JP4844941B2 - 焼却灰を原料とする肥料の生産方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、汚泥その他の焼却灰を原料とした肥料生産の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
汚泥や都市ゴミまたは産業廃棄物等の焼却灰は多くの天然資源を含んでいるにもかかわらず、従来これらの天然資源は殆ど利用されていなかった。近年、天然資源の有限性が認識され、また、天然資源の大量消費が引き起こす公害が問題とされるようになったことから、天然資源を再利用するリサイクル技術が盛んに研究される状況に至っている。汚泥や都市ゴミまたは産業廃棄物等の焼却灰をリサイクルする技術として建設資材として利用する方法や肥料として利用する方法が提案されている。
【0003】
産業廃棄物、下水汚泥焼却灰等をリサイクルして土壌を改良するための土壌添加剤として利用する方法として、例えば、公開特許公報第平6ー93260号に開示されている方法がある。ここに開示されている発明は廃珪砂、即ち、使用後の鋳物砂のように酸化珪素を多量に含む廃砂に他の化合物等を添加して、高温で焼成して土壌添加剤にする方法である。
【0004】
また、公開特許公報第平9−328385号には汚泥の焼却灰を利用した肥料の製法が開示されている。ここに開示されている発明は汚泥の焼却灰に硫酸カルシウムを20〜50重量%添加混合して肥料としたものであり、この肥料はカルシウム分を多く含んでいる。上記した肥料の生産方法はいずれも単に添加剤を混合するだけであり、廃砂又は焼却灰に含まれているリン成分が有効にリサイクルできないという問題がある。
【0005】
汚泥や都市ゴミまたは産業廃棄物等の焼却灰を骨材等の建設資材としてリサイクルする技術としては、例えば、公開特許公報第平8−26773号、同第平9ー196573号等に開示されている。しかし、建設資材として利用する上記方法は単に焼却灰の廃棄処分する量を減少させる程度に過ぎず、焼却灰に含まれている天然資源を有効にリサイクルしていない点で問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上に説明したことから、従来のリサイクル技術では焼却灰等の廃材リン成分が多量に含まれている場合にも、これを有効にリサイクル技術が確立されていなかった。特にリン酸質肥料として利用するためには、作物の施肥に適したク溶性、即ち2%クエン酸溶液におけるリン酸成分で示される率が高い物が良い肥料であるのに、それを得る方法が無かった。ク溶性リン酸は施肥の初期には大きな効果は無いものの、肥料効果は持続性があり、雨水による流失や土壌中のアルミニウムや鉄と結合して不可給態とならず、作物のリン欠乏症を防ぐ有効なものである。
この発明は、上述のような背景の下でなされたもので、ク溶性の非常に高いリン成分のリン酸肥料を得ることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための調査及び実験】
上記した課題を解決するために、焼却灰について以下のような調査及び実験を行った。まず、下水汚泥焼却処理施設から発生した焼却灰の主な組成を調査し、図3に示すような結果が得られた。なお、この調査は十数カ所の下水汚泥焼却処理施設から発生した焼却灰について行った。ただし、本発明は焼却灰中のリン成分をリサイクルすることが目的であるところから、リン成分の少ない焼却灰は対象外とした。
【0008】
図3の調査結果から、焼却灰に含まれる組成成分は大略図4(A)に示す成分及び量が含まれていることが判明した。即ち、リン成分はリン酸(5酸化燐P2O5をいう、以下同じ。)に換算して10〜40重量パーセントの範囲で含まれている。しかし、焼却灰を直接にリン肥料として使用することはできない。リン肥料として利用するためには、作物の吸収に適したク溶性のリン成分にする必要がある。また、リン肥料(溶成リン肥)として販売するためには法規制があり、ク溶性リン酸が17重量パーセント以上、アルカリ分が40重量パーセント以上、ク溶性マグネシウムが12重量パーセント以上と定められており、有害金属等の最大含有量も規制されている。また、単肥肥料として販売できない場合であっても、化成肥料の原料として利用できる場合もあり、さらに混合肥料の原料として利用できる場合もある。以上のことを考慮して、図4(B)示す焼却灰A、焼却灰Bをサンプルにして以下の実験を行った。焼却灰Aはリン酸を略23重量パーセント含み、焼却灰Bはリン酸を略28重量パーセント含んでいる。
