JP4850204B2 - 被覆工具 - Google Patents

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Description

本願発明は、物理蒸着により工具基材に耐摩耗性と耐熱性に優れた皮膜を被覆した多層被覆工具に関する。特に、切削工具、金型等の被覆工具に関する。
切削工具の耐摩耗性を改善するためにコランダム構造の酸化物皮膜を被覆した技術が、特許文献1、2に開示されている。特許文献3は、異なる組成の酸化物皮膜を0.4〜50nmの積層周期で被覆した部材を開示している。
特開2002−053946号公報 特開平5−208326号公報 特許第3460287号公報
本願発明は、PVD法によりコランダム構造を有する酸化物皮膜の高硬度化を図り、耐摩耗性と耐熱性に優れた被覆工具を提供することである。
本願発明は、物理蒸着により酸化物を工具基材に被覆した多層被覆工具において、該酸化物はA層、B層からなり、該A層はCr酸化物、該B層は(AlxCry)を金属成分とする酸化物、但し、x、yは原子比率(%)、50≦x≦90、x+y=100、であり、該A層と該B層は交互積層した積層構造を有し、該A層の平均層膜(nm)をTA、該B層の平均層厚(nm)をTBとしたとき、TA≦50、TB≦50であり、該B層はコランダム構造の結晶構造を有し、CuKα線を使用したX線回折において、(11・6)面の回折ピークの2θ値が、(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)、但し、αは2.652×10−2、の範囲にあり、該A層と該B層の最大強度を示す面指数が(10・4)面であることを特徴とする多層被覆工具である。上記の構成を採用することによって、PVD法によりコランダム構造を有する酸化物皮膜の高硬度化をはかり、耐摩耗性と耐熱性に優れた被覆工具を提供することができる。
本願発明の多層被覆工具において、X線回折におけるA層とB層の最大強度を示す面指数が同一であること、また、B層の(10・4)面の回折強度をI(10・4)、(11・6)面の回折強度をI(11・6)としたとき、I(10・4)/I(11・6)≧2であることが好ましい。また、TA≦30、TB≦30、であること、1<TA/TB≦5であることが好ましい。また、A層とB層との界面における格子縞が連続していること、A層、B層のAl、Crの1部をNb、Si、W、Y、硼素から選択される1種以上で置換したことが好ましい。更に、酸化皮膜と工具基材の界面の中間層に窒化物層を有すること、最表層に窒化物層を有することが好ましい。
本願発明によって、PVD法によりコランダム構造を有する酸化物皮膜の高硬度化を図り、耐摩耗性と耐熱性に優れた被覆工具を提供することができた。本願発明の酸化物皮膜が高硬度と伴に緻密性、平滑性をも兼ね備え、突発的なチッピングや異常摩耗の発生が抑制され、耐摩耗性に優れた被覆工具を提供することができ、工具の耐久性を改善して工具寿命を向上させることができた。
本願発明は、コランダム構造を有する酸化物皮膜の高硬度化をはかり耐摩耗性と耐熱性に優れ、更に緻密性、平滑性をも兼備した酸化物皮膜の積層構造に関して詳細に検討した。そして、従来の酸化物皮膜、特に酸化アルミニウムが実用環境下で突発的なチッピングや異常摩耗を発生し易く、耐摩耗性が十分でないという欠点を改善した。本願発明の酸化物皮膜が高硬度となる理由は、A層とB層がコランダム構造を有し、この結晶構造を維持したまま成長して、且つ、A層とB層とが夫々面間隔の異なる結晶構造を有していることから両層の積層界面近傍で格子歪による圧縮応力を発生することに由来する。即ち、A層とB層の界面では略同一の面間隔を保ちながら連続的に成長するため、この界面における密着強度は高い状態となる。それと同時に積層界面近傍での格子歪は、両層内に蓄積されるため高い残留圧縮応力を有し、高硬度化が達成されるのである。また格子歪は、粒成長を抑制する効果もあることから酸化物粒子が微細化され、酸化物皮膜表面の平滑性が向上する作用も有する。ここで、A層とB層の結晶構造はコランダム構造であるが、コランダム構造と略相似な六方最密晶構造であってもよい。
