JP4848589B2 - 膜−電極接合体及びその製造方法並びに燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子型燃料電池等の電気素子に使用可能なプロトン伝導性高分子膜に関し、その両面に触媒担持ガス拡散電極が接合された膜−電極接合体、更にはそれを使用した固体高分子型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロトン伝導性高分子膜は、固体高分子型燃料電池、湿度センサー、ガスサンサー、エレクトロクロミック表示素子などの電気化学素子の主要な構成材料である。これら電気化学素子の中でも、固体高分子型燃料電池は、将来の新エネルギー技術の柱の一つとして期待されている。電解質として高分子からなるプロトン伝導性高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池(PEFCまたはPEMFC)は、低温における作動、小型軽量化が可能などの特徴から、自動車などの移動体および民生用携帯機器への適用が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池を搭載した燃料電池自動車は究極のエコロジーカーとして社会的な関心が高まっている。
【0003】
現在、固体高分子型燃料電池に使用されるプロトン伝導性高分子膜としては、デュポンのナフィオン、旭硝子のフレミオン、旭化成のアシプレックスに代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜を中心に実用化が検討されている。これらのプロトン伝導性高分子膜を固体高分子型燃料電池に適用するには、燃料の酸化能、酸化剤の還元能を有する触媒を、前記膜の両面にそれぞれ配置し、その外側にガス拡散電極を配置した膜−電極接合体を調製する必要がある。
【0004】
従来、この膜−電極接合体の製造方法には、大別して次の2つの方法が知られている。
(1)プロトン伝導性高分子膜に直接電極触媒を析出させる方法(例えば、特公昭58−47471号公報など)。
(2)触媒能を有するガス拡散電極シートを作製し、ホットプレスによりプロトン伝導性高分子膜に接合させる方法(以下、ホットプレス法という。例えば、米国特許第3134697号公報、同第3297484号公報、特公平2−7398号公報など)。
【0005】
現在では、少量の触媒を有効に利用できる(2)のホットプレス法が主流となっている。この方法についても様々な方法が提案されているが、要約すると触媒を担持したガス拡散電極の触媒面側に、プロトン伝導性高分子化合物の溶液を塗布し、プロトン伝導性高分子膜の軟化温度〜熱分解温度の範囲でホットプレスして接合するものである。但し、前記方法は接合面に塗布する溶液の調製が容易で、軟化温度が比較的低いパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子材料について最適化されてきたにすぎない。しかしながら、パーフルオロカーボンスルホン酸系高分子膜に適用されているこれらの方法においても、この高分子膜の含水状態に起因する膨張・収縮による膜と電極の界面での剥がれの問題が指摘されている(特許第3100754号公報など)。
【0006】
一方、パーフルオロカーボンスルホン酸は、非常に高価であること、耐熱性が低いことなどから、プロトン伝導性置換基やプロトン伝導性物質を含有する芳香族炭化水素系高分子などからなるプロトン伝導性高分子膜が種々提案されている。その代表的なものとしては、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(特開平6−93114号公報など)、スルホン化ポリエーテルスルホン(特開平10―45913号公報など)、スルホン化ポリスルホン(特開平9−245818号公報など)、スルホン化ポリフェニレンサルファイド(特表平11−510198など)やスルホン化ポリイミド(特表2000−510511号公報など)などの耐熱芳香族高分子のスルホン化物、また、SEBS(スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンの略)のスルホン化物(特表平10−503788号公報など)、プロトン伝導性付与剤と有機高分子化合物の複合材料からなるプロトン伝導性膜(特開2000−90946号公報など)なども提案されている。しかしながら、これらの非パーフルオロカーボンスルホン酸系膜については、固体高分子型燃料電池用膜として必要な特性の一つであるプロトン伝導度が示されているのみで、実際に固体高分子型燃料電池への適用時に必要な膜−電極接合体について開示されていなかったり、パーフルオロカーボンスルホン酸系膜と同様の方法で、非パーフルオロカーボンスルホン酸膜のみを使用した例が開示されているだけで、それぞれの非パーフルオロカーボンスルホン酸膜に適した膜−電極接合体の調製方法が技術確立されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、従来技術と類似したホットプレス法であっても、膜−電極接合体の接合界面の剥がれを抑制し、良好かつ安定な膜−電極接合体を調製するのが可能なプロトン伝導性高分子膜、これを使用した膜−電極接合体、更にはそれを使用した固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
