JP4849893B2 - 陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜及びそれを具備する固体高分子型燃料電池 - Google Patents

陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜及びそれを具備する固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜ガス及び固体高分子型燃料電池に関する。
より詳しくは、陰イオン交換樹脂の含水率が向上し、高イオン伝導化を図ることができる陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜ガス及びそれらの膜を具備する固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、イオン交換樹脂等の固体高分子を電解質膜として用いた燃料電池であり、動作温度が比較的低いという特徴を有する。
その固体高分子型燃料電池は、図1に示されるように、それぞれ外部と連通する燃料ガス流通孔2及び酸化剤ガス流通孔3を有する電池隔壁1内の空間を、固体高分子電解質膜6の両面にそれぞれ燃料室側ガス拡散電極膜4及び酸化剤室側ガス拡散電極膜5が接合した電解質膜−電極膜接合体で仕切って、燃料ガス流通孔2を通して外部と連通する燃料室7、及び酸化剤ガス流通孔3を通して外部と連通する酸化剤室8が形成された基本構造を有している。
そして、このような基本構造を持つ固体高分子型燃料電池では、前記燃料室7に燃料流通孔2を通して水素ガスあるいはメタノール等からなる燃料を供給すると共に酸化剤室8に酸化剤ガス流通孔3を通して酸化剤となる酸素や空気等の酸素含有ガスを供給するものとなっており、その両ガス拡散電極間に外部負荷回路を接続して、次のような機構により電気エネルギーを発生させている。
すなわち、燃料室側ガス拡散電極膜4において該電極内に含まれる触媒と燃料とが接触することにより生成したプロトン(水素イオン)は固体高分子電解質膜6内を伝導して酸化剤室8に移動し、酸化剤室側ガス拡散電極膜5で酸化剤ガス中の酸素と反応して水を生成する。
他方、燃料室側ガス拡散電極膜4においてプロトンと同時に生成した電子は外部負荷回路を通じて酸化剤室側ガス拡散電極膜5へと移動するので上記反応のエネルギーを電気エネルギーとして利用することができる。
上記のような構造の固体高分子型燃料電池においては、固体電解質膜として陽イオン交換樹脂膜であるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜が最も一般的に用いられている。
さらに、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜を固体電解質膜として用いた場合のガス拡散電極膜としては、必要に応じてカーボンブラック等の導電剤に担持された白金等の金属粒子からなる電極触媒を多孔性材料からなる電極基材で支持したものが一般的に用いられており、通常、該ガス拡散電極膜は固体電解質膜のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に熱圧着することにより接合させられている。
[先行技術文献]
特開平3−208260号公報 特開平4−329264号公報 特開平11−273695号公報 特開平11−135137号公報 特開平3−208260号公報 特開2000−331693号公報
また、このような方法で接合を行なう場合には、ガス拡散電極膜内部の触媒上で発生したプロトンの利用率を高めるため(換言すれば、該プロトンが効率よく酸化剤室に移動するようにするため)にガス拡散電極膜の接合面にイオン伝導性付与剤としてパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の有機溶液を塗布したり、或いは電極膜内部にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を配合させることが行われている(特許文献1及び2)。
なお、上記パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂は、固体高分子電解質膜とガス拡散電極膜との接合性を向上させる機能も有している。
ところが、このようなパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂含有膜あるいはその樹脂膜(以下単にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜という)を用いた固体高分子型燃料電池においては、主としてパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂に起因する問題点として、
(i)保水力が充分でないため水の補給が必要となること
(ii)物理的な強度が低いため薄膜化による電気抵抗の低減が困難であること
(iii)高価であること
(iv)燃料にメタノールを用いた場合にメタノールの透過性が高く、酸化剤側ガス拡散電極膜に到達したメタノールがその表面で酸素または空気と反応するため過電圧が増大し、出力電圧が低下することが指摘されている。
そのようなことから、前記した問題点、特に上記(iv)の問題を解決するために、固体電解質膜のパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜に代えて炭化水素系陰イオン交換膜を用いることが検討されており、そのような固体高分子型燃料電池が既に幾つか提案されている(特許文献3ないし5)。