本願発明の酸化物皮膜はA層、B層からなり、A層はCr酸化物、B層は(AlxCry)を金属成分とする酸化物、但し、x、yは原子比率(%)、50≦x≦90、x+y=100、であり、A層とB層は交互積層した積層構造を有している。B層の組成におけるx値は、50≦x≦90、を満足する必要がある。x値が50未満では酸化物粒子が粗大化する傾向にあり、皮膜硬度と表面平滑性が劣化してしまう。一方、x値が90を越えて大きいと、コランダム構造を維持できなくなり、結晶性が低下するため硬度が低下し、耐摩耗性が劣化してしまう。
本願発明の酸化物皮膜は、夫々TA≦50、TB≦50である。TA値が50nmを超える場合、両層間の密着強度が低下し、皮膜硬度が低下するため、耐摩耗性を改善することができない。TB値が50nmを超える場合、両層間の格子歪による皮膜の高硬度化が達成されず、工具の耐久性を改善できない。また結晶粒の成長も抑制できないため、緻密性、平滑性が得られない。
本願発明の酸化物皮膜のA層とB層が高い密着強度を維持した状態で格子歪を発生させ、高硬度化と平滑性、緻密性に優れた酸化物皮膜を得るためには、X線回折において、A層とB層が略同一のコランダム構造を有し、回折ピークが夫々独立して存在する回折パターンを示し、B層の(11・6)面の回折ピークにおける2θ値を、(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)、の範囲内にすることが必要である。ここで、α値は2.652×10−2、50≦x≦90ある。上記の2θ値の範囲内とすることにより、皮膜の高硬度化と同時に高い密着強度が得られる。この理由は、つぎのように考えられる。まず、ICDD(国際回折データセンターの略)が収集しているデータベースのPDF(Powder Diffraction Fileの略)に記載の文献によると、コランダム構造又はコランダム構造と略相似な六方最密晶を有する酸化クロムの(11・6)面の2θ値は54.848度、α型酸化アルミニウムの(11・6)面の2θ値は57.500度である。そこで、B層の組成である(AlxCry)の酸化物を用い、x値を、0≦x≦100、x+y=100とし、上記の2つの2θ値から、座標(x、2θ)を求める。A層の酸化クロムの場合は、座標(0、54.848)、α型酸化アルミニウムの場合は、座標(100、57.500)となる。そこで上記2つの座標点を通る直線を(化1)で表し、図1に示した。
A層、B層は夫々略相似な結晶構造であるため、本来であればB層はx値に正比例の関係で2θ値が増加する。即ち、x値が60%の場合、2θ値は56.439度を示すことになる。しかし、本願発明の酸化物皮膜は、2層間の密着強度向上と格子歪を持たせるために、B層の2θ値が、(化1)から算出した2θ値より小さくなるように制御した。本願発明の酸化物皮膜におけるB層の2θ値が、(化1)から算出した2θ値より小さくなるように制御するために、夫々TA≦50、TB≦50、とすることが特に重要である。更に、本願発明の酸化物皮膜は、B層の組成を50≦x≦90の範囲内とし、(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)、但し、α値は2.652×10−2、とすることにより、酸化物皮膜を高硬度化し、同時に2層間の密着強度が高い状態で被覆することができた。これは上記の2θ値を得ることにより、A層とB層とが夫々面間隔の異なる結晶構造を有していることから、両層の積層界面近傍で格子歪による圧縮応力を発生させることができたからである。2θ値の上限値、下限値を示す直線を(化2)、(化3)で表し、図1に示した。図1において、斜線で囲まれた領域が、本願発明の規定する範囲である。
