本発明は、光源に対して拡散反射が主体的な環境下(入射角度と受光角度が大きく異なる角度)で観察した場合にはモアレが視認されず、光源に対して正反射が主体的な環境下(入射角度と受光角度が近い角度)で観察した場合にのみモアレが出現する立体モアレ形成体に関する。
網点で構成された二色刷り以上の印刷物において、それぞれの印刷物上の網点配置によっては、各網点の干渉のために印刷物上にモアレが生じることから、一般商業印刷において、このモアレの発生を抑制するための印刷技術が多々用いられている。
モアレの発生を抑制するための技術の一例としては、各版面における網点同士の過度な干渉を抑制するために、版面毎の網点線数を変化させたり、版面毎に網点の配置角度を変化させたりする技術が挙げられる。その他、特殊な印刷技術としては、網点の大小で濃淡を表現するAMスクリーン自体を用いず網点の密度によって濃淡を表現するFMスクリーンが代表的な例として挙げられる。
以上のように、印刷物上に発生するモアレは、一般的には抑制すべき品質異常の一部であるが、逆にこのモアレを真偽判別要素として用いた技術も存在する。
モアレを真偽判別要素として用いる技術の一例としては、一定の線数と角度を有する網点で構成された背景画像と、目視で観察した場合には判別が不可能な程度に背景画像と線数や角度をわずかに異ならせた網点及び画線で構成した潜像画像とからなる印刷画像を作製する技術が挙げられ、この印刷画像の潜像画像あるいは背景画像と線数が異なる線数の判別用フィルムを判別具として印刷画像に重ねあわせることで、判別用フィルム上にモアレによる潜像が生じることを利用する、潜像の有無によって真偽判別要素とするものである。この場合、背景画像のピッチもしくは潜像画像のピッチに対して、一定の法則に従ったピッチで判別用フィルムを作製し、モアレの視認性を高める方法が一般的である。
この技術は、製版設備が備わっている製造業者にとっては一定のセキュリティレベルを有する印刷物を極めて容易に作製することが可能であり、かつ使用者にとっては簡易的な判別具のみで真偽判別を行うことが可能な技術である。故に、セキュリティ印刷の分野においては公知であり、かつ従来から広く用いられてきている。
また、モアレによる潜像を観察すると、印刷物の平面上で構成される模様にかかわらず奥行きを感じることが多い。もともとモアレによって生じる像は光の干渉によって発生する像のため、部分的に焦点が合った部位と焦点が合わない部位が生じて強い濃淡を表現していることに加え、その画像の構成によっては左右の目で観察される画像がわずかに異なる、いわゆる視差がこの遠近感を助長する。
この効果を利用して、前述の例では判別具であった判別用フィルムを印刷画像と一定の距離を設けて直接貼り付けることで一体化し、印刷物単独で独特な画像変化をみせる形態も存在する。
その一例として、厚みのある透明性シートの表面に、所定ピッチで繰り返される多数の並列した直線からなる縞模様を印刷し、更に透明シートの裏面に、所定ピッチで繰り返される多数の並列した直線からなる縞模様を、表面の縞模様とピッチをずらして印刷するか、又は表面の縞模様を用いて形成されるモアレ縞を印刷して作製するシートが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
他の一例として、透明シートの表裏に、同心円状、平行直線状、放射線状などの同一線状パターンで、それぞれ異なるピッチを有する第一線状パターン、第二線状パターンを印刷して作製するモアレが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
これらの形態においては多くの場合、判別具であった判別用フィルムに施していた画像と潜像を施した印刷画像を重ね合わせているため、モアレは印刷物上にすでに現れているが、印刷物を傾けて観察すると、透明層をはさんで表裏に印刷された各印刷画像の網点や画線の干渉位置が変化し、基材の厚みにより、発生するモアレが奥行きをもって視認される。
以上のように、モアレを用いた技術は、従来印刷物の品質異常として認識されたモアレを、真偽判別要素や画像を変化させる技術として活用したものであり、モアレをユーザから隠す技術から、判別要素として活用したり、あえてユーザに見せる意匠的な効果を持つ技術にしたりするものである。
また、同様な立体視可能な動画効果を発現することが可能な公知の画像形成体としては、レンチキュラーを用いた印刷物やホログラムが考えられる。
特許第2802484号公報
特許第3131771号公報
特開2001−301306号公報
しかしながら、昨今のカラーコピー機や家庭用デジタル製版ソフト、出力機のめざましい進展によって、前述のような判別具として判別用フィルムを用いるモアレ技術は真偽判別要素としてはすでに陳腐化してきている。セキュリティ印刷に従事しない者であっても、昨今販売されている一般的なデジタル製版ソフトと各種デジタル出力機を用いることで、モアレによる潜像を出力物に付与することは容易である。
現時点で前述のような単純なモアレを用いた真偽判別要素をセキュリティ印刷物に付与して一定のセキュリティレベルを維持することは困難である。
また、判別具であった判別用フィルムを印刷画像に貼り付けた形態の立体視可能なモアレを生じさせる場合、その変化は極めて顕著であるものの、モアレ自体は常に出現していて目視可能であり、前述の例で成していた潜像としての効果は失われる。一方、モアレが動いて見えるという効果自体は極めて特殊であるものの、前述のように画像間に一定の空間が必要であることから、印刷物としては極めて厚みのあるものとなり、一定の厚みが許されるカード類に用いられるにとどまっている。
更に、特許第2802484号公報及び特許第3131771号公報に記載の技術は、透明な基材の表裏にピッチをずらした画像をそれぞれ印刷する形態であるが、この場合も一定の透過性を有する基材を選択する必要があり、カードや判別用フィルムであればともかく、一般的な用紙に対して付与することは不可能である。また、実施例に記載の基材の厚みは0.2mmを超えており、一般的な商業印刷物に使用することは、基材の厚みが厚すぎるため不向きである。
