JP2014042869A - 多孔質複層フィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】精密濾過用フィルターにおいて濾過膜の損傷を防止しつつ、該濾過膜に高い微粒子捕捉性能を保持させて捕集率のさらなる向上を図る。
【解決手段】縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層以上積層されており、少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層と、該中間層の処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面にそれぞれ積層される支持層を有し、前記濾過層の空孔および前記支持層の空孔が互いに三次元的に連通し、前記濾過層の空孔の平均孔径は前記支持層の空孔の平均孔径より小さく設定されていると共に、前記各シートの積層境界面が融着されている。
【選択図】図1
【解決手段】縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層以上積層されており、少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層と、該中間層の処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面にそれぞれ積層される支持層を有し、前記濾過層の空孔および前記支持層の空孔が互いに三次元的に連通し、前記濾過層の空孔の平均孔径は前記支持層の空孔の平均孔径より小さく設定されていると共に、前記各シートの積層境界面が融着されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、多孔質複層フィルターに関し、特に、超微粒子を高流量で濾過できる精密濾過フィルターにおいて、濾過面の保護と捕集率のさらなる向上を図るものである。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)多孔質フィルターは、PTFE自体のもつ高い耐熱性、化学安定性、耐候性、不燃性、高強度、非粘着性、低摩擦係数等の特性に加えて、多孔質体のもつ可撓性、液体透過性、粒子捕捉性、低誘電率等の特性を有する。該PTFE多孔質フィルターはその高い化学安定性等の優れた特性により、特に半導体関連分野、液晶関連分野、及び食品・医療関連分野における液体・気体の精密濾過フィルター(メンブレンフィルター)として多く使用されている。
このような分野では、さらなる技術革新や要求事項の高まりから、より高性能な精密濾過フィルターが要望されている。具体的には、半導体製造においては年々集積度が高まり、0.5μm以下の領域までフォトレジストが微細化されている。液晶製造においても同様に感光性材料による微細加工が施されるため、さらに小さな領域の微細粒子を確実に捕捉できる精密濾過フィルターが必要となってきている。これらの精密濾過フィルターは主にクリーンルームの外気処理用フィルター、薬液の濾過フィルターとして使用され、その性能は製品の歩留まりにも影響する。
また、食品・医療関連分野においては、近年の安全意識の高まりから、微小異物に対する濾過の完全性(絶対除去性)が強く要望されている。
また、食品・医療関連分野においては、近年の安全意識の高まりから、微小異物に対する濾過の完全性(絶対除去性)が強く要望されている。
そのため、本出願人は、特開2010−94579号公報(特許文献1)において粒子径が0.1μm未満の微粒子を捕捉できる多孔質延伸PTFEシートからなるフィルターを提案している。濾過膜として用いられる前記多孔質延伸PTFEシートは、膜厚が50μm以下のPTFEシートを所要の支持体に固定して30℃未満で延伸することにより得ることができる。
しかし、微粒子の捕捉性を確保しようとすると前記多孔質延伸PTFEシートからなる濾過膜の孔径は小さくなり、該濾過膜の表面が外部に露出していると加工時や使用時に微細構造の濾過膜の表面に損傷が発生して微粒子の捕捉性能が低下しやすいという問題がある。前記構成のフィルターでも、濾過膜の損傷を防止しながら、粒子径が0.05μm以下程度の超微粒子も捕捉できる高い捕捉性能を該濾過膜に保持させておくことが難しく、さらなる改善の余地がある。
本発明は、多孔質延伸PTFEシートからなる濾過膜の損傷を防止しつつ、粒子径が0.05μm以下程度の超微粒子も捕捉できる高い捕捉性能を該濾過膜に保持させて捕集率のさらなる向上を図ることを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層以上積層されており、
少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層と、該中間層の処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面にそれぞれ積層される支持層を有し、
前記濾過層の空孔および前記支持層の空孔が互いに三次元的に連通し、前記濾過層の空孔の平均孔径は前記支持層の空孔の平均孔径より小さく設定されていると共に、
前記各シートの積層境界面が融着されていることを特徴とする多孔質複層フィルターを提供している。
少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層と、該中間層の処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面にそれぞれ積層される支持層を有し、
前記濾過層の空孔および前記支持層の空孔が互いに三次元的に連通し、前記濾過層の空孔の平均孔径は前記支持層の空孔の平均孔径より小さく設定されていると共に、
前記各シートの積層境界面が融着されていることを特徴とする多孔質複層フィルターを提供している。
