JP4850451B2 - 感熱孔版印刷原紙用水性接着剤および感熱孔版印刷原紙 - Google Patents

感熱孔版印刷原紙用水性接着剤および感熱孔版印刷原紙 Download PDF

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Description

本発明は、接着性と熱穿孔性に優れた接着剤層を形成する感熱孔版印刷原紙用水性接着剤およびそれを用いた感熱孔版印刷原紙に関するものである。
従来より、感熱孔版印刷原紙としては、熱可塑性樹脂フィルム(例えば、ポリエステル樹脂フィルムやポリ塩化ビニリデン樹脂フィルムなど)に多孔性支持体(例えば、合成繊維および/または天然繊維から構成される薄葉紙、不織布、和紙、紗など)を接着剤で貼り合せた構造のものが知られている。熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱穿孔感度を高めるために、極めて薄いものが用いられている。近年においては、結晶性の低いポリエステル樹脂フィルムが用いられるようになってきた。一方、多孔性支持体は、サーマルヘッドの細密化に応じて1ドットの大きさを小さくするために、繊維径の細い合成繊維から構成される多孔性支持体が多く用いられている。
このように、感熱孔版印刷原紙の基本構成は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体であることから、両者を貼り合せる接着剤が不可欠であり、接着剤の選定や接着方法が感熱孔版印刷原紙の品質を左右する重要な要因となっている。
感熱孔版印刷原紙用接着剤としては、強力な接着力と、熱可塑性樹脂フィルムの穿孔温度以下で熱軟化溶融することが必要であり、かつ感熱孔版印刷原紙の熱穿孔感度を低下させないように接着剤の塗布量はごく少量とする必要がある。また、生産性を向上させる点、および、極めて薄い熱可塑性樹脂フィルムの収縮を避ける点などから低温での乾燥性と接着性が求められている。
さらに近年、環境保護、省資源、消防法などによる危険物規制、職場環境改善の立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、水性接着剤の開発が盛んにおこなわれており、感熱孔版印刷原紙用水性接着剤の開発が望まれている。
例えば、特許文献1には、ウレタン樹脂を水に分散させてなる水系ウレタン樹脂を主成分とする接着剤を用いた感熱孔版印刷原紙が提案されている。しかしながら、水系ウレタン樹脂を主成分とする接着剤を用いた感熱孔版印刷原紙は、熱穿孔感度が低いため、製版が困難で、鮮明な印刷物が得られないなどの問題があった。
特開2002−254849号公報
本発明の課題は、接着性と熱穿孔性という相反する特性を満足する感熱孔版印刷原紙用水性接着剤およびそれを用いた感熱孔版印刷原紙を提供することにある。
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散しているポリエステル樹脂水性分散体を感熱孔版印刷原紙用水性接着剤とすることで、接着性と熱穿孔性に優れた接着剤層を形成することを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散されてなることを特徴とする感熱孔版印刷原紙用水性接着剤。
(2)ポリエステル樹脂の相対粘度が1.25以上、ガラス転移温度が0〜40℃であることを特徴とする上記(1)の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤。
(3)熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体の間に接着剤層を有する感熱孔版印刷原紙において、接着剤層が上記(1)または(2)に記載の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤より形成されていることを特徴とする感熱孔版印刷原紙。
本発明の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤は、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散しているポリエステル樹脂水性分散体を接着剤としているため、少ない塗布量でも熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを良好に接着することが可能であり、得られる感熱孔版印刷原紙は、熱穿孔性が優れており、印刷鮮明度も良好である。また、ポリエステル樹脂が分散している媒体が水性媒体であるため、環境面からも好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤は、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散されてなるものである。まず、ポリエステル樹脂について説明する。
(ポリエステル樹脂)
本発明において、ポリエステル樹脂は特に限定されないが、接着性の観点から、相対粘度が1.25以上であることが好ましく、1.30以上であることがより好ましく、1.35以上であることがさらに好ましく、1.40以上であることが最適である。上限は特に制限されないが通常2.0以下である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgとする)は、0〜40℃であることが好ましく、2〜35℃であることがより好ましく、4〜30℃であることがさらに好ましく、6〜25℃であることが最適である。Tgが低い場合は、フィルムと多孔性支持体の接着力が許容範囲内で低下する傾向にあり、Tgが高い場合は、熱穿孔感度が許容範囲内で低下する傾向にある。