また、特開2001−301306号公報記載の技術も、同様に透明な基材の表裏にピッチの異なるパターンを印刷するものである。特許第2802484号公報及び特許第3131771号公報と同様に、基材は透過性を有する必要があるとともに、実施例中に数値の記載はないものの、基材か、あるいはスクリーン画線自体に膜圧を必要とすることは自明であり、結果的に印刷物は厚みのあるものとなる。
これらの例においては、モアレの動きをスムーズに見せるためには判別用フィルムと印刷画像との間に一定の距離を設ける必要があり、判別用フィルムと印刷画像の中間に透明な基材を挟み込む必要がある。
特許第2802484号公報、特許第3131771号公報、及び特開2001−301306号公報に記載の技術は、いずれもモアレによる像の濃淡や色彩の変化を見せるものであり、像自体は出現していることから、濃淡反転の動画的効果や色彩変化を見せるにとどまっている。
また、レンチキュラーを用いる技術においても、レンズ面と印刷画像間には距離が必要であることから、印刷物としては厚みのあるものとなる。加えてレンズ張り合わせが必要であり、加工工程が複雑であるという問題がある。
更に、ホログラムについては、これまでの例と異なり、極めて薄く仕上げることが可能なものの、印刷の版面作製までの工程と比較して、金型作製までの工程が極めて複雑であり、製造までに時間が必要である上に、大量生産しなければコスト的に割高となる。
以上のように、ホログラムを除いた動くモアレを生じさせるこれらの技術は、各画像間に一定の距離が必要であるという問題があった。ホログラムについては工程や加工方法が複雑であって、高価であるという問題があった。
本発明は前記課題の解決を目的とするものであり、具体的には、第一の光沢度を有し複数配列されてなる凸形状画線又は第一の光沢度を有し複数配列されてなる凸形状画素で構成された第一画像の上に、第一の光沢度とは異なる光沢度を有し、凸形状画線のピッチと異なるピッチで複数配列してなる画線又は第一の光沢度とは異なる光沢度を有し、凸形状画素のピッチと異なるピッチで複数配列してなる画素で構成された第二画像を、印刷によって重ねるか、又はレーザ等の切削加工手段によって損傷を与えることで、光源に対して正反射が主体的な領域において立体視可能なモアレを生じさせることが可能な立体モアレ形成体を提供することを目的とする。
本発明の立体モアレ形成体における必須の構成である凸形状の画線は、光源から画線に光が差し込む環境下において、画線表面のうちの、光源から入射した光と法線を成す画線表面のみが光を正反射する。この凸形状の画線がある程度の光の反射率を持つ場合には、入射した光と直交した画線表面はポジ領域として拡大して浮かび上がった印象を与え、入射した光と直交していない画線表面は影となり、ネガ領域として目視上小さくなった印象を与える。この効果は凸形状の画線を密接させ、凸形状の画線群を成した場合に、より一層高まる。
例えば、所定のピッチで凸形状の画線を連続して平行に配し、この凸形状の平行画線群に光を一定の角度で照射した場合、目視上はあたかも凸形状の画線群すべてが光っているように見える。また、光源から入射した光に対してこの基材の角度を変えた場合でも、入射光の角度を変える前と同様に、目視上は凸画線群全面が単純に光を反射しているように見える。しかし、反射光がポジ領域として拡がって視認されるために、凸形状の画線全てが光っているように見えているのであって、実際には凸形状の画線は平面状の画線とは異なり、入射した光に対して直交した画線表面のみが選択的に正反射し、その正反射面はそれぞれ入射する光の角度の変化に対応して変わっている。
一方、光源に対して一定の反射率を有する画線Aの上に、画線Aと比較して反射率の低いインキで画線Bを印刷した場合、光源に対する反射率の違いから、画線Bはより鮮明に浮かびあがる。
本発明は前記のように、入射する光の角度変化に応じて、凸形状の画線の光を反射する画線表面が変化する現象と、正反射光下で反射率の違う画線が浮かび上がる効果の、2つの現象を利用して形成する技術であり、凸形状画線上の一部の画線表面に光沢の異なる画像を施すことによって、光の入射角の変化に応じて画像が消失したり、出現したりする潜像の効果が生まれる。凸形状画線上の画線表面の角度別に複数の潜像を付与していれば、印刷物に入射する光の角度を変化させることで潜像がスイッチしたり、動いたりする効果を付与することが可能となる。
本発明は、光沢を有し、所定のピッチをもって配列した凸形状の画線又は画素の集合体である第一画像の上に、第一画像と光源の反射率の異なる画線又は画素によって第一画像と異なったピッチで構成した第二画像を印刷によって重ね合わせるか、又はレーザによって損傷を与えるかによって立体モアレ形成体を構成する。
ここでいう「画素」とは、第一画像もしくは第二画像を形成する一要素として用い、濃淡の変化を面積率(点の大小)で表現する網点形状のことをいう。
「立体モアレ」とは、規則正しく配列された点や線を持つものに、同じようなパターンを重ねた場合に生じ、二次元的に視認されるモアレとは異なり、奥行き感のある三次元的に視認されるモアレのことを言う。加えて、この立体モアレ形成体を傾けると、凸形状画線上の光源を反射する面が次々に変化することで光沢の異なる第二画像を顕著化し、更に第二画像があたかも動いているかのごとく見える立体モアレを発生させる。