B層の2θ値が(化1)の直線よりも小さく(化2)の直線よりも大きい場合には、格子歪の発生による皮膜の高硬度化の効果が確認されなかった。また(化3)よりも小さくなる成膜パラメータは確認できなかった。X線回折による2θの測定には、回折ピーク位置から下ろした直線が左右対称のプロファイルとなるようにする。但し、回折ピークに重複がある場合は近似しても良い。また2θ値の測定時のバラツキは、小数点3桁以下の範囲であった。本願発明が(11・6)面の2θ値を選定した理由は、積層する窒化物系のピークとの重なりが無く、ピーク分離がし易いためである。以上のように本願発明の酸化物皮膜はB層のx値と2θ値の制御により、高硬度化と2層間の高い密着強度、緻密性と平滑性を同時に達成することができる。
本願発明の酸化物皮膜は、X線回折におけるA層とB層の最大強度を示す面指数を同一とすることにより、両層間の密着強度が高く、高硬度の皮膜が得られ、酸化物皮膜のチッピング等による異常摩耗が大幅に低減し、工具の耐摩耗性及び信頼性が高くなり好ましい。また、A層とB層の最大強度を示す面指数を(10・4)面とすることにより、酸化物皮膜の組織が緻密となり、高硬度の皮膜が得られる好ましい。更に、(10・4)面の回折強度をI(10・4)、(11・6)の回折強度をI(11・6)としたとき、I(10・4)/I(11・6)≧2を満たすことにより、酸化物皮膜が高硬度化され好ましい。
TA≦30、TB≦30、であることにより酸化物皮膜の結晶性の向上により高硬度化し、緻密性、平滑性が向上して好ましい。1<TA/TB≦5とすることにより、B層の2θ値を(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)の範囲に制御し易い。TA/TB値が1以下の場合、結晶性の低下傾向にあり、皮膜硬度が低下する。一方、5以上の場合、酸化物皮膜に占めるA層の比率が大きくなり硬度が低下する。
A層とB層との界面における格子縞が連続していることにより、両層間の密着強度が高い状態で格子歪が皮膜内に蓄積され、高硬度化、緻密化、平滑化に好ましい。格子縞の連続性は透過型電子顕微鏡による皮膜断面の格子像を観察することにより確認できる。
本願発明の酸化物皮膜のAl、Crの1部を、原子半径の大きいNb、W、Yで置換すると、B層の2θ値が低角度側に移動する傾向にあり、x値を高めて酸化物皮膜の耐熱性の向上に有効である。この時の置換量はNb、Wで10原子%未満、Y、硼素で5%未満である。別な効果として、AlCrターゲットにWを添加することにより、ドロプレットの低減が顕著であり、酸化物皮膜の平滑性が向上する。また、Al、Crの1部を、原子半径が小さいSi、硼素で置換すると、2θ値は大きく変化しないが、酸化物皮膜が高硬度化され、耐摩耗性を向上する。Alの1部をSiで置換すると、皮膜が微細化され、高硬度化、平滑性、緻密性が向上する。この時の置換量はAlとCrとSiの合計に対し、10原子%未満の範囲である。但し、AlとSiの合計がAlとCrとSiの合計に対し、70原子%を超えると酸化物皮膜が非晶質化し、硬度が急激に低下する。
本願発明の酸化物皮膜と工具基材との界面に中間層として窒化物層を被覆すると工具基材と密着性が向上し、機械的な摩耗に対する耐摩耗効果を発揮する。中間層は、Al、Ti、Cr、W、Nb、Siから選択される1種以上の窒化物層を1層以上被覆し、層厚は1〜12μmの範囲が最適である。最表層は本願発明の酸化物皮膜が干渉色を呈することから外観の安定化させ、成膜装置内の冶具や蒸発源周辺の導電性を確保して生産性を向上し、工具表面の導電性を確保し電気的な工具寸法の測定を可能にする。最表層は、Al、Ti、Cr、W、Nb、Siから選択される1種以上の窒化物層を1層以上被覆し、層厚は0.01〜3μmの範囲が最適である。中間層、最表層は、90%以上が窒化物で残部に炭化物、酸化物、硼化物、硫化物を含んでも良い。