【0009】
図5(A)に焼却灰Aの実験計画表を示し、図5(B)に焼却灰Bの実験計画表を示す。即ち、原料中に含まれるリン酸の量に対して酸化マグネシウムのモル比及び酸化カルシウムのモル比を種々の値に変更し、溶融及び急冷処理を行うことによってリン酸のク溶率及び酸化マグネシウムのク溶率がどのように変化するかを調べた。図6は焼却灰Aについてリン酸のク溶率変化を示し、図7は焼却灰Aについて酸化マグネシウムのク溶率変化を示す。なお、リン酸のク溶率(酸化マグネシウムのク溶率)とは、製品中に含まれるリン酸(酸化マグネシウム)に対するク溶性リン酸(ク溶性酸化マグネシュウム)の割合を示す。
【0010】
図6(A)は酸化カルシウムの含有率(モル比で表す。以下同じ)をパラメータとして酸化マグネシウムの含有率に対するリン酸のク溶率変化を示す。図6(B)は酸化マグネシウムの含有率をパラメータとして酸化カルシウムの含有率に対するリン酸のク溶率変化を示す。なお、以下において酸化カルシウム、酸化マグネシウムのモル比はリン酸に対するモル比をいう。この結果から酸化カルシウムのモル比が3.5以上で酸化マグネシウムのモル比が3.5以上の場合はリン酸のク溶率は略100パーセントであり、酸化カルシウムのモル比が略3.0以下で酸化マグネシウムのモル比が略3.0以下の場合はリン酸のク溶率は酸化カルシウム及び酸化マグネシウムの含有率に対し単調に増加する。
【0011】
図7(A)は酸化カルシウムの含有率をパラメータとして酸化マグネシウムの含有率に対する酸化マグネシウムのク溶率変化を示す。図7(B)は酸化マグネシウムの含有率をパラメータとして酸化カルシウムの含有率に対する酸化マグネシウムのク溶率変化を示す。この結果から酸化カルシウム含有量に関わらず酸化マグネシウムのモル比が3.5付近で酸化マグネシウムのク溶率は最大となり、酸化カルシウムのモル比に略比例して酸化マグネシウムのク溶率が増加する。即ち、酸化マグネシウムのク溶率はリン酸に対する酸化マグネシウムのモル比が略3.5で最大となり、酸化カルシウムのモル比が大きいほど酸化マグネシウムのク溶率は増加する。
【0012】
図8、図9は焼却灰Bについてリン酸のク溶率変化及び酸化マグネシウムのク溶率変化の実験結果を表したグラフである。これらのグラフから判断できるように、リン酸のク溶率については焼却灰Aの場合とほぼ同じ傾向が見られる。即ち、リン酸に対する酸化マグネシウムのモル比及び酸化カルシウムのモル比が何れも3.5以上の場合にはク溶率はほぼ100パーセントである。しかし、酸化マグネシウムのモル比又は酸化カルシウムのモル比の何れかが3.5以下の場合は焼却灰Aに比べて焼却灰Bの場合のク溶率が大きい。即ち、リン酸の含有量が多い方がク溶率は高い。また、酸化マグネシウムのク溶率については、リン酸に対する酸化マグネシウムのモル比が略3.5の付近でク溶率が最大になり、酸化カルシウムのモル比に対しては略一定であるか又は酸化カルシウムのモル比の増加に対して僅かに減少する。
【0013】
以上の実験結果から、混合原料(焼却灰+添加物)中のリン酸に対する酸化マグネシウムのモル比及び酸化カルシウムのモル比が共に3.5以上の場合はリン酸のク溶率はほぼ100パーセントで最大となり、一方のモル比が3.5以下の場合は酸化マグネシウムのモル比又は酸化カルシウムのモル比と共に増加する。また、酸化マグネシウムのク溶率はリン酸に対する酸化マグネシウムのモル比が3.5の付近で最大となる。リン酸の含有量が少ない場合(焼却灰Aの場合)はリン酸に対する酸化カルシウムのモル比増加に伴って酸化マグネシウムのク溶率は増加するが、リン酸の含有量が多い場合(焼却灰Bの場合)はリン酸に対する酸化カルシウムのモル比増加に伴って酸化マグネシウムのク溶率は略一定又は減少することが確認された。
【0014】