ポリエステル樹脂の酸価は特に限定されないが、2mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であることが好ましく、4.6mgKOH/g以上、8mgKOH/g未満であることがさらに好ましい。酸価が8mgKOH/g以上である場合には、ポリエステル樹脂の相対粘度が小さくなり、接着力が許容範囲内で低下する傾向にある。また、酸価が2mgKOH/g未満である場合には、均一な水性分散体を得ることが困難な場合がある。
ポリエステル樹脂は多塩基酸成分と多価アルコール成分とから合成されるものである。以下にこれらのポリエステル樹脂の構成成分について説明する。
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分としては、例えば、芳香族多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂環式多塩基酸などが挙げられる。
芳香族多塩基酸のうち芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族多塩基酸のうち脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコサン二酸、水添ダイマー酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
脂環式多塩基酸のうち脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロフタル酸およびその無水物などが挙げられる。
また、多塩基酸成分として、3官能以上の多塩基酸、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸などが含まれていてもよいが、ポリエステル樹脂製造時のゲル化を抑制するために、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分に占める3官能以上の多塩基酸の割合は、5モル%以下にとどめることが好ましい。
また、多塩基酸成分として、5−ナトリウムスルホイソフタル酸など、カルボキシル基や水酸基以外の親水性基を有する多塩基酸成分も使用することができるが、水性分散体より形成される接着剤層の耐水性が悪くなる傾向にあるので、このような多塩基酸成分は使用しないほうが好ましい。
上記した多塩基酸成分の中でも、芳香族多塩基酸を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分中50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましい。芳香族多塩基酸の割合を増すことにより、脂肪族や脂環式のエステル結合よりも加水分解されにくい芳香族エステル結合が樹脂骨格に占める割合が多くなるので、水性分散体を長期保存した場合でも、ポリエステル樹脂の相対粘度の低下を小さくすることができる。芳香族多塩基酸としては、工業的に多量に生産されているので安価であることからテレフタル酸とイソフタル酸が好ましい。
ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、1分子あたり2個以上の水酸基を有する化合物であれば特に制限されず、例えば、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコールなどが挙げられる。
炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールなどが挙げられる。
炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
また、多価アルコール成分として、ビスフェノール類(ビスフェノールAやビスフェノールSなど)のエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加体なども使用することができる。
さらに、多価アルコール成分として、3官能以上の多価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが含まれていてもよいが、ポリエステル樹脂製造時のゲル化を抑制するために、ポリエステル樹脂の多価アルコール成分に占める3官能以上の多価アルコールの割合は、5モル%以下にとどめることが好ましい。
多価アルコールとしては、工業的に多量に生産されているので安価であることからエチレングリコールとネオペンチルグリコールが好ましい。
ポリエステル樹脂には、モノカルボン酸、モノアルコール、ヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸などのほか、p−ヒドロキシ安息香酸のエチレンオキサイド付加体も用いることができる。
ポリエステル樹脂を構成する多塩基酸成分−多価アルコール成分の好ましい組み合わせを以下に示す。
(1)芳香族ジカルボン酸−脂肪族グリコール;
(2)芳香族ジカルボン酸−3官能以上の多塩基酸−脂肪族グリコール;
(3)芳香族ジカルボン酸−脂肪族ジカルボン酸−脂肪族グリコール;
(4)芳香族ジカルボン酸−脂肪族ジカルボン酸−3官能以上の多塩基酸−脂肪族グリコール;
(5)芳香族ジカルボン酸−脂肪族グリコール−エーテル結合含有グリコール;
(6)芳香族ジカルボン酸−3官能以上の多塩基酸−脂肪族グリコール−エーテル結合含有グリコール;
(7)芳香族ジカルボン酸−脂肪族ジカルボン酸−脂肪族グリコール−エーテル結合含有グリコール;
(8)芳香族ジカルボン酸−脂肪族ジカルボン酸−3官能以上の多塩基酸−脂肪族グリコール−エーテル結合含有グリコール。
より好ましい組み合わせは上記組み合わせ(2)、(3)、(4)および(6)、特に(4)および(6)である。
