固定される。
また、官能性化合物が結晶性ポリマー微孔性膜に固定されたことは、例えば、特開2005−131482に記載の逆滴定法などにより、確認することができる。
本発明の濾過用フィルタは、本発明の前記結晶性ポリマー微孔性膜を有することを特徴とする。
本発明の結晶性ポリマー微孔性膜を濾過用フィルタとして用いるときは、その非加熱面(平均孔径が大きい面)をインレット側として濾過を行う。即ち、ポアサイズの大きな表面側をフィルタの濾過面に使用する。このように、平均孔径が大きい面(非加熱面)をインレット側として濾過を行うことにより、効率良く微粒子を捕捉することができる。
また、本発明の結晶性ポリマー微孔性膜は比表面積が大きいため、その表面から導入された微細粒子が最小孔径部分に到達する以前に吸着又は付着によって除かれる。したがって、目詰まりを起こしにくく、長期間にわたって高い濾過効率を維持することができる。
本発明の濾過用フィルタの形状としては、ろ過膜をひだ折りするプリーツ型、ろ過膜をのり巻き状にするスパイラル型、円板状のろ過膜を積層させるフレーム・アンド・プレート型、ろ過膜を管状にするチューブ型などがある。これらの中でも、カートリッジあたりのフィルタのろ過に使用する有効表面積を増大させることができる点から、プリーツ型が特に好ましい。
また、劣化したろ過膜を取り換える際にフィルターエレメントのみを取り換えるエレメント交換式フィルターカートリッジと、フィルターエレメントをろ過ハウジングと一体に加工しハウジングごと使い捨てのタイプにしたカプセル式のフィルターカートリッジとに分類される。
図2はカプセル式フィルターカートリッジのハウジングに組込まれる前の精密ろ過膜フィルターエレメントの全体構造を示す展開図である。精密ろ過膜2は2枚のサポート1、3によってサンドイッチされた状態でひだ折りされ、集液口を多数有するフィルターエレメントコア7の廻りに巻き付けられている。その外側にはフィルターエレメントカバー6があり、精密ろ過膜を保護している。円筒の両端には上部エンドプレート4、下部エンドプレート5により、精密ろ過膜がシールされている。
図3は、フィルターエレメントがハウジングに組込まれて一体化されたカプセル式のプリーツフィルターカートリッジの構造を示す。フィルターエレメント10はハウジングベースとハウジングカバーよりなるハウジング内に組込まれている。下部エンドプレートはOリング8を介してハウジングベース中心部にある集水管(不図示)にシールされている。液体は液入口ノズルからハウジング内に入り、フィルターメディア9を通過し、フィルターエレメントコア7の集液口から集められ、液出口ノズル14から排出される。ハウジングベースとハウジングカバーは通常溶着部17で液密に熱融着される。
<結晶性ポリマー微孔性膜(1)の作製>
−半焼成フィルムの作製−
数平均分子量が620万のポリテトラフルオロエチレンファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、「ポリフロン・ファインパウダーF104U」)100質量部に、押出助剤として炭化水素油(エッソ石油株式会社製、「アイソパー」)27質量部を加え、丸棒状にペースト押出しを行った。これを、70℃に加熱したカレンダーロールにより50m/分間の速度でカレンダー掛けして、ポリテトラフルオロエチレンフィルムを作製した。
次に、得られたポリテトラフルオロエチレンフィルムを250℃の熱風乾燥炉に通して押出助剤を乾燥除去し、平均厚み100μm、平均幅150mm、比重1.55のポリテトラフルオロエチレン未焼成フィルムを作製した。
次に、得られたポリテトラフルオロエチレン未焼成フィルムの一の面(加熱面)を345℃に加熱したロール(表面材質:SUS316)で1分間加熱して、半焼成フィルムを作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)5.0質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.1質量%を含むメタノール溶液に、前記延伸フィルムを10分間浸漬し、引き上げた延伸フィルムを、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥させ、続いて、1質量%ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(同仁化学株式会社製)水溶液に浸漬させ、引き上げた延伸フィルムを、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(1)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(2)の作製−
実施例1において、親水化処理を下記の親水化処理に代えた以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(2)を作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)5.0質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.1質量%を含むメタノール溶液に、ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜(ジャパンゴアテックス社製:対称膜)を10分間浸漬し、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、引き上げた延伸フィルムを、洗浄を行い、乾燥させ、続いて、1質量%ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(同仁化学株式会社製)水溶液に浸漬させ、引き上げたポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(2)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(3)の作製−
実施例1において、親水化処理を下記の親水化処理に代えた以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(3)を作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)0.5質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.01質量%を含むメタノール溶液に、前記延伸フィルムを10分間浸漬し、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、引き上げた延伸フィルムを、洗浄を行い、乾燥させ、続いて、3質量%ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(同仁化学株式会社製)水溶液に浸漬させ、引き上げたポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(3)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(4)の作製−