この炭化水素系陰イオン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池における発電機構も、基本的には固体電解質膜に陽イオン交換樹脂膜を用いた場合と同様であるが、通電時には酸化剤室側から燃料室側に水酸化物イオン等のアニオンが移動するためメタノールの移動が起り難くなり、上記(iv)の問題を解決することができると言われている。
また、炭化水素系の陰イオン交換膜を用いているので、上記(i)〜(iii)の問題についても解決可能となっている。
ところで、上記各公報で提案されている固体高分子型燃料電池のガス拡散電極膜においては、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜を用いた場合のガス拡散電極膜にパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂を添加するのと同様な理由から、イオン伝導性付与剤として陰イオン交換樹脂を添加することが行われている。
このような陰イオン交換樹脂としては、芳香族ポリエーテルスルホン酸と芳香族ポリチオエーテルスルホン酸の共重合体のクロロメチル化物をアミノ化して得られる陰イオン交換樹脂(特許文献3及び4)、又はスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンポリマーの末端をジアミンで処理し4級化したポリマー或いはポリクロロメチルスルチレンの4級化物等のポリマーで好適には溶媒可溶性のもの(特許文献6)が用いられている。
そのようなことから、本発明者等が固体電解質膜あるいはガス拡散電極膜に炭化水素系陰イオン交換膜を用いた場合について検討を行なったところ、固体高分子型燃料電池の性能はそれら膜に含まれるイオン伝導性付与剤の性状に依存するところが大きく、その性状によっては充分な性能の固体高分子型燃料電池が得られないことが判明した。
すなわち、イオン伝導性付与剤としてフッ素樹脂系の陰イオン交換樹脂を用いた場合、固体電解質膜の炭化水素系陰イオン交換膜とガス拡散電極の接合界面において両者の馴染みが悪くなり結着剤を添加しても接合強度が低下する場合がある。
更には、イオン伝導性をより向上させようとしても、その性能の発現はイオン交換基に基づくものとなっていて、それが形成できる範囲に制約され、それ超えることができないものとなっている。
そこで、本発明者は、このような問題を解消すべく、特にガス拡散電極膜あるいは固体電解質膜として炭化水素系陰イオン交換膜を用いた固体高分子型燃料電池において、先のような制約を受けることのない、イオン伝導性をより向上させることができる炭化水素系陰イオン交換膜を形成できる陰イオン交換樹脂膜形成用の4級化剤、又はそれを有するガス拡散電極膜又は固体電解質膜等を開発すべく鋭意努め、その結果研究開発に成功したのが本発明である。
したがって、本発明は、前記した陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、又はそれを有するガス拡散電極膜もしくは固体電解質膜等を開発することを発明の解決すべき課題とするものであり、具体的にはイオン交換基とは質的に異なる官能基を新たに具備することにより格段にイオン伝導性を向上させることができる炭化水素系陰イオン交換膜を形成できる陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、又はそれを有するガス拡散電極膜もしくは固体電解質膜等を提供することを解決すべき課題、すなわち目的とするものである。
さらには、それらの膜を具備する固体高分子型燃料電池を提供することも目的とするものである。
本発明は、前記課題を解決する3つの手段、すなわち陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜及びそれを具備する固体高分子型燃料電池の3つの発明を提供するものである。
そのうちの第1の発明である陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤は、下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とするものである。
また、第2の発明であるガス拡散電極膜又は固体電解質膜は、前記4級化剤を用いてイオン交換基が形成されている陰イオン交換樹脂を含むことを特徴とするものであり、更に第3の発明である固体高分子型燃料電池は前記ガス拡散電極膜を具備することを特徴とするものである。
Figure 0004849893
本発明における陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤は、前記一般式(1)で表される化合物からなるものであり、それにはヒドロキシル基が存在し、その基はイオン交換基形成後も残存することになる。
そのため、その4級化剤を用いて形成したイオン交換樹脂膜には、イオン交換基に加えて親水性の官能基であるヒドロキシル基も存在することとなり、親水性の官能基が少なくとも倍増し、イオン交換樹脂膜は、親水性が格段に向上し、その結果イオン伝導性も格段に向上することができる。
以上のとおりであるから、本発明においては、陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤として前記一般式(1)で表される化合物を用いてイオン交換樹脂膜を形成することによりイオン交換樹脂膜の親水性が格段に向上し、その結果イオン伝導性も格段に向上することができる卓越した効果を奏するものである。
