本発明の実施形態について説明すると、以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
<I.ポリイミド前駆体>
本発明にかかるポリイミド前駆体は、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸部位を有し、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸の一部を除き、それ以外の部位が既にイミド化されているものである。言い換えると、本発明のポリイミド前駆体は、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸の一部を残し、それ以外のジアミン由来のポリアミド酸をすべてイミド化したものである。さらにいえば、本発明にかかるポリイミド前駆体は、芳香族ジアミン由来のポリアミド酸はすべて、イミド化されており、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸はイミド化されていないものであることが好ましい。具体的には、上記式(1)および式(2)の構造を有するポリイミド前駆体である。
上記式(2)において、R3は、アルキルエーテル構造を有する脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の有機基であることが好ましい。さらに、R3は、脂環構造を有する脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた2価の有機基であることが好ましい。
本明細書において、「脂肪族ジアミン」とは、直鎖構造をもつジアミンと、直鎖構造(主鎖)と分枝構造とをもつジアミンと、脂環構造を有するジアミンとを含む総称である。上記脂肪族ジアミンと対照となすのは、芳香族ジアミンである。つまり、上記脂肪族ジアミンは、芳香族ジアミン以外の全てのジアミンをいう。なお、ここでいう「芳香族ジアミン」とは、芳香環に直接結合したアミノ基を2つ有する化合物である。
上記「脂環構造を有するジアミン」とは、脂環構造を有しているジアミンすべてを含み、下記式(4)
のように脂環構造に直接結合したアミノ基を2つもつ脂環式ジアミン、および下記式(5)
のように、アミノ基が−CH2−を介して脂環構造に結合しているジアミンの両方のタイプを含む。
本発明において、上記脂肪族ジアミンは、特に限定されるものでなく、あらゆる脂肪族ジアミンを用いることができる。具体的には、以下の脂肪族ジアミンを例示することができる。
脂肪族ジアミンの一種で、アルキルエーテル構造を有するジアミンとして、例えば、
下記式(6)の構造を有するジアミンを例示することができる。
H2N−(CH2)m−{O−(CH2)m}n−O−(CH2)m−NH2・・・式(6)
(式中、mは1〜20のいずれかの整数を、nは0〜10のいずれかの整数を示す。)
特に、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタンは、好適に用いることができる。
また、脂環構造を有する脂肪族ジアミンとしては、下記式群(7)
(式中、R4は、H、メチル基、エチル基、またはブチル基を示す。)
の構造を有するジアミンを例示することができる。
また、それ以外の脂肪族ジアミンとして、下記式群(8)
(式中、R5はメチル基、エチル基、またはフェニル基を示し、xは2〜10のいずれかの整数を、yは4〜30のいずれかの整数を示す。)
の構造を有するジアミンを例示することができる。
好ましいポリイミド前駆体中の上記式(1)と式(2)との構成モル分率は、上記式(1)のモル分率が1〜80%であり、ポリイミド前駆体中の上記式(2)のモル分率が10〜90%である。更に好ましくは、上記式(1)のモル分率が3〜70%であり、ポリイミド前駆体中の上記式(2)のモル分率は20〜60%である。ポリイミド前駆体中の式(1)と式(2)との構成モル分率が、少なくとも上記範囲内にあると、良好な感光能および耐熱性が得られる。
また、本発明のポリイミド前駆体は、脂肪族ジアミン由来ポリアミド酸のカルボン酸の影響で、感光性樹脂として用いた際には、アルカリ性溶液を現像液に用いて現像することができる。
本発明のポリイミド前駆体は、5g/lのN−メチル−2−ピロリドンの溶液の30℃における対数粘度は、0.2〜4.0の範囲であることが好ましく、0.3〜2.0の範囲であることが、より好ましい。
<II.ポリイミド前駆体の製造方法>
本発明にかかるポリイミド前駆体の製造方法は、少なくとも、酸二無水物末端オリゴマーを合成する工程(以下、「オリゴマー合成工程」ともいう)と、上記オリゴマーと脂肪族ジアミンとを重合させる工程(以下、「重合工程」ともいう)とを含んでいればよい。各工程について、以下、詳細に説明する。
(1.オリゴマー合成工程)
オリゴマー合成工程では、上記式(1)の構造を導入するために用いられる酸二無水物末端オリゴマーを合成する。このようなオリゴマーを合成する方法としては、(A)酸二無水物とジアミン化合物とを反応させて合成する方法と、(B)酸二無水物とジイソシアネートとを反応させて合成する方法とが例示できる。上記2つの方法について、以下、詳述する。
(1−A.酸二無水物とジアミン化合物とを用いる方法)
本方法では、下記スキーム(1)のように、酸二無水物とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、酸二無水物末端オリゴマーのポリアミド酸を合成する。この際の当量数は、酸二無水物>ジアミン化合物とする。
(式中、R1は4価の有機基を示し、R2は芳香族ジアミンからアミノ基を除いた有機基を示し、pは1〜20のいずれかの整数を示す。)
より詳細にいえば、酸二無水物とジアミン化合物とを有機極性溶媒中で、80℃以下、好ましくは50℃以下の反応温度で、1〜12時間付加重合反応させて、酸二無水物末端オリゴマーのポリアミド酸を得る。この際の当量数は、酸二無水物>ジアミン化合物であり、酸二無水物÷ジアミン化合物の比は、1より大きく10以下が好ましく、1.1以上5以下であることがより好ましく、1.3以上3以下であることが特に好ましい。
上記付加重合反応で用いる上記有機極性溶媒として、例えば、N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、およびヘキサメチレンホスホアミド等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
上記のようにして得られた酸二無水物末端オリゴマーのポリアミド酸は、下記スキーム(2)のように脱水環化され、酸二無水物末端オリゴマーとなる。
(式中、R1は4価の有機基を示し、R2は芳香族ジアミンからアミノ基を除いた有機基を示し、pは1〜20のいずれかの整数を示す。)
脱水環化する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、トルエン、およびキシレン等の還流による熱環化法、または、無水酢酸と、ピリジン等の芳香族3級アミンとによる化学環化法等を使用することができる。
その他の、ポリアミド酸をポリイミドに脱水環化する方法として、ポリアミド酸溶液を減圧下で、加熱および脱水する方法がある。この方法は、イミド化により生成する水を、加熱および減圧し、積極的に系外に除去するため、加水分解して、開環するのを抑えることができる。また、当該方法では、用いた原料の酸二無水物中に、「加水分解により開環したテトラカルボン酸」、あるいは「酸二無水物の一方が加水開環したもの」等が混入する。しかし、イミド化の際に減圧・加熱しているので、ポリアミド酸の重合反応が停止した場合でも、開環した酸無水物を再び閉環することが期待できる。