前記4層以上積層される各シートは、それぞれ縦横の2軸方向に延伸された多孔質延伸PTFEシートとし、縦方向強度と横方向強度との差異を少なくしている。よって、該シートを4層以上積層した本発明のフィルターも等方的な引張強度を持たせて変形が生じにくいものとしている。
本発明では、前記のように、少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層の両面(処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面)に支持層をそれぞれ積層し、濾過膜として機能する前記中間層の表面が外部に露出しないようにして損傷から保護している。なお、前記支持層の平均孔径は前記中間層を形成する濾過層の平均孔径より大とされているため、中間層の両面に各支持層を積層しても処理速度の低下が防止され、高流量の濾過処理が可能となる。
具体的には、前記濾過層の平均孔径は0.01〜0.45μm、好ましくは0.20μm以下、前記支持層の平均孔径は前記濾過層の平均孔径の2〜100倍とすることが好ましい。前記平均孔径は平均流量孔径ともいわれ、例えば、細孔直径分布測定装置パームポロメーター(米国PMI社製、型番CFP−1200A)を用いて孔径分布を測定し、該孔径分布に基づいて算出される平均孔径である。
また、前記濾過層の気孔率は40〜90%、前記支持層の気孔率は前記濾過層の気孔率の1〜2.5倍であることが好ましい。前記気孔率は、ASTM−D−792に記載の方法や、膜の体積と真比重より算出することができる。この数値が高いほど透過性に優れていることを示す。
また、前記のように、中間層を形成する各濾過層、該中間層の両面に積層する各支持層は全て縦横方向に延伸する2軸延伸として、縦横の強度を同程度として各層の強度を高めると共に等方性を付与している。さらにこれら少なくとも4層を、強度を有する多孔質延伸PTFEシートからなる同質材で形成しているため、融着する境界面が剥がれにくく固着強度を高めている。このように、強度を有する支持層で複数の濾過層からなる中間層を挟持して強固に一体化することにより中間層の保護機能を高めている。
また、前記中間層を、少なくとも2層の濾過層を積層、融着して形成することにより、融着する濾過層間の境界面がより緻密な網目状構造となって空孔が小径化しバブルポイントが高められるため、粒子径が0.05μm以下程度の超微粒子も捕捉できる高い捕捉性能を前記中間層に保持させることが可能となる。
具体的には、前記4層以上の多孔質延伸PTFEシートが積層された本発明の多孔質複層フィルターでは、バブルポイントを400kPa以上とすることができる。
また、本発明の多孔質複層フィルターでは、縦方向と横方向の引張強度が高められると共に、耐圧強度も高められる。よって、高圧での濾過にも耐え得るため、処理流量の低下を防止して効率的な濾過処理が可能となる。具体的には、縦方向と横方向の引張強度の差異を2.5N以下とし、縦方向引張強度および横方向引張強度を10N以上とすると共に、該積層体の耐圧強度を1000kPa以上とすることが可能となる。
前記濾過層および支持層の融着前の厚さは10μm以上40μm以下であり、前記濾過層の厚さを前記支持層の厚さより大としていることが好ましい。また、融着後の前記積層体の厚さは15μm以上としていることが好ましい。
中間層を構成する濾過層の積層数は特に限定されず、積層数を多くするほど捕集率を高めることができる。しかし、製造コストや流量等の観点から積層数は2〜4層程度とすることが好ましく、融着後の積層体の厚さは15〜50μm程度とすることが好ましい。
中間層を構成する濾過層の積層数は特に限定されず、積層数を多くするほど捕集率を高めることができる。しかし、製造コストや流量等の観点から積層数は2〜4層程度とすることが好ましく、融着後の積層体の厚さは15〜50μm程度とすることが好ましい。
本発明の多孔質複層フィルターの製造方法は、まず、中間層を形成する少なくとも2層の濾過層や、該中間層の両面にそれぞれ積層する支持層とする2軸延伸された4枚以上の多孔質延伸PTFEシートをそれぞれ別体で製造し、これら4枚以上のシートを支持層−中間層(濾過層・・濾過層)−支持層の順に積層し、PTFEの融点以上の温度で焼成して各シートの積層境界面を融着することにより一体化した積層体を得ている。
なお、一体化した積層体に親水性材料を含浸させ、その後、架橋液で処理して前記親水性材料を不溶化して、積層体の表面に親水処理を施してもよい。
前記親水処理で用いる親水性材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、アクリレート系樹脂等を挙げることができる。この中でも、PVAの水溶液をPTFE多孔質体に含浸させる時に、PTFEの繊維表面に吸着しやすく、繊維に均一に塗布され易いため好適に用いられる。
前記親水処理で用いる親水性材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、アクリレート系樹脂等を挙げることができる。この中でも、PVAの水溶液をPTFE多孔質体に含浸させる時に、PTFEの繊維表面に吸着しやすく、繊維に均一に塗布され易いため好適に用いられる。
前記支持層や、中間層を形成する濾過層とされる各多孔質延伸PTFEシートは以下の方法で製造している。なお、前記中間層の両面にそれぞれ積層する支持層は同一の多孔質延伸PTFEシートから形成することができ、前記中間層を形成する少なくとも2層の濾過層も同一の多孔質延伸PTFEシートから形成することができる。
各多孔質延伸PTFEシートの製造方法は、
高分子量PTFE未焼結粉末と液状潤滑剤との混練物をペースト押出によってシート状成形体を形成する工程と、
前記シート状成形体を縦横方向に2軸延伸して多孔質のシートとする工程と、
前記各延伸された多孔質のシートを積層して焼結する工程とからなる。
各多孔質延伸PTFEシートの製造方法は、
高分子量PTFE未焼結粉末と液状潤滑剤との混練物をペースト押出によってシート状成形体を形成する工程と、