本発明の立体モアレ形成体は、第一の光沢度を有し、所定のピッチで複数配列されてなる凸形状の第一画線と、第一の光沢度と異なる第二の光沢度を有し、第一画線と異なるピッチで複数配列されてなる第二画線とを備え、第二画線を基材及び/又は第一画線上に形成してなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画線及び第二画線が、同一方向に直線的に複数配列されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画線のピッチが、第一画線のピッチよりも小さく、かつ、第二画線のピッチが、第一画線のピッチの整数分の一を除くピッチで配列されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画線の第一の光沢度と第二画線の第二の光沢度との差が、60°光沢度又は75°光沢度で少なくとも50を有していることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画線が、インキもしくはエンボス加工により凸形状に形成されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画線の凸形状が、少なくとも1μmを有していることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画線が、塗布膜により形成される塗布部からなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画線と第二画線が同色又は第二画線が透明もしくは半透明であることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画線が、損傷により形成されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、損傷が、レーザ加工または機械加工によるものであることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一の光沢度を有し、所定のピッチで複数配列されてなる凸形状の第一画素と、第一の光沢度と異なる第二の光沢度を有し、第一画素と異なるピッチで複数配列されてなる第二画素とを備え、第二画素を基材及び/又は第一画素上に形成してなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画素及び第二画素が、格子状に複数配列されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画素のピッチが、第一画素のピッチよりも小さく、かつ、第二画素のピッチが、第一画素のピッチの整数分の一を除くピッチで配列されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画素の第一の光沢度と第二画素の第二の光沢度との差が、60°光沢度又は75°光沢度で少なくとも50を有していることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画素が、インキ又はエンボス加工により凸形状に形成されてなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画素の凸形状が、少なくとも1μmを有していることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画素が、塗布膜により形成される塗布部からなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第一画素と第二画素が同色又は第二画素が透明もしくは半透明であることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、第二画素が、損傷により形成される損傷部からなることを特徴とする。
本発明の立体モアレ形成体は、損傷部が、レーザ加工又は機械加工によるものであることを特徴とする。
凸形状の画線に選択的に反射率の異なる構造を設けることで、干渉する二つの画像の間に透明層を有しない形態でも、立体モアレの効果を発現させることが可能である。
透過性がない基材にも付与することが可能であり、かつ基材と凸形状画像が成す高さ以上の厚みを必要としないことから、印刷物そのものの形態で顕著なモアレを発現させることが可能である。本発明の立体モアレ形成体の場合、基材を除く印刷インキの厚さは1μm程度あれば十分である。よって、本発明は一般的なオフセット印刷のみでも形成可能である。
また、本発明によって得られる立体モアレ形成体は、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合や、暗い環境下で観察した場合には、印刷物の表面反射が抑制されることから、単に凸形状画像のみしか観察できない。このために光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合には、モアレによる潜像が全く視認されず、入射光と一定の角度を成して観察した場合にのみ立体モアレが出現するといった、潜像としての要素を持っている。
重ね合わせる二種類の画像の光沢差が、60°光沢度あるいは75°光沢度で50以上であれば、立体モアレは目視可能であることから、有色の凸形状画線によって文字や模様といった任意の図柄を付与することも可能であり、デザイン上の自由度が高い。
また、この凸形状画線が成す図柄と、光源に対して正反射が主体的な領域において生じる立体モアレによる潜像の出現は極めてスムーズである。
本発明の立体モアレ形成体は、印刷のみでも形成可能であることから、ホログラムと比較して安価に仕上げることが可能なことに加えて、立体モアレによる潜像自体はプリンタやレーザマーカー等の一般的な出力機でも付与することが可能である。