このような本発明の4級化剤を用いて製造した陰イオン交換樹脂膜は、電気化学的な用途に供した場合電気抵抗が低くなり極めて有用であり、特に、固体高分子型燃料電池膜におけるガス拡散電極膜や固体電解質膜として用いた場合には、高い出力が得られ好適である。
また、レドックスフロー電池隔膜などその他の電池隔膜として用いた場合にも高い電池効率が発揮され、さらには、電気透析用や電解用の膜としても効率的な運転が可能になり好ましい。
以下において、本発明について、発明を実施するための最良の形態を含む発明の実施の形態に関し詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
本発明は、前記したとおり、陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤、ガス拡散電極膜、固体電解質膜及びそれを具備する固体高分子型燃料電池を提供するものであり、そのうちの陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤は、前記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とするものである。
ただし、その一般式(1)において、R1、R2は、それぞれ低級アルキル基又はヒドロキシル低級アルキル基であり、それらは同一でも異なっていてもよいが、両者は同一の低級アルキル基がよい。
また(CH2nはアルキレン基であり、nは1ないし8であるのがよく、1ないし3であるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は前記のとおりであるから、それにはジメチルアミノメタノール、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール、5−ジメチルアミノ−1−ペンタノール、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、7−ジメチルアミノ−1−ヘプタノール、8−ジメチルアミノ−1−オクタノール、ジエチルアミノメタノール、2−ジエチルアミノ−1−エタノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、4−ジエチルアミノ−1−ブタノール、5−ジエチルアミノ−1−ペンタノール、6−ジエチルアミノ−1−ヘキサノール、7−ジエチルアミノ−1−ヘプタノール、8−ジエチルアミノ−1−オクタノール等を挙げることができる。
さらに、ジ−n−プロピルアミノメタノール、2−ジノルマルプロピルアミノ−1−エタノール、3−ジノルマルプロピルアミノ−1−プロパノール、4−ジノルマルプロピルアミノ−1−ブタノール、5−ジノルマルプロピルアミノ−1−ペンタノール、6−ジノルマルプロピルアミノ−1−ヘキサノール、7−ジノルマルプロピルアミノ−1−ヘプタノール、8−ジノルマルプロピルアミノ−1−オクタノール、ジイソプロピルアミノメタノール、2−ジイソプロピルアミノ−1−エタノール、3−ジイソプロピルアミノ−1−プロパノール、4−ジイソプロピルアミノ−1−ブタノール、5−ジイソプロピルアミノ−1−ペンタノール、6−ジイソプロピルアミノ−1−ヘキサノール、7−ジイソプロピルアミノ−1−ヘプタノール、8−ジイソプロピルアミノ−1−オクタノール、ビス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメタン、ビス(3−ヒドロキシプロピルチル)アミノメタン、ビス(ヒドロキシメチル)アミノエタン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエタン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミノエタン、ビス(ヒドロキシメチル)アミノプロパン、ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノプロパン、ビス(3−ヒドロキシプロピル)アミノプロパン等も挙げることができる。
そして、ヒドロキシメチルメチルアミノメタノール、2−ヒドロキシメチルメチルアミノ−1−エタノール、3−ヒドロキシメチルメチルアミノ−1−プロパノール、ヒドロキシメチルエチルアミノメタノール、2−ヒドロキシメチルエチルアミノ−1−エタノール、3−ヒドロキシメチルエチルアミノ−1−プロパノール、ヒドロキシメチルノルマルプロピルアミノメタノール、2−ヒドロキシメチルノルマルプロピルアミノ−1−エタノール、3−ヒドロキシメチルノルマルプロピルアミノ−1−プロパノール、ヒドロキシメチルイソプロピルアミノメタノール、2−ヒドロキシメチルイソプロピルアミノ−1−エタノール、3−ヒドロキシメチルイソプロピルアミノ−1−プロパノール、3−(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ−1−プロパノール、3−(2−ヒドロキシエチル)エチルアミノ−1−プロパノール、3−(2−ヒドロキシエチル)ノルマルプロピルアミノ−1−プロパノール、3−(2−ヒドロキシエチル)イソプロピルアミノ−1−プロパノール等も挙げることができるが、これらの中では、4級化が効率よく進行し、かつ高い親水性向上効果を発現させる点で、ジメチルアミノメタノール、2−ジメチルアミノ−1−エタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール等のジアルキルアミノヒドロキシルアルキレンが好ましい。
本発明においては、ガス拡散電極膜(単に「電極膜」ということもある)及び固体電解質膜(単に「電解質膜」とうこともある)を形成する陰イオン交換樹脂の成膜時における原材料は、本発明の4級化剤と化合して電極膜及び電解質膜を形成する4級化型の陰イオン交換樹脂を形成することができるもの(以下、単に「イオン交換樹脂形成用有機化合物」と略する)であれば、特に制限されることなく各種のものが使用可能である。