前記シート状成形体を縦横方向に2軸延伸して多孔質のシートとする工程と、
前記各延伸された多孔質のシートを積層して焼結する工程とからなる。
前記支持層および濾過層とするシートの縦方向の延伸倍率は3倍〜15倍、好ましくは3〜6倍であり、横方向の延伸倍率は10倍〜50倍、好ましくは20〜30倍である。シートに形成される空孔の平均孔径は、延伸倍率や延伸温度、配合する樹脂グレード等の諸条件を変えることにより相違させることができる。延伸倍率を前記した倍率未満とすると開孔率が低くなり、樹脂の塊が残り、空孔の形状も丸くならず、十分な透過性が得られにくい。一方、前記倍率を超えると繊維が引き裂かれて大きな孔が生じるおそれがある。
前記のように、高分子量のPTFE未焼結粉末を用いると共に、縦横二軸方向の延伸倍率を高めることにより、濾過層は微細孔を有しながらも、高い透過性を有する多孔質フィルターを得ることができる。
高分子量のPTFE未焼結粉末を用いると、縦横二軸方向に従来よりも高い倍率の延伸を施しても、1つの空孔が過度に広がったりシートが引き裂かれたりするのを防止しながら、高度に繊維化を進行させ、PTFEの塊である結節も実質的になくなり、細い繊維を骨格とする微小な空孔が緻密に備えられた多孔質フィルターを作製することができる。
高分子量のPTFE未焼結粉末を用いると、縦横二軸方向に従来よりも高い倍率の延伸を施しても、1つの空孔が過度に広がったりシートが引き裂かれたりするのを防止しながら、高度に繊維化を進行させ、PTFEの塊である結節も実質的になくなり、細い繊維を骨格とする微小な空孔が緻密に備えられた多孔質フィルターを作製することができる。
前記濾過層を形成する高分子量のPTFE未焼結粉末としては、具体的には、数平均分子量が100万〜1500万のものを用いることが好ましい。より好ましくは400万以上、さらに好ましくは1200万以上である。これは現在市販されているPTFE未焼結粉末のうち、分子量のグレードが特に高いものである。
前記した数平均分子量は成形品の比重により求めたものであるが、PTFEの分子量は測定方法によりバラツキが大きく正確な測定が困難であるため、測定方法によっては前記した範囲とはならない場合もある。
一方、前記支持層については、幅広い範囲のもので製造することができる。
前記した数平均分子量は成形品の比重により求めたものであるが、PTFEの分子量は測定方法によりバラツキが大きく正確な測定が困難であるため、測定方法によっては前記した範囲とはならない場合もある。
一方、前記支持層については、幅広い範囲のもので製造することができる。
また、本発明の多孔質複層フィルターとして、前記中間層の濾過層間に、空孔の平均孔径が前記濾過層の空孔の平均孔径より大きい中間支持層を有していてもよい。前記中間支持層としては、前記中間層の両面に積層する支持層と同一の多孔質延伸PTFEシートを用いることが好ましい。
前記構成によれば、前記中間層において中間支持層を挟んで積層される濾過層のうち、流入側の濾過層を通り抜けた微粒子を前記中間支持層に衝突、付着させることができ、処理流量を低下させることなく捕集率を高めることが可能となる。前記中間支持層によって微粒子の付着可能領域が増えるため、フィルターの高寿命化を図ることができる。
以上の説明から明らかなように、縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層以上積層された本発明の多孔質複層フィルターでは、少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層の両面に支持層をそれぞれ積層し、濾過膜として機能する前記中間層の表面が外部に露出しないようにして損傷から保護している。なお、前記支持層の平均孔径は前記中間層を形成する濾過層の平均孔径より大であるため、中間層の両面に各支持層を積層しても処理速度の低下が防止され、高流量で処理水を透過させることができる。
また、本発明の多孔質複層フィルターでは、前記のように少なくとも2層の濾過層を積層して中間層を形成していると共に、積層する各シートの積層境界面を融着する構成としている。よって、融着する濾過層間の境界面がより緻密な網目状構造となって空孔が小径化しバブルポイントが高められるため、粒子径が0.05μm以下程度の超微粒子も捕捉できる高い捕捉性能を前記中間層に保持させることが可能となる。
さらに、本発明の多孔質複層フィルターでは、縦方向と横方向の引張強度が高められると共に、耐圧強度も高められる。よって、高圧での濾過にも耐え得るため、処理流量の低下を防止して効率的な濾過処理が可能となる。
このように、本発明のフィルターは超微粒子を捕捉できるフィルターとしながら、安定した透過性も確保できる。そのため、特に、超微粒子の捕捉率を高めることと処理速度が要求される半導体、液晶分野および食品・医療分野の製造工程で使用する気体用、液体用の精密濾過フィルターとして好適に用いることができる。
このように、本発明のフィルターは超微粒子を捕捉できるフィルターとしながら、安定した透過性も確保できる。そのため、特に、超微粒子の捕捉率を高めることと処理速度が要求される半導体、液晶分野および食品・医療分野の製造工程で使用する気体用、液体用の精密濾過フィルターとして好適に用いることができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の多孔質複層フィルター1は、中間層3を形成する2層の濾過層2A、2Bと、該中間層3の一面側(処理水流入側)に積層する支持層4Aと、中間層3の他面側(濾過水流出側)に積層する支持層4Bとの合計4層の積層体からなり、濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bはいずれも縦横方向に2軸延伸した多孔質延伸PTFEシートからなる。支持層4Aと濾過層2Aとの境界面5、濾過層2Aと濾過層2Bとの境界面6および濾過層2Bと支持層4Bとの境界面7はそれぞれ融着して一体化している。