本発明においてポリエステル樹脂は、少なくとも前記の多塩基酸成分と多価アルコール成分とを公知の方法により重縮合させることにより製造することができる。例えば、全モノマー成分及び/又はその低重合体を不活性雰囲気下で180〜260℃、2.5〜10時間程度反応させてエステル化反応を行い、引き続いてエステル交換反応触媒の存在下、130Pa以下の減圧下に220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進めてポリエステル樹脂を得る方法等を挙げることができる。
ポリエステル樹脂に所望の酸価を付与する場合には、上記の重縮合反応に引き続き、多塩基酸成分をさらに添加し、不活性雰囲気下、解重合を行うことが好ましい。
解重合で用いる多塩基酸としては、ポリエステル樹脂の構成成分で説明した多塩基酸成分が挙げられるが、その中でも、3官能の多塩基酸であるトリメリット酸、無水トリメリット酸が好ましい。
多塩基酸成分を用いて解重合を行う場合において、芳香族多塩基酸等のポリエステル樹脂構成成分の含有割合は、解重合に使用される多塩基酸成分も構成成分として包含した割合が前記範囲内であればよい。
本発明のポリエステル樹脂は、多塩基酸を用いて上記の解重合によりカルボキシル基を導入したポリエステル樹脂であることが好ましい。解重合によりカルボキシル基を導入することにより、ポリエステル樹脂の分子量や酸価を容易にコントロールすることができる。
(感熱孔版印刷原紙用水性接着剤)
本発明の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤(以下、単に水性接着剤ということがある)は、上記ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散されてなるものであり、好ましくはポリエステル樹脂の微粒子が水性媒体中に均一に分散されたポリエステル樹脂水性分散体である。
本発明における水性接着剤の分散平均粒径、すなわち、水性媒体中に分散しているポリエステル樹脂の体積平均粒径は特に限定されないが、200nm以下であることが好ましく、180nm以下であることがより好ましく、160nm以下であることがさらに好ましい。体積平均粒径が200nmを超えると、水性分散体中のポリエステル樹脂が沈降しやすくなり、貯蔵安定性が損なわれる傾向にある。また、体積平均粒径を小さくすることで、低温での乾燥造膜性、接着性が向上する傾向にある。
ポリエステル樹脂含有率(固形分濃度)は、特に限定されるものではないが、薄くて均一な接着層を形成させる点で、1〜35質量%が好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。
ポリエステル樹脂が分散される水性媒体は、水以外に常圧時の沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤を含有していることが、低温での乾燥性(生産性)の点から好ましく、その含有率は、媒体全量を100質量%とした場合、10〜98質量%が好ましく、20〜96質量%がより好ましく、35〜90質量%がさらに好ましい。特にポリエステル樹脂水性分散体の固形分濃度が低い場合は、水性媒体の割合が大きいため、水性媒体中に沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤を含有していることが好ましい。
沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤は、熱可塑性樹脂フィルムを侵すことはなく、含有率が多くなれば低温、短時間の乾燥でも優れた接着性を発現するため生産性に優れている。ただし、その割合が98質量%を超えると樹脂の分散性が低下する場合がある。ここで、水溶性有機溶剤とは、20℃における水に対する溶解性が100g/l以上のものをいう。
そのような水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトンなどが挙げられ、樹脂の分散安定性および低温乾燥性の点からエタノール、イソプロパノールが特に好ましい。
本発明の水性接着剤には塩基性化合物を含有させることが好ましい。塩基性化合物によってポリエステル樹脂のカルボキシル基を中和してカルボキシルアニオンを生成し、このアニオン間の電気反発力によって、ポリエステル樹脂の微粒子を凝集させず安定に分散させることができる。
塩基性化合物としては、乾燥時に揮散しやすい点から、沸点が250℃以下、好ましくは160℃以下の有機アミン、あるいはアンモニアが好ましい。好ましく用いられる有機アミンの具体例としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリンなどが挙げられ、中でも、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンを使用することが好ましい。
水性接着剤中の塩基性化合物の含有量としては、ポリエステル樹脂のカルボキシル基を部分中和できる量以上であれば特に制限されず、例えば、ポリエステル樹脂のカルボキシル基の総モル量に対して0.5〜20倍当量であることが好ましく、0.8〜10倍当量であることがより好ましく、0.9〜6倍当量であることがさらに好ましい。
水性接着剤には、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との接着性をさらに向上させるために、架橋剤を添加してもよい。特にポリエステル樹脂のカルボキシル基を有機アミン、あるいはアンモニアで中和することによってポリレステル樹脂を分散させる場合、架橋剤を添加後も安定な分散を達成できる。