本方法において、上記酸二無水物は、特に限定されるものではなく、あらゆる酸二無水物を用いることができる。例えば、2,2−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、およびビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;並びに、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、およびビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、有機溶媒への溶解性の高いポリイミドを得るためには、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、または1,2−エタンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を、上記酸二無水物として、含有させることが好ましい。
上記オリゴマー形成工程で使用できる上記ジアミンは、特に限定されるものではなく、アミノ基を2個有するジアミン化合物であればすべて用いることができる。つまり、脂肪族ジアミン、および芳香族ジアミンのすべての中から選択して用いればよい。本発明では、芳香族ジアミンを用いることが好ましい。
本方法で用いることができる芳香族ジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノフェニルエタン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジジアミノフェニルスルフィド、4,4’−ジジアミノフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3’−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3’−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、および4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の、芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子とを有する芳香族ジアミン;4,6−ジアミノレゾルシノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル化合物類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルメタン等のヒドロキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルフォン化合物;2,2’−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類;ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物;2,4−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2’−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、および4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類;2,5−ジアミノテレフタル酸等のジアミノフタル酸類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシビフェニル等のカルボキシビフェニル化合物類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルメタン等のカルボキシジフェニルアルカン類;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルエーテル等のカルボキシジフェニルエーテル化合物;3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、および4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラカルボキシジフェニルスルフォン等のジフェニルスルフォン化合物;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]アルカン化合物類;2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(カルボキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物;3,5−ジアミノ安息香酸等のジアミノ安息香酸類を挙げることができる。
また、本方法で用いることができる脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4’−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、およびm−キシリレンジアミン等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミンが挙げられる。
上記例示したジアミン化合物は、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
(1−B.酸二無水物とジイソシアネートとを用いる方法)
本方法では、酸二無水物とジイソシアネート化合物とを有機極性溶媒中で1〜12時間重縮合反応させる。それにより、脱炭酸して酸二無水物末端オリゴマーが得られる。この際の当量数は、酸二無水物>ジイソシアネート化合物である。また、酸二無水物÷ジイソシアネート化合物の比は、1より大きく10以下であることが好ましく、1.1以上5以下であることがより好ましく、1.3以上3以下であることが特に好ましい。
酸二無水物とジイソシアネート化合物との重縮合反応させる条件としては、有機極性溶媒中で、室温〜80℃で加熱後、更に150〜200℃程度に加熱することが好ましい。これにより、重縮合反応を促進させることができる。さらに、この際、減圧することが、より好ましい。これにより、脱炭酸反応を促進させることができる。なお、上記有機極性溶媒としては、例えば、N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、およびヘキサメチレンホスホアミド等を用いることができる。
本方法で用いられる酸二無水物は、特に限定されるものではなく、例えば、上記(1−A.酸二無水物とジアミン化合物とを用いる方法)の項に記載の酸二無水物を用いることができる。
本方法で用いられるジイソシアネートは、特に限定されないが、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5’−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ−ト、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、テトラメチルキシレンジイソシアネ−ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、水添キシリレンジイソシアネ−ト、ダイマ−酸ジイソシアネ−ト、およびノルボルネンジイソシアネ−ト等を挙げることができる。
(2.重合工程)
重合工程では、上述の方法で合成された酸二無水物末端オリゴマーと脂肪族ジアミンとを付加重合反応させる。これにより、本発明のポリイミド前駆体を合成することができる。