本願発明の酸化物皮膜の残留圧縮応力は1〜6GPaの範囲が最適である。1GPa未満の場合、切削加工時に熱クラックからの欠損が発生し易くなり、工具寿命の改善効果に乏しい。一方、6GPaを超えて高くなると、工具エッジ部の酸化物皮膜が自己破壊を起こし、エッジ部に凝着物が堆積し易くなり、耐欠損性が低下する傾向にある。
本願発明の被覆工具は、特に高硬度鋼、ステンレス鋼、耐熱鋼、鋳鋼、炭素鋼の切削加工用に用いる切削工具が特に好ましく、例えば、ボールエンドミル、多刃エンドミル、インサート、ドリル、カッター、ブローチ、リーマ、ホブ、ルーター等が挙げられる。また、金型、パンチ等の工具にも優れた耐摩耗性を発揮出来る。最表面の凸部を機械的処理により平滑にすることにより、切削加工において、切屑排出性、切れ刃のチッピング抑制に効果的であり、更に切削寿命を改善することが可能である。工具基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、立方晶窒化硼素焼結体、ダイス鋼等が好ましい。超硬合金は、Co含有量3〜12重量%未満からなる。Coが3%未満では、突発的なチッピングや切れ刃の欠損が生じる場合がある。一方、Coが12%を超えると、工具として耐摩耗性が劣化するばかりではなく、耐摩耗皮膜との密着強度が低下し、耐剥離性も低下するため、好ましくない。
本発明例1の酸化物皮膜の成膜方法を述べる。物理蒸着法のアークイオンプレーティング(以下、AIPと記す。)法を採用し、真空容器内に皮膜の金属成分からなるターゲットを配置したアーク蒸発源を2基搭載している。アーク蒸発源C1、C2に装填した、金属ターゲットはC1にCrターゲット、C2に組成比がAl:70%、Cr:30%のターゲットを用い、C1とC2の交互積層構造とし酸化物皮膜を被覆した。基材は、皮膜の硬度、表面粗さ、結晶構造、積層構造、X線回折等を評価する試験用基材として鏡面加工を施したCo:10重量%の微粒子超硬合金製、SNMN120408形状を用いた。表面粗度は、Ra<0.01μm、Ry<0.1μmに調整した。また切削工具は、Co:8重量%の微粒子超硬合金製の刃先交換型ボールエンドミルを基材として用いた。各基材は脱脂洗浄を実施して真空容器に設置した。
まず始めに、基材を冶具に固定し、冶具を回転させながら、真空排気と同時にヒーターで基材温度を600℃に加熱した。基材温度を保持したまま容器内圧力が5×10−3Paに達した後、Arガスを導入してフィラメント電極の放電を開始した。基材に200Vの負のバイアス電圧を印加してArイオンによる基材クリーニングを30分間実施した。
クリーニング後、中間層の窒化物皮膜を被覆した。窒素ガスを1000sccm導入して圧力5〜7Paとし、C2に150Aの電力を供給し、引き続き窒素ガス流量を保持したままC1に150Aの電力を供給し、C1とC2の窒化物層の混合層を被覆した。
次に、酸化物皮膜を略2μm被覆した。この時、Arガスを用いず、窒素と酸素の混合ガス雰囲気下で7〜9Paの高いガス圧を採用した。窒素と酸素の混合ガスの流量比率は、窒素流量1100sccm、酸素流量100sccm、成膜温度は500℃、とした。窒素ガスの導入によって、酸化物皮膜内に混入するドロップレットを格段に低減できる。工具基材に印可する負バイアス電圧は150V、アーク蒸発源に印可するアーク電流は150A、電力供給パターンは、C1とC2を同時に稼動させた。工具基材回転数は毎分9回転、で回転させることによりA層、B層の層厚を制御膜厚した。次に、最表層として酸化物被覆用ターゲットにより、窒化物皮膜を略0.1μm被覆した。最表層により、連続バッチ処理が可能であり生産性が向上する。その後、炉内の温度が200℃以下まで容器内で冷却したのち、試料を容器から取り出した。
