JP3876718B2 - 映写用スクリーン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映写用スクリーンの画像投射面の技術に係わり、更に詳しくは、液晶プロジェクターによる画像投射用に最適なスクリーンの技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、映写用スクリーンの映像投射面の素材として、ポリエステル繊維またはガラス繊維からなる基布に、スクリーン素材に必要な適度の反射面をもたせるため塩化ビニールフィルムを表裏にラミネートし、且つ表面には光の反射を向上させるためエンボス加工による凹凸形成およびガラスビーズ吹き付けなどの処理を施し、更に裏面には黒色塩化ビニールフィルムを貼付して裏面からの光の透過を遮るように構成された素材が用いられている。
【0003】
ところが、上記従来の映像スクリーンの基布には、織組織の経糸と緯糸との交差点が規則的に表面に現れる平織り組織などからなる布帛が用いられ、そのような布帛は規則的な織り目紋様がラミネート処理の表面に浮き出る。そのため、液晶プロジェクターから投射される画像を構成する規則的に整列された画素の画素線つまり隣接画素間の境界線とスクリーン表地基布の織り目紋様とが干渉し、モアレ(点や線が幾何学的に規則正しく分布したものが重ね合わさったときに生じる縞状斑紋)を発生して映像効果を落としている。このモアレの映像障害は、近年液晶プロジェクターの普及に伴って発生した問題である。
【0004】
また、塩化ビニールフィルムを表面にラミネートした従来の素材は、表面に凹凸を形成するエンボス加工を施していても表面にテカリ(表面光沢)が残り、映像にギラツキやホットスポットを生じ、またエンボス加工自体も、その規則的な凹凸が映像障害となるモアレ発生の原因ともなっている。
なお、ギラツキやホットスポットとは、スクリーン表面に光沢があるとスクリーンに輝度のピークを生じる映像障害であり、一方、スクリーンの映像は見る人の視線が正面から両側にずれると次第に暗くなり映像の見え方が異なるが、これは反射光の拡散が不充分で正面方向から放射状に視線角度が広がるにつれて反射光量が減じることに伴う現象である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の状況に鑑み本発明が解決しようとするところは、液晶プロジェクターによる映像投射時の映像障害のモアレ発生が極めて少なく、光の透過損失が少なく、投射映像のギラツキやホットスポットの発生が無く、且つどの位置からも同じ映像が見える広視野角の拡散型スクリーンを提供する点にある。
【0006】
なお、ここで本明細書における用語の意味を以下に説明しておく。
まず、アムンゼン織りとは、梨地織りの一種で別名砂梨地織りとも称され表面に不規則な粒状組織が現れる織組織で、縦糸(経糸)と横糸(緯糸)の浮き沈みが不規則に変化して経糸と緯糸との交差点で形成される凹凸が不規則に表面に現れ、その凹凸の稜線は方向が不規則且つ短く寸断されて連続しない変化組織の布地が形成される。1リピートあたりの経糸緯糸の本数の組み合わせとヘルド数とにより織り組織の紋様の不規則性や複雑度が異なり、一般的には通常、経糸66本×緯糸40本、6〜9枚ヘルドものがよく利用される。なお、本発明の映写用スクリーンに用いる基布の場合はこれに限定せず、経糸と緯糸の本数およびヘルドの枚数は更に広範囲の組み合わせから選定される。
つぎにサテン織りとは、別名朱子織りと称され、織組織の経糸と緯糸との交差点が連続しないように分散され、経糸または緯糸のいずれか一方のみが表面に浮き出る織り方である。
一方、二重織りとは、織物を経または緯の方向に切ってその断面を見たとき、経糸と緯糸の一方またはその双方が二重に重なって織られて1枚の布地を形成する織組織を言い、本明細書における変化二重織りとは、前記の二重織りに属し、表面がアムンゼン織りの変化組織で裏面がサテン織りの組織からなる二重の織組織を言う。
ダル繊維とは、繊維の紡糸原液につや消し剤を添加混入させて光沢を押さえ半透明または不透明にした繊維をいい、つや消し剤の混入量で光沢度が異なり、混入量が少なく半透明に光沢を押さえたものはセミダル、混入量が多く不透明で光沢の無いものはフルダルと呼称される。