具体的には、上記酸二無水物末端オリゴマーと脂肪族ジアミンとを有機溶媒中で、0.5〜12時間付加重合反応させる。このときの反応温度は、100℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。脂肪族ジアミンは、ポリイミド前駆体のカルボン酸と塩を形成して、不溶化しやすい。そのため、酸二無水物と有機極性溶媒とからなる溶液あるいは懸濁溶液に、脂肪族ジアミンを添加することが好ましい。
本発明に用いる酸二無水物末端オリゴマーは溶媒への溶解性が高く、酸二無水物のモノマーに比べ、重合時に脂肪族のジアミンと塩を形成して不溶化しにくいという利点を有する。
重合工程で用いることができる脂肪族ジアミンは、特に限定されるものではなく、<I.ポリイミド前駆体>の項、および(1.オリゴマー合成工程)の項で例示した脂肪族ジアミンを用いることができる。
上記付加重合反応に用いる有機溶媒として、例えば、N,N’−ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジエチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホアミド、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、およびジオキソラン等が挙げられる。なお、これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
通常、芳香族ジアミン由来のポリアミド酸を閉環してイミド化する際には、下記スキーム(3)に表されるように、分子鎖長が縮む。
したがって、イミド化するには、分子鎖全体が運動できる温度以上に加熱する必要があり、250℃以上の高温にすることが必要である。
それに対して、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸は、脂肪族部位が低温で自由に振動できる。そのため、分子鎖全体が運動できる温度以下の温度でも、イミド化することができる。また、脂肪族ジアミン由来のアミド酸−NH−の電子密度が、芳香族ジアミン由来のアミド酸−NH−の電子密度よりも高いため、イミド化自体も起こりやすい。なお、脂肪族ジアミン由来のアミド酸のイミド化は、下記スキーム(4)に表されるように進行する。
上述したように、本発明のポリイミド前駆体は、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸以外の部位が既にイミド化されている。そのため、本発明のポリイミド前駆体をイミド化する際は、脂肪族ジアミン由来のポリアミド酸のみをイミド化すればよい。したがって、本発明のポリイミド前駆体は、200℃以下でイミド化を行うことができるのである。
<III.感光性樹脂組成物>
本発明にかかる感光性樹脂組成物は、上述のポリイミド前駆体と、(A)(メタ)アクリル化合物とを、少なくとも含有していればよく、その他の具体的な構成については特に限定されるものではない。なお、上述のポリイミド前駆体、および(メタ)アクリル化合物に加えて、上記感光性樹脂組成物は、(B)光反応開始剤、(C)難燃剤、(D)炭素−炭素2重結合および3級アミノ基を分子内に有する化合物、あるいは炭素−炭素2重結合およびアミド基を有する化合物、および(E)エポキシ化合物のうち、少なくとも1つを含有していてもよい。以下、上述したポリイミド前駆体を除く、上記(A)〜(E)の各構成成分について、詳細に説明する。
(A.(メタ)アクリル化合物)
本発明においては、本発明のポリイミド前駆体に、(メタ)アクリル化合物を加えて、感光性樹脂組成物とする。本発明に用いられる(メタ)アクリル化合物は、特に限定されるものではなく、炭素−炭素2重結合を有していればよい。具体的には、以下の化合物を例示することができる。
例えば、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、スフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ3−メタクロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトレアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、および4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等を例示することができる。なお、架橋密度を向上させるためには、特に2官能以上のモノマーを用いることが好ましい。
その他の炭素−炭素2重結合を有する化合物として、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニル−4−t−ブチルベンゾエート、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルisoブチルエーテル、ビニルn−ブチレート、ビニル−n−カプロレート、およびビニルn−カプリレート等のビニル化合物;イソシアヌル酸トリアリル、およびフタル酸ジアリルエーテル等のアリル化合物を例示することができる。
上記炭素−炭素2重結合を有する化合物は、本発明のポリイミド前駆体100重量部に対し、1〜400重量部配合することが好ましく、3〜300重量部の範囲が更に好ましい。上記範囲内で配合することによって、特に効果的に、従来のものに比べて、低温でイミド化する感光性樹脂組成物を実現することができる。なお、上記炭素−炭素2重結合を有する化合物として、1種類の化合物を用いてもよいし、数種を混合して用いてもよい。また、パーオキサイド等のラジカル発生剤を混入させてもよい。
(B.光反応開始剤)
本明細書において、「光反応開始剤」とは、光照射によりラジカルを発生する化合物の総称である。本発明にかかる光反応開始剤は、特に限定されるものではなく、250〜450nmの光照射により、ラジカルを発生するものであればよい。具体的には、以下のものを例示することができる。
例えば、下記式(9)および式(10)
(式中、R6、R7、R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ、C6H5−、C6H4(CH3)−、C6H2(CH3)3−、(CH3)3C−、C6H3Cl2−、メトキシ基、またはエトキシ基である。)
で表されるアシルフォスフィンオキシド化合物が挙げられる。これにより発生したラジカルは、2重結合を有する反応基(ビニル、アクロイル、メタクロイル、またはアリル等)と反応し架橋を促進する。
上記式(9)で表されるアシルフォスフィンオキシドは、2個のラジカルを発生するのに対して、上記式(10)で表されるアシルフォスフィンオキシドは、α開裂により、4個のラジカルを発生する。したがって、本発明においては、上記式(10)で表されるアシルフォスフィンオキシドを用いることが、特に好ましい。
また、本発明において、上記光反応開始剤は、上述のポリイミド前駆体100重量部に対して、0.01〜50重量部含有することが好ましい。
また、本発明にかかる感光性樹脂組成物においては、上記光反応開始剤として、パーオキサイドと増感剤とを組み合わせて用いることができる。この構成とすることによって、感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成することができる。
上記パーオキサイドとしては、種々のパーオキサイドを用いることができるが、特に、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンを用いることが好ましい。