実施例1において、親水化処理を下記の親水化処理に代えた以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(4)を作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)3.0質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.03質量%を含むメタノール溶液に、前記延伸フィルムを10分間浸漬し、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、引き上げた延伸フィルムを、洗浄を行い、乾燥させ、続いて、10質量%ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(同仁化学株式会社製)水溶液に浸漬させ、引き上げたポリテトラフルオロエチレン微孔性膜を、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(4)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(5)の作製−
実施例1において、親水化処理を行わない以外は、実施例1と同様にして、ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(5)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(6)の作製−
実施例2において、親水化処理を行わない以外は、実施例2と同様にして、ポリテトラフルオロエチレンの対称孔膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(6)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(7)の作製−
実施例1において、親水化処理を下記の親水化処理に代えた以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(7)を作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)5.0質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.1質量%を含むメタノール溶液に、前記延伸フィルムを10分間浸漬し、引き上げた該微孔性膜を、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、引き上げた延伸フィルムを、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(7)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(8)の作製−
実施例2において、親水化処理を下記の親水化処理に代えた以外は、実施例2と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(8)を作製した。
アリルグリシジルエーテル(TCI社製)5.0質量%及び光重合開始剤としてのIrgacure907(チバ・ジャパン株式会社製)0.1質量%を含むメタノール溶液に、ポリテトラフルオロエチレン微孔性膜(ジャパンゴアテックス社製:対称膜)を10分間浸漬し、引き上げた該微孔性膜を、UV硬化(照射強度40mW/cm2にて90秒間)処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、引き上げた該微孔性膜を、大気下にて150℃で10分間アニール処理を行った。その後、メタノールで30分間浸漬し、洗浄を行い、乾燥した。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(8)を作製した。
−結晶性ポリマー微孔性膜(9)の製造−
実施例1における親水化処理に代えて下記の親水化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(9)を作製した。
濃度0.03質量%の過酸化水素水中に、予めエタノールを含浸させた前記延伸フィルムを浸漬し(液温:40℃)、20時間後に引き上げた該微孔性膜の上方から、フルエンス25mJ/cm2/パルス、照射量10J/cm2の条件下で、ArFエキシマレーザー光(193nm)を照射して、過酸化水素水による親水化処理を行った。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(9)を製造した。
−結晶性ポリマー微孔性膜の製造(10)−
実施例1における親水化処理に代えて下記の親水化処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、親水性ポリテトラフルオロエチレンの非対称孔を有する膜からなる、結晶性ポリマー微孔性膜(10)を作製した。
濃度0.179質量%のメチルエチルケトン水溶液中に、予めエタノールを含浸させた前記延伸フィルムを浸漬し(液温:40℃)、20時間後に引き上げた該微孔性膜の上方から、フルエンス25mJ/cm2/パルス、照射量10J/cm2の条件下で、ArFエキシマレーザー光(193nm)を照射して、過酸化水素水による親水化処理を行った。以上により、結晶性ポリマー微孔性膜(10)を製造した。
実施例1〜4及び比較例1〜6における各結晶性ポリマー微孔性膜を該結晶性ポリマー微孔性膜の長手方向に沿って裁断し、該結晶性ポリマー微孔性膜の厚み方向における裁断面を、走査型電子顕微鏡(日立S−4000型、蒸着は日立E1030型、いずれも株式会社日立製作所製)で膜表面の写真(SEM写真、倍率1,000倍〜5,000倍)を撮り、得られた写真を画像処理装置(本体名:日本アビオニクス株式会社製、TVイメージプロセッサTVIP−4100II、制御ソフト名:ラトックシステムエンジニアリング株式会社製、TVイメージプロセッサイメージコマンド4198)に取り込んで結晶性ポリマー繊維のみからなる像を得た。得られた像について100個の孔径を測定し、演算処理することにより、平均孔径を求めた。
図4Aは、実施例2における、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆する前(親水化処理前)の対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の裁断面を模式的に示す図である。