本願発明ではB層の2θ値を(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)の範囲に制御するために、層厚を制御する方法をもちいた。即ち、第1の方法として、C1とC2を同時に稼動させながら基材回転数を変化させることにより層厚を制御する方法、第2の方法として、C1、C2に交互に電力を供給しその電力供給時間を変化させることにより層厚を制御する方法、第3の方法として、C1とC2を同時に稼動させながらその時のアーク電流を変化させることにより層厚を制御する方法である。またこれら併用することも可能である。成膜条件を表1に示す。
得られた酸化物皮膜の組成は、波長分散型電子線プローブ微小分析(WDS−EPMA)により決定した。分析条件は、加速電圧10kV、試料電流5×10−8A、取り込み時間10秒、分析領域直径1μm、分析深さ略1μm、測定数5点で行い平均値を求めた。数値は、原子比で全体を100として示した。
皮膜の面粗度の評価は、接触式面粗さ測定器により、Ra値、Rz値を測定した。試験用基材表面は予め鏡面加工を施してあり、この基材での測定値を示した。
皮膜の硬度測定は、ナノインデンテーション装置を用いた。試験用基材を5度傾けて、鏡面研磨後、皮膜の研磨面内で最大押し込み深さが膜厚の略1/5でも基材の影響はなかったため、最大押し込み荷重を49mN、最大荷重保持時間1秒、荷重負荷後の除去速度0.49mN/秒の測定条件で10点測定し、その平均値を求めた。本測定方法による値は、圧子の微細形状、温度、湿度、表面状態の影響を受け易いため、標準試料の単結晶Siを同時に測定し、その時の硬度が12GPaであった。本測定結果をもとに相対比較することができる。
皮膜の結晶構造を決定はX線回折(XRD)装置を用いて行った。測定条件は、管電圧120kV、管電流40μm、X線源CuKα、X線入射角5度、X線入射スリット0.4mm、2θを20〜70度とした。更に、結晶構造の決定には、透過型電子顕微鏡(以下、TEMと記す。)による制限視野回折像も参考に決定した。また、B層の(11・6)面の2θ値も決定した。
皮膜の結晶構造の解析は、TEMによる断面観察によって行った。加速電圧200kVで観察した。組成分析にはエネルギー分散型分析(EDS)による直径1nm領域を分析し、直径1250nmの制限視野回折像の撮影をカメラ長50cmの条件で皮膜の結晶構造を同定した。更に各層厚やA層とB層の界面における格子縞の連続性の有無を調査した。A層厚とB層厚はTEMによる断面写真から実測した。TA値、TB値は各層の10層以上の平均値とし、10nm以下を四捨五入し数値化した。10層未満の層数の場合は全ての層の平均値とした。評価結果を表2、表3に示す。
本発明例5についてTEMによる皮膜断面を解析した。その結果、皮膜断面TEM像から周期的な交互積層構造の存在が確認できた。図2は1250nmφの制限視野回折像の回折パターンであり、本発明例5の結晶構造はコランダム構造を有することを確認した。図3は酸化物粒子の高倍率TEM像、図4は酸化物粒子の140nmφの制限視野回折像を示す。図4から積層構造を有する酸化物粒子は同一の結晶構造を有して成長していることを確認した。図5は図3の酸化物粒子の高倍率TEM像を示し、図6は図5中のスポット1における1nmφの極微電子線回折写真、図7はスポット2の回折写真を示す。図5の高倍率TEM像のスポット1は、エネルギー分散型X線分析結果より原子%で、Al:68.96%、Cr:31.04%の酸化物であり、スポット2はCr酸化物であった。図5、図6、図7からスポット1のB層、スポット2のA層は、同一の結晶構造、方位関係を保ちながらエピタキシャルに成長しており、その界面では格子縞の連続性を観察でき密着良く結合していることが確認できた。TEMによる解析結果から、A層、B層の存在と夫々の層厚、結晶構造、格子縞の連続性が確認できた。