図1に示すように、本実施形態の多孔質複層フィルター1は、中間層3を形成する2層の濾過層2A、2Bと、該中間層3の一面側(処理水流入側)に積層する支持層4Aと、中間層3の他面側(濾過水流出側)に積層する支持層4Bとの合計4層の積層体からなり、濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bはいずれも縦横方向に2軸延伸した多孔質延伸PTFEシートからなる。支持層4Aと濾過層2Aとの境界面5、濾過層2Aと濾過層2Bとの境界面6および濾過層2Bと支持層4Bとの境界面7はそれぞれ融着して一体化している。
前記濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bをそれぞれ形成する多孔質延伸PTFEシートは、縦横方向に2軸延伸したシートとして、縦方向と横方向の引張強度の差異を設定値以下(できるだけ同等)として等方的な強度を有するようにしている。濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bを形成する多孔質延伸PTFEシートはいずれも結節部により柔軟な繊維が三次元網目状に連結されてなる繊維状骨格を備え、該繊維状骨格で略スリット形状の空孔P1、P2を囲み、積層状態で前記4層の空孔P1、P2は三次元で連通されるようにしている。
融着前における濾過層2A、2Bの空孔P1の平均孔径を0.03〜0.20μmとし、気孔率を70〜90%としている一方、支持層4A、4Bの空孔P2の平均孔径を前記濾過層2A、2Bの平均孔径より大とし、本実施形態では支持層4A、4Bの平均孔径を濾過層2A、2Bの平均孔径の2〜100倍程度としている。また、支持層4A、4Bの気孔率を濾過層2A、2Bの気孔率の1.0〜1.5倍程度としている。
また、前記濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bをそれぞれ形成する多孔質延伸PTFEシートの融着前の厚さを15〜30μm程度とし、濾過層2A、2Bの厚さを支持層4A、4Bの厚さより若干大としている。
図1に示すように、4枚の多孔質延伸PTFEシートを支持層4B、濾過層2B、濾過層2A、支持層4Aの順に積層し、PTFEの融点以上の温度で焼成することにより、境界面7、6、5が融着し一体化した積層体(多孔質複層フィルター)1を得ている。前記濾過層2A、2B、支持層4A、4Bを積層、一体化させることにより、各シートの厚さは収縮して薄くなり、積層体1全体の厚さは15〜50μm程度としている。
前記濾過層2A、2B、支持層4A、4Bを一体化した積層体1のバブルポイントは400〜1000kPaである。
また、該積層体1の縦方向と横方向の引張強度の差異が2.0N以下で、縦方向および横方向の引張強度は10〜20Nである。
さらに該積層体1の耐圧強度は1200〜3000kPaである。
また、該積層体1の縦方向と横方向の引張強度の差異が2.0N以下で、縦方向および横方向の引張強度は10〜20Nである。
さらに該積層体1の耐圧強度は1200〜3000kPaである。
前記各物性値は下記の方法で測定している。
(1)平均孔径:PMI社製パームポロメーター(型番 CFP−1200A)により測定している。
(2)気孔率:ASTM−D−792に準拠し、水中で求めた比重(見掛け比重)と四弗化エチレン樹脂の比重より求めた値であり、この値が大きいほど透過性に優れている。
(3)バブルポイント:ASTM−F−316に準拠した方法により、イソプロピルアルコールを用いて測定した。
(4)縦方向および横方向の引張強度:積層一体化したシートを、シート幅5mmで打ち抜き、チャック間隔を30mmとし、引張速度100mm/minで引張して測定した。
(5)耐圧強度:PTFE多孔質シートよりはるかに強度の低いゴムで孔を塞ぎ、φ3mmの範囲に空気圧を加えていき、膜が破れる等して通気した時の圧力を測定した。
(1)平均孔径:PMI社製パームポロメーター(型番 CFP−1200A)により測定している。
(2)気孔率:ASTM−D−792に準拠し、水中で求めた比重(見掛け比重)と四弗化エチレン樹脂の比重より求めた値であり、この値が大きいほど透過性に優れている。
(3)バブルポイント:ASTM−F−316に準拠した方法により、イソプロピルアルコールを用いて測定した。
(4)縦方向および横方向の引張強度:積層一体化したシートを、シート幅5mmで打ち抜き、チャック間隔を30mmとし、引張速度100mm/minで引張して測定した。
(5)耐圧強度:PTFE多孔質シートよりはるかに強度の低いゴムで孔を塞ぎ、φ3mmの範囲に空気圧を加えていき、膜が破れる等して通気した時の圧力を測定した。
以下、前記多孔質複層フィルター1の製造方法について説明する。
第一の工程で、濾過層2A、2B、支持層4A、4Bを構成する多孔質延伸PTFEシートをそれぞれ別体で製造する。なお、濾過層2Aと濾過層2Bは同一のシートを用い、支持層4Aと支持層4Bも同一のシートを用いるため、濾過層2A、2Bを形成するシートと、支持層4A、4Bを形成するシートの2種類の多孔質延伸PTFEシートを製造する。
第一の工程で、濾過層2A、2B、支持層4A、4Bを構成する多孔質延伸PTFEシートをそれぞれ別体で製造する。なお、濾過層2Aと濾過層2Bは同一のシートを用い、支持層4Aと支持層4Bも同一のシートを用いるため、濾過層2A、2Bを形成するシートと、支持層4A、4Bを形成するシートの2種類の多孔質延伸PTFEシートを製造する。
第一の工程では、公知のPTFE未焼結粉末のペースト押出法により成形体を製造する。ペースト押出法では、通常、PTFE未焼結粉末100質量部に対して液状潤滑剤を10〜40質量部、好ましくは16〜25質量部の割合で混合して、押し出し成形する。
PTFE未焼結粉末として、数平均分子量400万〜1500万の高分子量のものを用いる。