この図4Aにおける、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆する前(親水化処理前)の対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd1とし、第2の面における平均孔径をd2としたとき、観察したSEM像におけるd1とd2との比(d1/d2)は、1.0であった。
図4Bは、実施例2における、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆した後(親水化処理後)の対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の裁断面を模式的に示す図である。
この図4Bにおける、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆した後(親水化処理後)の対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd1’とし、第2の面における平均孔径をd2’としたとき、観察したSEM像におけるd1’とd2’との比(d1’/d2’)は、1.0であった。
したがって実施例2における(d1’/d2’)/(d1/d2)は、1.0であった。このように非対称加熱処理を行っていない実施例2の対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜では、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物の被覆(親水化処理)前後での比(d1/d2)と比(d1’/d2’)とに変化がないことが分かった。
この図5Aにおける、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆する前(親水化処理前)の非対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd3とし、第2の面における平均孔径をd4としたとき、観察したSEM像におけるd3とd4との比(d3/d4)は、15であった。
図5Bは、実施例1におけるビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆した後(親水化処理後)の非対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の裁断面を模式的に示す図である。
この図5Bにおける、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆した後(親水化処理後)の非対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd3’とし、第2の面における平均孔径をd4’としたとき、観察したSEM像におけるd3’とd4’との比(d3’/d4’)は、15.9あった。
したがって実施例1における(d3’/d4’)/(d3/d4)は、1.06であった。
この結果は、SEM像観察前の予想に反し、結晶性ポリマー微孔性膜50の平均孔径が第1の面から第2の面に向かって平均孔径が連続的に変化することに加え、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を用いた親水化処理後における親水性の被覆部55の厚みが、第1の面から第2の面に向かって厚みが更に減少する方向に連続的に変化することに基づくものである。これは、結晶性ポリマー性微孔膜の第2の面(加熱面)側の緻密部分にいくほど、ビニル化合物と、官能性化合物との反応物を被覆させてなる結晶性ポリマーを、第1の面(非加熱面)側の粗濾過部分よりも厚く付着させることができ、第1の面から第2の面に向かって平均粒径が連続的に変化する程度が大きい、顕著な非対称構造を形成できるためであると考えられる。
このような結果から、実施例1における結晶性ポリマー微孔性膜においては、親水性に優れることに加え、第1の面における平均孔径と、第2の面における平均孔径との比を大きくとることができるので、目詰まりまでの濾過寿命(濾過流量)を大幅に改善できることが明らかになった。
同様に、実施例4では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=16.5となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.1であった。
同様に、比較例1では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=15となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.0であった。
同様に、比較例2では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=15となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.0であった。
同様に、比較例3では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=15.6となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.04であった。
同様に、比較例4では、d1/d2=1.0の対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=1.0となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.0であった。
同様に、比較例5では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=15となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.0であった。
同様に、比較例6では、d1/d2=15の非対称孔を有する膜に対して、親水化処理後、d1’/d2’=15となり、(d1’/d2’)/(d1/d2)=1.0であった。
これらの結果を表1にまとめて示す。
次に、作製した実施例1〜4及び比較例1〜6の各結晶性ポリマー微孔性膜について、親水性を評価した。
各結晶性ポリマー微孔性膜の親水性は、特許第3075421号公報を参考にして評価した。具体的には、以下のようにして評価した。