図10及び図11は原料の組成と所定の処理を施して製品化した場合との関係を求めるために行った実験結果を示す。図10(A)は焼却灰A、焼却灰Bに添加する添加物の組成及び添加量を示し、図10(B)は添加物を添加、混合したときの組成及びモル比を計算により求めた表を示す。図10(B)の表中、サンプル番号は図10(A)に示す順番と同じである。なお、添加物を添加する場合はク溶率が略最大となるモル比を選択した。図11は溶融等の所定の処理を施して製品化した場合のク溶性リン酸の量、ク溶性酸化マグネシウムの量、アルカリ分の量及びカドミウムの残存量を求めた結果を示す。
【0015】
この実験結果から、混合原料中のリン酸の量を略18重量パーセントにし、酸化マグネシウムのモル比、酸化カルシウムのモル比をク溶率が最大になる値の近辺にすれば肥料取締法の規制値をクリアし、単肥肥料として販売可能な成分が得られることがわかった。しかし、焼却灰を有効活用するためには、必ずしも肥料取締法の規制値をクリアしなくても焼却灰の組成等の性質に応じて、混合肥料、化成肥料等の補助肥料にすれば広い範囲の焼却灰が利用でき、天然資源の有効なリサイクルかが図られる。
【0016】
また、肥料として利用できるためには有害物質が多量に含まれていてはいけない。有害成分の許容最大量は肥料取締法によって定められており、下水汚泥肥料に対する最大規制値を図12の表の最下欄に示す。また、表の上欄は焼却灰Aに含まれている有害成分を示し、中欄の左側は添加物を何も添加しない場合(サンプルA−3)で溶融等の所定の処理をした後の有害物の残存量を示し、中欄の右側は処理による有害物の除去率を示す。なお、水銀については微小で測定できなかった。
【0017】
以上の表から解るように、クロム(Cr)を除き溶融等の所定の処理によって、有害物の組成が著しく減少している。クロムについては規制値を僅かに超えているが、化成肥料又は混合肥料とする場合はクロム含有量の少ない他の肥料を加えることによって規制値をクリアすることは可能である。従って、リン酸、酸化マグネシウム、酸化カルシウムを添加せずに溶融等の所定の処理をした後のク溶性リン酸、ク溶性酸化マグネシウム、アルカリ分の量が規制値をクリアしていない場合であっても補助肥料として活用できる可能性がある。
以上に述べた実験結果及び考察に基づいて、前記した課題の解決手段として以下に述べる方法を発明した。
【0018】
本発明は上記の課題を解決するための手段として以下の構成を採用している。即ち、請求項1に記載の発明は、リンをリン酸に換算して18重量パーセント以上のリン成分を含む汚泥又はその他の焼却灰を原料とし、該原料に添加物を添加して混合原料とし、該混合原料を溶融し、その後急冷してスラグを生成し、その後にスラグを粉砕して、リン酸質肥料を生産する方法において、
前記添加物を添加する工程は、前記原料のサンプルを分析する工程と、その分析結果に基づいて添加物の成分及び添加量を決定する工程を含み、
前記原料又は前記混合原料中に含まれるリンのリン酸に換算した含有量に対して前記混合原料中に含まれるマグネシウムの添加量を酸化マグネシウムに換算してモル比で3.5〜4.5の成分を含み、かつ、前記混合原料中に含まれるカルシウムの添加量を、酸化カルシウムに換算して、前記原料又は前記混合原料中に含まれるリン酸の含有量に対してモル比で3.5〜5.5の成分を含む組成にし、生産された肥料のリン成分のク溶率が95%以上になるように構成したことを特徴としている。
【0028】
【発明の実施形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態及び実施例について説明する。図1は本発明の実施形態の生産工程を示す。図1において、ステップS1では、焼却灰のサンプルを採取して組成の分析を行う。組成分析はリン酸、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの含有量の他、肥料の原料として役立つ可能性のある物質及び有害物の組成についても含有量を分析する。焼却灰は汚泥、都市ゴミ又は産業廃棄物等を焼却して灰にしたもので、リン成分を含んでいるものを使用する。リンの含有量はリン酸に換算して20重量パーセント以上含んでいるものが好ましい。リンを高濃度に含むものとしては、工場排水、畜産排水及びし尿投入の排水等がある。本実施例における焼却灰A,Bの組成を図4(B)に示す。