液状潤滑剤としては、従来からペースト押出法で用いられている各種潤滑剤を使用することができる。例えば、ソルベント・ナフサ、ホワイトオイルなどの石油系溶剤、ウンデカン等の炭化水素油、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フルオロクロロカーボンオイル、これらの溶剤にポリイソブチレン、ポリイソプレンなどのポリマーを溶かした溶液、これらの2つ以上の混合物、表面活性剤を含む水または水溶液などが挙げられる。混合物よりも単一成分の方が均一混合することができるため、好ましい。
液状潤滑剤としては、従来からペースト押出法で用いられている各種潤滑剤を使用することができる。例えば、ソルベント・ナフサ、ホワイトオイルなどの石油系溶剤、ウンデカン等の炭化水素油、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フルオロクロロカーボンオイル、これらの溶剤にポリイソブチレン、ポリイソプレンなどのポリマーを溶かした溶液、これらの2つ以上の混合物、表面活性剤を含む水または水溶液などが挙げられる。混合物よりも単一成分の方が均一混合することができるため、好ましい。
次いで、得られた混合物を圧縮成形機により圧縮成形し、ブロック状の成形体とし(予備成形)、該ブロック状の成形体を、室温から50℃の温度で、速度20mm/minで、シート状に押出成形する。
さらに、得られたシート状成形体をカレンダーロールなどにより圧延し、厚さ250〜350μmのシート状成形体とする。
さらに、得られたシート状成形体をカレンダーロールなどにより圧延し、厚さ250〜350μmのシート状成形体とする。
次に、前記成形体から液状潤滑剤を除去する。液状潤滑剤は焼結する前に除去すればよく、延伸後に除去してもよいが、延伸前に除去することが好ましい。
液状潤滑剤の除去は、加熱、抽出または溶解などにより行っており、加熱により行うことが好ましい。加熱する場合はロール温度130〜220℃の加熱ロールに通している。また、シリコーンオイルやフルオロクロロカーボンオイルなどの比較的沸点が高い液状潤滑剤を使用する場合には、抽出により除去するのが好ましい。
液状潤滑剤の除去は、加熱、抽出または溶解などにより行っており、加熱により行うことが好ましい。加熱する場合はロール温度130〜220℃の加熱ロールに通している。また、シリコーンオイルやフルオロクロロカーボンオイルなどの比較的沸点が高い液状潤滑剤を使用する場合には、抽出により除去するのが好ましい。
なお、液状潤滑剤の他に目的に応じて、他の物質を含ませることもできる。
例えば、着色のための顔料、耐磨耗性の改良、低温流れの防止や気孔の生成を容易にする等のためにカーボンブラック、グラファイト、シリカ粉、ガラス粉、ガラス繊維、けい酸塩類や炭酸塩類などの無機充填剤、金属粉、金属酸化物粉、金属硫化物粉などを添加することができる。また、多孔質構造の生成を助けるために、加熱、抽出、溶解等により除去または分解される物質、例えば塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、他のプラスチック、ゴム等を粉末または溶液の状態で配合することもできる。
例えば、着色のための顔料、耐磨耗性の改良、低温流れの防止や気孔の生成を容易にする等のためにカーボンブラック、グラファイト、シリカ粉、ガラス粉、ガラス繊維、けい酸塩類や炭酸塩類などの無機充填剤、金属粉、金属酸化物粉、金属硫化物粉などを添加することができる。また、多孔質構造の生成を助けるために、加熱、抽出、溶解等により除去または分解される物質、例えば塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、他のプラスチック、ゴム等を粉末または溶液の状態で配合することもできる。
次に、前記ペースト押出により得られたシート状成形体を縦横方向に二軸延伸する。本実施形態においては、濾過層2A、2Bおよび支持層4A、4Bとするいずれのシート状成形体も縦延伸を行った後、横延伸を行っている。縦方向の延伸倍率は3〜6倍程度が好ましく、横方向の延伸倍率は20〜30倍程度が好ましい。
該延伸時に、濾過層2A、2Bとするシート状成形体と、支持層4A、4Bとするシート状成形体とでは、形成する空孔の平均径を相違させるために延伸倍率を相違させている。
該延伸時に、濾過層2A、2Bとするシート状成形体と、支持層4A、4Bとするシート状成形体とでは、形成する空孔の平均径を相違させるために延伸倍率を相違させている。
延伸は、融点以下のできるだけ高温で行うのが好ましい。好ましくは室温(もしくは20℃)〜300℃、さらに好ましくは250℃〜280℃である。
低い温度で延伸を行うと、比較的孔径が大きく、気孔率が高い多孔質膜を生じ易く、高い温度で延伸を行うと、孔径の小さい緻密な多孔質膜を生じ易い。
これらの条件を組み合わせることにより、孔径や気孔率をコントロールすることができるが、濾過層では孔径の小さい緻密な多孔質膜とするため、比較的高い延伸温度とすることが好ましい。
さらに、延伸後の多孔質延伸PTFEシートの収縮を防止するために熱固定を行うことが好ましい。
本発明では、特に延伸倍率を高めているので多孔質構造を消失させないため、熱固定は重要である。前記横方向の延伸を行った直後に熱固定を行うことが好ましく、2段以上の延伸を行う場合には各段の延伸後に行うことが好ましい。
熱固定は、通常、多孔質延伸PTFEシートの両端を固定するなど緊張下に保って、雰囲気温度200〜500℃で0.1〜20分間保持して行う。
低い温度で延伸を行うと、比較的孔径が大きく、気孔率が高い多孔質膜を生じ易く、高い温度で延伸を行うと、孔径の小さい緻密な多孔質膜を生じ易い。
これらの条件を組み合わせることにより、孔径や気孔率をコントロールすることができるが、濾過層では孔径の小さい緻密な多孔質膜とするため、比較的高い延伸温度とすることが好ましい。