これにより、従来のパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子膜を使用した場合だけでなく、非パーフルオロカーボンスルホン酸系のプロトン伝導性高分子膜にも広く適用可能である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリフェニレンサルファイド又はスルホン化ポリイミドからなる高分子膜の表面にコロナ処理を施されてなる膜−電極接合体用高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、ガス拡散電極の触媒面側と接合されてなる膜−電極接合体であり、前記コロナ処理を施されてなる高分子膜の表面と前記触媒ガス担持電極の触媒層との間にプロトン伝導性高分子化合物から成る接着層を介して接合されたものが好ましい。
【0009】
また、本発明の膜−電極接合体の製造方法は、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリフェニレンサルファイド又はスルホン化ポリイミドからなる高分子膜の表面にコロナ処理を施されてなる膜−電極接合体用高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、前記高分子膜とガス拡散電極とを接合するものであり、前記コロナ処理を施されてなる高分子膜の表面と前記触媒ガス担持電極の触媒層との間にプロトン伝導性高分子化合物から成る接着層を介して前記高分子膜とガス拡散電極とを接合することが好ましく、前記高分子膜とガス拡散電極とをホットプレスにより接合することがより好ましい。
【0010】
更に、本発明の燃料電池は、前記した膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の膜−電極接合体用高分子膜の組成は特に限定されず、用途に応じて所望の特性を有するものを適宜選択すればよい。また、高分子膜の保水性やプロトン伝導性物質の保持性などを改善するために、シリカなどのケイ素系化合物に代表される無機物質を複合化させたものを使用しても良い。このようなプロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜としては、例えば、以下のようなものが例示できる。スルホン化ポリエーテルエーテルケトン(特開平6−93114号公報など)、スルホン化ポリエーテルスルホン(特開平10―45913号公報など)、スルホン化ポリスルホン(特開平9−245818号公報など)、スルホン化ポリフェニレンサルファイド(特表平11−510198など)やスルホン化ポリイミド(特表2000−510511号公報など)。但し、本発明は上記組成に限定されるものでなく、これらの改良品あるいは他の組成を有するものも使用可能である。
【0012】
本発明においては、例えば固体高分子型燃料電池用プロトン伝導性膜として使用する場合の要求特性(プロトン伝導度、ガス遮断性、熱的・化学的安定性、コストなど)を考慮すると、高分子膜としては、ポリイミドまたはポリフェニレンサルファイドからなるものを選択するのが好ましい。
【0013】
本発明のプロトン伝導性高分子膜の製造方法は、上記のプロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜に放電処理を表面に施こすものである。ここで、放電処理とは、コロナ処理、プラズマ処理などプラスチックフィルムの表面改質に一般的に使用される放電処理を指す。これらの処理をプロトン伝導性高分子膜の表面に施すことにより、電極との接合界面の接着性が著しく改善される。従って、本発明の製造方法で得られるプロトン伝導性高分子膜と触媒担持ガス拡散電極を接合した膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池は、膜と電極の接合界面の剥がれに起因する発電特性の低下が生じにくい。
【0014】