その原材料は、前記4級化剤と反応して4級化型の陰イオン交換基を形成し得る官能基を有する高分子有機化合物(ポリマー)でもよいし、4級化型の陰イオン交換基を形成し得る官能基を有し、かつ不飽和炭化水素鎖を有する重合性有機化合物(モノマー)でもよいが、ガス拡散電極膜形成にはポリマーがよく、固体電解質膜形成にはモノマーがよい。
それらの理由について言及すると、後者の電解質膜は、耐水性、耐久性あるいは燃料非透過性等の性能が求められることから、ジビニルベンゼン等の架橋性モノマーで架橋構造とするのが通常のことであり、その架橋された樹脂は、溶媒に溶解し難く、そのため成膜する際に必要となるペースト状にすることが難しいので、モノマーを原材料とするのがよい。
それに対し、電極膜は、電極触媒が均一に分散されたペースト状組成物を用いて成膜するものであるから、その作製工程の簡便性あるいは簡便性あるいは電極触媒の分散性等の点で、ポリマーを原材料とするのがよい。
その固体電解質膜用の陰イオン交換樹は前記したとおり炭化水素系の樹脂が好ましく、そのため固体電解質膜に接合して使用するガス拡散電極を作成する場合には、炭化水素系の陰イオン交換樹脂を形成する有機化合物を用いるのが望ましく、特に良好なイオン伝導性を付与できる強塩基性の4級アンモニウム塩基を有する陰イオン交換樹脂を与える有機化合物を使用するのが好適である。
なお、ここで、炭化水素系の樹脂とは、イオン交換基以外の部分にもフッ素、塩素、臭素、酸素、窒素、珪素、硫黄、ホウ素、リン等の他の原子が少量存在しても良いが、その量はイオン交換基以外の部分を構成する原子の総数に対して40モル%以下、特に10モル%以下であるのが好ましい。
特に好ましくはスチレン系の重合性単量体と、該スチレン系単量体と共重合可能な架橋性単量体とを共重合させたポリスチレン系のものである。
そして、得られるイオン交換樹脂中のイオン交換基の含有量は特に限定されないが、ガス拡散電極に良好なイオン伝導性を付与できるという観点から、イオン交換容量が0.1〜5.0mmol/g、好適には、0.5〜4.0mmol/gであるのが好ましい。
さらに、本発明においては、イオン交換樹脂形成用有機化合物と4級化剤とは互いに結合してイオン交換基を形成するものであり、陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤は、前記したとおり一般式(1)で表される、官能基が孤立電子対を有する窒素原子を持つ化合物である。
そのため、イオン交換樹脂形成用有機化合物は末端に少なくとも1個のハロゲン原子を有することが必要であり、それには前記したとおりポリマーとモノマーが使用できる。
前者の含ハロゲン原子含有有機化合物のポリマーには、ポリクロルメチルスチレン、ポリブロモエチルスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエピクロルヒドリン、ポリブロモヒドリン、クロルメチル化ポリスルホン、クロルメチル化ポリフェニレンオキシド、クロルメチル化ポリエーテルエーテルケトン、ポリクロルメチルスチレン−ポリブタジエン−ポリクロルメチルスチレントリブロック共重合体、ポリクロルメチルスチレン−ポリイソプレン−ポリクロルメチルスチレントリブロック共重合体、ポリクロルメチルスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリクロルメチルスチレントリブロック共重合体、ポリクロルメチルスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリクロルメチルスチレントリブロック共重合体等が挙げられる。
後者のモノマーには、クロルメチルスチレン、ブロムメチルスチレン等を挙げることができる。
また、その陰イオン交換樹脂と共にガス拡散電極膜を形成する電極触媒には、従来のガス拡散電極膜において電極触媒としてして使用されているところの水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属粒子が制限なく使用できる
その金属としては、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、スズ、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、バナジウム、又はそれらの合金等が例示できるが、これらの中でも触媒活性が優れていることから白金触媒を用いるのが好適である。
なお、これら触媒となる金属粒子の粒径は、通常、0.1〜100nm、より好ましくは0.5〜10nmである。
それを使用する際には粒径が小さいほど触媒性能は高くなるが、0.5nm未満のものは作製が困難であり、100nmより大きいと十分な触媒性能が得にくくなる。
なお、これら触媒は、予め導電剤に担持させてから使用してもよく、その導電剤としては電子導電性物質であれば特に限定されるものではないが、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛等を単独または混合して使用するのが一般的である。
これら触媒の含有量は、ガス拡散電極膜をシート状とした状態における単位面積当たりの金属重量で、通常0.01〜10mg/cm2であり、好ましくは0.1〜5.0mg/cm2である。
そして、ガス拡散電極膜及び固体電解質膜の両者あるいは一方の陰イオン交換樹脂膜の形成を不飽和炭化水素鎖を有する重合性有機化合物を用いて行う場合には、得られるイオン交換樹脂の性状を制御する目的で必要に応じてこれらのモノマーと共重合可能な他のモノマーを添加してもよい。