さらに、延伸後の多孔質延伸PTFEシートの収縮を防止するために熱固定を行うことが好ましい。
本発明では、特に延伸倍率を高めているので多孔質構造を消失させないため、熱固定は重要である。前記横方向の延伸を行った直後に熱固定を行うことが好ましく、2段以上の延伸を行う場合には各段の延伸後に行うことが好ましい。
熱固定は、通常、多孔質延伸PTFEシートの両端を固定するなど緊張下に保って、雰囲気温度200〜500℃で0.1〜20分間保持して行う。
前記第一の工程に続いて、第二の工程では、濾過層2A、2Bからなる中間層3の両面を支持層4A、4Bでそれぞれ挟むようにして、前記第一の工程で得られた4枚の多孔質延伸PTFEシートを積層して一体化する。一体化は、PTFEの転移点である327℃以上の焼結温度とし、数分から数十分程度、場合によってはそれ以上の時間加熱することによって行う。通常は、360〜400℃で0.5〜3分間加熱する。これにより、支持層4Aと濾過層2Aとの境界面5、濾過層2Aと濾過層2Bとの境界面6および濾過層2Bと支持層4Bとの境界面7を熱融着して一体化し、多孔質複層フィルター1が形成される。
本実施形態では、前記工程で得られた多孔質複層フィルター1を親水処理していないが、PVAで親水処理してもよい。該親水処理は、前記積層一体化した多孔質延伸PTFEシートをイソプロピルアルコール(IPA)に0.25〜2分間浸漬した後、それぞれ、濃度を0.5重量%〜0.8重量%としたPVA水溶液に5〜10分間浸漬する。その後、純水に2〜5分間浸漬した後に架橋を行う。架橋は、グルタルアルデヒド架橋(GA)、テレフタルアルデヒド架橋(TPA)あるいは6Mradの電子線を照射する電子線架橋のいずれかの方法で行う。
前記架橋後に、積層一体化した多孔質延伸PTFEシートを純水で水洗した後、常温〜80℃で乾燥させ、積層一体化された親水性多孔質複層フィルター1とする。
前記架橋後に、積層一体化した多孔質延伸PTFEシートを純水で水洗した後、常温〜80℃で乾燥させ、積層一体化された親水性多孔質複層フィルター1とする。
前記のように、縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層積層された本実施形態の多孔質複層フィルター1では、2層の濾過層2A、2Bが積層されてなる中間層3の両面に支持層4A、4Bをそれぞれ積層し、濾過膜として機能する中間層3の表面が外部に露出しないようにして損傷から保護している。なお、支持層4A、4Bの平均孔径は中間層3を形成する濾過層2A、2Bの平均孔径より大であるため、中間層3の両面に各支持層4A、4Bを積層しても処理速度の低下が防止され、高流量で処理水を透過させることができる。
また、本実施形態の多孔質複層フィルター1では、前記のように2層の濾過層2A、2Bを積層して中間層3を形成していると共に、積層境界面5、6、7をすべて融着する構成としている。融着により濾過層2A、2B間の境界面6は、図示しないが、より緻密な網目状構造となって空孔が小径化してバブルポイントが高められるため、粒子径が0.05μm以下程度の超微粒子も捕捉できる高い捕捉性能を中間層3に保持させることが可能となる。
さらに、本実施形態の多孔質複層フィルター1では、縦方向と横方向の引張強度が高められると共に、耐圧強度も高められる。よって、高圧での濾過にも耐え得るため、処理流量の低下を防止して効率的な濾過処理が可能となる。
なお、本実施形態では積層した2層の濾過層2A、2Bから中間層3を形成しているがこれに限定されることはなく、中間層を積層した3層以上の濾過層から形成して、微粒子の捕集率や縦横方向の引張強度、耐圧強度を一層高めるようにしてもよい。
なお、本実施形態では積層した2層の濾過層2A、2Bから中間層3を形成しているがこれに限定されることはなく、中間層を積層した3層以上の濾過層から形成して、微粒子の捕集率や縦横方向の引張強度、耐圧強度を一層高めるようにしてもよい。
[実施例]
以下、実施例1、2および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図1に示すように、4層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、2層の濾過層2A、2Bを積層してなる中間層3の両面に支持層4A、4Bをそれぞれ積層し一体化した多孔質複層フィルター1を以下の方法により作製した。
まず、PTFEファインパウダー(デュポン社製 PTFE 601A)100質量部に対し、液状潤滑剤[出光石油社製 スーパーゾルFP−25、(成分:ナフサ)]18質量部の割合で配合・混合し、成形機に入れて圧縮成形し、ブロック状成形物を得た。
次に、該ブロック状成形物を連続的にシート状に押出したのち、圧延ローラに通し、さらに液状潤滑剤を除去するために加熱ロール(130〜220℃)に通してロールに巻き取り、濾過層2A、2B用の厚さ300μmのPTFEシート状成形体を得た。また、同様にして、支持層4A、4B用の厚さ250μmのPTFEシート状成形体を得た。
以下、実施例1、2および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1では、図1に示すように、4層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、2層の濾過層2A、2Bを積層してなる中間層3の両面に支持層4A、4Bをそれぞれ積層し一体化した多孔質複層フィルター1を以下の方法により作製した。
まず、PTFEファインパウダー(デュポン社製 PTFE 601A)100質量部に対し、液状潤滑剤[出光石油社製 スーパーゾルFP−25、(成分:ナフサ)]18質量部の割合で配合・混合し、成形機に入れて圧縮成形し、ブロック状成形物を得た。