次に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。図2は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。図3は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示す。図4は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。図5は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。図6(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示し、(b)は、その断面図を示す。図7は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。図8は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。図9は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。図10は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。図11(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画素構成を示し、(b)は、その断面図を示す。図12は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。図13は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。図14は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。図15は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画素構成を示す。図16(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示し、(b)は、その断面図を示す。図17は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。図18は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。図19は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。図20は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画素構成を示す。図21は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画素構成を示す。図22は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。図23は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。図24は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。図25は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。図26は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示す。図27は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
本発明の基本構成を図1乃至図3を用いて説明する。図1に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画線(3)と非画線の組み合わせで表現した縞模様であり、第一画線(3)の画線幅と非画線の画線幅は3:1の比で、画線幅0.45mmと非画線幅0.15mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。
図2に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2)は、第一画線(3)とは異なった光沢を有した第二画線(4)と非画線の組み合わせで表現した画像であり、第二画線(4)の画線幅と非画線の画線幅は3:1の比で、画線幅0.3mmと非画線幅0.1mmの0.4mmピッチで繰り返し配列されている。
第二画線(4)のピッチは、第一画線(3)のピッチよりも小さくし、かつ第一画線(3)のピッチの整数分の一を除くピッチとする。第二画線(4)のピッチが第一画線(3)のピッチよりも大きいと、モアレの発生が制限されてしまい、また、第二画線(4)のピッチを第一画線(3)のピッチの整数分の一のピッチで配列すると、第一画線(3)と第二画線(4)の重なる領域がすべて同一となり、立体モアレの効果が失われる。
図3に示すように、立体モアレ形成体の画線構成は、第一画線(3)を複数配列してなる第一画像(1)及び基材の上に、第二画線(4)を複数配列してなる第二画像(2)を、画線幅方向に所定のピッチでずらして重ね合わせたものである。第一画像(1)と第二画像(2)の重ね合わせ角度は必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じていてもかまわない。
次に、実施例を用いて立体モアレ形成体の構成を説明する。
まず、異なった印刷方式によって第一画像の上に第二画像の重ね刷りを行い、立体モアレを出現させる方法について説明する。
図4に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1´)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画線(3´)と非画線の組み合わせで表現した縞模様であり、第一画線(3´)の画線幅と非画線の画線幅は3:1の比で、画線幅0.45mmと非画線幅0.15mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。
図5に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2´)は、背景画線(5)と図柄画線(6)とからなる第二画線(4´)を複数配列することにより構成されている。背景画線(5)は第一画像(1´)と同様に、第一の光沢度を有した凸形状の画線と非画線の組み合わせで表現した縞模様であり、画線幅は3:1の比で、画線幅0.45mmと非画線幅0.15mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。一方、図柄画線(6)は図中央の鳥の部分であり、第一の光沢度とは異なった光沢度を有した画線と非画線の組み合わせで表現した画像であり、画線幅は3:1の比で、画線幅0.3mmと非画線幅0.1mmの0.4mmピッチで繰り返し配列されている。第二画像(2´)を構成する背景画線(5)と図柄画線(6)において、製版上は背景画線(5)と図柄画線(6)を合成したフィルムを作製し、オフセット版面により印刷される。