【0029】
ステップ2では組成の分析結果、製品の価格、添加原料の価格や設備等の条件も考慮して生産する製品のランクを決定する。製品のランクとしては、例えば、規制値をクリアさせた単肥肥料にするか、規制値をクリアしなくても化成肥料の原料となる製品にするか、或いは添加物の添加をほぼゼロにして混合肥料として製品にするかの3段階のランクであってもよいし、さらに細かくランクを分類してもよいし、逆に2ランクに分類してもよい。この実施例では、図2の目標製品に示すランクに分類している。
【0030】
ステップ3では焼却灰の成分組成と生産目標とする製品のランクの成分組成とから添加物の成分と添加量(又は添加量の範囲)を前記した実験結果等を利用して、又はその他の方法により求める。添加剤としてはマグネシウム成分、カルシウム成分等がある。マグネシウム成分を単独に添加してもよいし、マグネシウム成分と同時にカルシウム成分を添加してもよい。添加量は焼却灰がこれらの成分をどの程度含んでいるか、生産する製品のランクにも依存する。マグネシウムの添加量は酸化マグネシウム(MgO)換算で、汚泥焼却灰の場合は、混合原料中のリン酸に対するモル比が2.5〜4.5程度添加するのが好ましい。また、カルシウムの添加量は酸化カルシウム(CaO)換算で、混合原料中のリン酸に対するモル比が2.5〜3.5程度添加するのが好ましい。なお、肥料の成分調整のために、更に他の成分を添加してもよいし、マグネシウム成分及びカルシウム成分を添加しないでよい場合もある。
【0031】
マグネシウムやカルシウム成分を添加する目的の1つは、例えば、下水汚泥焼却灰では酸化マグネシウム(MgO)は数%、アルカリ分(可溶性カルシウムと可溶性マグネシウムの含量を酸化カルシウム量に換算したものをいう)は5〜20重量%程度しか含まれていない場合もある。溶成リン肥(溶成マグネシウムリン肥料をいう)として利用するためにはこれらの含有率を上げるために成分調整が必要である。更に、他の目的は、融点を下げて溶融成分を均一化することと、フッ素アパタイト構造の破壊率を上昇させ、肥料中のリンのクエン酸可溶性を上昇させ、肥料としての効果、価値を高めることである。また、マグネシウム成分を添加した場合は融点が下がり、リンのクエン酸可溶度が上昇する。更に、カルシウム成分を添加するとアルカリ分の組成比が上昇し、肥料の価値が上昇する。なお、添加物の組成決定を上の方法で決定しないで他の方法(判断基準)によって決定してもよい。図2に本実施例における添加物の組成及び添加量の例を示している。
【0032】
ステップS4は、上記した混合物を溶融炉で加熱溶融する。溶融炉は電気炉、平炉等の溶融炉で従来から知られているものを使用する。加熱温度は溶融温度以上で、溶融温度は原料の組成によって異なるが、概ね、1200〜1500度摂氏の範囲である。適当な時間、溶融温度以上に加熱すると、混合物は完全に溶融流動化し、溶融スラグとなる。本実施例においては、溶融温度並びに溶融時間を図2に示すように、摂氏1400度で20分としている。
【0033】
ステップS5では、溶融スラグを排出口(例えば、炉底に設けられた排出口)より取り出し、例えば水槽中に流し込み、急冷水砕する。急冷はリン酸分をクエン酸に可溶化(ク溶化)する上で重要な処理である。急冷が不十分の場合はフッ素アパタイト等が析出し、ク溶性が低下する。ク溶性とは、2%のクエン酸溶液に溶けるリン酸分をク溶性リン酸という。ク溶性リン酸は作物の根の作用により溶解、吸収され、施肥の初期には大きな効果はないが、肥効に持続性を有するという特徴がある。また、ク溶性リン酸は雨水による流亡や土壌中のアルミニウムや鉄と結合して不可給態となることもない。従って、肥料中に含まれるリン酸分をク溶化することは肥料に長期にわたってエネルギー代謝、物質合成を行わせ、リン欠乏症を起こさせないために重要である。水槽中で冷却された溶融スラグはガラス状細粒となる。
【0034】
ステップS6では、ガラス状細粒となった肥料を乾燥して粉砕し、製品にする。本実施例における製品の分析結果を図11及び図12に示す。図11に示す分析データから理解できるように、製品A−1、製品B−1は両者とも規制値をクリアしており、単肥肥料として販売が可能である。製品A−2は規制値をクリアしていないが化成肥料原料として活用ができる。製品A−3、製品B−2は、図12のデータからも解るように有害成分が除去されており肥料原料として活用できる。