次に、該ブロック状成形物を連続的にシート状に押出したのち、圧延ローラに通し、さらに液状潤滑剤を除去するために加熱ロール(130〜220℃)に通してロールに巻き取り、濾過層2A、2B用の厚さ300μmのPTFEシート状成形体を得た。また、同様にして、支持層4A、4B用の厚さ250μmのPTFEシート状成形体を得た。
続いて、前記濾過層2A、2B用のPTFEシート状成形体に対し、ロール温度250℃〜280℃で縦方向(流れ方向)に6倍の縦延伸を行った。縦延伸後のシートの幅方向の両端をチャックで掴み、流れ方向とは垂直な方向に50℃の雰囲気下で25.6倍延伸の横延伸を行った。その後、そのまま285℃で0.25〜1分間保持して熱固定を行った。この延伸されたシートを360℃の加熱炉を通過させて1.5分間焼結し、濾過層2A、2Bとする多孔質延伸PTFEシートを得た。
濾過層2A、2Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは29μmとし、空孔P1の平均孔径は0.05μmとした。
濾過層2A、2Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは29μmとし、空孔P1の平均孔径は0.05μmとした。
一方、支持層4A、4Bとする多孔質延伸PTFEシートは、温度条件を180〜200℃とし、縦延伸倍率を3.5倍、横延伸倍率を23倍として形成した。
支持層4A、4Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは22μmとし、空孔P2の平均孔径は0.45μm(濾過層2A、2Bの平均孔径の9倍)とした。
支持層4A、4Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは22μmとし、空孔P2の平均孔径は0.45μm(濾過層2A、2Bの平均孔径の9倍)とした。
前記濾過層2A、2Bの多孔質延伸PTFEシートと支持層4A、4Bの多孔質延伸PTFEシートを図1に示すように積層し、370℃で100秒加熱し、各層の境界を熱融着して一体化した。
一体化により得られた実施例1の積層体(多孔質複層フィルター)1の厚さは38μmであり、バブルポイント(BP)、縦方向の引張強度(縦強度)、横方向の引張強度(横強度)、耐圧強度、捕集率をそれぞれ下記の表1に示す。なお、捕集率は以下の方法で測定し、表1には下記比較例における捕集率を1としたときの比率で表している。
捕集率:フィルターを直径47mmの円形に打ち抜き、ホルダーにセットし、粒子径0.055μmのポリスチレンラテックス均質樹脂(JSR社製)を1.4×1010個/cm2の割合で含有する水溶液を調整し、その32cm3をセットしたフィルターにより41.2kPaの圧力で濾過を行い、濾過前の水溶液と濾液の吸光度を測定し、その比により求めている。吸光度は、紫外線可視分光光度計(島津製作所製UV−160)を用い、波長310nmで測定している(測定精度1/100)。
一体化により得られた実施例1の積層体(多孔質複層フィルター)1の厚さは38μmであり、バブルポイント(BP)、縦方向の引張強度(縦強度)、横方向の引張強度(横強度)、耐圧強度、捕集率をそれぞれ下記の表1に示す。なお、捕集率は以下の方法で測定し、表1には下記比較例における捕集率を1としたときの比率で表している。
捕集率:フィルターを直径47mmの円形に打ち抜き、ホルダーにセットし、粒子径0.055μmのポリスチレンラテックス均質樹脂(JSR社製)を1.4×1010個/cm2の割合で含有する水溶液を調整し、その32cm3をセットしたフィルターにより41.2kPaの圧力で濾過を行い、濾過前の水溶液と濾液の吸光度を測定し、その比により求めている。吸光度は、紫外線可視分光光度計(島津製作所製UV−160)を用い、波長310nmで測定している(測定精度1/100)。
(実施例2)
実施例2では、図2に示すように、5層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、3層の濾過層12A、12B、12Cを積層してなる中間層13の両面に支持層14A、14Bをそれぞれ積層し、積層境界面15、16、17、18を融着して一体化させた多孔質複層フィルター10を実施例1と同様の方法で作製した。
実施例2では、図2に示すように、5層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、3層の濾過層12A、12B、12Cを積層してなる中間層13の両面に支持層14A、14Bをそれぞれ積層し、積層境界面15、16、17、18を融着して一体化させた多孔質複層フィルター10を実施例1と同様の方法で作製した。
濾過層12A、12B、12Cとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは30μmとし、空孔P1の平均孔径は実施例1と同様0.05μmとした。
また、支持層14A、14Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは18μmとし、空孔P2の平均孔径は実施例1と同様0.45μmとした。
また、支持層14A、14Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは18μmとし、空孔P2の平均孔径は実施例1と同様0.45μmとした。
一体化により得られた実施例2の積層体(多孔質複層フィルター)10の厚さは36μmであり、バブルポイント(BP)、縦方向の引張強度(縦強度)、横方向の引張強度(横強度)、耐圧強度、捕集率をそれぞれ下記の表1に示す。なお、捕集率は下記比較例における捕集率を1としたときの比率で表している。
(比較例)
比較例では、図3に示すように、3層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、1層の濾過層102の両面に支持層104A、104Bをそれぞれ積層し、積層境界面105、106を融着して一体化させた多孔質複層フィルター100を実施例1と同様の方法で作製した。