この際の他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、アクリル酸エステル等のビニル化合物が用いられる。
その使用量は、特に限定されず得ようとするイオン交換樹脂の性状に応じて適宜決定すればよいが、通常は陰イオン交換樹脂膜形成用の重合性有機化合物の合計100重量部に対して0〜100重量部の範囲である。
また、これらモノマーを用いた場合の重合方法は、モノマーの種類に応じてラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の公知の重合方法を適用すればよいが、架橋性モノマーを用いる架橋反応を加熱によって行なう場合には、その時に合わせて重合を行なうことができ、しかも高分子量のポリマーが得られ易いという理由から、モノマーとしてラジカル重合性のものを使用し、ラジカル重合を行なうのが好適である。
なお、その場合には公知のラジカル重合開始剤が特に制限されることなく使用できる。
本発明の4級化剤を用いてイオン交換樹脂を形成する際の前記4級化剤とイオン交換樹脂形成用有機化合物との配合割合は特に限定されず、得ようとするイオン交換樹脂の性状に応じて適宜決定すればよいが、得られるイオン交換樹脂の性状が良好であるという観点から、イオン交換樹脂形成用有機化合物中のハロゲン原子の総モル数(A)に対する、前記4級化剤中の孤立電子対を有する原子である窒素の総モル数(B)の比(B/A)で表して、0.05〜20.0、特に0.1〜10.0となる範囲とするのが好適である。
なお、一般に、ガス拡散電極膜又は固体電解質膜においてイオン伝導性付与剤として好適に機能するイオン交換樹脂としては、前記したようなイオン交換容量を有し、水及びメタノールに難溶なものが求められるので、このような要求を満足するように上記範囲の中から配合割合、及び必要に応じて前記した他のモノマーを使用する場合にはその配合量を適宜決定すればよい。
また、水及びメタノールに難溶であるとは、20℃の水又はメタノールに対する溶解度(飽和溶液中の上記イオン交換樹脂の濃度)がそれぞれ1重量%未満、好適には0.8重量%以下であることを言い、得られるイオン交換樹脂が水又はメタノールに容易に溶解する場合には、燃料電池を構成して使用した際にガス拡散電極から該イオン交換樹脂が溶出してしまい、電池性能が低下する。
これら有機化合物の使用量は特に限定されないが、電極膜を調製する場合にはイオン伝導性の観点から電極触媒(金属成分)を担持した導電剤100重量部に対して5〜80重量%、特に20〜50重量%重量部であるのが好適である。
次に、本発明の4級化剤を用いてイオン交換樹脂膜を製造する方法について、固体高分子型燃料電池用のガス拡散電極膜又は固体電解質膜の製造する場合を例として説明する。
それらの膜は、前記したとおり、本発明の4級化剤を用いてイオン交換基が形成されている陰イオン交換樹脂を含むことを特徴とするものである。
本発明のガス拡散電極膜及び固体電解質膜の製造方法は、特に限定されることはなく、従来の成膜技術が採用でき、陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤とイオン交換樹脂形成用有機化合物とを含有する原料組成物を調製し、それを用いて製膜する方法や、陰イオン交換樹脂形成用有機化合物を用いて予め製膜した後、本発明の4級化剤を含む溶液に含浸して陰イオン交換基を形成する方法など各種手法が採用可能である
前記のとおりではあるものの、固体電解質膜を製造する場合には、作製工程の簡便性から、陰イオン交換樹脂形成用有機化合物を用いて予め製膜した後、本発明の4級化剤を含む溶液に含浸して陰イオン交換基を形成する方法が好ましい。
その際には、従来は織布、不織布又は多孔質膜等の板状多孔質体を支持材(基材)にして成膜するのが通常であり、本発明においては、電解質膜、電極膜のいずれの場合でもそれを採用できるが、ガス拡散電極膜を形成する際には、従来と同様に先に成膜した固体電解質膜を支持体として成膜するのがよい。
これらの支持材を形成する材料には下記のとおりのものが例示できる。
すなわち、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘプテン等のα−オレフィンの単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−オレフィン共重合体等の塩化ビニル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフロオロエチレン−ペルフロオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体等のフッ素系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂等からなるものが制限なく使用される。
前記のとおりではあるが、機械的強度、化学的安定性、耐薬品性に優れ、炭化水素系イオン交換樹脂との馴染みがよいことから、その基材としては、ガス透過性が低く、薄膜化が可能であることから、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂の熱可塑性樹脂製多孔質膜からものを用いるのが好適である。
なお、これらの支持材は陰イオン交換基を有していても、いなくてもよい。
また、このような多孔質膜の性状は、特に限定されないが、最終的に得られるイオン交換膜の電気抵抗を低くすることができ、しかも高い物理的強度を保つために、孔の平均孔径は0.005〜5.0μm、特に0.01〜2.0μmであり、空隙率は20〜95%、特に30〜90%であるのが好ましい。