初期親水性は、高さ5cmのところから水滴をサンプル表面に落し、水滴が吸収されるかどうかについて、下記基準で評価した。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
A:即時に吸収した
B:自然に吸収した
C:加圧してのみ吸収あるいは、吸収されないが接触角は減少した
D:吸収されない。即ち、水を撥ねる。このD評価は、多孔性フッ素樹脂材料に特有である
実施例1〜4及び比較例1〜6の各結晶性ポリマー微孔性膜について、濾過テストを行った。まず、ポリスチレンラテックス(平均粒子サイズ1.5μm)を0.01質量%含有する水溶液を、差圧10kPaとして、濾過し、目詰まるまでの透過量を表1に示す。
これより、実施例1〜4の結晶性ポリマー微孔性膜は、イソプロパノールによるプレ親水化処理が不要で、かつ90mL/cm2以上濾過が可能であり、本発明の結晶性ポリマー微孔性膜を用いることにより濾過寿命が大幅に改善されることがわかった。
実施例1〜4及び比較例1〜6の結晶性ポリマー微孔性膜に対し、200mLの水を100kPaの圧力条件下で通す過程を5回繰り返した。乾燥は、1回通すごとに行った。
耐水性の評価は、以上の過程を経た実施例1〜4及び比較例1〜6における結晶性ポリマー微孔性膜に対し、前記親水性の評価における判断基準(A〜D)に基づき評価することで行った。結果を表2に示す。
耐酸性の評価は、実施例1〜4及び比較例1〜6の各結晶性ポリマー微孔性膜を、1N塩酸水溶液に80℃の温度条件下で5時間浸漬させた後、前記親水性の評価における判断基準(A〜D)に基づき評価することで行った。結果を表2に示す。
耐アルカリ性の評価は、実施例1〜4及び比較例1〜6の各結晶性ポリマー微孔性膜を、1N水酸化ナトリウム水溶液に80℃の温度条件下で5時間浸漬させた後、前記親水性の評価における判断基準(A〜D)に基づき評価することで行った。結果を表2に示す。
耐薬品性の評価は、実施例1〜4及び比較例1〜6の各結晶性ポリマー微孔性膜を、メタノールに1時間浸漬させた後、前記親水性の評価における判断基準(A〜D)に基づき評価することで行った。結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例1〜4は、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、及び耐薬品性に優れることがわかった。これに対し、比較例1〜2は、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、及び耐薬品性がなく、測定不能であった。比較例3〜4は、酸又はアルカリによりエポキシ基が開環し、ヒドロキシル基が露出されるため、比較例1〜2と比べて若干親水性が高くなり、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、及び耐薬品性が向上したものの、実施例1〜4と比較して劣るものであった。また、従来の親水化処理方法である比較例5〜6も、実施例1〜4と比較して劣るものであった。
−フィルターカートリッジ化−
ポリプロピレン不織布2枚の間に、実施例1で作製した結晶性ポリマー微孔性膜を挟んで、ひだ幅10.5mmにプリーツし、その138山分のひだをとって円筒状に丸め、その合わせ目をインパルスシーラーで溶着した。円筒の両端2mmずつを切り落とし、その切断面をポリプロピレン性のエンドプレートに熱溶着してエレメント交換式のフィルターカートリッジに仕上げた。
作製した本発明のフィルターカートリッジは、内蔵する結晶性ポリマー微孔性膜が親水性であるため、水系の処理において煩雑なプレ親水化処理が不要である。また、結晶性ポリマーを用いているため耐溶剤性に優れる。更に孔部が非対称構造を有するため、大流量かつ目詰まりを起こしにくく長寿命であった。
2 精密ろ過膜
3 二次側サポート
4 上部エンドプレート
5 下部エンドプレート
6 フィルターエレメントカバー
7 フィルターエレメントコア
8 Oリング
9 フィルターメディア
10 フィルターエレメント
11 ハウジングカバー
12 ハウジングベース
13 液入口ノズル
14 液出口ノズル
15 エアーベント
16 ドレン
17 溶着部
40 対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜
45、55 ビニル化合物と官能性化合物との反応物による被覆部
50 非対称孔を有する結晶性ポリマー微孔性膜
101 外周カバー
102 膜サポート
103 精密ろ過膜
104 膜サポート
105 コアー
106a、106b エンドプレート
107 ガスケット
108 液体出口
Claims (17)
- 結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面の少なくとも一部が、ビニル化合物と、少なくとも一つの官能性化合物との反応物により被覆され、
前記ビニル化合物が、少なくとも一つの不飽和性基を有し、かつ、少なくとも一つの官能性基を有するビニル化合物であることを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜。 - ビニル化合物を重合させてなる請求項1に記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- ビニル化合物の官能性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である請求項1から2のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- 官能性化合物の少なくとも一つは、イオン交換基、キレート基、及びこれらの誘導体基のいずれかを有し、かつ、少なくとも一つは、ビニル化合物との反応性基を有する化合物である請求項1から3のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- 官能性化合物のビニル化合物との反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である請求項4に記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- 結晶性ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、及びポリエーテルニトリルから選択される少なくとも1種である請求項1から5のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- 第1の面における平均孔径が、第2の面における平均孔径よりも大きく、かつ前記第1の面から前記第2の面に向かって平均孔径が連続的に変化する複数の孔部を有する請求項1から6のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜。