比較例では、図3に示すように、3層の多孔質延伸PTFEシートの積層体からなり、1層の濾過層102の両面に支持層104A、104Bをそれぞれ積層し、積層境界面105、106を融着して一体化させた多孔質複層フィルター100を実施例1と同様の方法で作製した。
濾過層102とする多孔質延伸PTFEシートの厚さは35μmとし、空孔P1の平均孔径は実施例1と同様0.05μmとした。
また、支持層104A、104Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは22μmとし、空孔P2の平均孔径は実施例1と同様0.45μmとした。
また、支持層104A、104Bとする多孔質延伸PTFEシートの厚さは22μmとし、空孔P2の平均孔径は実施例1と同様0.45μmとした。
一体化により得られた比較例の積層体(多孔質複層フィルター)100の厚さは29μmであり、バブルポイント(BP)、縦方向の引張強度(縦強度)、横方向の引張強度(横強度)、耐圧強度、捕集率をそれぞれ下記の表1に示す。なお、ここでは比較例における捕集率を1としている。
表1より明らかなように、実施例1および実施例2では、濾過層として比較例と同じ平均孔径(0.05μm)の多孔質延伸PTFEシートを用いているにもかかわらず、中間層において該濾過層を2層または3層積層して一体化することでバブルポイントが400kPaを大きく上回り、捕集率の向上が認められた。
また、実施例1および実施例2の多孔質複層フィルターでは、縦横方向の引張強度や耐圧強度も比較例を大きく上回り、縦横方向の引張強度はともに11Nを超え、耐圧強度も1700kPaを超えた。よって、高圧での濾過にも耐え得るため、処理速度の低下を抑えることができる。
図4は第2実施形態を示している。
第2実施形態では、中間層23の2層の濾過層22A、22B間に中間支持層24Cを設け、支持層24Aと濾過層22Aとの境界面25、濾過層22Aと中間支持層24Cとの境界面26、中間支持層24Cと濾過層22Bとの境界面27、濾過層22Bと支持層24Bとの境界面28を融着して一体化している。中間支持層24Cの空孔P2の平均孔径は濾過層22A、22Bの空孔P1の平均孔径より大とし、中間支持層24Cとして、中間層23の両面にそれぞれ積層する支持層24A、24Bと同一の多孔質延伸PTFEシートを用いている。その他の点は第1実施形態と同様としている。
第2実施形態では、中間層23の2層の濾過層22A、22B間に中間支持層24Cを設け、支持層24Aと濾過層22Aとの境界面25、濾過層22Aと中間支持層24Cとの境界面26、中間支持層24Cと濾過層22Bとの境界面27、濾過層22Bと支持層24Bとの境界面28を融着して一体化している。中間支持層24Cの空孔P2の平均孔径は濾過層22A、22Bの空孔P1の平均孔径より大とし、中間支持層24Cとして、中間層23の両面にそれぞれ積層する支持層24A、24Bと同一の多孔質延伸PTFEシートを用いている。その他の点は第1実施形態と同様としている。
前記構成によれば、中間層23において中間支持層24Cを挟んで積層される濾過層22A、22Bのうち、流入側の濾過層22Aを通り抜けた微粒子を中間支持層24Cに衝突、付着させることができ、処理流量を低下させることなく捕集率を高めることが可能となる。中間支持層24Cによって微粒子の付着可能領域が増えるため、フィルターの高寿命化を図ることができる。
1、10、20 多孔質複層フィルター
2A、2B、12A、12B、12C、22A、22B 濾過層
3、13、23 中間層
4A、4B、14A、14B、24A、24B 支持層
24C 中間支持層
5、6、7、15、16、17、18、25、26、27、28 積層境界面
P1、P2 空孔
2A、2B、12A、12B、12C、22A、22B 濾過層
3、13、23 中間層
4A、4B、14A、14B、24A、24B 支持層
24C 中間支持層
5、6、7、15、16、17、18、25、26、27、28 積層境界面
P1、P2 空孔
Claims (6)
- 縦横方向に2軸延伸された多孔質延伸PTFEシートが4層以上積層されており、
少なくとも2層の濾過層が積層されてなる中間層と、該中間層の処理液流入側の一面および濾過液流出側の他面にそれぞれ積層される支持層を有し、
前記濾過層の空孔および前記支持層の空孔が互いに三次元的に連通し、前記濾過層の空孔の平均孔径は前記支持層の空孔の平均孔径より小さく設定されていると共に、
前記各シートの積層境界面が融着されていることを特徴とする多孔質複層フィルター。 - 前記濾過層の平均空孔径は0.01〜0.45μmであり、前記支持層の平均空孔径は前記濾過層の平均空孔径の2〜100倍である請求項1に記載の多孔質複層フィルター。
- バブルポイントが400kPa以上である請求項1または請求項2に記載の多孔質複層フィルター。
- 縦方向と横方向の引張強度の差異が2.5N以下であると共に、縦方向引張強度および横方向引張強度が10N以上であり、かつ、該積層体の耐圧強度が1000kPa以上である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多孔質複層フィルター。
- 前記濾過層および支持層の融着前の厚さは10μm以上40μm以下であり、前記濾過層の厚さを前記支持層の厚さより大としていると共に、融着後の前記積層体の厚さを15μm以上としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の多孔質複層フィルター。
- 前記中間層の濾過層間に、空孔の平均孔径が前記濾過層の空孔の平均孔径より大きい中間支持層を有する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の多孔質複層フィルター。
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