架橋剤の添加量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましい。架橋剤の添加量が0.1質量部未満では、各種性能の向上の程度が小さく、30質量部を超えると、熱穿孔感度が低下する場合がある。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、ポリエステル樹脂のカルボキシル基や水酸基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属などを用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、シランカップリング剤などが好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用してもよい。中でも、接着剤の安定性や低温乾燥での接着性の点から、イソシアネート化合物が好ましい。
さらに水性接着剤には、その特性が損なわれない範囲で、有機または無機のフィラー、板状顔料、無機層状化合物、顔料、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、凍結融解安定剤、塗膜形成助剤、防腐剤、防カビ剤、防サビ剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル補足剤、耐候剤、難燃剤、レベリング剤、ワキ防止剤などの他の添加剤を添加することができる。さらに、初期接着性を向上させるために、ガラス転移温度が30℃以下のポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を添加してもよいし、粘着付与剤やワックスを添加してもよい。
本発明の水性接着剤には界面活性剤を含有させないことが好ましい。界面活性剤を含有していない水性接着剤層は、耐水性に優れている。
本発明の水性接着剤は、上記した所定の材料、例えば、ポリエステル樹脂、塩基性化合物、有機溶剤、水を一括で容器に仕込み、系内を攪拌しながら加熱することで調製できる。以下、本発明の水性接着剤の調製方法の一例をについて説明する。
まず、液体を投入できる槽を備え、槽内に投入された水性媒体とポリエステル樹脂粉末ないしは粒状物との混合物を適度に撹拌できる装置を用意する。そのような装置としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができ、通常は簡易的な蓋部を備え付け、常圧または微加圧下で使用されるが、必要に応じて、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することもできる。
この装置の槽内に前記した水、塩基性化合物及び有機溶剤とからなる水性媒体、並びに粒状ないしは粉末状のポリエステル樹脂を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合して粗分散させる。この際に、ポリエステル樹脂の形状が、粗分散が困難なシート状や大きな塊状である場合には、下記の加熱工程に移行すればよい。次いで、槽内の温度を好ましく45℃以上、より好ましくはポリエステル樹脂の(Tg−20)℃以上、さらに好ましくはポリエステル樹脂の(Tg−10)℃以上の温度に保ちつつ、好ましくは15〜120分間攪拌を続けることによりポリエステル樹脂を十分に水性化させ、その後、好ましくは攪拌下で40℃以下に冷却することにより、本発明の水性接着剤を得ることができる。
使用される水性媒体における有機溶剤の含有率および塩基性化合物の含有量はそれぞれ、前記した有機溶剤含有率および塩基性化合物含有量が達成されるような範囲内であれば特に制限されない。特に、水性媒体中における有機溶剤の含有率は、有機溶剤が後述の脱溶剤工程で除去され得ることを考慮すると、脱溶剤なしに前記した有機溶剤含有率が達成されるような値より大きくても良い。
槽内の加熱方法としては槽外部からの加熱が好ましく、例えば、オイルバスやウォーターバスを使用して外部加熱を行うことや、槽自体にジャケットを備え付け、そのジャケット内に加熱されたオイルまたは水を流すことにより、槽内を外部加熱する方法を挙げることができる。
槽内の冷却方法としては、例えば、室温で自然放冷する方法や上記加熱方法において、0〜40℃のオイルまたは水を使用して冷却する方法を挙げることができる。尚、冷却は水性分散体を攪拌しながら行うことが好ましい。水性分散体を攪拌せずに冷却した場合には、水性分散体の液面(空気と接する面)にポリエステル樹脂の被膜が形成される場合があるため好ましくない。
このようにして得られた水性接着剤は、必要に応じて、脱溶剤工程が付け加えられる。脱溶剤工程は、得られた水性接着剤から、ポリエステル樹脂の溶解工程で用いた有機溶剤や水性媒体に含まれる有機溶剤の一部またはすべてを系外に除去する工程である。
脱溶剤工程は詳しくは、得られた水性接着剤に含まれる有機溶剤を、蒸留により、その一部またはすべてを水性接着剤から除去する工程である。この工程は、減圧下または常圧下で行うことができる。常圧下で脱溶剤すると凝集物が発生しやすい場合もあるが、そのようなときは、減圧下で行い、内温を70℃以下、好ましくは60℃以下、さらに好ましくは50℃以下となるように調節するとよい。脱溶剤工程を行う装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な攪拌ができるものであればよい。なお、脱溶剤工程を行うことにより、水性接着剤に含まれ、ポリエステル樹脂の中和に寄与していない塩基性化合物の一部またはすべてを除去することもできる。
このような調製方法により、本発明の水性接着剤は、外観上、水性媒体中に沈殿、相分離といった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない均一な状態で得ることができる。
水性接着剤の調製にあたっては、異物等を除去する目的で、工程中に濾過工程を設けてもよい。このような場合には、例えば、300メッシュ程度のステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)を設置し、加圧濾過(空気圧0.2MPa)を行えばよい。