図6(a)及び図6(b)に示すように、立体モアレ形成体の画線構成は、第一画線(3´)を複数配列してなる第一画像(1´)及び基材(11)の上に、背景画線(5)と図柄画線(6)とからなる第二画線(4´)を複数配列してなる第二画像(2)を、画線幅方向に所定のピッチでずらして重ね合わせたものである。第一画像(1´)と第二画像(2´)の重ね合わせ角度は必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じていてもかまわない。
基材(11)としてはオフセット用コート紙を用い、まず、UV乾燥型スクリーン印刷方式によって、オフセット用コート紙の表面に第一画線(3´)を複数配列してなる第一画像(1´)を印刷する。次に、第一画像(1´)の上に、オフセット印刷方式によって背景画線(5)と図柄画線(6)とから成る第二画線(4´)を複数配列してなる第二画像(2´)を重ね刷りし、立体モアレ形成体を作製する。
第一画像(1´)に使用するインキは、UVスクリーン用メジューム96%(永瀬スクリーン印刷研究所製A−Z)にアサヒ化成工業製コバルトブルーCR−4を4%加え、消泡剤を外割りで2%添加し、高速分散機(特殊機化工業株式会社製ホモディスパーfモデル)を使用して約3分間攪拌を行ったものとする。
第二画像(2´)に使用するインキは、マットニス(大日本インキ化学工業製_OPニス_new_championマット)とする。
第一画像(1´)を構成する凸形状画線に使用するインキは有色でも可能であるが、第二画像(2´)を構成する画線に使用するインキは透明もしくは半透明のものが望ましい。
第一画像(1´)を構成する第一画線(3´)の画線高さは約15μmであり、光沢度は60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で75.5である。
第二画像(2´)を構成する第二画線(4´)の光沢度は、60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で7.5である。
図7及び図8は発明の効果を表したものであり、図7は、立体モアレ形成体を光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示し、図8は、立体モアレ形成体を一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示している。
立体モアレ形成体は、図7のように、光源に対して拡散反射が主体的な環境下での観察では単なる縞模様であるが、図8のように、角度を傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合には、線状の立体的なモアレが出現し、角度を変えることで印刷物中のモアレが動いているように視認される。
次に、印刷によって第一画像を印刷した後、第一画像及び基材に対して、レーザ照射によって損傷を与えることで立体モアレを出現させる方法について説明する。
図9に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1´´)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画素(7)の集合体であって、第一画素(7)の画素幅と非画素の画素幅は上下左右とも3:1の比で、画素幅0.45mmと非画素幅0.15mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。
図10に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2´´)は、第一画像(1´´)の表層に対してレーザ照射により損傷を与える図柄を示しており、背景画素(9)と図柄画素(10)とからなる第二画素(8)を複数配列することにより構成されている。背景画素(9)は、直径0.4mmの円が縦横に0.55mmピッチで繰り返し配列されている。図柄画素(10)である「NEXT」の文字は、背景画素(9)と同様に直径0.4mmの円が縦横に0.55mmピッチで繰り返し配列されており、背景画素(9)と比較して配置角度を10度傾けた構成としている。
図11(a)及び図11(b)に示すように、立体モアレ形成体の画線構成は、第一画素(7)を複数配列してなる第一画像(1´´)及び基材(11´)に対して、背景画素(9)と図柄画素(10)とからなる第二画素(8)を複数配列してなる第二画像(2´´)を、レーザ照射によって損傷したものである。第一画像(1´´)と第二画像(2´´)の角度は、必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じてもかまわない。
基材(11´)としてはオフセット用コート紙を用い、まず、UV乾燥型スクリーン印刷方式によって、オフセット用コート紙の表面に第一画素(7)を複数配列してなる第一画像(1´´)を印刷する。次に、第一画像(1´´)及び基材(11´)の表層にレーザ照射によって損傷を与えることで、背景画素(9)と図柄画素(10)とからなる第二画素(8)を複数配列してなる第二画像(2´´)を施し、立体モアレ形成体を作製する。
第一画像(1´´)に使用するインキは、蒸着アルミ顔料を含有しているUVスクリーン用銀インキ(ウォールステンホルム社製:ミラシーン)とする。
第一画像(1´´)及び基材(11´)の表層に、第二画像(2´´)を生成するためのレーザ照射装置は、波長1μmのYVO4レーザマーカー(キーエンス社製)を使用し、レーザ照射条件はレーザパワー25%、スキャンスピード2000mm/s、Qスイッチ周波数100kHzの設定で行う。