また、反射光のゲインとは、スクリーンへの投射光量に対する反射光量の関係数値をいい、(反射光量/投射光量)×πで求められる値であり、この数値が大きいほど明るい映像が得られる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題解決のため、本発明では、スクリーンの画像投射面の基布として、表側がアムンゼン織りで裏側がサテン織りの変化二重組織からなる布帛を用いる。これにより、モアレの発生が極めて少なく且つ広視野角の拡散型スクリーンの実現が可能となり、裏側組織により透過光も反射され光の透過損失を少なくすることができる。
【0008】
また前記織組織からなるスクリーンの画像投射面の基布は、光沢のある化学繊維などの場合には、紡糸原液に酸化チタンなどの白色微粉末からなるつや消し剤を添加混入させ、光沢と透明度をセミダル以上好ましくはフルダル相当にしたダル繊維により織られた布帛とするのがよい。これにより、上記の効果に加えて光沢度を押さえて光の拡散反射率を向上し透過損失をより一層少なくすることが可能となる。
【0009】
一方、前記布帛において、ポリエステル、メラミン、酢酸ビニル、アクリル、ウレタン等の樹脂のいずれかを含浸加工してスクリーンの画像投影面の基布となすのが好ましい。この樹脂含浸により、ギラツキやホットスポットの原因となる樹脂フィルムのラミネートを施すことなく、スクリーン素材に必要な適度の張りと硬さを付加させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態を添付図面に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記の説明に限定されるものではなく、スクリーン画像投射面を構成する基布は、繊維の太さ、綿密度つまり経糸と緯糸の本数、繊維に添加混入させるつや消し剤の種類、布帛に樹脂含浸させる際の樹脂の種類や濃度やピックアップ率(布に対する含浸樹脂の重量割合)などについて、下記実験に用いた布以外に種々の異なる組み合わせがあり、本発明はそれらの組み合わせの異なるもの全てを含むものである。
【0012】
本発明に係る映写用スクリーンの画像投射面の基布には、アムンゼン織りからなる布帛、または図1(b)に側断面を略式的に示すように表側8がアムンゼン織りで裏側9がサテン織りの変化二重組織からなる布帛を用いる。ただし、投射光の反射特性の観点からみた場合は変化二重組織の方が明るい映像が得られ、変化二重組織の基布を用いる方がより望ましい。
【0013】
アムンゼン織りとは、前述の説明の如く、別名砂梨地織りとも称され表面に不規則な粒状組織が現れる織組織で、経糸と緯糸の浮き沈みが不規則に変化して互いの糸の交差点で形成される凹凸が不規則に表面に現れ、その凹凸の稜線は方向が不規則且つ短く寸断されて連続しない変化組織である。そして、経糸緯糸の1リピートあたりの本数の組み合わせとヘルド数とにより異なる組織パターンとなり、太い糸にすると組織の凹凸が大きくなる。
【0014】
映写用スクリーンは、用途によって各種型式があり、スクリーンの全体構成や製法はそれぞれ異なる。本明細書では巻取収納式スクリーンを例に説明する。図1に巻取収納式スクリーンの一例を示し、巻取収納式スクリーン1は、スクリーン基布3を所定の寸法にカッティングし、そのスクリーン基布3の周囲3aに黒色などのマスク塗装または印刷を施してスクリーン2を形成し、スクリーン2の上端には吊り下げ手段としてのフック7,7を備えた巻取収納装置5を、また下端にはスクリーン膜を垂直に垂下展張させる重錘としてのバー6をそれぞれ取り付けて構成される。スクリーン基布3は、変化二重組織の布帛からなり、表側8がアムンゼン織りで裏側9がサテン織りとなっている。なお、スクリーン2の裏面には、裏面からの光を遮る効果をあげるため必要に応じ図示のようにアクリル樹脂など適宜の樹脂を塗布しバックコーティング4を施す場合もある。
スクリーン基布3を除く他の部分の構成および各種スクリーンにおけるスクリーン装置全体の構成や製法などに関しては、本願発明には直接関係しないので、それらに関する更に詳細な説明は省略する。
【0015】
つぎに、アムンゼン織りの組織パターンの一例を図2に参考までに示す。図2は一般の布地によく利用されるパターンで1リピートが径糸66本×緯糸40本、6枚ヘルドにて織られたアムンゼン織りの組織図の一部分を示し、黒塗り部と白抜き部とは経糸と緯糸の交差点における糸の浮き沈みを示す。図2により部分的ながらアムンゼン織りの組織は経糸と緯糸との交差によって表面に現れる凹凸に不規則性があることが示されている。
【0016】