本発明の水性接着剤は、一旦、固形分濃度が、例えば、15質量%以上の高濃度であるポリエステル樹脂水性分散体を得た後で、当該水性分散体に、水および/または常圧時の沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤を添加して所定の固形分濃度を達成する方法で得ることが好ましい。高濃度のポリエステル樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂の含有割合を比較的高く設定すること以外、上記水性接着剤の調製方法と同様の方法により、調製可能である。水性接着剤に、前記した架橋剤や他の添加剤を含有させる場合には、上記高濃度ポリエステル樹脂水性分散体に、水および/または常圧時の沸点が100℃以下の水溶性有機溶剤を添加する際に添加すればよい。
(感熱孔版印刷原紙)
本発明の感熱孔版印刷原紙は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体との間に接着剤層を有するものであり、当該接着剤層が上記感熱孔版印刷原紙用水性接着剤より形成されていることを特徴とする。
熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などのホモポリマーやコポリマーからなるフィルムなどが挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂フィルムが好ましく、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートコエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートコシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどの共重合体を挙げることができる。熱穿孔感度を向上させるために特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートコエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートコシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどの共重合体を挙げることができる。
熱可塑性樹脂フィルムには必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックスなどの有機滑剤あるいはポリシロキサンなどの消泡剤などを配合することができる。さらには必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与方法としては特に制限はないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸類、スチレンなどを構成成分とする有機高分子粒子などを配合する方法、内部粒子による方法、界面活性剤を塗布する方法などがある。
熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、通常好ましくは0.1μm〜5.0μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜3.0μmである。厚さが5.0μmを超えると熱穿孔感度が低下する場合があり、0.1μmより薄いと耐刷性が低下する場合がある。
本発明の感熱孔版印刷原紙を構成する多孔性支持体は、マニラ麻、こうぞ、みつまた、パルプなどの天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ビニロン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはその共重合体などから得られる合成繊維、レーヨンなどの半合成繊維からなるものが挙げられる。また芯鞘構造を有するバインダー繊維などを用いてもよい。これらの多孔性支持体の構成繊維は単体で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
多孔性支持体の坪量は、通常好ましくは3g/m〜20g/mである。坪量が20g/mを超えると、インキの通過性が低下して印刷鮮明性が悪くなる傾向にある。また坪量が3g/mより少ないと支持体として十分な強度を得られない場合がある。
多孔性支持体は、短繊維を抄紙した抄造紙であってもよいし、不織布や織物であってもよいし、スクリーン紗などであってもよいが、不織布を用いることがより好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体の間に接着剤層を有しており、熱可塑性樹脂フィルムの外面には、穿孔時の融着を防止するため、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッソ系樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、耐熱剤、酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料、分散助剤、防腐剤、消泡剤などからなる薄層を設けることが望ましい。該融着防止の薄層の厚みは、好ましくは0.005μm〜0.4μm、より好ましくは0.01μm〜0.4μmである。