第一画像(1´´)を構成する第一画素(7)の画素高さは約15μmであり、光沢度は60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で199以上であり、75°光沢度で179である。
第一画像(1´´)に対して適当な出力でレーザ照射し、第一画像(1´´)の画線の一部分を損傷する(削り取る)ことで、第一画像(1´´)の画線光沢のみを低下させることが可能である。上記の出力で第一画像(1´´)にレーザ照射することによって、レーザ照射部位(第二画像)の60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)は16.7となる。
図12及び図13は発明の効果を表したものであり、図12は、立体モアレ形成体を光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示し、図13は、立体モアレ形成体を一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示している。
立体モアレ形成体は、図12のように、光源に対して拡散反射が主体的な環境下での観察では、画素の集合体として視認され、図13のように角度を傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合には、円形状の大小のモアレによって「NEXT」の文字を成す立体モアレが出現し、角度を変えることで印刷物中の立体モアレが視認される。
次に、印刷によって背景画線と図柄画線とを有する第一画像を印刷した後、第一画像の画線及び非画線に対して、レーザ照射によって損傷を与えることで立体モアレを出現させる方法について説明する。
図14に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1´´´)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画素(7´)の集合体であって、背景画素(9´)と図柄画素(10´)とで構成されている。背景画素(9´)は、所定のピッチで構成された凸形状の画素の集合体であり、画素と非画素は上下左右とも3:1の比で、画素幅0.45mmと非画素幅0.15mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。一方、図柄画素(10´)である「NPB」を成す画素の集合体については、画素と非画素は上下左右とも3:1の比で、画素幅0.55mmと非画素幅0.05mmの0.6mmピッチで繰り返し配列されている。背景画素(9´)の凸形状画素と比較して、図柄画素(10´)の凸形状画素を縦横方向に0.1mmずつ大きな形状の凸形状画素とすることによって、「NPB」の文字が視認可能な構成とする。
図15に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2´´´)は、第一画像(1´´´)の表層に対してレーザ照射により損傷を与える図柄を示しており、背景画素(9´´)と図柄画素(10´´)とからなる第二画素(8´)を複数配列することにより構成されている。背景画素(9´´)は、直径0.4mmの円が縦横に0.55mmピッチで繰り返し配列されている。図柄画素(10´´)である「NEXT」の文字は、背景画素(9´´)と同様に直径0.4mmの円が縦横に0.55mmピッチで繰り返し配列されており、背景画素(9´´)と比較して配置角度を10度傾けた構成としている。
図16(a)及び図16(b)に示すように、背景画素(9´)と図柄画素(10´)とからなる第一画素(7´)を複数配列してなる第一画像(1´´´)及び基材(11´´)に対して、背景画素(9´´)と図柄画素(10´´)とから成る第二画素(8´)を複数配列して成る第二画像(2´´)を、レーザ照射によって損傷したものである。第一画像(1´´´)と第二画像(2´´´)の角度は、必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じても構わない。
基材(11´´)としてはオフセット用コート紙を用い、まず、UV乾燥型スクリーン印刷方式によって、オフセット用コート紙の表面に第一画素(7´)を複数配列してなる第一画像(1´´´)を印刷する。次に、第一画像(1´´´)及び基材(11´´)の表層に、レーザ照射によって損傷を与えることで背景画素(9´´)と図柄画素(10´´)とからなる第二画素(8´)を複数配列してなる第二画像(2´´´)を施し、立体モアレ形成体を作製する。
第一画像(1´´´)に使用するインキは、蒸着アルミ顔料を含有しているUVスクリーン用銀インキ(ウォールステンホルム社製:ミラシーン)を使用する。
第一画像(1´´´)及び基材(11´´)の表層に、第二画像(2´´´)を生成するために使用するレーザ照射装置は、波長1μmのYVO4レーザマーカー(キーエンス社製)を使用し、レーザ照射条件はレーザパワー25%、スキャンスピード2000mm/s、Qスイッチ周波数100kHzの設定で行う。
第一画像(1´´´)を構成する第一画素(7´)の画素高さは約15μmであり、光沢度は60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で199以上であり、75°光沢度で179である。
第一画像(1´´´)に対して適当な出力でレーザ照射し、第一画像(1´´´)の画線を完全に損傷する(削り取る)ことなく、第一画像(1´´´)の画線光沢のみを低下させることが可能である。上記の出力で第一画像(1´´´)にレーザ照射することによって、レーザ照射部位(第二画像)の60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)は16.7となる。