次に放電処理についてさらに詳しく説明する。プロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜の表面に、放電処理に施すことにより、膜表面が励起されて活性化状態となり、膜表面に水酸基・カルボン酸基・カルボニル基等の親水基が新たに生じ、表面の親水性が向上し、接着性が改善される。本発明に使用される高分子膜は、プロトン伝導性高分子膜は親水性の高いプロトン伝導性置換基などを含有しているが、高分子骨格の組成、親水性の置換基の量などにより、表面接着性が必ずしも良好でない場合がある。従って、プロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜に、放電処理を表面に施すことは、膜自体の接着性を改善し、電極との接合界面を良好かつ安定に保持するのに有効である。
【0015】
本発明で用いられる放電処理は、一般的なプラスチックフィルムで実施される公知の方法で行うことができる。以下に、放電処理の一例としてコロナ処理について、図面を引用して説明する。
【0016】
図1はコロナ処理装置の要部拡大図である。コロナ処理装置(1)は、高度に絶縁されたロール(2)に近接させて配置した線上の電極(3)からなり、線上の電極(3)はコロナ処理をすべき長さ(即ち、高分子膜の幅)に形成されていて、複数の碍子(4)を介してフレーム(5)に固定されている。この装置(1)は、電極(3)に高エネルギーを作用させてコロナ放電させ、ロール(2)上を通された高分子膜(6)の上面にコロナ処理を施すことができる。このときのエネルギーは、例えば、通常の高分子フィルムであれば100W・分/m以下で良いが、絶縁性などに優れた例えばポリイミドフィルムの場合は、100〜500W・分/m程度の高エネルギーが用いられる場合がある。本発明で用いられるプロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜の場合には、高分子骨格として、例えばポリイミドのように絶縁性に優れたものを使用する場合であっても、親水性のプロトン伝導性置換基などを含有する場合には、100W・分/m以下のエネルギー程度で良い場合もある。これらの条件は、使用する高分子膜の種類や厚み、接着剤として使用するプロトン伝導性を有する高分子化合物の種類や接着層の厚み等を考慮して、適宜設定すればよい。なお、コロナ処理を行う際、高分子膜の熱膨張による皺を防ぐため、膜の幅方向に伸びを付与した後、コロナ処理を1回又は複数回にわたって施しても良い。また、放電処理に引き続いて、膜に帯電した静電気の極性と逆極性のイオンを有するイオン化ガスを吹き付けて、静電気を除電すると同時に付着した微粉末を除去するようにしてもよい。
【0017】
本発明で用いるプロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜の厚みは特に限定されないが、固体高分子型燃料電池に使用することを考慮すると、実用的な機械的強度や燃料・酸化剤の遮断性を有する範囲で薄い程良い。固体高分子型燃料電池に使用するには、概ね5〜200μmの範囲であることが好ましい。
【0018】
次に本発明の膜−電極接合体について説明する。本発明の膜−電極接合体は、プロトン伝導性置換基またはプロトン伝導性物質を含有する高分子膜の表面に放電処理を施したプロトン伝導性高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、ガス拡散電極の触媒面側と接合するものである。一例として、図面を引用して説明する。
【0019】
図2は、本発明の膜−電極接合体の要部断面図である。本発明の膜−電極接合体は、膜−電極接合体用のプロトン伝導性高分子膜(7)と触媒担持ガス拡散電極(8)が接合されたものである。(7)は、放電処理が表面に施された表面層(9)が形成されている。触媒担持ガス拡散電極(8)は、触媒層(10)とガス拡散電極(11)から構成されている。これらが、プロトン伝導性高分子化合物から成る接着層(12)を介して接合されている。このとき、(7)と(12)を形成するプロトン伝導性高分子化合物の組成は、同一であっても、異なっていても構わない。
【0020】
触媒担持ガス拡散電極(8)は、ガスが透過可能な微細孔を有した導電性のカーボンペーパーやカーボンクロスなどのガス拡散電極(8)が支持体として使用される。この支持体上に、燃料・酸化剤に対する触媒能を有する白金、ルテニウムなどの金属あるいはそれらの合金を活性炭などのカーボン粒子に担持させた触媒(13)を、撥水性のテトラフルオロエチレンなどの結着剤を使用して、支持体上に触媒層(10)を形成させたものである。このタイプの触媒担持ガス拡散電極としては、E−TEK社製の電極が多く使用されており、本発明でもそれが使用できる。また、個々の材料から、触媒担持ガス拡散電極を調製して、使用しても良い。
【0021】
