JP4845308B2 - 半導体センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ピエゾ抵抗効果を利用した半導体センサに関し、特に120℃以上の高温での使用に適応した、高感度な半導体センサ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のピエゾ抵抗効果を利用した半導体センサは、n型(あるいはp型)のシリコン基板中に拡散法やイオン注入法により、p型(あるいはn型)のピエゾ抵抗素子を形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この方式では120℃以上の高温になると、PN接合からの漏れ電流が増加し、測定精度が大幅に悪化してしまうという問題があった。
【0004】
また、シリコン基板の表面に形成された絶縁膜上に多結晶シリコンを形成し、ここにピエゾ抵抗素子を形成することにより、シリコン基板とピエゾ抵抗素子とを絶縁膜により電気的に分離し、PN接合による漏れ電流を防ぐ方法も取られているが、多結晶シリコンは単結晶シリコンに比べて結晶性が劣るため、圧力等の応力に対するピエゾ抵抗素子の出力感度が大幅に低下するという問題があった。
【0005】
さらに、SOIウェハ等を利用することにより、結晶性に依存する感度低下は抑制することができるが、ピエゾ抵抗素子が拡散法やイオン注入法により形成されているため、ピエゾ抵抗素子の深さ方向に対する不純物濃度が均一にならず、最も大きな応力を受けるシリコンと酸化膜との界面付近のピエゾ抵抗素子の不純物濃度が一般的に低くなってしまうことから、ピエゾ抵抗効果が十分に発揮されず、結果として感度が低下してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、これらの欠点を除去するためになされたものであり、120℃以上の高温環境下にあっても漏れ電流がほとんど発生することがなく、ピエゾ抵抗素子の深さ方向に対する不純物濃度の調整が容易な、高感度な半導体センサ及びその製造方法を得ることを目的としている。
【0007】
本発明の目的と新規な特徴は、次の説明を添付図面と照らし合わせて読むことにより、より完全に明らかになるであろう。ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明はシリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサにおいて、シリコン基板上に酸化膜を形成し、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去した後、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上以外の部分には単結晶シリコンを、前記酸化膜上には多結晶シリコンを各々成長させ、この酸化膜上に形成された多結晶シリコンを除去した状態で、酸化膜上以外の部分から成長した単結晶シリコンが前記酸化膜上を覆い所望の厚さになるまでエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上に所望の不純物濃度の単結晶シリコンを形成し、酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去した後、前記酸化膜上に形成された単結晶シリコンを絶縁膜で覆うことにより、この単結晶シリコンをピエゾ抵抗素子とすることにより半導体センサを構成している。
【0009】
また、シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサの製造方法において、シリコン基板上に酸化膜を形成する工程と、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去する工程と、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させ、前記酸化膜上に成長した多結晶シリコンを除去した状態で、前記酸化膜上を前記シリコン基板上から成長した単結晶シリコンで覆い、該酸化膜上に所望の厚さの単結晶シリコンを成長させる工程と、前記酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去する工程と、前記酸化膜上に形成された前記単結晶シリコンを絶縁膜で覆う工程とを備えることにより半導体センサの製造方法を構成している。
【0010】
【実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1乃至図2の本発明の実施の形態の一例を示す図において、1はp型のシリコン基板で、その略中央部に形成された薄肉の起歪部9には、応力を検知可能なピエゾ抵抗素子3a,3b,3c,3dが配置されており、アルミ等の導体からなるリード部5a,5b,・・・,5hを介して、アルミ等の導体からなる電極パッド7a,7b,7c,7dへと電気的に接続されている。
【0012】
ここで、図3の本発明の製造工程を示す図を参照することにより、その構造を詳細に説明する。