さらに、その厚みは、得られるイオン交換膜が前記した厚さとなるように5〜150μm、特に10〜120μmであるのが好ましい。
その支持材を用いて固体電解質膜を形成するに当っては、イオン交換樹脂形成用有機化合物及び重合開始剤を含有する原料組成物を用いて、まず支持材上に4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜を形成することになる。
その支持材への前記前駆体膜の形成は、特に限定されず例えば液状の原料組成物を支持材に塗布したり、スプレーしたり、含浸したりすることにより行うことができ、本発明の固体電解質膜はその後重合及び4級化を行うことにより好適に調製することができる。
なお、上記原料組成物の塗布等に際しては、例えば支持材として用いた多孔質膜の空隙(孔)に該原料組成物が良好に充填されるように減圧下で両者を接触させたり、接触後に加圧処理を行なうなどの方法を採用してもよい。
また、支持材に塗布されたり含浸させられた原料組成物中のイオン交換樹脂形成用有機化合物は、前記したとおり単量体(モノマー)組成物が好ましいが、そのモノマー組成物を重合する場合には、ポリエステル等のフィルムに挟んで加圧しながら常温から昇温して重合する方法が好適に採用され、その際の重合条件は、使用した重合開始剤の種類や単量体組成物の組成等に応じて適宜決定すればよい。
さらに、本発明の4級化剤による4級化については、その時期は特に限定されることはなく、成膜後の適宜時期に行えばよいが、前記重合と同時期に行うよりも重合の後に4級化することは前駆体膜の製造時の重合効率が高く安定して成膜できるため好ましい。
この重合した後の4級化は、一般に用いられる方法が容易に採用可能である。
すなわち、本発明の4級化剤の水溶液は又は有機溶媒による溶液に、前記4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体を浸漬処理するばよい。
本発明の電極膜の製造方法においても、従来の場合に準じて前記のような方法で得られる4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜又は電解質膜は支持体として用いることができるから、その上に電極触媒、陰イオン交換基を形成し得る官能基を有するポリマー及び4級化剤を含有するペースト状組成物を直接成膜するのが望ましい。
その際には、支持体が4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜の場合には前駆体膜は電極膜の成膜前に重合しており、電解質膜の場合には、それに加えて4級化されイオン交換基も形成されていることになる。
その電解質膜等の支持体上に電極膜形成用のペースト状組成物を直に成膜する方法としては、該成形体膜上に印刷したり塗布する方法がある。
さらに、ペースト状組成物の成膜はこれに限定されるものではなく、一旦ブランクに塗布し、その後支持体である電解質膜形成用の成形体膜上に転写する方法も利用することができる。
このペースト状組成物を得るためには溶媒が使用されるが、その溶媒はそれらの化合物を溶解するものであれば特に限定されないが、乾燥操作が容易であることから低沸点の有機溶媒が好適である。
その好適に使用できる有機溶媒を例示すればジクロルエタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン等が挙げられる。
それら形態におけるイオン交換樹脂形成用有機化合物及び4級化剤の濃度は特に限定されず、溶媒と前記化合物の組み合わせ、電極触媒に対する使用量、粘度、施用時の浸透性等に応じて適宜決定すればよいが、全体量に対する両化合物の合計重量%で表して、1〜20重量%、特に1〜15重量%であるのが好適である。
なお、前記したイオン交換樹脂形成用有機化合物及び4級化剤を懸濁液として使用し、ペースト状組成物を得ても良い。
この場合の分散媒も特に限定されず、上記したような有機溶媒で上記の化合物を溶解しないものの他、水も使用可能であり、更に懸濁液中の上記化合物の含有量も特に限定されないが、溶液状態における濃度と同程度とするのが好適である。
その溶液又は懸濁液を用いて、電極膜形成用のペースト状組成物を調製する場合には、それぞれ所定量の上記溶液若しくは懸濁液と電極触媒とを混合、混練することにより行なうことができる。
この際に、前記したイオン交換樹脂形成用有機化合物として低分子量のものを用いる場合には、上記ペースト状組成物の粘性を確保し、支持層上に一定の厚みで形成させるために結着剤を添加するのが好適であり、その結着剤としては各種熱可塑性樹脂が一般的に用いることができる。
また、電解質膜形成用の原料組成物を調製する場合にも、増粘して該状態を形成するために必要に応じて前記結着剤である熱可塑性樹脂を添加してペースト状組成物としてもよい。
前記のとおりではあるが、好適に使用できる熱可塑性樹脂を例示すれば、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、スチレン・イソプレン共重合体、水添アクリロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げられる。
その含有量は、上記電極触媒(金属成分)を担持した導電剤100重量部に対して5〜30重量部であることがが好ましい。
なお、結着剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、従来公知のイオン伝導性付与剤やその他添加剤を添加してもよい。