次に膜−電極接合体用のプロトン伝導性高分子膜(7)と触媒担持ガス拡散電極(8)の接合方法について説明する。まず、触媒担持ガス拡散電極(8)の触媒層(10)上にプロトン伝導性を有する高分子化合物の溶液を塗布する。溶媒が蒸発する温度で乾燥させ、触媒層上にプロトン伝導性を有する高分子化合物層(12)を形成させる。このプロトン伝導性を有する高分子化合物層(12)と、(7)の放電処理を施した表面(9)を合わせ、プロトン伝導性を有する高分子化合物層(12)および/またはプロトン伝導性高分子膜(7)の軟化温度〜熱分解温度の範囲でホットプレスする。例えば、デュポンのナフィオン、旭硝子のフレミオン、旭化成のアシプレックスなどのパーフルオロカーボンスルホン酸系高分子を使用する場合には、120〜250℃程度のプレス温度で接合できる。プレス圧力は、特に制限はないが、概ね1MPa以上であることが好ましい。但し、プレス温度、プレス圧力は、使用するプロトン伝導性高分子膜(7)やプロトン伝導性を有する高分子層(12)の種類に応じて、適宜最適な条件を設定すればよい。
【0022】
次の本発明の固体高分子型燃料電池について、一例として、図面を引用して説明する。
図3は本発明の固体高分子型燃料電池の要部断面図である。
これは、前記したような膜−電極接合体用のプロトン伝導性高分子膜(7)と、触媒担持ガス拡散電極(8)が接合された膜−電極接合体が、燃料流路(14)、酸化剤流路(15)がそれぞれ形成された導電性のカーボングラファイトやステンレス鋼からなる1対のセパレータ(16)で狭持されたものである。燃料として、純水素、メタノール・天然ガス・ガソリンなどの改質ガス、メタノールなど、酸化剤として、酸素、空気などを供給することにより、本発明の固体高分子型燃料電池が作動する。以上固体高分子型燃料電池の単セルについて説明したが、これらを複数積層して固体高分子型燃料電池スタックを構成して使用することも可能である。これらは、燃料電池自動車、家庭用コージェネレーションシステム、民生用携帯機器など電源として、使用可能である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、実施例に先立ち測定法などについて説明する。
【0024】
(イオン交換容量)
試験体を塩化ナトリウム飽和水溶液に浸漬し、ウォーターバス中で60℃、3時間反応させる。室温まで冷却した後、サンプルをイオン交換水で充分に洗浄し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、イオン交換容量を算出する。
【0025】
(プロトン伝導度)
イオン交換水中に保管した試験体(10mm×40mm)を取り出し、試験体表面の水をろ紙で拭き取る。電極間距離30mmで白金電極間に試験体を装着し、2極非密閉系のテフロン製のセルに設置した後、室温下で電圧0.2Vの条件で、交流インピーダンス法(周波数:42Hz〜5MHz)により、試験体の膜抵抗を測定し、プロトン伝導度を算出した。
【0026】
(実施例1)
以下の方法に従って、プロトン伝導性高分子膜として、プロトン伝導性置換基であるスルホン酸基を含有したスルホン化ポリイミド膜を取得した。
【0027】
0.5Lのセパラブルフラスコに2,2’−ベンジジンスルホン酸を4.82g(0.014mol)、フェノールを84g、p−クロロフェノールを56g、トリエチルアミンを17.00g(0.17mol)とり、窒素気流下で室温で0.5時間攪拌した。次に、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物を5.36g(0.020mol)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンを2.02g(0.058mol)、3,3’−ジアミノベンジジンを0.021g(0.0001mol)一気に加え、トルエンを40g加えた。窒素気流下で150℃で5時間攪拌した。このとき、生成する水はトルエンで共沸させながら除去した。このとき、生成水を0.7mL回収、除去した。次いでトルエンを環流除去し、セパラブルフラスコを氷冷し、反応液を室温まで冷却した。塩酸を29.2gとメタノールを1Lの混合溶液を激しく攪拌しながら、上記反応液を徐々に滴下した。このとき、線状の茶色沈殿物が生成した。得られた沈殿物をメタノール0.5Lで2回洗浄したのち、減圧下で120℃、3時間乾燥し、スルホン化ポリイミド樹脂組成物を12.5g得た。
【0028】
得られたスルホン化ポリイミド樹脂の15wt%N−メチル−2−ピロリドン溶液を調製し、フロートガラス上に500μmの厚みで塗布し、減圧下で、50℃、100℃、150℃、200℃の温度でそれぞれ0.5時間乾燥し、溶媒を除去した。プロトン伝導性高分子膜として、厚み約70μmのスルホン化ポリイミド膜を得た。このスルホン化ポリイミド膜のイオン交換容量は1.55ミリ当量/g、プロトン伝導度は9.1×10-2S/cmであった。
【0029】
得られたスルホン化ポリイミド膜を両面を、60W・分/mのエネルギーでコロナ処理を行い、膜−電極接合体用のプロトン伝導性高分子膜を得た。