次に図8は、本発明例5のX線回折結果を示す。測定結果より、A層に対応したA1、A2、B層に対応したB1、B2の回折ピークが現れた。A1とB1、A2とB2は夫々コランダム構造を有する結晶構造の同一面指数に対応している。A1とB1が(10・4)面、A2とB2が(11・6)面に対応している。図9はA2とB2の拡大図を示す。ICDDのPDFによれば、コランダム構造の酸化クロムの(11・6)面の2θ値が54.848度、同構造の酸化アルミニウムの(11・6)面の2θ値が57.500度であることを開示している。従って、図9のB2ピークはコランダム構造の酸化アルミニウムにCrが固溶した状態、又はコランダム構造の酸化クロムにAlが固溶した固溶体酸化物と考えられる。また、本発明例5の組成は、原子比で、Alが65%、Crが35%であることから、(化1)より、2θ値の計算値は56.57度となる。一方、B2の実測値は、56.308度であり、計算値との差は、低角度側へ0.262度移動している。この低角度側への移動量が酸化物皮膜に蓄えられる格子歪となり、高残留応力側への移動によって酸化物皮膜を高硬度化したものと考えられる。このように、本願発明の酸化物皮膜は、夫々A層、B層がコランダム構造の結晶構造を有し、異なる格子面間隔から構成されながら、界面では互いに整合性を保ちエピタキシャルに成長している。そのためB層内には格子歪が発生し、高硬度化が達成されている。また結晶粒成長が抑制され、緻密で平滑性に優れ皮膜を実現している。
本願発明の多層被覆工具の耐摩耗性を評価するために、直径32mmの刃先交換式ボールエンドミルを用いて次の試験条件により評価を実施した。耐摩耗性評価は、2300m、約3.5時間加工後の逃げ面摩耗幅で評価した。摩耗幅が0.15mm以下の時本願発明の効果有りと判断した。評価結果を表2に併記した。
(試験条件)
切削方法:10度傾斜面の等高線切削
被削材:FCD540
切り込み:軸方向、0.3mm、径方向、0.3mm
主軸回転数:毎分12000回転
1刃送り量:0.45mm/刃
切削油:なし、エアブロー
まずTA値、TB値の層厚制御方法の違いによる特性評価を行った。本発明例1、比較例21〜23はC1とC2を同時に稼動させ、基材回転数により層厚を制御したものである。毎分9回転の本発明例1、毎分6回転の比較例23は夫々の層厚が50nm以下となり、コランダム構造の酸化物が得られた。本発明例1は29GPaと高硬度を示し、優れた耐摩耗性を示した。比較例23は、B層の(11・6)面の2θ値が本願発明の規定外でありことからB層の格子歪量が十分ではなく、高硬度化されずに切削工具の耐摩耗性を改善することができなかった。本発明例2、比較例24〜31はC1とC2に交互に電力を供給し、その電力供給時間により、層厚を制御したものである。本発明例2はTA値、TB値共に50nm以下のコランダム構造となり、B層の(11・6)面の2θ値が本願発明の規定を満足して工具の耐摩耗性を改善した。しかし、TA値、TB値のうち何れか一方が50nm以下の比較例29〜31は、γ型の結晶構造となり何れも皮膜の硬度が低く、工具の耐摩耗性を改善には至らなかった。また、AIP法により酸化クロム層の上にAlとCrの酸化物層を被覆した2層構造の比較例24は、γ型の酸化物皮膜となり摩耗状態が不安定で複数のチッピングが確認され、工具の耐久性改善には至らなかった。
皮膜組成の影響について検討を行うため、C1にCrターゲット、C2に成分比率の異なるAlCr系合金ターゲットを用い、A層、B層の交互積層構造とした本発明例9〜11、比較例32〜35を作成した。酸化物成膜時の各種成膜パラメータは本発明例5と同一とした。B層のAl含有量が60%から90%の本発明例9〜11は酸化物皮膜が高硬度化し、緻密で平滑な酸化物皮膜が得られ、工具の耐摩耗性を改善できた。一方、B層のAl含有量が44%以下の比較例32〜34は、硬度が21GPa以下と高硬度化が十分でなく結晶粒径が粗大であった。平滑性にも乏しいため、皮膜表面への凝着と摩耗進行が激しかった。B層にCrを含有しない比較例35はドロップレットが多く酸化物の効果が確認されなかった。