また、上記増感剤は特に限定されるものでないが、例えば、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、ベンジル、4,4’−ジメチルアミノベンジル、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、1−フェニル−2−(エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンズアントロン、5−ニトロアセナフテン、2−ニトロフルオレン、アントロン、1,2−ベンズアントラキノン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ゼンゾチアゾール、および2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3’−ジメチルー3H−インドール等を好適に用いることができる。
上記増感剤は、増感効果が得られ、かつ現像性に悪影響を及ぼさない範囲で配合すればよい。具体的には、本発明のポリイミド前駆体100重量部に対し、0.01〜50重量部配合すること好ましく、0.1〜20重量部配合することが、更に好ましい。なお、増感剤として、1種類の化合物を用いてもよいし、数種を混合して用いてもよい。
さらに、本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成するため、光重合助剤を含むことができる。上記光重合助剤は特に限定されるものでない。例えば、4−ジエチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジエチルアミノブロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノプロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、N−フェニルグリシン、N−メチル−N−フェニルグリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシン、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジ(3−メルカブトプロピオネート)、トリメチロールプロパンチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールエタントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸、α−メルカプトプロピオン酸、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシメトキシペンゾエート、t−ブチルペルオキシニトロベンゾエート、t−ブチルペルオキシエチルベンゾエート、フェニルイソプロピルペルオキシベンゾエート、ジt−ブチルジペルオキシイソフタレート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメリテート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメシテート、テトラt−ブチルテトラペルオキシピロメリテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ペンゾフェノン、3,3,4,4’−テトラ(t−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4―カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−1−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジベンザル)−N−アセチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニルー4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(m−アジドべンザル)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−アセチルー4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニル−4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−シクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドシンナミリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、4,4’−ジアジドカルコン、3,3’−ジアジドカルコン、3,4’−ジアジドカルコン、4,3’−ジアジドカルコン、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−アセチル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−n−プロピルカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム、1,3−ビス(p−メチルフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、および1−(p−メトキシフェニル)−3−(p−ニトロフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム等を用いることができる。また、別の助剤として、トリエチルアミン、トリブチルアミン、およびトリエタノールアミン等のトリアルキルアミン類を混合することもできる。
上記光重合助剤は、増感効果が得られ、かつ現像性に悪影響を及ぼさない範囲で配合すればよい。具体的には、本発明のポリイミド前駆体100重量部に対し、0.01〜50重量部配合されることが好ましく、0.1〜20重量部の範囲が更に好ましい。なお、光重合助剤として1種類の化合物を用いてもよいし、数種を混合してもよい。
(C.難燃剤)
本発明の感光性樹脂組成物には、ポリイミド前駆体、(メタ)アクリル化合物、および光反応開始剤の他に、難燃剤を含んでもよい。本明細書において、「難燃剤」とは、プラスチック、木材、または繊維等の可燃性物質に、添加または反応させることにより、可燃性物質を燃えにくくする働きのある物質のことを意味する。
難燃剤の添加量は、特に限定されるものではなく、以下に詳述するように、用いる難燃剤の種類に応じて適宜変更すればよい。一般的には、ポリイミド前駆体、および炭素−炭素2重結合を有する化合物の合計量を基準として、5〜50重量%の範囲で用いることが好ましい。難燃剤をこの範囲内で用いることによって、硬化後のカバーレイフィルムに難燃性を効果的に付与することができる。さらに、硬化後のカバーレイフィルムの機械特性を向上させることができる。
本発明にかかる難燃剤には、(1)リンを含む化合物(以下、「リン系化合物」ともいう)、(2)ハロゲンを含む化合物(以下、「含ハロゲン化合物」ともいう)、(3)1分子中にハロゲン原子を有するリン系化合物、(4)シロキサン部位を含む化合物等が含まれる。本発明において、難燃剤として用いることが可能な上記(1)〜(4)の化合物について、以下、詳細に述べる。
(C−1.リン系化合物)
上記難燃剤が、リン系化合物である場合、そのリン含量は、5.0重量%以上であることが好ましく、7.0重量%以上であることが更に好ましい。そのようなリン系化合物を用いることにより、難燃性を効果的に付与することができる。なお、難燃剤として、用いられるリン系化合物のことを、以下、「リン原子を含む難燃剤」とも称する。
上記リン系化合物としては、ホスファゼン、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、および亜リン酸エステル等のリン化合物等が挙げられる。特に、感光性樹脂組成物との相溶性の面から、ホスファゼン、ホスフィンオキサイド、またはリン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)であることが好ましい。