【0030】
次にElectroChem社の触媒担持ガス拡散電極(Pt担持量:1mg/m2)に5重量%のナフィオン溶液をナフィオン量が0.6mg/cm2になるようにガス拡散電極の触媒層側に塗布した。これを70℃で1時間、減圧乾燥した。このガス拡散電極を前記のプロトン伝導性高分子膜の両面に配置し、プレス温度:140℃、プレス圧力:5.9MPa、プレス時間:90秒の条件でホットプレスし、本発明の膜−電極接合体を調製した。
【0031】
(比較例1)
コロナ処理しなかった以外は、実施例1と同様にして、膜−電極接合体を得た。次に実施例1および比較例1で得た膜−電極接合体を、ElectroChem社の固体高分子型燃料電池セルに装着し、以下の条件で発電特性を評価した。電流密度とセル電圧の関係を図4に示した。
【0032】
(燃料電池作動条件)
・作動温度:60℃
・燃料:純水素ガス
・酸化剤:酸素ガス
・加湿温度:60℃
・背圧:0MPa。
【0033】
図4における実施例1と比較例1の比較から明らかなように、本発明の膜−電極接合体用高分子膜を使用した膜−電極接合体を使用した方が、高い発電特性を示した。また、比較例1の膜−電極接合体を使用した場合には、発電特性が定常値を示すまで、ガスを供給してから、わずか数分で特性の急激な性能低下が見られた。また、発電特性評価後の膜−電極接合体の外観を目視観察したところ、実施例1の膜−電極接合体の接合界面は良好に保持されているのに対し、比較例1の方は、膜と電極の接合界面が完全に剥がれていた。以上のことから、本発明の膜−電極接合体用高分子膜、膜−電極接合体は、膜の接着性が改善され、膜と電極の接合界面が良好に保たれることが示された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の膜−電極接合体用高分子膜は、表面に放電処理が施されてなるので、表面の接着性が改善される。また、該高分子膜と触媒担持ガス拡散電極とから構成される膜−電極接合体は、膜と電極が良好かつ安定に接合されるため、燃料電池作動時にも接合界面の剥がれに起因する性能低下が生じにくい固体高分子型燃料電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ処理装置の要部拡大図
【図2】本発明の膜−電極接合体の要部断面図
【図3】本発明の固体高分子型燃料電池の要部断面図
【図4】本発明の固体高分子型燃料電池の電流密度とセル電圧の関係
【符号の説明】
1:コロナ処理装置
2:ロール
3:電極
4:碍子
5:フレーム
6:プロトン伝導性高分子膜
7:放電処理が施された膜−電極接合体用(プロトン伝導性)高分子膜
8:触媒担持ガス拡散電極
9:表面処理層
10:触媒層
11:ガス拡散電極
12:プロトン伝導性を有する高分子化合物接着層
13:触媒
14:燃料流路
15:酸化剤流路
16:セパレータ
17:ガスケット
Claims (6)
- スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリフェニレンサルファイド又はスルホン化ポリイミドからなる高分子膜の表面にコロナ処理を施されてなる膜−電極接合体用高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、ガス拡散電極の触媒面側と接合されてなることを特徴とする膜−電極接合体。
- 前記コロナ処理を施されてなる高分子膜の表面と前記触媒ガス担持電極の触媒層との間にプロトン伝導性高分子化合物から成る接着層を介して前記高分子膜とガス拡散電極とが接合されてなる請求項1記載の膜−電極接合体。
- スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリフェニレンサルファイド又はスルホン化ポリイミドからなる高分子膜の表面にコロナ処理を施されてなる膜−電極接合体用高分子膜を、互いに離隔する1対の触媒担持ガス拡散電極の間に設置し、前記高分子膜とガス拡散電極とを接合することを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。
- 前記コロナ処理を施されてなる高分子膜の表面と前記触媒ガス担持電極の触媒層との間にプロトン伝導性高分子化合物から成る接着層を介して前記高分子膜とガス拡散電極とを接合する請求項3記載の膜−電極接合体の製造方法。
- 前記高分子膜とガス拡散電極とをホットプレスにより接合する請求項4記載の膜−電極接合体の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の膜−電極接合体を使用した固体高分子型燃料電池。
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