本発明の感熱孔版印刷原紙において融着防止の薄層を設ける方法は特に限定されないが、水、溶剤などに希釈した溶液をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーターなどを用いて塗布し、乾燥するのが好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙において、接着剤の塗布方法は特に限定されず、接着剤をロールコーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコーターなどを用いて塗布すればよい。塗布基材も、熱可塑性樹脂フィルムに塗布してもよく、多孔性支持体に塗布してもよく、両方に塗布してもよいが、生産性を考慮すれば熱可塑性樹脂フィルムに塗布することが好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙において、乾燥後の接着剤塗布量は0.1〜2g/mが好ましく、0.2〜1g/mがより好ましい。塗布量が0.1g/mより少ないと接着力が低い場合があり、2g/mを超えると熱穿孔感度が低下する傾向にある。本発明の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤は上記のように比較的少ない塗布量においても均一な接着剤層を形成でき、かつ、接着性も良好である。
接着剤の乾燥温度については、熱可塑性樹脂フィルムや多孔性支持体が変形しない温度であればよく、10〜80℃が好ましく、40〜65℃がより好ましいが、特に限定されるものではない。乾燥時間は10〜180秒間、特に10〜60秒間が好ましいが、特に限定されるものではない。
また、架橋剤を添加した場合は、乾燥後、20〜60℃でエージング処理をおこない架橋反応を進行させることが、接着性をさらに向上させる上で好ましい。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明する。
(1)ポリエステル樹脂の構成
H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)より求めた。また、H−NMRスペクトル上に帰属・定量可能なピークが認められない構成モノマーを含む樹脂については、封管中230℃で3時間メタノール分解をおこなった後に、ガスクロマトグラム分析に供し、定量分析をおこなった。
(2)ポリエステル樹脂の相対粘度
ポリエステル樹脂を100mgを20mlのフェノール/四塩化エタン=5/5(重量比)の混合溶液に溶解し、ウベローデ型自動粘度計を用いて20℃の温度にて、試料溶液および溶媒の流下時間を測定し、次式により相対粘度を求めた。
相対粘度=t/t
t:試料溶液の流下時間(秒)
:溶媒の流下時間(秒)
(3)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点温度の中間値を求め、これをガラス転移温度(Tg)とした。
(4)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=1/9(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定をおこない、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
(5)接着剤のポリエステル樹脂体積平均粒径
接着剤を0.1%に水で希釈し、日機装製、MICROTRAC UPA(モデル9340−UPA)を用いて体積平均粒径を測定した。
(6)接着剤の固形分濃度
接着剤を約1g秤量(Xgとする)し、これを150℃で2時間乾燥した後の残存物(固形分)の質量を秤量し(Ygとする)、次式により固形分濃度を求めた。
固形分濃度(質量%)=Y/X×100
(7)水性媒体中の水溶性有機溶剤含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−UNIPORT HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用いた。接着剤に内部標準物質と水を加えた試料(試料中の内部標準物質の濃度は検量線用試料とそろえた)を直接装置内に投入して、水溶性有機溶剤の含有率を求めた。
(8)接着剤塗布量
厚み計(ユニオンツール社製、MICROFINE)を用いて、フィルムの厚みを予め測定しておき、接着剤を塗布、乾燥してフィルム上に接着剤層を形成した後、この接着剤層を有するフィルムの厚みを同様の方法で測定し、その差から接着剤層の厚み(Tμm)とする)を測定後、次式により接着剤塗布量(g/m)を求めた。
接着剤塗布量(g/m)=厚み(Tμm)×1.25
(9)剥離強度
感熱孔版印刷原紙を15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、引張り速度50mm/分、引張り角度180度でポリエステル樹脂フィルムと多孔性支持体との間の剥離強度を測定した。
(10)熱穿孔性
感熱性孔版原紙を室温で3日放置後、16ドット/mmのサーマルヘッドを備えた製版印刷機(ゲステットナー社製CD760)で、原稿として画像電子学会のファクシミリテストチャ−トNo.2およびカラーテストチャートNo.11を用いて製版をおこなった。ベタ画像部およびハーフトーン画像部の網点抜け(白抜け)の有無、その程度を目視評価した。
◎:網点抜けがなく、均一なトーンで鮮明なもの。
○:網点抜けがごく一部にあるか、あるいは、ごく微小な網点抜けがあるが、目立たないもの(実用上許容範囲内)。
×:網点抜けが明瞭に認められるもの。
また、実施例および比較例で用いたポリエステル樹脂は、以下のようにして得た。
[ポリエステル樹脂P−1の製造]