さらには、難燃性を付与でき、かつ耐加水分解性をもつという点から、以下のリン系化合物を難燃剤として用いることが好ましい。そのような化合物としては、例えば、SPE−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、SPH−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、TPP(トリフェニルホスフェート)(大八化学製)、TCP(トリクレジルホスフェート)(大八化学製)、TXP(トリキシレニルホスフェート)(大八化学製)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)(大八化学製)、およびPX−110(クレジル2,6−キシレニルホスフェート)(大八化学製)等のリン酸エステル;CR−733S(レゾシノ−ルジホスフェート)(大八化学製)、CR−741(大八化学製)、CR−747(大八化学製)、およびPX−200(大八化学製)等の非ハロゲン系縮合リン酸エステル;ビスコートV3PA(大阪有機化学工業製)、およびMR−260(大八化学製)等のリン酸(メタ)アクリレート;並びに、亜リン酸トリフェニルエステル等の亜リン酸エステル等が挙げられる。
(C−2.含ハロゲン化合物)
上記難燃剤が、含ハロゲン化合物である場合、難燃性の向上という点からは、ハロゲン含量は多ければ多いほど好ましい。具体的には、そのハロゲン含量は15重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることが更に好ましい。そのような含ハロゲン化合物を用いることにより、難燃性を効果的に付与することができる。
上記含ハロゲン化合物に含まれるハロゲンとしては、特に、塩素または臭素を用いることが好ましい。上記含ハロゲン化合物として、例えば、塩素を含む有機化合物、および臭素を含む有機化合物等が挙げられるが、難燃性の付与という面から、含臭素化合物であることが好ましい。具体的には、ニューフロンティアBR−30、BR−30M、BR−31、およびBR−42M(第一工業製薬製)等の臭素系モノマー;ピロガードSR−245(第一工業製薬製)等の臭素化芳香族トリアジン;ピロガードSR−250、およびSR−400A(第一工業製薬製)等の臭素化芳香族ポリマー;並びに、ピロガードSR−990A(第一工業製薬製)等の臭素化芳香族化合物等が挙げられる。
また、難燃剤として上記含ハロゲン化合物を用いた場合には、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンを添加することが好ましい。これにより、プラスチックの熱分解開始温度域で、酸化アンチモンが難燃剤からハロゲン原子を引き抜いてハロゲン化アンチモンを生成するため、相乗的に難燃性を上げることができる。その添加量は、ポリイミド前駆体、炭素−炭素2重結合を有する化合物、および難燃剤の合計重量を基準として、0.1〜10重量%の範囲であることが好ましく、1〜6重量%の範囲であることが、更に好ましい。
三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンの白色粉末は、有機溶媒に溶解しない。そのため、その粉末の粒径が100μm以上である場合、感光性樹脂組成物に混入すると白濁する。その結果、得られる感光性樹脂組成物に難燃性を付与することはできるが、透明性および現像性が低下する傾向にある。
したがって、上記粉末の粒径は、100μm以下であることが好ましい。さらには、感光性樹脂組成物の透明性を失うことなく難燃性を上げるためには、粉末の粒径が50μm以下の三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンを用いることが好ましい。更にいえば、上記粉末の粒径は、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
粒径が50μm以下の五酸化アンチモンとしては、サンエポックNA−3181、NA−4800、NA−1030、およびNA−1070L(いずれも日産化学製)等が挙げられる。
三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンは、粉末のまま感光性樹脂組成物に混入してもよい。また、感光性樹脂組成物中で粉末が沈降するようであれば、粉末を有機溶媒に分散させ、ゾル状にしてから混入してもよい。ゾル状にすることにより、ネットワークを形成して粉末の沈降を防ぐことができる。ゾル状にするための具体的な方法としては、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンの粉末とともに分散剤を有機溶媒に添加する方法等がある。上記分散剤としては、気相法シリカ(二酸化ケイ素)とアルミナ(三酸化アルミニウム)との混合物を用いることができる。上記分散剤は、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンの重量の2〜5倍重量添加することが好ましい。
(C−3.1分子中にハロゲン原子を有するリン系化合物)
上記難燃剤は、1分子中にハロゲン原子を有するリン系化合物であってもよく、このような化合物としては、CLP(トリス(2−クロロエチル)ホスフェート)、TMCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、CRP(トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート)、およびCR−900(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)(いずれも大八化学製)等の含ハロゲンリン酸エステル等が挙げられる。
(C−4.シロキサン部位を含む化合物)
上記難燃剤が、シロキサン部位を含む化合物である場合、当該化合物におけるフェニル基の含有率が小さければ、難燃の効果は小さくなる。一方、フェニル基の含有率が高ければ高いほど、難燃の効果が高くなる。したがって、耐熱性および難燃性を効果的に付与できる点から、芳香環を高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物であることが好ましい。具体的には、フェニル基を全有機置換基の10モル%以上含有することが好ましく、20モル%以上含有することがより好ましく、25モル%以上含有することが特に好ましい。
フェニル基の含有率の低いオルガノポリシロキサン化合物を難燃剤として用いた場合、新規ポリイミド組成物や炭素−炭素2重結合を有する化合物への分散性や相溶性が悪い傾向にある。したがって、感光性樹脂をフィルム化した場合に、屈折率の異なる複数成分が相分離した透明性の低いフィルム、もしくは不透明なフィルムとなる傾向にある。また、このようなフェニル基の含有率の低いオルガノポリシロキサン化合物を用いる場合、十分な難燃効果を得るために、添加する量を多くすることが好ましい。しかし、添加量をあまり多くすると、作製される感光性樹脂組成物の機械強度等の物性が低下する傾向がある。そのため、上記物性の低下が起こらない範囲で、できるだけ多く添加することが好ましい。
上記難燃剤として、オルガノポリシロキサン化合物を用いると、燃焼時に有害ガスを発生しないで樹脂の難燃化を実現させることができる。一方、上述の含ハロゲン化合物を含有する樹脂組成物の場合は、難燃化は実現できるものの、燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生する。