本発明の電極膜の製造方法では、電極膜形成用の成形体膜を電解質膜又はその4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜上に成膜せず、別の支持体上に成膜し、成膜後に成形体膜と電解質膜又4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜とを隣接した状態にし、その後必要な処理を行うことにより両膜を接合することも可能ではある。
その場合にも、電極膜形成用の成形体膜を接合させる膜は、イオン交換基が形成されていない4級塩基型陰イオン交換樹脂前駆体膜ではなく、イオン交換基が既に形成されている電解質膜の方が作製工程の簡便性の点で望ましい。
本発明においては、前記のようにして得られたペースト状組成物から形成されたガス拡散電極膜形成用の成形体の陰イオン交換基を形成し得る官能基を本発明の4級化剤を用いて4級化型のイオン交換基に転化させる。
本発明の4級化剤は、窒素原子が孤立電子対を有しており、他方イオン交換樹脂形成用化合物はハロゲン原子を有しており、これらは常温付近でも緩やかに反応して4級化型のイオン交換基を形成できるが、好ましくは加熱処理して反応速度を速めるのが効率的である。
この場合において、転化させる時の加熱条件は、使用した有機化合物の種類及び組合せ、化合物としてモノマーを使用し、重合反応を合わせて行なう場合には用いる重合開始剤の種類、使用した支持材の耐熱性等を勘案して適宜決定すればよいが、一般的な加熱条件は、加熱温度40〜200℃、好ましくは80℃〜120℃、加熱時間5〜120分程度である。
その加熱処理は、ガス拡散電極膜形成用の成形体膜を固体高分子電解質膜に熱圧着して電解質膜−電極膜接合体を製造する際の熱圧着処理として行なうこともでき、その際に用いる装置は、加圧、加温できる装置、一般的には、ホットプレス機、ロールプレス機等により行われる。
プレス温度は電極膜及び固体電解質膜を形成するイオン交換樹脂又はその前駆体のガラス転移温度以上であればよく、一般的には80℃〜200℃であり、プレス圧力は、使用するガス拡散電極の厚み、硬度に依存するが、通常0.5〜20MPaである。
このような加熱処理を行なうことにより、前記したような機構により、ガス拡散電極膜に存在するイオン交換基形成用の官能基がイオン交換基に転化され、その結果形成されたオニウム塩の部分が陰イオン交換基として機能し、かつガス拡散電極膜にイオン交換樹脂が形成される。
また、そのイオン交換樹脂はイオン伝導性付与剤として機能し、加熱処理後の前記成形体膜は結果としてガス拡散電極膜として機能する。
加熱処理後のガス拡散電極膜はそのまま使用することも勿論可能であるが、高出力特性が得られるという理由から、陰イオン交換基となる上記オニウム塩の部分のオニウムイオンの対アニオンであるハロゲンイオンを水酸化物イオンに置換して使用することが好ましい。
このようなイオンの置換は、アルカリ水溶液で処理することにより容易に行なうことができる。
そして、本発明の固体電解質膜及びガス拡散電極膜、並びに電解質膜−電極膜接合体は、前記のように製造され、このようにして調製された固体高分子型燃料電池用電解質膜−電極膜接合体は、前記した図1に示すような基本構造の固体高分子型燃料電池に装着され本発明の固体高分子型燃料電池が形成されて使用される。
その本発明の実施例及び比較例を以下において示すが、本発明は、これらの例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
その実施例及び比較例の固体電解質膜、ガス拡散電極膜及び固体高分子型燃料電池について、各種特性を測定し、その結果示すが、それら特性の意義及び測定方法は以下に示すとおりである。
(1)陰イオン交換容量
陰イオン交換膜またはガス拡散電極用陰イオン交換樹脂を25質量%となるようテトラヒドロフランに溶解した後ガラス板上に塗布して溶媒を除去して得られた厚さ50μmのキャスト膜を0.5mol/L−NaOH水溶液に10時間以上浸漬し、水酸化物イオン型とした後、1mol/L−NaCl水溶液で塩化物イオン型に置換させ遊離した水酸化物イオンを電位差滴定装置(COMTITE−900、平沼産業株式会社製)で定量した(Amol)。
次に、同じ膜を60℃で5時間減圧乾燥させその重量を測定した(Wg)。
陰イオン交換容量は次式により求めた。
陰イオン交換容量=A×1000/W[mmol/g−乾燥膜]
(2)電気抵抗
白金電極を備えた2室セルの中央に、陰イオン交換膜または前記の方法によって得られたガス拡散電極用陰イオン交換樹脂のキャスト膜を置き、セル内に25℃の0.5mol/L−NaCl水溶液を満たした。
その膜の両側にはルギン管を設け、塩橋により参照電極と液絡し、膜を挟んで100mA/cm2の電流を流したときの電位(aV)と膜を挟まずに100mA/cm2の電流を流したときの電位(bV)を測定した。
膜の電気抵抗は次式より求めた。
電気抵抗=1000×(a−b)/100[Ωcm2
(3)含水率
陰イオン交換膜または前記の方法によって得られたガス拡散電極膜用の陰イオン交換樹脂のキャスト膜を0.5mol/L−NaOH水溶液に10時間以上浸漬し、水酸化物イオン型とし、イオン交換水で十分に水洗した後、膜を取り出しキムワイプ等で表面の水分を拭き取り湿潤時の重さ(Wg)を測定した。
次に、膜を60℃で5時間減圧乾燥させ乾燥時の重さ(Dg)を測定した。
膜の含水率は次式により求めた。
含水率=100×(W−D)/D[%]
(4)燃料電池出力電圧
電解質膜−電極膜接合体を両側から厚み200μm、空孔率80%のカーボンペーパーの電極で挟み込み、図1に示す構造の燃料電池セルに組み込んで、圧力2気圧、燃料電池セル温度50℃、加湿温度50℃の酸素と水素をそれぞれ200(ml/min)、400(ml/min)で供給して発電試験を行ない、電流密度0(A/cm2)、0.3(A/cm2)、及び1.0(A/cm2)におけるセルの端子電圧を測定した。