- 露出表面にビニル化合物と官能性化合物との反応物を被覆前の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径d3と、第2の面における平均孔径d4との比(d3/d4)と、
露出表面にビニル化合物と官能性化合物との反応物を被覆後の結晶性ポリマー微孔性膜の第1の面における平均孔径をd3’と、第2の面における平均孔径d4’との比(d3’/d4’)とが、次式、(d3’/d4’)/(d3/d4)>1、を満たす請求項7に記載の結晶性ポリマー微孔性膜。 - 結晶性ポリマーからなるフィルムの露出表面に、少なくとも一つの不飽和性基及び官能性基をそれぞれ有するビニル化合物を付与し、該ビニル化合物を重合させる親水化処理工程と、
前記ビニル化合物の一部に、少なくとも一つの官能性化合物を付加反応させる付加反応処理工程と、
を含むことを特徴とする結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。 - 結晶性ポリマーからなるフィルムの一の面を加熱して、該フィルムの厚み方向に温度勾配を形成した半焼成フィルムを形成する非対称加熱工程と、
前記半焼成フィルムを延伸する延伸工程と、
を更に含む請求項9に記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。 - ビニル化合物の官能性基が、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である請求項9から10のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
- 官能性化合物の少なくとも一つは、イオン交換基、キレート基、及びこれらの誘導体基のいずれかを有し、かつ、少なくとも一つは、ビニル化合物との反応性基を有する化合物である請求項9から11のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
- 官能性化合物のビニル化合物との反応性基が、アミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、及びこれら誘導体基から選択される少なくとも1種である請求項9から12のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
- 結晶性ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、及びポリエーテルニトリルから選択される少なくとも1種である請求項9から13のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜の製造方法。
- 請求項1から8のいずれかに記載の結晶性ポリマー微孔性膜を用いることを特徴とする濾過用フィルタ。
- プリーツ状に加工成形される請求項15に記載の濾過用フィルタ。
- 第1の面をフィルタの濾過面とする請求項15から16のいずれかに記載の濾過用フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009261996A JP2011104516A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009261996A JP2011104516A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011104516A true JP2011104516A (ja) | 2011-06-02 |
Family
ID=44228645
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009261996A Ceased JP2011104516A (ja) | 2009-11-17 | 2009-11-17 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011104516A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012108102A1 (ja) * | 2011-02-07 | 2012-08-16 | 富士フイルム株式会社 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
CN103191651A (zh) * | 2012-01-04 | 2013-07-10 | 林金建 | 一种亲水性聚偏氟乙烯共混中空纤维微孔膜制备方法 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62110978A (ja) * | 1985-11-05 | 1987-05-22 | 三菱レイヨン株式会社 | 中空糸膜の機能化処理方法 |
JPH0889954A (ja) * | 1994-09-21 | 1996-04-09 | Asahi Chem Ind Co Ltd | ユースポイントモジュールシステム |
JPH09512857A (ja) * | 1994-07-28 | 1997-12-22 | ミリポア コーポレイション | 多孔質複合膜と方法 |
WO2007135994A1 (ja) * | 2006-05-19 | 2007-11-29 | Fujifilm Corporation | 結晶性ポリマー微孔性膜とその製造方法、および濾過用フィルター |
JP2009119412A (ja) * | 2007-11-16 | 2009-06-04 | Fujifilm Corp | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
JP5054745B2 (ja) * | 2009-09-15 | 2012-10-24 | 富士フイルム株式会社 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
-
2009
- 2009-11-17 JP JP2009261996A patent/JP2011104516A/ja not_active Ceased
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62110978A (ja) * | 1985-11-05 | 1987-05-22 | 三菱レイヨン株式会社 | 中空糸膜の機能化処理方法 |
JPH09512857A (ja) * | 1994-07-28 | 1997-12-22 | ミリポア コーポレイション | 多孔質複合膜と方法 |