オルガノポリシロキサン化合物の構造は、一般的に、3官能性シロキサン単位(以下、「T単位」ともいう)と、2官能性シロキサン単位(以下、「D単位」ともいう)と、4官能性シロキサン単位(以下、「Q単位」ともいう)との組み合わせで構成される。なお、上記T単位、D単位、およびQ単位は特に、限定されるものではないが、上記T単位としては、C6H5SiO3/2、およびCH3SiO3/2が好ましい。また、上記D単位としては、C6H5SiO3/2、およびCH3SiO3/2が好ましい。また、上記D単位としては、(C6H5)2SiO2/2、(CH3)C6H5SiO2/2、および(CH3)2SiO2/2が好ましい。
本発明で良好な組み合わせは、T/D系、T/D/Q系、およびD/Q系等の、D単位を含有する系であり、これにより、良好な難燃性が与えられる。D単位は、いずれの組み合わせの場合でも、10〜80モル%含有されることが好ましく、10〜70モル%含有されることが更に好ましい。D単位の含有量が、少なくとも上記範囲内であると、効果的に難燃性を付与することができる。加えて、そのようなオルガノポリシロキサン化合物は、ポリイミド前駆体との分散性および溶解性は良好である。その結果、感光性樹脂組成物の外観、光学的透明度、および強度を良好なものとすることができる。
上記D単位について、さらに詳述すると、上記例示のD単位のうち、ジメチルシロキサン単位((CH3)2SiO2/2)が、シリコーン樹脂に可撓性を付与する効果は最も大きい。その反面、あまりジメチルシロキサン部位が多すぎると、難燃性が低下する傾向にある。したがって、ジメチルシロキサン部位は、難燃性の低下が起こらない範囲で、含有させることが好ましい。具体的には、ジメチルシロキサン単位は、D単位中、60モル%以下であることが好ましい。
メチルフェニルシロキサン単位((CH3)C6H5SiO2/2)は、可撓性を付与できると同時に、フェニル基の含有率を高くすることができるため、特に好ましい。
また、ジフェニルシロキサン単位((C6H5)2SiO2/2)は、高フェニル基含有率を維持の点で優れる。ところで、ジフェニルシロキサン単位は、嵩高いフェニル基が、1つのSi上に密集した構造である。そのため、ジフェニルシロキサン単位を多量に配合すると、立体障害の大きな構造をもつオルガノポリシロキサン分子がもたらされる。その結果、シロキサン骨格の空間的自由度が低下し、芳香環相互のカップリングによる難燃化機構が作用するのに必要な芳香環同士の重なりが困難となる傾向がある。そのため、ジフェニルシロキサン単位は、難燃化効果を低下させない範囲で含有することが好ましい。
したがって、D単位は、上記3つの原料(ジメチルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、およびジフェニルシロキサン単位)を上記条件を満たすように、配合して使用すればよいが、主としてメチルフェニルシロキサン単位を使用することが好ましい。
また、上記のT単位およびQ単位の含有率は、上記良好なD単位含有率に応じて、決定される。具体的には、T/D系の場合、T単位の含有率は、30〜90モル%の範囲であることが好ましい。また、T/D/Q系あるいはD/Q系の場合、T単位の含有率は0〜89.99モル%が好ましく、10〜79.99モル%であることがより好ましい。このとき、Q単位の含有率は、0.01〜50モル%であることが好ましい。
空間の自由度さえ確保されていれば、難燃性の再現のためには、酸化度の高いQ単位をより多量に含有している方がより有利である。しかし、オルガノポリシロキサン化合物中にQ単位をあまり多く含有すると、無機微粒子的性質が強くなり、可溶性ポリイミド中への分散性が不良となる傾向がある。したがって、オルガノポリシロキサン化合物中のQ単位の含有量は、60モル%以下であることが好ましい
また、難燃性、加工性、成形品の性能等のバランスを考慮すると、フェニルシロキサンの全重量のうち、40〜80重量%をT単位が占めるような領域を、上記シロキサン単位含有率範囲から、選択することが更に好ましい。
さらに、難燃剤のフェニルシロキサンの重量平均分子量は、300〜50,000の範囲であることが好ましく、400〜30,000の範囲であることが更に好ましい。上記重量平均分子量が、少なくともこの範囲内であると、感光性樹脂組成物がBステージ(半硬化状態)で染み出すことがない。さらに、現像液への溶解性を向上させ、現像時間を短縮し、加工性を向上させることができる。
上記のようなオルガノポリシロキサン化合物は、公知の方法で製造できる。例えば、「上記のシロキサン単位を形成しうるオルガノクロロシランおよび/またはオルガノアルコキシシラン、あるいはその部分加水分解縮合物」を、「すべての加水分解性基(クロル基、アルコキシ基等)を加水分解するのに十分な過剰の水」と、「原料シラン化合物および生成するオルガノポリシロキサン化合物を溶解可能な有機溶剤」との混合溶液中へ混合し、加水分解縮合反応させることで得られる。
所望の重量平均分子量のオルガノポリシロキサン化合物は、反応温度および時間、水、並びに有機溶剤の配合量を調節することによって、製造することができる。このように製造されたオルガノポリシロキサンは、使用する際、不要な有機溶剤を除去し、粉体化して使用してもよい。
なお、市販されている上記オルガノポリシロキサンとして、例えば信越シリコーン(株)製のKF50−100S、KF54、KF56、HIVAC F4、HIVAC F5、X−22−1824B、KR211,KR311等が挙げられる。これらは、市販されており、容易に入手可能であることから好適に使用可能である。上記オルガノポリシロキサンは、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
以上詳述した化合物のうち、環境に与える影響が少ない点より、リン系化合物、または芳香環を高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物を難燃剤として用いることが好ましく、リン系化合物を用いることが特に好ましい。
(D.炭素−炭素2重結合およびアミノ基を有する化合物と炭素−炭素2重結合およびアミド基を有する化合物)
本発明にかかる「炭素−炭素2重結合およびアミノ基を有する化合物」、並びに「炭素−炭素2重結合およびアミド基を有する化合物」は、特に限定されるものではなく、分子内にそのような構造を有する化合物であればよい。
具体的には、上記「炭素−炭素2重結合およびアミノ基を有する化合物」の好ましい例として、メタクリル酸−2−ジメチルアミノエチルエステル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、N,N’−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N’−ジエチルアミノエチルアクリルアミド、およびN,N’−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
また、上記「炭素−炭素2重結合およびアミド基を有する化合物」の好ましい例として、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、アクリロイルピペリジン、メタクリロイルピペリジン、クロトンアミド、N−メチルクロトンアミド、N−イソプロピルクロトンアミド、N−ブチルクロトンアミド、酢酸アリルアミド、およびプロピオン酸アリルアミド等が挙げられる。特に、アミノアクリレ−ト誘導体、アクリルアミド誘導体が、感度の面で好ましい。
これらの化合物は、上述したポリイミド前駆体100重量部に対して、0.01〜30重量部含有することが好ましい。
(E.エポキシ化合物)
本発明の感光性樹脂組成物には、ポリイミド前駆体、(メタ)アクリル化合物、および光反応開始剤の他に、エポキシ化合物を含んでもよい。