アムンゼン織りの表面組織の凹凸は、例えば図2のような不規則性を有するため、液晶プロジェクターから投射される映像に含まれる画素線と干渉することがなく、映像障害となるモアレ発生が極めて少ない。このことが、アムンゼン組織が液晶プロジェクター用の映写スクリーン基布として最適であることの根拠である。なお、アムンゼン織りは、経糸と緯糸の本数やヘルド数などにより異なる様々なパターンを作り出すことが可能であり、本発明のスクリーン基布の組織は、図2の組織パターンに限定するものでなくアムンゼン織りの異なるパターン全てを含む。
【0017】
ところで、スクリーンに投射された光は、一般に図3に示すように放射方向に反射されるが、この反射光がどの方向にも均一に拡散反射される様な素材がスクリーン基布として理想的である。しかし従来のスクリーンに用いられている平織り組織の場合は、表面が滑らかで組織の凹凸が縦横方向に規則的であるため、反射光は方向に偏りがあり均一な拡散型反射とはならない。どの方向に対しても投射光がより均一に拡散反射するためにはスクリーン表面に不規則な凹凸が必要である。そのような理由から従来のスクリーン基布にはエンボス加工を施こし意図的に表面凹凸を形成している。
【0018】
これに対しアムンゼン織りの布帛の表面には、組織特有の不規則な粒状の凹凸が現れ、この不規則な凹凸が従来のスクリーンにおけるエンボス加工による規則的な凹凸に代わる作用効果を生じ、光をどの方向に対しても均一に拡散反射させ映像効果をよくする作用がある。更にアムンゼン織りの織布は、基布表面の凹凸が不規則に配置されているため、液晶スクリーンで投射される映像を構成する規則的に配列する画素の境界線と光学的干渉が起こりにくく、映像障害のモアレを殆ど発生しない。
【0019】
具体例として本発明にかかる映写用スクリーン基布の反射特性を図4に示す。図4の反射特性を示すスクリーン基布は、表側がアムンゼン織りで裏側がサテン織りの変化二重組織の基布からなり、酸化チタン1.4重量%を添加混入させて紡糸したポリエステルのフルダル繊維からなる糸番手150D(Dは紡糸の太さの単位でデニール)の糸を経糸および緯糸に用いて、綿密度は経178本/インチ(インチは長さの単位で約25.4ミリメートル)緯85本/インチで織られ、そしてこの織布を、ポリエステル樹脂14〜18重量%を含む水系樹脂液に浸し、樹脂液のピックアップ率(布に対する含浸樹脂液の重量割合)70%に樹脂含浸するとともに、裏面からの光を遮るため裏面遮光処理としてアクリル樹脂を1平方メートル当たり40グラムの割合でコーティングしてなるスクリーン基布である。
図4は、反射光のゲイン(Gs)を縦軸に、反射角つまり視線角を横軸にとり、測定結果を折れ線グラフで示している。このスクリーン基布は、中心近傍の視線角5°方向の反射光のゲインに対して視線角60°方向の反射光のゲインが5%以下の減衰に留まっており、フラットな特性でどの角度からも殆ど変わらない同じ明るさの映像が見えることを示している。
【0020】
本願出願に備え、本発明の実施例に係るスクリーンの表地つまりアムンゼン織り組織のスクリーン基布と従来のスクリーン基布の双方に対し光の反射特性の比較測定実験を行ったので、その結果を記載する。
実験に用いたスクリーン基布は2種類で、そのうち本発明の実施例に係るスクリーン基布は、前記図4の実験に用いたものと同一である。一方、比較用の従来のスクリーン基布は、平織組織に織り上げたガラス繊維からなる布帛に塩化ビニールフィルムのラミネートを施し、その表側つまり画像投射面にはエンボス加工にて半艶、艶消し、つづれしぼ等の凹凸を形成するとともに、裏面には黒色塩化ビニールフィルムをラミネートしてなるスクリーン基布である。
【0021】
測定結果は図5に示す。図5は、反射光のゲイン(Gs)を縦軸に、反射角つまり視線角を横軸にとり、変化二重組織からなるスクリーン基布の反射特性を折れ線Aで示し、従来のスクリーン基布の反射特性を折れ線Bで示している。折れ線Aは前述の図4と同一特性であり、折れ線Bに比べ正面における反射ゲインがやや低下するが視線角が大きくなっても反射ゲインの減衰が少なくほぼフラットに近い特性を示し、視線角35°以上ではゲインが逆転している。つまり、本発明の実施例に係るスクリーンは、従来のスクリーンに比べ反射光が広角度に拡散しどの位置から見ても同じ映像が見え、且つ、スクリーン両サイドでは従来のスクリーンに比べ明るい映像が見えるといった優れた特性を有し、視線角度による極端な輝度の変化がないのでホットスポットも生じにくいスクリーンであるといえる。
【0022】
なお上記実験において、液晶プロジェクターにより映像を投影して目視確認の結果、変化二重組織のスクリーン基布は、反射光が広く拡散し脇の方から見ても映像は正面から見た場合と殆ど同じ状態で見え、且つ光学的干渉即ちモアレ発生も認められなかった。