テレフタル酸2492g(60モル部)、イソフタル酸623g(15モル部)、セバシン酸1263g(25モル部)、エチレングリコール1288g(83モル部)、ネオペンチルグリコール1354g(52モル部)からなる混合物をオートクレーブ中で、250℃で4時間加熱してエステル化反応をおこなった。ついで、触媒として酢酸亜鉛二水和物3.3gを添加した後、系の温度を275℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて時間後に13Paとした。この条件下でさらに2時間重縮合反応を続け、系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、265℃になったところで無水トリメリット酸29g(0.6モル部)を添加し、265℃で2時間攪拌して解重合反応をおこなった。その後、系を窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出し、室温で放冷後、シート状のポリエステル樹脂P−1を得た。
[ポリエステル樹脂P−2〜P−7の製造]
各原料の仕込み組成を表1に示したように変えた以外は前記P−1の製造と略同様にして各ポリエステル樹脂を得た。
Figure 0004850451
このようにして得られたポリエステル樹脂の特性を分析した結果を表2に示す。
Figure 0004850451
[実施例1]
ジャケット付きガラス容器(内容量2l)にポリエステル樹脂P−1を400gとMEKを600g投入し、ジャケットに60℃の温水を通して加熱しながら、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)を用いて攪拌することにより、完全にポリエステル樹脂を溶解させ、固形分濃度40質量%のポリエステル樹脂溶液1000gを得た。つぎに、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、回転速度600rpmで攪拌しながら、塩基性化合物としてトリエチルアミン24.7gを添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を総重量が2000gとなるまで添加して転相乳化をおこなった。蒸留水を全量添加する間、系内温度を常に15℃以下に保った。蒸留水添加終了後、30分間攪拌して固形分濃度が20質量%の水性分散体を得た。
ついで、得られた水性分散体のうち、1600gを2lのフラスコに入れ、常圧下で蒸留をおこなうことで有機溶剤を除去した。蒸留は留去量が約533gになったところで終了し、室温まで冷却後、250メッシュのステンレス製フィルターで濾過してポリエステル樹脂水性分散体を得た。ポリエステル樹脂水性分散体の体積平均粒径131nm、固形分濃度30質量%であった。さらに固形分濃度が5質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−1を調整した。
次に、融点が230℃以下の共重合ポリエステル樹脂フィルム(厚み2.0μmの2軸延伸フィルム)に接着剤E−1を塗布し、ウエットの状態で多孔性支持体(ポリエステル短繊維不織布、8.5g/m)を張り合わせ、60℃、15秒で乾燥することにより感熱孔版印刷原紙を得た。乾燥後の接着剤塗布量は0.7g/mであった。その後、この原紙のフィルム面にシリコンオイルエマルション(東レダウコーニング・シリコーン社製、SM−8701)を塗布乾燥し、本発明の感熱孔版印刷原紙を得た。
[実施例2]
固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂溶液とすること、留去量を約400gとする以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−1を含有する、体積平均粒径75nm、固形分濃度20質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が5質量%になるようにイソプロパノールを添加して接着剤E−2を調製した。
次に接着剤E−2を塗布した以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
参考例1
実施例2で得られた、ポリエステル樹脂P−1を含有する、体積平均粒径75nm、固形分濃度20質量%のポリエステル樹脂水性分散体をそのまま接着剤E−3とした。
次に接着剤E−3を塗布し、乾燥後の接着剤付着量を1.1g/mとした以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[参考例
ポリエステル樹脂をP−2とすること、トリエチルアミンを7.4gとすること以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂水性分散体の体積平均粒径70nm、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−4を調製した。
次に接着剤E−4を塗布し、乾燥後の接着剤付着量を0.9g/mとした以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[参考例
ポリエステル樹脂をP−3とすること、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂溶液とすること、トリエチルアミンを48.7gとすること、留去量を約640gとする以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−3を含有する、体積平均粒径96nm、固形分濃度25質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−5を調製した。
次に接着剤E−5を塗布した以外は、参考例と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[実施例