上記エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、エポキシ基を分子内にもっていればよい。例えば、エピコート828(油化シェル社製)等のビスフェノール樹脂;180S65(油化シェル社製)等のオルソクレゾールノボラック樹脂;157S70(油化シェル社製)等のビスフェノールAノボラック樹脂;1032H60(油化シェル社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂;ESN375等のナフタレンアラルキルノボラック樹脂;並びに、テトラフェニロールエタン1031S(油化シェル社製)、YGD414S(東都化成)、トリスヒドロキシフェニルメタンEPPN502H(日本化薬)、特殊ビスフェノールVG3101L(三井化学)、特殊ナフトールNC7000(日本化薬)、およびTETRAD−X、TETRAD−C(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジルアミン型樹脂等が挙げられる。
また、上記エポキシ化合物として、エポキシ基と、2重結合および/または3重結合とを分子内にもっている化合物を混合することができる。例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルビニルエーテル、プロパギルグリシジルエーテル、グリシジルプロピオネート、およびエチニルグリシジルエーテル等を例示することができる。
特に、エポキシ化合物の中で、分子内に1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を用いることが特に好ましい。これにより、硬化時の硬化収縮を押さえることができる。単官能のエポキシ化合物は特に限定されるものではない。例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アルキルモノグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、バーサティック酸モノグリシジルエステル、直鎖アルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、ポリグリコールグリシジルエーテル、およびグリシジルメタクリレート等が挙げられる。
単官能のエポキシ化合物の更に好ましい例として、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、バーサティック酸モノグリシジルエステル、直鎖アルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、ポリグリコールグリシジルエーテル、2−メチルヘキシルグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−エポキシプロパン、グリシジル4−メトキシグリシジルエーテル、グリシジルメシチルエーテル、N−(2,3−エポキシプロピル)フタルイミド、グリシジルヘキサデシルエーテル、グリシジルノニルフェニルエーテル、グリシジルラウリルエーテル、3−ドデカフルオロヘプロキシ−1,2−プロペオキシド、日本化薬株式会社製BR−250H、日本化薬株式会社製BROC−Y、日本化薬株式会社製BROC−C、および日本化薬株式会社製BROC等を例示することができる。
<IV.感光性樹脂組成物の調製方法>
本発明の感光性樹脂組成物は、上述の通り、ポリイミド前駆体、炭素−炭素2重結合を有する(メタ)アクリル化合物、および必要に応じてその他の成分を、ある割合で混合したものである。また、上記の物質を有機溶媒に均一に溶解させた溶液を、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液という。
上記有機溶媒は、特に限定されるものではなく、感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解することができる有機溶媒であればよい。上記有機溶媒としては、例えば、ジオキソラン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール系溶媒等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を、後述する感光性ドライフィルムレジスト等に用いる場合、上記有機溶媒の除去を行うので、上記感光性樹脂組成物に含有される成分を溶解し、できるだけ沸点の低いものを選択することが好ましい。
<V.感光性ドライフィルムレジスト>
感光性ドライフィルムレジストは、上記感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布・乾燥して作製される。具体的には、上記の感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を支持体フィルム上に均一に塗布した後、加熱および/または熱風吹き付けを行う。これによって、上記有機溶媒を除去し、感光性樹脂組成物がフィルム状となった感光性ドライフィルムレジストを得ることができる。
このように形成された感光性ドライフィルムレジストは、感光性樹脂組成物を半硬化状態(Bステージ)で保ったものである。それゆえ、熱ラミネート処理等の熱圧着処理を行う場合には、適度な流動性を持ち、プリント配線板のパターン回路の埋め込みを好適に行うことができる。また、パターン回路を埋め込んだ後、露光処理、熱圧着処理、または加熱キュアを行うことによって、完全に硬化させることができる。
上記加熱および/または熱風吹き付けを行うことによって、感光性樹脂組成物の有機溶媒溶液を乾燥する時の温度は、特に限定されない。例えば、感光性樹脂組成物に含有される炭素−炭素2重結合を有する(メタ)アクリル化合物等の硬化性基が反応しない程度の温度であればよい。具体的には、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることが特に好ましい。また、乾燥時間は、有機溶媒を除去することが可能な範囲内で、より短い時間とすることが好ましい。
上記支持体フィルムの材料は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、およびポリイミドフィルム等、通常市販されている各種のフィルムを使用することができる。上記支持体フィルムのうち、ある程度の耐熱性を有し、比較的安価に手に入る点から、PETフィルムが多く用いられる。なお、支持体フィルムの感光性ドライフィルムレジストとの接合面については、密着性と剥離性を向上させるために表面処理されているものを用いてもよい。
さらに、感光性樹脂組成物を支持体フィルムに塗布し乾燥して作製した感光性ドライフィルムレジストの上には、保護フィルムを積層することが好ましい。空気中のゴミやチリが付着することを防ぎ、感光性ドライフィルムレジストの乾燥による品質の劣化を防ぐことができる。
上記保護フィルムは、感光性ドライフィルムレジスト面に、ラミネートして積層することが好ましい。なお、ラミネート処理時の温度は、保護フィルムの熱膨張が起こらず、ラミネート処理後の保護フィルムにしわやカールが生じない温度であればよい。具体的には、上記ラミネート処理時の温度は、10℃〜50℃の温度であることが好ましい。また、上記保護フィルムは、使用時には剥離するため、保護フィルムと感光性ドライフィルムレジストとの接合面は、保管時には適度な密着性を有し、かつ剥離性に優れていることが好ましい。