図17及び図18は発明の効果を表したものであり、図17は、立体モアレ形成体を光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示し、図18は、光源に対して立体モアレ形成体を一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示している。
立体モアレ形成体は、図17のように、光源に対して拡散反射が主体的な環境下での観察では「NPB」とのみ視認され、図18のように、角度を傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合には、円形状の大小のモアレによって「NEXT」の文字を成す立体モアレが出現し、角度を変えることで印刷物中の大小の立体モアレが視認される。
次に、印刷によって第一画像を印刷した後、第一画像及び基材に対して、レーザ照射によって損傷を与えることで文字による立体モアレを出現させる方法について説明する。
図19に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1´´´´)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画素(7´´)の集合体であって、第一画素(7´´)は、直径0.2mmの円が縦横に0.7mmピッチで繰り返し配列されている。
図20に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2´´´´)は、第一画像(1´´´´)の表層及び基材に対してレーザ照射により損傷を与える図柄を示しており、高さ0.3mm×幅0.5mmの「NP」という文字が、縦横に0.665mmピッチで繰り返し配列されている。
図21に示すように、立体モアレ形成体の画線構成は、第一画素(7´´)を複数配列してなる第一画像(1´´´´)及び基材に対して、「NP」という文字からなる第二画像(2´´´´)を、レーザ照射によって損傷したものである。第一画像(1´´´´)と第二画像(2´´´´)の角度は、必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じても構わない。
基材としてはオフセット用コート紙を用い、まず、UV乾燥型スクリーン印刷方式によって、オフセット用コート紙の表面に第一画素(7´´)を複数配列してなる第一画像(1´´´´)を印刷する。次に、第一画像(1´´´´)及び基材の表層にレーザ照射によって損傷を与えることで、「NP」という文字から成る第二画像(2´´´´)を施し、立体モアレ形成体を作製する。
第一画像(1´´´´)に使用するインキは、UVスクリーン用インキ(ウォールステンホルム社製:ミラシーン)とする。
第一画像(1´´´´)及び基材の表層に、第二画像(2´´´´)を生成するためのレーザ照射装置は、波長1μmのYVO4レーザマーカー(キーエンス社製)を使用し、レーザ照射条件はレーザパワー15%、スキャンスピード500mm/s、Qスイッチ周波数100kHzの設定で行う。
第一画像(1´´´´)を構成する第一画素(7´´)の画素高さは約15μmであり、光沢度は60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で199以上であり、75°光沢度で179である。
第一画像(1´´´´)に対して適当な出力でレーザ照射し、第一画像(1´´´´)の画素の一部分を損傷する(削り取る)ことで、第一画像(1´´´´)の画素光沢のみを低下させることが可能である。上記の出力で第一画像(1´´´´)にレーザ照射することによって、レーザ照射部位(第二画像)の60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)は16.7となる。
図22及び図23は発明の効果を表したものであり、図22は、立体モアレ形成体を光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示し、図23は、光源に対して立体モアレ形成体を一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示している。
立体モアレ形成体は、図22のように、光源に対して拡散反射が主体的な環境下での観察では画素の集合体として視認され、図23のように、角度を傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合には、「NP」の文字を成す立体モアレが視認される。モアレ出現周期は15mmである。
次に、オフセット印刷によって立体モアレを出現させる方法について説明する。オフセット印刷で形成できる画線高さは1μm程度と極めて低い高さとなるが、この場合でも0.5mm以下の画線ピッチで第一画像を形成することで、立体モアレを発生させることが可能である。
図24に示すように、立体モアレ形成体の第一画像(1´´´´´)は、第一の光沢度を有した凸形状の第一画線(3´´)の集合体であって、第一画線(3´´)は、背景画線(5´)と星マークを成す図柄画線(6´)の二つの異なるピッチの画線で構成され、背景画線(5´)は幅0.3mmの画線が横に0.4mmピッチで繰り返し配列されており、星マーク内部は図柄画線(6´)で構成され、0.3mmの画線が横に0.44mmピッチで配列されている。
図25に示すように、立体モアレ形成体の第二画像(2´´´´´)は、第一画像(1´´´´´)の表層及び基材に上に重ね合わせて印刷する図柄を示しており、幅0.1mmの画線が、縦に0.36mmピッチで繰り返し配列されている。
図26(a)及び図26(b)に示すように、立体モアレ形成体の画線構成は、背景画線(5´)と図柄画線(6´)とからなる第一画線(3´´)を複数配列してなる第一画像(1´´´´´)及び基材(11´´´´)の上に、第二画線(4´´)を複数配列してなる第二画像(2)を、画線幅方向に所定のピッチでずらして重ね合わせたものである。第一画像(1´´´´´)と第二画像(2´´´´´)の重ね合わせ角度は必ずしも平行に重ね合わせる必要はなく、角度のずれが生じていてもかまわない。