【0035】
以上に述べたことから本実施形態は以下のような効果を有する。焼却灰の組成に応じた肥料製品を選択できることから、広い組成範囲の焼却灰を活用することができるという効果がある。このことから、資源の有効なリサイクルが可能となり、資源保護、環境保護にも役立つという効果が得られる。また、混合原料の組成が最良な比率となるように添加物を添加することにより、ク溶率を上げて規制値をクリアする単肥肥料を低コストで生産できることから利益の向上が図れるという効果もある。また、添加原料の組成を製品の市場価格等に基づいて決定することができるから肥料の生産調整が容易にできるという効果もある。
【0036】
以上、この発明の実施形態、実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、リンを含有する都市ゴミ又は産業廃棄物等の焼却灰に対しても本発明は適用できる。また、スラグ化するための冷却は水槽で冷却する場合に限定されない。例えば、他の容器又は水流中で冷却する場合でもよい。また、その他の成分を添加する場合で、顕著な効果、特異な効果を有しない添加物を添加する場合は本発明の技術範囲に属する。また、添加物の成分及び量を決定する方法は上記に記載した方法に限定されず、任意の判断基準で定めてもよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の構成によれば、焼却灰を利用してク溶性の高い有効な肥料の生産が可能であると共に製品のランクに応じた製品も生産可能であり、広い組成範囲の焼却灰を活用できるという効果が得られる。従って、資源の有効なリサイクルが可能になり、資源保護、環境保護に役立つという効果が得られ、しかも経済的にも低コストで生産できるという効果も得られる。また、添加原料の組成を製品の市場価格等に基づいて決定すれば、肥料の生産調整が容易にできるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による実施形態の生産方法のフローチャートを示す。
【図2】 本実施形態の各種の条件を示す。
【図3】 下水汚泥焼却灰の組成を示す。
【図4】 (A)は焼却灰の成分範囲を示し、(B)はサンプルの組成を示す。
【図5】 (A)、(B)はサンプルを利用する実験計画を示す。
【図6】 (A)、(B)はサンプルAのリン酸のク溶率変化を示す。
【図7】 (A)、(B)はサンプルAの酸化マグネシウムのク溶率変化を示す。
【図8】 (A)、(B)はサンプルBのリン酸のク溶率変化を示す。
【図9】 (A)、(B)はサンプルBの酸化マグネシウムのク溶率変化を示す。
【図10】 (A)は添加物の組成を示し、(B)は混合原料の組成を示す。
【図11】 サンプルの処理後の組成を示す。
【図12】 有害成分の残存組成を示す。

Claims (1)

  1. リンをリン酸に換算して18重量パーセント以上のリン成分を含む汚泥又はその他の焼却灰を原料とし、該原料に添加物を添加して混合原料とし、該混合原料を溶融し、その後急冷してスラグを生成し、その後にスラグを粉砕して、リン酸質肥料を生産する方法において、
    前記添加物を添加する工程は、
    前記原料のサンプルを分析する工程と、その分析結果に基づいて添加物の成分及び添加量を決定する工程を含み、
    前記原料又は前記混合原料中に含まれるリンのリン酸に換算した含有量に対して前記混合原料中に含まれるマグネシウムの添加量を酸化マグネシウムに換算してモル比で3.5〜4.5の成分を含み、かつ、前記混合原料中に含まれるカルシウムの添加量を、酸化カルシウムに換算して、前記原料又は前記混合原料中に含まれるリン酸の含有量に対してモル比で3.5〜5.5の成分を含む組成にし、生産された肥料のリン成分のク溶率が95%以上になるように構成したことを特徴とするリン酸質肥料を生産する方法。
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