【0023】
つぎに、本発明の映写用スクリーンに用いるスクリーン基布に関し、一重のアムンゼン織り組織からなる基布と、表側がアムンゼン織りで裏側がサテン織りの変化二重組織からなる基布について、光の反射特性の比較測定実験を行った結果を図6に示す。図6は、反射光のゲイン(Gs)を縦軸に、反射角つまり視線角を横軸にとり、一重のアムンゼン織り組織からなるスクリーン基布の反射特性を折れ線Cで、一方、変化二重組織からなるスクリーン基布(前述の図4の実験と同じ組織の基布)の反射特性を折れ線Dでそれぞれ示している。
なお、この比較測定実験に用いたスクリーン基布は、いずれも遮光のための裏面樹脂コーティング加工即ちバックコーティングを施す前の基布素材であり、その影響で透過損失が若干高く反射ゲインは若干低下している。つまり図6の折れ線Dはバックコーティングを施したスクリーン基布の反射特性(図4参照)よりもゲインが若干低くなることを示している。
【0024】
図6によると、一重組織のスクリーン基布素材の反射特性(折れ線C)の方が変化二重組織のスクリーン基布素材の反射特性(折れ線D)に比べ光の反射ゲインが低くなっている。これは上記一重組織と変化二重組織との構造の違いにより光の透過損失が異なることによるもので、変化二重組織(折れ線D)の方が透過損失が少なく映像が明るいことを示す。しかし折れ線Cの視線角度に対するゲインの変化は、従来のスクリーン基布の反射特性(図5の折れ線B参照)のように極端に変化しない。つまり、一重のアムンゼン織り組織からなるスクリーン基布も、視線角度が大きくなっても反射ゲインの低下が少なくフラットに近い反射特性を示し、どの角度からも同じ明るさの映像が見えスクリーン基布素材であることが解る。この結果から、変化二重組織に限らず一重のアムンゼン組織からなる織布も、表面のランダムな凹凸組織が液晶プロジェクターによる光学的干渉を無くしてモアレ発生を押さえ、且つ広視野角の反射特性を有し、スクリーン基布として適するといえる。但し一重組織は変化二重組織に比べ映像の明るさが若干劣る。
【0025】
ところで、合成繊維の場合、無添加の紡糸は、透明で光沢があり通称ブライトと呼ばれ光の透過率損失が大きく反射率が低く、そのままではスクリーン素材としては不適当である。この問題を解消するため本発明においては、従来から行われている繊維のつや消し処理を応用する。即ち、繊維の紡糸原液につや消し剤として白色の微粉末を添加混入させて防止したダル繊維にて、アムンゼン織り組織または表側がアムンゼン織りで裏側がサテン織りの変化二重組織に織り上げ、セミダル以上好ましくはフルダルの布帛にして、この布帛をスクリーン基布素材として用いる。
【0026】
つや消し剤としては、具体的には前述の酸化チタンが最適であるが、ほかにも例えば酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、カオリン等の白色無機化合物などを用いてもよく、それらの粒度は一般的には約0.05マイクロメートル以下である。また、つや消し剤に酸化チタンを用いる場合においては、0.1〜1.5重量%混入させるが、望ましくは約1.4重量%混入させたフルダル繊維とすると、光が効果的に拡散反射し優れたスクリーン基布素材となる。
【0027】
また、スクリーンに必要な適度の張りと硬さを付加させるため、本発明においては、スクリーン基布素材に対し樹脂含浸を行う。含浸樹脂としては、前述のポリエステル樹脂を用いるほか、例えばメラミン、酢酸ビニル、アクリル、ウレタンなどの樹脂を用いてもよい。
【0028】
そしてスクリーンの種類や大きさによって要求される素材の張りと硬さが得られるよう、含浸樹脂の種類により含浸率つまり樹脂液濃度および樹脂のピックアップ率のいずれか一方またはその双方を適宜コントロールする。
この樹脂含浸処理を行うことで、従来のスクリーン素材で行っていた樹脂フィルムのラミネートを施す工程を無くすることができる。
【0029】
一方、合成樹脂製のシート材をスクリーン表地の素材として用いる場合は、シート材表面にエンボス加工などでアムンゼン織り調の凹凸を形成する。エンボス加工は、アムンゼン織り調の凹凸が周面に形成された回転ローラーにて必要に応じてローラーを加熱しシート材を押圧するなど、その他適宜の方法で行う。