基材(11´´´´)としてはオフセット用コート紙を用い、まず、酸化乾燥型オフセット印刷方式によって、オフセット用コート紙の表面に第一画線(3´´)を複数配列してなる第一画像(1´´´´´)を印刷する。次に、第一画像(1´´´´´)の上に、オフセット印刷方式によって第二画線(4´´)を複数配列してなる第二画像(2´´´´´)を重ね刷りし、立体モアレ形成体を作製する。
第一画像(1´´´´´)に使用するインキは、酸化乾燥型オフセット用グロスインキ(大日本インキ化学工業製_OPニス_new_champion ハイグロス)であり、 第二画像(2´´´´´)に使用するインキは、酸化乾燥型オフセット用マットニス(大日本インキ化学工業製_OPニス_new_champion マット)とする。
本実施例において第一画像(1´´´´´)を構成する凸形状画線に使用するインキ、および第二画像(2´´´´´)を構成する画線に使用するインキは透明である。このため、拡散反射領域では無像となることから、必要に応じて有色顔料で第一画像下に任意のベース図柄を配することも可能である。この場合、拡散反射及び正反射が主体的な領域のいずれにおいて有色顔料で形成されたベース画像が視認される形態となる。なお、金インキや銀インキ等の有色の光輝性インキを用いて階調表現域に一定の制限を設けてベース画像を形成した場合には、拡散反射が支配的な領域ではベース画像が視認され、正反射が支配的な領域ではベース画像が消失して、立体モアレのみが視認される形態となる。
第一画像(1´´´´´)を構成する第一画線(3´´)の画線高さは約1μmであり、光沢度は60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で58.6である。
第二画像(2´´´´´)を構成する第二画線(4´´)の光沢度は、60°光沢度(株式会社村上色彩技術研究所_デジタル光沢計GM−3Dでの測定)で7.5である。
図27は発明の効果を表したものであり、立体モアレ形成体を一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる像を示している。
立体モアレ形成体は、光源に対して拡散反射が主体的な環境下での観察では無像であるが、図27のように、角度を傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合には、線状の立体的なモアレが出現し、角度を変えることで印刷物中のモアレが動いているように視認される。
本発明における実施例1〜5に関して、必要とする凸形状画線の画線高さ及び凸形状画素の画素高さは、少なくとも1μmの高さを有していることが望ましい。
本発明における実施例1〜5に関して、第一画像とそれに重ね合わせる第二画像との光沢差は、60°光沢度あるいは75°光沢度で50以上あることがモアレの視認性の面から望ましい。
本発明における実施例1〜5に関して、潜像の隠蔽性と出現時の視認性を両立させるために、潜像となる図柄画線を成す円の角度のみを変化させた構成としたが、第二画像の円のピッチや大きさを変化させることで凸形状画素との干渉の割合が変化することから、モアレが成す模様のバリエーションを増やすことが可能である。
また、本発明における実施例1〜5に関して、第一画像を直線や四角形の画線、及び第二画像を曲線や単純な円で構成したが、第一画像及び第二画像を構成する網点形状はこれに限定するものではなく、多角形や星型あるいは像や記号、文字等でも構わない。その場合、発生する立体モアレは、それら網点形状を反映させた形状で目視される。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。
(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示し、(b)は、その断面図を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画素構成を示す。
(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示し、(b)は、その断面図を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画素構成を示す。
(a)は、本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示し、(b)は、その断面図を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画素構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画素構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画素構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して拡散反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる画像を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第一画像の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の第二画像の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体の画線構成を示す。
本発明の一実施例における立体モアレ形成体を、光源に対して一定角度傾けて光源に対して正反射が主体的な環境下で観察した場合に視認できる立体モアレを示す。
符号の説明
1、1´、1´´、1´´´、1´´´´、1´´´´´ 第一画像
2、2´、2´´、2´´´、2´´´´、2´´´´´ 第二画像
3、3´、3´´ 第一画線
4、4´、4´´ 第二画線
5、5´ 背景画線
6、6´ 図柄画線
7、7´、7´´ 第一画素
8、8´ 第二画素
9、9´、9´´ 背景画素
10、10´、10´´ 図柄画素
11、11´、11´´、11´´´ 基材