X線回折において、A層、B層の最大強度を示す面指数が(11・6)面で同一の本発明例4と、両層間で異なる本発明例2とを比較した。両層の面指数を同一とすることにより、工具の摩耗状態が安定となりチッピングや異常摩耗に対して有効であった。また、最大強度を示す面指数が(10・4)面である本発明例3、5〜8と、(11・6)面である本発明例4を比較した。(10・4)面の場合は工具の摩耗状態がより安定であり、チッピングや異常摩耗に対して有効であった。また、(10・4)面とするには、基材回転数、アーク電流値を制御しTA>TBとすることにより可能である。I(10・4)/I(11・6)≧2の本発明例5、6は、摩耗幅が0.1mm以下で均一であり、突発的なチッピングや異常摩耗の発生が抑制され、耐摩耗性に優れていた。I(10・4)/I(11・6)の制御には基材回転数、アーク電流値を制御することにより可能である。
TA≦30、TB≦30の本発明例5、6、8は、摩耗幅が0.1mm以下で摩耗状態も均一であり、突発的なチッピングや異常摩耗の発生が抑制され、耐摩耗性に優れていた。1<TA/TB≦5である本発明例3、5〜8は、摩耗幅が0.11mm以下であり摩耗状態も均一であり、突発的なチッピングや異常摩耗の発生が格段に抑制され、耐摩耗性に優れていた。TA>TBにすることにより、Bの結晶性が向上し、耐熱安定性が向上した。A層とB層との界面における格子縞が連続している本発明例3、5〜8は、刃先の摩耗状態の均一で、突発的なチッピングや異常摩耗の発生が抑制され、耐摩耗性に優れていた。A層とB層との界面における格子縞が連続させるには、TB値を20nm以下とすることにより可能である。
本発明例12〜20、比較例36、37は、A層、B層のAl、Crの1部をNb、Si、W、Y、硼素から選択される1種以上で置換した場合の効果について検討した。本発明例12は、原子%でNbを10%添加したAlCrNb合金ターゲットを用いて被覆した試料である。Al含有量を75%まで高めてもコランダム構造の結晶構造を有する酸化物皮膜が得られた。本発明例13と比較例36は、Siを10%と20%添加したAlCrSi合金ターゲットを用いて被覆した試料である。本発明例13は、コランダム構造の結晶構造を有する酸化物皮膜が得られたが、比較例36はB層の結晶構造が非晶質となり、皮膜は低硬度となった。本発明例14はWを5%添加したAlCrSi合金ターゲット、本発明例15はSiを4%、Yを1%添加したAlCrSiY合金ターゲット、本発明例16は硼素を5%添加したAlCrB合金ターゲット、本発明例17はWを4%、Siを3%添加したAlCrWSi合金ターゲット、本発明例18はC1ターゲットに硼素を10%添加したCrB合金ターゲット、本発明例19はC1ターゲットにSiを10%添加したCrSi合金ターゲット、本発明例20はC1ターゲットにWを5%添加したCrW合金ターゲットを用いて被覆した試料であり、コランダム構造の結晶構造を有する酸化物皮膜が得られ、工具の耐摩耗性が優れた。比較例37は、Tiを10%添加したAlCrTi合金ターゲットを用いて被覆した試料である。Ti添加により皮膜は低硬度を示した。これは成膜中にTi酸化物が形成され、酸化物粒子を微細化できなかったことによる。Ti添加により2θ値は本願発明の規定範囲内であるが酸化物皮膜の特性低下をもたらしたことから、2θ値の制御と共に最適な元素を選択して添加することが重要である。