このエンボス加工は、従来のスクリーンのエンボス加工とは凹凸の形態が異なり、アムンゼン織り調の不規則変化の凹凸を形成するため、前述のアムンゼン織り組織の布の実験結果と同様な作用効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の請求項1の映写用スクリーンは、アムンゼン織りの組織は縦糸(経糸)と横糸(緯糸)との組織交差点位置が不規則に変化しその交差点が形成する稜線が乱れている事を利用し、スクリーンの画像投射面の基布にアムンゼン織りの組織からなる布帛を用いる。これにより、液晶プロジェクターにより投射される映像の画素線とスクリーン織組織の稜線との干渉によるモアレ発生が極めて少なくなるといった効果を得ることができる。
【0031】
つまり、従来スクリーンに用いられている平織り組織などの基布においては、経糸と緯糸との交差点に形成される規則的な凹凸の稜線と、液晶プロジェクターにより投射される映像に固有且つ不可避の規則的に配列された画素間の境界線(画素線)とが干渉してモアレが発生し映像障害となっていたが、上記のように不規則変化する織組織からなる布帛をスクリーン基布とすることで映像障害を解消できる。
【0032】
また、アムンゼン織りの組織は、糸の太さや1リピート当たりの経糸と緯糸の本数とヘルド数にもよるが、経糸と緯糸との交差点に形成される織組織の凹凸が平織組織に比べて大きく且つ大小さまざまなので、投射された光を広角度域に拡散反射する特性を有する。つまり、アムンゼン織りに固有の表面の大きな凹凸がそれ自体でエンボス加工以上の拡散反射効果をもたらすため、スクリーンの製造工程でエンボス加工工程が不要となり、スクリーン製造コストを低減する効果もある。
【0033】
さらに、スクリーン基布が表裏で互いに異なる二重組織にしていることにより、表側のアムンゼン織り組織からの透過光が裏側のサテン織り組織で反射される。つまりこのスクリーン基布には、一重のアムンゼン組織からなる基布以上に投射光の透過損失を低下させ一層明るい映像を映し出す効果がある。
【0034】
一方、本発明の請求項2の映写用スクリーンは、繊維につや消し剤を添加混入したセミダルまたはフルダルの繊維により上記の組織に織られた布帛をスクリーン基布とする。これにより、スクリーン面の光沢度が押さえられ光の拡散反射率が向上する。つまり、つや消し繊維により織られたスクリーン基布は、より一層投射光の透過損失を下げて拡散反射率を上げ明るい映像を映し出す効果がある。
【0035】
また、本発明の請求項3の映写用スクリーンは、変化二重組織のスクリーン基布に樹脂含浸を施すが、この処理により、スクリーン素材として必要な張りと硬さを付加させることができる。そのため従来のように映像のギラツキやホットスポットの原因となる樹脂フィルムのラミネートを表面に施す必要が無く、低コストで且つ容易にスクリーンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る映写用スクリーンの実施例の図で、(a)はスクリーンを展張し斜め前方から見た斜視図で、(b)はそのスクリーンの画像投射面の側断面を拡大して略式的に示す図である。
【図2】アムンゼン織り組織の一例を参考用に示し、組織の部分図である。
【図3】スクリーンの画像投射面における反射光の拡散状態を説明する図である。
【図4】本発明に係る変化二重組織のスクリーン基布の反射特性の測定結果を示す図である。
【図5】本発明に係る変化二重組織を用いたスクリーンと従来のスクリーンの反射効果の比較測定実験結果を示す図である。
【図6】一重のアムンゼン織り組織と変化二重組織のそれぞれのスクリーン基布素材における反射特性の比較測定実験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 巻取収納式スクリーン
2 スクリーン
3 スクリーン基布
3a 周囲
4 バックコーティング
5 巻取収納装置
6 バー
7 フック
8 表側
9 裏側
Claims (3)
- 表側がアムンゼン織りで裏側がサテン織りの変化二重組織からなる布帛を画像投射面の基布としてなる映写用スクリーン。
- 前記変化二重組織からなる布帛が、白色微粉末からなるつや消し剤を添加混入させ光沢度をセミダル以上、好ましくはフルダル相当にしたダル繊維により織られたものである請求項1記載の映写用スクリーン。
- 前記請求項1または2に記載の布帛に、ポリエステル、メラミン、酢酸ビニル、アクリル、ウレタン等の樹脂のいずれかを含浸加工し、該樹脂含浸布帛を画像投射面の基布としてなる映写用スクリーン。
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