【0013】
(1)p型(100)面のシリコン基板1の表面に、(2)熱酸化等の方法により0.5μm以下の酸化膜25aを形成する。ここでは、熱酸化により酸化膜を形成した例を示しているため、シリコン基板1の裏面にも酸化膜25bが形成されているが、CVD等の方法を用いることにより、シリコン基板1の表面のみに酸化膜25aを形成することもできる。
【0014】
(3)この酸化膜25aを、前記ピエゾ抵抗素子3a,3b,3c,3dを形成する部分を残して除去(パターニング)することにより、この領域以外のシリコン基板1を露出させる。
【0015】
(4)ピエゾ抵抗素子として適切な不純物濃度(例えば、2×10の18乗/立方cm程度)となるように、ボロン等の不純物がドープされたエピタキシャル層を、エピタキシャル成長により、シリコン基板1及び酸化膜25a上に成長させる。
このとき、図4に示すように、シリコン基板1上には、シリコン基板1の結晶方位に依存した単結晶シリコン21が、酸化膜25a上には、特定の結晶方位が存在しない多結晶シリコン23が各々成長する。
【0016】
(5)前記、酸化膜25a上に形成された多結晶シリコン23をエッチングにより除去する。
このとき、シリコン基板1上に形成された単結晶シリコン21も、図5に示すように一部エッチングされる。
【0017】
(6)(4)のエピタキシャル成長工程と、(5)の多結晶シリコン23のエッチング工程を繰り返すことにより、酸化膜25a上に形成された多結晶シリコン23を除去した状態で、シリコン基板1上から成長した単結晶シリコン21が酸化膜25a上を覆い、所望の厚さとなるようにエピタキシャル層を成長させることにより、図6に示すように、酸化膜25a上に、所望の不純物濃度の単結晶シリコン21を形成する。
【0018】
(7)酸化膜25a上以外の部分に形成された単結晶シリコン21をエッチングにより除去する。
このとき、前記酸化膜25aの外縁が僅かに露出するように、単結晶シリコン21をパターニングすることが望ましい。
【0019】
(8)酸化膜25a上に単結晶シリコン21が形成された状態で熱酸化を行うことにより、エピタキシャル成長工程等における加工歪みを除去するとともに、シリコン基板1の表裏面と単結晶シリコン21の表面に酸化膜を形成し、絶縁膜(酸化膜25c)で覆われた単結晶シリコン21をピエゾ抵抗素子3a,3b,3c,3dとする。
【0020】
(9)乃至(12)は、薄肉の起歪部9の製造方法や、前記ピエゾ抵抗素子3a,3b,3c,3dと、前記電極パッド7a,7b,7c,7dとを電気的に接続するためのコンタクトホール11の製造方法の一例を示したものであるが、公知の技術であり、各種製造方法が適用できることから、その説明を省略する。
【0021】
このように、本発明の半導体センサにあっては、所望の結晶方位、所望の不純物濃度でエピタキシャル成長させた単結晶シリコンを、所望の形状に形成した上で絶縁膜(ここでは、酸化膜)で覆い、この単結晶シリコンをピエゾ抵抗素子としたことから、他のピエゾ抵抗素子と空間的に独立しているとともに、シリコン基板を含めて電気的にも絶縁されていることから、汚染などの影響によるピエゾ抵抗素子表面からの漏れ電流を抑制することができるとともに、PN接合を有していないことから、120℃以上の高温環境下にあっても、漏れ電流を抑制することができる。
【0022】
また、エピタキシャル成長により単結晶として成長しているため、ピエゾ抵抗素子の結晶性が良好であるとともに、所望の不純物濃度となるように、所定量の不純物をドープしたエピタキシャル層を成長させていることから、ピエゾ抵抗素子の断面深さ方向に対しても、不純物濃度を適切に制御することができるため、応力が最も高くなる部分では、最適なピエゾ抵抗効果が得られるように構成し、リード部等と電気的に接続する部分(コンタクトホール)では、接触抵抗が最も少なくなるように構成するなど、諸々の特性に応じてピエゾ抵抗素子の深さ方向に対する不純物濃度を容易に調整することができる。
【0023】
なお、図1乃至図6に示した半導体センサは、専ら気体や液体等の圧力を検出する圧力センサの構造を例に説明しているが、シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した、ピエゾ抵抗効果を利用する半導体センサであれば、加速度センサ、傾斜計等、様々な半導体センサに適用できることは勿論のこと、シリコン基板の結晶方位、ピエゾ抵抗素子の形状(パターン)、起歪部の形状等、これらに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0024】
また、単結晶シリコンをパターニングした後に、シリコン基板及びピエゾ抵抗素子の表面に熱酸化による酸化膜を形成し、かつ、その上に窒化膜を形成した例を示しているが、熱酸化による酸化膜を形成せずに、直接他の絶縁膜を形成することもできる。
【0025】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明にあっては次に列挙する効果を得ることができる。
【0026】