基材表面にAIP法によりCrNを被覆後、連続して真空容器内で酸化処理を行い、Cr2O3層を略0.1μm、その直上にスパッタリング法により純Alターゲットを用い、酸化物皮膜を2μm被覆した従来例38及び、CrN被覆後酸化処理を行いその直上にスパッタリング法によりAl:70%、Cr:30%のターゲットを用い、酸化物皮膜を被覆した従来例39は、特性評価の結果、酸化物皮膜の結晶粒子は粗大で、面粗さも粗く、硬度は最大でも23GPa程度であった。切削試験結果から、膜表面の酸化物粒子を起点にした凝着摩耗が進行し、切削工具の耐摩耗性が劣った。
図1は、本願発明の範囲におけるx値と2θ値との関係を示す。 図2は、本発明例5の1250nmφの制限視野回折像を示す。 図3は、本発明例5の酸化物粒子のTEM像を示す。 図4は、本発明例5の酸化物粒子の140nmφの制限視野回折像を示す。 図5は、図3の矢印部に示す酸化物粒子の高倍率のTEM像を示す。 図6は、図5中のスポット1の1nmφの極微電子線回折写真を示す。 図7は、図5中のスポット2の1nmφの極微電子線回折写真を示す。 図8は、本発明例5のXRD回折結果を示す。 図9は、図8のA2、B2のピークの拡大図を示す。

Claims (9)

  1. 物理蒸着により酸化物を工具基材に被覆した多層被覆工具において、該酸化物はA層、B層からなり、該A層はCr酸化物、該B層は(AlxCry)を金属成分とする酸化物、但し、x、yは原子比率(%)、50≦x≦90、x+y=100、であり、該A層と該B層は交互積層した積層構造を有し、該A層の平均層膜(nm)をTA、該B層の平均層厚(nm)をTBとしたとき、TA≦50、TB≦50であり、該B層はコランダム構造の結晶構造を有し、CuKα線を使用したX線回折において、(11・6)面の回折ピークの2θ値が、(αx+54.0)≦2θ≦(αx+54.7)、但し、αは2.652×10−2、の範囲にあり、該A層と該B層の最大強度を示す面指数が(10・4)面であることを特徴とする多層被覆工具。
  2. 請求項1記載の多層被覆工具において、X線回折における該A層と該B層の最大強度を示す面指数が同一であることを特徴とする多層被覆工具。
  3. 請求項1又は2に記載の多層被覆工具において、X線回折における該B層の(10・4)面の回折強度をI(10・4)、(11・6)面の回折強度をI(11・6)としたとき、I(10・4)/I(11・6)≧2であることを特徴とする多層被覆工具。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の多層被覆工具において、TA≦30、TB≦30、であることを特徴とする多層被覆工具。
  5. 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の多層被覆工具において、1<TA/TB≦5であることを特徴とする多層被覆工具。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の多層被覆工具において、該A層と該B層との界面における格子縞が連続していることを特徴とする多層被覆工具。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れかに記載の多層被覆工具において、該A層、該B層のAl、Crの1部をNb、Si、W、Y、硼素から選択される1種以上で置換したことを特徴とする多層被覆工具。
  8. 請求項1乃至請求項7の何れかに記載の多層被覆工具において、該酸化皮膜と該工具基材の界面の中間層に窒化物層を有することを特徴とする多層被覆工具。
  9. 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の多層被覆工具において、最表層に窒化物層を有することを特徴とする多層被覆工具。
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