上記保護フィルムの材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリエチレンビニルアルコールフィルム(EVAフィルム)、「ポリエチレンとエチレンビニルアルコールの共重合体フィルム」(以下、「(PE+EVA)共重合体フィルム」ともいう)、「PEフィルムと(PE+EVA)共重合体フィルムとの貼り合わせ体」、もしくは「(PE+EVA)共重合体とポリエチレンとの同時押し出し製法によるフィルム」(片面がPEフィルム面であり、もう片面が(PE+EVA)共重合体フィルム面であるフィルムとなる)等を挙げることができる。
上記PEフィルムは安価であり、表面の滑り性に優れているという長所がある。また、(PE+EVA)共重合体フィルムは、感光性ドライフィルムレジストへの適度な密着性と剥離性とを備えている。このような保護フィルムを用いることにより、保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、および支持体フィルムの3層を有する三層構造シートをロール状に巻き取った場合に、その表面の滑り性を向上することができる。
<VI.プリント配線板>
本発明にかかる感光性ドライフィルムレジストを絶縁保護層として形成してなるプリント配線板を作製する手法について、説明する。プリント配線板として、パターン回路が形成されてなるCCL(以下、「回路付きCCL」ともいう。)を用いる場合を例に挙げて説明するが、多層のプリント配線板を形成する場合にも、同様の手法により層間絶縁層を形成することができる。
まず、前項にて説明した保護フィルム、感光性ドライフィルムレジスト、および支持体フィルムを有してなる三層構造シートから、保護フィルムを剥離する。以下では、保護フィルムが剥離されたものを「支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジスト」と記載する。そして、感光性ドライフィルムレジストと、回路付きCCLの回路部分とが対向するように、当該回路付きCCLを、支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストにて覆い、熱圧着によって貼り合せる。この熱圧着による貼り合わせは、特に限定されるものではなく、熱プレス処理、ラミネート処理(熱ラミネート処理)、または熱ロールラミネート処理等によって行えばよい。
上記貼り合わせを、熱ラミネート処理、または熱ロールラミネート処理(以下、「ラミネート処理」ともいう)によって行う場合、処理温度は、ラミネート処理が可能である下限の温度(以下、「圧着可能温度」ともいう)以上であればよい。さらに詳しく言えば、処理温度の上限は、ラミネート処理時に、感光性ドライフィルムレジストに含まれる感光性反応基の架橋反応が起こる温度以下であればよい。一方、処理温度の下限は、感光性ドライフィルムレジストが好適な流動性をもち、パターン回路を好適に埋め込むことができる温度以上であればよい。
具体的には、上記圧着可能温度は、50〜150℃の範囲内であることが好ましく、60〜120℃の範囲内であることがより好ましく、80〜120℃の範囲内であることが特に好ましい。上記圧着可能温度が、上記範囲内にあるとき、銅回路付きCCLの銅回路、または当該銅回路付きCCLのベースフィルムとの高い接着性を実現することができる。
上記の熱圧着処理によって、回路付きCCL上に感光性ドライフィルムレジストが積層され、さらに支持体フィルムが積層されたサンプルが得られる。次いで、この貼り合わせサンプルについて、パターン露光および現像を行う。パターン露光および現像に際しては、上記貼り合わせサンプルの支持体フィルム上に、フォトマスクパターンを配置し、該フォトマスクを介して露光処理を行う。その後、支持体フィルムを剥離して現像処理を行うことにより、フォトマスクパターンに応じた穴(ビア)が形成される。
なお、上記支持体フィルムは、露光処理後に剥離しているが、回路付きCCL上に支持体フィルム付き感光性ドライフィルムレジストが貼り合わせられた後に、すなわち、露光処理を行う前に、剥離してもよい。感光性ドライフィルムレジストを保護する点からは、露光処理が完了した後に剥離することが好ましい。
ここで露光に用いる光源としては、300〜430nmの光を有効に放射する光源が好ましい。この理由は、感光性ドライフィルムレジストに含有される光反応開始剤が、通常450nm以下の光を吸収して機能するためである。
また、上記現像処理に用いる現像液としては、塩基性化合物が溶解した塩基性溶液を用いればよい。塩基性化合物を溶解させる溶媒は、特に限定されるものではなく、上記塩基性化合物を溶解することができる溶媒であればよいが、環境問題等の観点から、水を使用することが特に好ましい。
上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウムなどの、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または炭酸塩や、並びにテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アミン化合物等を挙げることができる。上記塩基性化合物は、1種を用いてもよいし、2種以上の化合物を用いてもよい。
上記塩基性溶液に含有される塩基性化合物の濃度は、0.1〜10重量%の範囲内であることが好ましく、感光性ドライフィルムレジストの耐アルカリ性の点から、0.1〜5重量%の範囲内とすることがより好ましい。
なお、現像処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、塩基性溶液中に現像サンプルを入れて攪拌する方法、および現像液をスプレー状にして現像サンプルに噴射する方法等が挙げられる。
本発明においては、特に、液温を40℃に調整した1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を現像液に用い、スプレー現像機を用いて行う現像処理を好適に用いることができる。ここでいう「スプレー現像機」は、特に限定されるものではなく、現像液をスプレー状にしてサンプルに噴射する装置であればよい。
感光性ドライフィルムレジストのパターンが描けるまでの現像時間は、パターンが描け、かつ、生産性の低下を引き起こさない時間であればよい。具体的には、180秒以下の時間で現像できることが好ましく、90秒以下の時間で現像できることがより好ましく、60秒以下の時間で現像できることが特に好ましい。
ここで、現像時間の目安として、Bステージ(半硬化状態)の感光性ドライフィルムレジストの溶解時間を測定する方法がある。具体的には、感光性ドライフィルムレジストを銅箔光沢面に貼り合わせたサンプルを、未露光の状態で、1重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)を現像液として、スプレー圧0.85MPaで、スプレー現像処理を行うという方法である。このスプレー現像処理により、感光性ドライフィルムレジストが180秒以下の時間で溶解して除去されることが好ましい。
上記のように露光・現像処理が施された後、感光性ドライフィルムレジストに対して、加熱キュアを行うことにより、感光性ドライフィルムレジストが完全に硬化する。これにより、硬化した感光性ドライフィルムレジストは、プリント配線板の絶縁保護膜となる。
また、多層のプリント配線板を形成する場合には、まず、プリント配線板の保護層を層間絶縁層とし、該層間絶縁層上に、さらにスパッタリングや鍍金、もしくは銅箔との貼り合わせ等を行う。その後、パターン回路を形成し、上記のように感光性ドライフィルムレジストをラミネートすればよい。これにより、多層のプリント配線板を作製することができる。
なお、本実施の形態では、感光性ドライフィルムレジストを、プリント配線板の絶縁保護材料または層間絶縁材料として用いる場合について説明したが、本発明は以上説示した各構成に限定されるものではなく、開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。