(1)シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサにおいて、シリコン基板上に酸化膜を形成し、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去した後、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上以外の部分には単結晶シリコンを、前記酸化膜上には多結晶シリコンを各々成長させ、この酸化膜上に形成された多結晶シリコンを除去した状態で、酸化膜上以外の部分から成長した単結晶シリコンが前記酸化膜上を覆い所望の厚さになるまでエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上に所望の不純物濃度の単結晶シリコンを形成し、酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去した後、前記酸化膜上に形成された単結晶シリコンを絶縁膜で覆うことにより、この単結晶シリコンをピエゾ抵抗素子とすることにより半導体センサを構成しているため、120℃以上の高温環境下にあっても、漏れ電流がほとんど発生することがなく、ピエゾ抵抗素子の深さ方向に対する不純物濃度の調整が容易で、高感度な半導体センサを得ることができる。
【0027】
(2)シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサの製造方法において、シリコン基板上に酸化膜を形成する工程と、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去する工程と、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させ、前記酸化膜上に成長した多結晶シリコンを除去した状態で、前記酸化膜上を前記シリコン基板上から成長した単結晶シリコンで覆い、該酸化膜上に所望の厚さの単結晶シリコンを成長させる工程と、前記酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去する工程と、前記酸化膜上に形成された前記単結晶シリコンを絶縁膜で覆う工程とを備えることにより、(1)の効果を有する半導体センサの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の半導体センサの平面図。
【図2】図1のII−II方向から見た断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態の半導体センサの製造工程を示す図。
【図4】図3のA部の部分拡大図。
【図5】図3のB部の部分拡大図。
【図6】図3のC部の部分拡大図。
【符号の説明】
1:シリコン基板、
3a,3b,3c,3d:ピエゾ抵抗素子、
5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h:リード部、
7a,7b,7c,7d:電極パッド、
9:起歪部、 11:コンタクトホール、
21:単結晶シリコン、 23:多結晶シリコン、
25a,25b,25c,25d:酸化膜、
27a,27b:窒化膜。
Claims (2)
- シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサにおいて、
シリコン基板上に酸化膜を形成し、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去した後、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上以外の部分には単結晶シリコンを、前記酸化膜上には多結晶シリコンを各々成長させ、この酸化膜上に形成された多結晶シリコンを除去した状態で、酸化膜上以外の部分から成長した単結晶シリコンが前記酸化膜上を覆い所望の厚さになるまでエピタキシャル層を成長させることにより、前記酸化膜上に所望の不純物濃度の単結晶シリコンを形成し、酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去した後、前記酸化膜上に形成された単結晶シリコンを絶縁膜で覆うことにより、この単結晶シリコンをピエゾ抵抗素子としたことを特徴とする半導体センサ。 - シリコン基板に形成した起歪部にピエゾ抵抗素子を配置した半導体センサの製造方法において、
シリコン基板上に酸化膜を形成する工程と、この酸化膜をピエゾ抵抗素子を形成する部分を残して除去する工程と、所望の不純物濃度のn型あるいはp型のエピタキシャル層を成長させ、前記酸化膜上に成長した多結晶シリコンを除去した状態で、前記酸化膜上を前記シリコン基板上から成長した単結晶シリコンで覆い、該酸化膜上に所望の厚さの単結晶シリコンを成長させる工程と、前記酸化膜上以外の部分に成長した単結晶シリコンを除去する工程と、前記酸化膜上に形成された前記単結晶シリコンを絶縁膜で覆う工程とを備えることを特徴とする半導体センサの製造方法。
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