ポリエステル樹脂をP−4とすること、塩基性化合物として28質量%アンモニア7.4gとすること以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−4を含有する、体積平均粒径112nm、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノールを添加して接着剤E−6を調製した。
次に接着剤E−6を塗布した以外は、参考例と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[参考例
ポリエステル樹脂をP−5とすること、トリエチルアミンを9.8gとすること以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−5を含有する、体積平均粒径66nm、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−7を調製した。
次に接着剤E−7を塗布した以外は、参考例と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[実施例
ポリエステル樹脂をP−6とすること、トリエチルアミンを28.1gとすること以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−6を含有する、体積平均粒径184nm、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。さらに固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−8を調製した。
次に接着剤E−8を塗布した以外は、参考例と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[実施例
ポリエステル樹脂をP−7とすること、トリエチルアミンを21.6gとすること以外は実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂P−7を含有する、体積平均粒径109nm、固形分濃度30質量%のポリエステル樹脂水性分散体を得た。固形分濃度が10質量%になるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶液を添加して接着剤E−9を調製した。
次に接着剤E−9を塗布した以外は、参考例と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
[実施例
実施例1のポリエステル樹脂水性分散体に架橋剤としてイソシアネート化合物を添加した。
まず、非ブロック型の多官能イソシアネート化合物(BASF社製、バソナートHW−100、イソシアネート含有率約17質量%)(以下、HW−100)を水/イソプロパノールが95/5(質量比)の混合溶媒で10質量%になるように希釈しておいた。実施例1のポリエステル樹脂水性分散体に前記イソシアネート希釈液をポリエステル樹脂/イソシアネートが100/5(質量比)になるように添加した。この液に固形分濃度が5質量%となるようにイソプロパノールを添加して接着剤E−10を調製した。
次に接着剤E−10を塗布した以外は、実施例1と同様の方法で孔版印刷原紙を得た。
[比較例]
水系ウレタン樹脂(三井武田ケミカル社製、タケラックW−7004、固形分濃度33質量%)(以下、W−7004)を、固形分濃度が5質量%となるようにイソプロパノール/蒸留水が7/3(質量比)の混合溶媒を添加して接着剤E−11を調製した。
次に接着剤E−11を塗布し、乾燥後の接着剤付着量を1.0g/mとした以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷原紙を得た。
得られた感熱孔版印刷原紙の特性を表3に示す。
Figure 0004850451
本発明の感熱孔版印刷用接着剤を用いることにより低温、短時間の乾燥で、しかも、少ない塗布量で優れた接着性が発現した。さらに、得られた感熱孔版印刷原紙の熱穿孔性も良好であった(実施例1〜および参考例1〜)。それらの中でも以下に示す傾向が認められた。
・ポリエステル樹脂体積平均粒径が小さく、水溶性有機溶剤含有率が高い接着剤の方が、接着性が向上する。また、接着剤塗布量を上げると接着性は向上する(実施例1,2,参考例1の比較)。
・ポリエステル樹脂のTgが高いと熱穿孔性が低下する。また、Tgが低いと接着性が低下する(参考例,実施例の比較)。
・ポリエステル樹脂の相対粘度が高いと接着性が向上する(参考例,実施例の比較)。
・接着剤に架橋剤を添加すると接着性は向上する(実施例1,の比較)。
比較例では、水系ウレタン樹脂を主成分とする接着剤を用いたが、本発明の範囲外であったため、ポリエステル樹脂が水性媒体中に分散している接着剤に比べ熱穿孔性が悪く、印刷が不鮮明であった。

Claims (3)

  1. ポリエステル樹脂が、沸点100℃以下の水溶性有機溶剤を媒体全量に対して52〜86質量%で含有する水性媒体中に分散されてなる感熱孔版印刷原紙用水性接着剤であって、ポリエステル樹脂の相対粘度が1.25以上、ガラス転移温度が2〜35℃であり、ポリエステル樹脂含有率が2〜20質量%であることを特徴とする感熱孔版印刷原紙用水性接着剤。
  2. 感熱孔版印刷原紙における乾燥後の接着剤塗布量が0.1〜2g/mとなるように使用される請求項1に記載の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤。
  3. 熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体の間に接着剤層を有する感熱孔版印刷原紙において、接着剤層が請求項1または2に記載の感熱孔版印刷原紙用水性接着剤より形成されていることを特徴とする感熱孔版印刷原紙。
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