この実施例1では、それぞれ7種の組成の固体電解質膜及びガス拡散電極膜を調製し、更にそれらを用いて燃料電池を調製し、それぞれ特性を測定した。
その際には、先ず固体電解質膜の母材としてポリエチレンからなる厚さ25μmの多孔膜に、表1に示す各種の割合で重合性モノマー及び架橋剤、重合開始剤を含浸し、70℃で8時間加熱することにより重合し陰イオン交換膜前駆体膜を製膜した。
次いで、得られた陰イオン交換膜前駆体膜に、表1に示す本発明の4級化剤を6質量%含む25質量%アセトン水溶液に室温下16時間含浸することにより4級アンモニウム基を導入し、固体電解質膜である陰イオン交換膜を調製した。
この陰イオン交換膜の厚みは30μmであった。
この陰イオン交換膜の陰イオン交換容量、電気抵抗、含水率を測定し、結果を表3に示した。
Figure 0004849893
また、ガス拡散電極膜用陰イオン交換樹脂は、3.2モル%の塩素原子を含むクロルメチルスチレン−スチレン共重合体を5質量%溶液となるようテトラヒドロフランに溶解した後、表1に示す本発明の4級化剤をクロルメチルスチレン−スチレン共重合体中の塩素原子と等モル量となるよう添加し、室温下16時間撹拌することにより4級アンモニウム基を導入した後、溶媒を減圧乾固することにより得た。
得られた陰イオン交換樹脂の陰イオン交換容量、電気抵抗、含水率を測定し、結果を表3に示した。
さらに、燃料電池出力電圧評価のため、前記した陰イオン交換膜上に、電極触媒として平均粒子径が2nmの白金が30重量%担持されたカーボンブラックとガス拡散電極用陰イオン交換樹脂、及び有機溶媒を表1に示した重量比で混合して得たペースト状組成物を塗布し、25℃で6時間加熱した。
次に、こうして得られた膜状物を、100℃、圧力5MPaの加圧下で100秒間熱圧着した後、室温で2分間放置した。
その後、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させて、対アニオンであるハロゲンイオンを水酸化物イオンに置換させ陰イオン交換膜/ガス拡散電極接合体を作製した。
該接合体におけるガス拡散電極については、電極触媒(白金)を担持した導電剤(カーボンブラック)に対するイオン伝導性付与剤の含有量は20質量%であり、同じく電極触媒相に対する白金の含有量は1mg/cm2である。
このようにして得られた前記陰イオン交換膜/ガス拡散電極接合体を、燃料電池セルに組み込んだ後、燃料電池出力電圧を測定した。
この測定結果を表4に示した。
[比較例1〜3]
陰イオン交換膜並びにガス拡散電極膜用陰イオン交換樹脂の4級化において、表2に示した4級化剤を用いた他は、実施例1と同様の操作を行った。
この陰イオン交換膜の陰イオン交換容量、電気抵抗、含水率を測定し、その結果を実施例の結果を示す表3に示した。
次いで、得られた陰イオン交換膜並びにガス拡散電極膜用陰イオン交換樹脂を用いて、実施例1と同様の操作で陰イオン交換膜/ガス拡散電極接合体を作製し燃料電池セルに組み込んだ後、燃料電池出力電圧を測定した。
これらの結果も表4に示した。
Figure 0004849893
Figure 0004849893
Figure 0004849893
それらの測定結果によれば、固体電解質膜及びガス拡散電極膜のいずれにおいても、本発明の実施例は比較例に比し電気抵抗及び含水率において優れている。
特にガス拡散電極膜に関しては、実施例は比較例に比し電気抵抗が各段に低く、かつ含水率が各段に高く特性が優れている。
また、実施例の固体電解質膜及びガス拡散電極膜を用いて作製した燃料電池は、比較例のものを用いた燃料電池に比し電池電圧が相当高いものとなっており、この点でも優れている。
本発明の電解質膜及び電極膜を接合した電解質膜−電極膜接合体を使用することができる基本的構造の固体高分子型燃料電池を示す。
符号の説明
1 電池隔壁
2 燃料ガス流通孔
3 酸化剤ガス流通孔
4 燃料室側ガス拡散電極
5 酸化剤室側ガス拡散電極
6 固体高分子電解質膜
7 燃料室
8 酸化剤室

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする固体高分子型燃料電池に具備せしめる陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤。
    Figure 0004849893
  2. 前記化合物がジアルキルアミノヒドロキシルアルキレンである請求項1に記載の陰イオン交換樹脂膜形成用4級化剤。
  3. 請求項1又は2に記載の4級化剤を用いてイオン交換基が形成されている陰イオン交換樹脂を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の固体電解質膜。
  4. 請求項1又は2に記載の4級化剤を用いてイオン交換基が形成されている陰イオン交換樹脂を含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池のガス拡散電極膜。
  5. 請求項4に記載のガス拡散電極膜を具備することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  6. 請求項3に記載の固体電解質膜に請求項4に記載のガス拡散電極膜を接合した電極膜−電解質膜接合体を具備することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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