JPH0889954A (ja) * | 1994-09-21 | 1996-04-09 | Asahi Chem Ind Co Ltd | ユースポイントモジュールシステム |
WO2007135994A1 (ja) * | 2006-05-19 | 2007-11-29 | Fujifilm Corporation | 結晶性ポリマー微孔性膜とその製造方法、および濾過用フィルター |
JP2009119412A (ja) * | 2007-11-16 | 2009-06-04 | Fujifilm Corp | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
JP5054745B2 (ja) * | 2009-09-15 | 2012-10-24 | 富士フイルム株式会社 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012108102A1 (ja) * | 2011-02-07 | 2012-08-16 | 富士フイルム株式会社 | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
JP2012161741A (ja) * | 2011-02-07 | 2012-08-30 | Fujifilm Corp | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
CN103191651A (zh) * | 2012-01-04 | 2013-07-10 | 林金建 | 一种亲水性聚偏氟乙烯共混中空纤维微孔膜制备方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4863970B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP5220698B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2011110474A (ja) | 濾過用フィルタ及びその製造方法 | |
JP2011131208A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP5528070B2 (ja) | 濾過フィルタ用結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2010058026A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2011110470A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
WO2012108102A1 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
US20130087500A1 (en) | Crystalline polymer microporous membrane, production method thereof, and filtration filter | |
JP5399087B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜、及びその製造方法、並びに、濾過用フィルタ | |
JP2011072920A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP5518442B2 (ja) | 濾過フィルタ用結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP4850815B2 (ja) | 精密ろ過フィルター及びその製造方法 | |
JP2011104516A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP5054745B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP4850814B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
WO2012124759A1 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP4850816B2 (ja) | 精密ろ過フィルター及びその製造方法 | |
JP2010172832A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜、及びその製造方法、並びに、濾過用フィルタ | |
JP2011104456A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2010058025A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2011102346A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2009142785A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP2011050908A (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ | |
JP5078729B2 (ja) | 結晶性ポリマー微孔性膜及びその製造方法、並びに濾過用フィルタ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120823 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130121 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130226 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130412 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132 Effective date: 20140204 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140314 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20141118 |
|
A045 | Written measure of dismissal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20150324 |